(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20240111BHJP
F24H 1/12 20220101ALI20240111BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
F24H9/02 301D
F24H9/02 301G
F24H1/12 B
F23L1/00 B
(21)【出願番号】P 2019177874
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鷲北 晋
(72)【発明者】
【氏名】小泉 進
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-107020(JP,A)
【文献】特開2008-170097(JP,A)
【文献】特開2011-169045(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155105(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F24H 1/12
F23L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱した湯水を供給する給湯装置であって、
熱交換器と、前記熱交換器を収容する筐体と、前記筐体に空気を供給するファンと、前記ファンに接続されるとともに、前記筐体に隣接するように配置され、前記ファンからの空気を前記筐体に導く中継筐とを備え、
前記中継筐の内部空間は、板材を折り曲げて構成された第1部材及び第2部材の2つの部材で画成され
、
前記中継筐は、天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板と底板との間に立設されている複数の側板とを含み、
前記第1部材は、前記天板と、前記底板と、前記複数の側板のうちの少なくとも1つとを有し、
前記第2部材は、前記複数の側板のうちの前記第1部材の有している側板以外の側板を有し、
前記中継筐は、前記ファンを支持しており、
前記第1部材の材料の剛性は、前記第2部材の材料の剛性よりも高いことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記第1部材及び前記第2部材は、矩形状の板材を折り曲げて形成されたコの字状の部材であることを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯装置において、
前記第1部材と前記第2部材とは、スポット溶接によって接合されていることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱した湯水を浴槽等に供給する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室に設けられている浴槽に貯められている浴槽湯水を導入するとともに、導入された浴槽湯水を燃焼熱によって加熱して浴槽に供給する給湯装置がある。この種の給湯装置としては、浴槽湯水を加熱するための熱交換器と、熱交換器を収容する筐体と、筐体に空気を供給するファンと、ファンからの空気を筐体に導く中継筐とを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のような従来の給湯装置は、さらなる製造コストの低減が望まれていた。ひいては、中継筐についても、さらなる製造コストの低減が望まれていた。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、安価な給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給湯装置は、
加熱した湯水を供給する給湯装置であって、
熱交換器と、前記熱交換器を収容する筐体と、前記筐体に空気を供給するファンと、前記ファンに接続されるとともに、前記筐体に隣接するように配置され、前記ファンからの空気を前記筐体に導く中継筐とを備え、
前記中継筐の内部空間は、板材を折り曲げて構成された第1部材及び第2部材の2つの部材で画成され、
前記中継筐は、天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板と底板との間に立設されている複数の側板とを含み、
前記第1部材は、前記天板と、前記底板と、前記複数の側板のうちの少なくとも1つとを有し、
