IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社新川の特許一覧

特許7417340実装装置及び実装装置における平行度検出方法
<>
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図1
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図2
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図3
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図4
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図5
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図6
  • 特許-実装装置及び実装装置における平行度検出方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】実装装置及び実装装置における平行度検出方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240111BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H05K13/08 Z
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023500479
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2021006551
(87)【国際公開番号】W WO2022176183
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 勇一郎
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-232798(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024364(WO,A1)
【文献】特開2014-017328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H01L 21/52
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被実装体に半導体チップを実装する実装装置における平行度検出方法であって、
前記被実装体が載置される載置面を含むステージと、前記ステージの前記載置面に対向する保持面で前記半導体チップを吸引保持するとともに前記ステージの前記載置面に接離するZ方向に移動する実装ヘッドと、前記実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、を備える前記実装装置を準備する準備工程と、
前記ステージの前記載置面の一の測定位置に所定高さの測定ツールを配置し、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面が前記測定ツールの上端に接した際の前記実装ヘッドの高さを前記エンコーダで検出した後、前記測定ツールを前記載置面の他の測定位置に移動する動作を複数の測定位置で繰り返して実行し、複数の測定位置において、前記保持面が前記測定ツールの前記上端に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記高さを検出する高さ検出工程と、
検出した複数の前記高さに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との平行度を算出する平行度算出工程と、
を含むことを特徴とする平行度検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の平行度検出方法であって、
複数の測定位置は、前記載置面の面内で前記保持面に対向する範囲内にあり、
前記平行度算出工程は、複数の測定位置における複数の前記高さの差を算出し、前記差の絶対値として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の平行度検出方法であって、
複数の測定位置は、X方向に並んだ一対の位置とY方向に並んだ他の一対の位置とであり、
前記平行度算出工程は、
X方向に並んだ前記一対の位置における一対の前記高さの差の絶対値としてX方向平行度を算出し、
Y方向に並んだ前記他の一対の位置における他の一対の前記高さの差の絶対値としてY方向平行度を算出し、
前記X方向平行度と前記Y方向平行度との和として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の平行度検出方法であって、
複数の測定位置は、X方向とY方向とに格子状に配置された4つの位置であり、
前記平行度算出工程は、
X方向に並んだ第1組の一対の位置における一対の前記高さの第1組X差と、X方向に並んだ第2組の一対の位置における一対の前記高さの第2組X差とを算出し、
前記第1組X差と前記第2組X差との平均値をX差として算出し、
前記X差の絶対値としてX方向平行度を算出し、
Y方向に並んだ第3組の一対の位置における一対の前記高さの第3組Y差と、Y方向に並んだ第4組の一対の位置における一対の前記高さの第4組Y差とを算出し、
前記第3組Y差と前記第4組Y差との平均値をY差として算出し、
前記Y差の絶対値としてY方向平行度を算出し、
