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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】シート供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20240111BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20240111BHJP
   B65H 3/08 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B65H3/56 330S
B65H3/48 310Z
B65H3/08 342C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019147430
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028255
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】森田 悦久
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-190022(JP,A)
【文献】特開2005-343621(JP,A)
【文献】特開2017-202895(JP,A)
【文献】特開平07-196187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0051229(US,A1)
【文献】特開2005-239311(JP,A)
【文献】特開2009-208858(JP,A)
【文献】特開2018-135176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載台上に積載されたシートを浮上させる浮上部と、
前記浮上部により浮上させられたシートのうちの最上位のシートを吸着して搬送する搬送部と、
前記搬送部によるシートの搬送方向における前記積載台の下流側に配置され、前記搬送方向に直交するガイド面の上端に連接され、前記搬送方向の上流側ほど低くなる傾斜面を有するガイド部と、
前記搬送方向における前記ガイド面より下流側で前記傾斜面の下流端より上流側に配置され、前記浮上部により浮上させられたシートのうちの前記搬送部に吸着された最上位のシート以外のシートをせき止めるせき止め部とを備え、
前記傾斜面は、前記せき止め部にせき止められて落下するシートを積載状態に戻るようにガイドするものであることを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記せき止め部は、前記搬送方向における上流側ほど低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記せき止め部は、前記傾斜面よりも水平方向に対する傾きが大きいことを特徴とする請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記傾斜面における前記せき止め部より下側の部分のうちの少なくとも一部は、前記浮上部がシートを浮上させる領域内にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを供給するシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを供給するシート供給装置として、給紙台上に積載された用紙に空気を吹き付けることで用紙を浮上させて最上位(一番上)の用紙を吸着搬送手段に吸着させ、この吸着搬送手段により用紙を搬送して給紙を行う給紙装置が知られている。
【0003】
この種の給紙装置として、特許文献1には、給紙台に積載された用紙の先端が当接するガイド壁に対して用紙の搬送方向における下流側に固定され、ガイド壁の上端より上に突出したサバキ部材を有するものが開示されている。この給紙装置では、浮上した用紙のうち吸着搬送手段に吸着された最上位の用紙以外の用紙をサバキ部材でせき止め、用紙の重送を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-239310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の給紙装置では、サバキ部材の上流側においてガイド壁の上端がサバキ部材との境界部分の段差を形成しているため、サバキ部材に突き当たって落下する用紙がガイド壁の上端に引っかかり、落下後の用紙の積載状態が乱れるおそれがある。
【0006】