前記第2部材は、前記複数の側板のうちの前記第1部材の有している側板以外の側板を有し、
前記中継筐は、前記ファンを支持しており、
前記第1部材の材料の剛性は、前記第2部材の材料の剛性よりも高いことを特徴とする。
【0007】
このように、本発明の給湯装置では、従来多数の部材で画成されていた中継筐の内部空間を、第1部材及び第2部材の2つの部材で画成している。これに加え、この給湯装置では、第1部材及び第2部材を、板材を折り曲げるという安価な製造方法で製造している。
【0008】
したがって、本発明の給湯装置によれば、中継筐の部品点数を削減し、また、その中継筐の内部空間を画成する部材そのものを安価に製造しているので、中継筐の製造コストを低減することができる。ひいては、給湯装置を安価なものにすることができる。
【0010】
一般に、給湯装置では、小型化が望まれているので、その内部スペースについても省スペース化が望まれている。そのため、中継筐にファン等の比較的重量が大きい構成部材を載置したい場合がある。しかし、中継筐の剛性が十分でないと、そのような重量が大きい構成部材を載置することはできない。
【0011】
そこで、中継筐を2つの部材で構成する場合には、第1部材を、天板と底板とそれらを連結する側板とを1つの部材で構成すれば、その第1部材を構成する材料として剛性の高い材料を採用するだけで、中継筐全体の剛性を十分なものにすることができる。
【0012】
すなわち、第1部材によって構成される部分以外の部分を構成する第2部材の材料として、比較的剛性が低い(ひいては、安価な)材料を採用することができるようになる。これにより、中継筐の製造コストをさらに低減することができる。ひいては、給湯装置を安価なものにすることができる。
【0013】
また、本発明の給湯装置においては、
前記第1部材及び前記第2部材は、矩形状の板材を折り曲げて形成されたコの字状の部材であることが好ましい。
【0014】
このように構成すると、第1部材及び第2部材を折り曲げる前の形状が略長方形状になるので、それらの材料となる板材を無駄なく使用することができるようになる。また、第1部材と第2部材とに同じ材料を用いる場合には、材料を共通化しやすくなる。これにより、それらの部材の材料をさらに無駄なく使用することができるようになるので、生産性を向上させて、製造コストをさらに低減することができる。
【0015】
また、本発明の給湯装置においては、
前記第1部材と前記第2部材とは、スポット溶接によって接合されていることが好ましい。
【0016】
一般に、スポット溶接によって部材を接合する場合、ビス止め等によって接合する場合に比べ、接合にかかるコストが低くなる。そのため、このようにスポット溶接によって接合を行うようにすると、製造コストをさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る給湯装置の設置状態及び構成を概念的に説明する側面図。
【
図2】
図1の給湯装置のファン及び中継筐の正面図。
【
図5】
図2のファン及び中継筐の要部を拡大して示す正面図。
【
図8】従来例に係る中継筐を上方から見た模式的断面図。
【
図10】変形例に係る中継筐を上方から見た模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態に係る給湯装置1について説明する。本実施形態の給湯装置1は、湯水である給湯用水を加熱して浴室2に設置されているカラン等に供給する給湯機能、及び、浴室2に設置されている浴槽20に貯められた湯水である浴槽湯水を循環加熱する追い焚き機能を備えたものである。
【0019】
まず、
図1を参照して、給湯装置1の概略構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、給湯装置1は、浴槽20、カラン等が設置されている浴室2の浴室壁21と浴室2の外部とを連通するように設けられた壁孔21aに嵌め込まれるようにして設置されている。
【0021】
給湯装置1は、浴室壁21の壁孔21aに嵌め込まれている矩形状のケース10の内部に、燃焼筐11と、燃焼筐11の浴室2側とは反対側に設けられている排気筐12と、燃焼筐11の浴室2側に設けられている燃焼ファン13と、燃焼ファン13が載置され、燃焼筐11の下方部分に接続されている中継筐14と、排気筐12の下方に配置されている中和器15と、排気筐12の燃焼筐11側とは反対側に設けられている排気口部16とを有している。
