(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】組立式コンテナボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240111BHJP
B65D 25/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B65D81/38 D
B65D25/04 Z
(21)【出願番号】P 2019086474
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上山 健治
(72)【発明者】
【氏名】船越 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】植木 美賀
(72)【発明者】
【氏名】西川 満
(72)【発明者】
【氏名】塚本 雅弘
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006403(JP,A)
【文献】実公昭59-014369(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3045263(JP,U)
【文献】特開2002-130927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 25/04
B65D 6/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置され、前記複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させるための段間伝導材と、
前記複数の梱包箱の外周に取り付けられる断熱パネルと、
前記断熱パネルの内壁の少なくとも一部において、前記熱エネルギーを前記複数の梱包箱が積まれる段方向へと伝導するための外周伝導材と、
を備え、
前記段間伝導材は、前記外周伝導材と接続され、
前記段間伝導材は、前記外周伝導材と一体に構成され、
前記段間伝導材は、ヒンジを介して前記外周伝導材に接続され、
前記ヒンジは、前記複数の梱包箱の外周における前面、背面、左側面、および、右側面の少なくともいずれか2つの面において、前記段方向の異なる位置にそれぞれ配置される組立式コンテナボックス。
【請求項2】
多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置され、前記複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させるための段間伝導材と、
前記複数の梱包箱の外周に取り付けられる断熱パネルと、
前記断熱パネルの内壁の少なくとも一部において、前記熱エネルギーを前記複数の梱包箱が積まれる段方向へと伝導するための外周伝導材と、
を備え、
前記段間伝導材は、前記外周伝導材と接続され、
前記段間伝導材は、端部の少なくとも一部において、前記段方向に延伸するエッジ部を有し、前記エッジ部を介して前記外周伝導材と接続される、組立式コンテナボックス。
【請求項3】
前記段間伝導材は、前記外周伝導材と一体に構成される、請求項2に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項4】
前記段間伝導材は、ヒンジを介して前記外周伝導材に接続される、請求項3に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項5】
前記ヒンジは、前記複数の梱包箱の外周における前面、背面、左側面、および、右側面の少なくともいずれか2つの面において、前記段方向の異なる位置にそれぞれ配置される、請求項4に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項6】
前記段間伝導材は、前記外周伝導材と着脱可能に構成される、請求項2に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項7】
多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置され、前記複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させるための段間伝導材と、
前記複数の梱包箱の外周に取り付けられる断熱パネルと、
を備え、
前記段間伝導材は、端部の少なくとも一部において、前記複数の梱包箱が積まれる段方向に延伸するエッジ部を有し、
複数の段間に配置された複数の前記段間伝導材は、前記エッジ部を介して接続可能に構成される、組立式コンテナボックス。
【請求項8】
前記段間伝導材は、アルミニウム、ステンレス、および、銅の少なくとも何れかの成分を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項9】
前記段間伝導材は、上面に凸部および凹部の少なくとも何れかを有する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の組立式コンテナボックス。
【請求項10】
