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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】工業炉用排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/68 20060101AFI20240111BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20240111BHJP
   B01D 53/56 20060101ALI20240111BHJP
   C01F 11/02 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B01D53/68 200
B01D53/68 100
B01D53/50 100
B01D53/56 ZAB
B01D53/56 100
C01F11/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022136550
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】514032773
【氏名又は名称】CYC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】三品 仁
(72)【発明者】
【氏名】板津 雅春
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-257835(JP,A)
【文献】中国実用新案第214949117(CN,U)
【文献】実開昭57-090730(JP,U)
【文献】実開昭53-111678(JP,U)
【文献】実開昭53-093539(JP,U)
【文献】実開昭57-106426(JP,U)
【文献】特開平09-206554(JP,A)
【文献】特開2003-230817(JP,A)
【文献】特開2007-296460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
B01D 53/73,53/86-53/90,53/94,53/96
F23J 13/00-99/00
F23G 5/14-5/18,7/06-7/08
C01F 1/00-17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業炉の炉内で発生した排ガスを大気に放出し、鉛直方向に長さを有する排気塔の中途部に取り外し可能に固定され、下側には排ガス処理がされていない上記排ガスが流入する流入口が形成され、上側には内部で排ガス処理がされた上記排ガスを排出する排出口が形成された処理用筐体と、
この処理用筐体内にそれぞれ支持されてなるとともにそれぞれ下側から上側に順次段積みされ、底方向には上記排ガスが通過する通過用開口が形成され上部は開放されてなる複数の外側容器と、
これら外側容器内に複数収容され、底方向には該外側容器の通過用開口を通過した排ガスが通過する複数の通過用小開口が形成され上部は開放されてなるとともに、内部には、所定の形状又は粒形に成形され上記排ガスに含まれた所定の汚染物質と化学反応し又は上記排ガスに含まれた汚染物質を吸着する処理剤が収容されてなる内側容器と、を備えてなることを特徴とする工業炉用排ガス処理装置。
【請求項2】
前記処理用筐体の側面又は正面若しくは背面の何れかには、該処理用筐体の内部に段積みされた前記外側容器の全部又は一部を該処理用筐体内から取り出し又は該処理用筐体外から前記外側容器を該処理用筐体内に配置する際に使用される筐体側開口が形成され、この筐体側開口は、作業者により開閉操作される開閉扉が配置されてなることを特徴とする請求項1記載の工業炉用排ガス処理装置。
【請求項3】
前記複数の外側容器には、略円筒状に成形された枠体を備え、この枠体の上端側の外側には、該外側容器が複数段積みされた状態において互いに干渉しない位置及び形状にて、作業者が把持する複数の把手が形成されてなるとともに、前記それぞれ段積みされた外側容器と外側容器との間には、一又は複数のスペーサが配置されてなり、上記スペーサにより前記外側容器と外側容器との間にはスペースが形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの工業炉用排ガス処理装置。
【請求項4】
