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▶ リキッドメタル テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】アモルファス金属リベットシステム
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/10 20060101AFI20240111BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20240111BHJP
   B21J 15/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
F16B19/10 F
F16B19/00 F
B21J15/00 P
B21J15/00 W
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019173140
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2020051621
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】62/735,225
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508311710
【氏名又は名称】リキッドメタル テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Liquidmetal Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ダブリュー.ステヴィック
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-075344(JP,A)
【文献】実開昭52-029368(JP,U)
【文献】特表2015-519088(JP,A)
【文献】実開昭63-141312(JP,U)
【文献】特開2002-273544(JP,A)
【文献】特表2018-526587(JP,A)
【文献】特開2004-044653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00- 19/14
B21J 15/00
B21J 15/04
B21J 15/08
B21J 1/00- 13/14
B21J 17/00- 19/04
B21K 1/00- 31/00
C22C 45/00
F16B 5/00- 5/12
F16B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファス金属合金から少なくとも部分的に構成されたブラインドリベットであって、
ヘッド部と、
第1の脚および第2の脚を備え、前記第1の脚および前記第2の脚のそれぞれの端部がテールインターフェースを備える、テール部と、
前記ブラインドリベットの前記ヘッド部に配置され、前記ブラインドリベットの長手方向軸に沿って前記ブラインドリベットの前記テール部から離れるように延びている引張部材と、
を備え、
前記ブラインドリベットの前記ヘッド部が、第1の部材と係合するように構成され、
前記第1の脚および前記第2の脚のそれぞれの前記テールインターフェースが、第2の部材と係合するように構成され、
前記第1の脚および前記第2の脚のうちの少なくとも一方が、弾性変形して前記第1の部材を前記第2の部材に対して所定の位置に固定するように構成され、
前記引張部材が、前記ブラインドリベットに張力を発生させると同時に、前記テールインターフェースが前記第2の部材と係合したときに前記第1の脚と前記第2の脚との間の分離を低減するように作用する圧縮力を発生させるように構成される、ブラインドリベット。
【請求項2】
前記アモルファス金属合金が、約2%以上の弾性限界を有するBMG合金を含む、請求項1に記載のブラインドリベット。
【請求項3】
前記ブラインドリベットが、前記圧縮力によって前記第2の部材に対して所定の位置に固定され、前記圧縮力は、前記第1の脚と前記第2の脚との間の分離距離に起因する、請求項1または2に記載のブラインドリベット。
【請求項4】
前記ヘッド部が、前記第1の部材を前記第2の部材に固定するときに弾性変形するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラインドリベット。
【請求項5】
前記テール部に配置されたスリーブをさらに備え、前記スリーブが、前記第1の脚および前記第2の脚が分離するのを防止する圧縮力を前記第1の脚および前記第2の脚に加える、請求項1から4のいずれか一項に記載のブラインドリベット。
【請求項6】
前記ヘッド部が、
第3の脚と、
第4の脚と、
を備え、
前記引張部材は、前記第3の脚および前記第4の脚に近接して配置され、
前記第3の脚および前記第4の脚のそれぞれがヘッドインターフェースを備え、前記ヘッドインターフェースが、前記第1の部材と係合するように構成され、前記引張部材の少なくとも一部が、前記ブラインドリベットの設置中に前記ブラインドリベットから取り外されるように構成される、請求項1に記載のブラインドリベット。
【請求項7】
前記ヘッドインターフェースが、複数のカエシ状特徴を備え、前記複数のカエシ状特徴のそれぞれが、前記第1の部材と係合するように構成される、請求項に記載のブラインドリベット。
【請求項8】
前記テールインターフェースがカエシを備え、前記カエシが前記第2の部材と係合するように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載のブラインドリベット。
【請求項9】
前記複数のカエシ状特徴は、前記第3の脚と前記第4の脚とのそれぞれの長手方向に間隔を空けて配置される、請求項に記載のブラインドリベット。
【請求項10】
前記第1の脚および前記第2の脚は、シャフトの長手方向軸に伸びる平面に沿って前記シャフトを分割することにより形成される形状である、請求項1に記載のブラインドリベット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
この出願は、2018年9月24日に出願された米国仮特許出願第62/735,225号の利益および優先権を主張し、その開示全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、永久機械ファスナーの分野に関する。より具体的には、本開示は、2つ以上の金属板を互いに固定するために従来使用されるリベットに関する。これらは、接合されるワークピースのスタックの片側から適用されるブラインドリベット、およびその設置がワークピースのスタックの両側にアクセスする必要がある標準リベットを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態は、アモルファス金属合金から少なくとも部分的に構成されたブラインドリベットに関する。ブラインドリベットは、ヘッド部とテール部とを含む。テール部は、第1の脚と第2の脚とを含む。テール部は、第1の脚および第2の脚のそれぞれの端部に配置されたテールインターフェースをさらに含む。ヘッド部は、第1の部材と係合するように構成される。第1の脚および第2の脚のそれぞれのテールインターフェースは、第2の部材と係合するように構成される。第1の脚および第2の脚のうちの少なくとも一方は、第2の部材に対して第1の部材を所定の位置に固定するために弾性変形するように構成される。