前記段間伝導材は、横方向に並んだ少なくとも2以上の梱包箱の底部に接して配置される、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組立式コンテナボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式コンテナボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保冷剤とともに被保冷物を収容可能な保冷容器が知られている。(例えば、特許文献1から4参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2017-61332号公報
[特許文献2] 特開2013-203461号公報
[特許文献3] 特開2004-43020号公報
[特許文献4] 特開2015-9838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンテナボックスの内部に複数の梱包箱を収容した場合に、コンテナボックス内におけるそれぞれの梱包箱が収容される位置によって、温度のバラつきが生じることがあった。コンテナボックスの内部の温度を均一に保つことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、組立式コンテナボックスを提供する。組立式コンテナボックスは、多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置され、複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させるための段間伝導材を備えてよい。組立式コンテナボックスは、複数の梱包箱の外周に取り付けられる断熱パネルを備えてよい。
【0005】
断熱パネルの内壁の少なくとも一部において、熱エネルギーを複数の梱包箱が積まれる段方向へと伝導するための外周伝導材を更に備え、段間伝導材は、外周伝導材と接続されてよい。
【0006】
段間伝導材は、外周伝導材と一体に構成されてよい。
【0007】
段間伝導材は、ヒンジを介して外周伝導材に接続されてよい。
【0008】
ヒンジは、複数の梱包箱の外周における前面、背面、左側面、および、右側面の少なくともいずれか2つの面において、段方向の異なる位置にそれぞれ配置されてよい。
【0009】
段間伝導材は、外周伝導材と着脱可能に構成されてよい。
【0010】
段間伝導材は、端部の少なくとも一部において、段方向に延伸するエッジ部を有し、エッジ部を介して外周伝導材と接続されてよい。
【0011】
段間伝導材は、端部の少なくとも一部において、複数の梱包箱が積まれる段方向に延伸するエッジ部を有し、複数の段間に配置された複数の段間伝導材は、エッジ部を介して接続可能に構成されてよい。
【0012】
段間伝導材は、アルミニウム、ステンレス、および、銅の少なくとも何れかの成分を含んでよい。
【0013】
段間伝導材は、上面に凸部および凹部の少なくとも何れかを有してよい。
【0014】
段間伝導材は、横方向に並んだ少なくとも2以上の梱包箱の底部に接して配置されてよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る組立式コンテナボックス100の外観図の一例を示す。
【
図2】本実施形態に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
【
図3】本実施形態に係る組立式コンテナボックス100に複数の梱包箱を多段積みした場合の一例を示す。
【
図4】本実施形態に係る組立式コンテナボックス100に複数の梱包箱を多段積みした場合における、熱エネルギーの伝導の様子の一例を示す。
【
図5】本実施形態の変形例に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
【
図6】本実施形態の他の変形例に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100の外観図の一例を示す。組立式コンテナボックス100は、例えば、生鮮品の物流時に、生鮮品が梱包された複数の梱包箱(段ボール箱等)を内部に収容する。
【0019】
なお、ここで、物流とは、品物を出荷元から出荷先へ引き渡すまでの物的流通全般をいい、輸送をはじめ、保管、荷役、包装、および、流通加工等を含む。
【0020】
生鮮品とは、生鮮であることが求められる品目全般をいい、ここでは、野菜および果物等の青果、鮮魚、および、精肉をはじめ、ハムおよびソーセージ等の加工食品、および、花卉などを含む。このような生鮮品は、例えば、組織が柔らかい、水分含量が高い、および、収穫後も呼吸・蒸散などの代謝生理を営んでいる等の特徴を有する。そのため、生鮮品は、物流環境要因、特に、温度の影響を強く受け、品質低下が進行する。それゆえ、生鮮品は他の物品に比べて、物流過程での品質劣化による廃棄ロスが非常に多い。本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、このような生鮮品の物流時において、内部の温度を比較的均一に保つように構成されている。
【0021】
