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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】クレセント錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/08 20060101AFI20240111BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
E05B65/08 R
E05C3/04 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023066109
(22)【出願日】2023-04-14
【審査請求日】2023-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501433619
【氏名又は名称】中西産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】村松道浩
(72)【発明者】
【氏名】川井征彦
(72)【発明者】
【氏名】矢田和希
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-41725(JP,A)
【文献】特開2006-70560(JP,A)
【文献】実公平2-40216(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
E05C 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引違いにより開閉する障子、又は上下に開閉する障子の室内障子に取り付けるクレセント錠本体(1)と、室外障子に取り付ける受け金具からなるクレセント錠であって、クレセント錠本体(1)が、障子に取り付けるための台座(2),台座(2)に設けられる軸受(21)により回動可能に支承される軸(3)、軸(3)と一体に固定される掛金具(4)と、軸(3)及び掛金具(4)を回転させるための操作レバー(5)からなっているクレセント錠において、操作レバー(5)が軸(3)に対して少なくとも2つの固定状態で固定可能に構成されており、操作レバー(5)の一方の固定状態においてのみクレセント錠が解錠及び/又は施錠可能であるよう構成されていることを特徴とするクレセント錠。
【請求項2】
操作レバー(5)内に、クラッチ板(6)が設けられており、軸(3)に2つの係合溝(31,32)が設けられおり、クラッチ板(6)が軸(3)に設けられる係合溝に係合及び/又は離脱することによって、操作レバー(5)が軸(3)に対する2つの固定状態で固定可能であるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のクレセント錠。
【請求項3】
軸(3)に設けられる横孔(34)内を操作レバー(5)が摺動可能に構成されており、操作レバー5に第一及び第二の係合孔(51、52)が設けられており、この係合孔(51,52)と協働する固定機構(65,66,67)が設けられていることによって、操作レバー(5)が軸(3)に対して2つの固定状態で固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のクレセント錠。
【請求項4】
台座(2)内に延びた軸(3)の端部に円形及び矩形からなる略馬蹄形状に形成されたストップ片(9)が設けられており、当該ストップ片(9)の矩形部分が台座(2)内壁に干渉するよう構成されていることにより、操作レバー(5)の回転が制限されていることを特徴とする請求項1に記載のクレセント錠。
【請求項5】
台座(2)内に、ストップ片(9)の矩形部分と干渉する別のロック機構(10)が設けられており、当該ロック機構(10)が台座(2)外部から操作可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のクレセント錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引違い障子又は上げ下げ障子に使用されるクレセント錠であって、誤解錠及び誤施錠の防止、つまり外部からの侵入の防止、及び、幼児等による意図しない解錠又は施錠に起因する事故を防止する構造を有するクレセント錠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クレセント錠においては、施錠忘れや施錠操作しても確実に施錠できていない「空掛け」等の問題がある。また、障子のガラスを破壊するなどしてクレセント錠を解錠し、外部から居室等の内部に不正に侵入するなどの問題も発生している。そこでクレセント錠市場においては、これら問題の発生を防止する策が要求されていた。
【0003】