前記内側容器は、前記複数の外側容器内のそれぞれに下段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなるとともに、上記下段として並んだ複数の内側容器の上方に上段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなるとともに、上記上段として並んだそれぞれの内側容器は、上記下段として水平方向に並んだ内側容器と内側容器との両方により支持されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの工業炉用排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化炉、焼却炉その他の工業炉により熱分解された被処理物から生じた排ガスを大気に放出する前段階で除去するために使用される工業炉用排ガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化炉(熱分解炉)や焼却炉等の各種の工業炉は、該工業炉内に収容された被処理物をバーナー等により熱分解するために使用されるが、該被処理物がこうした熱分解されると該工業炉からはガス(排ガス、排煙)が発生し、この排ガスには硫黄酸化物(SOx)、二酸化硫黄(SO)又は窒素酸化物(NOx)等が含まれていることが多く、我が国では古くからこれらの物質が汚染物資とされ、規制の対象とされてきた。そこで、こうした排ガスに含まれる汚染物質を除去する技術(排ガス処理技術)が提案され又は実施されている。そして、こうした排ガス処理技術は、湿式法、乾式法、半乾式法に大別することができ、上記湿式法は、上記汚染物質と反応させる処理剤として、アルカリ水溶液又はそのスラリーを使用するものであり、上記乾式法は、活性炭や石灰石又は石炭灰などの処理剤(又は吸着剤)により汚染物質を化学反応させ別異の化学物質に変化させ或いは吸着させるものであり、上記半乾式法は、その一例として、消石灰スラリーを反応塔中に噴霧することにより上記大気汚染物質を例えば亜硫酸カルシウム等の粉体に転化するもののように、上記湿式法と乾式法とを組み合わせたものである。
【0003】
例えば、特公昭61-39095号公報(特許文献1)に開示された排ガス処理技術は、上記乾式法に分類される排ガス処理技術である。そして、この技術は、ボイラによる燃焼ガスを石灰からなるミクロン粒子を噴霧することにより石灰と燃焼ガス中の硫黄酸化物を反応させる工程と、その後に無水石膏を未反応石灰及び煤塵と共に集塵装置により排煙中より除去する工程を備え、上記集塵装置で回収した粉塵を分級機にかけて無水石膏および未反応石灰を多く含んだ細粉と、主として灰分からなる粗粉に分け、細粉を水素および一酸化炭素またはそのいずれか一方を含む高温の還元ガス中に噴霧して硫化カルシウムに還元した後、該ガスを冷却することによって、硫化カルシウムと炭酸ガスおよび水蒸気を反応させて炭酸カルシウムと硫化水素にし、このガス中から集塵装置で炭酸カルシウムの微粒子を分離し、これを排ガス処理剤としてボイラの中に再度噴霧する一方、集塵装置から排出されたガス中から硫化水素を回収することを特徴とするものである。こうした技術によれば、排ガス処理工程によって発生した物質を廃棄物として処理する必要性が減少し、再利用することができる点で評価に値する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭61-39095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された(乾式法による)排ガス処理技術では、該特許文献1に開示された図面からも明らかなように、各工程を経るためのプラントは複雑化しているばかりか巨大化されており、高コストとならざるを得ず、また広大な設置面積が必要となることから、採用することができない。また、こうした排ガス処理技術では、新たにプラントを建設する場合であればともかく、既に設置された炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更したり組み込んだりすることにより、簡易に排ガス処理することができない。
【0006】
他方、上記湿式法により排ガス処理する場合には、スラリーを循環させたり多量の水が必要となったりするため、炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉とは別個に排水処理施設が必要となる。特に、炭化炉により熱分解する対象が、使用済リチウムイオン電池である場合には、該炭化炉による熱分解によりコバルト等の高価な稀金属を回収する点のみを挙げれば、炭化炉による熱分解は効果的である。しかし、その一方において、この湿式法により排ガス処理する場合、特に一般的に用いられる方法であるスクラバー法(石灰水による湿式洗浄法)による場合では、先に記載したように排水処理設備が必要であることは言うまでもなく、該排水処理設備内には、石灰水との間における化学反応により生成されたフッ化カルシウムが沈殿すること、装置に付着するスケールを適宜処理する必要性があること、水に溶解して腐食性・有毒性の強いフッ化水素酸(フッ酸)が発生すること等を理由として、該装置及びメンテナンス作業が共に複雑となる。また、この場合では、上記フッ化水素は、ガラスも侵すほどの強い腐食性を有することに鑑みれば、上記炭化炉(熱分解炉)からの排ガスを湿式法により処理する処理設備の構成部材の素材として上記耐腐食性を有する素材の選定作業はかなりの困難性を伴う。