また、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、予冷された生鮮品が梱包された複数の梱包箱を内部に収容する。なお、ここで、予冷とは、出荷前に生鮮品に施す低温処理をいい、予冷により、例えば、収穫時、加工時、および、倉庫での保管時等における高い品温を素早く下げて代謝をゆるやかにし、成分の消耗や劣化を抑制するとともに、出荷後の物流中における品温上昇を抑制して、品質の低下を防ぐことができる。本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、このように予冷された生鮮品が梱包された複数の梱包箱を内部に収容し、生鮮品自体を冷媒として機能させることによって、物流中における生鮮品の周辺雰囲気の温度をアクティブにコントロールしない、いわゆる常温物流に用いることができる。すなわち、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、物流手段として冷蔵車、冷凍車、冷蔵庫、および、冷凍庫等を用いることなく、また、氷やドライアイスといった冷却材、保冷剤、および、潜熱蓄熱材等を同梱することなく、生鮮品を常温で物流するための容器として用いることができる。
【0022】
本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、パレット110、パネル板120、および、結合部130を備える。
【0023】
パレット110は、複数の梱包箱を載せるための荷役台である。パレット110は、木材により形成されていてもよいし、湿気に強い合成樹脂等により形成されていてもよい。パレット110は、脚と脚の間にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込み可能な指し穴を有していてよい。一例として、パレット110は、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)により規格化されたT11型の一貫輸送用平パレットであってよい。
【0024】
パネル板120は、組立式コンテナボックス100の筐体となる板である。パネル板120は、組立式コンテナボックス100の前面に設けられた前面パネル板120F、背面に設けられた背面パネル板120B、右側面に設けられた右側面パネル板120R、左側面に設けられた左側面パネル板120L、天面に設けられた天面パネル板120T、および、底面(パレット110上)に設けられた底面パネル板120Uを有する。これら6つのパネル板120F、120B、120R、120L、120T、および、120U(「パネル板120」と総称する。)を直方体状に組み合わせることによって、複数の梱包箱を収納する内部空間を形成している。パネル板120は、例えば、保冷機能、保湿機能、および、ガスバリア機能を有していてよい。パネル板120の詳細については後述する。
【0025】
結合部130は、複数のパネル板120のそれぞれを結合する。結合部130は、例えば、複数のパネル板120をそれぞれ面的に着脱可能に結合する面ファスナー等であってもよいし、複数のパネル板120をそれぞれ嵌合して結合するフレーム等であってもよい。結合部130は、天面パネル板120Tと、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lとをそれぞれ結合してよい。また、結合部130は、前面パネル板120Fと、右側面パネル板120Rおよび左側面パネル板120Lとをそれぞれ結合してよい。また、結合部130は、背面パネル板120Bと、右側面パネル板120Rおよび左側面パネル板120Lとをそれぞれ結合してよい。また、結合部130は、底面パネル板120Uと、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lとをそれぞれ結合してよい。なお、複数のパネル板120をそれぞれ結合する結合部130は、各パネル板120の外壁に設けられていてもよいし、内壁に設けられていてもよいし、側壁に設けられていてもよい。
【0026】
図2は、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
図2においては、
図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。パレット110は、ガイドレール112を有する。ガイドレール112は、パレット110の上面を周方向に連続して取り囲んでいる。そして、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lは、それぞれ、パレット110上面のガイドレール112に上方から嵌め込まれている。これにより、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lは、パレット110から起立するようにパレット110に保持されて、パレット110の上面を取り囲んでいる。同様に、天面パネル板120Tの下面にも、周方向に連続して取り囲むようなガイドレールが設けられており(図示せず)、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lは、それぞれ、当該天面パネル板120Tの下面のガイドレールに下方から嵌め込まれている。また、底面パネル板120Uは、パレット110の上面におけるガイドレール112の内側に、例えば、面ファスナー等により結合されている。これにより、6つのパネル板120が、直方体状に組み合わされている。なお、6つのパネル板120を直方体状に組み合わせるにあたっては、底面と側面の2枚を先に組み立ててから梱包箱を積載すると、側面がガイドになり積載が安定的にでき、また、予冷後に覆う時にもスムーズに組み立てることができる。
【0027】