また最近では親がベランダ等、障子外部に出ている間に、幼児等によって障子に取り付けられたクレセント錠が誤って施錠され、親が居室の外に締め出されてしまう事故や、幼児が施錠状態のクレセント錠を意図せず解錠し、勝手にベランダなど居室の外部に出てしまい、ひいてはベランダから落下するなどする事故も発生している。クレセント市場においては、当該事故の防止に対する要望も出ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上述したような、クレセント錠の市場における問題点、特にクレセント錠の意図しない解錠及び施錠(誤解錠及び誤施錠)を防止する機構を有するクレセント錠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、引違いにより開閉する障子、又は上下に開閉する障子の室内障子に取り付けるクレセント錠本体と、室外障子に取り付ける受け金具からなるクレセント錠であって、クレセント錠本体が、障子に取り付けるための台座,台座に設けられる軸受により回動可能に支承される軸、軸と一体に固定される掛金具と、軸及び掛金具を回転させるための操作レバーからなっているクレセント錠において、操作レバーが軸に対して少なくとも2つの固定状態で固定可能に構成されており、操作レバーの一方の固定状態においてのみクレセント錠が解錠及び/又は施錠可能であるよう構成されていることを特徴とするクレセント錠により解決される。
【0007】
本発明の発展型では、操作レバー内に、クラッチ板が設けられており、軸に2つの係合溝が設けられおり、クラッチ板が軸に設けられる係合溝に係合及び/又は離脱することによって、操作レバーが軸に対する2つの固定状態で固定可能であるよう構成されていることが考えられる。
【0008】
本発明のさらなる発展型では、軸に設けられる横孔内を操作レバーが摺動可能に構成されており、操作レバー5に第一及び第二の係合孔が設けられており、この係合孔と協働する固定機構が設けられていることによって、操作レバーが軸に対して2つの固定状態で固定可能に構成されていることも可能である。
【0009】
台座内に延びた軸の端部に円形及び矩形からなる略馬蹄形状に形成されたストップ片が設けられており、当該ストップ片の矩形部分が台座内壁に干渉するよう構成されていることにより、操作レバーの回転が制限されていると有利である。
【0010】
また、台座内に、ストップ片の矩形部分と干渉する別のロック機構が設けられており、当該ロック機構が台座外部から操作可能に構成されていることも考えられる。
【0011】
別の実施形においては、引違いにより開閉する障子、又は上下に開閉する障子の室内障子に取り付けるクレセント錠本体と、室外障子に取り付ける受け金具からなるクレセント錠であって、クレセント錠本体が、障子に取り付けるための台座,台座に設けられる軸受により回動可能に支承される軸、軸と一体に固定される掛金具と、軸及び掛金具を回転させるための操作レバーからなっているクレセント錠であって、
台座内に延びた軸の端部に円形及び矩形からなる略馬蹄形状に形成されたストップ片が設けられており、当該ストップ片の矩形部分が台座内壁に干渉するよう構成されていることにより、操作レバーの回転が制限されており、
台座内に、ストップ片の矩形部分と干渉する第一のロック機構が設けられており、当該ロック機構が台座の外部から操作可能に構成されているクレセント錠において、
第二のロック機構が設けられており、当該第二のロック機構によって、第一のロック機構の操作が制限されるよう構成されていることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施例にかかるクレセント錠の解錠状態の図)
図2】本発明の第一の実施例にかかるクレセント錠の施錠状態の図)
図3】本発明の第一の実施例にかかるクレセント錠の誤解錠作防止状態の図
図4】本発明の第一の実施例にかかるクレセント錠の誤施錠作防止状態の図
図5】本発明にかかる誤操作防止状態実現のための機構の図
図6】第一の実施例の変形例の図
図7】第一の実施例の別の変形例の図
図8】本発明の第二の実施例にかかるクレセント錠の解錠状態の図
図9】本発明の第二の実施例にかかるクレセント錠の施錠状態の図
図10】本発明の第二の実施例にかかるクレセント錠の誤解錠作防止状態の図
図11】本発明の第二の実施例にかかるクレセント錠の誤施錠作防止状態の図
図12】第二の実施例の変形例の図(解錠状態)
図13】第二の実施例の変形例の図(施錠状態)
図14】第二の実施例の変形例の図(誤操作防止状態)
図15】第二の実施例の別の変形例の図(解錠状態)
図16】第二の実施例の別の変形例の図(施錠状態)
図17】第二の実施例の別の変形例の図(誤操作防止状態)
図18】更なる誤操作防止機構を有する実施形の図
図19】更なる誤操作防止機構の変形例の図
図20】更なる誤操作防止機構の別の変形例の図
図21】更なる誤操作防止機構の別の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第一の実施例]
以下に本発明にかかるクレセント錠の構造を実施例に従い説明する。本発明にかかるクレセント錠には複数の実施例が存在する。図1は、本発明にかかるクレセント錠の第一の実施例を表す。図1には、居室内側障子(内障子とも称する)に取り付けるクレセント錠本体1のみが表されている。このクレセント錠本体1は、部屋外側障子(外障子とも称する)に取り付けられる受け金具との協働のもと、障子の施錠及び解錠を実現するためのものである。図1は、第一の実施例にかかるクレセント錠が解錠された状態におけるクレセント錠本体1を表している。この第一の実施例にかかるクレセント錠は、クラッチ式・スライドタイプとも称する。
