(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】新規リンカー、その製造方法およびその応用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20240111BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240111BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240111BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240111BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240111BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240111BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240111BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240111BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240111BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C07K7/06
A61K45/00
A61K47/68
A61P9/10
A61P25/28
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/06
C07K19/00
(21)【出願番号】P 2020014294
(22)【出願日】2020-01-31
(62)【分割の表示】P 2018085715の分割
【原出願日】2014-04-28
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】201310171802.4
(32)【優先日】2013-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410111810.4
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515299999
【氏名又は名称】秦剛
【氏名又は名称原語表記】Qin Gang
【住所又は居所原語表記】A-2 Building,105C,Xing Hu Street 218,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu-215123,Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】秦剛
(72)【発明者】
【氏名】譚初兵
(72)【発明者】
【氏名】袁金鐸
(72)【発明者】
【氏名】姜鷺
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】中根 知大
【審判官】上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/003555(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/142659(WO,A1)
【文献】Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,2012年,Vol.109, No.30,pp.11993-11998
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式26で示される、双官能リンカー:
【化1】
[式中、Xは-OH又は-NH
2基である]。
【請求項2】
標的化部分と、細胞毒性薬、毒素、核酸分子又はトレイサー分子とを結合するための、請求項1に記載のリンカーの使用。
【請求項3】
前記細胞毒性薬は、パクリタキセル(Paclitaxel)及びその誘導体、MMAE、MMAF等のオーリスタチン(Auristatins)誘導体、メイタンシン(Maytansine)及びその誘
導体、エポチロン(Epothilone)及びその類似物、ビンブラスチン(Vinblastine)、ビンク
リスチン(Vincristine)、ビンデシン(Vindesine)、ビノレルビン(Vinorelbine)、ビンフ
ルニン(Vinflunine)、ビングリシナート(Vinglycinate)、 アンヒドロビンブラスチン(anhy-drovinblastine)のようなビンカアルカロイド、ドラスタチン(Dolastatins)及びその類似物、ハリコンドリンB(Halichondrin)、メツレドーパ(Meturedopa)、ウレドーパ(Uredopa)、カンプトテシン(Camptothecine)及びその誘導体、ブリオスタチン(Bryostatin)、カリスタチン(Callystatin)、メルファラン(Melphalan)、カルムスチン(Carmustine)、フォテムスチン(Fotemustine)、ロムスチン(Lomustine)、ニムスチン(Nimustine)、ウラムスチン(Uramustine)、ラニムスチン(Ranimustine),ネオカルジノスタチン(Neocarzinostatin)、ダクチノマイシン(Dactinomycin)、ポルフィロマイシン(Porfiromycin)、アントラマイシン(Anthramycin)、アザセリン(Azaserine)、エソルビシン(Esorubicin)、ブレオマイシン(Bleomycin)、カラビシン(Carabicin)、イダルビシン(Idarubicin)、ノガラマイシン(Nogalamycin)、カルジノフィリン(Carzinophilin)、カルミノマイシン(Carminomycin)、ダイネミシン(Dynemicin)、エスペラミシン(Esperamicin)、エピルビシン(Epirubicin)、マイトマイシン(Mitomycin)、オリボマイシン(Olivomycin)、ペプロマイシン(Peplomycin)、ピューロマイシン(Puromycin)、マルセロマイシン(Marcellomycin)、ロドルビシン(Rodorubicin)、ストレプトニグリン(Streptonigrin)、ウベニメクス(Ubenimex)、ゾルビシン(Zorubicin)のようなニトロソウレア、メトトレキサート(Methotrexate)、デノプテリン(Denopterin)、プテロプテリン(Pteropterin)、トリメトレキサート(Trimetrexate)のような葉酸類似物、チアミプリン(Thiamiprine)、フルダラビン(Fludarabine)、チオグアニン(Thioguanine)等のプリン類似物、アンシタビン(Ancitabine)、アザシチジン(Azacitidine)、シタラビン(Cytarabine)、デオキシウリジン(Dideoxyuridine)、ドキシフルリジン(5'-Deoxy-5-fluorouridine)、エノシタビン(Enocitabine)、フロクスウリジン(Floxuridin)のようなピリミジン類似物、カルステロン(Calusterone)、ドロスタノロン(Drostanolone)、エピチオスタノール(Epitiostanol)、メピチオスタン(Mepitiostane)、テストラクトン(Testolactone)のような雄性ホルモン、アセグラトン(Aceglatone)、アルドホスファミドグリコシド(Aldophosphamide Glycoside)、アミノレブリン酸(Aminolevulinic Acid)、ビサントレン(Bisantrene)、エダトレキサート(Edatrexate)、コルヒセインアミド(Colchicinamide)、ジアジクオン(Diaziquone)、エフロルニチン(Eflornithine)、エリプチシニウムアセタート(Elliptinium Acetate)、ロニダミ
ン(Lonidamine)、ミトグアゾン(Mitoguazone)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)
、ペントスタチン(Pentostatin)、ベタシゾフィラン(Betasizofiran)、スピロゲルマニウム(Spirogermanium)、テヌアゾン酸(Tenuazonic acid)、トリアジクオン(Triaziquone)、ベラキュリンA(Verracurin A)、ロリジンA(Roridin A) 、アングイジン(Anguidine)、ダカルバジン(Dacarbazine)、マンノムスチン(Mannomustine)、ミトラクトール(Mitolactol)、ピポブロマン(Pipobroman)、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、フルタミド(Flutamide)、ニルタミド(Nilutamide)、ビカルタミド(Bicalutamide)、酢酸リュープロリド(Leuprorelin Acetate)、ゴセレリン(Goserelin)、タンパク質キナーゼ及びプロテアソーム阻害剤から成る群から選択され、
前記核酸分子は、1本鎖及び/又は2本鎖のDNA、RNA、核酸類似物から成る群か
ら選択され、、好ましくはsiRNA分子であり、
前記トレイサー分子は、蛍光分子(TMR、Cy3、FITC、フルオレセイン等)又は放射性核種から選択される、
請求項
2に記載の使用。
【請求項4】
前記標的化部分は、抗体、1本鎖抗体、ナノ抗体、単一ドメイン抗体、抗体フラグメント、抗体模倣物、ポリペプチド又は標的化細胞に特異的に結合するタンパク質若しくはペプチドである、請求項2または3に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物製薬及び生物工学分野に関し、特に結合するための新規リンカー(linker)及びその製造方法、並びにそれを用いて小分子化合物、核酸、核酸類似物、トレイサー分子等を部位特異的な方式でタンパク質、多ペプチドのN末端又はC末端に安定に結合する方法に関する。本発明に係るリンカー及び結合方法は、腫瘍標的化薬物、標的化トレーシング診断薬及び効率的に特定細胞に対する薬物送達剤等の製造に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
小分子化合物、タンパク質、ペプチド、核酸分子、核酸分子類似物、トレイサー分子等を特定細胞又は組織に標的化送達することは、生物学研究及び臨床診断、治療における重要技術であり、新たなる挑戦でもある。最も需要な応用としては、癌治療分野において、高度な標的化抗体-薬物複合体(ADC)の開発である。癌を治療するために、FDAは、2011年、2013年に2つのADC薬物(Seattle Genetics会社の新薬物Adcetrisとロシュ会社の新薬物Kadcyla)の販売を許可した。
