(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】実装装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240111BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240111BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/08 Q
H01L21/52 F
(21)【出願番号】P 2019130624
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 徳和
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-125728(JP,A)
【文献】実開平04-023198(JP,U)
【文献】特開2017-034282(JP,A)
【文献】特開平11-326232(JP,A)
【文献】特開2000-243762(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203638(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/110165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H01L 21/50-21/52
H01L 21/58
H01L 21/67-21/687
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する実装装置であって、
前記電子部品を搬送し、前記基板に実装するボンディングヘッドと、
前記基板を載置する基板ステージと、
前記実装をした後の前記電子部品
と前記基板との位置ずれを検査する検査ユニットと、
を備え、
前記検査ユニットは、
前記ボンディングヘッドに設けられ、前記ボンディングヘッドにより前記電子部品を前記基板に実装した際
、電子部品が基板に当接しているときの前記ボンディングヘッドの高さを検出する高さ検出部と、
レンズを有し、前記実装をした後の前記電子部品及び前記基板を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段を昇降させる撮像手段昇降機構と、
前記高さ検出部により検出した
電子部品が基板に当接しているときの前記ボンディングヘッドの高さに基づいて、前記撮像手段の高さを調節するように前記撮像手段昇降機構を制御する制御部と、を有すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項2】
記憶部を備え、
前記記憶部は、前記高さ検出部により検出した前記ボンディングヘッドの高さを記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の実装装置。
【請求項3】
前記電子部品を前記ボンディングヘッドにより前記基板に実装する実装位置と、
前記実装をした後の前記電子部品及び前記基板を前記撮像手段により撮像することで当該電子部品と当該基板との位置ずれを検査する検査位置と、
前記基板ステージを移動させるステージ移動機構と、
を備え、
前記実装位置と前記検査位置は、異なる場所にそれぞれ固定して設けられ、
前記基板ステージは、前記実装された前記電子部品が前記実装位置から前記検査位置に来るように移動されること、
を特徴とする請求項1又は2記載の実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、
予め検出した、前記実装位置
から前記検査位置に移動
する際に生じる前記基板ステージの高さ変動量を、前記高さ検出部により検出した電子部品が基板に当接しているときの前記ボンディングヘッドの高さに加算した高さに基づいて、前記撮像手段の高さを調節すること、
を特徴とする請求項3記載の実装装置。
【請求項5】
前記実装位置と前記検査位置との距離は、100mm以内であること、
を特徴とする請求項3記載の実装装置。
【請求項6】
前記レンズの被写界深度は、10μm以下であること、
を特徴とする請求項1~5の何れかに記載の実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の基板への実装は、例えば、フリップチップ実装が行われている。フリップチップ実装は、導電パターンが形成された基板に対して、半導体チップ等の電子部品の電極が形成された面を対向させて実装する方式である。フリップチップ実装においては、基板の導電パターンに形成された微細な端子に対して、電子部品の微細な電極を直接接合する必要があるため、電子部品と基板を精度良く位置決めしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体チップ等の電子部品の回路の微細化、高密度化によって実装精度の高精度化が進んでいる。そのため、電子部品の実装後は、電子部品及び基板に設けられたアライメントマークを撮像手段により撮像し、実装後の電子部品と基板の位置ずれを検査する。この検査においては、高倍率のレンズが用いられている。レンズは高倍率になると、撮像対象物とのピントが合う範囲である被写界深度が非常に浅いため、電子部品の高さや基板の高さにバラツキがあると、被写界深度から外れてピントがぼやけた撮像画像となり、位置ずれを高精度に検査できない場合があった。
【0005】
そこで、レーザ変位計で撮像対象となる実装後の電子部品又は基板の高さを測定し、当該高さに基づいて撮像手段の高さを調節することが考えられる。しかし、レーザ変位計による測定は、実装後の電子部品又は基板の高さを別途測定しなければならず、タクトが悪化する。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、生産効率を損ねることなく、実装後の電子部品と基板の位置ずれを検査することのできる実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実装装置は、電子部品を基板に実装する実装装置であって、前記電子部品を搬送し、前記基板に実装するボンディングヘッドと、前記基板を載置する基板ステージと、前記実装をした後の前記電子部品と前記基板との位置ずれを検査する検査ユニットと、を備え、前記検査ユニットは、前記ボンディングヘッドに設けられ、前記ボンディングヘッドにより前記電子部品を前記基板に実装した際、電子部品が基板に当接しているときの前記ボンディングヘッドの高さを検出する高さ検出部と、レンズを有し、前記実装をした後の前記電子部品及び前記基板を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を昇降させる撮像手段昇降機構と、前記高さ検出部により検出した電子部品が基板に当接しているときの前記ボンディングヘッドの高さに基づいて、前記撮像手段の高さを調節するように前記撮像手段昇降機構を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産効率を損ねることなく、実装後の電子部品と基板の位置ずれを検査することのできる実装装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の実装装置が適用された電子部品実装システムを示す平面図である。
