(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240111BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240111BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240111BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240111BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240111BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240111BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240111BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H10K59/12
H01L29/78 617T
H01L29/78 617U
H01L29/78 613Z
H01L29/78 626C
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L21/316 B
(21)【出願番号】P 2019219352
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0029545
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】李 鎭 禹
(72)【発明者】
【氏名】金 珍 澤
(72)【発明者】
【氏名】金 連 洪
(72)【発明者】
【氏名】李 弼 錫
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-013145(JP,A)
【文献】特開2018-190753(JP,A)
【文献】特開2002-124678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0108484(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0194401(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190221(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090617(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
H01L 29/786
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されるバッファー層と、
前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、
前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンとそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含み、
前記第1のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きく、
前記第1のゲート絶縁層は、第1の高誘電率絶縁層と、前記第1の高誘電率絶縁層上に配置され、前記第1の高誘電率絶縁層の誘電率よりも小さい誘電率を有
する無機絶縁層とを含み、
前記第1の高誘電率絶縁層は、前記第1のアクティブパターンと重なるようにパターニングされることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1のゲート絶縁層は、前記無機絶縁層上に配置され、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する第2の高誘電率絶縁層を更に含み、
前記第2の高誘電率絶縁層は、前記第2のアクティブパターンと重なるようにパターニングされることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に配置されるバッファー層と、
前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、
前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンとそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含み、
前記第1のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きく、
前記第1のゲート絶縁層は、第1の高誘電率絶縁層と、前記第1の高誘電率絶縁層上に配置され、前記第1の高誘電率絶縁層の誘電率よりも小さい誘電率を有
する無機絶縁層とを含み、
前記第1のゲート絶縁層は、前記無機絶縁層上に配置され、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する第2の高誘電率絶縁層を更に含み、
前記第1の高誘電率絶縁層と、前記第2の高誘電率絶縁層とは、重なり合わないことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記第2の高誘電率絶縁層は、前記第2のアクティブパターンと重なるようにパターニングされることを特徴とする請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きいことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2のゲート絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層とを含むことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に配置されるバッファー層と、
前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、
前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、
前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンとそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含み、
前記第2のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大き
く、
前記第2のゲート絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層とを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記高誘電率絶縁層は、前記第1のゲート電極と重なるようにパターニングされること
を特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記基板と前記バッファー層との間に、第3の高誘電率絶縁層が備えられ、
前記
第3の高誘電率絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きいことを特徴とする
請求項1~4及び7~8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記
第3の高誘電率絶縁層の密度は、前記バッファー層の密度よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。より詳しくは、本発明は、相対的に大きい誘電率を有する絶縁層を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機発光表示装置、電界効果表示装置、電気泳動表示装置などといった平板表示装置(flat panel display)が広く用いられている。特に、有機発光表示装置は、自発光(self-luminance)特性を有し、液晶表示装置とは異なり、別の光源を要しないので、厚さと重さを減らすことができる。また、有機発光表示装置は、低い消費電力、高い輝度、早い応答速度などの高品位特性を有するので、次世代表示装置として注目を受けている。