【0003】
抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugates,ADC)は、モノクローナル抗体薬物を
基礎として、抗体の標的化機能と伝統細胞毒性薬を兼備する効率的な抗腫瘍薬物であり、薬物が作用する細胞種類と標的化部位を確定する抗体(antibody)、ADC薬物の設計にお
けるコア部分で、標的化薬物送達の肝要であるリンカー(linker);及び細胞死の誘導、アポトーシスの誘導、又は細胞活性の抑制を行う任意の化合物である細胞毒素(toxin)
の三つの部分からなる。ADC薬物におけるコア部分は、結合方式の設計であり、標的化薬
物送達の肝要である。今まで、リンカーの設計については、化学結合、抗体の非天然アミノ酸改変、生物酵素触媒等の様々な方法(Seattle Genetics、Immunogene、Mersana、Ambrx、Pfizer等会社からの技術を参照)があるが、何れも薬物が抗体に結合する部位と数量が不均質で、製造工程が複雑である等の問題がある。これは、薬物動力学、薬物安定性及び薬効再現性が低い問題を招くことになる。部位特異的な高均質結合は、ADC薬物の望ま
しい発展方向である。
【0004】
アンチセンス(Antisense)、低分子干渉RNA(siRNA)等の核酸及び核酸類似物薬物は
、癌治療分野において特別な利点があるため、次世代の生物製薬の主体になると予測した。目前まで、第II/III相臨床段階に入る核酸及び核酸類似物薬物は、主に脂質等ナノ材料で覆われるため、標的化特異性を欠けることがわかる。抗体でsiRNAを送達することは、
報告されている。しかし、siRNAは、普通、非共有結合で抗体に結合するため、siRNA-抗体複合体の割合が非常に不均質になって、薬物動力学、薬物安定性及び薬効再現性が低い問題を招くことになる(YaoY-D et al,Sci Transl Med. 2012, 4(130):130ra48)。従って、臨床に用いるのは、困難である。標的化送達は、抗体の固定部位にsiRNA等の治療用
分子が共有結合されることが望ましい。
【0005】
細胞培養におけるRNA干渉実験は、生物医学研究の重要技術になる。今まで、トランス
フェクション試薬を使用してsiRNAを細胞に送達するのは、普通である(Invitrogen及びRoche会社のトランスフェクション試薬を参照)。この方法は、細胞への毒性が大きい、多種の細胞に対する效率が低い。従って、簡単で、効率的送達方法は、非常に必要がある。
【0006】
ソルターゼは、グラム陽性菌における酵素であり、高度特異性を有するタンパク質に結合するため、タンパク質とペプチド系、核酸類似物、糖系等の活性物質との結合及び生細胞標識等に用いられる。ソルターゼをタンパク質分子の特定部位標識に用いるのは、報告されている(Mohlmann et al, Chembiochem. 2011,12(11):1774-80;;Madej MP et al, B
iotechnol Bioeng. 2012 , 109(6):1461-70; Swee LK et al, Proc Natl Acad Sci U S A. 2013, 110(4):1428-33)。遺伝子改変したソルターゼは、報告されている。こられは、異なる触媒特性を現す。しかし、この方法を抗体-薬物、抗体-毒素、抗体-siRNA又は
抗体-オリゴヌクレオチド複合体の製造に用いるのは、技術的に実現していない。主因として、上記の製造要求を満たすリンカーの設計及び相応する結合方法の開発は、極大の挑戦にあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のADC薬物の製造、標的化核酸薬物の製造、標的化トレーシング診断薬
及び効率的な細胞送達等の分野に存在する問題を解決するための新規結合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.リンカー
本発明は、一連の双官能リンカーを提供する。前記双官能リンカーは、タンパク質結合領域(Protein Conjugation Area,PCA)、リンカー領域(Linker Area, LA)及び化学結合領域(Chemical Conjugation Area, CCA)の三つの部分からなり、以下の式で表わされる。
PCA1-(LA)a-CCA1 (I)
又は
CCA2-(LA)a-PCA2 (II)
【0009】
標的化部分がタンパク質、抗体等である場合、PCAは、短鎖ペプチド配列であり、天然
のソルターゼ(ソルターゼA、ソルターゼB、ソルターゼC、ソルターゼD、ラクトバシラス・プランタラムのソルターゼ等を含み、特許US20110321183A1を参照)及び改変されたソ
ルターゼ的基質配列(例えば、Chen I et al, Proc Natl Acad Sci USA. 2011, 108(28):11399-404)を表す。具体的に、
式(I)は、第1類リンカーであり、ここで、PCA1は、適切なソルターゼ受容体基質で
あり、ポリグリシン(Gly)配列 Gn(通常、nは1-100であり)からなり、ここで、C末端アミノ酸のα-カルボキシル基がLAに結合する。また、式(I)で表されるPCA1は、ポリ
アラニン(Aln)配列又は者ポリグリシン/アラニンの共重合体配列のような他の適切な受容体基質配列であってもよい。
【0010】
式(II)は、第2類リンカーであり、ここで、PCA2は、相応するソルターゼのドナー基質認識配列である。黄色ブドウ球菌のソルターゼAは、LPXTGであり、黄色ブドウ球菌のソルターゼ Bは、NPQTNであり、 炭疽菌のソルターゼBは、NPKTGであり、化膿レンサ球菌のソルターゼAは、LPXTGであり、ストレプトマイセス・セリカラーのソルターゼサブファミリー5は、LAXTGでありラクトバシラス・プランタラムのソルターゼは、LPQTSEQである。
【0011】
PCA2配列は、X1X2X3TX4X5X6であり、ここで、X1はロイシン(Leu)又はアスパラギン(Asn)を表し、X2はプロリン(Pro)又はアラニン(Ala)を表し、X3はアミノ酸のうちの
いずれか1つを表し、X4はトレオニン(Thr)を表し、X5はグリシン(Gly)、セリン(Ser
)又はアスパラギン(Asn)を表し、X6はアミノ酸のうちのいずれか1つ又は存在しない
ことを表す。PCA2は、そのN末端アミノ酸のα位の第一級アミンによりLAに結合する。
なお、標的化部分が短鎖ペプチドである場合、式(I)又は式(II)で表されるリンカ
ーにおけるPCAは、上記のように設計してもよいし、標的化ペプチドの自己配列を直接に
使用してもよい。
【0012】
式(I)及び式(II)のPCAのアミノ酸配列におけるグリシン以外の他のアミノ酸の全て
は、L-アミノ酸である。
【0013】
また、LAは、PCAとCCAの間の接続部分であり、ここで、aが0又は1であり、即ち、LAが
任意選択的に存在する。
【0014】
LAの構造は、以下の式
NH2-R1-P-R2-(C=O)-OH
で表される。
【0015】
一方、Pは、式(OCH2CH2)mで表されるポリエチレングリコール単位を表し、ここで、mは0又は1~1000の整数であり;R1、R2はH、炭素数1~6の直線状アルキル基、炭素数3
~6の分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2~6の直線状、分岐状もしくは環状のアルケニル基又はアルキニル基;前記LAは、それぞれに末端アミノ基と末端カルボキシル基によりPCA及びCCAにアミド結合で共有結合される。
【0016】
他方、Pは、1~100のアミノ酸を有するペプチド単位を表し、R1、R2はH、炭素数1~6の直線状アルキル基、炭素数3~6の分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2~6の直線状、分岐状もしくは環状のアルケニル基又はアルキニル基;前記LAは、それぞれに末端アミノ基と末端カルボキシル基によりPCA及びCCAにアミド結合で共有結合される。
【0017】
直線状アルキル基の実例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基を含む。前記炭素数3~6の分岐状もしくは環状のアルキル基の実例は、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基を含む。
【0018】
前記炭素数2~6の直線状アルケニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基を含む。前記炭素数2~6の分岐状もしくは環状のアルケニル基の実例は、イソブチニル基、イソペンチニル基、2-メチル-1-ペンチニル基、2-メチル-2-ペンチニル基を含む。
【0019】
前記炭素数2~6の直線状アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基を含む。前記炭素数2~6の分岐状もしくは環状のアルキニル基の実例は、3-メチル-1-ブチニル基、3-メチル-1-ペンチニル基、4-メ
チル-2-ヘキシニル基を含む。
【0020】
CCAは、適切な官能基を含有し、アミド結合、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、
チオエステル結合、ペプチド結合、ヒドラゾン結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合により、小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等に共有結合する。好ましく、化学基は、第一級アミンとの反応に適するN-スクシンイミジルエステル、N-スルホスクシンイミジルエステル;アミノ基との反応に適するp-ニトロフェニルエステル(p-nitrophenyl esters)、ジニトロフェニルエステル(dinitrophenyl esters)、ペンタフ
ルオロフェニルエステル(pentafluorophenyl esters);メルカプト基との反応に適するマレイミド基;メルカプト基との反応に適するカルボン酸塩化物(Carboxylic acid chlorides);メルカプト基との反応でジスルフィド結合を形成するピリジルジチオ基(pyridyldithio)、ニトロピリジルジチオ基(Nitropyridyldithio);及びメルカプト基との反応に適するハロアルキル基(alkylhalide)又はハロアセチル基(haloacetyl);ヒドロ
キシ基との反応に適するイソシアナート基(isocyanate);ヒドロキシ基との縮合反応で
