(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/242 20180101AFI20240111BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20240111BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240111BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240111BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240111BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240111BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240111BHJP
【FI】
F21S43/242
F21S43/239
F21S43/14
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21W103:00
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:10 500
(21)【出願番号】P 2019229319
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松村 直哉
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/038015(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/229942(WO,A1)
【文献】特開2015-145224(JP,A)
【文献】特開2016-081598(JP,A)
【文献】特開2014-082041(JP,A)
【文献】特開2019-036529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプと、前記車両のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプとを車幅方向に並設した車両用灯具であって、
前記リッドランプは、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する第1の発光エリアを含み、
前記リアコンビネーションランプは、前記第1の発光エリア
の輝度よりも高い輝度で発光する第2の発光エリアを含み、
前記第2の発光エリアは、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光し、
前記第1の発光エリアと
前記第2の発光エリアとは、前記車幅方向において連続するように設けられていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の発光エリアの前記車幅方向における長さは、前記第2の発光エリアの前記車幅方向における長さよりも長いことを特徴とする請求項
1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2の発光エリアの輝度変化率は、前記第1の発光エリアの輝度変化率よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
車両の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプと、前記車両のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプとを車幅方向に並設した車両用灯具であって、
前記リッドランプは、前記車幅方向の内側に位置する第1の光源と、前記第1の光源と対向する位置から車幅方向の外側に向かって延在する第1の導光体と
前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する第1の発光エリアを含み、
前記リアコンビネーションランプは、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で発光し、前記第1の発光エリアと前記車幅方向において連続するように設けられている第2の発光エリアを含み、
前記リッドランプは、前記第1の光源から出射された光を前記第1の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第1の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第1の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第1の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第1の発光エリアを発光させると共に、
前記第1の導光体は、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で前記第1の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とす
る車両用灯具。
【請求項5】
前記リッドランプは、前記第
1の導光体の背面側に配置された第1のブラケットを含み、
前記第1のブラケットは、白色の反射部材からなり、前記第1の導光体の背面側から外部へと出射された光を前記第1の導光体側に向けて拡散しながら反射することを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記リアコンビネーションランプは、前記車幅方向の外側に位置する第2の光源と、前記第2の光源と対向する位置から車幅方向の内側に向かって延在する第2の導光体とを含み、
前記第2の光源から出射された光を前記第2の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第2の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第2の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第2の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第2の発光エリアを発光させると共に、
前記第2の導光体は、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で前記第2の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記リアコンビネーションランプは、前記車幅方向の外側に位置する第2の光源と、前記第2の光源と対向する位置から車幅方向の内側に向かって延在する第2の導光体とを含み、