【0003】
有機発光表示装置の解像度が増加することに伴い、各画素の面積が減少する。各画素の面積が減少する場合、各画素中にて駆動トランジスタを形成するための面積が減少し、これによって、駆動トランジスタの駆動範囲が減少することになる。
【0004】
一方、有機発光表示装置では、瞬間残像(after-imaging)、永久残像(image sticking)、フリッカー(flicker)などの現象が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-278173
【文献】特開2008-166764(KR10-1340995B)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、特性が改善したトランジスタを含む表示装置を提供することである。
【0007】
また、発明の他の目的は、残像が減少した表示装置を提供することである。
【0008】
しかし、本発明の目的は、このような目的に限定されるものではなく、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、様々に拡張されうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した本発明の一目的を達成するため、本発明による表示装置は、基板と、前記基板上に配置されるバッファー層と、前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンとそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含む。前記第1のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きい。
【0010】
前記第1のゲート絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率の絶縁層とを含む。
【0011】
前記第1のゲート絶縁層は、第1の高誘電率絶縁層と、前記第1の高誘電率絶縁層上に配置され、前記第1の高誘電率絶縁層の誘電率よりも小さい誘電率を有する無機絶縁層とを含む。
【0012】
前記第1の高誘電率絶縁層は、前記第1のアクティブパターンと重なる箇所が残るようにパターニングされる。
【0013】
前記第1のゲート絶縁層は、前記無機絶縁層上に配置され、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する第2の高誘電率絶縁層を更に含む。
【0014】
前記第2の高誘電率絶縁層は、前記第2のアクティブパターンと重なる箇所が残るようにパターニングされる。
【0015】
前記第2の高誘電率絶縁層の厚さは、前記無機絶縁層の厚さよりも小さい。
【0016】
前記第1のゲート絶縁層は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、及びニオブ酸化物(Nb2O5)のうち、少なくとも1つを含む。
【0017】
前記第2のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きい。
【0018】
前記第2のゲート絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層とを含む。
【0019】
前記表示装置は、前記基板と前記バッファー層の間に配置され、前記バッファー層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層を更に含む。
【0020】
前記基板は、プラスチックを含む。
【0021】
前記表示装置は、前記キャパシタ電極上に配置される層間絶縁層と、前記層間絶縁層上に配置され、前記第1のゲート絶縁層、前記第2のゲート絶縁層、及び前記層間絶縁層を貫通して、前記第1のアクティブパターンと接続するソース電極及びドレイン電極とを更に含む。前記第1のゲート絶縁層の前記誘電率は、前記層間絶縁層の誘電率よりも大きい。
【0022】
前記表示装置は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に配置される平坦化層と、前記平坦化層上に配置され、前記平坦化層を貫通して、前記ドレイン電極と接続する第1の電極と、前記第1の電極上に配置される発光層と、前記発光層上に配置される第2の電極とをさらに含む。
【0023】
前述した本発明の他の目的を達成するため、本発明による表示装置は、基板と、前記基板上に配置されるバッファー層と、前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンにそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含む。前記第2のゲート絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きい。
【0024】
前記第2のゲート絶縁層は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層とを含む。
【0025】
前記高誘電率絶縁層は、前記無機絶縁層上に配置される。
【0026】
前記高誘電率絶縁層は、前記第1のゲート電極と重なる箇所が残るようにパターニングされる。
【0027】
前記第2のゲート絶縁層は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、及びニオブ酸化物(Nb2O5)のうち、少なくとも1つを含む。
【0028】
前記表示装置は、前記基板と前記バッファー層の間に配置され、前記バッファー層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層を更に含む。
【0029】
前記基板は、プラスチックを含む。
【0030】
前述した本発明の他の目的を達成するため、本発明による表示装置は、基板と、前記基板上に配置される高誘電率絶縁層と、前記高誘電率絶縁層上に配置されるバッファー層と、
前記バッファー層上に配置され、互いに離隔している第1のアクティブパターン及び第2のアクティブパターンと、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンの上に配置される第1のゲート絶縁層と、前記第1のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のアクティブパターン及び前記第2のアクティブパターンにそれぞれ重なる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極の上に配置される第2のゲート絶縁層と、前記第2のゲート絶縁層上に配置され、前記第1のゲート電極と重なるキャパシタ電極とを含む。前記高誘電率絶縁層の誘電率は、前記バッファー層の誘電率よりも大きい。
【0031】
前記高誘電率絶縁層の密度は、前記バッファー層の密度よりも大きい。
【0032】
前記基板は、プラスチックを含む。
【0033】
前記基板は、第1の有機層と、前記第1の有機層上に配置される第2の有機層と、前記第1の有機層と前記第2の有機層の間に配置される無機層とを含む複層構造を有する。
【0034】
前記基板は、有機層を含む単層構造を有する。
【0035】
前記高誘電率絶縁層は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、及びニオブ酸化物(Nb2O5)のうち、少なくとも1つを含む。
【0036】
前記表示装置は、前記高誘電率絶縁層と前記バッファー層の間に配置されるバリアー層を更に含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明による表示装置は、トランジスタのそれぞれのアクティブパターンと、ゲート電極の間に配置され、相対的に大きい誘電率を有するゲート絶縁層を含む。これによって、駆動トランジスタの駆動範囲が増加し、スイッチングトランジスタの駆動速度が増加する。
【0038】
また、本発明による表示装置は、キャパシタ電極の間に配置され、相対的に大きい誘電率を有する絶縁層を含む。これによって、表示装置の瞬間残像及びフリッカーを減少することができる。
【0039】
