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特許7417444映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/431 20110101AFI20240111BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20240111BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240111BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20240111BHJP
   H04H 60/72 20080101ALI20240111BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20240111BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20240111BHJP
   H04N 5/20 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/435
H04N5/66 A
H04H40/18
H04H60/72
H04H20/28
H04B1/16 C
H04N5/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020047753
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150765
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(72)【発明者】
【氏名】下田 裕紀
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163536(JP,A)
【文献】特開2007-166020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 5/66 - 5/74
H04H 20/91 - 40/27
H04H 40/90 - 60/98
H04H 20/00 - 20/46
H04B 1/16
H04N 5/14 - 5/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定する判定部と、
前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う補正部と、を備え、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行
前記番組情報は、電子番組表を前記表示部に表示させるための情報を含み、
前記判定部は、前記電子番組表の前記番組に対応する欄に映像方式がピュア4Kであることを示すロゴを表記するための情報が前記番組情報に含まれている場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する、
映像処理装置。
【請求項2】
前記ロゴは、4Kというテキストを含む、
請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定する判定部と、
前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う補正部と、を備え、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行し、
前記番組情報は、電子番組表を前記表示部に表示させるための情報を含み、
前記判定部は、前記電子番組表に基づいて、前記番組の前記映像方式を判定し、
前記判定部は、前記電子番組表において、前記番組に対応する欄に「4K」というロゴが含まれている場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する
像処理装置。
【請求項4】
前記番組情報は、前記テレビ放送に含まれている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記番組情報は、前記番組の配信を行っている放送事業者を示す事業者情報を含み、
前記判定部は、前記事業者情報に基づいて、前記番組の前記映像方式を判定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項6】
受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定する判定部と、
前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う補正部と、を備え、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行し、
前記番組情報は、前記番組の配信を行っている放送事業者を示す事業者情報を含み、
前記判定部は、前記事業者情報に基づいて、前記番組の前記映像方式を判定し、
前記判定部は、前記放送事業者が、公共放送を行う公共事業者である場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する
像処理装置。
【請求項7】
前記事業者情報は、前記テレビ放送に含まれている、
請求項5又は6に記載の映像処理装置。