【0004】
上記実施形態のいずれにおいても、ヘッド部は、第1の部材を第2の部材に固定するときに弾性変形するように構成されてもよい。上記実施形態のいずれにおいても、ブラインドリベットは、テールインターフェースの近くに配置されたスリーブを含み、ブラインドリベットの設置を容易にすることができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、ブラインドリベットは、両方ともヘッド部に配置された第3の脚および第4の脚を含んでもよい。ブラインドリベットは、第3の脚および第4の脚の近くに配置された引張部材をさらに含むことができ、引張部材は、ブラインドリベットの設置を容易にするように構成される。
【0006】
他の実施形態は、バック型リベットアセンブリに関する。バック型リベットアセンブリは、アモルファス金属合金から構成された成形可能部材を含む。成形可能部材の設置を容易にするように構成されたアンビルは、成形可能部材を通るチャネル内に少なくとも部分的に配置される。アンビルは、インターフェースシャフトと、インターフェースシャフトの第1の端部に配置されたアンビルヘッドとを含む。成形可能部材は、第2の部材に対して所定の位置に第1の部材を固定するように構成される。アンビルヘッドは、成形可能部材を第2の部材に近接して塑性変形させるように構成される。アンビルヘッドは、インターフェースシャフトに所定の張力が加えられると、インターフェースシャフトから分離するようにさらに構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、バック型リベットアセンブリは、アンビルおよび成形可能部材のうちの少なくとも一方を含む電気回路を形成してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、成形可能部材は、アンビルを超音波で励起するか、成形可能部材の1つ以上の表面にわたって急速にアンビルを回転させることにより加熱されることができる。
【0009】
他の実施形態は、バック型リベットの設置方法に関する。本方法は、第1の部材の第1の開口および第2の部材の第2の開口を介して成形可能部材を挿入することを含む。本方法はまた、成形可能部材のチャネルにアンビルを挿入することを含む。アンビルは、インターフェースシャフトと、インターフェースシャフトの第1の端部に配置されたアンビルヘッドとを含む。アンビルは、インターフェースシャフトの外面に配置された絶縁層をさらに含む。本方法は、インターフェースシャフト、アンビルヘッド、および成形可能部材を含む電気回路に電流を通すことをさらに含む。本方法は、インターフェースシャフトを引っ張って、成形可能部材の一部を変形させることをさらに含む。本方法はまた、インターフェースシャフトを破壊することも含む。
【0010】
この概要は、説明のみを目的としており、決して限定することを意図したものではない。特許請求の範囲によってのみ定義される、本明細書に記載の装置および/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、同様の参照符号が同様の要素を指している添付の図面と併せて、本明細書に記載の詳細な説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、例示的な実施形態にかかる、ブラインドリベットの軸に平行な平面を通る断面におけるブラインドリベットの側面図である。
図2A図2Aは、例示的な実施形態にかかる、リベットの軸に平行な平面を通る断面で示された、変形可能なヘッド部を備えたブラインドリベットの側面図である。
図2B図2Bは、例示的な実施形態にかかる、ワークピースのスタックを互いに固定する図2Aのブラインドリベットの側面図である。
図3A-3B】図3Aは、例示的な実施形態にかかる、ブラインドリベットの軸に平行な平面を通る断面で示された、ブラインドリベットのヘッド部およびテール部の両方に変形可能な脚を含むブラインドリベットの側面図である。図3Bは、例示的な実施形態にかかる、ワークピースのスタックを互いに固定する図3Aのブラインドリベットの側面図である。
図4図4は、例示的な実施形態にかかる、ブラインドリベットの軸に平行な平面を通る断面で示された、ブラインドリベットのヘッド部に第2のカエシのセットを含むブラインドリベットの側面図である。
図5図5は、例示的な実施形態にかかる、ブラインドリベットの軸に平行な平面を通る断面におけるツーピースブラインドリベットの側面図である。
図6図6は、例示的な実施形態にかかる、バック型リベットの軸に平行な平面を通る断面におけるバック型リベットおよび成形片である。
図7A-7B】図7Aは、図6のバック型リベットの側面斜視図である。図7Bは、図6の成形片の側面図である。
図8図8は、例示的な実施形態にかかる、バック型リベット用のアプリケータ装置の側面斜視図である。
図9図9は、例示的な実施形態にかかる、方法の概要をしめすフローチャートである。
図10図10は、例示的な実施形態にかかる、バック型リベットに平行な平面を通る断面で示された、ワークピースのスタックを互いに固定するバック型リベットの側面図である。
図11図11は、例示的な実施形態にかかる、成形片を分離した後の図10のバック型リベットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態を詳細に示す図に移る前に、本開示は、説明に記載されるかまたは図に示される詳細または方法論に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、説明のみを目的とするものであり、限定と見なされるべきではないことも理解すべきである。
【0013】
伝統的に、リベットは、接合されるものよりも硬い材料から構成される。しかしながら、高強度合金の使用が増えているため、適切なリベット材料を見つけることが問題となっている。過度の引張応力、せん断応力、ジョイントからのリベットの引き抜きなど、リベット継手に通常関連する破損モードの多くは、リベットの材料特性を改善し、接合されるリベットとワークピースとの間の接触力のメカニズムも改善することで対処されることができる。
【0014】