前記X方向平行度と前記Y方向平行度との和として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の平行度検出方法であって、
前記保持面は四角面であり、
複数の測定位置は、前記保持面の四隅に対応する位置であること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項6】
被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、
前記被実装体が載置される載置面を含むステージと、
前記ステージの前記載置面に対向する保持面で前記半導体チップを吸引保持するとともに、前記ステージの前記載置面に接離するZ方向に移動する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、
前記ステージの前記載置面に配置される所定高さの測定ツールと、
前記測定ツールを前記載置面の面内で移動させるアクチュエータと、
前記実装ヘッドの移動と前記測定ツールの移動とを調整すると共に、前記エンコーダで検出した前記実装ヘッドの高さに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との平行度を算出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記アクチュエータによって前記ステージの前記載置面の一の測定位置に前記測定ツールを配置し、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面が前記測定ツールの上端に接した際の前記実装ヘッドの高さを前記エンコーダで検出した後、前記アクチュエータによって前記測定ツールを前記載置面の他の測定位置に移動する動作を複数の測定位置で繰り返して実行し、複数の測定位置において、前記保持面が前記測定ツールの前記上端に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記高さを検出し、
検出した複数の前記高さに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との前記平行度を算出すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項7】
請求項6に記載の実装装置であって、
複数の測定位置は、前記載置面の面内で前記保持面に対向する範囲内にあり、
前記制御部は、
複数の測定位置における複数の前記高さの差を算出し、前記差の絶対値として前記平行度を算出すること、
を特徴とする実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等の被実装体に半導体チップを実装する実装装置の構造及び、実装装置のステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装ヘッドの先端の保持面に半導体チップを吸引保持した状態で実装ヘッドを駆動し、ステージの載置面の上に吸着保持された基板に半導体チップを実装する実装装置が広く知られている。このような実装装置においては、半導体チップを基板の表面に良好に接合するために、ステージの載置面と実装ヘッドの半導体チップを保持する保持面とが高い精度で平行になっていることが求められる。
【0003】
このため、実装ヘッドに取付けられたボンディングツールの吸着面とステージの載置面の傾きを検出する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、ステージの載置面に接触ピンを埋設し、ステージを移動しながら埋設ピンの上端にボンディングツールの吸着面を接触させ、その際の高さを求める動作を吸着面の複数の位置で行い、ステージの載置面とボンディングツールの吸着面との傾きを求める方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-17328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、ステージの移動方向とボンディングツールの吸着面との平行度を測定しているにすぎず、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を正確に検出することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との実際の平行度を正確に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の平行度検出方法は、被実装体に半導体チップを実装する実装装置における平行度検出方法であって、被実装体が載置される載置面を含むステージと、ステージの載置面に対向する保持面で半導体チップを吸引保持するとともにステージの載置面に接離するZ方向に移動する実装ヘッドと、実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、を備える実装装置を準備する準備工程と、ステージの載置面の一の測定位置に所定高さの測定ツールを配置し、実装ヘッドを下降させて保持面が測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの高さをエンコーダで検出した後、測定ツールを載置面の他の測定位置に移動する動作を複数の測定位置で繰り返して実行し、複数の測定位置において、保持面が測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの複数の高さを検出する高さ検出工程と、検出した複数の高さに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出する平行度算出工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