【0014】
図1に見て取れるように、クレセント錠本体1は、主として台座2、軸3、及び掛金具4からなっている。台座2は、クレセント錠本体1を内障子の縦框に取り付けるための構成要素で、例えば2箇所に縦框への取付構造を有している。なお取付構造は本発明の本質的部分でないので図には図示されていない。台座2のほぼ中央には軸受21が設けられている(図2参照)。軸受21は、軸3を回動可能に支持している。軸3は掛金具4とカシメにより一体化され形成されている。一方、操作レバー5は軸3に対して回転可能な状態と回転不能な状態の2つの状態の間を切り替え可能であるよう構成されている。当該構成については後述する。図1に示される状態は操作レバー5が軸3に対して回転不能な状態である。
【0015】
図1にみてとれるように操作レバー5は、この状態においては軸3から出発して左方に延びている。図示されていないが、図1でみて軸3のちょうど上に位置する位置には、外障子に取り付けられた受け金具が存在しており、当該操作レバー5を操作し、つまり操作レバー5及び掛金具4を軸3の中心軸を中心として反時計回りに180度回転させることによって、掛金具4は受け金具と係合し、クレセント錠の施錠状態(図2)を実現することとなる。
【0016】
図2は、第1の実施例にかかるクレセント錠本体1の施錠された状態の図を示す。図1の状態と比較して、操作レバー5及び掛金具4は、軸3を中心として180度回転した状態となっている。上述した通り、この状態において掛金具4は受け金具(図示されていない)と係合しクレセント錠の施錠状態を実現している。この後、本発明にかかるクレセント錠は、図3に示すCR状態(チャイルドレジスタンス状態、誤解錠防止状態)を実現するが、図2に基づきそのための構造を説明する。
【0017】
図2に見て取れるように、操作レバー5内にはクラッチ板6が設けられている。クラッチ板6は、操作レバー5の内壁にガイドされ、操作レバー5の内部を操作レバー5の長手方向にスライド可能に設けられている。この実施形においては図2で見て、クラッチ板6に組み込まれたバネ7が設けられており、このバネ7によってクラッチ板6は、操作レバー5の長手方向に軸3に向かって常時付勢されている。バネ7を設けず、クラッチ板6に係合・離脱する位置決めバネ機能を有する別の機構を設けることも考えられる。
【0018】
操作レバー5の内部には更に、裏板8が設けられている。裏板8は、操作レバー5の内部の空間、つまりクラッチ板6を収納する空間を閉じるよう構成されている。
【0019】
クラッチ板6の軸3の側の端部には、突起部61が設けられている。一方、軸3には係合溝31が形成されている。クラッチ板6に設けられる突起部61は、この係合溝31に係脱可能に構成されている。クラッチ板6は、バネ7によって操作レバー5の長手方向において軸3にむかって常時付勢されているので、一度、突起部61が31内に係合すると、クラッチ板6・操作レバー5・軸3は一体として回転するようになり(操作レバー5が軸3に対して回転不能な状態となり)、つまり操作レバー5の回転によって軸3はともに回転させられる状態となる。
【0020】
更に、クラッチ板6にはツマミ62が設けられている。図2に見て取れるように、このツマミ62は、裏板8に設けられる孔部からわずかに突き出るよう構成されている。クレセント錠の使用者は、このツマミ62を操作し、クラッチ板6を移動させることが可能となっている。つまり、使用者はツマミ62によりクラッチ板6をバネ7による付勢力に反して、操作レバー5の長手方向に軸3から離れる方向に移動させることができ、これによってクラッチ板6に設けられる突起部61は、軸3に設けられる係合溝31から離脱することが可能となる。この結果、操作レバー5と軸3の係合状態は解除され、操作レバー5は軸3に対して回転可能な状態となる。
【0021】
図3には、本発明にかかるクレセント錠の特別な状態、つまりチャイルドレジスタンス状態(誤解錠防止状態)が表されている。図2の状態と比較して、操作レバー5の向きが異なる。図2においては操作レバー5は、図の右側に伸びていたが、図3においては操作レバー5は図の左側に延びている。
【0022】
上述した通り、本発明にかかるクレセント錠においては操作レバー5は軸3に対して回転可能な状態と回転不能な状態を切替ることが可能に構成されている。操作レバー5が軸3に対して回転不能な状態、つまり操作レバー5・軸3・掛金具4が一体となって回転する状態においてクレセント錠の施錠状態を実現した後、本発明にかかるクレセント錠において、上述したとおりツマミ62を操作し、操作レバー5を軸3(及び掛金具4)に対して回転可能な状態とすることによって、本発明にかかるクレセント錠は、図3の状態のごとく操作レバー5のみを時計回りに180度回転させることができる。
【0023】