パネル板120は、本図において一点斜線で示す拡大図のように、多層構造を有する。パネル板120は、外壁から内壁に向けて、遮光シート122、補強板124、断熱パネル126、補強板124、および、外周伝導材128を有する。なお、これらの層は、予め一体に形成されていてもよいし、少なくとも一部が面ファスナー等により着脱可能に形成されていてもよい。特に、外周伝導材128と補強板124との間が面ファスナー等により着脱可能に形成されている場合、外周伝導材128のみを取り付けた状態で予冷を行い、予冷後に他の層を装着することで、予冷時における冷却効率の向上、および、内部空間の温度の均一化を図ることができる。
【0028】
遮光シート122は、日光等の外部からの光を遮り、光が内部空間へさし込むことを防止する。一例として、遮光シートは、アルミシート等であってよい。
【0029】
補強板124は、パネル板120の強度を確保するための補強となる板である。一例として、補強板は、プラスチック板等であってよい。
【0030】
断熱パネル126は、組立式コンテナボックスの内部空間と外部空間との間における熱移動および熱伝導を低減させる。断熱パネル126は、6つのパネル板120の全てにおいて、一面に亘って形成されている。したがって、組立式コンテナボックス100は、複数の梱包箱の外周に取り付けられる断熱パネルを備える。一例として、断熱パネル126は、グラスウールのような繊維系断熱材、フェノールフォームのような発泡系断熱材、および、エアロゲルのような他の断熱材等を少なくとも含んでいてよい。
【0031】
外周伝導材128は、熱伝導率が高い(例えば、熱伝導率が空気よりも高い)材料からなり、熱エネルギーを効率よく伝導する。本図においては、外周伝導材128が、6つのパネル板120の全てにおいて、一面に亘って形成されている場合を一例として示す。しかしながら、これに限定されるものではない。外周伝導材128は、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lの少なくとも何れかにおいて、パネル板120の起立方向、すなわち、複数の梱包箱が多段積みされる段方向の少なくとも一部に設けられていてよい。したがって、組立式コンテナボックス100は、断熱パネル126の内壁の少なくとも一部において、熱エネルギーを複数の梱包箱が積まれる段方向へと伝導するための外周伝導材128を備えていてよい。一例として、外周伝導材128は、アルミニウム、ステンレス、および、銅の少なくとも何れかの成分を含んでいてよい。
【0032】
このような複数のパネル板120によって内部空間が形成される本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、その内部空間に、段間伝導材210および接続部220を備える。
【0033】
段間伝導材210は、熱伝導率の高い(例えば、熱伝導率が空気よりも高い)材料からなり、多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置される。したがって、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置され、複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させる段間伝導材210を備える。一例として、段間伝導材210は、アルミニウム、ステンレス、および、銅の少なくとも何れかの成分を含んでいてよい。また、本図においては、段間伝導材210は板状のものとして示したが、これに限定されるものではない。段間伝導材210は、例えば、細かい鎖が平らに編まれた鎖状のものであってもよい。これにより、段間伝導材210をフレキシブルに形成してもよい。外周伝導材128と同様、このような段間伝導材210を多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置させた状態で予冷を行うことで、予冷時における冷却効率の向上、および、内部空間の温度の均一化を図ることができる。このような効果は、段間伝導材210を段間に配置させ、かつ、外周伝導材128を外周に取り付けた状態で予冷を行う場合に、より顕著である。
【0034】
本図においては、段間伝導材210は、外周伝導材128と接続されている。一例として、段間伝導材210Rは、右側面パネル板120Rの外周伝導材128と接続されている。また、段間伝導材210Lは、左側面パネル板120Lの外周伝導材128と接続されている。また、段間伝導材210F(図示せず)は、前面パネル板120Fの外周伝導材128と接続されている。また、段間伝導材210Bは、背面パネル板120Bの外周伝導材128と接続されている。ここで、段間伝導材210R、210L、210F、および、210Bを段間伝導材210と総称する。
【0035】
これら段間伝導材210は、それぞれ、本図において二点斜線で示す拡大図のように、連結部212を有する。そして、対向するパネル板120に接続された段間伝導材210の連結部212同士がそれぞれ連結されて、1つの段間伝導材210を形成している。例えば、左側面パネル板120Lの外周伝導材128に接続された段間伝導材210Lの連結部212Lと、右側面パネル板120Rの外周伝導材128に接続された段間伝導材210Rの連結部212Rとがそれぞれ連結されて1つの段間伝導材210LRを形成している。また、前面パネル板120Fの外周伝導材128に接続された段間伝導材210F(図示せず)の連結部212Fと、背面パネル板120Bの外周伝導材128に接続された段間伝導材210Bの連結部212Bとがそれぞれ連結されて1つの段間伝導材210FBを形成している。