一般的に図を参照すると、リベットのファミリーが提供される。リベットは、バルク金属ガラス(BMG)などのアモルファス金属合金から少なくとも部分的に構成される。弾性ブラッド型リベット(例えば、接合されるワークピースのスタックの片側から挿入されるブラインドリベット)と、リベットの少なくとも1つの端部を塑性変形させることにより所定の位置に固定される標準またはバック型リベットとを含む、2種類のリベットが提供される。弾性ブラッド型リベットの設計は、大量の弾性変形に対応できる材料であるBMGの固有の特性を活用し、2つ以上のワークピース(例えば、金属板)を固定する。弾性ブラッド型リベットは、機械的に圧縮され、ワークピースの接合孔に挿入されることができる。各ブラッド型リベットのテール端部にある一連のカエシ状特徴は、リベットを所定の位置にロックする接合孔の外縁近くに展開される。各ブラッド型リベットのテール端部の弾性変形は、ワークピースを互いにロックする張力をもたらす。
【0015】
本明細書に開示されるバック型リベットのファミリーの各リベットは、ワークピースのスタックの片側または両側のいずれかで、リベットの一部を熱可塑的に変形することにより所定の位置に固定される。したがって、設置手順は、一般に、接合されるワークピースのスタックの両側にアクセスする必要がある。リベット締め工具または他のアプリケータ装置が使用され、各バック型リベットの設置を容易にする。例えば、リベット締め工具は、BMGを流れる電流を生成してBMGを急速に加熱すると同時に、力または圧力を加えてリベットの一部を熱可塑的に変形させることができる。この特定のバック型リベットの設計は、成形プロセスが完了した後、リベットを急速に冷却するために気体または液体供給システムによって使用するのに役立つ。
【0016】
リベット締め工具は、力がバック型リベットに伝達される材料またはアンビルの犠牲部品とインターフェース接続することができる。電流を使用して材料を加熱する代わりに、リベット締め工具は、リベットの表面を横切ってアンビルを急速に回転させ、アンビルに超音波エネルギを適用するか、アンビルを機械的に励起することにより、材料を加熱することができる。上記提供された一般的な描写の詳細は、図1図10を参照することによってより完全に説明される。
【0017】
ここで図1を参照すると、ブラッドリベット100として示されるブラインドリベットが提供される。ブラッドリベット100は、2つ以上のワークピースを互いに対して所定の位置に固定するように構成された永久機械ファスナーである。ブラッドリベット100には、様々な用途が考えられる。一実施形態では、ブラッドリベット100は、船の船体のために一連の金属板を互いに固定するために使用される。他の実施形態では、ブラッドリベット100は、航空機のコックピットおよび胴体の構築において薄いアルミニウムプレートを互いに固定するために使用される。ブラッドリベット100は、特に接合されたワークピースの最終重量が重要な考慮事項であるプロジェクトに対して、溶接およびボルト締めのための実行可能な代替手段を提供する。
【0018】
例示的な実施形態では、ブラッドリベット100は、スタック110として示されるスタック内で2つのワークピース(例えば、鋼またはアルミニウム板など)を互いに固定するように構成される。他の実施形態では、接合されるワークピースの数は、より多くてもよい。スタック110は、互いに直接接触して配置される、第1の金属板112として示される第1の部材と、第2の金属板114として示される第2の部材とを含む。各金属板の厚さは、構造上の要件によって異なることがある。図1の実施形態では、金属板112、114の厚さはほぼ等しい。図1に示されるように、ブラッドリベット100は、第1の金属板112および第2の金属板114のそれぞれを通って延びる開口116を介して挿入される。図1の実施形態では、開口116は、第1の金属板112に配置された第1の開口118と、第2の金属板114に配置された第2の開口120とを含む。第1の開口118および第2の開口120の両方は、円形孔である。第1の開口118は、ブラッドリベット100用のスリーブ126を収容するために、第2の開口120よりも大きい直径を有する。他の実施形態では、第1の開口118および第2の開口120のそれぞれのサイズおよび形状は、異なっていてもよい。
【0019】
様々な適切なアモルファス金属合金が、ブラッドリベット100に使用されてもよい。特に、非常に大きな弾性限界および高い引張強度を特徴とするBMG合金および/または結晶金属を含むアモルファス金属合金が使用されることができる。有利なことに、大きな弾性限界(破損する前に弾性材料が処理できる歪みの上限)を備えたBMG合金は、ブラッドリベット100を小さな開口に圧縮し、最大の把持/クランプ/保持力のために大きな状態に展開することを可能にする。適切なBMG合金は、約2%以上の歪みの弾性限界を有することができ、これは典型的な結晶金属よりも約4倍高い。様々な代替例の中で、アモルファス金属合金は、ジルコニウムベースのBMG合金またはニッケルベースのBMG合金を含むことができ、これらは両方とも製造コストが低い。代替的に、または追加的に、大気または海水などのより腐食性のある環境での振動または応力腐食に起因するブラッドリベット100の破損を回避するために、疲労寿命が改善された材料を有することが望ましいことがある。
【0020】
図1に示す例示的な実施形態では、ブラッドリベット100は、ヘッド140として示されるヘッド部と、ブラッドリベット100の反対側の端部に配置されるテール160として示されるテール部とを含む。ブラッドリベット100は、ヘッド140とテール160との間に配置された円筒状延長部180として示されるシャフトをさらに含む。図1に示されるように、ブラッドリベット100のヘッド140は、第1の金属板112の外面124と接触して配置される平坦な下面142で示される平面的な下面を有するドーム形状に形成される。他の実施形態では、ヘッド140の形状は異なっていてもよい。例えば、ヘッド140は、均一な断面を備えた矩形の形状とすることができる。あるいは、ヘッド140は、均一な断面を有する円形または第1の金属板112と適切にインターフェース接続し且つブラッドリベット100が第1の開口118を通過するのを防止する任意の他の形状とすることができる。
【0021】
図1に示すように、ブラッドリベット100のテール160は、互いに離れるように湾曲する(例えば、ブラッドリベット100のヘッド140に向かって引き剥がされる)第1の脚162および第2の脚164の2つの脚を含む。図1の実施形態では、第1および第2の脚162、164は、略半円形の断面形状をそれぞれ有する脚162、164をもたらす、ブラッドリベット100の長手方向軸102に平行に配向された平面に沿って円筒状延長部180を分割することにより形成される形状である。他の実施形態は、それぞれが同様の断面積を有するより多くの脚を含んでもよい。あるいは、1つ以上の脚は、他の脚よりも大きくても小さくてもよい。
【0022】