前記第2の光源から出射された光を前記第2の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第2の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第2の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第2の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第2の発光エリアを発光させると共に、
前記第2の導光体は、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で前記第2の発光エリアが発光し、なお且つ、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で前記第2の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記リアコンビネーションランプは、前記第2の導光体の背面側に配置された第2のブラケットを含み、
前記第2のブラケットは、白色の反射部材からなり、前記第2の導光体の背面側から外部へと出射された光を前記第2の導光体側に向けて拡散しながら反射することを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプと、車両のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプとを車幅方向に並設した車両用灯具がある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
リアコンビネーションランプ及びリッドランプは、灯体の内側に、光源と、長尺の導光体とが配置されて、光源から出射された光を導光体の基端側から内部へと入射し、導光体の先端側に向けて光を導光させる。また、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光体の正面側から外部へと出射する。これにより、導光体の正面側に設けられた発光エリアをライン状に発光させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した長尺の導光体では、その基端側から先端側に向けて導光される光の光路長の違いによって、発光エリアに輝度(発光)ムラが生じることがある。すなわち、導光体の発光エリアに輝度ムラが生じた場合は、導光体の軸線方向において、光源からの光路長が短い基端側よりも光源からの光路長が長い先端側の方が光の減衰によって相対的に暗くなる。
【0006】
特に、リッドランプとリアコンビネーションランプとを車幅方向に並設した場合、リッドランプの車幅方向の外側において発光エリアの輝度が下がるため、リアコンビネーションランプとの間で発光エリアの輝度差(明暗差)が大きくなる。
【0007】
この場合、リッドランプとリアコンビネーションランプとの間で発光エリアの見栄えが低下するなどの点灯フィーリングの悪化を招くことになる。また、リッドランプとリアコンビネーションランプとの間で発光エリアを均一に発光させるためには、多くのLEDが必要となり、コストが嵩むことになる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、リッドランプとリアコンビネーションランプとの間で発光エリアの見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 車両の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプと、前記車両のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプとを車幅方向に並設した車両用灯具であって、
前記リッドランプは、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する第1の発光エリアを含み、
前記リアコンビネーションランプは、前記第1の発光エリアの輝度よりも高い輝度で発光する第2の発光エリアを含み、
前記第2の発光エリアは、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光し、
前記第1の発光エリアと前記第2の発光エリアとは、前記車幅方向において連続するように設けられていることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記第1の発光エリアの前記車幅方向における長さは、前記第2の発光エリアの前記車幅方向における長さよりも長いことを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第2の発光エリアの輝度変化率は、前記第1の発光エリアの輝度変化率よりも大きいことを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 車両の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプと、前記車両のバックゲート又はトランクリッドに搭載されるリッドランプとを車幅方向に並設した車両用灯具であって、
前記リッドランプは、前記車幅方向の内側に位置する第1の光源と、前記第1の光源と対向する位置から車幅方向の外側に向かって延在する第1の導光体と前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する第1の発光エリアを含み、
前記リアコンビネーションランプは、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で発光し、前記第1の発光エリアと前記車幅方向において連続するように設けられている第2の発光エリアを含み、
前記リッドランプは、前記第1の光源から出射された光を前記第1の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第1の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第1の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第1の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第1の発光エリアを発光させると共に、
前記第1の導光体は、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で前記第1の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とする車両用灯具。
〔5〕 前記リッドランプは、前記第1の導光体の背面側に配置された第1のブラケットを含み、