【0036】
接続部220は、段間伝導材210と外周伝導材128とを接続する。一例として、接続部220は、ヒンジであってよい。すなわち、段間伝導材210は、ヒンジを介して外周伝導材128に接続されていてよい。したがって、ヒンジを回転させることによって、段間伝導材210を外周伝導材128に対して鉛直方向に起立させたり、水平方向に寝かせたりすることができる。これにより、組立式コンテナボックス100は、段間伝導材210を、必要に応じて起立させることで複数の梱包箱の段間に配置させることができるうえ、寝かせることによりコンパクトに収納することができる。上述の説明では、接続部220がヒンジである場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。接続部220は、例えば、溶着等により形成されていてもよいし、嵌合等により形成されていてもよい。このように、段間伝導材210は、接続部220を介して外周伝導材128と一体に構成されていてよい。これにより、物流過程において段間伝導材210の紛失や盗難等を未然に防ぐことができる。また、本図に示すように、ヒンジは、複数の梱包箱の外周における前面、背面、左側面、および右側面の少なくともいずれか2つの面において、段方向の異なる位置にそれぞれ配置されていてよい。例えば、左側面パネル板120Lに設けられたヒンジと、背面パネル板120Bに設けられたヒンジは、パネル板120の起立方向、すなわち、段方向の異なる位置にそれぞれ配置されている。これにより、組立式コンテナボックス100は、段方向の異なる位置に複数の段間伝導材210を配置することができる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100に複数の梱包箱300を多段積みした場合の一例を示す。
図3においては、
図2と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。組立式コンテナボックス100は、予冷された生鮮品が梱包された複数の梱包箱300を多段積みして内部に収容する。本図においては、一例として、組立式コンテナボックス100は、底面パネル板120の外周伝導材128の上面に複数の梱包箱300が横方向に載置され、その上に、段間伝導材210LRを介して複数の梱包箱300が横方向に載置され、さらにその上に、段間伝導材210FBを介して複数の梱包箱300が横方向に載置されている。このように、段間伝導材210は、横方向に並んだ少なくとも2以上の梱包箱の底部に接して配置されてよい。また、その場合、物流中における梱包箱の横滑り等を防止するために、段間伝導材210は、上面に凸部および凹部の少なくとも何れかを有していてもよい。本実施形態に係る組立式コンテナボックス100によれば、ボックス内の載置スペースが段間伝導材210によって段方向に仕切られているので、複数の梱包箱の積み降ろしが容易となる。また、平らな段間伝導材210を土台として複数の梱包箱が段積みされるため、下段に載置された梱包箱への荷重が均等になり、荷崩れのしにくい収容を実現することができる。
【0038】
図4は、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100に複数の梱包箱を多段積みした場合における、熱エネルギーの伝導の様子の一例を示す。
図4においては、
図2と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。外気温が予冷温度よりも高い場合に、従来の容器を用いて、予冷された生鮮品が梱包された複数の梱包箱を多段積みして常温物流すると、一般に、各段における複数の梱包箱の中央部分が最も低い温度となり、複数の梱包箱の外周に近づくにつれて、外気の影響を受けて次第に温度が高くなる。また、外気温が予冷温度よりも低い場合には、各段における複数の梱包箱の中央部分が最も高い温度となり、複数の梱包箱の外周に近づくについて、外気の影響を受けて次第に温度が低くなり得る。このように、従来の容器を用いて、予冷された生鮮品が梱包された複数の梱包箱を多段積みして常温物流した場合、容器内におけるそれぞれの梱包箱が収容される位置によって、温度のバラつきが生じることがあった。
【0039】
しかしながら、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100は、多段積みされる複数の梱包箱の各段のうちの少なくとも1つの段間に配置される段間伝導材を備える。これにより、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100によれば、本図において矢印で示すように、各段における複数の梱包箱の中央部分と外周との間で熱エネルギーを伝導して均一化させる。したがって、組立式コンテナボックス100は、段間伝導材210の面方向において熱エネルギーを伝導させて温度を均一化させることができる。また、組立式コンテナボックス100は、断熱パネルの内壁の少なくとも一部において、複数の梱包箱が積まれる段方向の少なくとも一部に設けられた外周伝導材128を備える。したがって、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100によれば、外周伝導材128を介して複数の梱包箱が積まれる段方向において熱エネルギーを伝導して温度を均一化させることができる。そして、段間伝導材210は、外周伝導材128と接続されている。これにより、本実施形態に係る組立式コンテナボックス100によれば、面方向および段方向の両者において、熱エネルギーを伝導して温度を均一化させることができるので、ボックス内の温度を比較的均一に保つことができる。