用紙の積載状態が乱れると、用紙を浮上させた際の用紙の挙動が乱れ、給紙の不具合を招くおそれがある。例えば、上から2枚目以下の用紙が浮上しすぎて最上位の用紙とともに吸着搬送手段に吸着されることで、用紙の重送が発生することがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、シート供給の不具合を低減できるシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のシート供給装置は、積載台上に積載されたシートを浮上させる浮上部と、前記浮上部により浮上させられたシートのうちの最上位のシートを吸着して搬送する搬送部と、前記搬送部によるシートの搬送方向における前記積載台の下流側に配置され、前記搬送方向に直交するガイド面の上端に連接され、前記搬送方向の上流側ほど低くなる傾斜面を有するガイド部と、前記搬送方向における前記ガイド面より下流側で前記傾斜面の下流端より上流側に配置され、前記浮上部により浮上させられたシートのうちの前記搬送部に吸着された最上位のシート以外のシートをせき止めるせき止め部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート供給装置によれば、シート供給の不具合を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る給紙装置の概略構成図である。
図2図1に示す給紙装置の制御ブロック図である。
図3図1に示す給紙装置の平面図である。
図4図1に示す給紙装置のメイン浮上エア吹出口近傍の拡大図である。
図5図1に示す給紙装置の給紙ガイド板およびサバキゲートの説明図である。
図6図1に示す給紙装置のサイドフェンスの部分拡大図である。
図7図1に示す給紙装置における用紙の浮上状態を示す図である。
図8図1に示す給紙装置における用紙の落下終了時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る給紙装置の概略構成図である。図2は、図1に示す給紙装置の制御ブロック図である。図3は、図1に示す給紙装置の平面図である。図4は、図1に示す給紙装置のメイン浮上エア吹出口近傍の拡大図である。図5は、図1に示す給紙装置の給紙ガイド板およびサバキゲートの説明図である。図6は、図1に示す給紙装置のサイドフェンスの部分拡大図である。以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0014】
図1図3に示すように、本実施の形態に係る給紙装置(シート供給装置に相当)1は、給紙台(積載台に相当)2と、昇降モータ3と、給紙ガイド板(ガイド部に相当)4と、サバキゲート5と、2つのサイドフェンス6と、エンドフェンス7と、浮上部8と、分離部9と、搬送部10と、上限センサ11と、制御部12とを備える。
【0015】
給紙装置1は、印刷装置の印刷部(図示せず)に対して用紙(シートに相当)Pを給紙する装置である。図1において左から右に向かう方向が、給紙動作時の搬送部10による用紙Pの搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、搬送部10による用紙Pの搬送方向における上流、下流を意味する。
【0016】
給紙台2は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。給紙台2は、昇降可能に構成されている。
【0017】
昇降モータ3は、給紙台2を昇降させる。
【0018】
給紙ガイド板4は、給紙台2上の用紙Pの下流端(右端)の位置を規制する部材である。給紙ガイド板4は、給紙台2の下流側近傍であって、後述するベルトユニット51の下流端部の下方に配置されている。給紙ガイド板4は、鉛直面(ガイド面に相当)4aと、傾斜面4bとを有する。
【0019】
鉛直面4aは、鉛直方向(上下方向)に平行で、搬送部10による用紙Pの搬送方向(左右方向)に直交する面である。鉛直面4aは、給紙台2上の用紙Pの下流端の位置を規制する面である。
【0020】
傾斜面4bは、鉛直面4aの上端に連接され、上流側ほど低くなるように傾斜している面である。傾斜面4bは、浮上部8により浮上させられた用紙Pが落下する際に、給紙ガイド板4に引っかからずに積載状態に戻るように用紙Pをガイドする面である。傾斜面4bの上端は、後述するベルトユニット51の搬送面56bより低い位置にある。
【0021】
また、給紙ガイド板4には、図3図4に示すように、後述するメイン浮上機構部21から給紙台2上の用紙Pに空気を吹き付けるための切り欠き部4cが、前後方向における中央部の上部を切り欠いて形成されている。
【0022】
サバキゲート5は、浮上部8により浮上させられた用紙Pのうちの搬送部10に吸着された最上位の用紙P以外の用紙Pをせき止める部材である。2つのサバキゲート5が、搬送部10の下流端部の下方近傍において、前後方向に互いに離間して設置されている。サバキゲート5は、給紙ガイド板4の鉛直面4aより下流側に配置されている。
【0023】