例示的な実施形態によれば、第1の脚162および第2の脚164のそれぞれは、第2の金属板114と係合するように構成されたカエシ166として示されるテールインターフェースを含む。いったん設置されると、カエシ166は、ブラッドリベット100が第1または第2の開口118、120のいずれかから取り外されるのを防止する。カエシ166は、ブラッドリベット100の長手方向軸102から外向きに離れて延びる小さな突起である。例えば、カエシは、鋭い先端、材料を掘り下げるように構成された隆起、材料の外縁を把持するかまたはロックするように構成されたフック形状の延長部、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。設置中、第1および第2の脚162、164は、第1の開口118および第2の開口120のうちの少なくとも1つによって互いに近接して圧縮状態に保持される。いったんブラッドリベット100が所定のポイントを超えて挿入されると、第1の脚162および第2の脚164は、展開し(例えば、互いに離れて分離する)、第2の開口120の外縁122に近接する位置(例えば、外縁122をちょうど越えた位置、または第2の開口120の内面に沿った他の固定点)で第2の金属板114にラッチする。図1に示す実施形態では、第1の脚162と第2の脚164との間の分離距離168は、ブラッドリベット100のヘッド140が第1の金属板112の外面124に近付くにつれて増加する。
【0023】
ブラッドリベット100は、ブラッドリベット100に生じる力の性質により、圧縮、接合開口を介した挿入、および所定の位置での固定が可能な幾何学的形状でBMGの高い弾性限界を利用する。ブラッドリベットは、図1の設置位置で示されている。図1の実施形態では、リベットに生じた弾性張力は、第1の部材を第2の部材に対して所定の位置に固定するように構成される。第1および第2の脚162、164が第2の金属板114の外面を越えて分離すると、ブラッドリベット100に張力が発生する。この張力は、第1の金属板112および第2の金属板114が互いに分離することおよびブラッドリベット100のヘッド140から分離することを防ぐように作用する。ブラッドリベット100が完全に設置されると、第1および第2の脚162、164に作用する圧縮力は減少するが、接合されたワークピースに応力または振動が加えられるときであっても、脚162、164を第2の金属板114としっかりと接触した状態に維持する圧縮量が残る。
【0024】
有利には、ブラッドリベット100の設置は、スタック110の片側のみへのアクセスを必要とする。例示的な実施形態では、ブラッドリベット100は、第1の脚162および第2の脚164のそれぞれを互いに向かって(例えば、ブラッドリベット100の長手方向軸102に向かって)圧縮することにより第1の開口118に挿入され、それにより、テール160の外径が第2の開口120の内径よりも小さくなるように、第1の脚162と第2の脚164との間の分離距離168を低減する。第1および第2の脚162、164を圧縮するために使用されることができる様々な工具が存在する。図1および図2Aの実施形態では、ブラッドリベット100のテール160、260の周りにスリーブ126、226を配置することにより、圧縮力が加えられる。スリーブ126、226は、ブラッドリベット100、200の設置前に脚162、164、262、264を位置決めするように構成された装置である。例えば、スリーブは、中空シリンダ、取り外し可能なCクリップもしくは留め金、またはそれらの組み合わせのいずれかとすることができる。図1および図2Aのスリーブ126、226は、短い中空シリンダの形態をとる。図2Aに示されるように、ブラッドリベット200を第1の開口118に挿入する前に、スリーブ226は、カエシ266がスリーブ226の内面228に接触するように、カエシ266の中心に置かれる。あるいは、スリーブ226は、カエシ266のすぐ上のテール260の一部に配置されてもよく、この場合、テール260のカエシ部は、設置前に、第1の開口118および第2の開口120のうちの少なくとも1つに対してブラッドリベット200を中心に置くのを助けるために使用されることができる。
【0025】
図1に示すように、ブラッドリベット100のスリーブ126は、ブラッドリベット100の設置を容易にするように構成される。図1の実施形態では、第1の開口直径130として示される第1の開口118の直径は、第2の開口直径132として示される第2の開口120の直径よりも大きい。スリーブ126は、第1の開口118と係合するように構成される。さらに、スリーブ126は、ブラッドリベット100を第1の開口118の中心に位置合わせする。例示的な実施形態では、スリーブ126の高さは、スリーブ126が第1の開口118に完全に挿入されるように、第1の金属板112の厚さ以下とすることができる。他の実施形態では、スリーブ126の高さは、第1の金属板112の厚さよりも大きく、第1の開口118と第2の金属板114のスロット134の両方と係合可能である(それにより、ブラッドリベット100を第2の開口120の中心と位置合わせする)。さらに他の実施形態では、ブラッドリベット100は、スリーブ126なしで設置される。例えば、第1の開口直径130は、カエシ166の湾曲縁170を収容するようにサイズ決めされることができ、湾曲縁170は、テール160が第1の開口118に入るとき、第1の脚162および第2の脚164のそれぞれを互いにブラッドリベット100の長手方向軸102に向かって案内するように構成される。
【0026】
例示的な実施形態では、駆動工具(例えば、ブラッドリベット100のテール160を第2の開口120に押し込むように構成されたハンマーまたは他の駆動工具)が使用され、ブラッドリベット100を金属板112、114に対して所定の位置に固定する。ブラッドリベット100の設置方法は、スリーブ126を第1の開口118に挿入し、駆動工具を使用してブラッドリベット100のテール160をスリーブ126から第2の開口120に押し込むことを含む(例えば、ブラッドリベット100のヘッド140を駆動工具と繰り返し接触させることにより)。設置中、スリーブ126は、金属板112、114に対して所定の位置に固定されたままである。ヘッド140の平坦な下面142が第1の金属板112に接触すると、ブラッドリベット100の設置が完了する。
【0027】
例示的な実施形態(図示せず)では、第1の開口直径130および第2の開口直径132のうちの少なくとも一方は、ブラッドリベット100のヘッド140とテール160との間の円筒状延長部180の外径よりも大きくてもよい。この追加の空間(例えば、接合されるブラッドリベット100とワークピースとの間の小さな環状ギャップ)は、ブラッドリベット100の第1および第2の脚162、164の大量の弾性変位によって少なくとも部分的に収容される。
【0028】