これにより、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との実際の平行度を正確に検出することができる。
【0009】
本発明の平行度検出方法において、複数の測定位置は、載置面の面内で保持面に対向する範囲内にあり、平行度算出工程は、複数の測定位置における複数の高さの差を算出し、差の絶対値として平行度を算出してもよい。
【0010】
これにより、簡便な方法でステージの載置面と実装ヘッドの保持面との実際の平行度を正確に検出することができる。
【0011】
本発明の平行度検出方法において、複数の測定位置は、X方向に並んだ一対の位置とY方向に並んだ他の一対の位置とであり、平行度算出工程は、X方向に並んだ一対の位置における一対の高さの差の絶対値としてX方向平行度を算出し、Y方向に並んだ他の一対の位置における他の一対の高さの差の絶対値としてY方向平行度を算出し、X方向平行度とY方向平行度との和として平行度を算出してもよい。
【0012】
また、本発明の平行度検出方法において、複数の測定位置は、X方向とY方向とに格子状に配置された4つの位置であり、平行度算出工程は、X方向に並んだ第1組の一対の位置における一対の高さの第1組X差と、X方向に並んだ第2組の一対の位置における一対の高さの第2組X差とを算出し、第1組X差と第2組X差との平均値をX差として算出し、X差の絶対値としてX方向平行度を算出し、Y方向に並んだ第3組の一対の位置における一対の高さの第3組Y差と、Y方向に並んだ第4組の一対の位置における一対の高さの第4組Y差とを算出し、第3組Y差と第4組Y差との平均値をY差として算出し、Y差の絶対値としてY方向平行度を算出し、X方向平行度とY方向平行度との和として平行度を算出してもよい。この際、保持面は四角面であり、複数の測定位置は、保持面の四隅に対応する位置でもよい。
【0013】
これにより、X方向の傾斜とY方向の傾斜とを考慮した平行度を検出することができる。
【0014】
本発明の実装装置は、被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、被実装体が載置される載置面を含むステージと、ステージの載置面に対向する保持面で半導体チップを吸引保持するとともに、ステージの載置面に接離するZ方向に移動する実装ヘッドと、実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、ステージの載置面に配置される所定高さの測定ツールと、測定ツールを載置面の面内で移動させるアクチュエータと、実装ヘッドの移動と測定ツールの移動とを調整すると共に、エンコーダで検出した実装ヘッドの高さに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出する制御部と、を備え、制御部は、アクチュエータによってステージの載置面の一の測定位置に測定ツールを配置し、実装ヘッドを下降させて保持面が測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの高さをエンコーダで検出した後、アクチュエータによって測定ツールを載置面の他の測定位置に移動する動作を複数の測定位置で繰り返して実行し、複数の測定位置において、保持面が測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの複数の高さを検出し、検出した複数の高さに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出すること、を特徴とする。
【0015】
本発明の実装装置において、複数の測定位置は、載置面の面内で保持面に対向する範囲内にあり、制御部は、複数の測定位置における複数の高さの差を算出し、差の絶対値として平行度を算出してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との実際の平行度を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の平行度検出方法の実行に用いられる実装装置の構成図である。
図2図1における実装装置において、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出を実行する際の高さ検出工程を示す説明図である。
図3図2に示す高さ検出工程の拡大模式図である。
図4図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出の際に、格子状に配置された4つの測定位置での高さ検出工程を示す説明図である。
図5図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出の際に、X方向とY方向とに十字状に配置された4つの測定位置での高さ検出工程を示す説明図である。
図6】実施形態の実装装置の構成図である。
図7】ベースの上に三角ピンの底面を固定した三角ピン組立体45を用いて三角ピンを所定の位置に設定する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、実装装置100を用いてステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度の検出を行う方法について説明する。