【0022】
このように構成されている給湯装置1では、
図1において矢印で示したように、まず、燃焼ファン13の回転によって、ケース10の外部から吸気された燃焼用空気が、中継筐14を介して燃焼筐11に送られる。また、燃焼筐11には、燃料の供給管(不図示)を介して、燃料ガスが供給される。燃焼筐11では、この燃焼用空気と燃料ガスとの混合ガスによって、後述するバーナ11aによる燃焼が行われる。
【0023】
次に、バーナ11aの燃焼により生じた燃焼排ガスは、燃焼ファン13の回転によって、燃焼筐11から排気筐12に送られる。その後、排気筐12に送られた燃焼排ガスは、排気口部16を介して、ケース10の外部に排気される。
【0024】
ケース10の形状は、有底筒状となっている。ケース10は、浴室側開口部10aを浴室2側に向けて配置される。具体的には、ケース10は、その浴室側開口部10a側の部分が、浴室2の壁孔21aに嵌め込まれ、底部側の部分が、浴室2の外部に突出するように配置される。ケース10の底部には、排気口部16が嵌め込まれる排気口側開口部10bが形成されている。
【0025】
燃焼筐11は、内部に、バーナ11aと、バーナ11aの上方に配置され、バーナ11aによる燃焼排ガスの顕熱を回収する顕熱熱交換器11bとを有している。
【0026】
顕熱熱交換器11bは、多数の吸熱フィンと、これらの吸熱フィンを貫通する複数の第1吸熱管とを備えている。顕熱熱交換器11bでは、これらの第1吸熱管を直列に接続して2つの熱交換水路が構成されている。
【0027】
各々の熱交換水路には、排気筐12で加熱された給湯用水、又は、浴槽20に貯められていた浴槽湯水が導かれる。熱交換水路を流れる給湯用水又は浴槽湯水は、吸熱フィンを介して吸収された燃焼排ガスの顕熱によって加熱される。
【0028】
排気筐12は、内部に、燃焼筐11から流入した燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱熱交換器12aと、潜熱熱交換器12aの下方に配置され、潜熱熱交換器12aで発生する酸性のドレン(ドレン凝縮水)を回収するドレン受け皿12bとを有している。
【0029】
潜熱熱交換器12aは、複数の第2吸熱管を備えている。そして、これらの第2吸熱管には、給水源(不図示)から供給された未加熱の給湯用水が導かれる。ここで、燃焼排ガスに含まれる水蒸気は、第2吸熱管の外面で凝縮させられるようになっている。これにより、潜熱熱交換器12aに流れる給湯用水は、燃焼排ガスの潜熱によって加熱される。
【0030】
このように構成されている給湯装置1では、給水源から供給された給湯用水は、まず、排気筐12の潜熱熱交換器12aに配設されている第2吸熱管に導かれ、潜熱熱交換器12aによって加熱される。
【0031】
その後、潜熱熱交換器12aによって加熱された給湯用水は、燃焼筐11の顕熱熱交換器11bに配設されている2つの第1吸熱管の一方に導かれ、顕熱熱交換器11bによって加熱される。そのようにして加熱された給湯用水は、浴室2に設けられたカラン、浴槽20に設けられた湯張り・追い焚き用の循環金具等へと導かれる。
【0032】
また、このように構成されている給湯装置1では、浴槽20に貯められていた浴槽湯水は、循環ポンプ(不図示)によって、燃焼筐11の顕熱熱交換器11bに配設されている2つの第1吸熱管の他方に導かれ、顕熱熱交換器11bによって加熱される。そのようにして加熱された浴槽湯水は、浴槽20へと戻されることで、追い焚きされる。
【0033】
排気筐12の内部で回収されたドレンは、中和器15に導かれる。中和器15は、導かれたドレンを中和した後、その中和したドレンを、ドレン管15aを介して、給湯装置1の外部に排出する。
【0034】
次に、
図2~
図10を参照して、燃焼ファン13及び中継筐14について説明する。
【0035】
まず、
図2~
図4を参照して、燃焼ファン13及び中継筐14の概略構成について説明する。
【0036】
図2に示すように、燃焼ファン13は、省スペース化のために、中継筐14に載置されている。燃焼ファン13に吸引された燃焼用空気は、中継筐14の内部空間を介して、中継筐14が隣接して配置されている燃焼筐11(
図1参照)に供給される。
【0037】
燃焼ファン13は、いわゆるスクロールケーシングを有している。具体的には、燃焼ファン13は、燃焼用空気を吸引する円柱状の本体部13aと、本体部13aの周縁部(一側部)から下方に向かって延設され、本体部13aで吸引した燃焼用空気が流通する通路部13bと、通路部13bの先端部に設けられ、燃焼用空気を吹き出す吹出口13cとを有している。