図2Aおよび図2Bは、弾性変形するように構成されたヘッド240として示されるヘッド部を含むブラッドリベット200の例示的な実施形態を示している。図2Aに示すように、ブラッドリベット200のヘッド240は、平坦な下面242として示される平坦な下面を有するドーム形状に形成される。ブラッドリベット200は、ブラッドリベット200のテール260として示されるテール部に配置された一対の脚である第1の脚262および第2の脚264を含む。設置前に、図2Aに示すように、第1の脚262および第2の脚264のそれぞれは、スリーブ226によってブラッドリベット200の長手方向軸に向かって互いに圧縮される。
【0029】
図1のブラッドリベット100の設置に使用される方法はまた、図2Aのブラッドリベット200の設置にも使用されることができる。図2Bは、第1の金属板112および第2の金属板114を接合した後の、図2Aと同じブラッドリベット200を示している。図2Bに示すように、第1の脚262および第2の脚264は、第2の開口120の外縁122を越えて展開される(例えば、互いに分離される)。第1の脚262および第2の脚264は、第2の開口120の外縁122に接触し、ブラッドリベット200が第2の開口120を通って引き戻されることを防止する。
【0030】
図2Aおよび図2Bの実施形態では、ブラッドリベット200内で生じる弾性張力の一部は、ヘッド240の変形に起因する。ブラッドリベット200の設置中、図2Bに示すように、ヘッド240の一部が弾性変形し、ヘッド240にくぼみ268として示される凹部をもたらす。ヘッド240が元の幾何学的形状(図2Aに示される)に戻ると、金属板112、114は、ブラッドリベット200で生じた弾性張力によって一体にされる。換言すれば、ヘッド240と第1および第2の脚162、164との組み合わされた変形は、ヘッド240とテール260との間で金属板112、114を互いに圧縮する弾性張力をブラッドリベット200内に生成する。
【0031】
ブラッドリベット300のさらに他の例示的な実施形態が図3Aおよび3Bに示されている。図3Aに示されるように、ブラッドリベット300は、変形可能な脚のセットをそれぞれ含むヘッド340およびテール360を含む。第1の脚362および第2の脚364は、ブラッドリベット300のテール360に近接して配置され、第3の脚342および第4の脚344は、ヘッド340に近接して配置される。図1図2A、および図2Bのブラッドリベット100、200と同様に、脚362、364、342、344のそれぞれは、第2の金属板114と係合するように構成されたインターフェース機能を含む。ブラッドリベット300の第1の脚362および第2の脚364のそれぞれは、テールカエシ366として示されるテールインターフェースを含み、ブラッドリベット300のヘッド340上の各脚342、344は、ヘッドカエシ346として示されるヘッドインターフェースを含む。ブラッドリベット300はまた、第3の脚342と第4の脚344との間の中心に配置された、破断ステム348(図3Aを参照)として示される引張部材も含む。図3Aに示すように、破断ステム348は、ブラッドリベット300の長手方向軸302に沿ってブラッドリベット300のテール360から離れるように延びている。
【0032】
破断ステム348は、アプリケータ装置と係合して、ブラッドリベット300の設置を容易にするように構成される。ブラッドリベット300を設置する方法は、テールカエシ366のそれぞれを、第2の金属板114の外縁122に近接した第2の金属板114と係合させることを含む。これは、ブラッドリベット300の長さに沿ってスリーブ(図示せず)を最初に固定することにより達成されることができ、スリーブ330は、脚362、364、342、344のそれぞれをブラッドリベット300の長手方向軸302に向かって圧縮するように構成される。例示的な実施形態では、スリーブ330は、ブラッドリベット300の全長に沿って延びる中空シリンダである(例えば、スリーブの中心軸が長手方向軸302と略平行になるように配向されたスリーブ)。例示的な実施形態では、スリーブの内径は、第1および第2の開口直径130、132とほぼ同じである。本方法は、スリーブ330の中心軸を第1の開口118の中心軸に対して中心合わせし、ブラッドリベット300をスリーブ330から第1および第2の開口118、120に直接排出することを含む。
【0033】
本方法は、ブラッドリベット300の長手方向軸302に向かって第1の脚362および第2の脚364を互いに圧縮する破断ステム348を(例えば、第1の金属板112の外面124に対して垂直な方向にブラッドリベット300のテール360から離れて)引き戻すことをさらに含む。ブラッドリベット300は、第1の脚362と第2の脚364との間の分離距離368が減少するにつれて伸びる。このプロセスは、第3の脚342および第4の脚344のそれぞれが、上縁136として示される第1の金属板112の縁に近接する第1の金属板112と係合するまで続く。本方法は、破断ステム348をブラッドリベット300から分離することにより、曲げることにより、ねじることにより、またはアプリケータ装置によって所定の力を加えることにより終了する。
【0034】
図4に示される例示的な実施形態では、ブラッドリベット400の各脚442、444のヘッドインターフェースは、複数のカエシ状特徴を含む。図4に示すように、ヘッドインターフェースは、ヘッドカエシ446のテールに面する側においてヘッドカエシ446のすぐ下に配置された第2のヘッドカエシ450をさらに含む。ヘッドカエシ446と同様に、第2のヘッドカエシ450は、第3の脚442および第4の脚444の一方に対して略垂直な方向に第3の脚442または第4の脚444のいずれかから離れて延びる小さな突起である。複数のヘッドカエシ446、450を使用すると、設置中にブラッドリベット400が別個の量だけ締め付けられることを可能にする。様々な利点の中でも、複数のヘッドカエシ446、450は、単一のブラッドリベット400の設計が様々な厚さのワークピースに対応することを可能にする。複数のヘッドカエシ446、450を使用することもまた、ワークピースを互いに固定する張力を調整するメカニズムも提供する。
【0035】
様々な例示的な実施形態では、ブラッドリベット300、400の設置方法は、異なっていてもよい。例えば、接合されるワークピースのスタック110の両側へのアクセスがユーザに提供される実施形態では、ブラッドリベット300、400をスリーブから第1および第2の開口118、120の1つに移すことが大幅に簡略化されることができる。さらにまた、スリーブの長さおよび幾何学的形状は、ブラッドリベット300、400の材料特性および幾何学的形状に応じて変更することができる。
【0036】
ヘッドインターフェースには様々な形状が考えられる。一実施形態では、ヘッドインターフェースは、第3の脚および第4の脚のそれぞれの表面に沿った鋸歯状パターンの形態をとる。他の実施形態では、ヘッドインターフェースは、第1の金属板112とラッチまたは係合するように構成されたフックの形状または他の幾何学的形状で形成される。
【0037】