【0019】
最初に実装装置100について説明する。図1に示すように、実装装置100は、ステージ10と、実装ヘッド20と、エンコーダ25と、制御部30とを備え、基板14に半導体チップ15を実装する装置である。以下の説明では、ステージ10の載置面12に沿った1つの方向をX方向、載置面12に沿ってX方向と直角方向をY方向、載置面12に接離する方向をZ方向又は上下方向として説明する。
【0020】
ステージ10は、上側の面に被実装体である基板14が載置される載置面12を備えている。半導体チップ15を基板14の上に実装する場合には、基板14は載置面12の上に真空吸着されるとともに、内部に取付けられたヒータ(図示せず)によって加熱される。
【0021】
実装ヘッド20は、本体21と、実装ツール22と、移動機構24とで構成されている。本体21は移動機構24によってXYZ方向に移動可能である。移動機構24は、本体21をXYZ方向に移動可能に構成されていれば特に構造は特定されないが、一例を示すと、Y方向に移動可能なガントリーフレームと、ガントリーフレームに取付けられてX方向に移動するスライダと、スライダに取付けられて本体21をZ方向に移動するZ方向モータとで構成されていてもよい。実装ツール22は、本体21の下端に取付けられてステージ10の載置面12に対向する保持面23で半導体チップ15を吸引保持する。実装ヘッド20は、実装ツール22の保持面23に吸引保持した半導体チップ15を図示しないヒータで加熱するとともに基板14に押圧することにより、半導体チップ15を基板14に実装する。
【0022】
エンコーダ25は、実装ヘッド20の高さを検出する。エンコーダ25は、実装ヘッド20の色々な部分の高さを検出するように設定可能であるが、実施形態の実装装置100では、基準面19からの実装ツール22の高さHを検出するとして説明する。基準面19は、実装装置100に設定されている仮想面である。
【0023】
制御部30は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU31と、プログラムやプログラムを実行するためのデータを格納するメモリ32とを備えるコンピュータである。移動機構24は制御部30に接続されて制御部30の指令によって実装ヘッド20の本体21をXYZ方向に移動する。また、エンコーダ25は、検出した高さHを制御部30に入力する。制御部30のCPU31は、エンコーダ25から入力された高さHのデータを処理してステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度の算出を行う。
【0024】
以下、図2図3を参照しながら実装装置100におけるステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度検出方法について説明する。以下の説明では、X方向の座標位置が異なる載置面12の上の点Aと点Bの2点で高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合について説明する。ここで、点AのXY座標は(x1,y1)であり、点BのXY座標は(x2,y1)である。また、点Aと点BとのX方向の距離(x1-x2)は、実装ツール22のX方向の幅よりも短い。従って、点A、点Bは、載置面12の面内で実装ツール22の保持面23に対向する範囲内に位置している。また、点AのXY座標(x1,y1)と点BのXY座標(x2,y1)は2つの測定位置である。尚、図2図3では、一点鎖線43a,43bは、それぞれ点A、点Bを通ってZ方向に延びる線である。
【0025】
最初に高さ検出工程について説明する。図2に示す様に、ステージ10の載置面12の上の点Aの上に測定ツールである三角ピン41の中心が位置するように三角ピン41を配置する。三角ピン41の配置は、例えば、載置面12に三角ピン41の位置を規定する位置決め部品50を真空吸着させ、三角ピン41の側面を位置決め部品50に押し当ててもよい。
【0026】
三角ピン41は先端42がとがった錐体であり、図2に示す様に、三角ピン41の底面が載置面12に載置されると尖った先端42が測定ツールの上端となる。本実施形態では、測定ツールは先端42が尖った錐体として説明するが、先端42が尖っていればどのような形状でもよい。
【0027】
制御部30のCPU31は、実装ツール22の保持面23の高さが三角ピン41の先端42よりも高い移動高さで移動機構24により実装ヘッド20をXY方向に移動させ、実装ツール22のX方向マイナス側の端部が点AのXY座標(x1,y1)となるように実装ヘッド20のXY方向の位置を設定する。
【0028】
次に、図3に実線で示すように、制御部30のCPU31は移動機構24により実装ヘッド20を下降させ、実装ツール22の保持面23を三角ピン41の先端42に当接させる。この際、三角ピン41の先端42は、点Aを通ってZ方向に延びる一点鎖線43aと保持面23との交点である保持面23のX方向マイナス側の端部の点23aに接する。そして、制御部30のCPU31は、三角ピン41の先端42が保持面23に接した際に、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Aの高さHAとして取得する。
【0029】
保持面23が三角ピン41の先端42に当接したことの検出は、いろいろな方法で検出できるが、例えば、CPU31が移動機構24に出力する高さ指令値とエンコーダ25の検出した高さHとに所定の差が発生した場合に接触を検出してもよいし、移動機構24に実装ヘッド20を下降させる指令を出力してもエンコーダ25から入力される検出高さが変化しないことで検出してもよい。また、本体21に実装ツール22に加わるZ方向の荷重を検出する荷重センサ(図示せず)を取付けておき、荷重センサの検出したZ方向荷重が所定の閾値以上となった際に当接を検出するようにしてもよい。