【0038】
本体部13aの内部には、羽根車(不図示)が内蔵されており、その羽根車が回転することによって、本体部13aの内部に、燃焼用空気が吸引され、吸引された燃焼用空気は、吹出口13cから噴出される。
【0039】
なお、燃焼ファン13は、スクロールケーシングを有するものに限定されるものではなく、本体部と、本体部の一側部から下方に向かって延設されている通路部と、通路部の先端部に設けられている吹出口を備えているものであればよい。
【0040】
図3及び
図4に示すように、中継筐14は、略立方体形状を有している。中継筐14は、天板14aと、天板14aに対向するように配置されている底板14bと、天板14aと底板14bとの間に立設された複数の側板とを備えている。中継筐14は、側板として、天板14a及び底板14bに連設されている第1側板14cと、互いに連設されている第2側板14d、第3側板14e、及び、第4側板14fとを有している。
【0041】
中継筐14では、天板14a、底板14b、及び、複数の側板の内面によって内部空間が画成されている。また、その内部空間には、燃焼用空気が流通する流路が形成されている(
図7、
図9参照)。
【0042】
天板14aと第1側板14cとは、交差するように設けられている。また、第4側板14fは、天板14a及び第1側板14cのいずれにも交差するように設けられている。
【0043】
天板14aは、燃焼ファン13の吹出口13cが接続される矩形の第1開口部14gを有している。第1側板14cは、その下方部分に、燃焼筐11が接続される矩形の第2開口部14hを有している。
【0044】
ここで、本実施形態においては、
図7及び
図9に示すように、第1開口部14gの中心を通り、天板14aに直交する軸線を、第1軸線a1としている。また、第2開口部14hの中心を通り、第1側板14cに直交する軸線を、第2軸線a2としている。また、第1軸線a1に直交し、且つ、第2軸線a2に直交する軸線を、第3軸線a3としている。
【0045】
そして、
図3に示すように、第3軸線a3に沿う方向を、第3方向D3としている。この第3方向D3において、第2開口部14hの寸法幅は、第1開口部14gの寸法幅よりも大きくなっている。
【0046】
なお、本実施形態においては、第1開口部14g及び第2開口部14hの形状は、矩形となっている。しかし、それらの開口部の形状は、必ずしも矩形である必要はなく、接続する燃焼ファン13及び燃焼筐11の接続部分の形状に応じて適宜設計してよい。
【0047】
また、天板14aは、第3方向D3で、側板によって形成される矩形の断面積(
図9参照)よりも大きく形成されている。そのため、天板14aの第3方向D3において一方側(
図3においては手前側)の部分は、フランジ14iとなっている。そのフランジ14iの端部には、上方へ突出するタブ14j(支持部)が、一体的に設けられている。
【0048】
次に、
図5を参照して、燃焼ファン13及び中継筐14の接続部分について詳細に説明する。
【0049】
前述のように、燃焼ファン13では、円柱状の本体部13aの側縁部から、先端部に吹出口13cを有している通路部13bが下方に向かって延設されている(
図2参照)。その吹出口13cは、
図5に示すように、中継筐14の天板14aに設けられている第1開口部14gに接続されている。
【0050】
ここで、第1開口部14gは、天板14aの中央部ではなく、第3方向D3で他方側(
図5では左側)に偏った位置に設けられている。そして、燃焼ファン13の本体部13aは、燃焼ファン13と中継筐14とを接続した状態で、第3方向D3で一方側(
図5では右側)に位置している。これにより、この給湯装置1では、燃焼ファン13の略全体を中継筐14の上方に位置させて、省スペース化が図られている。
【0051】
このとき、本実施形態の給湯装置1とは異なり、吹出口13cの下端の位置と本体部13aの下端の位置とが一致している場合には、本体部13aは、その下端で、中継筐14の天板14aに当接する。
【0052】
そのため、その場合には、燃焼ファン13の重量に起因する力は、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分(すなわち、燃焼ファン13と中継筐14との接続部分)だけでなく、本体部13aと天板14aとの当接部分によっても支持される。
【0053】