また、上記湿式法による排ガス処理を行う場合であっても、新たにプラントを建設する場合であればともかく、先に記載した乾式法に係る課題と同じように、既に設置された炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更することにより、簡易に排ガスに含まれた汚染物質を排ガス処理することができない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した一般的な湿式法や乾式法に係る排ガス処理技術や上記特許文献1に開示された排ガス処理技術が有する課題を解決するために提案されたものであって、排ガスに含まれた汚染物質を極めて簡易な構成で且つ広大な設置面積を必要とすることなく、さらには既設の炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更するのみで容易に排ガス処理を行うことができる新規な工業炉用排ガス処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、工業炉の炉内で発生した排ガスを大気に放出し、鉛直方向に長さを有する排気塔の中途部に取り外し可能に固定され、下側には排ガス処理がされていない上記排ガスが流入する流入口が形成され、上側には内部で排ガス処理がされた上記排ガスを排出する排出口が形成された処理用筐体と、この処理用筐体内にそれぞれ支持されてなるとともにそれぞれ下側から上側に順次段積みされ、底方向には上記排ガスが通過する通過用開口が形成され上部は開放されてなる複数の外側容器と、これら外側容器内に複数収容され、底方向には該外側容器の通過用開口を通過した排ガスが通過する複数の通過用小開口が形成され上部は開放されてなるとともに、内部には、所定の形状又は粒形に成形され上記排ガスに含まれた所定の汚染物質と化学反応し又は上記排ガスに含まれた汚染物質を吸着する処理剤が収容されてなる内側容器と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
上記第1の発明に係る工業炉用排ガス処理装置では、上記工業炉の炉内で発生した排ガスが排気塔の中途部まで到達すると、この排ガスは、上記それぞれの通過用開口を通過して上記最も下段に支持された上記外側容器内に流入し、この外側容器内に流入した排ガスは更にその上に段積みされた外側容器内に流入する、と言う順番で徐々に上昇し、最終的にはこれら複数の外側容器内を通過して排気塔内に流入した上で大気に放出される。そして、それぞれの外側容器内に流入した排ガスは、上記通過用開口のそれぞれを通過して各内側容器に形成されたそれぞれの通過用小開口を通過し、該内側容器内に収容された粒状の処理剤の個々に接触しながら上方に移動する。
【0010】
なお、上記処理剤は、排ガス処理される汚染物質との間で化学反応する物質と、該汚染物質を物理的に吸着する物資(以下、吸着剤と言う。)との両方を含む。前者の物質としては、(排ガス処理すべき汚染物質の種類にも因るが)生石灰や消石灰等のカルシウム化合物、石灰石(炭酸カルシウム系)や骨灰等を使用することができる。また、カルシウムに類するアルカリ金属(アルミニウム、マグネシウム等)化合物等を使用しても良い。この時、上記処理剤との接触により汚染物質は化学反応して生成された物質が該処理剤の表面に付着・吸着される。例えば、上記汚染物質が硫黄酸化物(SOx)であり、上記処理剤が石灰である場合には、無水石膏が生成され、これが粒状化された石灰の表面に付着・吸着される。上記汚染物質がフッ素である場合には、フッ化カルシウムが生成されて該処理剤に吸着される。他方、上記処理剤の形状は、顆粒状、球状、繊維状、ハニカム状、練炭(様の形)状等を挙げることができる。なお、処理剤の形状(粒形)は、細かければ細かいほどまたポーラス状であればあるほど比表面積が大きくなり、このことは同時に処理効率(吸着効率)が高くなるが、他方では、排気塔内における排ガスの通過抵抗(圧損)が大きくなることから、互いに相反する前者と後者との両方を勘案した上で適切な形状又は粒形とすることが望ましい。
【0011】
したがって、この第1の発明に係る工業炉用排ガス処理装置によれば、構成が複雑で面倒なメンテナンス作業を伴うことがなく、極めて簡単な構成で且つ排気塔の中途部に取り外し可能に固定させることで排ガス処理することができ、炭化炉や焼却炉その他の工業炉とは別個に排水処理施設が必要となるものではないことから、低コストで提供することができるとともに、広大な設置面積も要求されることがない。また、この発明に係る工業炉用排ガス処理装置は、排気塔の中途部に取り外し可能に固定されるものであることから、既設の炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更するのみで容易に排ガス処理を行うことができる。しかも、所定時間に亘って上記排ガス処理がなされ、処理剤による汚染物質の化学反応がそれ以上不能となった場合、或いは化学反応効率が低下した場合であっても、この工業炉用排ガス処理装置全体を排気塔から取り外して、新たな工業炉用排ガス処理装置と交換したり、取り外した工業炉用排ガス処理装置内に収容された外側容器を取り出し、上記内側容器内に収容された処理剤を新たなものと交換したりする作業も極めて容易に行うことができる。
【0012】