前記第1のブラケットは、白色の反射部材からなり、前記第1の導光体の背面側から外部へと出射された光を前記第1の導光体側に向けて拡散しながら反射することを特徴とする前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記リアコンビネーションランプは、前記車幅方向の外側に位置する第2の光源と、前記第2の光源と対向する位置から車幅方向の内側に向かって延在する第2の導光体とを含み、
前記第2の光源から出射された光を前記第2の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第2の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第2の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第2の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第2の発光エリアを発光させると共に、
前記第2の導光体は、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で前記第2の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記リアコンビネーションランプは、前記車幅方向の外側に位置する第2の光源と、前記第2の光源と対向する位置から車幅方向の内側に向かって延在する第2の導光体とを含み、
前記第2の光源から出射された光を前記第2の導光体の基端側から内部へと入射し、前記第2の導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記第2の導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記第2の導光体の正面側から外部へと出射することによって、前記第2の発光エリアを発光させると共に、
前記第2の導光体は、前記第1の発光エリアの外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で前記第2の発光エリアが発光し、なお且つ、前記車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で前記第2の発光エリアが発光するように、前記複数の反射カットによる光の反射度合いが調整されていることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記リアコンビネーションランプは、前記第2の導光体の背面側に配置された第2のブラケットを含み、
前記第2のブラケットは、白色の反射部材からなり、前記第2の導光体の背面側から外部へと出射された光を前記第2の導光体側に向けて拡散しながら反射することを特徴とする前記〔6〕又は〔7〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、リッドランプとリアコンビネーションランプとの間で発光エリアの見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具を備えた車両を後方側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示す車両灯具のリッドランプにおける第1の発光エリアと、リアコンビネーションランプにおける第2の発光エリアとの輝度レベルを示す模式図である。
【
図3】
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。
【
図4】
図3中の囲み部分Bに示す第1の導光体に設けられた複数の反射カットの断面図である。
【
図5】
図3中の囲み部分Cに示す第1の導光体に設けられた複数の反射カットの断面図である。
【
図6】
図3中の囲み部分Dに示す第1の導光体に設けられた複数の反射カットの断面図である。
【
図7】
図3に示すリッドランプにおける光の経路を示す要部断面図である。
【
図8】
図7中に示す線分E-Eによる第1の導光体及び第1のブラケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図8に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1を備えた車両Bを後方側から見た正面図である。
図2は、車両用灯具1のリッドランプLDLにおける第1の発光エリアE1と、リアコンビネーションランプRCLにおける第2の発光エリアE2との輝度レベルを示す模式図である。
図3は、
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。
図4は、
図3中の囲み部分Aに示す第1の導光体6Aに設けられた複数の反射カット8Aの断面図である。
図5は、
図3中の囲み部分Bに示す第1の導光体6Aに設けられた複数の反射カット8Aの断面図である。
図6は、
図3中の囲み部分Cに示す第1の導光体6Aに設けられた複数の反射カット8Aの断面図である。
図7は、
図3に示すリッドランプLDLにおける光Lの経路を示す要部断面図である。
図8は、
図7中に示す線分D-Dによる第1の導光体6A及び第1のブラケット9Aの断面図である。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば
図1に示すように、車両Bの後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプRCLと、車両Bのバックゲート又はトランクリッドの中央部におけるエンブレムEMBを挟んだ両側に搭載されるリッドランプLDLとを備えている。これらリアコンビネーションランプRCLとリッドランプLDLとは、車両Bの幅方向(以下、「車幅方向」という。)に並設されている。
【0016】
なお、本実施形態では、車両Bの後部においてエンブレムEMBを挟んで左右対称に配置されるリッドランプLDL及びリアコンビネーションランプRCLのうち、後部右側に配置されたリッドランプLDL及びリアコンビネーションランプRCLを例に挙げて、車両用灯具1の構成を説明するものとする。
【0017】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両Bの後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両Bを正面(車両Bの前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0018】
本実施形態の車両用灯具1は、
図2に示すように、リッドランプLDLにおいてライン状に赤色発光する第1の発光エリアE1と、リアコンビネーションランプRCLにおいてライン状に赤色発光する第2の発光エリアE2とを含む。
【0019】
これら第1の発光エリアE1と第2の発光エリアE2とは、尾灯(テールランプ)として機能するものであり、リッドランプLDLとリアコンビネーションランプRCLとの間で車幅方向に連続するように設けられている。また、第1の発光エリアE1の車幅方向における長さは、第2の発光エリアE2の車幅方向における長さよりも長くなっている。
【0020】