しかし、本実施形態の給湯装置1では、吹出口13cの下端は本体部13aの周面よりも下方に位置しているので、本体部13aの周面は、中継筐14の天板14aに当接していない。
【0054】
そのため、そのままでは、この給湯装置1では、燃焼ファン13の重量に起因する力は、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分に集中することになる。
【0055】
そこで、この給湯装置1では、中継筐14の天板14aにタブ14jを設け、そのタブ14jを本体部13aに接続している。そのため、この給湯装置1では、燃焼ファン13の重量に起因する力は、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分だけでなく、本体部13aとタブ14jとの接続部分によっても支持されることになる。
【0056】
これにより、本実施形態の給湯装置1では、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分に対して、燃焼ファン13の重量に起因して加わる力を低減して、その変形を防止することができるようになっている。
【0057】
ひいては、その接続部分における気密性の低下を抑制することができるようになっている。また、その接続部分が変形して中継筐14に導入される空気の流れが変わり、中継筐14を流通する空気量が変化してしまうことを抑制することができる。
【0058】
なお、タブ14jは、第1開口部14gよりも本体部13a側(
図5において右側)に設けられている。より具体的には、燃焼ファン13の本体部13aの第3方向D3における重心位置近傍の下方側に位置している。これは、本体部13aの重量を効率よく支持するためである。しかし、支持部の位置は、必ずしも本体部の重心位置近傍の下方側である必要はなく、本体部の重量を支持できる位置であればよい。
【0059】
また、前述のように、タブ14jは、天板14aのフランジ14iに一体的に形成されている。
【0060】
そのため、給湯装置1では、第1開口部14gとタブ14jとの相対的な位置関係を予め設定することできるようになっている。これにより、燃焼ファン13と中継筐14との接続の際に、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分と、本体部13aとタブ14jとの接続部分との位置関係を調整する必要がなくなっており、組み立て性の向上が図られている。
【0061】
また、タブ14jは、天板14aのフランジ14iに設けられている。このフランジ14iは、中継筐14の内部空間を構成する部分ではない(
図9参照)。また、後述するように、中継筐14の天板14aは、中継筐14の構成部分の中でも肉厚に構成されており、変形がしにくくなっている。
【0062】
そのため、この給湯装置1では、中継筐14の内部空間を構成する部分(天板14aのフランジ14i以外の部分)に対し、タブ14jを介して、燃焼ファン13の重量に起因する力が加わりにくくなっている。
【0063】
これにより、その部分の変形が防止されて、ひいては、その部分に設けられている第1開口部14gの変形も防止されている。これによっても、吹出口13cと第1開口部14gとの接続部分における気密性の低下の抑制、流通する空気量の変化の抑制が図られている。
【0064】
なお、支持部は、必ずしもタブ14jのように構成する必要はない。例えば、天板14aのフランジ14i以外の部分に設けてもよいし、独立した別の部材を天板14aに取り付けて構成してもよい。
【0065】
次に、
図6及び
図7を参照して、中継筐14を構成する部材について詳細に説明する。
【0066】
図6に示すように、中継筐14は、第1部材14kと第2部材14lとの2つの部材によって構成されている。すなわち、中継筐14の内部空間は、第1部材14kと第2部材14lとの2つの部材によって画成されている。その内部空間には、導入された燃焼用空気の流れを制御するための第3部材14m及び第4部材14nが、補助的に配置されている。
【0067】
第1部材14kは、1枚の矩形状(略長方形状)の板材をコの字状となるように折り曲げて構成されており、中継筐14の天板14a、底板14b及び第1側板14cとなる部分を有している。
【0068】
第2部材14lは、第1部材と同じく、1枚の矩形状(略長方形状)の板材をコの字状となるように折り曲げて構成されており、中継筐14の第2側板14d、第3側板14e及び第4側板14fとなる部分を有している。すなわち、第2部材14lの形状は、第1部材14kの開放部分を閉塞するような形状となっている。