【0040】
図5は、本実施形態の変形例に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
図5においては、
図2と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。上述の説明では、段間伝導材210がパネル板120の外周伝導材128と一体に構成されている場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。段間伝導材210は、外周伝導材128と着脱可能に構成されていてもよい。例えば、本図に示すように、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、および、左側面パネル板120Lのそれぞれにおいて、段方向の異なる位置に複数の支持部500を設け、段間伝導材210を複数の支持部500のいずれかの間にスライドして挿入させた後、段間伝導材210の下面を当該支持部500の上面に接触させて支持させることで、段間伝導材210を配置してもよい。これにより、組立式コンテナボックス100は、段間伝導材210を配置させる段方向における位置を自在に変えることができる。
【0041】
図6は、本実施形態の他の変形例に係る組立式コンテナボックス100の内部空間の一例を示す。
図6においては、
図2と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本図においては、段間伝導材210は、端部の少なくとも一部において、段方向に延伸するエッジ部600を有する。そして、段間伝導材210は、当該エッジ部600を介して外周伝導材128と接続されている。これにより、段間伝導材210は、面方向において熱エネルギーを伝導して温度を均一化させるとともに、エッジ部600を介して、段方向においても熱エネルギーを伝導して温度を均一化させることができる。また、段方向に延伸するエッジ部600を介して外周伝導材128に接触させることで、段間伝導材210と外周伝導材128との間の接触面積を広くすることができ、両者の間でより効率よく熱エネルギーを伝導することができる。
【0042】
また、複数の段間に配置された複数の段間伝導材210は、当該エッジ部600を介して接続可能に構成されていてもよい。一例として、段間伝導材210は、段間伝導材210の上面におけるエッジ部600の上部に、嵌合部610を有していてよい。そして、当該嵌合部610に上段の段間伝導材210のエッジ部600を嵌合させて、複数の段間伝導材210同士を接続してもよい。これにより、複数の段間伝導材210同士で熱エネルギーを伝導することができる。
【0043】
なお、上述の説明では、段間伝導材210を、エッジ部600を介して外周伝導材128と接続させる場合を一例として説明したが、これに限定されるものではない。段間伝導材210を外周伝導材128と接触させることなく、段間伝導材210が、面方向および段方向の熱エネルギーの伝導を担ってもよい。
【0044】
上述の説明では、ボックス内の温度を均一に保つための構成を主に説明したが、組立式コンテナボックス100は、これに加えて、他の機能や構成を有していてもよい。
【0045】
一例として、組立式コンテナボックス100は、生鮮品の物流環境を示す環境データ、すなわち、生鮮品の周辺雰囲気の環境データを測定するセンサノードを有していてもよい。センサノードは、例えば、温度センサ、湿度センサ、ガス(O2およびCO2など)センサ、照度センサ、および、振動センサ等であってよく、生鮮品の周辺雰囲気における温度、湿度、ガス組成、照度、および、振動の少なくともいずれかを測定する。また、センサノードにはICタグが設けられていてよく、測定した環境データを、ICタグを介してセンサノードの外部へと無線により出力してよい。このようなセンサノードは、生鮮品の周辺雰囲気の環境を測定し得るいかなる位置に設けられていてもよく、例えば、天面パネル板120Tの下面等に設けられていてもよい。
【0046】
また、一例として、組立式コンテナボックス100は、開度を調整可能な調整弁を有していてもよい。調整弁は、開度を調整することにより、組立式コンテナボックス100の内部空間と外部空間とを連通する隙間の大きさを変えることができる。このような調整弁は、組立式コンテナボックス100の内部空間と外部空間とを連通し得るいかなる位置に設けられていてもよく、例えば、前面パネル板120F、背面パネル板120B、右側面パネル板120R、左側面パネル板120L、および、天面パネル板120Tの少なくとも何れかに設けられていてもよい。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0048】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0049】
100 組立式コンテナボックス
110 パレット
112 ガイドレール
120 パネル板
122 遮光シート
124 補強板
126 断熱パネル
128 外周伝導材
130 結合部
210 段間伝導材
212 連結部
220 接続部
300 梱包箱
500 支持部
600 エッジ部
610 嵌合部