ここで、軸3に設けられる係合溝は2箇所形成されている。これら係合溝はどちらも、クレセント錠を解錠した状態で受け金具の受け部と軸3の中心を結ぶ直線と直角をなす線上に存在する。つまり、第一の係合溝31は、クレセント錠の通常の使用状態において、クラッチ板6の突起部61が係合可能となる軸3上の位置(Cポジション)、そして第二の係合溝32は、軸3上におけるCポジションとは180度逆側の位置、つまりクレセント上の誤操作防止状態において、クラッチ板6の突起部61が係合可能となる軸3上の位置(Bポジション)に設けられている。
【0024】
このように構成されていることによって、操作レバー5を通常の使用状態から軸3に対して180度回転させると、クラッチ板6の突起部61は第二の係合溝32内に係合することとなる。
【0025】
これによってクレセント錠の誤解錠防止が実現される。図3の状態のクレセント錠を解錠するには、操作レバー5を時計回りに回転させる必要がある。しかしながら、図3の状態において、クレセント錠本体1の上方(図3における上方)には、障子が存在しているため、操作レバー5を時計周りに回転させようとすると、操作レバー5は障子に衝突・干渉するので、解錠動作に必要となる回転を実現することができない。解錠動作を行うためには、再びツマミ61を操作し、クラッチ板6の突起部61を軸3の第二の係合溝32から離脱させ、操作レバ―5を180度反時計周りに回転させ、クラッチ板6の突起部61を軸3の第一の係合溝31内に係合させる必要がある。
【0026】
なお、クラッチ板6の操作レバー5内での移動を可能とするためのツマミ62の構成は上述の構成に限られない。上述の例では裏板8に孔部を設け、ツマミ62を当該孔部から突き出す構成としたが、例えば操作レバー5の上面や側面に孔部を設け、操作レバー5の当該孔部からツマミ62が突き出るよう構成されていることも考えられる。
【0027】
[第二の誤操作防止機構]
また、図2に見てとれるように、軸3にはさらなる誤操作防止機構(第二の誤操作防止機構)が設けられていることも可能である。つまり軸3には、ストップ片9が取り付けられていることが可能である。より具体的には、軸3は台座2の軸受21内部に延びているが、軸受21の内部に突き出す端部には矩形部33が形成されており、この矩形部33には、ストップ片9が取り付けられている。つまりストップ片9には矩形孔91が設けられており、前記した軸3の矩形部33が、当該矩形孔91に嵌合しカシメ抜け止めされている。図2に見て取れるようにストップ片9は、馬蹄形状の形状(円形と矩形から構成される形状)に構成されている。ストップ片9の外形がこのように形成されることにより、軸3が解錠状態から施錠状態まで180度回転すると、ストップ片9の矩形部分(平行部分)断面が台座2の側面内壁に突き当たる構造となっているので、ストップ片9と、及びこれに接続される軸3はそれ以上回転することができないこととなる。
【0028】
[第三の誤操作防止機構]
更に、台座2の内部には、ロック機構10が設けられていることも可能である。ロック機構10は、スライドツマミ101及びロック片102から構成される。図2に見て取れるように、スライドツマミ101は、台座2の側面に沿ってスライド可能に設けられるツマミ部分として形成されている。つまり台座2の側面には、スライドツマミ101を摺動可能にガイドする孔部が設けられており、スライドツマミ101は当該孔部内を図2(および図3)の左右方向(操作レバー5の長手方向)において摺動することができるよう構成されている。これによりスライドツマミ101は、ロック位置とロック解除位置の間を往復可能となるよう構成されている。
【0029】
スライドツマミ101と一体に構成され、台座2の内部に位置するように形成されるロック片102は、スライドツマミ101と一体に摺動する、つまりロック位置とロック解除位置の間を行き来する。その際、ロック片102のストップ片9の側の面は、ストップ片9の平行部側面とロック位置(ロック状態)において接するよう構成されている。つまり、ロック機構10のロック片102には図2(および図3)に見て取れるように、例えば平面部分と局面部分が設けられており、その平面部分は、ロック位置において軸3のストップ片9の平行部側面を拘束する。これによって操作レバー5は解錠方向に回動できないこととなる。
【0030】
[締め出し防止状態]
次に図1,2,4に基づき、本発明にかかるクレセント錠の締め出し防止状態(誤施錠防止状態)について説明する。本発明にかかるクレセント錠は、上述した通り操作レバー5を、軸3及び掛金具4(これらはカシメにより一体に形成されている)に対して回転可能な状態と回転不能な状態を切り替えることが可能であるので、例えば親がベランダなどに出ている際に、幼児などによって誤ってクレセント錠が施錠され、親が締め出されてしまう事態を防止することができる。
【0031】
つまり、図1に記載の解錠状態において、図2を参照しつつ説明したクラッチ板6のツマミ62を操作し、クラッチ板6の突起部61を、溝3の第一の係合溝31から離脱させる。これにより操作レバー5は、軸3に対して回転可能な状態となるので、操作レバー5を図4の状態まで反時計方向に180度回転させる。このように操作レバー5を180度回転させると、クラッチ板6の突起部61は、軸3に設けられる第二の係合溝32内に係合し、操作レバー5は再び軸3に対して回転不能な状態となる。この状態において、クレセント錠を操作し、施錠状態にしようとしても操作レバーは障子に衝突し、施錠状態を実現するための回転動作を実施することができない。このようにして本発明にかかるクレセント錠の締め出し防止状態は実現される。