更に、本発明による表示装置は、基板とバッファー層の間に配置され、相対的に大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層を含む。これによって、表示装置の永久残像を減少することができる。
【0040】
しかし、本発明の効果は、前述した効果に限定されるものではなく、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で様々に拡張されうる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による表示装置の画素を示す回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例による表示装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例による第1のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のトランジスタの特性を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例による第2のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施例による第2のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
【
図7A】
図7Aは、従来技術の比較例による表示装置の瞬間残像を示すグラフである。
【
図7B】
図7Bは、本発明の実施例による表示装置の瞬間残像を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施例による表示装置を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例による基板を詳しく示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施例による基板を詳しく示す断面図である。
【
図11】
図11は、従来技術の比較例による表示装置、及び本発明の実施例による表示装置の永久残像を示すグラフである。
【
図12】
図12は、本発明の他の実施例による表示装置の画素を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例による表示装置をより詳しく説明する。また、図面上の同一の構成要素に対しては、同一又は類似した図面符号を付する。
【0043】
図1は、本発明の一実施例による表示装置の画素を示す回路図である。
【0044】
図1に示しているように、本発明の一実施例による表示装置は、複数の画素(PX)を含む。画素(PX)はそれぞれ、駆動トランジスタ(TDR)と、スイッチングトランジスタ(TSW)と、格納キャパシタ(CST)と、有機発光素子(OLED)とを含む。
【0045】
駆動トランジスタ(TDR)のゲート電極は、スイッチングトランジスタ(TSW)のドレイン電極と、格納キャパシタ(CST)の一つの電極とに、電気的に連結される。駆動トランジスタ(TDR)のソース電極は、駆動電圧(ELVDD)を受信し、駆動トランジスタ(TDR)のドレイン電極は、有機発光素子(OLED)のアノードに電気的に連結される。駆動トランジスタ(TDR)は、スイッチングトランジスタ(TSW)からデータ信号(DT)を受信し、有機発光素子(OLED)に駆動電流を供給する。
【0046】
スイッチングトランジスタ(TSW)のゲート電極は、スキャン信号(SC)を受信する。スイッチングトランジスタ(TSW)のソース電極は、データ信号(DT)を受信し、スイッチングトランジスタ(TSW)のドレイン電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に電気的に連結される。スイッチングトランジスタ(TSW)は、スキャン信号(SC)によりオンとなり、データ信号(DT)を、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に転送する。
【0047】
格納キャパシタ(CST)の前記一つの電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に電気的に連結され、格納キャパシタ(CST)の他の電極は、駆動電圧(ELVDD)を受信する。格納キャパシタ(CST)は、スイッチングトランジスタ(TSW)がオフになっても、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極と前記ソース電極の間の電圧を保持することができる。
【0048】
有機発光素子(OLED)の前記アノードは、駆動トランジスタ(TDR)の前記ドレイン電極に電気的に連結され、有機発光素子(OLED)のカソードは、共通電圧(ELVSS)を受信する。有機発光素子(OLED)は、駆動トランジスタ(TDR)から供給された前記駆動電流によって発光する。
【0049】
図2は、本発明の一実施例による表示装置を示す断面図である。例えば、
図2は、
図1における画素(PX)の断面構造の一例を示している。
【0050】
図2に示しているように、本発明の一実施例による表示装置は、基板100上に配置される第1のトランジスタ(TR1)と、第2のトランジスタ(TR2)と、キャパシタ(CAP)と、有機発光素子(OLED)とを含む。第1のトランジスタ(TR1)、第2のトランジスタ(TR2)、及びキャパシタ(CAP)はそれぞれ、
図1の駆動トランジスタ(TDR)、スイッチングトランジスタ(TSW)、及び格納キャパシタ(CST)に対応する。
【0051】
基板100は、透明な絶縁基板である。一実施例において、基板100は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などといったプラスチックを含む。
【0052】
基板100上には、バッファー層110が配置される。バッファー層110は、基板100の上部へ不純物が拡散することを防止し、基板100全体の平坦度を向上させる。バッファー層110は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった無機絶縁物質を含む。
【0053】
バッファー層110上には、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122が配置される。第1のアクティブパターン121と第2のアクティブパターン122は、互いに離隔している。
【0054】
一実施例において、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122は、非晶質シリコン又は多結晶シリコンを含む。それぞれの第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122は、両端部に、p型又はn型不純物がドープされたソース領域及びドレイン領域を含む。前記ソース領域及び前記ドレイン領域の間には、不純物がドープされないチャンネル領域が定義される。
【0055】
他の実施例において、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122は、酸化物半導体を含む。この場合、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122には、前記ソース領域及び前記ドレイン領域を省略することができる。前記酸化物半導体は、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO)、亜鉛-錫酸化物(ZTO)、インジウム-錫-亜鉛酸化物(ITZO)などを含む。
【0056】
第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122上には、第1のゲート絶縁層130が配置される。第1のゲート絶縁層130は、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122を覆い、バッファー層110上に形成される。第1のゲート絶縁層130は、第1のアクティブパターン121と第1のゲート電極141の間、及び第2のアクティブパターン122と第2のゲート電極142の間を絶縁させる。
【0057】