なお、この第1の発明に係る工業炉用排ガス処理装置において、上記それぞれの外側容器は、少なくとも上記処理用筐体内に支持されること、下側から上側に順次段積み可能であること、上記排ガスが通過する通過用開口が底方向に複数形成され上部は開放されていることを満たせば良く、例えば外形形状は特に限定されるものではない。また、上記内側容器についても、少なくとも外側容器内に複数収容されるものであること、底方向には該外側容器内に流入した排ガスが通過する複数の通過用小開口が形成され上部は開放されていること、内部には、所定の形状又は粒径に成形され上記排ガスに含まれた所定の汚染物質と化学反応する又は吸着する処理剤が収容されていることを満たせば良く、例えば、外形形状は特に限定されるものではないばかりか、これらの内側容器が上下方向に複数段積みされている必要はない。
【0013】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記処理用筐体の側面又は正面若しくは背面の何れかには、該処理用筐体の内部に段積みされた前記外側容器の全部又は一部を該処理用筐体内から取り出し又は該処理用筐体外から前記外側容器を該処理用筐体内に配置する際に使用される筐体側開口が形成され、この筐体側開口は、作業者により開閉操作される開閉扉が配置されてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第2の発明に係る工業炉用排ガス処理装置では、上記処理用筐体に形成された筐体側開口を閉塞する上記開閉扉の開放により、作業者は、該処理用筐体の内部に段積みされた前記外側容器の全部又は一部を該処理用筐体内から取り出し又は該処理用筐体外から前記外側容器を該処理用筐体内に配置することができる。すなわち、この第2の発明に係る工業炉用排ガス処理装置によれば、上記第1の発明の作用・効果に加えて、所定時間に亘って上記排ガス処理がなされ、処理剤による汚染物質の化学反応がそれ以上不能となった場合、或いは化学反応効率が低下した場合には、この工業炉用排ガス処理装置全体を排気塔から取り外す等の必要性はなく、単に上記開閉扉を開放することにより、上記内側容器内に収容された処理剤を新たなものと交換する等の作業をすることができ、より一層簡便に使用することが可能となる。
【0015】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記複数の外側容器には、略円筒状に成形された枠体を備え、この枠体の上端側の外側には、該外側容器が複数段積みされた状態において互いに干渉しない位置及び形状にて、作業者が把持する複数の把手が形成されてなるとともに、前記それぞれ段積みされた外側容器と外側容器との間には、一又は複数のスペーサが配置されてなり、上記スペーサにより前記外側容器と外側容器との間にはスペースが形成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
この第3の発明に係る工業炉用排ガス処理装置では、上記把手が各外側容器に形成されていることから、内部に上記処理剤が収容された各内側容器が収容された各と外側容器を上記処理用筐体内に段積みする作業や、段積みされた各外側容器を取り出し又は交換する作業も極めて迅速に行うことができ、また、上記スペーサにより排ガスの通気性が良好となって、排気塔全体の圧力損失を回避することができる。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記内側容器は、前記複数の外側容器内のそれぞれに下段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなるとともに、上記下段として並んだ複数の内側容器の上方に上段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなるとともに、上記上段として並んだそれぞれの内側容器は、上記下段として水平方向に並んだ内側容器と内側容器との両方により支持されてなることを特徴とするものである。
【0018】
この第4の発明に係る工業炉用排ガス処理装置では、前記内側容器は、前記複数外側容器内のそれぞれに下段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなるとともに、上記下段として並んだ複数の内側容器の上方に上段として水平方向に並んだ状態で複数支持されてなることと、上記上段として並んだそれぞれの内側容器は、上記下段として水平方向に並んだ内側容器と内側容器との両方により支持されてなることとの両方の構成により、それぞれの外側容器内では、下段に位置する複数の内側容器に収容された各処理剤で処理された排ガスは、さらに上段に位置する複数の内側容器に収容された各処理剤で処理され、或いは、上記下段として並んだ複数の内側容器内では処理されなかった排ガスは、上記上段として並んだ複数の内側容器内において排ガス処理される。したがって、この第4の発明に係る工業炉用排ガス処理装置によれば、個々の外側容器内における処理剤の占有率を高め、全体としての処理効率を高めることができ、ひいては排ガスが排ガス処理されずに大気に放出される危険性を有効に回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排ガスに含まれた汚染物質を極めて簡易な構成で且つ広大な設置面積を必要とすることなく、さらには既設の炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更するのみで容易に排ガス処理を行うことができる新規な工業炉用排ガス処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】開閉扉が開放された排ガス処理装置を示すものであって、外側容器は断面として示す正面図である。