サバキゲート5は、せき止め面(せき止め部に相当)5aを有する。せき止め面5aは、用紙Pをせき止める面である。図5に示すように、せき止め面5aは、サバキゲート5の上流側(左側)の面のうち、前側または後側から見て給紙ガイド板4の傾斜面4bと交差する位置から上の部分である。
【0024】
せき止め面5aは、給紙ガイド板4の鉛直面4aより下流側で傾斜面4bの下流端(上端)より上流側に配置されている。せき止め面5aは、上流側ほど低くなるように傾斜している。せき止め面5aは、傾斜面4bよりも水平方向に対する傾きが大きく、用紙Pをせき止める機能は果たせる傾斜角度で設けられている。
【0025】
せき止め面5aは、その上端と後述するベルトユニット51の搬送面56bとの間隔が、所定の設定間隔値となるように配置されている。設定間隔値は、ベルトユニット51の搬送面56bに吸着して搬送される最上位の用紙Pのみが、搬送面56bとせき止め面5aとの間の通過が許容されるように設定された値である。
【0026】
サイドフェンス6は、給紙台2上の用紙Pの前後方向における位置を規制する部材である。2つのサイドフェンス6は、前後方向に互いに離間して配置されている。図6に示すように、サイドフェンス6には、サイド浮上エア吹出口16およびサイド分離エア吹出口17が形成されている。また、図3図4図6に示すように、サイドフェンス6には、整流部材18が設けられている。なお、図6は、後側のサイドフェンス6を前側から見た図である。
【0027】
サイド浮上エア吹出口16は、後述するサイド浮上機構部22が発生させるサイド浮上気流の吹出口である。サイド分離エア吹出口17は、後述するサイド分離機構部42が発生させるサイド分離気流の吹出口である。
【0028】
整流部材18は、浮上部8によって浮上させられた給紙台2上の用紙Pのうちの最上位の用紙Pを引き寄せ、最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間にサイド分離気流が流れるようにするための部材である。整流部材18は、サイドフェンス6の内側(給紙台2側)の面において、サイド分離エア吹出口17の上縁に沿って取り付けられている。整流部材18は、前後方向における給紙台2の中央側に向かうほど高くなるように傾斜している。
【0029】
エンドフェンス7は、給紙台2上の用紙Pの上流端(左端)の位置を規制する部材である。エンドフェンス7は、後述するメイン浮上機構部21によるメイン浮上気流により用紙Pが上流側へ後退するのを防ぐためのものである。エンドフェンス7は、給紙台2の上方に配置されている。
【0030】
浮上部8は、給紙台2上の用紙Pに空気を吹きつけて用紙Pを浮上させる。浮上部8は、メイン浮上機構部21と、2つのサイド浮上機構部22とを備える。
【0031】
メイン浮上機構部21は、給紙台2上の用紙Pに対して下流側から用紙Pを浮上させるための空気を吹き付ける。メイン浮上機構部21は、給紙台2の下流側近傍に配置されている。メイン浮上機構部21は、メイン浮上ファン26と、シャッタ27と、2つのメイン浮上エア吹出口28とを備える。
【0032】
メイン浮上ファン26は、給紙台2上の用紙Pに対して下流側から空気を吹き付けて用紙Pを浮上させるためのメイン浮上気流を発生させる。
【0033】
シャッタ27は、メイン浮上エア吹出口28からのメイン浮上気流の吹き出しとその停止とを切り替える。メイン浮上ファン26の駆動中において、シャッタ27が開放されている状態では、メイン浮上エア吹出口28からメイン浮上気流が吹き出し、シャッタ27が閉鎖されている状態では、メイン浮上エア吹出口28からのメイン浮上気流の吹き出しが停止される。
【0034】
メイン浮上エア吹出口28は、メイン浮上ファン26の駆動により発生するメイン浮上気流の吹出口である。2つのメイン浮上エア吹出口28は、搬送部10の下流端部の下方近傍において、前後方向に互いに離間して配置されている。
【0035】
2つのサイド浮上機構部22は、給紙台2を挟んで互いに前後方向に離間して配置されている。2つのサイド浮上機構部22は、2つのサイドフェンス6の外側に1つずつ設置されている。
【0036】
前側のサイド浮上機構部22は、給紙台2上の用紙Pに対して前側から用紙Pを浮上させるための空気を吹き付ける。後側のサイド浮上機構部22は、給紙台2上の用紙Pに対して後側から用紙Pを浮上させるための空気を吹き付ける。サイド浮上機構部22は、サイド浮上ファン31と、シャッタ32とを備える。
【0037】
サイド浮上ファン31は、給紙台2上の用紙Pに対してサイドフェンス6のサイド浮上エア吹出口16から空気を吹き付けて用紙Pを浮上させるためのサイド浮上気流を発生させる。
【0038】