【0069】
このように、給湯装置1では、従来多数の部材で画成されていた中継筐14の内部空間を、第1部材14k及び第2部材14lの2つの部材で画成している。これに加え、この給湯装置1では、第1部材14k及び第2部材14lを矩形の板材を折り曲げるという安価な製造方法で製造するとともに、第1部材14k及び第2部材14lの材料を略長方形状とすることによって無駄なく使用することができるようになっている。
【0070】
したがって、給湯装置1によれば、中継筐14の部品点数を削減し、また、その中継筐14の内部空間を画成する部材そのものを安価に製造し、さらに、その部材の材料を無駄なく使用することができるので、中継筐14の製造コストを低減することができる。ひいては、給湯装置1を安価なものにすることができるようになっている。
【0071】
ところで、前述のように、中継筐14には、比較的重量が大きい構成部材である燃焼ファン13が載置されている。そのため、中継筐14の剛性は、その燃焼ファン13の重量に耐え得るものである必要がある。
【0072】
しかし、中継筐14の剛性を向上させるためには、必ずしも、中継筐14の全ての面の剛性を高める必要はない。具体的には、天板14a、底板14b、及び、天板14aと底板14bとの間に立設されている複数の側板の少なくとも1枚の剛性が十分であればよい。そこで、中継筐14では、天板14a、底板14b及び第1側板14cとなる第1部材14kの材料として、比較的肉厚の板材を採用している。
【0073】
換言すると、中継筐14では、第2側板14d、第3側板14e及び第4側板14fとなる第2部材14lの材料には、第1部材14kの肉厚よりも肉薄のものを採用している。これにより、この給湯装置1では、コストの高い肉厚の材料を使用する部分を限定して、中継筐14の製造コストの低減が図られている。
【0075】
図7に示すように、第3部材14mは、その上端部で、天板14aの内面の第1開口部14gよりも第1側板14c側に接続されており、その下端部で、第1側板14cに設けられている第2開口部14hの上縁部に接続されている。第3部材14mの上方部分は、第1側板14cに対向するように延在している。第3部材14mの下方部分は、底板14bに対向するように傾斜している。
【0076】
第4部材14nは、その上端で、第3側板14eの中央部よりもやや下方の部分に接続されており、その下端部で、底板14bの中央部に接続されている。第4部材14nの中央部分は、天板14aの第1開口部14g及び第1側板14cの第2開口部14hに対向するように、且つ、第3部材14mの下方部分と略平行になるように傾斜している。
【0077】
第1部材14k、第2部材14l、第3部材14m、及び、第4部材14nの各々の縁部には、相互に接続するためのフランジ部が設けられている。これは、フランジ部を設けることによって、それらの部材で構成される中継筐14の気密性を向上させるためである。
【0078】
第1部材14kと、第2部材14lと、第3部材14mと、第4部材14nとは、それらに設けられたフランジ部を介してスポット溶接されることによって、互いに接続される。
【0079】
これは、スポット溶接によって部材を接合する場合、ビス止め等によって接合する場合に比べ、接合にかかるコストが低くなるためである。なお、中継筐14を接続するための方法は、スポット溶接に限定されるものではなく、接合部の全周を溶接したり、カシメたり、ビス止めしたりしてもよい。
【0080】
なお、本実施形態においては、
図6に示すように、天板14a、底板14b及び第1側板14cとなる部分を有する第1部材14kと、第2側板14d、第3側板14e及び第4側板14fとなる部分を有する第2部材14lとを接続して、中継筐14を構成し、ひいては、その内部空間を画成している。
【0081】
しかし、中継筐の内部空間は、必ずしもそのような構成に限定されるものではなく、板材を折り曲げて構成された第1部材及び第2部材の2つの部材で画成されていればよい。そのため、例えば、第1部材の材料と第2部材の材料の少なくともいずれか一方を、略長方形状以外の形状の板材を折り曲げて構成してもよい。
【0082】
また、本実施形態の中継筐14の形状は略直方体形状であるが、中継筐の形状はそのような構成に限定されるものではない。例えば、天板、底板、及び、3つ又は5つ以上の側板を備えた多角柱形状であってもよい。
