(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体ウエハ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20240111BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240111BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L21/88 Z
H01L21/88 T
(21)【出願番号】P 2019177782
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯部 真里
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/185883(WO,A1)
【文献】特開2012-256787(JP,A)
【文献】特開2018-154033(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161044(WO,A1)
【文献】特開2020-092146(JP,A)
【文献】特開平06-275713(JP,A)
【文献】特開2009-123734(JP,A)
【文献】特開2019-102619(JP,A)
【文献】特開2007-024719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
複数の第1の金属パッドが配置された第1の半導体部品と、
複数の第2の金属パッドが配置された第2の半導体部品と、を備え、
前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とは、互いに接合面で接合するように互いに積層されており、
前記接合面には、夫々が、前記複数の第1の金属パッドの各々と前記複数の第2の金属パッドの各々とが互いに接合した、複数の接合部が配置されており、
前記接合面を含む平面内には、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第1の範囲と、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第2の範囲と、を規定可能であり、
前記第1の範囲および前記第2の範囲のそれぞれの内部に、前記複数の接合部のいずれをも含まず、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との間に、前記複数の接合部の少なくとも一部が位置し、
前記複数の接合部は、前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、
前記第1の範囲および前記第2の範囲を通り、かつ、前記第1の範囲の中心と第2の範囲の中心を結ぶ方向に平行な任意の直線が、前記複数の接合部のうちの少なくとも1つの接合部に交差するように配置され
、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との中心間の距離が10μm以上1000μm以下であり、
前記方向は前記第1の半導体部品の1つの辺に平行であり、
第1の開口および第2の開口が配置され、
前記接合面に対する平面視において、前記第1の範囲の全体は、前記第1の開口の中に位置し、前記第2の範囲の全体は、前記第2の開口の中に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記接合面に対する平面視において、前記第1の開口が有する少なくとも3つ以上の辺に前記第1の範囲が接し、前記第2の開口が有する少なくとも3つ以上の辺に前記第2の範囲が接することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体装置であって、
複数の第1の金属パッドが配置された第1の半導体部品と、
複数の第2の金属パッドが配置された第2の半導体部品と、を備え、
前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とは、互いに接合面で接合するように互いに積層されており、
前記接合面には、夫々が、前記複数の第1の金属パッドの各々と前記複数の第2の金属パッドの各々とが互いに接合した、複数の接合部が配置されており、
前記接合面を含む平面内には、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第1の範囲と、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第2の範囲と、を規定可能であり、
前記第1の範囲および前記第2の範囲のそれぞれの内部に、前記複数の接合部のいずれをも含まず、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との間に、前記複数の接合部の少なくとも一部が位置し、
前記複数の接合部は、前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、
前記第1の範囲および前記第2の範囲を通り、かつ、前記第1の範囲の中心と第2の範囲の中心を結ぶ方向に平行な任意の直線が、前記複数の接合部のうちの少なくとも1つの接合部に交差するように配置され、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との中心間の距離が10μm以上1000μm以下であり、
第1の開口および第2の開口が配置され、