図2図1に示す排ガス処理装置の左側面図である。
図3】開閉扉が閉塞された状態を示す正面図である。
図4図1に示す排ガス処理装置の平面図である。
図5】処理用筐体内の構成を示すものであって、開閉扉が開放された状態を示す平面図である。
図6】処理用筐体内の構成を示すものであって、開閉扉が閉塞された状態を示す平面図である。
図7】外側容器を示す正断面である。
図8】外側容器を示す平面図である。
図9】内側容器を示す平面図である。
図10】内側容器を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態に係る工業炉用排ガス処理装置は、工業炉としての炭化炉(熱分解炉)の排気塔の中途部に配置される排ガス処理装置であり、特に、該炭化炉により使用済リチウム電池を熱分解することにより発生する汚染物質であるフッ素、塩素、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、煤煙等を排ガス処理するものである。
【0022】
上記排ガス処理装置1は、図1図2又は図3に示すように、外形形状が略直方体状に成形されてなるとともに正面に筐体側開口2aが形成された処理用筐体2と、上記筐体側開口を開閉する開閉扉3と、上記処理用筐体2内に上下段積みされた複数の外側容器4と、これらの外側容器4内に収容された複数の内側容器5とを備えている。
【0023】
上記処理用筐体2は、図1に示されるように、正面には上記筐体側開口2aが形成されてなるものであり、略正方形状に成形された底板21と、この底板21の左端から起立し鉛直方向に長さを有した長方形状に成形されてなる左側板22と、上記底板21の右端から起立してなり上記左側板22と面対向し該左側板22と同一の形状に成形されてなる右側板23と、上記底板21の後端から起立し上記左側板22及び右側板23と同じ長さ幅に成形されてなる背面側板24(図2参照)と、上記底板21に面対向してなり該底板21と同一形状に成形されてなる天板25とを備えている。なお、上記左側板22、右側板23、背面側板24の内側面及び上記天板25の下面(後述する流出用開口25aを除く。)には、それぞれ断熱材11が配置されている。すなわち、この処理用筐体2の正面に形成された上記筐体側開口2aは、上記底板21の正面端と上記左側板22の正面端と上記右側板23の正面端と上記天板25の正面端とにより囲まれた状態で形成されている。
【0024】
また、上記左側板22の正面側には、図1又は図2(※扉が閉塞された状態を示す正面図)に示すように、上側水平杆31と下側水平杆32とが、互いに平行に配置されている。これら上側水平杆31と下側水平杆32とは、それぞれ同一形状に成形されてなるとともに基端側が上記左側板22の正面側に溶接されてなるものである。また、図2又は図3に示すように、上記上側水平杆31の正面から上記下側水平杆32の正面に亘って、鉛直方向に長さを有するベース部材33が固定され、さらにこのベース部材33の正面には、上側回動軸支持部材34と下側回動軸支持部材35とが互いに離間して固定され、該上側回動軸支持部材34と下側回動軸支持部材35とには、回動軸36が回動可能に支持されている。そして、この回動軸36のやや下端側中途部には、後述する開閉扉3を支持する回動アーム37の一端が溶接されている。また、図1に示すように、上記左側板23の上端側中途部であって、上記上側水平杆31のやや上方には、第1の回動支持部材6が固定され、上記下側水平杆32のやや下側には、第2の回動支持部材7が固定され、また、上記右側板23の正面側であって上記第1の回動支持部材6の固定高さと同じ高さ位置には、第3の回動支持部材8が固定され、該第3の回動支持部材8の下方であって上記第2の回動支持部材7の固定高さと同じ高さ位置には、第4の回動支持部材9が固定されている。これら第1ないし第4の回動支持部材6・・・9は、何れも同一形状に成形されている。そこで、上記第1の回動支持部材6を例に挙げて説明すると、上記左側板22(第3及び第4の回動支持部材8,9では、上記右側板23)の外側面に固定される固定板6aと、この固定板6aから外側に(水平方向に)突出し互いに面対向してなる一方及び他方の支持片6b、6cとから構成され、これら一方及び他方の支持片6b、6の中央にはボルト10の(図示しない)軸部が挿通される図示しない貫通穴が形成されている。
【0025】
