(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】キッチンシステムの設置方法
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20240111BHJP
F24C 15/10 20060101ALI20240111BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C15/10 B
F24C3/00 J
(21)【出願番号】P 2019212086
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】水野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】土橋 洋樹
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040430(JP,A)
【文献】特開2010-061392(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171361(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104201(WO,A1)
【文献】特開2003-269725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 15/10
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備えたキッチンシステムにおいて、
予め前記加熱部に異常がない状態で前記第1範囲を撮影したテンプレート画像を用意し、
前記光源を所定の位置に設けて前記撮影手段が撮影した前記画像に基づき、前記画像処理部が処理した処理画像を取得し、
前記テンプレート画像と前記処理画像とを比較しながら前記光源の位置を変更し、前記第2範囲から前記第1範囲を除いた残存範囲に前記光源の反射像が位置するように前記光源が設けられたか否かを判定することを特徴とするキッチンシステムの設置方法。
【請求項2】
前記画像処理部のマッチングによる類似度によって前記テンプレート画像と前記処理画像とが比較され、
前記類似度を閾値未満であれば前記光源の位置を変更し、
前記類似度が前記閾値以上であれば前記光源の位置を決定する請求項1記載のキッチンシステムの設置方法。
【請求項3】
キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備えたキッチンシステムにおいて、
予め前記加熱部に異常がない状態で前記第1範囲を撮影したテンプレート画像を用意し、
前記光源は光を分散させるカバーを有し、
光を分散可能な前記光源を設けて前記撮影手段が撮影した前記画像に基づき、前記画像処理部が処理した処理画像を取得し、
前記テンプレート画像と前記処理画像とを比較しながら前記カバーを変更し、前記光源が光を好適に分散しつつ前記第2範囲を照射しているか否かを判定することを特徴とするキッチンシステムの設置方法。
【請求項4】
前記画像処理部のマッチングによる類似度によって前記テンプレート画像と前記処理画像とが比較され、
前記類似度を閾値未満であれば前記カバーを変更し、
前記類似度が前記閾値以上であれば前記カバーを決定する請求項3記載のキッチンシステムの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンシステムの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に従来のキッチンシステムが開示されている。これらのキッチンシステムは、キッチン室、加熱調理器及びレンジフードを備えている。加熱調理器は天板と加熱部とを有している。加熱部は、天板上に設けられ、鍋等の被加熱物を加熱可能である。レンジフードは、キッチン室内で加熱調理器の上方に設けられ、内蔵する換気扇によって換気を行う。
【0003】
レンジフードには、撮影手段としてのカメラが設けられている。カメラは、天板内における加熱部を含む第1範囲を撮影可能である。カメラは画像処理部を有する制御装置に接続されている。画像処理部は、カメラが撮影した画像を処理し、加熱物の輪郭を認識する。
【0004】
制御装置は報知部や火力調整部を有し得る。報知部は、加熱物の輪郭に基づき、報知を行う。火力調整部は、加熱物の輪郭に基づき、加熱部の火力を調整する。こうして、このキッチンシステムでは、調理性と安全性との両立を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-78439号公報
【文献】特開2019-82302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記キッチンシステムを実用化する場合、キッチン室及びレンジフードの少なくとも一方には光源が備えられ、光源が被加熱物及び加熱部を照明する。発明者らの実用試験によれば、カメラ及び光源の位置によっては、撮影手段が撮影した第1範囲の画像が不適切なものとなり、画像処理部による画像の処理に不具合を生じてしまう。この場合、キッチンシステムの調理性及び安全性の実用化が困難になってしまう。
【0007】