前記接合面に対する平面視において、前記第1の開口が有する少なくとも3つ以上の辺に前記第1の範囲が接し、前記第2の開口が有する少なくとも3つ以上の辺に前記第2の範囲が接することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
アライメントマークを有し、
前記第1の開口および前記第2の開口の少なくとも一方は前記アライメントマークを露出するために配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1のボンディングパッドおよび第2のボンディングパッドを有し、
前記第1の開口は前記第1のボンディングパッドを露出するために配置され、
前記第2の開口は前記第2のボンディングパッドを露出するために配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の半導体部品は、前記第1のボンディングパッドおよび前記第2のボンディングパッドを有し、
前記第2の半導体部品に、前記第1の開口および前記第2の開口が形成されており、
前記第1の範囲の全体は、前記第1の開口の中に位置し、前記第2の範囲の全体は、前記第2の開口の中に位置することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の接合部の少なくとも1つは、電力供給及び信号伝送の何れにも使用されないことを特徴とする請求項1
乃至6の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の範囲の前記輪郭および前記第2の範囲の前記輪郭はそれぞれ、直径100μm以下の円形であることを特徴とする請求項1
乃至7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の範囲の前記輪郭および前記第2の範囲の前記輪郭は互いに合同であることを特徴とする請求項1乃至
8の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の接合部のうちの少なくとも1つの接合部は、直径10μmの円形の輪郭を有する範囲に収まる形状であることを特徴とする請求項1乃至
8の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の接合部のうちの少なくとも1つの接合部は、直径1μmの円形の輪郭を有する範囲に収まらない形状であることを特徴とする請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の半導体部品は、前記1つの辺に直交する方向において、前記第1の範囲と前記1つの辺との間と、前記第2の範囲と前記1つの辺との間とに、前記複数の第1の金属パッドの一部を含むことを特徴とする請求項
1、2、又は請求項1に従属する請求項4乃至11の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の半導体部品は、前記1つの辺に直交する方向において、前記第1の範囲と前記1つの辺との間と、前記第2の範囲と前記1つの辺との間との何れにも金属パッドを含まないことを特徴とする請求項
1、2、又は請求項1に従属する請求項4乃至11の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の範囲および前記第2の範囲を通り前記方向に平行な前記任意の直線が、前記複数の接合部のうちの少なくとも2つの接合部に交差することを特徴とする請求項1乃至
13の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、前記第1の範囲および前記第2の範囲を通る任意の直線が前記複数の接合部のうちの何れかに交差することを特徴とする請求項1乃至
14の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1の範囲の前記輪郭および前記第2の範囲の前記輪郭はそれぞれ、直径50μmの円形であることを特徴とする請求項1乃至
15の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
第1の半導体部品には光電変換部が設けられており、第2の半導体部品には前記光電変換部の電荷に基づく信号を処理する信号処理部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至
16の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
請求項1乃至
17のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置に対応する光学装置、
前記半導体装置を制御する制御装置、
前記半導体装置から得られた情報を処理する処理装置、
前記半導体装置から得られた情報を表示する表示装置、
前記半導体装置から得られた情報を記憶する記憶装置、および
前記半導体装置から得られた情報に基づいて動作する機械装置、
の6つのうちの少なくともいずれかと、を備える機器。
【請求項19】
半導体ウエハであって、
複数の金属パッドが配置され
、別の半導体ウエハと前記複数の金属パッドを介して接合するための接合面を備え、
前記
接合面を含む平面内には、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第1の範囲と、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第2の範囲と、を規定可能であり、