エステル結合を形成し、又はアミノ基との縮合反応でアミド結合を形成するカルボキシル基を含むが、これらに限定されない。CCAにおける官能基は、アルコキシアミン(alkoxy-
amine)との反応によりオキシム結合(oxime)が形成される反応、Cu(I)触媒でアルキ
ン(alkyne)又はアジド(azide)に反応するヒュスゲンの1,3-双極子環化付加反応(「Click」反応 )、逆電子要請型Diels-Alder((inverse electron demand hetero Diels-Alder)HDA) 反応、マイケル反応、メタセシス反応(metathesis reactions)、遷移金
属触媒によるクロスカップリング反応(transition metal catalyzed cross-couplings)、ラジカル重合反応(oxidative couplings)、酸化カップリング反応(oxidative couplings)、アシル転移反応(acyl-transfer reactions )又はフォトクリック反応(photo click reactions)である反応に関与する反応性基を含む(Kim CH et al,Curr Opin Chem Biol. 2013 Jun;17(3):412-9)。
【0021】
好ましく、I型リンカーのCCA1は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応により
形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つのリジンを含有する。このペプチドにおいては、N末端アミノ酸
残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA1)がアミド結合を形成し、C末端が-COOH或-CONH
2である。希望する結合数に応じて、リジンのε-アミノ基には、適切な二官能性架橋剤(Heterobifunctional cross-linkers)と直接に結合することにより、マレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基、ハロアセチル基、イソシアナート基等の官能基が導入されることができる。好ましく、結合されたリジンのα-アミノ基とε-アミノ基は、さらにより多くのリジンに結合する。そして、こられのさらに結合されたリジンのα-アミノ基とε-アミノ基は、適切な官能基を結合することができる。このように繰り返すことで、分岐鎖リジンのα-アミノ基とε-アミノ基が他のリジンのα-カルボキシル基とアミド結合を形成することにより、複数のリジンを分岐鎖で結合する分岐鎖リジンを含有する分岐鎖構造が形成されることができる。主鎖ポリリジンの数と分岐鎖リジンの分岐鎖構造を増加することにより、このCCA分子に導入される官能基数は、1~1000になることができる。好ましく、分岐鎖リジンの分岐鎖構造には、グリシンのような他のアミノ酸が含まれている。例えば、1つのリジンのα-アミノ基又はε-アミノ基は、グリシンのα-カルボキシル基とアミド結合を形成し、さらに、前記グリシンのアミノ基は、他のリジンのα-カルボキシル基とアミド結合を形成することが可能である。必要があれば、リジン同士の間に導入される他のグリシンの数は、1つ又は複数であってもよい。導入される他のグリシンは、その側鎖に適切な官能基が結合されて、導入される官能基数を増加することができる。例えば、導入される他のグリシンは、システインであってもよい。当該システインは、側鎖のメルカプト基により、適切な官能基が導入されることができる。好ましく、前記分岐鎖リジン構造における任意の2つのアミノ酸の間には、両末端がアミノ酸のカルボキシル基又はアミノ基に共有結合する反応性基を含有する、アルキル基又はシクロアルキル基のような他の非アミノ酸構造が含まれることができる。好ましく、CCA分子には
、適切な二官能性架橋剤によりマレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基、ハロアセチル基、イソシアナート基等の官能基が導入されることができる。前記二官能性架橋剤としては、スクシンイミジル-4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カル
ボキシラート(N-Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate,SMCC)、SMCC の「長鎖」類似物であるN-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミド(N-[alpha-maleimidoacetoxy]Succinimide ester, AMAS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)ス
クシンイミド(N-gamma-Maleimidobutyryl-oxysuccinimide ester, GMBS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3-MaleiMidobenzoic acid N-hydroxysucciniMide ester,MBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル(6-maleimidohexanoic acid N-hydroxysuccinimide ester,EMCS)、4-(4-マレイミドフェニル)酪酸 N-スクシンイミジル( N-SucciniMidyl 4-(4-MaleiMidophenyl)butyrate, SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエー(Succinimidyl 6-[(beta-maleimidopropionamido)hexanoate, SMPH]、6-[[4-(N-
マレイミドメチル)シクロヘキシル] カルボキサミド]ヘキサン酸 N-スクシンイミジル (Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxy-(6-amidocaproate),LC-SMC
C)、11-マレイミドウンデカン酸 N-スクシンイミジル(N-Succinimidyl 11-(maleimido)undecanoate, KMUS) 等のマレイミド基を含有する架橋剤; N-ヒドロキシスクシンイミ
ジル-(ポリエチレングリコール)n -マレイミドを含有する二官能性架橋剤(SM(PEG
)n)、ここで、nは、2、4、6、8、12又は24個のポリエチレングリコール(PEG)単位で
あり;N-スクシンイミジル-(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(Succinimidyl (4-iodoacetyl)aminobenzoate, SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(Succinimidyl iodoacetate, SIA)、N-(ブロモアセトキシ)スクシンイミド(N-Succinimidyl bromoacetate, SBA) 、スクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロピオネート(N-Succinimidyl 3-(Bromoacetamido)propionate,SBAP)等の基本部分とするハロアセチル基を含有する架橋剤;スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(N-SucciniMidyl 3-(2-Pyridyldithio)propionate, SPDP)、スルホスクシニミジロル 6-(α-メチル
-〔2 -ピリジルジチオ〕トルアミド)ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[(-methyl-(-(2-pyridyldithio) toluamido]hexanoate, S-LC-SMPT)、スルホスクシンイミジル6
-[3’-(2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[3-(2-pyridyldithio)-propionamido]hexanoate, S-LC-SPDP)等のピリジルジチオ基を
含有する架橋剤を含むが、こられに限定されない。上記の要求を満たすリンカーは、
図1~12に示す化学式で表わされるものが好ましいが、こられに限定されない。
【0022】
I型リンカーの他の好ましいCCA1は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応によ
り形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つのシステインを含有する。このペプチドにおいては、N末端ア
ミノ酸残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA1)がアミド結合を形成し、C末端が-COOH或-CONH
2である。このシステインの側鎖メルカプト基は、マレイミド基、ピリジルジチ
オ基、ハロアルキル基又はハロアセチル基のような二官能性架橋剤に結合する。上記の架橋剤は、2つの組に分けることが好ましい。第一組は、第一級アミンを含有する小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合に用いられる。システインの側鎖メルカプト基に結合される二官能性架橋剤としては、スクシンイミジル-4-[N-マレイミドメチ
ル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(N-Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate,SMCC)、SMCC の「長鎖」類似物であるN-(α-マレイミドアセ
トキシ)スクシンイミド(N-[alpha-maleimidoacetoxy]Succinimide ester, AMAS)、N-(4
-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド(N-gamma-Maleimidobutyryl-oxysuccinimide ester,GMBS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3-MaleiMidobenzoic acid N-hydroxysucciniMide ester,MBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(6-maleimidohexanoic acid N-hydroxysuccinimide