すなわち、加熱調理器がガスコンロであり、第1範囲に五徳が含まれる場合には、第1範囲に光源の反射像が反射によって写り込んでしまうと、五徳が正しく設けられているか否かで誤判定を生じてしまう。また、加熱調理器がIHコンロである場合には、被加熱物を加熱する領域に光源の反射像が反射によって写り込んでしまうと、現実には存在しない異物が存在していると誤判定を生じて加熱が不能になったり、現実には存在しない被加熱物が存在していると誤判定を生じて加熱を許可してしまったりするおそれがある。
【0008】
一方、画像処理部による画像の処理に不都合を生じないように光源を被加熱物及び加熱部から遠隔して設けると、被加熱物や加熱部が照明不足になってしまう。この場合、撮影手段が被加熱物や加熱部を十分な照度で撮影し難く、キッチンシステムの調理性及び安全性が阻害される。また、被加熱物や加熱部の輝度が低く、人が調理中にそれらを視認し難く、人の調理にも支障をきたしてしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、調理性及び安全性の実用化を向上させることができるとともに、人が好適に調理を行うことができるキッチンシステムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1教示のキッチンシステムは、キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備え、
前記光源は、前記第2範囲から前記第1範囲を除いた残存範囲に前記光源の反射像が位置するように設けられていることを特徴とする。
【0011】
第1教示のキッチンシステムでは、残存範囲に光源の反射像が位置するように光源が設けられており、第1範囲には光源の反射像が位置しない。このため、撮影手段が撮影した第1範囲の画像が適切なものとなり、画像処理部による画像の処理に不具合を生じない。
【0012】
第2教示のキッチンシステムは、キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備え、
前記光源は、光を分散して前記第2範囲を照射していることを特徴とする。
【0013】
第2教示のキッチンシステムでは、光源が光を分散して第2範囲を照射しているため、光源の輪郭が天板上に写り込むことがない。このため、撮影手段が撮影した第1範囲の画像が適切なものとなり、画像処理部による画像の処理に不具合を生じない。
【0014】
このため、第1教示及び第2教示のキッチンシステムでは、加熱調理器がガスコンロであり、第1範囲に五徳が含まれる場合でも、第1範囲に光源の反射像が反射によって写り込むことがなく、五徳が正しく設けられているか否かをより正しく判定できる。また、加熱調理器がIHコンロである場合でも、被加熱物を加熱する領域に光源の反射像が反射によって写り込むことがない。このため、現実には存在しない異物が存在しているとか、現実には存在しない被加熱物が存在しているという誤判定を生じ難く、正しい加熱を行い易い。
【0015】
また、第1教示及び第2教示のキッチンシステムでは、残存範囲や第2範囲には光源の光が存在することから、撮影手段が被加熱物や加熱部を十分な照度で撮影することが可能である。また、被加熱物や加熱部の輝度も高く、人が調理中に被加熱物や加熱部を確認し易い。
【0016】
したがって、第1教示及び第2教示のキッチンシステムは、調理性及び安全性の実用化を向上させることができるとともに、人も好適に調理を行うことができる。
【0017】
光源の光を分散させるためには、分散光を発することが可能な光源を選択する。光を分散不能な発光体を用いる場合には、その発光体にカバーを設けて光源とすることができる。光の分散の程度を上げる場合には、カバーを選択する。
【0018】
天板は、表面が非鏡面状であっても本発明の作用効果を奏するが、表面が鏡面状であれば、撮影手段が撮影した第1範囲の画像が極めて不適切なものとなり易いため、本発明の作用効果が顕著になる。また、表面が鏡面状の天板を有する加熱調理器はキッチンシステムの意匠性を向上させる。表面が鏡面状の天板としては、無機のガラス製、金属製等であり得る。
【0019】
第3教示のキッチンシステムは、制御装置をさらに備え得る。この制御装置は、予め加熱部に異常がない状態で第1範囲を撮影したテンプレート画像が用意されている。また、制御装置は、撮影手段が撮影した画像に基づき、画像処理部が処理した処理画像を取得し、テンプレート画像と処理画像とを比較し、加熱部に異常がないか否かを判定し得る。この場合、キッチンシステムは、本発明の作用効果を奏するとともに、加熱部の異常を容易かつ正確に判定できる。
【0020】
第4教示のキッチンシステムの設置方法は、キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備えたキッチンシステムにおいて、
予め前記加熱部に異常がない状態で前記第1範囲を撮影したテンプレート画像を用意し、
前記光源を所定の位置に設けて前記撮影手段が撮影した前記画像に基づき、前記画像処理部が処理した処理画像を取得し、
前記テンプレート画像と前記処理画像とを比較しながら前記光源の位置を変更し、前記第2範囲から前記第1範囲を除いた残存範囲に前記光源の反射像が位置するように前記光源が設けられたか否かを判定することを特徴とする。
【0021】
第5教示のキッチンシステムの設置方法は、キッチン室と、