【
図2】実施形態の実装装置が適用された電子部品実装システムを示す正面図である。
【
図3】
図2のA-A断面図であり、電子部品と基板上の実装予定位置を撮像するために撮像手段がボンディングヘッドと基板ステージ間に進入している様子を示す図である。
【
図4】
図2のA-A断面図であり、ボンディングヘッドに保持された電子部品を基板上に実装している様子を示す図である。
【
図6】電子部品が基板にフェイスダウン方式で実装された様子を示す図である。
【
図7】電子部品のアライメントマークと基板のアライメントマークとが合っている状態を示す図である。
【
図8】電子部品のアライメントマークと基板のアライメントマークとがずれている状態を示す図である。
【
図9】電子部品実装システムの動作フローチャートの一例である。
【
図10】基板よりも電子部品のアライメントマークにピントを合わせて撮像した撮像画像の模式図である。
【
図11】電子部品よりも基板のアライメントマークにピントを合わせて撮像した撮像画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
(構成)
本発明に係る実装装置の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1は、実施形態の実装装置が適用された電子部品実装システムを示す平面図である。
図2は、実施形態の実装装置が適用された電子部品実装システムを示す正面図である。
【0011】
電子部品実装システム1は、電子部品2を基板3に実装するシステムである。電子部品2は、例えば、シリコンで構成された半導体チップである。本実施形態では、電子部品2は、はんだ材による突起電極であるバンプが形成された半導体チップである。電子部品2には、アライメントマークが設けられている。電子部品2が矩形状であるとすると、バンプが形成された面の四隅または対角の隅にアライメントマークが設けられている。
【0012】
基板3は、電子部品2が実装される対象の板状体である。基板3には、バンプが接続される導電パターンが形成されている。基板3の導電パターンが形成された面には、電子部品2の実装予定位置が設けられている。この実装予定位置は、ここでは複数設けられ、アレイ状に配置されている。実装予定位置には、それぞれアライメントマークが設けられている。このアライメントマークは、例えば、電子部品2が矩形状であるとすると、矩形状の実装予定位置の四隅または対角の隅に設けられる。電子部品2と基板3のアライメントマークの位置合わせを行った上で電子部品2が基板3の実装予定位置に実装される。
【0013】
この電子部品実装システム1は、供給装置10、ピックアップ装置20、実装装置30、及び制御装置50を備えており、ピックアップ装置20により供給装置10から電子部品2をピックアップし、当該電子部品2を実装装置30に受け渡し、実装装置30で電子部品2を基板3に実装する。
【0014】
供給装置10は、電子部品2を供給する装置である。具体的には、供給装置10は、電子部品2が載せられたシート12を載置する供給ステージ11を有する。供給装置10は、ピックアップ対象の電子部品2が供給位置P1に来るように供給ステージ11を移動させる。供給位置P1とは、ピックアップ装置20によるピックアップ対象となる電子部品2が、ピックアップ装置20によりピックアップされる予定位置である。例えば、供給位置P1の上方には、光軸が供給位置P1と一致するようにカメラ13が設けられており、供給装置11は、カメラ13の撮像中心にピックアップ対象の電子部品2が来るように供給ステージ11を移動させる。
【0015】
供給ステージ11に載置される電子部品2が載せられたシート12は、ここでは、ウエーハシートである。シート12は粘着シートであり、当該シート12上に電子部品2がマトリクス(行列)状に配置されている。電子部品2は、バンプが上方に露出したフェイスアップで配置されていても良いし、バンプがシート12に接触したフェイスダウンで配置されても良い。本実施形態では、フェイスアップで配置されているものとする。
【0016】
電子部品2をピックアップ装置20に供給する際、供給装置10は、供給位置P1の下方に設けた針状のピンでシート12を介して供給位置P1上の電子部品2を突き上げることで電子部品2をシート12から剥がれやすくしても良い。
【0017】
ピックアップ装置20は、供給装置10から電子部品2をピックアップし、ピックアップした電子部品2を実装装置30に受け渡す中継装置である。このピックアップ装置20は、ピックアップヘッド21と、ヘッド移動機構22とを有する。ピックアップヘッド21は、電子部品2を保持し、また保持状態を解除して電子部品2を手放す。具体的には、ピックアップヘッド21は、筒状の吸着ノズル21aを有する。この吸着ノズル21aの内部は真空ポンプ等の負圧発生回路と連通しており、当該回路で負圧を発生させることにより吸着ノズル21aの先端の開口で電子部品2を吸着することで電子部品2を保持する。また、負圧を解除することで電子部品2を吸着ノズル21aから離脱させる。
【0018】
ヘッド移動機構22は、ピックアップヘッド21を、供給位置P1と、実装装置30との電子部品2の受け渡し位置P2との間を往復移動させる。ヘッド移動機構22は、例えば、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構を用いることができる。ヘッド移動機構22は、支持フレーム23に、後述するX軸方向に沿って延びるように設けられる。このヘッド移動機構22には、吸着ノズル21aが反転機構を介して設けられている。反転機構は、吸着ノズル21aの向きを反転させる。例えば、開口端が下方に向けられた吸着ノズル21aにより、供給位置P1で電子部品2を吸着保持すると、ヘッド移動機構22が吸着ノズル21aを受け渡し位置P2に位置させる。そして、反転機構により吸着ノズル21aを、電子部品2を保持した開口端が上に向くように180°回転させて、実装装置30に電子部品2を受け渡す。