【請求項8】
前記変換前映像において、基準白に対応する信号レベルが第1レベルであり、
前記第2映像方式において、前記基準白に対応する信号レベルが前記第1レベルよりも低い第2レベルであり、
前記補正部は、前記ゲイン補正処理において、前記第2レベルに対する前記第1レベルの割合の値を補正係数として、ガンマカーブの値に乗算する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項9】
前記変換前映像のダイナミックレンジは、SDRであり、
前記第2映像方式は、HLG方式であり、
前記第1レベルは、100%であり、
前記第2レベルは、75%である、
請求項8に記載の映像処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の映像処理装置と、
前記受信部と、
前記表示部と、を備える、
テレビ受信機。
【請求項11】
コンピュータシステムに、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記判定処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定し、
前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させ、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行され、
前記番組情報は、電子番組表を前記表示部に表示させるための情報を含み、
前記判定処理では、前記電子番組表の前記番組に対応する欄に映像方式がピュア4Kであることを示すロゴを表記するための情報が前記番組情報に含まれている場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する、
プログラム。
【請求項12】
コンピュータシステムに、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記判定処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定し、
前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させ、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行され、
前記番組情報は、電子番組表を前記表示部に表示させるための情報を含み、
前記判定処理では、前記電子番組表に基づいて、前記番組の前記映像方式を判定し、
前記判定処理では、前記電子番組表において、前記番組に対応する欄に「4K」というロゴが含まれている場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する、
プログラム。
【請求項13】
コンピュータシステムに、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記判定処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定し、
前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させ、
前記映像方式は、
第1解像度である第1映像方式と、
前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含み、
前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行され、
前記番組情報は、前記番組の配信を行っている放送事業者を示す事業者情報を含み、
前記判定処理では、前記事業者情報に基づいて、前記番組の前記映像方式を判定し、
前記判定処理では、前記放送事業者が、公共放送を行う公共事業者である場合、前記番組が前記第1映像方式であると判定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送局におけるスタジオ番組制作や番組送出において、HDR(High Dynamic Range)映像を扱う場合の標準的な運用ガイドラインを規定するために、「ARIB TR-B43:高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」(非特許文献1)が策定されている。ARIB TR-B43には、SDR(Standard Dynamic Range)信号をHLG(Hybrid Log-Gamma)信号にマッピングする場合は、100%のSDR信号を75%HLG信号レベルに割り当てることが規定されている(ARIB TR-B43 第2章 2.3「SDR信号からHLG信号へのマッピングにおける基準レベル」の項を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」、一般社団法人電波産業会、ARIB TR-B43 1.2版、2019年07月30日改定
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載された規定に基づいてSDR映像から変換されたHDR映像の75%の輝度レベルは、変換前のSDR映像の100%の輝度レベルが割り当てられている。したがって、変換されたHDR映像を表示する場合、変換前のSDR映像よりも、暗く表示される場合がある。例えば、SDR映像とHDR映像のそれぞれの100%の輝度レベルを同じ明るさで表示する表示装置に、変換されたHDR映像を表示させると、変化前のSDR映像を表示させる場合よりも、画像が暗く表示されるおそれがある。