【0030】
次に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20を上昇させた後、実装ヘッド20を上昇位置で待機させる。そして、図2図3中に破線で示す様に、三角ピン41の中心位置が載置面12の点Bの位置となるように三角ピン41をX方向に移動させる。そして、図3に破線で示すように、移動機構24により実装ヘッド20を下降させ、実装ヘッド20の保持面23を三角ピン41の先端42に当接させる。この際、三角ピン41の先端42は、点Bを通ってZ方向に延びる一点鎖線43bと保持面23との交点である保持面23のX方向プラス側の端部の点23bに接する。そして、制御部30のCPU31は、三角ピン41の先端42が保持面23に接した際に、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Bの高さHBとして取得する。
【0031】
制御部30のCPU31は、高さHA、高さHBを取得したら、高さ検出工程を終了して、平行度算出工程を開始する。
【0032】
制御部30のCPU31は、点Aの高さHAと点Bの高さHBとの差ΔHを算出する。
ΔH=HA-HB --------- (式1)
【0033】
そして、制御部30のCPU31は、差ΔHの絶対値として平行度を算出する。
平行度=|ΔHA-ΔHB| ---- (式2)
【0034】
制御部30のCPU31は、平行度を算出したら、平行度算出工程を終了する。
【0035】
以上説明したように、実施形態の平行度検出方法は、載置面12の上の複数の測定位置において、三角ピン41の先端42が保持面23に接する際の実装ヘッド20の高さHを検出するという簡便な方法でステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との実際の平行度を正確に検出することができる。
【0036】
以上の説明では、X方向の座標位置が異なる載置面12の上の点Aと点Bの2点で高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合について説明したが、次に、図4を参照しながらX方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で高さを検出して載置面12と四角面である保持面23との平行度を検出する場合について説明する。点AのXY座標は(x1,y1)、点BのXY座標は(x2,y1)、点CのXY座標は(x1,y2)、点DのXY座標は(x2,y2)である。図2、3を参照して説明したと同様、点A~点Dはそれぞれ測定位置である。
【0037】
先に、図2、3を参照して説明したと同様、ステージ10の載置面12の上の点Aの上に測定ツールである三角ピン41の中心が位置するように三角ピン41を配置する。この後、制御部30のCPU31は移動機構24により実装ヘッド20を下降させ、実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に当接したら、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Aの高さHAとして取得する。
【0038】
高さHAを取得したら、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20を上昇させた後、実装ヘッド20を上昇位置で待機させる。そして、三角ピン41の中心位置が載置面12の点Bの位置となるように三角ピン41をX方向に移動させる。そして、点Aの場合と同様、制御部30のCPU31は移動機構24により実装ヘッド20を下降させ、実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に当接したら、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Bの高さHBとして取得する。
【0039】
以下、同様に、三角ピン41の中心位置を点C、点Dに移動させ、実装ヘッド20を下降させて、実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に当接したら、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点C、点Dの高さHC,HDとして取得する(高さ取得工程)。
【0040】
次に制御部30のCPU31は、平行度算出工程を実行する。CPU31は、第1組X差と第2組X差を以下のように算出する。第1組X差は、X方向に並んだ第1組の一対の位置に配置されている点Aと点Bとの高さHAとHBとの差であり式3で計算される。また、第2組X差は、X方向に並んだ第2組の一対の位置に配置されている点Cと点Dとの高さHCとHDとの差であり下記の式4で計算される。
第1組X差=HA-HB --------- (式3)
第2組X差=HC-HD --------- (式4)
【0041】
そして、制御部30のCPU31は、は第1組X差と第2組X差との平均値であるX差を式5で計算する。
X差=(第1組X差+第2組X差)/2
=[(HA-HB)+(HC-HD)]/2 - (式5)
【0042】
次に、制御部30のCPU31は、X差の絶対値としてX方向平行度を式6で計算する。
X方向平行度=|X差| -------- (式6)