ブラッドリベット500の追加の例示的な実施形態が一般に図5に示されている。同様に、ブラッドリベット500は、ヘッド540として示されるヘッド部と、ヘッド540としてブラッドリベット500の反対側の端部に配置されるテール560として示されるテール部とを含む。図5に示すように、ヘッド540およびテール560は、ネジ付きインターフェース572を介して互いに係合する別個のコンポーネントである。図1図2Aおよび図2Bのブラッドリベット100、200と同様に、ブラッドリベット500のヘッド540は、平坦な下面542で示される平面的な下面を有するドーム形状に形成される。設置中、平坦な下面542は、第1の金属板112の外面124と接触する。ネジ付きインターフェース572は、ヘッド540の平坦な下面542の中央に配置されたネジ付き延長部574を含む。ネジ付き延長部574は、テール560のネジ孔576内に収容される。
【0038】
図5の実施形態では、ブラッドリベット500のテール560およびヘッド540は、両方ともBMGから構成されるが、ヘッドは、弾性変形するようには構成されていない。あるいは、ヘッドは、他の材料(例えば、鋼合金など)から構成されてもよい。同様に、テール560は、開口116に挿入されると、ワークピースのスタック110の反対側の端部において弾性変形または展開するように構成された第1の脚562および第2の脚564を含む。図5に示すように、テール560は、第2の開口120および第1の開口118の一部を通って延びている。他の実施形態では、テール560は、第1の開口118の一部のみを通って延びている。
【0039】
有利には、図5のブラッドリベット500によって生じる張力は、設置後、ネジ付きインターフェース572を介して容易に調整されることができる。例示的な実施形態では、ヘッド540は、締結工具と係合するように構成された締結具インターフェースを含むことができる。一実施形態では、ファスナーインターフェースは、様々な種類のネジ駆動装置(例えば、六角、スロット駆動装置など)の1つである。他の実施形態では、ヘッド540は、六角ヘッドキャップネジまたは他の種類のボルトである。
【0040】
リベットアセンブリ600として示される、バック型リベットアセンブリの例示的な実施形態が図6に提供される。リベットアセンブリ600は、リベット片602として示される成形可能部材と、成形片604として示されるアンビルとを含む。成形片604は、リベット片602のチャネル606内に収容されるように構成される。リベット片602は、図7Aにおいて成形片604から分離されて示される一方で、成形片604は、図7Bにおいてリベット片602から分離されて示されている。
【0041】
図7Aに示すように、リベット片602は、円筒状延長部610として示されるシャフトの第1の端部に配置される、ヘッド608として示されるヘッド部を含む。例示的な実施形態では、リベット片602は、アモルファス金属合金から単一片として形成される。図1図2A図2B、および図5に示されるブラッドリベットと同様に、リベット片602のヘッド608は、第1の金属板112および第2の金属板114のうちの一方に接触するように構成される、平坦な下面612で示される平坦な下面を有するドーム形状に形成される(図9図10も参照)。リベット片602の円筒状延長部610は、第1の開口118および第2の開口120の両方に同時に適合するサイズの外径を有する。
【0042】
様々な適切なアモルファス金属合金が、リベット片602に使用されてもよい。適度に大きな熱可塑性処理窓または過冷却液体領域を有するアモルファス金属合金は、この用途にとって特に魅力的である。過冷却液体領域(ΔTx)は、結晶化の開始に関連する温度(Tx)とガラス転移温度(Tg)との間の分離(例えば、温度差)として定義される。適切なアモルファス金属合金は、約20℃から130℃以上の範囲内のサブ冷却液体領域ΔTx=Tx-Tgを有するBMG合金を含むことができる。他の可能な候補は、チタン、鉄、およびニッケルベースのBMG合金を含む。さらに他の可能な候補は、ジルコニウムベースのBMGを含み、これは、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、およびベリリウムの1つまたは組み合わせと合金化されることができる。ジルコニウムBMGはまた、イットリウムおよびスカンジウムなどの少量の合金添加物として、1つ以上のグループ3元素と合金化され、商業規模生産の実行可能性を改善することもできる。
【0043】
図6および図7Bの実施形態では、成形片604は、リベット片602の中心軸に沿って延びるチャネル606として示される開口に少なくとも部分的に配置されるように構成される。図7Bに示すように、成形片604は、第1の端部および第2の端部を有するプラーシャフト616として示されるインターフェースシャフトを含む。成形片604はまた、プラーシャフト616の第1の端部に配置された、成形ヘッド618として示されるアンビルヘッドも含む。プラーシャフト616の一部は、プラーシャフト616に所定の張力が加えられると、成形片604から分離するように構成される。ノッチ620として示される分離点は、成形ヘッド618に近接したプラーシャフト616の長さに沿った軸方向位置に配置される。ノッチ620は、所定の力が加わると破断するように、プラーシャフト616を弱めるように構成される。ノッチ620は、様々な異なる幾何学的形状のいずれかとすることができる。例えば、ノッチ620は、V字形チャネル、U字形チャネル、矩形チャネル、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。図6および図7Bの例示的な実施形態では、ノッチ620は、プラーシャフト616の周囲の周りに延びるV字形チャネルである。
【0044】
成形ヘッド618は、リベット片602のテール660を塑性変形するように構成される。例示的な実施形態では、成形片604は、電流の経路に沿ってリベット片602よりも大きい断面積を有する導電性材料から構成され、成形片604内のジュール加熱を低減する。成形片604はまた、成形片604がテール660とともにおよび/またはテール660の前に塑性変形するのを防ぐために、BMGよりも高い融点を有する材料から構成されてもよい。
【0045】