【0019】
本実施形態では、供給装置10と実装装置30とが横並びに配置されている。この供給装置10と実装装置30の並び方向、すなわち、供給位置P1と実装位置P3とで結ばれる直線方向をX軸方向とする。また、供給ステージ11が拡がる水平面において、X軸方向と直交する方向をY軸方向とし、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とする。本明細書では、Z軸方向の位置を単に「高さ」と称する場合がある。例えば、後述する基板ステージ33上の特定の位置のZ軸方向の位置などのように、特定の基準位置を定め、その基準位置に対するZ軸方向の距離を高さとすることができる。
【0020】
実装装置30は、ピックアップ装置20から受け取った電子部品2を実装位置P3に搬送し、基板3に実装する装置である。実装位置P3とは、電子部品2を基板3に実装する位置であり、ここでは、固定の場所に設定されている。
【0021】
実装装置30は、ボンディングヘッド31、ヘッド移動機構32、基板ステージ33、ステージ移動機構34、撮像手段35、及び検査ユニット40を有する。
【0022】
ボンディングヘッド31は、電子部品2を搬送し、基板3に実装する。具体的には、ボンディングヘッド31は、受け渡し位置P2でピックアップ装置20から電子部品2を受け取り、当該電子部品2を実装位置P3で基板3に実装する。ボンディングヘッド31は、電子部品2を保持し、また実装後は保持状態を解除して電子部品2を手放す。具体的には、ボンディングヘッド21は、筒状の吸着ノズル31aを有する。この吸着ノズル31aの内部は真空ポンプ等の負圧発生回路と連通しており、当該回路で負圧を発生させることにより吸着ノズル31aの先端の開口で電子部品2を吸着することで電子部品2を保持する。また、負圧を解除することで電子部品2を吸着ノズル31aから離脱させる。
【0023】
ボンディングヘッド31は、受け渡し位置P2と実装位置P3とを往復移動し、また、受け渡し位置P2及び実装位置P3で昇降する。換言すれば、ヘッド移動機構32は、スライド機構321、昇降機構322を有する。
【0024】
スライド機構321は、ボンディングヘッド31を受け渡し位置P2と実装位置P3との間で直線移動させる。ここでは、スライド機構321は、X軸方向と平行に延び、支持フレーム323に固定された2本のレール321aと、レール321a上を走行するスライダ321bとを有する。なお、図示はしないが、スライド機構321は、ボンディングヘッド31をY軸方向にスライド移動させるスライド機構を有している。このスライド機構も、Y軸方向のレールとレールを走行するスライダによって構成できる。スライド機構321が、ボンディングヘッド31の吸着ノズル31aを受け渡し位置P2に移動させると、吸着ノズル31aが当該受け渡し位置P2に位置するピックアップヘッド21の吸着ノズル21aと電子部品2を介して対向する。スライド機構321が、電子部品2を保持した吸着ノズル31aを実装位置P3に移動させると、吸着ノズル31aが基板3の実装位置P3に位置付けられた実装予定位置と電子部品2を介して対向する。また、スライド機構321は、吸着ノズル32aを、後述する検査位置P4に移動させる。
【0025】
昇降機構322は、ボンディングヘッド31を昇降させる。ここでは、昇降させる方向は、Z軸方向と平行な方向である。具体的には、昇降機構322は、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構を用いることができる。すなわち、サーボモータの駆動により、ボンディングヘッド31がZ軸方向に沿って昇降する。
【0026】
基板ステージ33は、基板3を載置する台である。基板ステージ33は、XY平面上をスライド移動する。
【0027】
ステージ移動機構34は、基板ステージ33をXY平面上でスライド移動させる。具体的には、ステージ移動機構34は、X軸方向に基板ステージ33を移動させるX軸移動機構と、Y軸方向に基板ステージ33を移動させるY軸移動機構とを有する。X軸移動機構及びY軸移動機構は、例えば、サーボモータと、ねじ軸、ナット、ガイドレール及びスライダを含み構成されたボールねじ機構により構成される。X軸移動機構は、そのねじ軸及びガイドレールがX軸方向に延びるように設けられ、ナットがねじ軸に螺合する。このナットにはスライダを介して、基板ステージ33が固定されており、サーボモータでねじ軸を軸回転させることで、スライダがX軸方向に延びるガイドレールに沿って移動し、基板ステージ33がX軸方向に直線移動する。Y軸移動機構は、そのねじ軸及びガイドレールがY軸方向に延びるように設けられ、ナットがねじ軸に螺合する。このナットにはスライダを介して、X軸移動機構が固定されており、サーボモータでねじ軸を軸回転させることで、スライダがY軸方向に延びるガイドレールに沿って移動し、X軸移動機構とともに基板ステージ33がY軸方向に直線移動する。
【0028】
撮像手段35は、実装位置P3において、電子部品2のアライメントマークと基板3のアライメントマークとを撮像するカメラである。撮像手段35は、上下二視野カメラである。すなわち、
図3に示すように、撮像手段35は、ボンディングヘッド31と基板ステージ33との間に進入し、上方の吸着ノズル31aに保持された電子部品2のアライメントマークと、下方の基板3の実装位置P3にある実装予定位置のアライメントマークとを撮像する。撮像手段35は、
図3に示すように、電子部品2の基板3への実装前にボンディングヘッド31と基板ステージ33との間に進入し、ボンディングヘッド31による実装の際には、
図4に示すように、ボンディングヘッド31と非干渉となる位置に退避する。
【0029】
検査ユニット40は、実装後の電子部品2と基板3との位置ずれを検査する。この検査ユニット40は、高さ検出器41、撮像手段42、及び撮像手段昇降機構43を有する(
図1、
図2参照)。
【0030】