【0032】
締め出し防止状態の解除は、再度クラッチ板6のツマミ62を操作し、突起部61を第二の係合溝32が離脱させることによって操作レバー5を軸3に対して回転可能な状態とし、操作レバー5をもとの位置まで180度逆回転させることによって行う。180度回転したのち、突起部61は再び第一の係合溝31内に係合し、操作レバー5・軸3・掛金具4は回転不能な状態となるので、通常のクレセント錠と同様、施錠動作を実現することができることとなる。
【0033】
[スペーサーリング]
次に図5に基づいて、本発明にかかるクレセント錠における誤操作防止状態を実現するためのさらなる別の機構を説明する。本発明にかかるクレセント錠本体1における操作レバー5と掛金具4は、図1―4などに示した位置関係においては、たとえクラッチ板6を操作し操作レバー5を軸3に対して回転可能な状態にしたとしても、操作レバー5が掛金具4と干渉して回転動作を実現することができない。そこで本発明にかかるクレセント錠のさらなる実施形においては、図5(イ)に示すように、操作レバー5と台座2の間に、スペーサーリング54を設け、操作レバー5が掛金具4と干渉することなく回転可能となるよう構成することが可能である。スペーサーリング54は内径・外形同心に構成し、その上面・下面は平行かつ内径面・外形面に直角に構成する。スペーサーリング54と軸3の嵌合は滑合でもよいが、軽圧入又は圧入が好ましい。このように構成することにより、操作レバー5を掛金具4と干渉することなく自由に回転させることが可能となる。
【0034】
また、図5(ロ)に示すように、スペーサーリング54に加えて操作レバー5の側面に逃げ溝55を設けることも考えられる。当該逃げ溝の位置及び寸法は、掛金具4が存在する位置及びその寸法に応じて決定される。これにより、より高さの低いスペーサーリング54を使用することが可能となり、または、スペーサーリングを使用しないということも可能となる。
【0035】
[第一の実施例の変形例]
次に図6を参照しつつ、本発明にかかる第一の実施例(クラッチ式・スライドタイプ)の変形例(クラッチ式・ボタンタイプ)を説明する。図6に示すこの変形例においては、図2に示す第一の実施例と、クラッチ板6の移動方式・移動機構のみが異なっている。つまり、この変形例においては、操作レバー5内に設けられるクラッチ板6を移動させるための手段として、押圧ボタン63が存在している。クラッチ板6の押圧ボタン63に対応する位置には、傾斜切り欠き64が設けられている。傾斜切り欠き64は、図6に示すように、操作レバー5内壁から裏板8にむかって傾斜して設けられており、押圧ボタン63を操作レバー5に向かって押すことによって、クラッチ板6を図6の右方に移動させることができるよう構成されている。これによって、クラッチ板6の突起部61は、図2に記載の第一の実施例と同様、係合溝31から離脱することとなり、第一の実施例においてと同様、操作レバー5が軸3に対して回転可能な状態となる。これによって、第一の実施例の当該変形例は、第一の実施例と同様の誤操作防止機能(誤解錠防止機能、締め出し防止機能)を実現することが可能となる。
【0036】
続いて、図7に基づいて第一の実施例(クラッチ式・スライドタイプ)の別の変形例(回転タイプ)を説明する。この変形例は、図2に記載の第一の実施例に対して、誤解錠防止状態・誤施錠防止状態を実現するための機構・方式が異なっている。つまり図2の第一の実施例においては、操作レバー5は、軸3の回転軸を中心軸として回転可能に構成されていたが、図7の変形例においては、軸3の回転軸に直交する方向に第二の回転軸が設けられ、この回転軸を中心として操作レバー5が回転可能に構成されている。操作レバー5を回転可能な状態、回転不能な状態とするための機構(クラッチ板6,突起部61,係合溝31)は、基本的に図2の第一の実施例における機構と同様である。この変形例も、第一の実施例と同様の誤操作防止機能(誤解錠防止機能、締め出し防止機能)を実現することが可能である。
【0037】
[第二の実施例]
続いて、図8に基づいて本発明にかかるクレセント錠の第二の実施例を説明する。すなわち、図8には、いわゆるスライド式の本発明にかかるクレセント錠が表されている。図1の第一の実施例同様、図8においても、部屋内側障子(内障子)に取り付けるクレセント錠本体1のみが表されている。このクレセント錠本体1は、部屋外側障子(外障子とも称する)に取り付けられる受け金具(図示されていない)との協働のもと、障子の施解錠を実現するためのものである。
【0038】
このクレセント錠本体1は、図1における第一の実施例にかかるクレセント錠本体1と同様に、主として台座2、軸3、及び掛金具4からなっている。台座2は、クレセント錠本体1を内障子の縦框に取り付けるための構成要素で、例えば2箇所に縦框への取付構造を有している。取付構造は本発明の本質的部分でないので図には図示されていない。台座2のほぼ中央には軸受21が設けられている(図9参照)。軸受21は、軸3を回動可能に支持している。軸3は掛金具4とカシメにより一体化され形成されている。