鋼および硬質銅ベリリウム合金を含む、様々な異なる材料が成形片604に使用されることができ、これらは両方とも、BMGよりも高い導電率を有する。適切な鋼合金は、国際焼鈍銅規格(IACS)の約10%以上の導電率を有することができるのに対して、適切なベリリウム銅合金は、15~45%IACS以上の範囲内の導電率を有することができる。これらの合金ファミリーはまた、両方とも熱伝導率が比較的高いため、失透が発生することができる前にBMGをガラス転移温度(Tg)以下に急冷するために必要である。成形片604に適した材料の他の例は、アルミニウム合金である。他の利点の中でも、アルミニウム合金は、より安価で、硬度が低い傾向があるが、より効率的でより速い加熱および冷却動作のためにより高い導電率および熱伝導率がある。アルミニウム合金は、銅または鋼合金ほど硬くはないが、Tgを超えると、BMG合金は、著しく軟化して粘性になるため、時間の経過とともにアンビルの摩耗および変形が発生するが、アルミニウムベースの成形片604は、いくつかの実装では、より経済的な解決策になる可能性がある。成形片604のより複雑な設計もまた、BMGにより効率的に電流を供給するために実行可能である。例えば、非常に高い導電率の経路(ワイヤなど)は、成形片に配置されたポケットおよび/または開口に組み込まれ、加熱のために成形片604を電流が流れることを要求する代わりに、リベットの表面に直接電流を伝達することができる。高導電性経路は、成形片604から絶縁されていてもよい。あるいは、成形片604は、電流の一部が成形片604を通って流れると同時に電流の一部が高導電性経路を通って流れるように構成されてもよい。
【0046】
図6および図7Bの成形ヘッド618は、断面で見たときにU字形に形成され、その端部は、プラーシャフト616に向かって湾曲している。他の実施形態では、成形ヘッド618は、断面で見たときにT字形(図9図10を参照)、または第2の開口120の外縁122の周りにリベット片602を適切に形成する他の形状で形成されてもよい。図6に示すように、成形ヘッド618の反対側のプラーシャフト616の第2の端部は、チャネル606内に収容されるように構成される。図6に示すように、プラーシャフト616の第2の端部は、リベット片602の中心軸に沿ってリベット片602のヘッド608を超えて延び、リベット締め工具622として示されるアプリケータ装置内に収容されるように構成される(図8を参照)。
【0047】
例示的な実施形態にかかる、リベットアセンブリを設置する方法900のフロー図が図9に示されている。リベットアセンブリは、図6図8を参照して説明したリベットアセンブリ600と同一または類似のものとすることができる。簡単にするために、同様のコンポーネントを特定するために同様の番号が使用される。方法900は、図10および図11に概念的に示されている。方法900は、902において、ヘッド608の平坦な下面612が第1の金属板112の外面124に接触するように、リベット片602の円筒状延長部610を第1の開口118および第2の開口120に挿入することを含む。方法900は、904において、成形ヘッド618が円筒状延長部610と接触するように、スタック110の反対側から(例えば、第2の金属板114から第1の金属板112に向かって)成形片604をリベット片602のチャネル606に挿入することをさらに含む。
【0048】
成形片604を使用してリベット片602を変形させるために、様々な技術が使用されることができる。例えば、リベット片602は、リベット片602のサイズおよび材料組成に基づいて成形温度まで加熱され、その後、成形片604を使用して変形されることができる。リベット片602を加熱するために、リベット締め工具622(図8を参照)は、抵抗加熱器または他の適切な加熱装置を組み込んでもよい。あるいは、リベット締め工具622は、リベット片602と接触している間に成形片604を急速に励起するように構成されてもよい。例えば、リベット締め工具622は、超音波エネルギを使用して成形片604を励起するように構成されることができる。あるいは、リベット締め工具622は、成形片604とリベット片602との間の界面で熱を発生させるために、成形片604を急速に回転させるように構成されてもよい。
【0049】
図9図11の例示的な実施形態では、906において、直列に配置されたプラーシャフト616、成形ヘッド618、およびリベット片602を含む電気回路に電流を流すことにより、リベット片602が加熱される。電気回路は、プラーシャフト616およびリベット片602のヘッド608の両方に接触するリベット締め工具622(図8を参照)によって完成する。図10図11に示すように、プラーシャフト616は、環状ギャップ624と、円筒外面628として示される成形片の表面に配置される層626として示される絶縁層とによってリベット片602から分離される。層626は、加熱段階中に電気回路が成形片604とリベット片602との間の環状ギャップにわたって短絡するのを防止する。
【0050】
図9の方法900では、リベット締め工具622(図8を参照)は、908において、電気回路に同時に電流を流しながら成形片604の第2の端部を引っ張るように構成される。他の利点の中でも、電流を使用してリベット片602を加熱する方法は、高速で制御可能であり、リベット片602を間接的ではなく直接的に加熱する。加熱されると、リベット片602は、リベット片602と成形ヘッド618との間の界面付近で熱可塑的に変形し始め、金属板112、114のそれぞれを互いに圧縮する。方法900は、910において、インターフェースシャフトを破壊することをさらに含む。図11に示すように、プラーシャフト616のノッチ620は、既知の負荷で成形ヘッド618がプラーシャフト616から分離するような寸法とされる。そして、成形片604がリベットアセンブリ600から取り外され、リベット片602を残す。図10図11の実施形態では、プラーシャフト616から成形ヘッド618を分離する前または分離中に、リベット片602を硬化した完全なアモルファス状態に冷却することを可能にするように、電流がオフにされる。
【0051】
加熱段階後にリベット片602を急冷するのを助けるために、気体または液体送達システム(図示せず)がリベット締め工具622に結合されることができる。他の利点の中でも、急冷は、冷却段階中にBMGの失透を防止する。リベット締め工具622は、成形片604とリベット片602との間の環状ギャップ624を介して気体(例えば、窒素、不活性ガスなど)または液体(例えば、水)の流れを提供および循環するように構成されてもよい。リベット締め工具622は、電流がオフされるのとほぼ同時にまたは電流がオフされる直前に開始して気体または液体を投与し、設置プロセスの全体期間を短縮するように構成されることができる。
【0052】
例示的な実施形態では、リベット片602は、スタック110の両側で熱可塑的に変形して、スタック110のいずれかの側でリベット片602の非常に低いプロファイルを達成するように構成されることができる。例えば、例示的な実施形態では、リベット片602は、スタック110の両側のリベット片602に対して成形ヘッドを配置する(例えば、第2の金属板114に近接するリベット片602に対して第1の成形片の第1の成形ヘッドを配置し、第1の金属板112に近接するリベット片602に対して第2の成形片の第2の成形ヘッドを配置する)ことにより変形されるシャフト(例えば、開口116とほぼ同じ幾何学的形状の中実シャフト)である。他の利点の中でも、リベット片602を両側から形成することは、リベット片602と両方の金属板112、114との間に可能な限り小さなギャップ(例えば、密閉シール)を備えたジョイントを形成する。さらにまた、成形プロセス中に微細構造が変更される従来のスチールリベットとは異なり、加熱されたBMGは、BMGの材料特性(例えば、強度など)を変更することなく、様々な形状に容易に成形されることができる。