高さ検出器41は、ボンディングヘッド31に設けられている。高さ検出器41は、ボンディングヘッド31により電子部品2を基板3に実装した際の高さを検出する。高さ検出器41が検出する高さの検出箇所は、吸着ノズル31aの先端の高さである。この高さ検出器41は、基板ステージ33の高さを検出することもできる。つまり、高さ検出器41は、吸着ノズル31aが接触した対象物の高さを検出する。高さ検出器41としては、ボンディングヘッド31の移動量を検出するセンサと、吸着ノズル31aの対象物への接触を検知するセンサとを組み合わせることが好ましい。例えば、ボンディングヘッド31の移動量を検出するエンコーダと、ボンディングヘッド31に対する吸着ノズル31aの相対移動により対象物との接触を検知するギャップセンサを用いることができる。この場合、吸着ノズル31aの対象物との接触をギャップセンサが検知すると、ボンディングヘッド31は、吸着ノズル31aに対して僅かに移動して停止する。そして、エンコーダにより検出されるボンディングヘッド31の移動量から、ギャップセンサにより検出される吸着ノズル31aの相対移動量を差し引くことにより、対象物の高さを検出できる。接触を検知するセンサとしては、圧力センサを用いてもよい。なお、高さ検出器41に用いるセンサは、レーザ変位計以外の安価なセンサを用いることが好ましい。
【0031】
撮像手段42は、実装後の電子部品2及び基板3を撮像する。具体的には、実装後の電子部品2のアライメントマーク及び基板3のアライメントマークを撮像する。撮像手段42は、1つの電子部品2につき、少なくとも2箇所のアライメントマークを撮像する。また、撮像手段42は、基板3の実装箇所1箇所につき、少なくとも2箇所のアライメントマークを撮像する。撮像手段42は、赤外線(IR)カメラ、CCDカメラ、CMOSカメラを用いることができる。本実施形態では、撮像手段42は、赤外線カメラである。この撮像手段42は、赤外線を電子部品2に透過させて電子部品2のアライメントマーク、基板3のアライメントマークを撮像する。
【0032】
撮像手段42は、レンズを有し、このレンズを通して電子部品2、基板3のアライメントマークを撮像する。このレンズは、高倍率であり被写界深度が小さい。本実施形態では、20倍のレンズであり、被写界深度は10μm以下である。
【0033】
撮像手段42は、検査位置P4に設けられている。すなわち、撮像手段42は、カメラの光軸が検査位置P4に一致するように基板ステージ33の上方に設けられている。検査位置P4は、実装後の電子部品2及び基板3を撮像手段42により撮像することで当該電子部品2と当該基板3との位置ずれ、すなわち、実装後の電子部品2のアライメントマークと基板3のアライメントマークとの位置ずれを検査する位置である。この位置ずれは、電子部品2及び基板3の各アライメントマークをXY平面に投影した時の位置ずれである。本実施形態では、検査位置P4は、固定された位置である。
【0034】
撮像手段昇降機構43は、撮像手段42を昇降させる。ここでは、昇降させる方向は、Z軸方向と平行な方向、つまり、検査位置P4に位置する実装後の電子部品2に対して進退する方向である。撮像手段昇降機構43は、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構を用いることができる。すなわち、サーボモータの駆動により、撮像手段42がZ軸方向に沿って昇降する。
【0035】
撮像手段昇降機構43は、高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さに基づいて、撮像手段42を高さ方向に移動させる。すなわち、実装後の電子部品2のアライメントマーク又は基板3のアライメントマークが撮像手段42により認識可能な程度にピントを合わせる。換言すれば、撮像手段昇降機構43は、高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さに基づいて、撮像対象となる実装後の電子部品2のアライメントマーク又は基板3のアライメントマークが、撮像手段42のレンズの被写界深度に収まるように、撮像手段42の高さを調節する。この高さの調節は、後述する昇降機構制御部57が撮像手段昇降機構43を制御することにより行われる。基板3に実装された電子部品2と基板3のアライメントマークの対向距離、つまり、高さ方向の離間距離は、撮像手段42のレンズの被写界深度を超えている。そのため、撮像手段昇降機構43は、電子部品2のアライメントマークを撮像する場合と、基板3のアライメントマークを撮像する場合は、撮像手段42の高さを切り替える。
【0036】
撮像手段昇降機構43は、ステージ移動機構34により実装位置P3の電子部品2が検査位置P4に移動した際の電子部品2の高さ変動量を含めたボンディングヘッド31の高さに基づいて、撮像手段42の高さを調節する。
【0037】
制御装置50は、供給装置10、ピックアップ装置20、実装装置30、検査ユニット40の起動、停止、速度、動作タイミング等を制御する。制御装置50は、例えば、専用の電子回路又は所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって実現できる。制御装置50には、作業員が制御に必要な指示や情報を入力する入力装置、装置の状態を確認するための出力装置が接続されている。
【0038】
図5は、制御装置50の機能ブロック図である。
図5に示すように、制御装置50は、供給装置制御部51、ピックアップヘッド制御部52、ボンディングヘッド制御部53、基板ステージ制御部54、記憶部55、高さ算出部56、昇降機構制御部57、撮像手段制御部58、及び判定部59を有している。
【0039】
供給装置制御部51は、供給ステージ11に載置されたシート12上の供給対象となる電子部品2が供給位置P1に位置するように供給ステージ11の移動を制御する。
【0040】
ピックアップヘッド制御部52は、ピックアップ装置20の動作を制御する。具体的には、ピックアップヘッド制御部52は、吸着ノズル21a内に連通した負圧発生回路を制御し、電子部品2の保持及び離脱を制御する。また、ピックアップヘッド制御部52は、ピックアップヘッド21の移動、つまりヘッド移動機構22の動作を制御する。
【0041】
ボンディングヘッド制御部53は、ボンディングヘッド31の移動、つまりヘッド移動機構32の動作を制御する。基板ステージ制御部54は、ステージ移動機構34の動作を制御する。
【0042】
記憶部55は、HDD又はSSD等の記録媒体である。記憶部55には、システムの動作に必要なデータ、プログラムが予め記憶され、システムの動作に必要なデータを記憶する。
【0043】
例えば、記憶部55は、高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さを記憶する。また、記憶部55には、電子部品2の厚み、基板3の厚みが予め記憶されている。電子部品2の厚みは、サンプルの電子部品2の厚みを予め測定した値でも良いし、複数の電子部品2の平均の厚みとしても良い。基板3の厚みは、基板3の任意の箇所の厚みを測定した値でも良いし、基板3の複数箇所の厚みの平均であっても良い。記憶部55には、撮像手段42のレンズの倍率、焦点距離、被写界深度等が記憶されている。