このうち、第1の発光エリアE1は、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する。一方、第2の発光エリアE2は、第1の発光エリアE1の外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で発光する。さらに、第2の発光エリアE2は、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する。
【0021】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、リッドランプLDLとリアコンビネーションランプRCLとの間で、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で第1の発光エリアE1及び第2の発光エリアE2を1つの繋がったラインとして発光させることが可能である。
【0022】
例えば、本実施形態では、第1の発光エリアE1の車幅方向(Y軸方向)における内側(-Y軸側)の端部aと外側(+Y軸側)の端部bとの輝度比(a:b)が(1:3)に設定されている。また、第2の発光エリアE2の車幅方向(Y軸方向)における内側(-Y軸側)の端部cと外側(+Y軸側)の端部dとの輝度比(c:d)が(1:3)に設定されている。さらに、第1の発光エリアE1の外側の端部bと第2の発光エリアE2の内側の端部cとの輝度比(b:c)が(1:3)に設定している。これにより、第1の発光エリアE1の内側の端部aと第2の発光エリアE2の外側の端部dとの輝度比(a:d)が(1:27)に設定されている。
【0023】
第1の発光エリアE1の外側の端部bと第2の発光エリアE2の内側の端部cとの間で、輝度(発光)ムラを視認させないためには、上述した輝度比(b:c)を(1:1)~(1:3)の範囲とすることが好ましい。
【0024】
また、第2の発光エリアE2は、上述した車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で発光する構成に限らず、車幅方向に亘って均一な輝度で発光する構成であってもよい。すなわち、第2の発光エリアE2では、上述した輝度比(c:d)が(1:1)に設定されていてもよい。
【0025】
リッドランプLDLは、
図3に示すように、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体(図示せず。)の内側に、第1の光源5Aと、第1の導光体6Aとが配置された構成を有している。
【0026】
同様に、リアコンビネーションランプRCLは、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体(図示せず。)の内側に、第2の光源5Bと、第2の導光体6Bとが配置された構成を有している。
【0027】
リッドランプLDL及びリアコンビネーションランプRCLは、車両Bの後端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって、互いに連続的に湾曲した形状を有している。
【0028】
第1の光源5A及び第2の光源5Bは、赤色光(以下、単に「光」という。)を発する発光ダイオード(LED)からなる。また、LEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのもの(例えばSMD LEDなど。)を使用することが可能である。第1の光源5A及び第2の光源5Bは、それぞれLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板7A,7B上に実装されている。
【0029】
このうち、第1の光源5Aが実装された回路基板7Aは、車幅方向の内側に位置して、第1の光源5Aを第1の導光体6Aの内側の端部と対向させた状態で配置されている。これにより、第1の光源5Aは、回路基板7Aに実装された位置から第1の導光体6Aの内側の端部に向かって光を放射状に出射する。
【0030】
一方、第2の光源5Bが実装された回路基板7Bは、車幅方向の外側に位置して、第2の光源5Bを第2の導光体6Bの外側の端部と対向させた状態で配置されている。これにより、第2の光源5Bは、回路基板7Bに実装された位置から第2の導光体6Bの外側の端部に向かって光を放射状に出射する。
【0031】
なお、本実施形態では、上述した回路基板7A,7B上にLED(第1及び第2の光源5A,5B)が実装された構成となっているが、LEDが実装された基板(実装基板)と、駆動回路が設けられた基板(回路基板)とを別々に配置し、これら実装基板と回路基板とをハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0032】
第1及び第2の光源5A,5Bについては、上述したLED以外にも、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、第1及び第2の光源5A,5Bの数については、1つに限らず複数であってもよい。
【0033】
第1の導光体6A及び第2の導光体6Bは、インナーレンズとして、長尺の光透過性部材からなる。光透過性部材には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0034】
このうち、第1の導光体6Aは、第1の光源5Aと対向する位置から車幅方向の外側に向かって延在して設けられている。一方、第2の導光体6Bは、第2の光源5Bと対向する位置から車幅方向の内側に向かって延在して設けられている。
【0035】
リッドランプLDLでは、第1の光源5Aから出射された光を第1の導光体6Aの内側(基端側)の端部から第1の導光体6Aの内部へと入射し、第1の導光体6Aの内部で反射を繰り返しながら、第1の導光体6Aの外側(先端側)の端部に向けて光を導光させる。また、第1の導光体6Aの背面側に設けられた複数の反射カット8Aで反射された光を第1の導光体6Aの正面側から外部へと出射する。これにより、リッドランプLDLでは、上述した第1の発光エリアE1をライン状に赤色発光させることが可能である。
【0036】
リアコンビネーションランプRCLでは、第2の光源5Bから出射された光を第2の導光体6Bの外側(基端側)の端部から第2の導光体6Bの内部へと入射し、第2の導光体6Bの内部で反射を繰り返しながら、第2の導光体6Bの内側(先端側)の端部に向けて光を導光させる。また、第2の導光体6Bの背面側に設けられた複数の反射カット8Bで反射された光を第2の導光体6Bの正面側から外部へと出射する。これにより、リアコンビネーションランプRCLでは、上述した第2の発光エリアE2をライン状に赤色発光させることが可能である。
【0037】
複数の反射カット8A,8Bは、第1及び第2の導光体6A,6Bの背面に入射した光Lを第1及び第2の導光体6A,6Bの正面に対して臨界角未満となる角度(第1及び第2の導光体6A,6Bの正面を光が透過する角度)で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0038】