天板と、前記天板上に設けられ、被加熱物を加熱可能な加熱部とを有する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方から前記天板内における前記加熱部を含む第1範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段が前記第1範囲を撮影した画像を処理し、前記加熱部の輪郭を認識する画像処理部と、
前記加熱調理器の上方に設けられ、前記加熱部を含んで前記第1範囲より広い第2範囲を照明可能な光源とを備えたキッチンシステムにおいて、
予め前記加熱部に異常がない状態で前記第1範囲を撮影したテンプレート画像を用意し、
前記光源は光を分散させるカバーを有し、
光を分散可能な前記光源を設けて前記撮影手段が撮影した前記画像に基づき、前記画像処理部が処理した処理画像を取得し、
前記テンプレート画像と前記処理画像とを比較しながら前記カバーを変更し、前記光源が光を好適に分散しつつ前記第2範囲を照射しているか否かを判定することを特徴とする。
【0022】
第4教示及び第5教示の設置方法では、キッチンシステムの構成を利用して本発明の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のキッチンシステムは、調理性及び安全性の実用化を向上させることができるとともに、人も好適に調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施例1のキッチンシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1のキッチンシステムの側面図である。
【
図3】
図3は、実施例1のキッチンシステムのブロック構成図である。
【
図4】
図4は、実施例1のキッチンシステムに係り、カメラが撮影可能な第1範囲と、光源が照明可能な第2範囲とを示す図である。
【
図5】
図5は、実施例1のキッチンシステムに係り、画像処理部の処理の流れ図である。
【
図6】
図6は、実施例1のキッチンシステムに係り、第1範囲に光源の反射像が位置する状態を示す画像の模式図である。
【
図7】
図7は、実施例1のキッチンシステムに係り、第1範囲に光源の反射像が位置しない状態を示す画像の模式図である。
【
図8】
図8は、実施例1のキッチンシステムに係り、残存範囲に光源の反射像が位置する状態を示す画像の模式図である。
【
図9】
図9は、実施例2のキッチンシステムの側面図である。
【
図10】
図10は、実施例3のキッチンシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
実施例1のキッチンシステムは、
図1及び
図2に示すように、キッチン室1、加熱調理器3及びレンジフード5を備えている。
図2に示すように、キッチン室1には調理台7が建付けられており、加熱調理器3は調理台7と一体に設けられている。
図1では調理台7の図示を省略している。
【0027】
図1に示すように、加熱調理器3は、本体3a上に天板3bを有している。天板3bは、透明な無機の板ガラス製であり、表面が鏡面状になっている。天板3bには、3個のコンロバーナ9a~9cが二等辺三角形の各頂点の位置に突出されており、各コンロバーナ9a~9cには燃料ガス及び空気が供給されるようになっている。各コンロバーナ9a~9cの周囲にはそれぞれ五徳11a~11cが設けられている。五徳11a~11cは鍋等の被加熱物13を上面に載置できるようになっている。コンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cが加熱部に相当する。
【0028】
本体3aにはグリル15が設けられ、本体3aの前面には、各コンロバーナ9a~9c、グリル15等の火力等を操作するための操作部17が設けられている。また、
図3に示すように、本体3a内には第1制御装置19が設けられている。第1制御装置19は、通信制御部19a及びコンロ制御部19bを有している。また、第1制御装置19は、上記特許文献1、2と同様、図示しない報知部や火力調整部を有している。
【0029】
通信制御部19aは、後述する第2制御装置23の通信制御部23aからの信号を受信し、コンロ制御部19b等に信号を送信する。報知部は、被加熱物13、コンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cの輪郭に基づき、報知を行う。火力調整部は、被加熱物13の輪郭に基づき、コンロバーナ9a~9cの火力を調整する。なお、
図1に示すように、天板3bには換気口16が設けられている。
【0030】
レンジフード5は、キッチン室1内において、加熱調理器3の上方に設けられている。レンジフード5は内蔵する図示しない換気扇によって換気を行う。レンジフード5の下面には、撮影手段としてのデジタル式のカメラ21が所定位置に設けられている。カメラ21は、
図2及び
図4に示すように、加熱調理器3の天板3b内の第1範囲A1~A3を撮影可能である。
【0031】
図4に示すように、第1範囲A1内には、コンロバーナ9a及び五徳11aの他、コンロバーナ9a及び五徳11aで使用が可能な大きさの被加熱物13が含まれる。第1範囲A2内には、コンロバーナ9b及び五徳11bの他、コンロバーナ9b及び五徳11bで使用が可能な大きさの被加熱物13が含まれる。第1範囲A3内には、コンロバーナ9c及び五徳11cの他、コンロバーナ9c及び五徳11cで使用が可能な大きさの被加熱物13が含まれる。