前記第1の範囲および前記第2の範囲のそれぞれの内部に、前記複数の金属パッドのいずれをも含まず、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との間に、前記複数の金属パッドの少なくとも一部が位置し、
前記複数の金属パッドは、前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、
前記第1の範囲および前記第2の範囲を通り、かつ、前記半導体ウエハの端面に平行な任意の直線が、前記複数の金属パッドのうちの少なくとも1つの金属パッドに交差するように配置され
、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との中心間の距離が10μm以上1000μm以下であり、
前記第1の範囲の中心と第2の範囲の中心を結ぶ方向は前記半導体ウエハの端面に平行であり、
第1の開口および第2の開口が前記別の半導体ウエハに配置され、
前記接合面に対する平面視において、前記第1の範囲の全体は、前記第1の開口の中に位置し、前記第2の範囲の全体は、前記第2の開口の中に位置することを特徴とする半導体ウエハ。
【請求項20】
前記第1の範囲の前記輪郭および前記第2の範囲の前記輪郭はそれぞれ、直径100μm以下の円形であることを特徴とする請求項
19に記載の半導体ウエハ。
【請求項21】
前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、前記第1の範囲および前記第2の範囲を通る任意の直線が前記複数の金属パッドのうちの何れかに交差することを特徴とする請求項
19又は20に記載の半導体ウエハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体ウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、素子や配線構造を有する2つの半導体部品を積層することによって、三次元構造の半導体装置を形成することが記載されている。この半導体装置では、2つの半導体部品のそれぞれの接合面に電極が形成され、この電極同士を接合することによって2つの半導体部品の素子が電気的に接続される。特許文献2には、2つの半導体部品の接合強度を高めるために、それぞれの半導体部品の接合面にダミー電極を形成し、ダミー電極同士を接合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-191081号公報
【文献】特開2012-256736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体部品の接合面は、半導体部品内のボンディングパッドを露出するための開口やアライメントマークが形成される領域を含む。このような領域にはダミー電極や他の電極のような金属パッドを配置できない。金属パッドが配置されない領域の絶縁膜は、金属パッドが形成された領域と比較して厚くなる。この状態の2つの半導体部品を重ね合わせて接合すると、半導体部品に余計な力がかかり、半導体部品の割れの原因となる。特に、金属パッドが配置されない2つの領域が半導体部品の劈開面に平行な方向に位置すると、この方向に沿って半導体部品に力が加わることになり、半導体部品がいっそう割れやすくなる。本発明の一部の側面は、2つの半導体部品が積層された半導体装置の強度を向上するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、半導体装置であって、複数の第1の金属パッドが配置された第1の半導体部品と、複数の第2の金属パッドが配置された第2の半導体部品と、を備え、前記第1の半導体部品と前記第2の半導体部品とは、互いに接合面で接合するように互いに積層されており、前記接合面には、夫々が、前記複数の第1の金属パッドの各々と前記複数の第2の金属パッドの各々とが互いに接合した、複数の接合部が配置されており、前記接合面を含む平面内には、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第1の範囲と、直径10μm以上の円形の輪郭を有する第2の範囲と、を規定可能であり、前記第1の範囲および前記第2の範囲のそれぞれの内部に、前記複数の接合部のいずれをも含まず、前記第1の範囲と前記第2の範囲との間に、前記複数の接合部の少なくとも一部が位置し、前記複数の接合部は、前記第1の範囲と前記第2の範囲との間において、前記第1の範囲および前記第2の範囲を通り、かつ、前記第1の範囲の中心と第2の範囲の中心を結ぶ方向に平行な任意の直線が、前記複数の接合部のうちの少なくとも1つの接合部に交差するように配置され、前記第1の範囲と前記第2の範囲との中心間の距離が10μm以上1000μm以下であり、前記方向は前記第1の半導体部品の1つの辺に平行であり、第1の開口および第2の開口が配置され、前記接合面に対する平面視において、前記第1の範囲の全体は、前記第1の開口の中に位置し、前記第2の範囲の全体は、前記第2の開口の中に位置することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、2つの半導体部品が積層された半導体装置の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の構造例を説明する模式図。
【
図2】本発明の実施形態に係る半導体ウエハの構造例を説明する模式図。
【
図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の変形例を説明する模式図。
【