第1のゲート絶縁層130は、相対的に大きい誘電率を有する。第1のゲート絶縁層130の誘電率は、バッファー層110の誘電率よりも大きい。一実施例において、第1のゲート絶縁層130は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった、相対的に誘電率の大きい物質を含む。これにより、第1のゲート絶縁層130の誘電率は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった、相対的に誘電率の小さい物質を含むバッファー層110の誘電率よりも大きくなる。
【0058】
一実施例において、第1のゲート絶縁層130は、無機絶縁層と、前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する高誘電率絶縁層とを含む。第1のゲート絶縁層130が前記高誘電率絶縁層のみを含む場合、前記高誘電率絶縁層を介した漏洩電流が増加することになる。これにより、第1のゲート絶縁層130が前記無機絶縁層を含むことによって、第1のゲート絶縁層130を介した漏洩電流の増加を防止することができる。第1のゲート絶縁層130の具体的な構成については、後述する
図3を参照して説明する。
【0059】
第1のゲート絶縁層130上には、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142が配置される。第1のゲート電極141と第2のゲート電極142は、互いに離隔している。第1のゲート電極141は、第1のアクティブパターン121とは重なり、第2のゲート電極142は、第2のアクティブパターン122と重なっている。第1のゲート電極141と第2のゲート電極142は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)などといった金属、前記金属の合金、又は前記金属の窒化物を含む。一実施例において、第1のゲート電極141と第2のゲート電極142は、互いに同一の物質を含むことができる。
【0060】
第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142上には、第2のゲート絶縁層150が配置される。第2のゲート絶縁層150は、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142を覆い、第1のゲート絶縁層130上に形成される。第2のゲート絶縁層150は、第1のゲート電極141とキャパシタ電極160の間を絶縁させる。
【0061】
第2のゲート絶縁層150は、相対的に大きい誘電率を有する。第2のゲート絶縁層150の誘電率は、バッファー層110の誘電率よりも大きい。一実施例において、第2のゲート絶縁層150は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった相対的に誘電率の大きい物質を含む。これにより、第2のゲート絶縁層150の誘電率は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった相対的に誘電率の小さい物質を含むバッファー層110の誘電率よりも大きくなる。
【0062】
一実施例において、第2のゲート絶縁層150は、無機絶縁層、及び前記無機絶縁層の誘電率よりも大きい誘電率を有する、高誘電率絶縁層とを含む。第2のゲート絶縁層150が前記高誘電率絶縁層のみを含む場合、前記高誘電率絶縁層を介した漏洩電流が増加することになる。これにより、第2のゲート絶縁層150が前記無機絶縁層を含むことによって、第2のゲート絶縁層150を介した漏洩電流の増加を防止することができる。第2のゲート絶縁層150の具体的な構成については、後述する
図5及び
図6を参照して説明する。
【0063】
第2のゲート絶縁層150上には、キャパシタ電極160が配置される。キャパシタ電極160は、第1のゲート電極141と重ねる。キャパシタ電極160は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)などのような金属、前記金属の合金、又は前記金属の窒化物を含む。キャパシタ電極160は、第1のゲート電極141及び第2のゲート絶縁層150と共に、キャパシタ(CAP)を構成する。この場合、第1のゲート電極141は、キャパシタ(CAP)の一つの電極として機能することができる。
【0064】
キャパシタ電極160上には、層間絶縁層170が配置される。層間絶縁層170は、キャパシタ電極160を覆い、第2のゲート絶縁層150上に形成される。層間絶縁層170は、第1のソース電極181及び第1のドレイン電極182を、第1のゲート電極141とキャパシタ電極160から絶縁させ、第2のソース電極183及び第2のドレイン電極184を、第2のゲート電極142から絶縁させる。層間絶縁層170は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった無機絶縁物質を含む。
【0065】
一実施例において、第1のゲート絶縁層130の誘電率及び第2のゲート絶縁層150の誘電率は、層間絶縁層170の誘電率よりも大きい。第1のゲート絶縁層130の誘電率及び第2のゲート絶縁層150の誘電率は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などのように相対的に誘電率の小さい物質を含む層間絶縁層170の誘電率よりも大きくなる。
【0066】
層間絶縁層170上には、第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184が配置される。第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184は、互いに離隔している。第1のソース電極181と第1のドレイン電極182は、第1のゲート絶縁層130、第2のゲート絶縁層150、及び層間絶縁層170を貫通して、第1のアクティブパターン121と接続され、第2のソース電極183と第2のドレイン電極184は、第1のゲート絶縁層130、第2のゲート絶縁層150、及び層間絶縁層170を貫通して、第2のアクティブパターン122と接続される。
【0067】
第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タングステン(W)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)などのような金属、前記金属の合金、又は前記金属の窒化物を含む。一実施例において、第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184は、互いに同一の物質を含むことができる。第1のソース電極181と第1のドレイン電極182は、第1のアクティブパターン121、第1のゲート絶縁層130、及び第1のゲート電極141と共に、第1のトランジスタ(TR1)を構成し、第2のソース電極183と第2のドレイン電極184は、第2のアクティブパターン122、第1のゲート絶縁層130、及び第2のゲート電極142と共に、第2のトランジスタ(TR2)を構成する。
【0068】
第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184上には、平坦化層190が配置される。平坦化層190は、第1のソース電極181、第1のドレイン電極182、第2のソース電極183、及び第2のドレイン電極184を覆い、層間絶縁層170上に形成される。平坦化層190は、第1のトランジスタ(TR1)及び第2のトランジスタ(TR2)を保護し、第1の電極200に平坦面を提供する。平坦化層190は、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)などといった有機絶縁物質を含む。
【0069】
平坦化層190上には、第1のトランジスタ(TR1)と電気的に連結される有機発光素子(OLED)が提供される。有機発光素子(OLED)は、第1の電極200と、中間層220と、第2の電極230とを含む。
【0070】
平坦化層190上には、第1の電極200が配置される。第1の電極200は、平坦化層190を貫通して、第1のドレイン電極182と接続される。第1の電極200は、インジウム-錫酸化物(ITO)、亜鉛-錫酸化物(ZTO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物、錫酸化物などといった透明な導電性物質、及び/又は、クロム、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステン、銅、銀、ネオジムなどといった金属を含む。第1の電極200は、有機発光素子(OLED)のアノードとして備えられる。