【0053】
BMGから構成されたバック型リベットは、様々な異なる形状およびサイズの1つに形成されることができる。例示的な実施形態(図示せず)では、第1および第2の開口118、120のうちの少なくとも一方は、断面が不規則な形状(例えば、正方形、楕円形、T字形、十字形、または任意の形状のより大きな開口)を有する。バック型リベットはまた、成形前に結果として生じる開口116の幾何学的形状に適合するように不規則な形状であってもよく、その結果、接合されるバック型リベットとワークピース(例えば、金属板112、114)との間の接触力力学の改善をもたらす。あるいは、バック型リベットは、2つの別個のリベット板の形態をとってもよい。リベット板は、スタック110の両側に配置される。スタック110の両側から各リベット板に熱および圧力が加えられ、ワークピース間の任意の開口を介してリベット板を一体に形成する。そのような構成は、ジョイントに沿って密閉シールが望まれる場合に特に有益である。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「およそ(approximately)」、「約(about)」、「略(substantially)」、および同様の用語は、本開示に関する当業者によって一般に受け入れている使用法と調和した広い意味を有することを意図している。これらの用語は、提供された正確な数値範囲にこれらの特徴の範囲を制限することなく、説明されるおよび特許請求される特定の特徴の説明を可能にすることを意図している旨が本開示を検討する当業者によって理解されるべきである。したがって、これらの用語は、説明されるおよび特許請求される主題の実質的または重要でない変更または代替が、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の範囲内にあると見なされることを示すと解釈されるべきである。
【0055】
本明細書で使用される場合、「結合された(coupled)」という用語は、2つの部材を互いに直接的にまたは間接的に接合することを意味する。そのような接合は、静止的(例えば、恒久的または固定的)または可動的(例えば、取り外し可能または解放可能)とすることができる。そのような接合は、2つの部材を互いに直接結合するか、2つの部材を別個の介在部材および任意の追加の中間部材によって互いに結合するか、または2つの部材のうちの一方と単一の単一体として一体的に形成された介在部材によって2つの部材を互いに結合することによって達成されることができる。そのような部材は、機械的、電気的、および/または流体的に結合されてもよい。
【0056】
本明細書で使用される場合、「または(or)」という用語は、要素のリストを接続するために使用される場合、「または」という用語がリスト内の要素の1つ、いくつか、または全てを意味するように、その包括的な意味(排他的な意味ではなく)で使用される。「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」などの接続詞は、特に明記しない限り、要素がX、Y、Zのいずれか;XおよびY;XおよびZ;YおよびZ;またはX、Y、およびZ(すなわち、X、Y、およびZの任意の組み合わせ)とすることができることを伝えると理解される。したがって、そのような接続詞は、特に明記しない限り、特定の実施形態がそれぞれ存在するために、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つを必要とする旨を暗示することを一般的に意図していない。
【0057】
本明細書における要素の位置(例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(above)」、「下(below)」など)への言及は、単に図面中の様々な要素の向きを説明するために使用される。様々な要素の向きは、他の例示的な実施形態にしたがって異なってもよく、そのような変形形態は、本開示に含まれることが意図されることに留意すべきである。
【0058】
図面および説明は、方法ステップの特定の順序を示すことができるが、そのようなステップの順序は、上記で別段の指定がない限り、図示および説明されている順序とは異なっていてもよい。また、上記で別段の指定がない限り、2つ以上のステップは、同時にまたは部分的に並行して実行されてもよい。そのような変形は、例えば、選択されたソフトウェアおよびハードウェアシステムならびに設計者の選択に依存することができる。そのような変形は、全て本開示の範囲内にある。同様に、記載された方法のソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、および決定ステップを達成するためのルールベースのロジックおよび他のロジックを備えた標準プログラミング技術によって達成されることができる。
【符号の説明】
【0059】
100 ブラッドリベット
102 長手方向軸
110 スタック
112 第1の金属板
114 第2の金属板
116 開口
118 第1の開口
120 第2の開口
122 外縁
124 外面
126 スリーブ
130 第1の開口直径
132 第2の開口直径
134 スロット
136 上縁
140 ヘッド
142 平坦な下面
160 テール
162 第1の脚
164 第2の脚
166 カエシ
168 分離距離
170 湾曲縁
180 円筒状延長部
200 ブラッドリベット
226 スリーブ
228 内面
240 ヘッド
242 平坦な下面
260 テール
262 第1の脚
264 第2の脚
266 カエシ
268 くぼみ
300 ブラッドリベット
302 長手方向軸
330 スリーブ
340 ヘッド
342 第3の脚
344 第4の脚
346 ヘッドカエシ
348 破断ステム
360 テール
362 第1の脚
364 第2の脚
366 テールカエシ
368 分離距離
400 ブラッドリベット
442 第3の脚
444 第4の脚
446 ヘッドカエシ
450 第2のヘッドカエシ
500 ブラッドリベット
540 ヘッド
542 平坦な下面
560 テール
562 第1の脚
564 第2の脚
572 ネジ付きインターフェース
574 ネジ付き延長部
576 ネジ孔
600 リベットアセンブリ
602 リベット片
604 成形片
606 チャネル
608 ヘッド
610 円筒状延長部
612 平坦な下面
616 プラーシャフト
618 成形ヘッド
620 ノッチ
622 リベット締め工具
624 環状ギャップ
626 層
628 円筒外面
660 テール
900 方法
図1
図2A
図2B
図3A-3B】
図4
図5
図6
図7A-7B】
図8
図9
図10
図11