【0039】
軸3には、貫通する横孔34が設けられている(図9参照)。この横孔34により形成されるトンネル部内に、操作レバー5の一方の端部(図8で見て右側の端部)が挿入されている。操作レバー5は、図8のこの状態においては軸3から出発して左方に延びている。図示されていないが、図でみて軸3のちょうど上に位置する位置には、外障子に取り付けられた受け金具が存在しており、当該操作レバー5を操作し、操作レバー5及び掛金具4を軸3の中心軸を中心として反時計回りに180度回転させることによって、掛金具4は当該受け金具と係合し、クレセント錠の施錠状態(図9)を実現することとなる。
【0040】
図9は、第二の実施例にかかるクレセント錠本体1の施錠された状態の図を示す。図8の状態と比較して、操作レバー5及び掛金具4は、軸3を中心として180度回転した状態(反時計回りに180度回転した後の状態)となっている。上述した通り、この状態において掛金具4は受け金具(図示せず)と係合しクレセント錠の施錠状態を実現している。この後、本発明にかかるクレセント錠は、図10に示すCR状態(チャイルドレジスタンス状態、誤解錠防止状態)を実現するが、まずは図9に基づきそのための構造を説明する。
【0041】
図9に見て取れるように、軸3には下孔35が設けられている。この下孔35は、軸3の中心に回転軸(中心軸)の方向に延びており、横孔34まで貫通している。下孔35の内面には、雌ねじが形成されており、セットねじ65(雄ねじ)をねじ込むことが可能であるよう構成されている。
【0042】
図9にみてとれるように、操作レバー5の一方の端部は、軸3に設けられる横孔34内に挿入可能であるよう構成されており、この図の例においては、たとえば一方の端部が他方の端部より断面視で薄く形成されている。操作レバー5の、軸3内に挿入される位置には第一の係合孔51が形成されている。図10にみてとれるように、この係合孔51内にセットねじ65の突起部が係合することができる。
【0043】
第二の実施例においては、セットねじ65を軸3から取り外すことによって、またはゆるめることによって、操作レバー5が軸3内をスライドさせることができる。図9の状態から操作レバー5を図9の左側にスライドさせることにより、操作レバー5は図10の位置へと移動可能である。図10のこの位置においては、操作レバー5に設けられる第二の係合孔52が、ちょうど下孔35の位置に位置しており、この状態でセットねじ65をねじ込むことにより操作レバー5が軸3に固定され、図11の状態となりチャイルドレジスタンス状態(誤解錠防止状態)を実現する。この状態において、操作レバー5を操作しクレセント錠を解錠しようとしても(操作レバー5を時計回りに180度回転させようとしても)、操作レバー5が障子に衝突・干渉するため解錠することができない。
【0044】
上述の説明では、クレセント錠の施錠状態(図9の状態)において、セットねじ65を軸3から取り外し、又はゆるめ、操作レバー5を軸3内へとスライドさせ、チャイルドレジスタンス状態(誤解錠防止状態)を実現した。第二の実施例にかかるクレセント錠においては、クレセント錠の解錠状態(図8の状態)において、セットねじ65を取り外し、操作レバー5を軸3内へとスライドさせることも可能である。この場合、クレセント錠は図11の状態となり、いわゆる締め出し防止状態(誤施錠防止状態)が実現される。この状態で、例えば幼児などが操作レバー5を操作し、クレセント錠を施錠しようとしても、操作レバー5は障子に衝突・干渉するため施錠することはできない。
【0045】
図10に見て取れるように操作レバー5の先端部(左側の端部)には、抜け止め53が設けられている。軸3には、この抜け止めの形状に適合する形状の係合溝が形成されており、操作レバー5による軸3の回動の伝達部として機能する。
【0046】
セットねじ6のねじ込み・ねじ戻しは、セットねじ6の上面に突出部を設け、軸3よりセットねじ6が突出するよう構成し、この突出部の外形を指で摘んで操作するよう構成されていることが可能である。またセットねじ6の操作(ねじ回し)のために、セットねじ6の上面を特殊レンチやコインで操作できるよう構成することも考えられる。
【0047】
なお、第一の実施例において説明したストップ片9およびロック機構10などの機構(第二、及び第三の誤操作防止機構)は、第二の実施例においても設けられていることが可能である。
【0048】
[第二の実施例の変形例]
次に図12図14に基づいて第二の実施例の変形例について説明する。図12―14の変形例においては、軸3には、図8―10の実施例において設けられていたようなセットねじ65による機構が設けられず、そのかわりに押し釦による機構(押し釦機構66)が設けられている。この押し釦機構66は、ばね661、係合突起部662、係合突起ホルダー663、押し釦部664、蓋部665からなっている。
【0049】