シャッタ32は、サイド浮上エア吹出口16からのサイド浮上気流の吹き出しとその停止とを切り替える。サイド浮上ファン31の駆動中において、シャッタ32が開放されている状態では、サイド浮上エア吹出口16からサイド浮上気流が吹き出し、シャッタ32が閉鎖されている状態では、サイド浮上エア吹出口16からのサイド浮上気流の吹き出しが停止される。
【0039】
分離部9は、浮上部8により浮上させられた用紙Pのうちの最上位の用紙Pと上から2枚目以下の用紙Pとを分離させる。分離部9は、メイン分離機構部41と、2つのサイド分離機構部42とを備える。
【0040】
メイン分離機構部41は、浮上部8により浮上させられて搬送部10に吸着した最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間に下流側から空気を流し込む。メイン分離機構部41は、メイン分離ファン46と、2つのメイン分離エア吹出口47とを備える。
【0041】
メイン分離ファン46は、搬送部10に吸着した最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間に下流側から空気を流し込んで最上位の用紙Pと上から2枚目以下の用紙Pとを分離させるためのメイン分離気流を発生させる。
【0042】
メイン分離エア吹出口47は、メイン分離ファン46の駆動により発生するメイン浮上気流の吹出口である。2つのメイン分離エア吹出口47は、搬送部10の下流端部の下方近傍において、前後方向に互いに離間して配置されている。メイン分離エア吹出口47は、搬送部10に向けて上向きに空気を吹き出す。
【0043】
2つのサイド分離機構部42は、給紙台2を挟んで互いに前後方向に離間して配置されている。2つのサイド分離機構部42は、2つのサイドフェンス6の外側に1つずつ設置されている。サイド分離機構部42は、サイド浮上機構部22の左側に隣接して配置されている。
【0044】
サイド分離機構部42は、浮上部8により浮上させられた用紙Pのうちの最上位の用紙Pを整流部材18に引き寄せるとともに、最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとを分離させるためのサイド分離気流をサイドフェンス6のサイド分離エア吹出口17から吹き出す。サイド分離機構部42は、サイド分離気流を発生させるサイド分離ファン48を備える。
【0045】
搬送部10は、浮上部8により浮上させられた用紙Pのうちの最上位の用紙Pを吸着して搬送する。搬送部10は、2つのベルトユニット51と、搬送モータ52と、チャンバ53と、サクションファン54とを備える。
【0046】
ベルトユニット51は、用紙Pを吸着保持して搬送する。2つのベルトユニット51は、前後方向に並列して配置されている。ベルトユニット51は、左右方向において、給紙台2の右端を跨いで配置されている。ベルトユニット51は、搬送ベルト56と、駆動ローラ57と、従動ローラ58とを備える。
【0047】
搬送ベルト56は、駆動ローラ57と従動ローラ58とに掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト56には、複数のベルト穴56aが全周に渡って形成されている。搬送ベルト56は、サクションファン54の駆動によりベルト穴56aに発生する吸着力により、搬送ベルト56の下面である搬送面56bに用紙Pを吸着保持する。用紙Pを吸着保持した状態で駆動ローラ57の駆動により搬送ベルト56が回転(無端移動)することで、用紙Pが搬送される。
【0048】
駆動ローラ57は、搬送ベルト56を回転(無端移動)させる。2つのベルトユニット51の駆動ローラ57は、シャフト59により互いに接続されている。
【0049】
従動ローラ58は、駆動ローラ57とともに搬送ベルト56を支持する。従動ローラ58は、回転する搬送ベルト56に従動回転する。2つのベルトユニット51の従動ローラ58は、シャフト60により互いに接続されている。
【0050】
搬送モータ52は、シャフト59を回転させることにより、駆動ローラ57を回転させる。
【0051】
チャンバ53は、ベルトユニット51のベルト穴56aに吸着力を発生させるための負圧室を形成するものである。チャンバ53は、搬送ベルト56の搬送面56bが露出するように、ベルトユニット51を内部に保持している。チャンバ53の底板の搬送ベルト56が通過する部分には、通気穴(図示せず)が形成されている。搬送ベルト56の搬送面56bのベルト穴56aおよびチャンバ53の通気穴を介したチャンバ53内への空気の吸引により、ベルト穴56aに吸着力が発生する。
【0052】
サクションファン54は、チャンバ53から排気する。サクションファン54がチャンバ53から排気すると、搬送ベルト56のベルト穴56aおよびチャンバ53の通気穴を介してチャンバ53外から空気がチャンバ53内に吸引される。サクションファン54は、チャンバ53の上側に配置されている。
【0053】