【0005】
上述した課題に鑑み、本開示の主な目的は、番組が暗く表示されることを抑制することができる映像処理装置、テレビ受信機、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る映像処理装置は、判定部と、補正部と、を備える。前記判定部は、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定する。前記補正部は、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を行う。前記映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含む。前記補正部は、前記判定部が、前記番組が前記第2映像方式であると判定した場合、前記ゲイン補正処理を実行する。
【0007】
本開示の一態様に係るテレビ受信機は、前記映像処理装置と、前記受信部と、前記表示部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、判定処理と、ゲイン補正処理と、を実行させる。前記判定処理では、受信部が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、前記番組の番組情報に基づいて判定する。前記ゲイン補正処理では、前記番組が表示部に表示されるときの輝度レベルを増加させる。前記映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、前記第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含む。前記ゲイン補正処理は、前記判定処理で、前記番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る映像処理装置を含むテレビ受信機のブロック図である。
図2図2は、電子番組表の一例を示す図である。
図3図3は、同上の映像処理装置及びテレビ受信機の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る映像処理装置1、テレビ受信機10、及びプログラムについて、図1図3を参照して説明する。
【0012】
本実施形態のテレビ受信機10は、受信したテレビ放送の番組を表示するように構成されている。テレビ受信機10は、映像処理装置1と、受信部2と、表示部3と、スピーカ4と、を備えている。
【0013】
表示部3は、例えば液晶ディスプレイである。表示部3は、映像処理装置1から出力された映像制御信号に基づいて、番組の映像を表示する。
【0014】
スピーカ4は、映像処理装置1から出力された音声制御信号に基づいて、番組の音声を出力する。
【0015】
受信部2は、放送事業者によって配信されたテレビ放送の番組を受信するように構成されている。受信部2は、チューナー21を備えている。チューナー21は、無線又は有線により、テレビ放送を受信する。テレビ放送の受信に無線を利用する場合、チューナー21のアンテナ入力端子には、例えば、アンテナケーブルを介して無線アンテナが接続される。テレビ放送の受信に有線を利用する場合、チューナー21のアンテナ入力端子には、例えば、アンテナケーブルを介して、有線通信(例えば光ファイバーを用いた光通信)の終端装置が接続される。
【0016】
テレビ放送には、地上波放送(地上デジタルテレビ放送)と衛星放送とがある。衛星放送には、BS(Broadcasting Satellites)放送、CS(Communication Satellites)放送、新4K8K衛星放送、等がある。チューナー21は、地上波放送と衛星放送との一方のみに対応している場合がある。また、チューナー21は、衛星放送のうち、BS/CS放送と4K8K衛星放送との一方のみに対応している場合がある。本実施形態では、チューナー21は、新4K8K衛星放送に対応しており、新4K8K衛星放送(テレビ放送)を受信する。なお、受信部2は、地上波放送に対応した地上デジタルチューナー、及びBS/CS放送に対応したBS/CSチューナーを含む、複数のチューナーを備えていてもよい。
【0017】
ここで、新4K8K衛星放送で配信される、解像度が4K(3840×2160、第1解像度)の番組(以降、4K番組ともいう)には、映像方式が、ピュア4K方式(第1映像方式)である番組と、変換HLG(Hybrid Log-Gamma)方式(第2映像方式)である番組とが混在している。
【0018】
映像方式がピュア4K方式である映像(以降、ピュア4K映像ともいう)は、4Kカメラ等の設備を用いて生成された映像であって、生成された時点で解像度が4Kである。また、ピュア4K映像には、ダイナミックレンジがHLG方式のHDR(High Dynamic Range、第1範囲)である映像(HDRピュア4K映像ともいう)と、ダイナミックレンジがHDRよりも狭いSDR(Standard Dynamic Range、第2範囲)である映像(SDRピュア4K映像ともいう)とが混在している。
【0019】
一方、映像方式が変換HLG方式である映像(以降、変換HLG映像ともいう)は、解像度が4Kよりも低い2K(1920×1080、第2解像度)である2K映像(変換前映像)を、ダイナミックレンジ及び解像度を拡大変換(アップコンバート)した映像である。2K映像は、解像度が2K、ダイナミックレンジがSDRであるのに対し、変換HLG映像は、解像度が4K、ダイナミックレンジがHLG方式のHDRである。