係合突起部662は係合突起ホルダー663とともに、特に図12の断面視の図に見て取れるように、軸3内に設けられた空孔部内において、ばね661によって図12の下方から上方に向かって常時付勢されている。係合突起ホルダー663の下面部には係合突起部662が貫通可能な孔が設けられており、係合突起部662はこの孔を貫通し、空孔部の底面に向かって延びている。係合突起部662の係合突起ホルダー663よりも下側に突き出した部分(突き出し部分)の外径とばね661の内径は適宜調整されており、ばねの内径によって係合突起部662の突き出し部分がちょうどガイドされるよう構成されている。係合突起ホルダー663は、図12の断面視の図に見て取れるように、操作レバー5を覆うようにU字形状に構成されている。軸3の空孔部の上部は、蓋部665によって閉じられている。蓋部665には、押し釦部664のための孔が設けられており、この孔から押し釦部664が突き出している。この変形例においては、操作レバー5の下面に係合孔51が設けられている。係合溝は、第一の実施例と同様、操作レバー5に二箇所設けられている。
【0050】
続いて、この変形例の動作について説明する。押し釦部664を押すと、押し釦部664、係合突起ホルダー663、係合突起部662は、ばね661による付勢力に抗するように図の下方に向かって移動する。係合突起部662が、操作レバー5の係合孔51から離脱すると、操作レバー5はスライド可能となるので、図の左側に向かってスライドさせることが可能となる。操作レバー5に設けられる第二の係合孔52がちょうど係合突起部662のところまでくるよう操作レバー5をスライドさせると、係合突起部662はばね661による付勢力にしたがい第二の係合孔52内へと係合し、操作レバー5のスライドは終了する。この位置において、図14に示すようなチャイルドレジスタンス状態(誤解錠防止状態)が実現される。図示していないが、第二の実施例の変形例にかかるクレセント錠を解錠状態において押し釦部・操作レバー5を操作し、第二の係合孔52に係合突起部662が係合する状態とすることで、他の実施例・変形例で説明したような締め出し防止状態(誤施錠防止状態)も実現されることが可能である。
【0051】
[第二の実施例の別の変形例]
続いて第二の実施例にかかるクレセント錠の別の変形例について、図15に基づいて説明する。この変形例は、第二の実施例及び上述した変形例のようにセットねじ機構65、押し釦機構66が設けられておらず、かわりに引き釦機構67が設けられている。この引き釦機構は、ばね671、係合突起部672、蓋部673からなっている。
【0052】
図15に見て取れるように、この変形例においても軸3内には空孔部が設けられている。空孔部内には、係合突起部672とばね671が収容されている。ばねの内径と係合突起部672の軸部の外径は適宜調整されており、ばねの内径部により係合突起部672の軸部がガイドされるよう構成されている。ばね671は係合突起部672を常時下に向かって付勢するよう構成されている。蓋部673には孔が設けられており、この孔から係合突起部672の軸部が突出している。軸3には、これまでの実施例・変形例と同様、横孔34が設けられており、この横孔34内に操作レバー5が挿入されている。操作レバー5の上面には係合溝が2つ設けられており、図15の状態では、第一の係合孔51内に係合突起部672の係合部が係合している。
【0053】
係合突起部672の軸部は、蓋部673から上方に突き出しており、これを指でつまむことができる。軸部を指で摘んで上方向に引っ張ると、軸部とともに係合突起部672がばね力に抗して、図の上方に向かって移動し、係合突起部672は係合孔51から離脱する。これによって、操作レバー5は、軸3内をスライド可能となる。その後、操作レバー5を図において左側に向かってスライドさせると、係合突起部が第二の係合孔52と重なる位置まで来た時点で、係合突起部672は第二の係合孔52内に係合し、図17に示されるチャイルドレジスタンス状態(誤解錠防止状態)が実現されることとなる。
【0054】
この変形例においても、これまで説明した実施例・変形例と同様、クレセント錠の解錠状態にて引き釦機構67を操作し、操作レバー5をスライドさせ、係合突起部672を第二の係合孔52と係合する状態とすることで、締め出し防止状態(誤施錠防止状態)を実現することが可能である。
【0055】
この変形例においても、第二および第三の誤操作防止機構が設けられていることが可能である
【0056】
本発明にかかるクレセント錠においては、図18に見て取れるように、更に別の誤操作防止機構が設けられていることが可能である。つまり本発明にかかるクレセント錠には上述した(第一の)ロック機構10に加えて、第二のロック機構11が設けられていることが考えられる。この第二のロック機構11は、上述した第一のロック機構10のスライドを拘束するよう設けられている。図18に見て取れるように、第二のロック機構11はスライドツマミ111、固定機構112、及びバネ機構113からなっている。
【0057】
この実施形においては、第二のロック機構11は第一のロック機構10と同様、台座2の側面に設けられる孔部に沿ってスライド可能に設けられている。固定機構112には、第一のロック機構10の方に延びる固定部分が設けられている。また、固定機構112はバネ機構113と接続されている。固定機構112はこのバネ機構113によって、ロック状態においてはロック方向に、そしてロック解除状態においてはロック解除方向に付勢されている。
【0058】