上限センサ11は、給紙台2上に積載された用紙Pのうちの最上位の用紙Pが所定の上限位置にあるか否かを検出するためのものである。上限センサ11は、反射型の光センサからなる。
【0054】
制御部12は、給紙装置1全体の動作を制御する。制御部12は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0055】
次に、給紙装置1の動作について説明する。
【0056】
給紙開始が指示されると、制御部12は、メイン浮上ファン26、2つのサイド浮上ファン31、メイン分離ファン46、2つのサイド分離ファン48、およびサクションファン54の駆動を開始させる。シャッタ27および2つのシャッタ32はいずれも開放状態である。
【0057】
これにより、メイン浮上エア吹出口28からメイン浮上気流、サイド浮上エア吹出口16からサイド浮上気流、メイン分離エア吹出口47からメイン分離気流、サイド分離エア吹出口17からサイド分離気流がそれぞれ吹き出す。また、ベルトユニット51のベルト穴56aに吸着力が発生する。
【0058】
メイン浮上気流およびサイド浮上気流により、図7に示すように、浮上領域F内の用紙Pが浮上し、浮上した用紙Pのうちの最上位の用紙Pが、ベルトユニット51の搬送面56bに吸着される。浮上領域Fは、浮上部8が用紙Pを浮上させる範囲であり、搬送面56bからその下方の所定高さ位置までの領域である。浮上領域Fの下限は、せき止め面5aの下端より下方にある。すなわち、給紙ガイド板4の傾斜面4bにおけるせき止め面5aより下側の部分のうちの少なくとも一部は、浮上領域F内にある。
【0059】
ここで、用紙Pが浮上する際、サイドフェンス6近傍では、サイド分離エア吹出口17から吹き出したサイド分離気流が整流部材18に沿って流れることで、整流部材18と最上位の用紙Pとの間が負圧状態となる。これにより、最上位の用紙Pが整流部材18に引き寄せられ、整流部材18に接触する。この結果、最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間にサイド分離気流が流れるようになる。
【0060】
一方、メイン分離機構部41側では、最上位の用紙Pが搬送面56bに吸着された後、メイン分離エア吹出口47から吹き出すメイン分離気流が、搬送面56bに吸着された最上位の用紙Pに沿って、上流側(左側)へ向かって流れる。
【0061】
これにより、最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間において、メイン分離気流と前側からのサイド分離気流と後側からのサイド分離気流とが衝突して正圧が発生する。
【0062】
この状態において、制御部12は、シャッタ27および2つのシャッタ32を閉鎖するよう制御する。また、制御部12は、シャッタ27,32が閉鎖されてから、搬送モータ52を制御してベルトユニット51の駆動を開始させる。
【0063】
ベルトユニット51の駆動開始により、搬送面56bに吸着された最上位の用紙Pが右方向に搬送され始める。
【0064】
また、シャッタ27,32が閉鎖されることで、メイン浮上エア吹出口28からのメイン浮上気流の吹き出し、およびサイド浮上エア吹出口16からのサイド浮上気流の吹き出しが停止される。これにより、最上位の用紙Pと上から2枚目の用紙Pとの間の正圧により上から2枚目以下の用紙Pが押し下げられることで、最上位の用紙Pと上から2枚目以下の用紙Pとが分離される。2枚目以下の用紙Pは、給紙台2上に残っている用紙P上に落下する。
【0065】
上記のようにして、ベルトユニット51により最上位の用紙Pが搬送されつつ、上から2枚目以下の用紙Pが落下する。
【0066】
ベルトユニット51により搬送される最上位の用紙Pは、搬送面56bとサバキゲート5との間の隙間を通過して、給紙先へ向けて搬送される。
【0067】
上から2枚目以下の用紙Pは、サバキゲート5のせき止め面5aにせき止められて落下する。この際、せき止め面5aおよび給紙ガイド板4の傾斜面4bにより、落下する用紙Pの下流端がガイドされる。傾斜面4bの傾斜により、落下する用紙Pが給紙ガイド板4に引っかかることが抑えられる。また、せき止め面5aが傾斜しているため、せき止め面5aと傾斜面4bとの境界部分でも用紙Pをスムーズにガイドできるので、用紙Pが給紙ガイド板4に引っかかることがより抑えられる。
【0068】
用紙Pの落下が終了すると、図8に示すように、ベルトユニット51により搬送される用紙P以外の用紙Pは給紙台2上に積載された状態に戻る。
【0069】
用紙Pの落下終了後、所定の上限検出タイミングにおいて、制御部12は、上限センサ11の出力信号に基づき、給紙台2上の用紙Pのうちの最上位の用紙Pが上限位置にあるか否かを判断する。最上位の用紙Pが上限位置にないと判断した場合には、制御部12は、最上位の用紙Pが上限位置に達するまで給紙台2を上昇させる。
【0070】