【0020】
「ARIB TR-B43(1.2版):高ダイナミックレンジ映像を用いた番組制作の運用ガイドライン」において、「SDR信号をHLG信号にマッピングする場合は、100%のSDR信号を75%HLG信号レベルに割り当てる。」と規定されている。つまり、2K映像(SDR信号)の信号レベル100%が、HLG映像(HLG信号)の信号レベル75%に相当する。例えば、2K映像では、基準白に対応する信号レベルが100%(第1レベル)であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが100%よりも低い75%(第2レベル)である。基準白とは、所定の運用条件下において照明された輝度率100%の均等拡散反射面を撮像した際の信号レベルである。また、「%HLG」とは、HLGシステムの光-電気伝達関数(OETF:Optical Electro Transfer Function)により[0:1]に正規化された映像信号レベルの百分率表記である。
【0021】
テレビ放送には、複数の周波数帯域(チャンネル)が割り当てられている。複数の放送事業者の各々は、自身に割り当てられたチャンネルを利用して番組の配信を行う。つまり、テレビ放送には、複数の番組が含まれている。チューナー21は、複数のチャンネルのうち選択されたいずれか1つのチャンネルに基づいて、テレビ放送に対して信号処理(例えば、信号抽出、信号増幅、復号化等)を行うことにより、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。
【0022】
受信部2から映像処理装置1に出力されるデータには、選択されたチャンネルに対応する番組の映像信号、音声信号等が含まれている。映像信号の信号レベルは、画素ごとの輝度レベル、及び色情報などを示している。映像処理装置1は、映像信号に基づいて、表示部3に番組(映像)を表示させる。なお、映像処理装置1の詳細な構成については後述する。本開示において、「受信部2が受信したテレビ放送における番組」とは、テレビ放送に含まれる複数の番組のうち、表示部3に表示させるために選択されたチャンネルに対応する番組である。以降の説明では、「受信部2が受信したテレビ放送における番組」を「表示番組」という場合がある。
【0023】
また、テレビ放送には、番組情報が付加されている。番組情報は、例えばSI(Service Information)である。番組情報は、所定期間(例えば8日間)における各番組に対応した情報である。番組情報には、例えば、番組名(タイトル、及びサブタイトル)、放送日時、番組内容、番組属性等を示す情報が含まれている。番組内容とは、例えば、番組の説明、ジャンル(例えば、映画、スポーツ、アニメ、ニュースなど)、出演者等を示す情報である。番組属性とは、例えば、番組の解像度、アスペクト比、フレームレート、音声モード、映像方式、字幕の有無等を示す情報である。また、番組情報には、番組の放送事業者を示す事業者情報が含まれている。
【0024】
受信部2から映像処理装置1に出力されるデータには、選択されたチャンネルに対応する放送事業者の番組情報が含まれている。この番組情報は、例えば不揮発性のメモリに記憶される。
【0025】
映像処理装置1は、受信部2(チューナー21)からのデータに基づいて、表示部3を制御することによりに映像(番組)を表示させる。映像処理装置1は、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、番組表生成部14、判定部15、及び補正部16を備えている。映像処理装置1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、映像処理装置1は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、番組表生成部14、判定部15、及び補正部16として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、分離部11、表示制御部12、音声制御部13、番組表生成部14、判定部15、及び補正部16は、複数のマイクロコンピュータで実現されていてもよい。
【0026】
分離部11は、受信部2の出力データから、映像データ、音声データ、及び番組情報を分離する。分離処理部は、映像データ、音声データ、及び番組情報を、それぞれ表示制御部12、音声制御部13、及び番組表生成部14に出力する。
【0027】
表示制御部12は、映像データに基づいて生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示させる。ここで、本実施形態の映像データには、輝度データ(Y)と、色差データ(Cb,Cr)とが含まれている。表示制御部12は、映像データに含まれる輝度データに対して、ガンマカーブを用いて補正(ガンマ補正)することにより表示制御信号を生成する。具体的には、表示制御部12は、映像データのダイナミックレンジがHLG方式のHDRである場合、HLGガンマカーブを用いてガンマ補正を行う。また、表示制御部12は、映像データのダイナミックレンジがSDRである場合、SDRガンマカーブを用いてガンマ補正を行う。なお、映像データは、RGBの色データを含む構成であってもよく、この場合でもRGBの色データから輝度データの算出が可能である。