ester,EMCS)、4-(4-マレイミドフェニル)酪酸 N-スクシンイミジル( N-SucciniMidyl 4-(4-MaleiMidophenyl)butyrate,SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミ
ドプロピオンアミド)ヘキサノエー(Succinimidyl 6-[(beta-maleimidopropionamido)hexanoate, SMPH]、6-[[4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキシル] カルボキサミド]ヘキ
サン酸 N-スクシンイミジル (Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxy-(6-amidocaproate),LC-SMCC)、11-マレイミドウンデカン酸 N-スクシンイミジル(N-Succinimidyl 11-(maleimido)undecanoate, KMUS) 等のマレイミド基を含有する架橋剤
; N-ヒドロキシスクシンイミジル-(ポリエチレングリコール)n -マレイミドを含有する二官能性架橋剤(SM(PEG)n)、ここで、nは、2、4、6、8、12又は24個のポリエチ
レングリコール(PEG)単位であり;スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオ
ネート(N-SucciniMidyl 3-(2-Pyridyldithio)propionate, SPDP)、スルホスクシニミジロル 6-(α-メチル-〔2 -ピリジルジチオ〕トルアミド)ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[(-methyl-(-(2-pyridyldithio) toluamido]hexanoate, S-LC-SMPT)、スル
ホスクシンイミジル6-[3’-(2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート
(sulfosuccinimidyl-6-[3-(2-pyridyldithio)-propionamido]hexanoate, S-LC-SPDP)等
のピリジルジチオ基を含有する架橋剤;N-スクシンイミジル-(4-ヨードアセチル)
-アミノベンゾエート(Succinimidyl (4-iodoacetyl)aminobenzoate, SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(Succinimidyl iodoacetate, SIA)、N-(ブロモアセトキシ)スクシンイミド(N-Succinimidyl bromoacetate, SBA) 、スクシンイミジル3-[ブロモア
セトアミド]プロピオネート(N-Succinimidyl 3-(Bromoacetamido)propionate,SBAP)等の
基本部分とするハロアセチル基を含有する架橋剤を含むが、こられに限定されない。第二組は、ヒドロキシ基を含有する小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合に用いられる。システインの側鎖メルカプト基に結合される二官能性架橋剤としては、N-(p-マレイミドフェニル)イソシアネート(N-(p-Maleimidophenyl isocyanate),PMPI)
を含むが、これに限定されない。上記の要求を満たすリンカーは、
図13~18に示す化学式で表わされるものが好ましいが、こられに限定されない。
【0023】
I型リンカーの他の好ましいCCA1は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応によ
り形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つの化学反応性の高い非天然アミノ酸残基を含有し、化学反応性の高い非天然アミノ酸残基がアミノ酸の側鎖基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基等)に導入されることができる。化学反応性の高い非天然アミノ酸は、オキシム結合(oxime)の形成、Cu(I)触媒でのヒュスゲンの1,3-双極子環化
付加反応(「Click」反応 )、逆電子要請型Diels-Alder((inverse electron demand hetero Diels-Alder)HDA) 反応、マイケル反応、メタセシス反応(metathesis reactions)、遷移金属触媒によるクロスカップリング反応(transition metal catalyzed cross-couplings)、ラジカル重合反応(oxidative couplings)、酸化カップリング反応(oxidative couplings)、アシル転移反応(acyl-transfer reactions )及びフォトクリック
反応(photo click reactions)等の反応により、適切な官能基を含有する小分子化合物
、核酸分子、トレイサー分子等に共有結合されることができる。このペプチドにおいては、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA1)がアミド結合を形成し、C末端が-COOH或-CONH
2である。希望する結合数に応じて、適切な数の非天然アミノ酸残基が
導入されることができる。上記の要求を満たすリンカーは、
図19~25に示す化学式で表わされるものが好ましいが、こられに限定されない。
【0024】
上記の好ましいCCA1の構成は、組み合わせて使用されることができる。即ち、1つのCCA1分子には、様々な小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合を実現する
ために、複数の機能が異なる官能基が同時に含まれることができる。
【0025】
好ましく、II型リンカーのCCA2は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応により形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つのリジンを含有する。このペプチドにおいては、N末端アミノ酸
残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA2)がアミド結合を形成する。希望する結合数に応じて、リジンのε-アミノ基には、適切な二官能性架橋剤(Heterobifunctional cross-linkers)と直接に結合することにより、マレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基、ハロアセチル基、イソシアナート基等の官能基が導入されることができる。一方、ε-アミノ基は、分岐鎖を形成するように、他のリジンのα-カルボキシル基とアミド結合を形成する。さらに、分岐鎖リジンのα-アミノ基及びε-アミノ基には、適切な二官能性架橋剤により、マレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基、ハロアセチル基、イソシアナート基等の官能基が直接に導入されることができる。この方法で導入される官能基数は、ポリリジンの数の2倍である。好ましく、結合されたリジンのα-アミノ基とε-アミノ基は、さらにより多くのリジンに結合する。そして、こられのさらに結合されたリジンのα-アミノ基とε-アミノ基は、適切な官能基を結合することができる。このように繰り返すことで、主鎖ポリリジンの数と分岐鎖リジンの分岐鎖構造を増加することにより、このCCA分子に導入される官能基数は、1~1000になることができる。上記のように、分岐鎖リジンの分岐鎖構造には、されに1つ以上の他のアミノ酸又は非アミノ酸構
造が含まれることができる。好ましく、CCA2分子には、適切な二官能性架橋剤によりマレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基、ハロアセチル基、イソシアナート基等の官能基が導入されることができる。前記二官能性架橋剤としては、スクシンイミジル-4
-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(N-Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate,SMCC)、SMCC の「長鎖」類似物であるN-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミド(N-[alpha-maleimidoacetoxy]Succinimide ester, AMAS)、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド(N-gamma-Maleimidobutyryl-oxysuccinimide ester,GMBS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3-MaleiMidobenzoic acid N-hydroxysucciniMide ester,MBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(6-maleimidohexanoic acid N-hydroxysuccinimide ester,EMCS)、4-(4-マレイミドフェニル)酪酸 N-スクシン
イミジル( N-SucciniMidyl 4-(4-MaleiMidophenyl)butyrate,SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエー(Succinimidyl 6-[(beta-maleimidopropionamido)hexanoate, SMPH]、6-[[4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキシル] カルボキサミド]ヘキサン酸 N-スクシンイミジル (Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxy-(6-amidocaproate), LC-SMCC)、11-マレイミドウンデカン酸 N-スクシンイミジル(N-Succinimidyl 11-(maleimido)undecanoate, KMUS) 等のマレイミド
基を含有する架橋剤; N-ヒドロキシスクシンイミジル-(ポリエチレングリコール)n -マレイミドを含有する二官能性架橋剤(SM(PEG)n)、ここで、nは、2、4、6、8、12