【0032】
また、レンジフード5内には、
図3に示すように、第2制御装置23が設けられている。カメラ21は第2制御装置23に接続されている。第2制御装置23は、画像処理部23c、メモリ23d、出力部23b及び通信制御部23aを有している。
【0033】
画像処理部23cは、
図5に示すように、カメラ21が撮影した画像を取得し(ステップS1)、各画像をグレースケール化し(ステップS2)、グレースケール化した各画像のエッジ抽出を行うとともに、二値化を行う(ステップS3)。こうして、画像処理部23cは、カメラ21が撮影した画像を処理し、被加熱物13、コンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cの輪郭を認識する。
【0034】
また、メモリ23dには、予め第1範囲A1~A3を撮影したテンプレート画像が格納されている。各テンプレート画像にはあらゆる光源の反射像が含まれておらず、コンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cに異常がない状態の画像となっている。出力部23bは、画像処理部23cからの信号を出力可能に構成されている。また、通信制御部23aは、画像処理部23cからの信号をBluetooth(登録商標)によって第1制御装置19の通信制御部19aに送信する。
【0035】
図1に示すように、レンジフード5の下面には、光源25a、25bが任意の位置で取り付けられるようになっている。光源25a、25bは、蛍光ランプであり、本明細書でいう意味において、照射する光を分散させるものではない。光源25a、25bは、
図2及び
図4に示すように、加熱調理器3の天板3b全体である第2範囲Bを直接照明可能である。第2範囲B内には、
図4に示すように、第1範囲A1~A3が含まれている。つまり、第2範囲B内には、被加熱物13、コンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cが含まれている。
【0036】
上記のように構成されたキッチンシステムをキッチン室1内に設置する場合、作業者は、
図1に示すように、レンジフード5の下面の任意の位置に光源25a、25bを取り付ける。また、作業者は、
図3に示すように、第2制御装置23の出力部23bにパソコン27を接続する。そして、作業者はカメラ21及び第2制御装置23を作動させる。
【0037】
カメラ21は第1範囲A1~A3を撮影し、第2制御装置23の画像処理部23cは、
図5に示すように、ステップS1~S3の処理を行う。引き続き、画像処理部23cは、メモリ23dから各テンプレート画像を読み込み、各テンプレート画像と、ステップS3で得られた各処理画像とを比較し、マッチングを行う(ステップS4)。パソコン27のモニタには、各テンプレート画像と各処理画像とが表示されるとともに、類似度が表示される。
【0038】
パソコン27に表示された処理画像において、例えば、
図6に示すように、第1範囲A1~A3を撮影した処理画像のいずれかに光源25a、25bの反射像が含まれ、そのために類似度が閾値未満となっている場合には、光源25a、25bの位置が画像処理部23cによる画像の処理にとって適切でないため、光源25a、25bの位置を変更する。そして、改めてステップS1~S3の処理後、ステップS4でマッチングを行う。
【0039】
光源25a、25bの位置の変更と、マッチングとを必要に応じて繰り返し、
図7に示すように、第1範囲A1~A3を撮影した処理画像のいずれにも光源25a、25bの反射像が含まれず、類似度が閾値以上となれば、
図8に示すように、第2範囲Bから第1範囲A1~A3を除いた残存範囲Cに光源25a、25bの反射像が位置すると判定し、光源25a、25bの位置を決定する。光源25a、25bの位置が決まれば、パソコン27を出力部23bから外し、使用者は通常のようにキッチンシステムを使用する。こうして、キッチンシステムの構成を利用して光源25a、25bを設置する。
【0040】
このキッチンシステムでは、残存範囲Cに反射像が位置するように光源25a、25bが設置されており、第1範囲A1~A3には光源25a、25bの反射像が位置しない。このため、カメラ21が撮影した第1範囲A1~A3の画像が適切なものとなり、画像処理部23cによる画像の処理に不具合を生じない。
【0041】
また、このキッチンシステムは第1、2制御装置19、23を備えている。第1、2制御装置19、23は、作業者が光源25a、25bを適切に設置した後にも、前述したステップS1~ステップS4の処理を適宜実行するようになっている。使用者が加熱調理器3で被加熱物13を加熱する場合、使用するコンロバーナ9a~9cやそれに対応する五徳11a~11cが正しく設けられている必要がある。第1、2制御装置19、23は、ステップS1~ステップS4の処理を実行し、ステップS4のマッチングにおいて、類似度が閾値未満か否かを判定する。ここで、このキッチンシステムでは、第1範囲A1~A3に光源25a、25bの反射像が反射によって写り込むことがないので、類似度が閾値未満であるということは、コンロバーナ9a~9cや五徳11a~11cになんらかの異常が認められる場合である。第1制御装置19又は第2制御装置23は、類似度が閾値未満であると判定すると、図示しない報知部にコンロバーナ9a~9cや五徳11a~11cに異常が発生していることを報知させる。