【0028】
音声制御部13は、音声データに基づいて生成した音声制御信号をスピーカ4に出力することにより、番組の音声をスピーカ4から出力させる。
【0029】
番組表生成部14は、番組情報に基づいて、電子番組表(EPG:Electronic Programming Guide)を生成する。図2に示すように、番組表生成部14は、チャンネル(放送事業者)ごとに番組を時系列で並べることにより電子番組表を生成する。電子番組表において、各番組に対応する欄(番組欄)には、少なくとも番組名が記載される。図2は、第1放送局(第1チャンネル)、第2放送局(第2チャンネル)、及び第3放送局(第3チャンネル)の電子番組表の一部である。第1放送局において、午後7時から午後8時に番組名「〇〇ドキュメント」、午後8時から午後9時に番組名「〇〇ニュース」、午後9時から午後10時に番組名「〇〇スポーツ」が放送される。第2放送局において、午後7時から午後9時に番組名「××バラエティ」、午後9時から午後10時に番組名「××ニュース」が放送される。第3放送局において、午後7時から午後9時に番組名「△△スポーツ」、午後9時から午後10時に「△△ドラマ」が放送される。番組表生成部14が生成した電子番組表は、例えば不揮発性のメモリに記憶される。また、電子番組表は、表示部3に表示され、放送中及び放送予定の番組の検索等に用いられる。
【0030】
また、番組欄には、番組の番組属性に応じてロゴが記載される場合がある。番組属性には、ロゴに対応した項目(ロゴ項目)が含まれている。例えば、番組属性には、ロゴ項目として、字幕の有無を示す項目が含まれている。番組表生成部14は、番組属性に「字幕あり」という情報を含まれている場合、番組欄に「字」というロゴを表記する。また、番組属性には、ロゴ項目として、映像方式を示す項目が含まれている。番組表生成部14は、番組属性に「映像方式がピュア4Kである」という情報が含まれている場合、番組欄に「4K」というロゴL1(図2参照)を表記する。図2に示す例では、第1放送局の番組名「〇〇ドキュメント」、「〇〇ニュース」、「〇〇スポーツ」、第2放送局の番組名「××ニュース」、及び第3放送局の番組名「△△スポーツ」の各々がピュア4Kであり、各番組欄に「4K」というロゴL1が記載されている。また、番組表生成部14は、番組属性に「HDRピュア4K映像である」という情報が含まれている場合、番組欄に「HDR」というロゴL2(図2参照)を表記する。図2に示す例では、第1放送局の番組名「〇〇ドキュメント」、「〇〇ニュース」、「〇〇スポーツ」の各々がHDRピュア4Kであり、各番組欄に「HDR」というロゴL2が記載されている。ロゴ項目は、上記以外にもあり、例えば「二ヶ国語放送である」、「5.1chサラウンド放送である」、「再放送である」等という項目があり、該当する場合それぞれに対応したロゴが番組欄に記載される。
【0031】
なお、番組情報がテキストデータ形式で送信され、番組表生成部14は、テキストデータを番組欄に表記してもよい。この場合、ロゴは、例えば区点コードで送信されてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、番組表生成部14は、テレビ放送に含まれる番組情報に基づいて電子番組表を生成しているが、これに限らない。例えば、番組表生成部14は、サーバから取得した番組情報に基づいて電子番組表を生成してもよい。この場合、テレビ受信機10は、インターネット回線に接続可能な通信部(例えば、通信インターフェイス)を備えている。サーバは、各テレビ放送の各放送事業者の番組情報を記憶している。番組表生成部14は、通信部及びインターネット回線を介して、サーバから番組情報を取得して各テレビ放送の電子番組表を生成する。
【0033】
判定部15は、受信部2が受信したテレビ放送における番組(表示番組)の映像方式を、番組の番組情報に基づいて判定する判定処理を行う。具体的には、判定部15は、番組情報に基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG方式(第2映像方式)であるか否かを判定する。判定部15は、判定処理において、番組表生成部14が生成した電子番組表における表示番組に対応する番組欄を参照する。そして、判定部15は、この番組欄に「4K」というロゴが含まれている場合、表示番組の映像方式がピュア4K方式(第1映像方式)であると判定する。また、判定部15は、番組欄に「4K」というロゴが含まれていない場合、表示番組の映像方式がピュア4K方式ではない、言い換えれば、表示番組の映像方式が変換HLG方式(第2映像方式)であると判定する。
【0034】
補正部16は、表示番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルを増加させるゲイン補正処理を実行する。ゲイン補正処理とは、表示制御部12が映像データに基づいて表示制御信号を生成する際に用いるガンマカーブ(HLGガンマカーブ)のゲインを増加させる処理である。ここでいう「HLGガンマカーブのゲインを増加」とは、HLGガンマカーブに対して1以上の係数(補正係数)を乗算することを意味する。補正部16がゲイン補正処理を実行した場合、表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示制御信号を生成する。これにより、ゲイン補正処理が実行されない場合に比べて、表示番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルが増加する。