【0071】
第1の電極200上には、画素定義膜210が配置される。画素定義膜210は、第1の電極200の縁を覆い、平坦化層190上に形成される。画素定義膜210は、第1の電極200の中央部を露出する開口を有することで、画素を定義することができ、第1の電極200の前記縁と、第1の電極200上の第2の電極230との距離を増加させて、第1の電極200の前記縁にアーク(arc)などが発生することを防止することができる。画素定義膜210は、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)などのような有機絶縁物質又は無機絶縁物質を含む。
【0072】
画素定義膜210上には、中間層220が配置される。中間層220は、低分子有機物又は高分子有機物を含む発光層を含む。一実施例において、中間層220は、前記発光層の下部又は上部に配置される正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子輸送層(ETL)、及び/又は電子注入層(EIL)を更に含む。
【0073】
中間層220上には、第2の電極230が配置される。第2の電極230は、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、Al、Mg、Ag、Cr、W、Mo、Tiなどといった金属、又は前記金属の合金を含むのでありうる。これとは異なり、第2の電極230は、ITO、IZO、ZTO、亜鉛酸化物、錫酸化物などの透明な導電物質も含むのであってもよい。第2の電極230は、有機発光素子(OLED)のカソードとして備えられる。
【0074】
図3は、本発明の一実施例による第1のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
図3は、
図2における第1のゲート絶縁層130の断面構造を示している。
【0075】
図3に示しているように、第1のゲート絶縁層130は、第1の高誘電率絶縁層131と、第1の無機絶縁層132と、第2の高誘電率絶縁層133とを含む。
【0076】
第1の高誘電率絶縁層131は、第1のアクティブパターン121上に配置される。第1の高誘電率絶縁層131は、第1のアクティブパターン121及びその周囲の箇所を覆うように、バッファー層110上に形成される。第1の高誘電率絶縁層131は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった相対的に誘電率の大きい物質を含む。
【0077】
一実施例において、第1の高誘電率絶縁層131は、第1のアクティブパターン121と重なる箇所が残るようにパターニングされる。換言すると、第1の高誘電率絶縁層131は、第2のアクティブパターン122とは重なっていない。例えば、原子層蒸着法(ALD)、化学気相蒸着法(CVD)などを用いて、前記誘電率の大きい物質を、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122が形成されたバッファー層110上に蒸着し、これをパターニングして、第1の高誘電率絶縁層131のパターンを形成する。
【0078】
第1の無機絶縁層132は、第1の高誘電率絶縁層131上に配置される。第1の無機絶縁層132は、第2のアクティブパターン122及び第1の高誘電率絶縁層131を全て覆うように、バッファー層110上に全面に形成される。第1の無機絶縁層132は、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122と重なる。第1の無機絶縁層132は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった、相対的に誘電率の小さい物質を含む。これに伴い、第1の無機絶縁層132の誘電率は、第1の高誘電率絶縁層131の誘電率よりも小さい。
【0079】
第1の無機絶縁層132は、第1の高誘電率絶縁層131よりも厚く形成される。換言すると、第1の高誘電率絶縁層131の厚さは、第1の無機絶縁層132の厚さよりも小さい。例えば、第1の高誘電率絶縁層131の厚さは、約50Åであり、第1の無機絶縁層132の厚さは、約1200Å~1300Åである。
【0080】
第2の高誘電率絶縁層133は、第1の無機絶縁層132上に配置される。第2の高誘電率絶縁層133は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった、相対的に誘電率の大きい物質を含む。これに伴い、第2の高誘電率絶縁層133の誘電率は、第1の無機絶縁層132の誘電率よりも大きい。
【0081】
一実施例において、第2の高誘電率絶縁層133は、第2のアクティブパターン122と重なる箇所が残るようにパターニングされる。換言すると、第2の高誘電率絶縁層133は、第1のアクティブパターン121とは重なっていない。例えば、原子層蒸着法(ALD)、化学気相蒸着法(CVD)などを用いて、前記誘電率の大きい物質を、第1の無機絶縁層132上に蒸着し、これをパターニングして、第2の高誘電率絶縁層133のパターンを形成する。
【0082】
第2の高誘電率絶縁層133は、第1の無機絶縁層132よりも薄く形成される。換言すると、第2の高誘電率絶縁層133の厚さは、第1の無機絶縁層132の厚さよりも小さい。例えば、第2の高誘電率絶縁層133の厚さは、約50Åである。
【0083】
第1の高誘電率絶縁層131が第1のアクティブパターン121と重なるようにパターニングされることによって、第1のアクティブパターン121と第1のゲート電極141の間には、第1の高誘電率絶縁層131と第1の無機絶縁層132が順次積層される。この場合、第1のゲート絶縁層130と第1のアクティブパターン121との界面に、第1の高誘電率絶縁層131が配置されることによって、第1のトランジスタ(TR1)の駆動範囲が増加することになる。
【0084】
また、第2の高誘電率絶縁層133が、第2のアクティブパターン122と重なる箇所が残るようにパターニングされるのに伴い、第2のアクティブパターン122と、第2のゲート電極142との間には、第1の無機絶縁層132及び第2の高誘電率絶縁層133が下層側からこの順に積層されている。高誘電率層が介在することにより、第2のアクティブパターン122と第2のゲート電極142との間のキャパシタンスが増加することによって、第2のトランジスタ(TR2)の駆動速度が増加することになる。
【0085】
図4は、
図2のトランジスタの特性を示すグラフである。曲線Aは、従来技術による比較例に従う、第1のゲート絶縁層が厚さ約1300Åのシリコン酸化物層で形成されたトランジスタの電圧(V)-電流(I)特性を示す。曲線Bは、本発明の実施例に従う、第1のゲート絶縁層130が、厚さ約50Åのジルコニウム酸化物層と、厚さ約1200Åのシリコン酸化物層で形成された第1のトランジスタ(TR1)の電圧(V)-電流(I)特性を示す。また、曲線Cは、本発明の実施例に従う、第1のゲート絶縁層130が、厚さ約50Åのジルコニウム酸化物層と、厚さ約1300Åのシリコン酸化物層とで形成された第1のトランジスタ(TR1)の電圧(V)-電流(I)特性を示す。一方、曲線Dは、本発明の実施例に従う、第1のゲート絶縁層130が厚さ約1200Åのシリコン酸化物層と、厚さ約50Åのジルコニウム酸化物層とで形成された第2のトランジスタ(TR2)の電圧(V)-電流(I)特性を示している。
【0086】
図4に示しているように、本発明の実施例に従う第1のトランジスタ(TR1)の電圧(V)-電流(I)曲線の勾配が、従来技術による比較例に従うトランジスタの電圧(V)-電流(I)曲線の勾配よりも小さく、これにより、本発明の実施例に従う第1のトランジスタ(TR1)の駆動範囲が、従来技術による比較例に従うトランジスタの駆動範囲よりも大きい。一般に、駆動トランジスタは、様々な階調を表現するために、駆動範囲が大きいことが有利である。駆動トランジスタとして作動する、本発明の実施例に従う第1のトランジスタ(TR1)であると、第1のアクティブパターン121と、第1のゲート電極141との間に、第1の高誘電率絶縁層131及び第1の無機絶縁層132が形成されることによって、第1のトランジスタ(TR1)の駆動範囲が増加し、表示装置が、より精度の高い色を表現することができる。