【0044】
記憶部55には、基板ステージ33上の各位置が実装位置P3に位置するときの各位置の高さが記憶されている。この基板ステージ33上の各位置とは、基板ステージ33の所定の位置に基板3が載置された場合に、基板3に実装される電子部品2の実装予定位置に対応する位置(以下、「実装予定対応位置」ともいう。)である。実装予定対応位置は、例えば、基板ステージ33がXY平面と平行に配置され、この基板ステージ33上の所定位置に基板3が配置された場合に、基板3の実装予定位置を、基板ステージ33にZ軸方向に投影した位置である。
【0045】
この実装予定対応位置の測定方法は、例えば、次の通りである。すなわち、基板ステージ33の実装予定対応位置を実装位置P3に移動させ、実装位置P3に位置するボンディングヘッド31を下降させて先端(つまり吸着ノズル31aの先端)を基板ステージ33上に当接させる。この当接したときのボンディングヘッド31の高さを高さ検出部41により検出する。上記の通り、この高さを吸着ノズル31aの先端で検出するため、基板ステージ33の実装予定対応位置の高さを測定することができる。このような手順で基板ステージ33上の各実装予定対応位置の高さを測定することで、実装予定対応位置と当該位置の基板ステージ33の高さが対応付けられた基板ステージ33の高さマップを得ることができる。この高さマップが、基板ステージ33上の各位置が実装位置P3に位置する時の各位置の高さとして記憶部55に記憶される。この高さマップは、基板ステージ33の平坦度のバラツキ、より具体的には、基板ステージ33表面のZ軸方向のうねりが反映されたものである。すなわち、基板ステージ33は、ステージ移動機構34に支持され、ステージ移動機構34は、例えば、X軸方向に沿うガイドレール、Y軸方向に沿うガイドレールを備えている。このようなガイドレールは、加工精度や組み付け精度に起因するうねり、歪みを有する場合がある。この場合、これによってガイドされる基板ステージ33は、その移動時に上下変動を生じることがある。このような上下変動の大きさは、一般的に、移動距離が大きくなるほど大きくなる傾向がある。つまり、移動距離によっては上下変動の大きさが撮像手段42の被写界深度(例えば、10μm)を越えてしまうことも考えられる。そこで、本実施形態では、このような高さマップを作成する。
【0046】
記憶部55には、基板ステージ33上の各位置が実装位置P3から検査位置P4に移動した場合に生じる基板ステージ33の高さ変動量が、基板ステージ33上の各位置と対応付けられた高さ変動マップが予め記憶されている。基板ステージ33上の各位置とは、実装予定対応位置である。実装予定対応位置は、例えば、基板ステージ33がXY平面と平行に配置され、この基板ステージ33上の所定位置に基板3が配置された場合に、基板3の実装予定位置を、基板ステージ33にZ軸方向に投影した位置である。
【0047】
高さ変動マップは、次のように測定することができる。すなわち、基板ステージ33の電子部品2の実装予定対応位置を、実装位置P3に位置させる。また、ボンディングヘッド31を実装位置P3に位置させる。そして、実装位置P3において、ボンディングヘッド31の先端(つまり吸着ノズル31aの先端)を基板ステージ33上に当接させる。この当接したときのボンディングヘッド31の高さ(以下、「実装位置高さ」ともいう。)を高さ検出部41により検出する。次に、実装予定対応位置が検査位置P4に来るように基板ステージ33を移動させる。また、ボンディングヘッド31を検査位置P4に移動させる。そして、検査位置P4において、ボンディングヘッド31の先端(つまり吸着ノズル31aの先端)を基板ステージ33上に当接させる。この当接したときのボンディングヘッド31の高さ(以下、「検査位置高さ」ともいう。)を高さ検出部41により検出する。この検査位置高さと実装位置高さの差分が、検査位置P4から実装位置P3に移動したことによる高さ変動量である。この高さ変動量は、上記のように、XY平面上を移動させるステージ移動機構34のガイドレール等のうねり、歪み等に起因する。ステージ移動機構34はXY平面上と平行に移動することが理想であるが、例えば、ガイドレール等の上下のうねり、歪み等によりXY平面上の平行な移動からずれる場合がある。上記のように、実装予定対応位置毎に上記の測定を行って、高さ変動マップを得ることができる。なお、検査位置P4において、ボンディングヘッド31が検査位置高さを検出する場合、撮像手段42を上昇させて、ボンディングヘッド31から退避させておく。または、撮像手段42を取り付ける前に、ボンディングヘッド31によって、検査位置高さを検出しておくようにする。
【0048】
高さ算出部56は、実装位置P3において高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さから、検査位置P4における実装後の電子部品2のアライメントマークの高さ、及び、基板3のアライメントマークの高さを算出する。本実施形態では、
図6に示すように、電子部品2が基板3にフェイスダウン実装される例で説明する。
図6に示すように、電子部品2のアライメントマーク2aは、バンプが設けられた面に設けられており、フェイスダウン実装により、基板3と対向する。基板3のアライメントマーク3aは、基板ステージ33とは反対側の面である電子部品2が実装される面に設けられている。フェイスダウン実装により、電子部品2及び基板3のアライメントマーク2a、3aが設けられた箇所が、Z軸方向に重なり合う。
【0049】
高さ算出部56は、実装位置P3において高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さと、電子部品2の厚みとから、電子部品2のアライメントマーク2aの高さを算出する。具体的には、高さ算出部56は、記憶部55から、当該記憶部55に記憶された実装位置P3におけるボンディングヘッド31の高さと電子部品2の厚みを読み出す。このボンディングヘッド31の高さは、上述したように、例えば、吸着ノズル31aの先端であるから、吸着する電子部品2の上面の高さに等しい。したがって、高さ算出部56は、このボンディングヘッド31の高さから電子部品2の厚みを減算することで、アライメントマーク2aの高さを算出する。
【0050】