又は24個のポリエチレングリコール(PEG)単位であり;N-スクシンイミジル-(4-
ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(Succinimidyl (4-iodoacetyl)aminobenzoate, SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(Succinimidyl iodoacetate, SIA)、N-(
ブロモアセトキシ)スクシンイミド(N-Succinimidyl bromoacetate, SBA) 、スクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロピオネート(N-Succinimidyl 3-(Bromoacetamido)propionate,SBAP)等の基本部分とするハロアセチル基を含有する架橋剤;スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(N-SucciniMidyl 3-(2-Pyridyldithio)propionate, SPDP)、スルホスクシニミジロル 6-(α-メチル-〔2 -ピリジルジチオ〕トルアミ
ド)ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[(-methyl-(-(2-pyridyldithio) toluamido]hexanoate, S-LC-SMPT)、スルホスクシンイミジル6-[3’-(2-ピリジルジチオ)-プロ
ピオンアミド]ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[3-(2-pyridyldithio)-propionamido]hexanoate, S-LC-SPDP)等のピリジルジチオ基を含有する架橋剤を含むが、こられに限定されない。上記の要求を満たすリンカーは、
図26~31に示す化学式で表わされるものが好ましいが、こられに限定されない。
【0026】
II型リンカーの他の好ましいCCA2は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応により形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つのシステインを含有する。このペプチドにおいては、N末端ア
ミノ酸残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA2)がアミド結合を形成し、C末端が-COOH或-CONH2である。このシステインの側鎖メルカプト基は、マレイミド基、ピリジルジチオ基、ハロアルキル基又はハロアセチル基のような二官能性架橋剤に結合する。上記の架橋剤は、2つの組に分けることが好ましい。第一組は、第一級アミンを含有する小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合に用いられる。システインの側鎖メルカプト基に結合される二官能性架橋剤としては、スクシンイミジル-4-[N-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(N-Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate,SMCC)、SMCC の「長鎖」類似物であるN-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミド(N-[alpha-maleimidoacetoxy]Succinimide ester, AMAS)、N-(4-マ
レイミドブチリルオキシ)スクシンイミド(N-gamma-Maleimidobutyryl-oxysuccinimide ester, GMBS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(3-MaleiMidobenzoic acid N-hydroxysucciniMide ester, MBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-
ヒドロキシスクシンイミドエステル(6-maleimidohexanoic acid N-hydroxysuccinimide e
ster,EMCS)、4-(4-マレイミドフェニル)酪酸 N-スクシンイミジル(N-SucciniMidyl 4-(4-MaleiMidophenyl)butyrate, SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミド
プロピオンアミド)ヘキサノエー(Succinimidyl 6-[(beta-maleimidopropionamido)hexanoate, SMPH]、6-[[4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキシル] カルボキサミド]ヘキサ
ン酸 N-スクシンイミジル (Succinimidyl 4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxy-(6-amidocaproate), LC-SMCC)、11-マレイミドウンデカン酸 N-スクシンイミジル(N-Succinimidyl 11-(maleimido)undecanoate, KMUS) 等のマレイミド基を含有する架橋剤;
N-ヒドロキシスクシンイミジル-(ポリエチレングリコール)n -マレイミドを含有する二官能性架橋剤(SM(PEG)n)、ここで、nは、2、4、6、8、12又は24個のポリエチレ
ングリコール(PEG)単位であり;スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネ
ート(N-SucciniMidyl 3-(2-Pyridyldithio)propionate, SPDP)、スルホスクシニミジロル
6-(α-メチル-〔2 -ピリジルジチオ〕トルアミド)ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[(-methyl-(-(2-pyridyldithio) toluamido]hexanoate, S-LC-SMPT)、スルホ
スクシンイミジル6-[3’-(2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート(sulfosuccinimidyl-6-[3-(2-pyridyldithio)-propionamido]hexanoate, S-LC-SPDP)等のピリジルジチオ基を含有する架橋剤;N-スクシンイミジル-(4-ヨードアセチル)-アミノベンゾエート(Succinimidyl (4-iodoacetyl)aminobenzoate, SIAB)、N-スクシンイミジルヨードアセテート(Succinimidyl iodoacetate, SIA)、N-(ブロモアセトキシ)スクシンイミド(N-Succinimidyl bromoacetate, SBA)、スクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロピオネート(N-Succinimidyl 3-(Bromoacetamido)propionate,SBAP)等の基本部
分とするハロアセチル基を含有する架橋剤を含むが、こられに限定されない。第二組は、ヒドロキシ基を含有する小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合に用いられる。システインの側鎖メルカプト基に結合される二官能性架橋剤としては、N-(p-
マレイミドフェニル)イソシアネート(N-(p-Maleimidophenyl isocyanate),PMPI) を含むが、これに限定されない。
【0027】
II型リンカーの他の好ましいCCA2は、α-アミノ基とカルボキシル基との縮合反応により形成されるアミド結合で接続する1~200のアミノ酸残基を有するペプチド配列を含有し、ここで、少なくとも1つの化学反応性の高い非天然アミノ酸残基を含有し、化学反応性の高い非天然アミノ酸残基がアミノ酸の側鎖基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシ基等)に導入されることができる。化学反応性の高い非天然アミノ酸は、オキシム結合(oxime)の形成、Cu(I)触媒でのヒュスゲンの1,3-双極子環化
付加反応(「Click」反応 )、逆電子要請型Diels-Alder((inverse electron demand hetero Diels-Alder)HDA) 反応、マイケル反応、メタセシス反応(metathesis reactions)、遷移金属触媒によるクロスカップリング反応(transition metal catalyzed cross-couplings)、ラジカル重合反応(oxidative couplings)、酸化カップリング反応(oxidative couplings)、アシル転移反応(acyl-transfer reactions)及びフォトクリック反応(photo click reactions)等の反応により、適切な官能基を含有する小分子化合物、
核酸分子、トレイサー分子等に共有結合されることができる。このペプチドにおいては、N末端アミノ酸残基のα-アミノ基とLA(又は直接にPCA2)がアミド結合を形成し、C末端が-COOH或-CONH
2である。希望する結合数に応じて、適切な数の非天然アミノ酸残基が導
入されることができる。上記の要求を満たすリンカーは、
図32~35に示す化学式で表わされるものが好ましいが、こられに限定されない。
【0028】
上記の好ましいCCA2の構成は、組み合わせて使用されることができる。即ち、1つのCCA2分子には、様々な小分子化合物、核酸分子、トレイサー分子等の共有結合を実現するた
めに、複数の機能が異なる官能基が同時に含まれることができる。
【0029】
なお、
図1~35に示すリンカー分子におけるPCA1及びPCA2は、黄色ブドウ球菌のソルターゼ A由来の最適化認識配列に基づいて設計されたものですが、本発明に係るリンカー
におけるPCA1及PCA2は、任意の適切なソルターゼ又はソルターゼの改変した酵素、又はスクリーニングされた最適化酵素の認識配列であってもよいし、任意の標的化特徴を有する天然又は修飾のペプチド配列であってもよい。
【0030】
本発明に係るリンカーは、Fmoc化学に基づいて、標準のペプチド固相合成法により合成されるものである。具体的な方法として、以下の通りである。
【0031】
(1)樹脂の選択
リンカーのC末端アミノ酸残基がプリロードされるワング樹脂(Wang resin)又はリンク