図4】本発明の実施形態に係る機器を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1を参照して、本発明の一部の実施形態に係る半導体装置100の構造例について説明する。
図1(a)は、半導体装置100の断面を示す。
図1(b)は、半導体部品110のうち、半導体部品120側の面を示す。半導体装置100は、半導体部品110と半導体部品120とを有する。半導体部品110と半導体部品120とは互いに積層された状態で接合されている。半導体部品110のうち半導体部品120側の面を接合面114と呼ぶ。半導体部品120のうち半導体部品110側の面を接合面124と呼ぶ。
【0010】
半導体部品110は、半導体層111と、半導体層111の一方の面を覆う絶縁膜112とを有する。半導体層111は、例えばシリコンなどの半導体で形成される。絶縁膜112は、例えばシリコン化合物などの絶縁体で形成される。絶縁膜112は複層膜であってもよく、例えばシリコン酸化物層、シリコン窒化物層およびシリコン炭化物層の3種のシリコン化合物層のうちの少なくとも2種のシリコン化合物層を含む複層膜であってもよい。半導体部品110に、回路素子及び配線部材(いずれも不図示)が形成されている。回路素子や配線構造は既存の構成であってもよいため、その説明を省略する。半導体装置100が光電変換装置である場合に、半導体部品110に光電変換部が設けられていてもよい。
【0011】
絶縁膜112のうち半導体層111から遠い方の面が半導体部品110の接合面114となる。接合面114に複数の金属パッド113が配置されている。
図1では、1つの金属パッド113のみに参照符号を付しているが、半導体部品110において同じハッチングを付している部材はすべて金属パッド113である。金属パッドは、絶縁膜112の接合面114に形成された開口内に形成される。半導体部品110はさらに、絶縁膜112内にボンディングパッド101、102を有する。
【0012】
半導体部品120は、半導体層121と、半導体層121の一方の面を覆う絶縁膜122とを有する。半導体層121は、例えばシリコンなどの半導体で形成される。絶縁膜122は、例えばシリコン化合物などの絶縁体で形成される。絶縁膜122は複層膜であってもよく、例えばシリコン酸化物層、シリコン窒化物層およびシリコン炭化物層の3種のシリコン化合物層のうちの少なくとも2種のシリコン化合物層を含む複層膜であってもよい。半導体部品120に、回路素子及び配線構造(いずれも不図示)が形成されている。回路素子や配線構造は既存の構成であってもよいため、その説明を省略する。半導体装置100が光電変換装置である場合に、半導体部品120に、上述の光電変換部の電荷に基づく信号を処理する信号処理部が設けられていてもよい。
【0013】
絶縁膜122のうち半導体層121から遠い方の面が半導体部品120の接合面124となる。接合面124に複数の金属パッド123が配置されている。
図1では、1つの金属パッド123のみに参照符号を付しているが、半導体部品120において同じハッチングを付している部材はすべて金属パッド123である。金属パッドは、絶縁膜122の接合面124に形成された開口内に形成される。
【0014】
半導体部品110と半導体部品120とは、互いに接合面で接合するように互いに積層されている。この積層された状態において、接合面114と接合面124とは同一面となる。そのため、以下の接合面114に対する説明は、接合面124についても同様に当てはまる。接合面114には、夫々が、複数の第1の金属パッド113の各々と複数の金属パッド123の各々とが互いに接合した、複数の接合部132が配置されている。複数の金属パッド113と複数の金属パッド123とは、1対1に対応していてもよい。これに代えて、金属パッド123に接合されない金属パッド113が存在してもよく、金属パッド113に接合されない金属パッド123が存在してもよい。以下では説明を簡単にするために、複数の金属パッド113と複数の金属パッド123とが1対1に対応しており、それらのすべてのペアが接合部を形成するとする。すなわち、金属パッド113と接合部132とは1対1に対応し、金属パッド123と接合部132とは1対1に対応する。
【0015】
複数の接合部132は、通常の接合部と、ダミーの接合部とを含んでもよい。通常の接合部とは、電力供給又は信号伝送に使用される接合部のことである。通常の接合部は、半導体部品110内の回路素子又は配線部材および半導体部品120内の回路素子又は配線部材に電気的に接続されてもよい。ダミーの接合部とは、電力供給及び信号伝送の何れにも使用されない金属パッドのことである。ダミーの接合部は、半導体部品110内の回路素子又は配線部材および半導体部品120内の回路素子又は配線部材に電気的に接続されていなくてもよい。
【0016】
接合面114における1つの接合部132の形状について説明する。接合部132は、直径10μmの円形の輪郭を有する範囲に収まる形状であってもよい。例えば、接合部132は、1辺が7μm以下の正方形の輪郭を有してもよい。さらに、接合部132は、直径7μmの円形の輪郭を有する範囲に収まる形状であってもよい。例えば、接合部132は、1辺が5μm以下の正方形の輪郭を有してもよい。さらに、接合部132は、直径5μmの円形の輪郭を有する範囲に収まる形状であってもよい。例えば、接合部132は、1辺が3.5μm以下の正方形の輪郭を有してもよい。また、接合部132は、直径1μmの円形の輪郭を有する範囲に収まらない形状であってもよい。例えば、接合部132は、1辺が0.7μm以上の正方形の輪郭を有してもよい。具体的に、接合部132は、1辺が1μm以上5μm以下(例えば、3μm)の正方形の輪郭を有してもよい。接合部132の形状は、金属パッド113の形状および金属パッド123の形状と同じであってもよい。