高さ算出部56は、実装位置P3に位置する基板ステージ33上の実装予定対応位置の高さと基板3の厚みとから、基板3のアライメントマーク3aの高さを算出する。具体的には、高さ算出部56は、記憶部55から、当該記憶部55に記憶された実装位置P3に位置する基板ステージ33上の実装予定対応位置の高さと、基板3の厚みを読み出し、前者に後者を加算することで、アライメントマーク3aの高さを算出する。なお、実装後のバンプの高さ、つまり、基板3の上面と電子部品2の下面との間の間隔を所望の値で一定となるようにコントロールできる場合は、バンプの高さをボンディングヘッド31の高さから減算することによって、アライメントマーク3aの高さを算出してもよい。
【0051】
また、高さ算出部56は、記憶部55から高さ変動マップを読み出し、アライメントマーク2a、3aの高さに、高さ変動マップから読み出した、実装位置P3から検査位置P4に移動させる際に生じる基板ステージ33の高さ変動量を加算しても良い。実装位置P3から検査位置P4に移動しても、アライメントマーク2a、3aの高さが変動しない場合(つまり水平移動する場合)、又は、変動があってもアライメントマーク2a、3aの高さが撮像手段42の被写界深度に収まる場合は、基板ステージ33の高さ変動量を考慮しなくて良い。例えば、基板ステージ33のうねり等に起因する上下変動の大きさが撮像手段42の被写界深度よりも小さい値である場合などである。
【0052】
昇降機構制御部57は、撮像手段昇降機構43を制御する制御部である。例えば、昇降機構制御部57は、撮像手段昇降機構43を制御することにより、高さ算出部56で算出したアライメントマーク2a、3aの高さに基づいて撮像手段42の高さを調節する。
【0053】
撮像手段制御部58は、撮像手段42の動作を制御する。例えば、撮像手段42の起動、停止、撮像、撮像タイミングを制御する。
【0054】
判定部59は、撮像手段42によって得た電子部品2のアライメントマーク2aの撮像結果と基板3のアライメントマーク3aの撮像結果から、各アライメントマーク2a、3aの位置ずれを判定する。
図7は、電子部品2のアライメントマーク2aと基板3のアライメントマーク3aとの位置が合っている、つまり正常に位置決めがなされている状態を示す図である。
図8は、電子部品2のアライメントマーク2aと基板3のアライメントマーク3aとの位置がずれている状態を示す図である。
【0055】
位置ずれの判定方法としては、例えば、判定部59は、電子部品2のアライメントマーク2aの撮像結果と基板3のアライメントマーク3aの撮像結果を重ね合わせ、アライメントマーク2a、3aの中心間の距離を算出する。判定部59は、算出した距離が所定の閾値以内であれば、位置合わせが良好な実装と判定し、算出した距離が所定の閾値を超えている場合は、位置合わせ不良の実装と判定する。位置合わせ不良と判定した場合は、制御装置50に接続された表示装置又はスピーカなどの報知手段により作業員に報知する。
【0056】
(作用)
実施形態に係る電子部品実装システム及び実装装置30の作用について説明する。
図9は、電子部品実装システムの動作フローチャートの一例である。供給ステージ11には、電子部品2がアレイ状に配置されたシート12が予め載置され、基板ステージ33には、電子部品2の実装対象となる基板3が予め載置されている。また、シート12上の電子部品2はバンプが上を向いたフェイスアップの状態で載置されているものとする。
【0057】
図9に示すように、まず、供給装置10により、シート12上の供給対象の電子部品2を供給位置P1に移動させる(ステップS01)。ヘッド移動機構22によりピックアップヘッド21を供給位置P1に移動させ、供給位置P1にある電子部品2をピックアップし(ステップS02)、受け渡し位置P2でボンディングヘッド31に電子部品2を受け渡す(ステップS03)。すなわち、ピックアップヘッド21は受け渡し位置P2に移動すると反転装置により電子部品2を180°反転させる。これにより、ボンディングヘッド31と電子部品2が対面し、受け渡される。これにより、電子部品2は、アライメントマーク2aが下方に向けられた状態でボンディングヘッド31に保持される。
【0058】
ボンディングヘッド31を、スライド機構321により、実装位置P3に移動させる(ステップS04)。一方、ステージ移動機構34により、基板ステージ33を移動させ、基板3の実装予定位置を実装位置P3に移動させる(ステップS05)。
【0059】
このように、電子部品2と基板3の実装予定位置が実装位置P3に移動した後、ボンディングヘッド31と基板3との間に上下二視野カメラである撮像手段35を進出させ、上方に位置する電子部品2のアライメントマーク2aと、下方に位置する基板3の実装予定位置のアライメントマーク3aとを撮像し、電子部品2と基板3の実装予定位置との位置合わせを行う(ステップS06)。
【0060】
位置合わせの後、昇降機構322によりボンディングヘッド31を下降させ、電子部品2を基板3の実装予定位置に当接させて実装する(ステップS07)。この実装の際、電子部品2が基板3に当接しているときのボンディングヘッド31の高さを高さ検出部41により検出する(ステップS08)。この高さは記憶部55に記憶される。実装後のボンディングヘッド31は、当該電子部品2の保持を解除し、次の電子部品2を受け取るために受け渡し位置P2に戻る。なお、実装時の加圧によってバンプが潰れるため、実装完了時のボンディングヘッド31の高さは、電子部品2が実装予定位置に当接したときよりも下がることがある。このため、実装が完了してボンディングヘッド31を上昇させる直前の高さを測定することにより、より正確な高さ検出ができる。つまり、上述したボンディングヘッド31の高さの検出は、実装が完了してボンディングヘッド31を上昇させる直前の高さを測定している。
【0061】
電子部品2を基板3に実装した後、この実装位置P3の電子部品2をステージ移動機構34により検査位置P4に移動させる(ステップS09)。高さ算出部56により、電子部品2及び基板3のアライメントマーク2a、3aの高さを算出する(ステップS10)。
【0062】
すなわち、高さ算出部56により、記憶部55から実装の際のボンディングヘッド31の高さを読み出し、当該高さに基づいて電子部品2のアライメントマーク2aの高さを算出し、また、記憶部55から実装位置P3に位置する基板ステージ33上の実装予定対応位置の高さと、基板3の厚みを読み出し、当該高さと厚みを加算することで、基板3のアライメントマーク3aの高さを算出する。また、本実施形態では、高さ算出部56は、記憶部55から高さ変動マップを読み出し、アライメントマーク2a、3aの高さに、高さ変動マップから読み出した実装位置P3から検査位置P4に移動させる際に生じる基板ステージ33の高さ変動量を加算して得た高さをアライメントマーク2a、3aの高さとする。