【0083】
次に、
図4、
図7及び
図8~
図10を参照して、中継筐14の内部空間における燃焼用空気の流れについて説明する。
【0084】
図4に示すように、中継筐14では、天板14aに、燃焼ファン13の吹出口13cが接続される第1開口部14gが形成されている(
図2参照)。また、天板14aと天板14aに対向する底板14bとの間に立設されている(すなわち、天板14a及び底板14bに交差するように配置されている)第1側板14cに、燃焼筐11に接続される第2開口部14hが形成されている。
【0085】
そのため、第1開口部14gを介して燃焼ファン13から導入され、第2開口部14hを介して燃焼筐11に導出される燃焼用空気は、中継筐14の内部空間で、その壁面に衝突することになる。
【0086】
ここで、第3方向D3において、第2開口部14hの寸法幅は、第1開口部14gの寸法幅よりも大きくなっている。そのため、その衝突の際、
図8に示す従来の給湯装置のように、中継筐14の内部空間を単純な直方体形状とした場合には、中継筐14の内部空間を構成する面の交差している部分近傍で、渦流が生じてしまい、導入された燃焼用空気を効率よく導出することができないという問題があった。
【0087】
そのような渦流の発生を抑制するためには、中継筐14の内部空間に、第1開口部14gから第2開口部14hに向かって、それらの開口部の大きさに応じて徐々に大きさが変化するような流路を形成するという方法がある。
【0088】
しかし、中継筐14の内部における渦流の発生を抑制するためには、徐々に大きさが変化するだけでは足りず、湾曲するような流路を形成する必要がある。そして、そのような流路を形成することは加工上難しいので、中継筐14(ひいては、給湯装置1)の製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0089】
そこで、
図9に示すように、本実施形態においては、第1開口部14gが形成されている天板14a、及び、第2開口部14hが形成されている第1側板14cに対して、交差するように配置されている第4側板14fを、第2軸線a2方向で(第2軸線a2方向から見て)第2開口部14hに近づくにつれて(
図9において図面上側ほど)、第2軸線a2から離れるように、傾斜させている。
【0090】
これにより、本実施形態の中継筐14の内部空間における流路は、折れ曲がったものではあるものの、その折れ曲がりの度合いは、傾斜している第4側板14fが存在していることによって、従来の中継筐14(
図8参照)に比べて抑制されたものとなっている。その結果、本実施形態の中継筐14は、従来の中継筐14に比べて、その内部空間における渦流の発生が第3方向D3において抑制されている。
【0091】
また、第4側板14fを傾斜させる加工は、中継筐14の内部空間に徐々に大きさが変化し、且つ、湾曲するような流路を形成するような加工に比べて容易に行うことができる。
【0092】
なお、
図10に示すように、渦流を抑制するという観点からは、第4側板14fを傾斜させるのではなく、湾曲させることが好ましい。ただし、このような加工は、傾斜させる加工に比べて難しいため、傾斜させる加工を採用した場合に比べ、製造コストは高くなるおそれがある。
【0093】
また、中継筐14の内部空間においては、上下方向においても、渦流が発生するおそれがある。そこで、中継筐14では、
図7に示すように、その内部空間における上下方向の流路を、第1部材14k及び第2部材14lに加えて、第3部材14m及び第4部材14nを用いて形成している。
【0094】
具体的には、第4部材14nを、その上端部で、第2部材14lの第3側板14eの中央部よりもやや下方の部分に連設するとともに、下端部で、第1部材14kの底板14bの中央部に連接している。
【0095】
これにより、第4部材14nの中央部分を第1軸線a1方向(
図10参照)で、天板14a(厳密には、第1開口部14g)に重なり、且つ、第2軸線a2方向で第1側板14c(厳密には、第2開口部14h)に重なるように配置している。そのため、中継筐14に導入された燃焼用空気の流動方向は、第4部材14nの中央部分によっても変更される。
【0096】
このとき、第4部材14nの中央部分の傾斜は、第3軸線a3方向で(第3軸線a3方向から見て)第2開口部14hに近づくにつれて(
図7において図面右側ほど)、天板14aから離れるような傾斜となっている。より具体的には、第2開口部14hに近づくにつれて、天板14aから第4部材14nの中央部分までの、第1軸線a1(