例えば、本実施形態の複数の反射カット8A,8Bは、断面略三角形となるプリズムカットが第1及び第2の導光体6A,6Bの上下方向に延在し且つ第1及び第2の導光体6A,6Bの車幅方向に並ぶことによって構成されている。
【0039】
一方、第1の導光体6Aでは、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で第1の発光エリアE1が発光するように、複数の反射カット8Aによる光の反射度合いが調整されている。
【0040】
具体的には、
図4~
図6に示すように、車幅方向の内側から外側に向かって複数の反射カット8Aのサイズが漸次大きくなっている。また、複数の反射カット8Aは、車幅方向の内側から外側に向かって、隣り合う間隔が漸次狭くなっている。
【0041】
さらに、第1の導光体6Aの車幅方向の内側には、複数の反射カット8Aを省略した平坦部を設けた構成としてもよい。平坦部は、第1の発光エリアE1のうち、車幅方向の内側を第1の導光体6Aの正面からの漏れ光によって、反射カット8Aが設けられた位置よりも低輝度で発光させることが可能である。
【0042】
一方、第2の導光体6Bでは、第1の発光エリアE1の外側の輝度と同じか、その輝度よりも高い輝度で第2の発光エリアE2が発光し、なお且つ、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で第2の発光エリアE2が発光するように、複数の反射カット8Bによる光の反射度合いが調整されている。
【0043】
具体的には、車幅方向の内側から外側に向かって複数の反射カット8Bのサイズが漸次大きくなっている。また、複数の反射カット8Bは、車幅方向の内側から外側に向かって、隣り合う間隔が漸次狭くなっている。
【0044】
リッドランプLDLの灯体内には、第1の導光体6Aを保持する第1のブラケット9Aが第1の導光体6Aの背面側に対向して設けられている。同様に、リアコンビネーションランプRCLの灯体内には、第2の導光体6Bを保持する第2のブラケット9Bが第2の導光体6Bの背面側に対向して設けられている。第1及び第2のブラケット9A,9Bは、第1及び及びの導光体6A,6Bを保持した状態で、ハウジングの正面側に取り付けられている。
【0045】
また、第1及び第2のブラケット9A,9Bは、光拡散性を有する白色の反射部材からなる。これにより、第1及び第2のブラケット9A,9Bは、第1及び第2の導光体6A,6Bの背面側から外部に出射された光を第1及び第2の導光体6A,6B側に向けて拡散しながら反射する。なお、白色の反射部材による光の拡散度合いは、この反射部材の表面粗さにより調整することが可能である。
【0046】
リッドランプLDLでは、
図7に示すように、複数の反射カット8Aにより反射された光L1と共に、第1のブラケット9Aにより拡散しながら反射された光L2が、第1の導光体6Aの正面側から外部へと出射される。これにより、複数の反射カット8Aにより反射された光L1が点光りとして視認されることを、第1のブラケット9Aにより拡散しながら反射された光L2により低減することが可能である。
【0047】
同様に、リアコンビネーションランプLについても、複数の反射カット8Bにより反射された光と共に、第2のブラケット9Bにより拡散しながら反射された光が、第1の導光体6Bの正面側から外部へと出射される。これにより、複数の反射カット8Bにより反射された光が点光りとして視認されることを、第1のブラケット9Bにより拡散しながら反射された光により低減することが可能である。
【0048】
なお、第1及び第2のブラケット9A,9Bについては、上述した白色の反射部材からなるものに必ずしも限定されるものではなく、例えばAl蒸着膜などの反射膜が設けられた第1及び第2のブラケット9A,9Bの表面に光拡散機能を持たせたものであってもよい。
【0049】
リッドランプLDLでは、
図8に示すように、第1の導光体6Aの複数の反射カット8Aを挟んだ両側に位置して、複数の反射カット8Aよりも後方に向かって延出された上下一対の延出部10a,10bを設けた構成としてもよい。
【0050】
この構成の場合、第1の導光体6Aの背面側から外部に出射された光を第1のブラケット9Aにより拡散しながら反射したときに、この拡散しながら反射した光を第1の導光体6Aへと効率良く再入射させることが可能である。
【0051】
同様に、リアコンビネーションランプLについても、第2の導光体6Bの複数の反射カット8Bを挟んだ両側に位置して、複数の反射カット8Bよりも後方に向かって延出された上下一対の延出部を設けた構成としてもよい。
【0052】
これにより、第2の導光体6Bの背面側から外部に出射された光を第2のブラケット9Bにより拡散しながら反射したときに、この拡散しながら反射した光を第2の導光体6Bへと効率良く再入射させることが可能である。
【0053】
エンブレムEMBは、図示を省略するものの、リッドランプLDLのレンズカバーの正面側に位置して、第1の光源5A及び第1の導光体6Aの内側の端部を覆うように配置されている。
【0054】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、上述したリッドランプLDLとリアコンビネーションランプRCLとの間で、車幅方向の内側から外側に向かって漸次高くなる輝度で第1の発光エリアE1及び第2の発光エリアE2を1つの繋がったラインとして発光させることが可能である。
【0055】
したがって、本実施形態の車両用灯具1では、これらリッドランプLDLとリアコンビネーションランプRCLとの間で、第1及び第2の発光エリアE1,E2の見栄えを良くすることを可能である。
【0056】
また、本実施形態の車両用灯具1では、リッドランプLDLとリアコンビネーションランプRCLとの間で、第1及び第2の発光エリアE1,E2を車幅方向に均一に発光させる場合よりも、第1及び第2の光源5A,5Bとして使用されるLEDの数を減らすことによって、省電力化を図ることが可能である。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記車両用灯具1では、実際の車両Bのデザイン等に合わせて、第1及び第2の発光エリアE1,E2(第1及び第2の導光体6A,6B)の形状や数などを適宜変更することが可能である。
【0058】
例えば、1つの繋がったラインとして発光する第1及び第2の発光エリアE1,E2を上下方向に複数並べて配置した構成としてもよい。また、第1及び第2の発光エリアE1,E2の上下方向の幅を拡げて面状に発光させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…車両用灯具 5A…第1の光源 5B…第2の光源 6A…第1の導光体 6B…第2の導光体 7A,7B…回路基板 8A,8B…反射カット 9A…第1のブラケット 9B…第2のブラケット 10a,10b…延出部 LDL…リッドランプ RCL…リアコンビネーションランプ E1…第1の発光エリア E2…第2の発光エリア B…車両 EMB…エンブレム