【0063】
なお、アライメントマーク2a、3aの高さの算出は、ステップS09の実装位置P3から検査位置P4へ電子部品2を移動させている間に行っても良い。
【0064】
次に、昇降機構制御部57により、アライメントマーク2a、3aの高さに基づいて、撮像手段昇降機構43を制御し、撮像手段42の高さを調節し(ステップS11)、アライメントマーク2a、3aを撮像する(ステップS12)。これにより、アライメントマーク2a、3aがレンズの被写界深度に収まり、ピントが合う。但し、アライメントマーク2a、3a間の距離は、当該被写界深度を超えた距離になっているので、撮像手段42の高さ調整及びアライメントマーク2a、3aの撮像は別々に行う。
【0065】
すなわち、撮像手段昇降機構43が、電子部品2のアライメントマーク2aの高さに基づいて撮像手段42の高さを調節した場合には、
図10に示すように、アライメントマーク2aにピントが合い、アライメントマーク3aにはピントが合わずぼやけた画像が得られる。一方、撮像手段昇降機構43が、基板3のアライメントマーク3aの高さに基づいて撮像手段42の高さを調節した場合には、
図11に示すように、アライメントマーク3aにピントが合い、アライメントマーク2aにはピントが合わずぼやけた画像が得られる。
【0066】
アライメントマーク2a、3aの撮像は、1つの電子部品2について、少なくとも二箇所で行う。電子部品2が矩形状である場合、例えば、対角位置のアライメントマーク2a、3aを撮像する。例えば、撮像手段42の視点から見て、左上の隅のアライメントマーク2aを撮像するために、ステージ移動機構34により、対象となる実装後の電子部品2の左上の隅が検査位置P4に来るように基板ステージ33を移動させ、撮像手段42の高さを調整し、アライメントマーク2aを撮像する。そして、このアライメントマーク2aと対になるアライメントマーク3aの高さに基づいて撮像手段昇降機構43により撮像手段42の高さを調節し、当該アライメントマーク3aを撮像する。そして、右下の隅のアライメントマーク3aを撮像するために、ステージ移動機構34により、対象となる実装後の電子部品2の右下の隅が検査位置P4に来るように基板ステージ33を移動させる。これにより、右下の隅のアライメントマーク3aが被写界深度に収まるため、撮像手段42により撮像する。その後、右下の隅のアライメントマーク2aを撮像するために、アライメントマーク2aの高さに基づいて、撮像手段昇降機構43により撮像手段42の高さを調節し、撮像手段42により右下隅のアライメントマーク2aを撮像する。
【0067】
次に、得られた画像から、判定部59により、実装後の電子部品2と基板3の位置ずれを判定する(ステップS13)。位置ずれが許容できる範囲、すなわち位置合わせ良好と判定した場合は(ステップS13のYES)、ステップS01に戻って、次の電子部品2の実装に移る。ステップS01~S13を繰り返し、供給ステージ11上の電子部品2がなくなると、システムの稼働を停止する。一方、判定部59が、位置ずれが許容できない範囲、すなわち位置合わせ不良と判定した場合は(ステップS13のNO)、報知手段により作業員に報知し、システムを停止し、終了する。位置合わせ不良の電子部品2は基板3から剥がして再利用しても良い。
【0068】
(効果)
(1)電子部品2を基板3に実装する実装装置30であって、電子部品2を搬送し、基板3に実装するボンディングヘッド31と、基板3を載置する基板ステージ33と、実装をした後の電子部品2及び基板3との位置ずれを検査する検査ユニット40と、を備え、検査ユニット40は、ボンディングヘッド31に設けられ、ボンディングヘッド31により電子部品2を基板3に実装した際のボンディングヘッド31の高さを検出する高さ検出部41と、レンズを有し、実装をした後の電子部品2及び基板3を撮像する撮像手段42と、撮像手段42を昇降させる撮像手段昇降機構43と、高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さに基づいて、撮像手段42の高さを調節するように撮像手段昇降機構43を制御する昇降機構制御部57と、を有するようにした。
【0069】
これにより、生産効率を向上させつつ、実装後の電子部品2と基板3の位置ずれを検査することができる。すなわち、電子部品2を基板3に実装する際にボンディングヘッド31に設けられた高さ検出部41によりボンディングヘッド31の高さを検出するので、電子部品2の高さを別途測定する必要がない。そのため、レーザ変位計等で別途電子部品2の高さを測定する場合と比べて、生産効率を向上させることができる。また、検出したボンディングヘッド31の高さに基づいて撮像手段42の高さを調節するので、電子部品2、基板3を被写界深度に収めてピントの合った撮像画像を得ることができ、電子部品2と基板3の位置ずれを正確に検査することができる。
【0070】
(2)記憶部55を備え、記憶部55は、高さ検出部41により検出したボンディングヘッド31の高さを記憶するようにした。これにより、ボンディングヘッド31の高さを撮像手段42の高さ調整にフィードバックすることができる。
【0071】
(3)電子部品2をボンディングヘッド31により基板3に実装する実装位置P3と、実装をした後の電子部品2及び基板3を撮像手段42により撮像することで当該電子部品2と当該基板3との位置ずれを検査する検査位置P4と、基板ステージ33を移動させるステージ移動機構34と、を備え、実装位置P3と検査位置P4は、異なる場所にそれぞれ固定して設けられ、ステージ移動機構34は、実装をした後の電子部品2が実装位置P3から検査位置P4に来るように、基板ステージ33を移動させるようにした。
【0072】
これにより、撮像手段42を実装位置P3に移動させる場合よりも、実装後の電子部品2と基板3との正確な位置ずれを検査することができる。すなわち、撮像手段42、特に、10倍を超えるような高倍率の撮像手段42は、レンズ部分がデリケートな構造で形成されている。このようなレンズ部分を含む撮像手段42を、実装位置P3と検査位置P4との間の移動のような、ピント調整等の微小量の移動と比べてはるかに大きな距離の移動を行なわせた場合、レンズ部分に大きな負荷が生じる。レンズ部分は、移動を前提として構成された基板ステージ33等とは異なり、大きな負荷を繰り返し受けることによって破損や誤差を生じ易い。この結果、正確な位置ずれの検査が行なえなくなるおそれがある。これに対し、撮像手段42による検査位置P4を固定とし、実装位置P3と検査位置P4との間を基板ステージ33が移動させる構成とすることにより、上述の不具合が回避できるので、正確な位置ずれ検査が行える。