【0087】
また、本発明の実施例に従う第2のトランジスタ(TR2)の電圧(V)-電流(I)曲線の勾配が、従来技術による比較例に従うトランジスタの電圧(V)-電流(I)曲線の勾配よりも大きい。一般に、スイッチングトランジスタは、速い駆動速度のために、電圧-電流曲線の勾配が大きいことが有利である。スイッチングトランジスタとして作動する、本発明の実施例に従う第2のトランジスタ(TR2)であると、第2のアクティブパターン122と、第2のゲート電極142との間に、第1の無機絶縁層132及び第2の高誘電率絶縁層133が形成されることによって、第2のトランジスタ(TR2)の駆動速度が増加することになる。
【0088】
図5は、本発明の一実施例による第2のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
図5は、
図2における第2のゲート絶縁層150の断面構造の一例を示している。
【0089】
図5に示しているように、第2のゲート絶縁層150は、第2の無機絶縁層151と、第3の高誘電率絶縁層152とを含む。
【0090】
第2の無機絶縁層151は、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142の上に配置される。第2の無機絶縁層151は、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142を全て覆うように、第1のゲート絶縁層130上に全面に形成される。第2の無機絶縁層151は、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142と重なる。第2の無機絶縁層151は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった、相対的に誘電率の小さい物質を含む。
【0091】
第3の高誘電率絶縁層152は、第2の無機絶縁層151上に配置される。第3の高誘電率絶縁層152は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった、相対的に誘電率の大きい物質を含む。これにより、第3の高誘電率絶縁層152の誘電率は、第2の無機絶縁層151の誘電率よりも大きい。
【0092】
第3の高誘電率絶縁層152は、第2の無機絶縁層151よりも薄く形成される。換言すると、第3の高誘電率絶縁層152の厚さは、第2の無機絶縁層151の厚さよりも小さい。例えば、第2の無機絶縁層151の厚さは、約1200Å~1300Åであり、第3の高誘電率絶縁層152の厚さは、約50Åである。
【0093】
一実施例において、第3の高誘電率絶縁層152は、第1のゲート電極141と第2のゲート電極142とのいずれの上にも形成される。換言すると、第3の高誘電率絶縁層152は、第1のゲート電極141及び第2のゲート電極142と重なる。
【0094】
図6は、本発明の他の実施例による第2のゲート絶縁層を詳しく示す断面図である。
図6は、
図2における第2のゲート絶縁層150の断面構造の他の例を示している。
【0095】
図6に示しているように、他の実施例において、第3の高誘電率絶縁層152は、第1のゲート電極141と重なる箇所が残るようにパターニングされる。換言すると、第3の高誘電率絶縁層152は、第2のゲート電極142とは重なっていない。例えば、原子層蒸着法(ALD)、化学気相蒸着法(CVD)などを用いて、誘電率の大きい物質を第2の無機絶縁層151上に蒸着し、これをパターニングして、第3の高誘電率絶縁層152のパターンを形成する。
【0096】
第3の高誘電率絶縁層152が、第2の無機絶縁層151上の第1のゲート電極141と、キャパシタ電極160との間の箇所以外の部分に形成される場合、第3の高誘電率絶縁層152を介して生じる漏洩電流が増加することになる。そこで、第3の高誘電率絶縁層152が、第1のゲート電極141とキャパシタ電極160との間の箇所にのみ形成するようにパターニングされることで、第2のゲート絶縁層150を介して生じる漏洩電流の増加を防止することができる。
【0097】
本発明の一実施例によると、相対的に大きい誘電率を有する第2のゲート絶縁層150が、キャパシタ(CAP)をなす上下の電極141、160の間に配置されることによって、キャパシタ(CAP)のキャパシタンスが増加する。そのため、画素(PX)の反応速度が増加し、これにより、表示装置の瞬間残像(after-imaging)及びフリッカー(flicker)を減少させることができる。
【0098】
図7A及び7Bは、従来技術による比較例に従う表示装置、及び本発明の実施例に従う表示装置についての瞬間残像を示すグラフである。
【0099】
一般に、ブラック又はホワイトを表示する画素に、特定の階調のデータを与える時、前記画素が前記特定階調のデータに対応する輝度の光を放出することにかかる時間を測定する実験を通じて、瞬間残像を評価することができる。
図7Aは、従来技術による比較例に従う表示装置の瞬間残像測定結果を示し、
図7Bは、本発明の実施例に従う表示装置の瞬間残像測定結果を示している。
【0100】
図7A及び7Bに示しているように、瞬間残像指数(例えば、ブラック又はホワイトと、前記特定階調のデータに対応する輝度との輝度差)が所定値(例えば、0.004)に達するまでの時間が、比較例に従う表示装置では、約5.3秒であり、実施例に従う表示装置では、約2.0秒である。本発明の実施例に従う、キャパシタ(CAP)をなす上下の電極141、160の間に、誘電率の相対的に大きい第2のゲート絶縁層150が形成されることによって、キャパシタ(CAP)のキャパシタンスが増加し、これにより、表示装置の瞬間残像が減少することになる。
【0101】
【0102】
表1は、従来技術による比較例に従う表示装置、及び本発明の実施例に従う表示装置についてのフリッカーの度合いを示している。具体的に、表1は、複数の階調(左端の列に表示)及び複数の周波数についての、比較例に従う表示装置、及び実施例に従う表示装置のフリッカー指数を示している。
【0103】
表1に示しているように、同一の階調及び周波数において、実施例に従う表示装置のフリッカー指数が、比較例に従う表示装置のフリッカー指数よりも小さい。フリッカー指数が低いほど、フリッカーが目視されないのでありうる。本発明の実施例に従う、キャパシタ(CAP)の上下の電極141、160の間に、誘電率が相対的に大きい第2のゲート絶縁層150が形成されることによって、キャパシタ(CAP)のキャパシタンスが増加し、これにより、表示装置のフリッカーが減少することになる。
【0104】
図8は、本発明の他の実施例による表示装置を示す断面図である。例えば、
図8は、
図1における画素(PX)の断面構造の他の例を示している。
【0105】
図8を用いて説明する、本発明の他の実施例による表示装置は、第4の高誘電率絶縁層の追加を除くならば、
図2を参照して説明した、本発明の一実施例による表示装置と実質的に同様である。したがって、
図8を参照して説明する本発明の他の実施例による表示装置の構成のうち、
図2を参照して説明した本発明の一実施例による表示装置の構成と実質的に同一又は類似した構成に関する説明は、省略することにする。
【0106】
図8に示しているように、基板100とバッファー層110との間に、第4の高誘電率絶縁層105が更に配置される。第4の高誘電率絶縁層105は、基板100上の全面にわたって配置され、第1のアクティブパターン121及び第2のアクティブパターン122と重なる。
【0107】
第4の高誘電率絶縁層105は、相対的に大きい誘電率を有する。第4の高誘電率絶縁層105の誘電率は、バッファー層110の誘電率よりも大きい。一実施例において、第4の高誘電率絶縁層105は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)などといった、相対的に誘電率の大きい物質を含む。これによって、第4の高誘電率絶縁層105の誘電率は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった、相対的に誘電率の小さい物質を含むバッファー層110の誘電率よりも大きい。
【0108】