【0035】
補正部16は、判定部15の判定処理の結果に基づいて、ゲイン補正処理を実行する。補正部16は、表示番組の映像方式が変換HLG方式である、と判定部15が判定した場合、ゲイン補正処理を実行する。補正部16は、表示番組の映像方式がピュア4K方式である、言い換えれば、表示番組の映像方式が変換HLG方式ではない、と判定部15が判定した場合、ゲイン補正処理を実行しない。
【0036】
上述したように、変換HLG映像の変換前の映像である2K映像(変換前映像)では、基準白に対応する信号レベルが100%であるのに対して、変換HLG映像では、基準白に対応する信号レベルが75%である。したがって、変換HLG映像の映像データには、輝度レベルが75%より大きい領域が含まれていない。厳密には、2K映像(変換前映像)に、基準白よりも信号レベルが僅かに高いスーパーホワイトが含まれ、変換HLG映像の映像データに輝度レベルが75%よりも大きい値が含まれている場合がある。本実施形態では、2K映像にスーパーホワイトが含まれていないとして説明する。
【0037】
本実施形態では、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示制御信号を生成する。つまり、表示制御信号には、輝度レベルが75%よりも大きい領域が含まれる可能性がある。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。
【0038】
また、ゲイン補正処理に用いる補正係数は、2K映像と変換HLG映像との信号レベル比に基づいて決定される。具体的には、2K映像における基準白に対応する信号レベルが100%(第1レベル)であり、変換HLG映像における基準白に対応する信号レベルが75%(第2レベル)である。補正係数は、第2レベル(75%)に対する第1レベル(100%)の割合の値(=1.25)である。したがって、変換HLG映像の輝度レベルの上限が75%であるのに対して、ゲイン補正処理後である表示制御信号の輝度レベルの上限が100%となる。これにより、変換HLG映像の輝度レベルの上限を、ピュア4K映像の輝度レベルの上限と同等にすることができる。なお、本実施形態では、補正係数を1.25としているが、ゲイン補正処理後である表示制御信号の輝度レベルの上限が100%付近となる値であればよく、1.25に限らず、例えば1.33であってもよい。
【0039】
次に、本実施形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10の動作例について、図3を参照して説明する。
【0040】
まず、受信部2は、テレビ放送(新4K8K衛星放送)を受信する(S1)。そして、受信部2は、選択されたチャンネルに対応するデータを映像処理装置1に出力する。ここでは、4K番組に対応するチャンネルが選択されているとする。
【0041】
次に、判定部15は、表示番組の映像方式を、表示番組の番組情報に基づいて判定する判定処理を行う。本実施形態では、判定部15は、番組表生成部14が生成した電子番組表を参照する。そして、判定部15は、電子番組表において、表示番組に対応する番組欄に、「4K」というロゴL1が含まれているか否かを判定する(S2)。例えば、現在時刻が午後7時台、選択チャンネルが第1チャンネルであって、表示番組が「〇〇ドキュメント」であるとする(図2参照)。この場合、判定部15は、表示番組の番組欄に「4K」というロゴL1が含まれている、と判定する。つまり、判定部15は、表示番組の映像方式がピュア4K方式であると判定する。
【0042】
表示番組の番組欄に「4K」というロゴL1が含まれている場合(S2:Yes)、補正部16は、ゲイン補正処理を実行しない。また、表示制御部12は、番組表生成部14が生成した電子番組表を参照する。そして、表示制御部12は、表示番組に対応する番組欄に、「HDR」というロゴL2が含まれているか否かを判定する(S3)。例えば、現在時刻が午後7時台、選択チャンネルが第1チャンネルであって、表示番組が「〇〇ドキュメント」であるとする(図2参照)。この場合、表示制御部12は、表示番組の番組欄に「HDR」というロゴL2が含まれている、と判定する。つまり、表示制御部12は、表示番組がHDRピュア4Kであると判定する。
【0043】
表示制御部12は、表示番組の番組欄に「HDR」というロゴL2が含まれている場合(S3:Yes)、HLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する(S4)。この場合のガンマ補正に用いられるHLGガンマカーブは、補正部16によるゲイン補正処理がされていない。表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する(S5)。
【0044】
また、ステップS3において、例えば、現在時刻が午後9時台、選択チャンネルが第2チャンネルであって、表示番組が「××ニュース」であるとする(図2参照)。この場合、表示制御部12は、表示番組の番組欄に「HDR」というロゴL2が含まれていない、と判定する。つまり、表示制御部12は、表示番組がSDRピュア4Kであると判定する。
【0045】
表示制御部12は、表示番組の番組欄に「HDR」というロゴL2が含まれていない場合(S3:No)、SDRガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する(S6)。表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する(S5)。