そして、(上記第1ないし第4の回動支持部材6・・・9に配置されたそれぞれの)上記ボルト10(の軸部)は、第1ないし第4の扉ロック部材111・・・114を構成するリング部111b・・・114b内に挿通されている。上記第1ないし第4の扉ロック部材111・・・114は、図2図3又は図4に示すように、それぞれ上記開閉扉3が筐体側開口2aを閉塞した状態をロックするものであり、それぞれ同一の構成からなる。そこで、上記第2の扉ロック部材112を説明すると、該第2の扉ロック部材112は、外周に図示しない一方のネジ部(符号は省略する。)が螺刻された軸部112aと、この軸部112aの先端に形成され上記ボルト10の軸部が挿通されたリング部112bと、上記軸部112aに螺着されるナット部(符号は省略する。)が中央に固定され作業者により回動操作される操作ハンドル112cと、内部に上記軸部112aが挿通されてなる弾性材(コイルスプリング)112dと、この弾性材112dの両端に固定され内部には上記軸部112aが挿通されている一方及び他方のフランジ部112e,112fとから概ね構成されている。したがって、この第1の扉ロック部材111と上記第2の扉ロック部材112は、作業者による上記操作ハンドル111c,112cの揺動操作により、また、上記第3の扉ロック部材113と上記第4の扉ロック部材114は、作業者による上記操作ハンドル113c,114cの揺動操作により、上記ボルト10の軸芯(リング部111bの中心)を中心として、該第1ないし第4の扉ロック部材111・・・114全体を揺動させることができるとともに、上記操作ハンドル111c・・・114cを正回転又は逆回転することにより、該操作ハンドル111c・・・114cを前進させ又は後退させることができる。すなわち、上記操作ハンドル111c・・・114cのそれぞれを正回転操作されることにより、上記開閉扉3全体は上記筐体側開口2aを閉塞する方向に移動し、逆回転操作されることにより、該筐体側開口2aを開放する方向に移動する。
【0026】
また、上記処理用筐体2を構成する上記左側板22(及びこの左側板22の内側に配置された断熱材11)と上記右側板23(及びこの右側板23の内側に配置された断熱材11)の下端側のそれぞれには、図5又は図6に示すように、複数(本実施の形態では4つ)の支持杆挿通穴22a,23aが形成され、これらの支持杆挿通穴22a,23aには、後述する外側容器4であって最も下方に配置された外側容器4が支持される容器支持杆115が挿通されている。なお、上記左側板22の下端側の外側面には、上記支持杆挿通穴22aと連通してなり上記容器支持杆115の左端側中途部が挿通されるガイド用管部22bが突設され、また、上記右側板23の下端側の外側面には、上記支持杆挿通穴23aと連通してなり上記容器支持杆115の右端側中途部が挿通されるガイド用管部23bが突設されている。また、上記各容器支持杆115は、それぞれ円柱状に成形されてなるものであり、それぞれの左端側にはネジ(符号は省略する。)が螺刻され、このネジには二つのナット115a,115bが螺着されている。
【0027】
そして、上記底板21の中央には、図示しない円形状の流入用開口(本発明を構成する流入口)が形成され、また、該底板21の下面には、上記流入用開口を囲み該流入用開口と連通してなるとともに円筒状に成形された流入ダクト116の上端が固定されている。なお、この流入ダクト116の下端には、図示しない上記炭化炉に基端が接続された一方の排気塔の上端に取り外し可能に固定される下側フランジ部116aが形成されている。したがって、上記炭化炉からの排ガスは、この一方の排気塔と上記流入ダクト116を通過して、この排ガス処理装置1内に流入する。また、上記天板25の中央には、上記底板21に形成された図示しない流入用開口と同じ形状に成形された流出用開口25a(図4参照)が形成され、また、該天板25の上面には、上記流出用開口25aを囲み該流出用開口25a(本発明を構成する流出口)と連通してなるとともに円筒状に成形された流出ダクト117の上端が取り外し可能に固定されている。なお、この流出ダクト117の上端には、この排ガス処理装置1の内部で排ガス処理がなされた気体を上端から外部に放出する他方の排気塔の下端に固定される上側フランジ部117aが形成されている。
【0028】
また、上記排ガス処理装置1(上記処理用筐体2)には、上記筐体側開口2aを開閉する上記開閉扉3(図1又は図2参照)が取り付けられている。この開閉扉3は、全体形状は長方形状に成形されてなるものであり、図2に示すように、(上記筐体側開口2aを閉塞した際における)外側面に露出してなり長方形状に成形された主板部3aと、この主板部3aの上端に固定され該主板部3aと同じ幅の長さとされた上側枠板部3bと、この上側枠板部3bと平行に配置された下側枠板部3cと、上端は上記上側枠板部3bの一端に溶接され下端は上記下側枠板部3cの一端に溶接されてなる左側枠板部3dと、この左側枠板部3dと平行に配置され、上端は上記上側枠板部3bの他端に溶接され下端は上記下側枠板部3cの他端に溶接されてなる右側枠板部3eとからなる枠部材(符号は省略する。)