【0042】
このため、このキッチンシステムでは、加熱調理器3が第1範囲A1~A3に五徳11a~11cが含まれるガスコンロであっても、第1範囲A1~A3に光源25a、25bの反射像が反射によって写り込むことがなく、五徳11a~11cが正しく設けられているか否かをより正しく判定できる。このため、このキッチンシステムでは、現実には存在しない異物が存在しているとか、現実には存在しない被加熱物13が存在しているという誤判定を生じ難く、正しい加熱を行い易い。
【0043】
また、このキッチンシステムでは、残存範囲Cには光源25a、25bの光が存在することから、カメラ21が被加熱物13やコンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cを十分な照度で撮影することが可能である。また、被加熱物13やコンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cの輝度も高く、人が調理中に被加熱物13やコンロバーナ9a~9c及び五徳11a~11cを確認し易い。
【0044】
したがって、このキッチンシステムは、調理性及び安全性の実用化を向上させることができるとともに、人も好適に調理を行うことができる。
【0045】
(実施例2)
実施例2のキッチンシステムは、
図9に示すように、調理台7が後方に天板3bより下方に凹んだ凹部7aを有している。凹部7aはキッチン室1の側壁1aと対面している。調理台7の凹部7a内には光源25cが設けられている。光源25cは、乳白色のカバーを有する蛍光ランプであり、本明細書でいう意味において、照射する光を分散させるものである。光源25cは、加熱調理器3の天板3bよりも下方に設けられているため、第2範囲は天板3bの後方となっており、天板3bを後方から十分な照度で間接照明することができる。
【0046】
また、レンジフード5の下面の奥側には、光源25dが取り付けられている。光源25dも、乳白色のカバーを有する蛍光ランプであり、本明細書でいう意味において、照射する光を分散させるものである。
【0047】
さらに、レンジフード5の下面の手前にカメラ21が設けられている。カメラ21は、実施例1と同様、加熱調理器3の天板3b内の第1範囲A1~A3を撮影可能である。他の構成は実施例1と同様である。
【0048】
このキッチンシステムをキッチン室1内に設置する場合も、実施例1と同様、作業者は、第2制御装置23の出力部23bにパソコン27を接続し、カメラ21及び第2制御装置23を作動させる。そして、テンプレート画像と処理画像とを比較し、光源25c、25dが光を好適に分散しつつ第2範囲を照射しているか否かを判定する。光の分散が不十分であれば、光源25c、25dのカバーを交換し、カバーを決定する。
【0049】
このキッチンシステムで加熱部の異常を判定する場合も、実施例1と同様に第1、2制御装置が処理を実行する。
【0050】
こうして、このキッチンシステムにおいても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
(実施例3)
実施例3のキッチンシステムは、
図10に示すように、キッチン室1の天井に光源25cを設置している。他の構成、設置方法及び異常判定方法は実施例1と同様である。
【0052】
このキッチンシステムにおいても、実施例1、2と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0054】
例えば、実施例1~3では、予めカメラ21が設けられたレンジフード5を採用しているが、カメラのない汎用のレンジフードを採用している場合、そのレンジフードやキッチン室に後付けでカメラを取り付け、画像処理部を用いる場合にも、本発明は適用可能である。また、カメラ自体が光源を有していてもよい。
【0055】
また、実施例1~3では、作業者がパソコン27を用いてマッチングの確認を行ったが、第2制御装置23にモニタを設け、このモニタによってマッチングの確認をするように構成することも可能である。
【0056】
実施例1~3では、コンロバーナ及び五徳を有する加熱調理器を採用しているが、五徳を有さないIHコンロやラジエントヒータを加熱調理器として採用することもできる。この場合、被加熱物が加熱される天板上の所定領域を加熱部として設定すればよい。
【0057】
実施例2では、後方に凹部7aを有する調理台7を採用したが、側方に凹部を有する調理台を採用し、側方から天板を間接照明してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、キッチン室の新築又はリフォームを行う場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…キッチン室
3b…天板
13…被加熱物
9a~9c、11a~11c…加熱部(9a~9c…コンロバーナ、11a~11c…五徳)
3…加熱調理器
5…レンジフード
A1~A3…第1範囲
21…撮影手段(カメラ)
23c…画像処理部
B…第2範囲
25a、25b、25c、25d…光源
C…残存範囲