【0017】
半導体装置100に、半導体部品120の半導体層121側から、ボンディングパッド101を露出する開口103と、ボンディングパッド102を露出する開口104とが形成されている。開口103、104を通じてボンディングパッド101、102にボンディングワイヤ(不図示)が接続される。開口103は、接合面114において、直径10μmの円を包含する形状を有していてもよい。この形状は、例えば1辺が10μmの正方形であってもよい。さらに、開口103は、接合面114において、直径50μmの円を包含する形状を有していてもよい。この形状は、例えば1辺が50μmの正方形であってもよい。さらに、開口103は、接合面114において、直径150μmの円に収まる形状を有していてもよい。この形状は、例えば1辺が106μmの正方形であってもよい。
【0018】
図1(b)を参照して、半導体部品110の接合面114において複数の接合部132がどのように配置されるかについて説明する。複数の接合部132は、接合面114を含む平面内に2つの範囲116、117を規定可能なように配置されている。範囲116および範囲117はそれぞれ、直径10μm以上の円形の輪郭を有する。範囲116の輪郭および範囲117の輪郭はそれぞれ、直径100μm以下の円形であってもよい。例えば、範囲116の輪郭および範囲117の輪郭はそれぞれ、直径50μmの円形であってもよい。範囲116の輪郭および範囲117の輪郭は互いに合同であってもよいし、合同でなくてもよい。すなわち、両者の輪郭がともに円である場合に、これらの円の直径が等しくてもよいし、等しくなくてもよい。以下において、範囲116についての説明は、別段の記載がない限り、範囲117についても同様に当てはまる。そのため、範囲117については重複する説明を省略する。
【0019】
範囲116は、その内部に、複数の接合部132のいずれをも含まない。ここで、内部に複数の接合部132のいずれをも含まないとは、1つの接合部132の全体を含まないだけでなく、1つの接合部132の一部も含まないことを指す。すなわち、範囲116は、接合面114に配置された接合部132と交差しない。範囲116の全体は、開口103の中に位置する。範囲117の全体は、開口104の中に位置する。開口103の輪郭は、接合面114において、範囲116の輪郭の少なくとも3点が内接する形状であってもよい。開口104の輪郭は、接合面114において、範囲117の輪郭の少なくとも3点が内接する形状であってもよい。範囲116、117と開口103、104が重なることに限らない。例えば、接合面114において、2つの範囲116、117の少なくとも一方の内部に、アライメントマークが形成されてもよい。これに代えて、2つの範囲116、117の少なくとも一方の内部は、特徴的な構成を有さず、単に絶縁膜112の表面であってもよい。例えば、2つの範囲116、117の全体が絶縁膜112と絶縁膜122との接合部で構成されてもよい。
【0020】
範囲116と範囲117との間に、複数の接合部132の少なくとも一部が位置する。範囲116と範囲117との間とは、範囲116および範囲117に外接する第1の共通外接線と、範囲116および範囲117に外接する第2の共通外接線と、範囲116と、範囲117と、で囲まれた領域である。共通外接線とは2つの円(範囲116と範囲117)が接線に対して同じ側にある場合の接線である。2つの円(範囲116と範囲117)が接線に対して逆の側にある場合の接線は共通内接線であり、共通外接線とは区別される。範囲116と範囲117との間において、第1の共通外接線と第2の共通外接線は互いに交差しない。範囲116と範囲117とが合同であれば、第1の共通外接線と第2の共通外接線は平行でありうる。範囲116と範囲117の中心を結ぶ方向を方向133と呼ぶ。複数の接合部132は、複数の範囲116と範囲117との間において、複数の範囲116と範囲117を通りかつ方向133に平行な任意の直線が、複数の接合部132のうちの少なくとも1つの接合部132に交差するように配置されている。「任意の直線」とは、この条件を満たすすべての直線を意味する。以下の「任意の直線」についても同様である。例えば、2つの範囲116、117を通りかつ方向133に平行な直線130aは、複数の接合部132のうち2つの接合部132と交差する。2つの範囲116、117を通り、かつ方向133に平行な別の直線130bは、複数の接合部132のうち3つの接合部132と交差する。このように、2つの範囲116、117を通り、かつ方向133に平行な直線130a、130bは、複数の接合部132のうちの少なくとも2つの接合部132と交差することが好ましい。本明細書において、2つの方向が平行であるとは2つの方向のなす角が0度であることを示しているが、実施形態としては誤差を含んだ概念であってもよく、例えば互いに沿った2つの方向のなす角が5度以下であってもよい。方向133は、接合面114の1つの辺115に沿った方向であってもよく、接合面114の1つの辺115に平行な方向であってもよい。直線130a、130bは、接合面114の1つの辺115に沿った方向であってもよく、接合面114の1つの辺115に平行な方向であってもよい。
【0021】