表示装置を形成する過程において、基板100の下に、基板100を支持するための支持基板が形成され、前記支持基板から基板100に電荷が流入しうる。また、基板100が有機物を含む場合、基板100内に電荷が格納されうる。この場合、電荷を有する基板100とアクティブパターン121、122との間に電場が形成され、このような電場によって、表示装置に永久残像(image sticking)が発生しうる。本発明の他の実施例においては、基板100とバッファー層110との間に、相対的に大きい誘電率を有する第4の高誘電率絶縁層105が形成されるのであり、第4の高誘電率絶縁層105は、基板100とアクティブパターン121、122との間の電場を減少させる。これにより、本発明の他の実施例に従う表示装置では、永久残像が減少しうる。
【0109】
第4の高誘電率絶縁層105は、原子層蒸着法(ALD)などを用いて、基板100上に蒸着され、これにより、第4の高誘電率絶縁層105は、相対的に大きい密度を有することになる。例えば、第4の高誘電率絶縁層105の密度は、バッファー層110の密度よりも大きい。第4の高誘電率絶縁層105が相対的に大きい密度を有することで、基板100を介して浸入して来る不純物が、第4の高誘電率絶縁層105によって遮断される。特に、基板100を介して浸入して来る、電荷を帯びる不純物が、第4の高誘電率絶縁層105によって遮断されることにより、基板100とアクティブパターン121、122との間の電場が減少することとなり、表示装置の永久残像が減少することとなる。
【0110】
図9は、本発明の一実施例による基板を詳しく示す断面図である。
図9は、
図8における基板100の断面構造の一例を示している。
【0111】
図9に示しているように、一実施例において、基板100は、(1)第1の有機層101と、(2)第1の有機層101の上に配置される第2の有機層103と、(3)第1の有機層101と第2の有機層103との間に配置される無機層102とを含む、複層(積層)構造を有する。
【0112】
第1の有機層101及び第2の有機層103は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などといったプラスチックを含む。第1の有機層101と第2の有機層103は、フレキシブルな特性を有することができる。
【0113】
無機層102は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった無機絶縁物質及び/又は非晶質シリコンを含む。無機層102は、基板100を介して不純物が浸透することを防止する。
【0114】
一実施例において、第4の高誘電率絶縁層105とバッファー層110との間には、バリアー層108が更に配置される。バリアー層108は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiOxNy)などといった無機絶縁物質を含む。バリアー層108は、基板100を介して不純物が浸透することを防止する。
【0115】
図10は、本発明の他の実施例による基板を詳しく示す断面図である。
図10は、
図8における基板100の断面構造の他の例を示している。
【0116】
図10に示しているように、他の実施例において、基板100は、有機層を含む単層構造を有する。前記有機層は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などのといったプラスチックを含む。前記有機層は、フレキシブルな特性を有することができる。
【0117】
相対的に大きい密度を有する第4の高誘電率絶縁層105が、基板100とバッファー層110の間に形成されることによって、基板100を介して浸入する不純物が、第4の高誘電率絶縁層105により遮断される。そこで、基板100内の、不純物の浸透を遮断する無機層が省略されて、基板100が、前記有機層を含む単層構造を有することができ、これによって、基板100の厚さが減少される。
【0118】
図11は、従来技術の比較例による表示装置、及び本発明の実施例による表示装置の永久残像を示すグラフである。
【0119】
一般に、表示装置に所定時間の間、囲碁パターンを表示した後、ブラック又はホワイト画像を表示する場合において、時間によるブラックとホワイトの間の輝度差を測定する実験により、永久残像を評価することができる。
図11は、従来技術の比較例による表示装置、及び本発明の実施例による表示装置に、約20秒間、囲碁パターンを表示した後、ホワイト画像を表示する場合において、時間によるブラックとホワイトの間の輝度差を測定した結果を示す。
【0120】
図11に示しているように、ホワイト画像を表示した後に、実施例に従う表示装置での輝度差が、比較例に従う表示装置での輝度差よりも小さい。ブラックとホワイトとの間の輝度差が小さいほど、永久残像が減少することになる。本発明の実施例に従う表示装置では、基板100とバッファー層110の間に、相対的に密度の大きい高誘電率絶縁層105が形成されることによって、基板100とアクティブパターン121、122の間の電場が減少し、基板100を介して流入される不純物を遮断することができ、これにより、表示装置の永久残像が減少することになる。
【0121】
図12は、本発明の他の実施例による表示装置の画素を示す回路図である。
【0122】
図12に示しているように、本発明の他の実施例に従う表示装置の画素(PX)はそれぞれ、駆動トランジスタ(TDR)と、スイッチングトランジスタ(TSW)と、補償トランジスタ(TCM)と、第1の初期化トランジスタ(TIN1)と、第2の初期化トランジスタ(TIN2)と、第1の発光制御トランジスタ(TEC1)と、第2の発光制御トランジスタ(TEC2)と、格納キャパシタ(CST)と、有機発光素子(OLED)とを含む。
【0123】
駆動トランジスタ(TDR)のゲート電極は、第1の初期化トランジスタ(TIN1)のドレイン電極、補償トランジスタ(TCM)のドレイン電極、及び格納キャパシタ(CST)の一方の電極に電気的に連結される。駆動トランジスタ(TDR)のソース電極は、第1の発光トランジスタ(TEC1)を介して、駆動電圧(ELVDD)を受信することができ、駆動トランジスタ(TDR)のドレイン電極は、第2の発光トランジスタ(TEC2)を介して、有機発光素子(OLED)のアノードに電気的に連結される。駆動トランジスタ(TDR)は、スイッチングトランジスタ(TSW)からデータ信号(DT)を受信して、有機発光素子(OLED)に駆動電流を供給する。
【0124】
スイッチングトランジスタ(TSW)のゲート電極は、スキャン信号(SC)を受信する。スイッチングトランジスタ(TSW)のソース電極は、データ信号(DT)を受信し、スイッチングトランジスタ(TSW)のドレイン電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ソース電極に電気的に連結される。スイッチングトランジスタ(TSW)は、スキャン信号(SC)によりオンとなり、データ信号(DT)を、駆動トランジスタ(TDR)の前記ソース電極に転送する。
【0125】
補償トランジスタ(TCM)のゲート電極は、スキャン信号(SC)を受信する。補償トランジスタ(TCM)のソース電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ドレイン電極に電気的に連結され、補償トランジスタ(TCM)の前記ドレイン電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に電気的に連結される。補償トランジスタ(TCM)は、スキャン信号(SC)によりオンとなり、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極と前記ドレイン電極をダイオード連結させる。
【0126】
第1の初期化トランジスタ(TIN1)のゲート電極は、前段のスキャン信号(PSC)を受信することができる。第1の初期化トランジスタ(TIN1)のソース電極は、初期化電圧(VINT)を受信し、第1の初期化トランジスタ(TIN1)の前記ドレイン電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に電気的に連結される。第1の初期化トランジスタ(TIN1)は、前段のスキャン信号(PSC)によりオンとなり、初期化電圧(VINT)を、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に転送する。
【0127】