アミドレジンを用いて固相合成を行い。異なる樹脂により、合成されるC末端は、カルボ
キシル基又はアミド基である。
【0032】
(2)樹脂の膨潤
反応用の樹脂の使用量は、最終の製品、合成の難しさ及び純化の損失等に基づいて算出されるものである。この樹脂をDCM(Dicloromethane)又はDMF(N, N,-Dimethylformamide)に30分間浸漬する。
【0033】
(3)Fmocの脱保護
樹脂を浸漬したDMFを排出させた後に、20%ピペリジン(Piperridine)のDMF溶液を添加し、窒素ガスを吹き込むことにより攪拌しながら、10分間反応を行なった。濾過、除去した後に、再び上記の溶液を追加して15分間反応することにより、α-アミノ基を保護するFmoc基を完全に脱保護して、他のアミノ酸的カルボキシル基を結合するように反応性部位
を露出させる。濾過し、DCMによる洗浄を2倍繰り返し、かつDMFによる洗浄を3倍繰り返
した後、ニンヒドリン法で検出された樹脂の色は、暗青色である。
【0034】
(4)アミノ酸の結合
化学当量の2~5倍量の他のアミノ酸をDMFに溶解し、さらに適量の縮合剤DIC(Diisopropylcarbodiimide)/ HBTU(2-(1H-Benzotriazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethylaminium hexafluorophosphate)を追加し。得られる溶液を反応カラムに入れて、室温、窒素ガスで攪
拌しながら2時間反応を行った。反応が完結した後、ニンヒドリン法で検出された樹脂の色は、無色に近づいた。その後、DCMによる洗浄を2倍繰り返し、さらにDMFによる洗浄を3倍繰り返す。
【0035】
(5)樹脂における反応性部位の封鎖
最終製品の純度を確保するために、完全に反応していない少量の反応性アミノ基末端を封鎖する必要がある。20%無水酢酸を樹脂複合体に添加し、窒素ガスで攪拌しながら10
~30分間反応を十分に行った。反応が完結した後、DCMによる洗浄を2倍繰り返し、さ
らにDMFによる洗浄を3倍繰り返す。
【0036】
(6)反応過程における検測
毎にアミド結合の反応が完結した後、遊離アミノ基を検測するために、少量の樹脂を取り出してニンヒドリン溶液に入れた。樹脂が無色である場合、第一級アミド反応が完全に終わったことがわかる。一方、樹脂が紫色又は黒色である場合、アミノ基が残っているため、ヒドロキシ基を含有する成分を添加して縮合反応を繰り返す必要がある。
【0037】
(7)残りのアミノ酸の結合
配列の結合を完成するまでに、上記の工程(3)~(6)を繰り返す。合成過程において、適切な結合方法で他の中間体(例えば、エチレングリコール)が導入されることができる。
【0038】
(8)官能基の結合反応
相応するアミノ酸側鎖の保護基(例えば、リジン的ε-アミノ基)を脱保護して、適量の二官能性架橋剤に反応する。(この工程は、任意選択できるものであり、必要ならば、以下の「切断」である工程(9)が完了した後に実行してもよい。)
【0039】
(9)切断
最後の1つのアミノ酸が結合されて、そのFmocの保護基を除去した後、窒素ガスで樹脂複合体を乾燥させて、50m1のフラスクにいれた。TFA/phenol/H20/EDT/TIS (85/5/5/3/2)
の割合で切断混合物を調製した。調製した切断混合物を添加して、攪拌しながら0~5℃で2時間反応を行った後、濾過した。その後、濾液を体積30倍の氷冷したエチルエーテルに入れて、冷蔵庫に2時間放置した。遠心分離機で沈澱物を回収し、凍結乾燥で粗ペプチドを得る。
【0040】
(10)純化と質量分析
粗ペプチドを適切な割合でアセトニトリル水溶液に溶解した後、その純度を逆相HPLCで分析した。ピークタイム及び粗製品の純度に基づいて、移動相勾配を決定した。純化されたペプチドをHPLCで再び分析して、純度が95%を超える成分を回収した。ES-MSにより、
その分子量が理論値と合うか否かを確認する。必要ならば、熔点とNMRを確認する。
2、小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子
本発明における小分子化合物とは、主に細胞毒性薬であり、細胞死の誘導、アポトーシスの誘導、又は細胞活性の抑制を行う任意の化合物を含むものである。ここで、前記細胞毒性薬は、パクリタキセル(Paclitaxel)及びその誘導体のような微小管阻害剤、MMAE、MMAF等のオーリスタチン(Auristatins)誘導体、メイタンシン(Maytansine)及びその
誘導体、エポチロン(Epothilone)及びその類似物、ビンブラスチン(Vinblastine)、ビン
クリスチン(Vincristine)、ビンデシン(Vindesine)、ビノレルビン(Vinorelbine)、ビン
フルニン(Vinflunine)、ビングリシナート(Vinglycinate)、 アンヒドロビンブラスチン(anhy-drovinblastine)のようなビンカアルカロイド、ドラスタチン(Dolastatins)及び
その類似物、ハリコンドリンB(Halichondrin)、メツレドーパ(Meturedopa)、ウレドー
パ(Uredopa)、カンプトテシン(Camptothecine)及びその誘導体、ブリオスタチン(Bryostatin)、カリスタチン(Callystatin)、メルファラン(Melphalan)、カルムスチン(Carmustine)、フォテムスチン(Fotemustine)、ロムスチン(Lomustine)、ニムスチン(Nimustine)、ウラムスチン(Uramustine)、ラニムスチン(Ranimustine),ネオカルジノスタチン(Neocarzinostatin)、ダクチノマイシン(Dactinomycin)、ポルフィロマイシン(Porfiromycin)、アントラマイシン(Anthramycin)、アザセリン(Azaserine)、エソルビシン(Esorubicin)、ブレオマイシン(Bleomycin)、カラビシン(Carabicin)、イダルビシン(Idarubicin)、ノガラマイシン(Nogalamycin)、カルジノフィリン(Carzinophilin)、カルミノマイシン(Carminomycin)、ダイネミシン(Dynemicin)、エスペラ
ミシン(Esperamicin)、エピルビシン(Epirubicin)、マイトマイシン(Mitomycin)、オリボマイシン(Olivomycin)、ペプロマイシン(Peplomycin)、ピューロマイシン(Puromycin)、マルセロマイシン(Marcellomycin)、ロドルビシン(Rodorubicin)、ストレプト
ニグリン(Streptonigrin)、ウベニメクス(Ubenimex)、ゾルビシン(Zorubicin)のようなニトロソウレア、メトトレキサート(Methotrexate)、デノプテリン(Denopterin)、プテロプテリン(Pteropterin)、トリメトレキサート(Trimetrexate)のような葉酸類
似物、チアミプリン(Thiamiprine)、フルダラビン(Fludarabine)、チオグアニン(Thioguanine)等のプリン類似物、アンシタビン(Ancitabine)、アザシチジン(Azacitidine)、シタラビン(Cytarabine)、デオキシウリジン(Dideoxyuridine)、ドキシフルリジン(5'-Deoxy-5-fluorouridine)、エノシタビン(Enocitabine)、フロクスウリジン(Floxuridin)のようなピリミジン類似物、カルステロン(Calusterone)、ドロスタノロン(Drostanolone)、エピチオスタノール(Epitiostanol)、メピチオスタン(Mepitiostane)、テストラクトン(Testolactone)のような雄性ホルモン、アセグラトン(Aceglato
ne)、アルドホスファミドグリコシド(Aldophosphamide Glycoside)、アミノレブリン酸
(Aminolevulinic Acid)、ビサントレン(Bisantrene)、エダトレキサート(Edatrexate)、コルヒセインアミド(Colchicinamide)、ジアジクオン(Diaziquone)、エフロル
ニチン(Eflornithine)、エリプチシニウムアセタート(Elliptinium Acetate)、ロニ
ダミン(Lonidamine)、ミトグアゾン(Mitoguazone)、ミトキサントロン(Mitoxantrone)、ペントスタチン(Pentostatin)、ベタシゾフィラン(Betasizofiran)、スピロゲ
ルマニウム(Spirogermanium)、テヌアゾン酸(Tenuazonic acid)、トリアジクオン(Triaziquone)、ベラキュリンA(Verracurin A)、ロリジンA(Roridin A)、アングイジン(Anguidine)、ダカルバジン(Dacarbazine)、マンノムスチン(Mannomustine)、ミトラク
トール(Mitolactol)、ピポブロマン(Pipobroman)、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、フルタ
ミド(Flutamide)、ニルタミド(Nilutamide)、ビカルタミド(Bicalutamide)、酢酸
リュープロリド(Leuprorelin Acetate)、ゴセレリン(Goserelin)、タンパク質キナーゼ及びプロテアソーム阻害剤等を含むが、これらに限定されない。
本発明に係る小分子化合物は、トレイサー分子でってもよい、蛍光分子(例えば、TMR
、Cy3、FITC、フルオレセイン等)又は放射性核種等を含むが、これらに限定されない。
本発明に係る核酸分子は、1本鎖及び/又は2本鎖のDNA、RNA、核酸類似物等を非制限
的に含み、siRNA分子であることが好ましい。
【0041】
3.結合中間体
本発明に係る小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子の製造において、式I又は式IIで表されるリンカーのそれぞれの官能基に共有結合するように、好ましい位置にメルカ
プト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシアミノ基(alkoxy-amine)、アルキニル基(alkyne)、アジド(azide)基、テトラジン(Tetrazine)等の修飾基が導入される。結合された中間体は、以下のような式で表されるものである。
【0042】
PCA1-(LA)a-CCA1-Payloadh(III)
Payloadh-CCA2-(LA)a-PCA2 (IV)
式中、
ペイロード(Payload)は、小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子であり、
Aは、0又は1であり、