上述の接合部132の配置による効果を説明する。比較例として、複数の接合部132がアレイ状に配置されている場合を検討する。一般に、後述するように、半導体部品110は、半導体ウエハを劈開面に沿ってダイシングすることによって形成される。そのため、半導体部品110の端面の辺115に平行な方向は、半導体部品110の劈開面に平行な方向に一致するため、半導体部品110はこの方向に沿って割れやすい。複数の接合部132をアレイ状に配置すると、2つの範囲116、117を通りかつ接合面114の1つの辺115に平行であるが、複数の接合部132の何れにも交差しない直線が存在する。このような直線に沿って絶縁膜112が厚くなる部分が連続するため、この部分で半導体部品110が割れやすくなる。特に、接合部132が配置されない領域(範囲116、117の内部)は、開口103、104の形成前に絶縁膜112の膜厚が大きいため、この2つの領域の間の部分で半導体部品110が割れやすい。一方、
図1に示す接合部132の配置では、2つの範囲116、117を通りかつ方向133に平行な任意の直線が、複数の接合部132の何れかに交差する。そのため、半導体部品110が割れにくくなり、その結果、半導体装置100の強度が向上する。
【0022】
上記の例では、2つの範囲116、117を通りかつ方向133に平行な任意の直線が、複数の接合部132の何れかに交差する。これに加えて、2つの範囲116、117を通る任意の直線(例えば、直線131aや直線131b)が、複数の接合部132の何れかに交差するように複数の接合部132が配置されてもよい。これによって、方向133に平行な方向だけでなく、他の方向においても半導体部品110が割れにくくなる。
【0023】
複数の接合部132は、均等に分散されていてもよいし、偏って分散されていてもよい。例えば、2つの範囲116、117の中心同士を結ぶ直線上で接合部132が密に配置され、この直線から離れるにつれて接合部132の密度が低減するように複数の接合部132が配置されてもよい。
【0024】
2つの範囲116、117の間に十分な数の接合部132が配置されるように、2つの範囲116、117の中心間の距離は、例えば10μm以上であってもよい。また、2つの範囲116、117の中心間の距離は、例えば1000μm以下であってもよい。よって、2つの範囲116、117の中心間の距離は、10μm以上1000μm以下であってもよい。
【0025】
上記では、接合部132の配置について説明した。金属パッド113および金属パッド123によって接合部132が形成されるため、金属パッド113および金属パッド123も接合部132と同様に配置される。
【0026】
図2を参照して、本発明の一部の実施形態に係る半導体ウエハ200の構造例について説明する。
図2(a)は、半導体ウエハ200の平面図を示す。
図2(b)は、半導体ウエハ200の一部分を示す。半導体ウエハ200は、複数の区画202に分割されており、各区画202に半導体部品110を構成するための回路構成が形成される。また、図示しないが半導体ウエハ200とは別の半導体ウエハは、複数の区画202に対応した複数の区画に分割されており、各区画に半導体部品120を構成するための回路構成が形成される。半導体ウエハ200の金属パッド113と別の半導体ウエハの金属パッド123とが接合され、接合部132が形成される。これにより、半導体部品110を有する半導体ウエハ200と、半導体部品120を有する別の半導体ウエハとが接合および積層された積層体が形成される。
【0027】
その後、ボンディングパッド101、102の上方において別の半導体ウエハをエッチングし、さらに半導体ウエハ200のボンディングパッド101、102の上方において絶縁膜112をエッチングすることによって、開口103、104を形成する。開口103、104を形成するためのエッチングでは、エッチング装置の汚染を防止するために、接合面114のうち金属パッドが配置されていない領域(範囲116、117)を通るように開口103、104が形成される。さらに、開口103、104が形成された半導体ウエハの積層体は、スクライブライン201に沿ってダイシングされる。これによって、各々が半導体部品110、120を有する複数の半導体装置100が形成される。
【0028】
図2(b)に、半導体部品110を形成するための区画202について説明する。1つの区画202内に、複数の金属パッド113が配置されている。半導体ウエハ200における金属パッド113の配置は半導体部品110における金属パッド113の配置と同様であるため、以下では相違点について説明し、重複する説明を省略する。
【0029】
半導体ウエハ200にはまだ開口103、104が形成されていないため、範囲116、117は、半導体ウエハ200の面内の円形領域である。この円形領域には、金属パッドが配置されていない。
【0030】
2つの範囲116、117を通りかつ半導体ウエハ200の端面に平行な任意の直線は、複数の金属パッド113の何れかに交差する。例えば、2つの範囲116、117を通り且つ接合面114の1つの辺115に平行な直線230aは、複数の金属パッド113のうち2つの金属パッド113と交差する。2つの範囲116、117を通り且つ接合面114の1つの辺115に平行な直線230bは、複数の金属パッド113のうち3つの金属パッド113と交差する。これに加えて、2つの範囲116、117に交差する任意の直線(例えば、直線231aや直線231b)が、複数の金属パッド113の何れかに交差するように複数の金属パッド113が配置されてもよい。
【0031】
例えば、半導体ウエハ200がシリコンウエハである場合に、劈開面は、ミラー指数を用いて(110)又は(111)となる。一般に、スクライブライン201は、半導体ウエハ200の劈開面と平行となるように設定される。そのため、半導体部品110の端面の辺115は、半導体ウエハ200の劈開面と平行となる。
【0032】
図3を参照して、半導体装置100の変形例について説明する。