使用者がスライドツマミ111を操作し、第二のロック機構11をバネ機構113の付勢力に抗して図の左側に向かってスライドさせると、固定機構112の固定部分は第一のロック機構10のロック片102に付勢された状態で当接するに至り、これによって第一のロック機構10は、もはやロック解除位置に移動することができなくなる。これによって本発明にかかるクレセント錠のさらなる誤操作防止(誤解錠防止、誤施錠防止)が実現される。
【0059】
誤操作防止機構は、図19のような態様で設けられていることも可能である。この図の実施形においても、第二のロック機構11が設けられており、この第二のロック機構11が、第一のロック機構10のスライドを拘束する機能を有する点、図18の実施形と同様である。図19の実施形は、図18の実施形に対して、第二のロック機構11の構成・動作が異なる。すなわち、図19における第二のロック機構11は、図19の上下方向、つまり台座2の側面に対して直交する方向にスライド可能に設けられている。つまり台座2には孔部が、第二のロック機構11には軸部114が設けられており、第二のロック機構11の軸部114が台座2の孔部内をスライドする。軸部114の先端(台座2内の端部)には固定部分115が設けられている。軸部114の長さ、及び固定部分115の位置は、第二のロック機構11を図19の上に向かってスライドさせた位置、つまり固定部分115が台座2の側面の内壁面に近づくようスライドさせた位置において、固定部分115が第一のロック機構10のロック片102に当接し、そのスライドを拘束するよう調整されており、かつ、第二のロック機構11を図19の下に向かってスライドさせた位置、つまり固定部分115が台座2の側面から離れるようスライドさせた位置において、固定部分115が第一のロック機構10のロック片102のスライド動作と干渉しないよう調整されている。
【0060】
更に、誤操作防止機構は、図20のような態様で設けられていることも可能である。この図の実施形においても、第二のロック機構が設けられており、この第二のロック機構11が、第一のロック機構10のスライドを拘束する機能を有する点、図18及び図19の実施形と同様である。図20の実施形は、図18及び図19の実施形に対して第二のロック機構11の構成・動作が異なる。すなわち、図20における第二のロック機構11は、台座2の側面に直交する軸を中心として回転可能に設けられている。このため図20における第二のロック機構11は、回転操作ツマミ116、回転軸117、固定部分118を有している。回転軸117は、台座2に設けられた孔部を貫通しており、台座2の外側に位置する回転操作ツマミ116を回転させることによって回転させることが可能である。
【0061】
回転軸117の端部(台座2内の端部)には、固定部分118が設けられている。固定部分118は、回転軸117とともに回転するよう構成されている。固定部分117は、回転軸117及び固定部分118の一方の回転位置において、第一のロック機構10のロック片102と当接することによって、そのスライドを拘束し、他方の回転位置において、第一のロック機構10のロック片102との当接が解除され、そのスライドを拘束しないよう構成されている。つまり使用者は、第二のロック機構11の回転操作ツマミ116を回転操作することによって、第一のロック機構10のスライドを自由に拘束・解除できるので、これによって誤操作防止が実現される。
【0062】
誤操作防止機構は、図21のような態様で設けられていることも可能である。この図の実施形においては、クレセント錠に、トリガーとよばれる構成要素が設けられている。このトリガーは、当該トリガーにクレセント受け(受け金具)が当接しているときのみ、操作レバーの回転を許容するよう構成されている。そのようなトリガーの構成としては、図21の左図のようにトリガーが軸を中心として操作レバーと反対側に設けられている態様、または図21の右図のようにトリガーが台座に設けられ、台座内で軸と一体に設けられるストップ片の回転を制限する態様が考えられる。
【符号の説明】
【0063】
1 クレセント錠本体
2 台座
3 軸
4 掛金具
5 操作レバー
6 クラッチ板
7 ばね
8 裏板
9 ストップ片
10 第一のロック機構
11 第二のロック機構
【要約】      (修正有)
【課題】クレセント錠の意図しない解錠及び施錠(誤解錠及び誤施錠)を防止する機構を有するクレセント錠を提供すること。
【解決手段】課題は、引違いにより開閉する障子、又は上下に開閉する障子の室内障子に取り付けるクレセント錠本体1と、室外障子に取り付ける受け金具からなるクレセント錠であって、クレセント錠本体1が、障子に取り付けるための台座2,台座2に設けられる軸受により回動可能に支承される軸3、軸3と一体に固定される掛金具4と、軸3及び掛金具4を回転させるための操作レバー5からなっているクレセント錠において、操作レバー5が軸3に対して少なくとも2つの固定状態で固定可能に構成されており、操作レバー5の一方の固定状態においてのみクレセント錠が解錠及び/又は施錠可能であるよう構成されていることにより解決される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21