hは、それぞれのリンカー分子に結合される小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子の数であり、1~1000の整数であり、h>1の場合、ペイロードが、同一または異なる分子であってもよい、
結合中間体は、通常にリンカーの固相合成と構造特性の確認を完成して、結合しようとする小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子に適切な液相反応条件で結合することにより製造されるものである。採用される結合用官能基の特性により、適切なpHを有する水相又は有機相溶液が選択される。得られる結合中間体は、その純度を逆相HPLCで分析した。ピークタイム及び粗製品の純度に基づいて、移動相勾配を決定した。UPLC-MSで純化された結合中間体を分析した。必要ならば、熔点とNMRを確認する。
【0043】
一部分の結合中間体の製造について、必要ならば、1つの工程で完成してもよい。即ち、リンカーにとっては、固相合成を完成した後に切断せず、カラムに結合しようとする小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子に直接に結合してから、全ての脱保護と切断を行うことができる。得られる結合中間体は、その純度を逆相HPLCで分析した。ピークタイム及び粗製品の純度に基づいて、移動相勾配を決定した。UPLC-MSで純化された結合中間体を分析した。必要ならば、熔点とNMRを確認する。
【0044】
4.標的化部分
本発明に係る標的化部分は、組み換えの抗体及び抗体類似物(例えば、Fab、ScFv、ミ
ニボディ、ディアボディ、ナノアボディ等)であることが好ましいと同時に、インターフ
ェロン、リンホカイン(例えば、インターロイキン)、ホルモン(例えば、インシュリン)、成長因子(例えば、EGF、TGF-α、FGF及びVEGF)等のような非抗体タンパク質及びを標的
化ペプチド(天然ペプチド、如GPCR配体ペプチド,及非天然アミノ酸修飾基ペプチド)含み、也包括標的化ペプチド(GPCRペプチドリガンドのような天然ペプチド及び非天然アミノ酸修飾ペプチド)を含むが、こられに限定されない。
【0045】
結合にタンパク質の機能に対する影響を及ばさないことを確保するため、タンパク質の構造情により、タンパク質、ペプチドのN又はC末端に部位特異的に結合することを決定する。
【0046】
タンパク質のN末端に結合される場合、式(III)で表される結合中間体が用いられる。ソルターゼによる触媒反応の部位特異性を確保するために、タンパク質のN末端に適切な
ソルターゼ又は他のスクリーニングされた最適化酵素の基質認識配列(例えば、ポリグリシン)が導入される必要がある。この目的を達するために、一方、タンパク質がプロテアーゼの処理により適切なソルターゼの基質認識配(例えば、ポリグリシン)を露出するように、タンパク質のN末端メチオニンの後に、適切なソルターゼの基質認識配列の直列接
続する適切なプロテアーゼの基質認識配列(例えば、TEV酵素、トロンビン等)が導入さ
れ、他方、タンパク質のN末端メチオニンの後に、ポリグリシン配列のような適切なソル
ターゼの基質認識配列が導入された後に、宿主細胞を発現する内在性又は改変のメチオニルアミノペプチダーゼ(methionyl aminopeptidase)でN末端のメチオニンを切れる。
【0047】
ペプチドのN末端に結合される場合、ペプチド合成過程において、N末端にポリグリシンを直接に合成することができる。
【0048】
タンパク質のC末端に結合される場合、式(IV)で表される結合中間体が用いられる。
ソルターゼによる触媒反応の部位特異性を確保するために、タンパク質のC末端に適切な
ソルターゼ又は他のスクリーニングされた最適化酵素の基質認識配列(例えば、ソルターゼ Aの基質認識配列であるLPXTGG、ここで、Xは任意の天然アミノ酸であり)が導入され
る必要がある。
【0049】
ペプチドのC末端に結合される場合、ペプチド合成過程において、C末端に適切なソルターゼ又は他のスクリーニングされた最適化酵素の基質認識配列が導入されることができる。
【0050】
5.標的化部分と結合中間体との部位特異的結合で形成する標的化薬物複合体
上記の4に記載の条件で製造された標的化抗体、タンパク質、ペプチド等の抗体標的化部分と上記の3に記載の結合中間体を混合し、適切なソルターゼ又は他のスクリーニングされた最適化酵素を添加して部位特異的結合を行った。好ましい緩衝系は、5~10のpH、0~1000mMのNacl及び0~50mMのCaを有する。好ましい反応温度は、4~45℃であり、好ましい反応時間は、10分間~20時間である。結合反応が完成した後、SDS-PAGE、HPLC、ESI-MS等の手段で結合された製品に関する結合効率を分析した。結合された製品は、ゲルシフトFPLC、分取HPLC等の手段で純化されることができる。
【0051】
図36は、結合反応を示す図である。この結合反応により、以下の式(V)又は式(VI)
で表される標的化薬物複合体が得られる。
T-PCA1-(LA)a-CCA1-payload
h(V)
Payload
h-CCA2-(LA)a-PCA2-T (VI)
式中、
Tは、標的化部分であり、
aは、0又は1であり、
hは、それぞれのリンカー分子に結合される小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子の数であり、1~1000の整数であり、h>1の場合、ペイロードが、同一または異なる分子である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、リンカーの一般式1で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図2】
図2は、リンカーの一般式2で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図3】
図3は、リンカーの一般式3で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図4】
図4は、リンカーの一般式4で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図5】
図5は、リンカーの一般式5で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図6】
図6は、リンカーの一般式6で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図7】
図7は、リンカーの一般式7で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図8】
図8は、リンカーの一般式8で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図9】
図9は、リンカーの一般式9で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図10】
図10は、リンカーの一般式10で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図11】
図11は、リンカーの一般式11で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図12】
図12は、リンカーの一般式12で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図13】
図13は、リンカーの一般式13で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図14】
図14は、リンカーの一般式14で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図15】
図15は、リンカーの一般式15で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図16】
図16は、リンカーの一般式16で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図17】
図17は、リンカーの一般式17で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図18】
図18は、リンカーの一般式18で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図19】
図19は、リンカーの一般式19で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図20】
図20は、リンカーの一般式20で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図21】
図21は、リンカーの一般式21で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図22】
図22は、リンカーの一般式22で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図23】
図23は、リンカーの一般式23で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図24】
図24は、リンカーの一般式24で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図25】
図25は、リンカーの一般式25で表される化学構造式(nは1~100の整数であり、mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図26】
図26は、リンカーの一般式26で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図27】
図27は、リンカーの一般式27で表される化学構造式(mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図28】
図28は、リンカーの一般式28で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図29】
図29は、リンカーの一般式29で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図30】
図30は、リンカーの一般式30で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図31】
図31は、リンカーの一般式31で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図32】