図1の例では、半導体部品110が、接合面114の辺115に直交する方向において、2つの範囲116、117と辺115との間に複数の接合部132の一部を含む。本明細書において、2つの方向が直交するとは2つの方向のなす角が90度であることを示しているが、実施形態としては誤差を含んだ概念であってもよく、例えば互いに交わる2つの方向のなす角が85度以上90度以下であってもよい。これに代えて、
図3の例では、半導体部品110が、接合面114の辺115に直交する方向において、2つの範囲116、117と辺115との間に複数の接合部132の一部を含まない。これによって、2つの範囲116、117を接合面114の辺115の近くに規定することが可能となる。これによって、辺115を形成するための半導体ウエハのダイシングの仕上がりを向上できる。なお、ここでは半導体ウエハを接合した後にダイシングする例を示したが、半導体ウエハをダイシングして半導体チップを得た後に、半導体チップ同士を接合して、半導体装置100を製造することもできる。
【0033】
以下、
図4が示す、半導体装置930を備える機器9191について詳細に説明する。半導体装置930は、上述の半導体装置100であってもよい。半導体装置930は、半導体デバイス910と、半導体デバイス910を収容するパッケージ920を含むことができる。パッケージ920は、半導体デバイス910が固定された基体と、半導体デバイス910に対向するガラスなどの蓋体と、を含むことができる。パッケージ920は、さらに、基体に設けられた端子と半導体デバイス910に設けられた端子(ボンディングパッド101、102)とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材を含むことができる。
【0034】
機器9191は、光学装置940、制御装置950、処理装置960、表示装置970、記憶装置980、および機械装置990の少なくともいずれかを備えることができる。光学装置940は、例えばレンズやシャッター、ミラーである。制御装置950は、半導体装置930を制御する。制御装置950は、例えばASICなどの半導体装置である。
【0035】
処理装置960は、半導体装置930から出力された信号を処理する。処理装置960は、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの半導体装置である。表示装置970は、半導体装置930で得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。記憶装置980は、半導体装置930で得られた情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置980は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0036】
機械装置990は、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器9191では、半導体装置930から出力された信号を表示装置970に表示したり、機器9191が備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器9191は、半導体装置930が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置980や処理装置960をさらに備えてもよい。機械装置990は、半導体装置930から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0037】
また、機器9191は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置990はズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置940の部品を駆動することができる。あるいは、カメラにおける機械装置990は防振動作のために半導体装置930を移動することができる。
【0038】
また、機器9191は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置990は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器9191は、半導体装置930を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置960は、半導体装置930で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置990を操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器9191は内視鏡などの医療機器や、分析測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事務機器であってもよい。
【0039】
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、「AはBでない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBでない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBである」場合を考慮していることが前提だからである。
【0040】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0041】
100 半導体装置、110 半導体部品、113 金属パッド、116 範囲、117 範囲