図7において上下方向)方向における寸法幅が大きくなるような傾斜となっている。
【0097】
また、第3部材14mの上方部分を、天板14aの第1開口部14gよりも第1側板14c側の部分から垂下させ、その下方部分を、第1側板14c側に傾斜させるとともに、下方部分の先端部を、第1側板14c(より具体的には、第2開口部14hの上縁部)に連接している。これにより、第3部材14mの上方部分を、第3側板14eに対向させるとともに、その下方部分を、第4部材14nに対向させている。
【0098】
これにより、中継筐14の内部空間には、第3部材14m及び第4部材14nによって、上方では上下方向に延び、下方では第2開口部14hに近づくような、折り曲げられた流路が形成されている。
【0099】
そのようにして形成された流路は、折れ曲がったものではあるものの、その折れ曲がりの度合いは、傾斜している第3部材14mの下方部分及び第4部材14nの中央部分が存在していることによって、従来の中継筐14に比べて抑制されたものとなっている。その結果、本実施形態の中継筐14は、従来の中継筐14に比べて、その内部空間における渦流の発生が上下方向においても抑制されている。
【0100】
また、第3部材14m及び第4部材14nを設置する加工は、中継筐14の内部空間に徐々に大きさが変化し、且つ、湾曲するような流路を形成するような加工に比べて容易に行うことができる。
【0101】
このように、本実施形態の中継筐14は、第4側板14fを傾斜させるとともに、傾斜する第3部材14m及び第4部材14nを備えている。そして、その傾斜させる加工及び部材との取り付けは、比較的容易に行うことができるものである。
【0102】
これにより、給湯装置1は、そのような容易に行うことのできる加工によって、中継筐14の内部空間における渦流の発生を抑制することができるようになっている。ひいては、生産コストを大きく上昇させずとも、燃焼ファン13からの燃焼用空気を燃焼筐11に効率よく導くことができるようになっている。
【0103】
なお、第4側板14fは、必ずしもその全ての部分において傾斜している必要はなく、少なくとも一部が傾斜していればよい。また、第4側板14fを傾斜させる加工、第3部材14mの設置、及び、第4部材14nの設置のいずれか1つを行うようにしてもよい。
【0104】
また、第2側板14dを、第4側板14fに対して線対象となるように傾斜させてもよいし、第2側板14dを傾斜させて、第4側板14fを傾斜させなくてもよい。また、第3側板14eを、その下端が第1側板14c(すなわち、第2開口部14h)に近づくように傾けてもよい。
【0105】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0106】
例えば、上記実施形態においては、燃焼ファン13は、中継筐14の上方に配置されている。しかし、本発明の給湯装置は、そのような構成に限定されるものではなく、ファンが中継筐に隣接して配置されていればよい。そのため、例えば、ファンを燃焼筐の側方又は下方に配置してもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、中継筐14の内部空間を画成する第1部材14k及び第2部材14lを、略長方形状の板材を折り曲げたコの字状の部材として構成している。しかし、本発明の給湯装置は、そのような構成に限定されるものではなく、第1部材及び第2部材を、略長方形状以外の形状の板材を折り曲げて、コの字状以外の形状を有する部材として構成してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…給湯装置、2…浴室、10…ケース、10a…浴室側開口部、10b…排気口側開口部、11…燃焼筐、11a…バーナ、11b…顕熱熱交換器、12…排気筐、12a…潜熱熱交換器、12b…ドレン受け皿、13…燃焼ファン、13a…本体部、13b…通路部、13c…吹出口、14…中継筐、14a…天板、14b…底板、14c…第1側板、14d…第2側板、14e…第3側板、14f…第4側板、14g…第1開口部、14h…第2開口部、14i…フランジ、14j…タブ、14k…第1部材、14l…第2部材、14m…第3部材、14n…第4部材、15…中和器、15a…ドレン管、16…排気口部、20…浴槽、21…浴室壁、21a…壁孔、a1…第1軸線、a2…第2軸線、a3…第3軸線、D3…第3方向。