図32は、リンカーの一般式32で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図33】
図33は、リンカーの一般式33で表される化学構造式(mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図34】
図34は、リンカーの一般式34で表される化学構造式(Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図35】
図35は、リンカーの一般式35で表される化学構造式(mは0又は1~1000の任意の整数であり、Xは-OH又は-NH
2である)を示す図である。
【
図36】
図36は、抗体-薬物複合体及び抗体-siRNA複合体の製造を模式的に示す図である。
【
図38】
図38は、リンカー1のUPLC分析を示す図である。
【
図39】
図39は、リンカー1のESI-MS分析を示す図である。
【
図40】
図40は、メイタンシン誘導体DM1分子のUPLC分析を示す図である。
【
図41】
図41は、メイタンシン誘導体DM1分子のESI-MS分析を示す図である。
【
図42】
図42は、リンカー1-メイタンシン誘導体DM1の結合中間体の化学構造式を示す図である。
【
図43】
図43は、リンカー1-メイタンシン誘導体DM1の結合中間体の製造におけるUPLC-MS分析を示す図である。
【
図44】
図44は、リンカー26の化学構造式を示す図である。
【
図45】
図45は、リンカー26のUPLC分析を示す図である。
【
図46】
図46は、リンカー26のESI-MS分析を示す図である。
【
図47】
図47は、GAPDH siRNA-リンカー26の結合中間体の構造式を模式的に示す図である。
【
図48】
図48は、GAPDH siRNA-リンカー26の結合効率に関するPAGE検測を示す図であり、ここで、MはDNAマーカーを表し、1はGAPDH siRNAを表し、2は結合中間体とするGAPDH siRNA-リンカー26を表す。
【
図49】
図49は、GAPDH siRNA-リンカー26-GFP 複合体の構造式を模式的に示す図である。
【
図50】
図50は、GAPDH siRNA-リンカー26とGGG-GFPの結合效率に関するNative-PAGE検測を示す図であり、ここで、1はGAPDH siRNA-リンカー26を表し、2は結合反応0分を表し、3は結合反応60分を表し、4は結合反応120分を表し、*は最後の結合産物であるsiRNA-GFPを表し、**は結合中間体であるGAPDH siRNA-リンカー26を表す。
【
図52】
図52は、リンカー2のUPLC分析を示す図である。
【
図53】
図53は、リンカー2のESI-MS分析を示す図である。
【
図55】
図55は、リンカー3のUPLC分析を示す図である。
【
図56】
図56は、リンカー3のESI-MS分析を示す図である。
【
図58】
図58は、リンカー9のUPLC分析を示す図である。
【
図59】
図59は、リンカー9のESI-MS分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
1.リンカー1の製造方法
リンカーの一般式1において、n=5、Xが-OHである場合、リンカー1的化学構造式を
図37に示す。標準のFmocのペプチド固相合成法によりワング樹脂(Wang Resin)にリンカー1
の合成を行い。まず、リジン側鎖のε-アミノ気を脱保護し、スクシンイミジル-4-[N
-マレイミドメチル]-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)に結合する。さらに、結合が完成した後に、全ての脱保護(golobal deprotection)を行って、樹脂から切断した。合成されたリンカー1を回収し、逆相HPLCで純化し、さらにESI-MSで分析した。
図38に示すように、得られるリンカー1の純度は、95.49%である。
図39に示すように、リン
カー1の推定分子量は、707であり、ESI-MSで実際に測定分子量は、708.5(M+1)である
。得られるリンカー1は、小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子との結合に用いら
れることができる。
【0054】
2.リンカー1-メイタンシン誘導体(DM1)の製造
メイタンシン誘導体DM1分子は、江蘇省江陰康諾泰生物科学技術会社(Jiangyin Concortis Biotechnology Co., Ltd)から入手する。
図40に示すように、UPLC分析での純度は、91.43%であり、推定分子量は、738である。ESI-MSで実際に測定分子量は、738.5であり
、その結果を
図41に示す。
【0055】
合成されるリンカー1とメイタンシン誘導体DM1分子をそれぞれに適切な溶剤に溶解し、等モル比で混合し、室温で培養した。リンカー1-メイタンシン誘導体DM1の結合中間体の化学構造を
図42に示す。この結合中間体に対するUPLC-MS分析を行い、その結果を
図43に示す。リンカー1とメイタンシン誘導体DM1の結合効率は、100%であり、推定分子量は、1447であり、ESI-MSでの検出結果は、1447である。
【0056】
製造されたリンカー1-メイタンシン誘導体DM1の結合中間体は、腫瘍標的化抗体又は抗体類似物に部位特異的に結合されることができる。得られた抗体薬物複合体(ADC)は、
結合部位と結合数が高均質である高均質性を有するため、乳癌、胃癌、肺癌、卵巣腫瘍、白血病等を含む多種腫瘍の標的化治療に用いられる。本発明の方法で製造される抗体薬物複合体は、今まで市販のADC薬物に対し、より良い安定性、信頼性、有効性、安全性等を
有する。
【0057】
3.リンカー26の製造
リンカーの一般式26において、Xが-OHである場合、リンカー26の化学構造式を
図44に
示す。
【0058】
リンカー1の製造方法を参照し、適切な調整を行って、リンカー26を製造した。合成さ
れたリンカー26を回収し、逆相HPLCで純化し、さらにESI-MSで分析した。
図45に示
すように、得られるリンカー26の純度は、99%以上である。
図46に示すように、リン
カー26の推定分子量は、765であり、ESI-MSで実際に測定分子量は、764(M-1)である。
【0059】
得られるリンカー26は、小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子との結合に用いられることができる。
【0060】
4.siRNA-リンカー26の結合中間体の製造
5’-末端メルカプト基が修飾されるネズミのGAPDH siRNAは、Genepharm会社から入手
し、その配列は、
5’-GUAUGACAACAGCCUCAAGdTdT-3’
3’-dTdTCAUACUGUUGUCGGAGUUC-5’
である。
【0061】
1×PBS緩衝液(pH7.4)にsiRNAと過量のリンカー26を室温で1~24時間反応する。得
られた産物は、限外濾過で過量のリンカー26を除去することにより、siRNA-リンカー26
の複合体が得られる。GAPDH siRNA-リンカー26の結合中間体の化学構造を
図47に示す。SDS PAGEの結果からわかるように、GAPDH siRNAとリンカー26の結合效率は、
図48に示す
ように、90%以上である。
【0062】
5.酵素触媒によるsiRNAとGFPの部位特異的な結合
ニッケルカラムの親和精製法により、組み換えのGFPタンパク質が製造される。組み換
えのGFPタンパク質のN端にソルターゼ Aの認識部位であるポリグリシン配列を露出するために、TEV酵素で切断処理を行い。切断された目標タンパク質GGG-GFPは、回収された。
【0063】
37℃で、1×緩衝液(Tris pH8.0、NaCL、CaCl
2を含有)に過量のGAPDH siRNA-リンカ
ー26の結合中間体とGGG-GFPタンパク質をソルターゼ Aの改変酵素で2時間反応し、異なる反応時間で分析用の見本を採取した。最後の複合体のsiRNA-GFPの構造式を
図49に示す。15%未変性SDS PAGEの結果からわかるように、2時間の結合反応により、GAPDH siRNA-
リンカー26とGGG-GFPとの結合效率は、
図50に示すように、80%以上である。
【0064】
本発明の方法は、siRNAとタンパク質との部位特異的な結合を効率的に実現した。この
方法は、腫瘍標的化抗体又は抗体類似物と治療価値を有するsiRNAとの部位特異的な結合
に用いることが重要である。従って、本発明によれば、新しい標的化siRNAの製造を実現
することができる。また、この方法は、腫瘍標的化抗体又は抗体類似物と示踪機能を有する分子との部位特異的な結合に用いることも重要である。従って、本発明によれば、新し
い標的化腫瘍示踪剤の製造を実現することができる。
【0065】
6.リンカー2、3、9の製造
リンカーの一般式2において、n=3、Xが-NH
2である場合、リンカー2的化学構造式を
図51に示す。リンカー1の製造方法を参照し、適切な調整を行って、リンカー2を製造した。合成されたリンカー2を回収し、逆相HPLCで純化し、さらにESI-MSで分析した。
図52に示すように、得られるリンカー2の純度は、97.3492%である。
図53に示すように、リンカー2の推定分子量は、535であり、ESI-MSで実際に測定分子量は、536(M+1)である。
【0066】
リンカーの一般式3において、n=5、m=4、Xが-OHである場合、リンカー3的化学構造
式を
図54に示す。リンカー1の製造方法を参照し、適切な調整を行って、リンカー3を
製造した。合成されたリンカー3を回収し、逆相HPLCで純化し、さらにESI-MSで分析し
た。
図55に示すように、得られるリンカー3の純度は、99.3650%である。
図56に示すように、リンカー3の推定分子量は、954であり、ESI-MSで実際に測定分子量は、953(M-1)である。
【0067】
リンカーの一般式9において、n=5、m=4、Xが-OHである場合、リンカー9的化学構造式を
図57に示す。リンカー1の製造方法を参照し、適切な調整を行って、リンカー9を
製造した。合成されたリンカー9を回収し、逆相HPLCで純化し、さらにESI-MSで分析し
た。
図58に示すように、得られるリンカー9の純度は、99.3650%である。
図59に示すように、リンカー3の推定分子量は、1249であり、ESI-MSで実際に測定分子量は、1248(M-1)である。
【0068】
得られるリンカー2、3、9は、小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子との結合に用いられることができる。リンカー9は、2つの反応性官能基を有するため、2つの小分子化合物、核酸分子又はトレイサー分子に結合して結合中間体を形成することができる。
【配列表】