【0046】
また、ステップS2において、現在時刻が午後7時台、選択チャンネルが第2チャンネルであって、表示番組が「××バラエティ」であるとする(図2参照)。この場合、判定部15は、表示番組の番組欄に「4K」というロゴL1が含まれていない、と判定する。つまり、判定部15は、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定する。
【0047】
表示番組の番組欄に「4K」というロゴL1が含まれていない場合(S2:No)、補正部16は、ゲイン補正処理を実行する(S7)。補正部16は、ゲイン補正処理において、HLGガンマカーブの各値に対して1以上の補正係数を乗算することにより、補正後のHLGガンマカーブを生成する。表示制御部12は、補正後のHLGガンマカーブを用いて表示番組の映像データをガンマ補正することにより表示制御信号を生成する(S8)。そして、表示制御部12は、生成した表示制御信号を表示部3に出力することにより、番組の映像を表示部3に表示する(S5)。
【0048】
このように、本実施形態の映像処理装置1、及びテレビ受信機10では、表示番組の映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定する判定処理を行う。そして、表示番組の映像方式が変換HLG方式である場合、HLGガンマカーブの各値を増加させるゲイン補正処理が実行される。これにより、表示番組である変換HLG映像が、ピュア4K映像に比べて暗く表示されることが抑制される。また、表示番組の映像方式がピュア4K方式である場合、ゲイン補正処理が実行されないので、輝度レベルの飽和(いわゆる白あたり)が抑制される。
【0049】
また、判定処理では、表示番組の番組情報に基づいて、表示番組の映像方式を判定しているので、例えば映像を解析する場合に比べて処理負荷の軽減、判定時間の短縮を図ることができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、判定部15は、電子番組表に基づいて、表示番組の映像方式を判定する。電子番組表は、所定期間分の番組表が予め生成される。したがって、番組の表示前であっても、番組の映像方式を予め判定することができる。これにより、例えば、チャンネルの切り替え時、又は番組の切り替わり時に、判定処理を行う必要がなく、用いるガンマカーブを予め決定しておくことができる。
【0051】
また、本実施形態では、判定部15は、番組欄における「4K」というロゴL1を検索することにより、映像方式を判定しているので、判定処理の処理負荷をより軽減し、判定時間をより短縮することができる。
【0052】
本実施形態の映像処理装置1と同様の機能は、映像処理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0053】
映像処理方法は、判定処理と、ゲイン補正処理と、を含む。判定処理では、受信部2が受信したテレビ放送における番組の映像方式を、番組の番組情報に基づいて判定する。ゲイン補正処理では、番組が表示部3に表示されるときの輝度レベルを増加させる。映像方式は、第1解像度である第1映像方式と、第1解像度よりも低い第2解像度である変換前映像を、解像度及びダイナミックレンジを拡大変換した第2映像方式と、を含む。ゲイン補正処理は、判定処理で、番組が前記第2映像方式であると判定された場合に実行される。
【0054】
プログラムは、コンピュータシステムに映像処理方法を実行させる。
【0055】
(変形例)
以下、本実施形態の映像処理装置1の変形例について説明する。以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、以下に説明する変形例は、上述した実施形態、又は他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
【0056】
(第1変形例)
上述した例では、判定部15は、表示番組の番組欄における「4K」というロゴL1の有無に基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG形式であるか否かを判定していたが、判定方法はこれに限らない。
【0057】
本変形例では、判定部15は、表示番組の配信を行っている放送事業者に基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG形式であるか否かを判定する。
【0058】
番組情報には、放送事業者を示す事業者情報が含まれている。番組表生成部14は、事業者情報に基づいて、電子番組表(図2参照)に放送事業者(第1放送局、第2放送局、第3放送局など)を表記する。
【0059】
判定部15は、判定処理において、電子番組表における表示番組の放送事業者を参照する。そして、判定部15は、放送事業者が公共事業者であるか否かを判定する。放送事業者には、公共事業者と民間事業者とが含まれている。公共事業者とは、公共放送としてテレビ放送を行う放送事業者である。例えば、日本における公共事業者は、日本放送協会(NHK)である。民間事業者とは、民間放送をテレビ放送として行う放送事業者である。日本では、公共事業者(NHK)が配信する番組の映像方式は、ピュア4K方式(第1映像方式)である。一方、民間事業者が配信する番組の映像方式は、一部のみがピュア4K方式であり、大半が変換HLG方式(第2映像方式)である。