第2の初期化トランジスタ(TIN2)のゲート電極は、前段のスキャン信号(PSC)を受信することができる。第2の初期化トランジスタ(TIN2)のソース電極は、初期化電圧(VINT)を受信し、第2の初期化トランジスタ(TIN2)のドレイン電極は、有機発光素子(OLED)の前記アノードに電気的に連結される。第2の初期化トランジスタ(TIN2)は、前段のスキャン信号(PSC)によりオンとなり、初期化電圧(VINT)を、有機発光素子(OLED)の前記アノードに転送する。
【0128】
第1の発光制御トランジスタ(TEC1)のゲート電極は、発光制御信号(EMC)を受信する。第1の発光制御トランジスタ(TEC1)のソース電極は、駆動電圧(ELVDD)を受信し、第1の発光制御トランジスタ(TEC1)のドレイン電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ソース電極に電気的に連結される。
【0129】
第2の発光制御トランジスタ(TEC2)のゲート電極は、発光制御信号(EMC)を受信する。第2の発光制御トランジスタ(TEC2)のソース電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ドレイン電極に電気的に連結され、第2の発光制御トランジスタ(TEC2)のドレイン電極は、有機発光素子(OLED)の前記アノードに電気的に連結される。第1の発光制御トランジスタ(TEC1)及び第2の発光制御トランジスタ(TEC2)は、発光制御信号(EMC)によりオンとなるのであり、この場合に、駆動電圧(ELVDD)が有機発光素子(OLED)に伝送されて、有機発光素子(OLED)に前記駆動電流が流れることになる。
【0130】
格納キャパシタ(CST)の前記一つの電極は、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極に電気的に連結され、格納キャパシタ(CST)の他の電極は、駆動電圧(ELVDD)を受信する。格納キャパシタ(CST)は、スイッチングトランジスタ(TSW)がオフとなっても、駆動トランジスタ(TDR)の前記ゲート電極と前記ソース電極の間の電圧を保持することができる。
【0131】
有機発光素子(OLED)の前記アノードは、第2の発光制御トランジスタ(TEC2)を介して、駆動トランジスタ(TDR)の前記ドレイン電極に電気的に連結され、有機発光素子(OLED)のカソードは、共通電圧(ELVSS)を受信することができる。有機発光素子(OLED)は、駆動トランジスタ(TDR)から供給された前記駆動電流により発光する。
【0132】
前記
図2又は
図8を参照して説明した本発明の実施例による表示装置の第1のトランジスタ(TR1)、第2のトランジスタ(TR2)、及びキャパシタ(CAP)はそれぞれ、
図12の駆動トランジスタ(TDR)、スイッチングトランジスタ(TSW)、及び格納キャパシタ(CST)に対応する。しかし、本発明は、これに限定されず、第1のトランジスタ(TR1)及び第2のトランジスタ(TR2)は、それぞれが、
図12の補償トランジスタ(TCM)、第1の初期化トランジスタ(TIN1)、第2の初期化トランジスタ(TIN2)、第1の発光制御トランジスタ(TEC1)、又は第2の発光制御トランジスタ(TEC2)に対応することもありうる。
【0133】
好ましい実施形態によると、本件の課題は下記(i)~(iv)のとおりである。
【0134】
(i) 高解像度化に伴い、各画素中でTFT素子を微細化(配置スペースの低減)する必要がある。
【0135】
(ii) TFT素子を微細化するには、ゲート絶縁膜に、比誘電率の大きい材料を用いるのが有利である。物理的な厚みを比較的大きく取りつつ、ゲート容量を高く保つことができるからである。
【0136】
(iii) しかし、比誘電率の大きい材料によるゲート絶縁膜を、全面に形成した場合、漏洩電流が大きくなってしまう。
【0137】
(iv) 特に、有機発光表示装置の場合、各画素には、少なくとも、OLED素子へと駆動電流を供給する駆動TFT、及び、データ線から駆動TFTの側へとデータ入力を行なうためのスイッチング素子が配置されている。
そして、駆動TFTは、駆動電圧範囲を大きく保つ必要があり、スイッチングTFTは、特性曲線の勾配を急峻に保つ必要がある。このようにして、残像などの問題の発生を抑制または防止する必要がある。
【0138】
好ましい実施形態によると、上記課題を解決すべく、下記A1~A7となっている。
【0139】
A1 各TFT(第1及び第2のトランジスタTR1, TR2)はトップゲート型であり、樹脂材料で形成された基板100上のバッファー層110の上に、多結晶シリコンなどからなる半導体活性層パターン(アクティブパターン121,122)が配置される。
そして、これらの半導体活性層パターン(アクティブパターン121,122)を覆う箇所にて、ゲート絶縁膜(第1のゲート絶縁層130)は、比誘電率が低い酸化シリコンなどからなる無機絶縁膜(第1の無機絶縁層132)と、比誘電率が高い材料からなる無機絶縁膜(第1または第2の高誘電率絶縁層131,133)との積層膜となっている。
【0140】
A2 低誘電率の無機絶縁膜(第1の無機絶縁層132)は、表示領域の全面にわたって延びるように配置される。
高誘電率の無機絶縁膜(第1または第2の高誘電率絶縁層131,133)は、ゲート電極(第1及び第2のゲート電極141,142)の近傍で、半導体活性層パターン(アクティブパターン121,122)とその周辺部を覆うように島状に配置される。
【0141】
A3 高誘電率の無機絶縁膜(第1または第2の高誘電率絶縁層131,133)は、低誘電率の無機絶縁膜(第1の無機絶縁層132)よりも、かなり薄く形成される。
例えば、低誘電率の無機絶縁膜の厚みが100~150nmであって、高誘電率の無機絶縁膜の厚みは、低誘電率の無機絶縁膜の厚みの1/10~1/30、または、3~8nmである。
【0142】
A4 駆動TFT(第1のトランジスタTR1)では、高誘電率の無機絶縁膜が、半導体活性層パターンに接するように下層に配置される。
そして、スイッチングTFT(第2のトランジスタTR2)では、高誘電率の無機絶縁膜が、ゲート電極に接するように上層に配置される。
【0143】
A5 各TFTを覆うように、「第2のゲート絶縁膜150」が表示領域の全面にわたって配置される。
そして、駆動TFT(第1のトランジスタTR1)では、ゲート電極(第1のゲート電極141)と重なり合うように、島状のキャパシタ電極160が、「第2のゲート絶縁膜150」の上に配置される。
【0144】
A6 「第2のゲート絶縁膜150」についても、上記A2~A3と同様とすることができる。但し、「第3の高誘電率絶縁層152」のパターンは、ゲート電極(第1のゲート電極141)と、キャパシタ電極160とが重なり合う箇所の全体及びその周辺部にわたって配置される。
【0145】
A7 高誘電率の無機絶縁膜(第1~第3の高誘電率絶縁層131,133,152)は、ジルコニウム酸化物(ZrO2)、ハフニウム酸化物(HfO2)、タンタル酸化物(Ta2O5)、ニオブ酸化物(Nb2O5)よりなる群から選ばれる少なくともいずれかにより形成することができる。
これにより、高誘電率の無機絶縁膜について、比誘電率を10~40、10~20、例えば13~18とすることができる。一方、低誘電率の無機絶縁膜(第1及び第2の無機絶縁層132,152)について、比誘電率を8以下、5以下、または4以下とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の例示的な実施例による表示装置は、コンピュータ、ノート型パソコン、携帯電話、スマートフォン、スマートパッド、PMP、PDA、MP3プレイヤーなどに含まれる表示装置に適用可能である。
【0147】
以上、本発明の実施例による表示装置について図面を参照して説明したが、前記実施例は、例示に過ぎず、以下の請求範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、当該技術分野における通常の知識を有する者によって、修正及び変更が可能であろう。
【符号の説明】
【0148】
100: 基板
105: 高誘電率絶縁層
110: バッファー層
121: 第1のアクティブパターン
122: 第2のアクティブパターン
130: 第1のゲート絶縁層
141: 第1のゲート電極
142: 第2のゲート電極
150: 第2のゲート絶縁層
160: キャパシタ電極