【0043】
Y方向についても同様に、Y方向に並んだ第3組の一対の位置に配置されている点Aと点Cとの高さの差である第3組Y差と、Y方向に並んだ第4組の一対の位置に配置されている点Bと点Dとの高さの差である第4組Y差と、第3組Y差と第4組Y差との平均値のY差と、Y差の絶対値であるY方向平行度を以下の式7~式10で計算する。
第3組Y差=HA-HC --------- (式7)
第4組Y差=HB-HD --------- (式8)
Y差=(第3組Y差+第4組Y差)/2
=[(HA-HC)+(HB-HD)]/2 - (式9)
Y方向平行度=|Y差| --------- (式10)
【0044】
最後に、制御部30のCPU31は、下記の式11ようにX方向平行度とY方向平行度の和として載置面12と保持面23との平行度を算出する。
平行度=X方向平行度+Y方向平行度
=|X差|+|Y差| --------- (式11)
【0045】
以上説明したように、X方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で実装ツール22の高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合には、X方向の平行度とY方向の平行度とを考慮してステージ10の載置面12と実装ツール22の保持面23との平行度を検出できるので、より正確に平行度の検出を行うことができる。
【0046】
また、図5に示すように、4つの点はX方向とY方向とに十字状に配置されてもよい。図5に示す様に4つの点は、X方向に延びる線95の上に配置された点Eと点Fとの2点と、線95に直交するようにY方向に延びる線96の上に配置された点Gと点Hの2点で構成されていてもよい。この場合、点Eと点FとはX方向に並んだ一対の位置に対応し、点Gと点HとはY方向に並んだ他の一対の位置に対応する。点Eの座標は(x3,y3)、点Fの座標は(x4,y3)、点Gの座標は(x5,y4)、点Hの座標は(x5,y5)である。
【0047】
この場合、図4を参照して説明したと同様、三角ピン41の中心位置を点E、点F、点G、点Hに移動させ、実装ヘッド20を下降させて、実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に接したら、エンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点E、点F、点G、点Hの高さHE、HF、HG、HHとして取得する。
【0048】
制御部30のCPU31は、点Eの高さHEと点Fの高さHFの差の絶対値としてX方向平行度を算出し、点Gの高さHGと点Hの高さHHとの差の絶対値としてY方向平行度を算出し、X方向平行度とY方向平行度との和として載置面12と保持面23との平行度を算出する。
X方向平行度=|HE-HF| ------ (式12)
Y方向平行度=|HG-HH| ------ (式13)
平行度=X方向平行度+Y方向平行度 ---- (式14)
【0049】
この方法は、先に説明したX方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で実装ツール22の高さを検出するよりも計算量が少なく、X方向の平行度とY方向の平行度とを考慮してステージ10の載置面12と実装ツール22の保持面23との平行度を検出できる。
【0050】
次に、図6を参照しながら実施形態の実装装置200について説明する。先に、図1を参照して説明した実装装置100と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0051】
実装装置200は、先に説明した実装装置100に載置面12の上に配置した三角ピン41を載置面12の上で移動させるアクチュエータ60を備えている。アクチュエータ60は、制御部30に接続され、制御部30のCPU31の指令によって動作し、三角ピン41の位置を移動させる。
【0052】
実装装置200の平行度検出動作は、制御部30のCPU31が三角ピン41の位置を点A~点Hに移動させる以外は、先に説明した実装装置100の動作と同様である。
【0053】
実装装置200は、平行度の検出を自動で行うことができるので、簡便に平行度の検出を行うことができる。
【0054】
以上の説明では、アクチュエータ60によって三角ピン41の移動を行うこととして説明したが、これに限定されない。例えば、図7に示すような三角ピン組立体45を用いてもよい。三角ピン組立体45は、ベース44の上に三角ピン41の底面を固定したものである。ベース44は、三角ピン41から離れる方向に向かって延びており、三角ピン41が実装ツール22に干渉せずに保持面23に上面44aを吸着保持可能となっている。実装ツール22の保持面23にベース44の上面44aを吸着収した状態で、矢印99のように実装ヘッド20を所定の位置に移動させ、実装ツール22の真空吸着を停止すると、載置面12の上の所定の位置に三角ピン組立体45を設定することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 ステージ、12 載置面、14 基板、15 半導体チップ、19 基準面、20 実装ヘッド、21 本体、22 実装ツール、23 保持面、24 移動機構、25 エンコーダ、30 制御部、31 CPU、32 メモリ、41 三角ピン、42 先端、44 ベース、44a 上面、45 三角ピン組立体、50 位置決め部品、60 アクチュエータ、100、200 実装装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7