【0073】
(4)昇降機構制御部57は、ステージ移動機構34により実装位置P3の電子部品2が検査位置P4に移動した際の電子部品2の高さ変動量を含めたボンディングヘッド31の高さに基づいて、撮像手段42の高さを調節するようにした。これにより、実装後の電子部品2と基板3との正確な位置ずれを検査することができる。すなわち、実装後の電子部品2を実装位置P3から検査位置P4に移動させるのは、ステージ移動機構34である。このステージ移動機構34を構成する各部材の上下方向のうねりによって、XY平面と平行移動させるときに上下の変動が生じてしまう場合があっても、その分の高さ変動を加味して撮像手段42を高さ方向に移動させているので、被写界深度が浅いレンズの撮像手段42によっても、電子部品2と基板3をピントを合わせてそれぞれ撮像でき、位置ずれの検査を正確にすることができる。
【0074】
(5)レンズの被写界深度は、10μm以下とした。これにより、高精度化、又は高密度化した電子部品2、基板3の回路を撮影することができる。
【0075】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、上記実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0076】
(1)上記実施形態では、実装位置P3に位置する実装後の電子部品2を検査位置P4に移動させる際の基板ステージ33の高さ変動量を考慮して高さ変動マップを予め作成するものとしていたが、実装位置P3と検査位置P4を100mm以内に設けても良い。本願発明者の知見によれば、基板ステージ33の移動範囲が100mm以内であれば、基板ステージ33の高さ変動量がないか、小さく、すなわち、10μm以内に抑えることができるので、撮像対象となる電子部品2、基板3のアライメントマークを撮像手段42のレンズの被写界深度(10μm)内に収めてピントの合った撮像画像を得ることができる。換言すれば、実装位置P3と検査位置P4を100mm以内の距離に設けることで、実装位置P3から検査位置P4に実装後の電子部品2をステージ移動機構34により移動させたとしても、ステージ移動機構34による上下変動は、被写界深度以内に収めることができ、無視できる範囲である。これにより、高さ変動マップを予め測定する必要がなくなるので、実装装置30の装置構成を簡易化することができる。
【0077】
(2)上記実施形態では、撮像手段42をXY平面上の固定された位置に設けていたが、撮像手段42は、XY平面と平行に可動であっても良い。例えば、検査位置P4を実装位置P3に一致させても良い。この場合、例えば、電子部品2の実装後、ボンディングヘッド31が実装位置P3から次の電子部品2を受け取るために退避した後、実装位置P3に撮像手段42を移動させ、実装位置P3で電子部品2と基板3のアライメントマークを撮像する。なお、この場合、撮像手段42の移動については、レンズ部分に作用する負荷を抑えた加速度制御を行うことが好ましい。
【0078】
(3)上記実施形態では、電子部品2を基板3にフェイスダウン方式で実装したが、実装装置30は、電子部品2のバンプ等により構成される電極が形成された面が、基板3とは反対側に向けられたフェイスアップ方式で実装しても良い。
【0079】
(4)ピックアップヘッド21が保持した電子部品2をボンディングヘッド31に受け渡すまでの間に、電子部品2に接着作用のあるフラックスを塗布するようにしても良い。
(5)上記実施形態では、基板ステージ33上の各位置が実装位置P3から検査位置P4に移動した場合に生じる基板ステージ33の高さ変動量を考慮した高さ変動マップの取得について、各位置P3、P4で基板ステージ33上にボンディングヘッド31の先端を当接させて測定する方法を例示した。但し、測定方法は、これに限られるものではなく、他の測定方法で取得するようにしても良い。例えは、実装位置P3については、上記で説明したように、ボンディングヘッド31の先端を基板ステージ33に当接させたときのボンディングヘッド31の高さ位置を検出することによって測定する。また、検査位置P4については、基板ステージ33上に、測定用治具を載置した状態で、測定用治具上に付されたアライメントマークにピントが合ったときの撮像手段42の高さ位置を検出することによって測定する。ここで、測定用治具は、例えば、平坦なガラス基板の上面にアライメントマークをXY方向それぞれに所定の間隔で配置したものを用いることができる。ガラス基板は厚みのバラツキを無視できる程度に形成することができる。また、撮像手段42のピント合わせは、作業者が手動操作によって行うことができる。撮像手段42の高さ位置の検出は、撮像手段42を昇降させる撮像手段昇降機構43に付随されるエンコーダ等の位置検出器を用いて検出することができる。このようにして、検出した撮像手段42の高さ位置からガラス基板の厚さを差し引くことで、基板ステージ33の高さを得ることができる。なお、実装位置P3において行うボンディングヘッド31の高さ位置の検出は、基板ステージ33に測定用治具であるガラス基板を載置した状態で行なっても良い。このようにすれば、撮像手段42の高さ位置からガラス基板の厚さを差し引くことなく、両者の検出値をそのまま比較することができる。このようにすることによって、ボンディングヘッド31を検査位置P4に移動させたり、検査位置P4から撮像手段42を待避させたりすることなく、高さ変動マップを得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 電子部品実装システム
2 電子部品
2a アライメントマーク
3 基板
3a アライメントマーク
10 供給装置
11 供給ステージ
12 シート
13 カメラ
20 ピックアップ装置
21 ピックアップヘッド
21a 吸着ノズル
22 ヘッド移動機構
23 支持フレーム
30 実装装置
31 ボンディングヘッド
31a 吸着ノズル
32 ヘッド移動機構
321 スライド機構
321a レール
321b スライダ
322 昇降機構
33 基板ステージ
34 ステージ移動機構
35 撮像手段
40 検査ユニット
41 高さ検出器
42 撮像手段
43 撮像手段昇降機構
50 制御装置
51 供給装置制御部
52 ピックアップヘッド制御部
53 ボンディングヘッド制御部
54 基板ステージ制御部
55 記憶部
56 高さ算出部
57 昇降機構制御部
58 撮像手段制御部
59 判定部
P1 供給位置
P2 受け渡し位置
P3 実装位置
P4 検査位置