を備えている。また、この枠部材には、上端が上記上側枠板部3bの中央に溶接され下端は上記下側枠板部3cの中央に溶接されてなる扉側ベース板121が設けられている。そして、この扉側ベース板121の中央には、固定板122が固定され、この固定板122には、扉側の上側回動軸支持部材123と扉側の下側回動軸支持部材124とが所定間隔を空けて締結部材(符号は省略する。)により固定されおり、該扉側の上側回動軸支持部材123と扉側の下側回動軸支持部材124とには、扉側回動軸125が回動可能に支持されている。そして、この扉側回動軸125には、上記回動アーム37の他端が溶接されている。また、上記開閉扉3を構成する上記左側枠板部3dの上端側中途部には、第1の係合片131の基端が溶接され、該左側枠板部3dの下端側中途部には、第2の係合片132の基端が溶接され、また、上記右側枠板部3eの上端側中途部には、第3の係合片133の基端が溶接され、該右側枠板部3eの下端側中途部には、第4の係合片134の基端が溶接されており、それぞれの先端は開閉扉3の左側又は右側に突出されている。そして、上記第1ないし第4の係合片131・・・134の先端には、上記第1ないし第4の扉ロック部材111・・・114を構成する軸部111a・・・114aの中途部が挿入されるU字状の切欠き部131a・・・134aが形成されている。
【0029】
そして、この排ガス処理装置1では、図1に示すように、冒頭で説明した上記処理用筐体2内において、複数の外側容器4が上下段積みされており、最も下段に配置された外側容器4は、上記各容器支持杆115に支持されている。そして、本実施の形態においては、上記最も下段に配置された外側容器4上には、図1又は図6に示すように、4本の角パイプ141(本発明を構成するスペーサ)が載置され、二段目に配置された外側容器4は、これら4本の角パイプ141上に載置されている。また、この二段目に配置された外側容器4上にも上記角パイプ141が載置され(図1参照)、これらの角パイプ141上に三段目の外側容器4が載置されている。すなわち、この実施の形態に係る排ガス処理装置1では、外側容器4が三段積みされ且つ各外側容器4と外側容器4との間には、スペーサである上記複数の角パイプ141が介在されている。そして、上記それぞれの外側容器4は、図7又は図8に示すように、金属等の無機材料により円筒状に成形された大型枠体4aと、この大型枠体4aの底方向に複数本(本実施の形態では4本)が平行に固定された一方の棒状支持体4bと、これら一方の棒状支持体4bの長さ方向とは直交する方向に長さを有し該一方の棒状支持体4bに各中途部が溶接されてなる他方の棒状支持体4cと、上記大型枠体4aの上端側にそれぞれ基端側が固定され互いに対向してなるとともに作業者により把持される把手4dとから構成されている。
【0030】
また、上記それぞれの外側容器4内には、複数(本実施の形態では4つ)の内側容器5が一段目として並べられ(収容され)、さらにこれら一段目として並べられた各内側容器5上には、複数(本実施の形態では4つ)の内側容器5が二段目として並べられ(収容され)ている。なお、上記二段目として並べられた個々の内側容器5は、上記一段目として並べられた複数の内側容器5により支持されている。そして、これらの内側容器5は、図9又は図10に示すように、金属等の無機材料により円筒状に成形された小型枠体5aと、この小型枠体5aの下端に外周が固定されてなるとともに網状とされた円盤状の処理剤支持体5bとから構成されている。なお、この網状とされた処理剤支持体5bには、本発明を構成する多数の通過用小開口が形成されている。そして、上下二段積みされた各内側容器5のそれぞれには、図示しない生石灰(酸化カルシウム)を主成分(94.13%)とし、他の物質としては酸化マグネシウム(0.91%)、二酸化ケイ素(0.83%)、酸化第二鉄(0.07%)、酸化アルミニウム(0.18%)、三酸化硫黄(0.02%)等が含まれてなり、また、上記処理剤支持体5bにより支持され脱落しない程度の大きさとされた粒状(親指程度の粒径)とされた処理剤が収容されている。なお、上記内側容器5の高さは、上記外側容器4を構成する各一方の棒状支持体4bの上端から上記大型枠体4aの上端までの高さの半分の高さに満たない。
【0031】
以下、上述した本実施の形態に係る排ガス処理装置1の使用方法を説明し、その後に排ガスが処理される作用やその効果に付いて順次説明する。先ず、図示しない炭化炉に接続され該炭化炉からの排ガスが流入する排気塔に対して、上記処理用筐体2が取り付けられ、上記開閉扉3が開放されている状態から説明する。このように、上記開閉扉3が開放されている状態においては、該処理用筐体2の正面において上記筐体側開口2aは開放された状態とされている。作業者は、内部に上記生石灰が収容された各内側容器5が上下二段積みにされた(3つの)外側容器4と、上記6本の角パイプ141を準備し、これらを順番に上記処理用筐体2内にセットする。すなわち、最下段となる上記外側容器4を上記4本の容器支持杆115上に載置させ、次いでこの外側容器4上に上記4本の角パイプ141を所定間隔隔てた状態で水平に並べ、その後に二段目としてこれら角パイプ141上に上記外側容器4を載置し、同じように、再度4本の角パイプ141を所定間隔隔てた状態で水平に並べ、その後に三段目(最上段目)としてこれら角パイプ141上に上記外側容器4を載置する。