次いで、制御部12は、ベルトユニット51の駆動開始後の所定のタイミングにおいて、ベルトユニット51を停止させる。この後、制御部12は、次の用紙Pの給紙のために、シャッタ27および2つのシャッタ32を開放し、浮上領域F内の用紙Pを浮上させる。
【0071】
上記の動作を繰り返すことにより、用紙Pが給紙装置1から給紙先へ順次給紙される。
【0072】
以上説明したように、給紙装置1では、給紙ガイド板4が上端部に傾斜面4bを有する。そして、サバキゲート5のせき止め面5aが、給紙ガイド板4の鉛直面4aより下流側で傾斜面4bの下流端より上流側に配置されている。これにより、傾斜面4bが落下する用紙Pをガイドすることで、用紙Pが落下途中に給紙ガイド板4に引っかかることが抑えられる。これにより、落下後の用紙Pの積載状態が乱れることが抑えられる。この結果、浮上部8により用紙Pを浮上させた際の用紙Pの挙動が乱れることによる給紙の不具合を低減できる。
【0073】
ここで、本実施の形態とは異なり、給紙ガイド板4に傾斜面4bがなく、給紙ガイド板4が上端まで鉛直な平面状であるとすると、落下する用紙Pが給紙ガイド板4の上端に引っかかって正常に落下せず、落下後の用紙Pの積載状態が乱れるおそれがある。積載状態が乱れた用紙Pに空気を吹き付けて浮上させると、例えば、上から2枚目以下の用紙Pが浮上しすぎて最上位の用紙Pと正常に分離できず、用紙Pの重送が発生するおそれがある。
【0074】
これに対し、本実施の形態では、上述のように、落下後の用紙Pの積載状態が乱れることが抑えられるので、用紙Pを浮上させた際の用紙Pの挙動が乱れることによる給紙の不具合を低減できる。
【0075】
また、給紙装置1では、サバキゲート5が給紙ガイド板4の鉛直面4aより下流側に配置されるので、部品のバラツキ等があっても、サバキゲート5が給紙ガイド板4の鉛直面4aより上流側に出っ張って配置されることが抑えられる。
【0076】
サバキゲート5が給紙ガイド板4の鉛直面4aより上流側に出っ張っていると、給紙台2の上昇時に給紙台2上の用紙Pがサバキゲート5に接触して上流側へ後退することがある。給紙台2上の用紙Pが上流側へ後退すると、メイン浮上機構部21のメイン浮上気流による用紙Pの浮上効果が低下し、用紙Pがベルトユニット51に吸着されず、用紙Pの空送が発生するおそれがある。
【0077】
これに対し、給紙装置1では、サバキゲート5が給紙ガイド板4の鉛直面4aより上流側に出っ張ることが抑えられるので、上述のような用紙Pの空送の発生を抑えることができる。
【0078】
また、給紙装置1では、サバキゲート5のせき止め面5aが、上流側ほど低くなるように傾斜している。これにより、せき止め面5aと傾斜面4bとの境界部分でも用紙Pをスムーズにガイドできるので、用紙Pが給紙ガイド板4に引っかかることがより抑えられる。
【0079】
なお、サバキゲート5のせき止め面5aが、給紙ガイド板4の鉛直面4aに平行な面であってもよい。この場合でも、給紙ガイド板4の傾斜面4bが落下する用紙Pをガイドすることで、用紙Pが落下途中に給紙ガイド板4に引っかかることが抑えられる。
【0080】
また、用紙以外のシートを供給する装置にも本発明は適用可能である。
【0081】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0082】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0083】
(付記1)
積載台上に積載されたシートを浮上させる浮上部と、
前記浮上部により浮上させられたシートのうちの最上位のシートを吸着して搬送する搬送部と、
前記搬送部によるシートの搬送方向における前記積載台の下流側に配置され、前記搬送方向に直交するガイド面の上端に連接され、前記搬送方向の上流側ほど低くなる傾斜面を有するガイド部と、
前記搬送方向における前記ガイド面より下流側で前記傾斜面の下流端より上流側に配置され、前記浮上部により浮上させられたシートのうちの前記搬送部に吸着された最上位のシート以外のシートをせき止めるせき止め部と
を備えることを特徴とするシート供給装置。
【0084】
(付記2)
前記せき止め部は、前記搬送方向における上流側ほど低くなるように傾斜していることを特徴とする付記1に記載のシート供給装置。
【符号の説明】
【0085】
1 給紙装置
2 給紙台
3 昇降モータ
4 給紙ガイド板
4a 鉛直面
4b 傾斜面
5 サバキゲート
5a せき止め面
6 サイドフェンス
7 エンドフェンス
8 浮上部
9 分離部
10 搬送部
11 上限センサ
12 制御部
21 メイン浮上機構部
22 サイド浮上機構部
41 メイン分離機構部
42 サイド分離機構部
51 ベルトユニット
52 搬送モータ
53 チャンバ
54 サクションファン
F 浮上領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8