【0060】
本変形例では、一例として第1放送局(図2参照)が公共事業者であるとする。判定部15は、表示番組の放送事業者が第1放送局(公共事業者)である場合、表示番組の映像方式がピュア4K方式であると判定する。この場合、補正部16がゲイン補正処理を実行しない。したがって、表示部3には、HLGガンマカーブ又はSDRガンマカーブを用いて生成された表示制御信号に基づいた映像が表示される。
【0061】
また、判定部15は、表示番組の放送事業者が第1放送局(公共事業者)とは異なる放送事業者(例えば、第2放送局又は第3放送局)である場合、表示番組の映像方式が変換HLG方式であると判定する。この場合、補正部16がゲイン補正処理を実行する。したがって、表示部3には、補正後のHLGガンマカーブを用いて生成された表示制御信号に基づいた映像が表示される。
【0062】
このように、本変形例では、判定部15は、表示番組の放送事業者に基づいて、表示番組の映像方式が変換HLG方式であるか否かを判定する。したがって、判定部15による判定処理の処理負荷の軽減、判定時間の短縮を図ることができる。
【0063】
なお、上述した例では、判定部15は、電子番組表を参照して、放送事業者が公共事業者であるか否かを判定しているが、判定方法はこれに限らない。放送事業者は、チャンネルと対応している。具体的には、過去に受信した番組情報に基づいて、放送事業者とチャンネルとが予め対応付けられている。判定部15は、表示番組のチャンネルが公共事業者に対応付けられたチャンネルであるか否かを判定することにより、表示番組の放送事業者が公共事業者であるか否かを判定する。例えば、判定部15は、表示番組のチャンネルが第1チャンネル(図2参照)である場合、表示番組の放送事業者が公共事業者であると判定する。また、判定部15は、表示番組のチャンネルが第2チャンネル(図2参照)である場合、表示番組の放送事業者が民間事業者であると判定する。この場合、判定部15は、電子番組表を参照する必要がないので、判定処理の処理負荷の軽減、判定時間の短縮を図ることができる。
【0064】
(第2変形例)
上述した例では、補正部16は、ゲイン補正処理において、輝度レベルに関わらず一定の補正係数を用いて、HLGガンマカーブを補正していたが、これに限らない。補正部16は、輝度レベルに応じて異なる補正係数を用いて、HLGガンマカーブを補正するゲイン補正処理(以降、可変ゲイン補正処理ともいう)を行ってもよい。例えば、補正部16は、可変ゲイン補正処理において、輝度レベルの低階調領域では補正係数を1以下(例えば0.9)とし、輝度レベルの中間階調領域から高階調領域では補正係数1を1.3として、HLGガンマカーブを補正する。これにより、コントラストを協調させたメリハリのある映像を表示部3に表示することができる。なお、上述した補正係数の値は一例であって、上記の数値に限定されない。
【0065】
また、補正部16は、映像モードに応じて、上述した可変ゲイン補正処理を実行してもよい。映像モードとは、予め設定されたパラメータ(画質)で映像を表示するモードである。映像モードとして、例えばスタンダードモード、ダイナミックモード、ゲームモード等があり、それぞれに異なるパラメータが設定されている。本変形例では、映像モードごとに異なるガンマカーブ(HLGガンマカーブ)が設定されている。
【0066】
例えば、補正部16は、映像モードがスタンダードモードである場合、一定の補正係数を用いた通常のゲイン補正処理を実行する。また、補正部16は、映像モードが、コントラストを強調させるダイナミックモードである場合、ダイナミックモードに対応したHLGガンマカーブに対して可変ゲイン補正処理を実行する。これにより、映像モードがダイナミックモードである場合、表示部3に表示される映像のコントラストをより強調することができる。
【0067】
また、補正部16は、表示番組のジャンルに応じて、上述した可変ゲイン補正処理を実行してもよい。番組情報には、番組のジャンルを示すジャンル情報が含まれている。番組のジャンルとは、例えば、映画、スポーツ、ニュース等である。番組表生成部14は、番組のジャンルに対応したロゴがある場合、このロゴを番組欄に表記してもよい。補正部16は、電子番組表を参照して表示番組のジャンルを確認する。
【0068】
例えば、補正部16は、表示番組のジャンルが映画である場合、一定の補正係数を用いた通常のゲイン補正処理を実行する。これにより、映像データに含まれる輝度データの階調を崩さないように表示部3に映像を表示することができ、原画の画質を再現することができる。また、補正部16は、表示番組のジャンルがスポーツでる場合、上述した可変ゲイン補正処理を実行する。これにより、表示番組のジャンルがスポーツである場合、表示部3に表示される映像のコントラストをより強調することができる。
【0069】
(その他の変形例)
上述した例では、映像処理装置1がテレビ受信機10に適用される場合を例に説明したが、映像処理装置1は、例えば、セットトップボックス、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等のモバイル端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 映像処理装置
10 テレビ受信機
15 判定部
16 補正部
2 受信部
3 表示部
L1 ロゴ
図1
図2
図3