【0032】
こうした作業が終了すると、次いで、上記開閉扉3を閉塞方向に操作する。このとき、この開閉扉3は、上記回動アーム37の一端が溶接された上記回動軸36と、該回動アーム37の他端が溶接された上記扉側回動軸124との双方が開閉扉3の閉方向に回動し、該開閉扉3により上記筐体側開口2aが閉塞される位置まで到達すると、上記第1ないし第4の扉ロック部材111・・・114を構成する上記各軸部111a(他の軸部の符号は省略する。)は、第1ないし第4の係合片131・・・134に形成されたU字状の切欠き部131a・・・134a近傍に到り、作業者が上記操作ハンドル111c・・・114cを揺動操作して、該各軸部をこれら第1ないし第4の係合片131・・・134内に挿入し、該操作ハンドル111c・・・114cを正回転操作させる。こうした操作により、やがて上記一方のフランジ部111e(他のフランジ部の符号は省略する。)の一部は上記開閉扉3に当接し、更に該操作ハンドル111c・・・114cを正回転操作すると、上記各弾性材(コイルスプリング)111d(他のコイルスプリングの符号は省略する。)は徐々に圧縮され、所定位置まで該操作ハンドル111c・・・114cを正回転操作させることにより、図3又は図6に示すように、上記筐体側開口2aは該開閉扉3により完全に閉塞される。
【0033】
こうした開閉扉3により閉塞操作が完了し、その後上記炭化炉(熱分解炉)が運転され、この炭化炉から排ガスが排気塔内に流入すると、該排ガスは上記流入ダクト116を通過して、この排ガス処理装置1(処理用筐体2)内に流入し、そして、該排ガスは上記一方の棒状支持体4b同士の間(他方の棒状支持体4cの左右両側)の空間を経て、上記一段目の外側容器4内に流入し、更にこの排ガスは上記一段目として並べられた各内側容器5を構成する網状の処理剤支持体5bを通過して上記処理剤である生石灰の表面に接触する。また、これら一段目として並べられた各内側容器5同士の間を通過した排ガスや該一段目の各内側容器5を通過した排ガスは、二段目として段積みされた各内側容器5を通過する。そして、この一段目(最下段)に配置された外側容器4を通過して上方に移動した排ガスは、更に二段目と三段目の各外側容器4内を通過して、最終的には、上記流出ダクト117及び上記他方の排気塔内をそれぞれ通過して大気に放出される。
【0034】
そして、こうしたプロセスにより上記処理剤である生石灰の表面に接触した排ガス中に汚染物質としての硫黄酸化物(SOx)が含まれている場合には、該硫黄酸化物(SOx)と生石灰との化学反応により、該生石灰の表面に無水石膏が生成され、これが石灰の表面に付着・吸着される。また、上記汚染物質に含まれたフッ素は、該生石灰との化学反応により、フッ化カルシウムが生成されて石灰に吸着される。また、上述した排ガス処理が所定時間経過した場合、すなわち、それ以上上記処理剤である生石灰による汚染物質の化学反応や吸着の程度が飽和状態となった場合には、上記開閉ドア3を操作し、上記筐体側開口2aを開放して、上記処理剤である生石灰を掻き混ぜたり新たな処理剤と交換したりすれば良い。
【0035】
したがって、上記実施の形態に係る排ガス処理装置1によれば、排ガスに含まれた汚染物質を極めて簡易な構成で且つ広大な設置面積を必要とすることなく、さらには既設の炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更するのみで容易に排ガス処理を行うことができる。特に、この実施の形態に係る排ガス処理装置1では、上記開閉扉3が設けられていることから、より簡単に処理剤を交換等することができることから、より一層簡易に排ガスから汚染物質を処理することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 排ガス処理装置
2 処理用筐体
2a 筐体側開口
3 開閉扉
4 外側容器
4a 大型枠体
4d 把手
5 内側容器
116 流入ダクト
117 流出ダクト
141 角パイプ
【要約】
【課題】排ガスに含有された汚染物質を極めて簡易な構成で且つ広大な設置面積を必要とすることなく、また既設の工業炉の一部を変更するのみで容易に排ガス処理を行う。
【解決手段】工業炉の排気塔の中途部に取り外し可能に固定される処理用筐体2内に支持されそれぞれ下側から上側に順次段積みされ、底方向には上記排ガスが通過する通過用開口が形成され上部は開放されてなる複数の外側容器4と、これら外側容器4内に複数収容され、底方向には該外側容器の通過用開口を通過した排ガスが通過する複数の通過用小開口が形成され上部は開放されてなるとともに、内部には、排ガスに含まれた所定の汚染物質を処理する処理剤が収容された内側容器5と、を備えてなる。
【選択図】 図1
図1
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図10