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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】エアフィルタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20240111BHJP
   B01D 39/18 20060101ALI20240111BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 11/79 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 11/45 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 11/44 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 11/46 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20240111BHJP
   D06M 15/333 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/18
B01D39/20 A
B01D39/20 B
B01D39/20 C
B01D39/20 Z
D06M11/79
D06M11/45
D06M11/44
D06M11/46
D06M15/227
D06M15/333
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020085096
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178296
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】597065282
【氏名又は名称】三菱マテリアル電子化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100129229
【弁理士】
【氏名又は名称】村澤 彰
(72)【発明者】
【氏名】白石 真也
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-156569(JP,A)
【文献】特開2018-115323(JP,A)
【文献】特開2001-152050(JP,A)
【文献】特開2001-137629(JP,A)
【文献】特開平04-255767(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123126(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0352841(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108286127(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/00-39/20
D06M10/00-16/00
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、
前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、
前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm~90nmの金属酸化物粒子(B)とカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)とを含み、
前記カルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)は、前記撥水撥油性膜中、10質量%~70質量%の割合で含まれ、
前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜中、30質量%~90質量%の割合で含まれ、
前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80の範囲にあり、
前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタ。
【化1】
上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1~6の整数であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2~10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO-NH結合、O-CO-NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
【請求項2】
前記金属酸化物粒子(B)は、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属の酸化物粒子である請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記カルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)は、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液である請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成される請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項5】
前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維である請求項1又は4記載のエアフィルタ。
【請求項6】
フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液と、カルボキシル基及び/又はアセチル基含有物と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製する工程と、
前記撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングする工程と、
前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程と
を含むエアフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液が、金属酸化物粒子の水分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合して、調製される請求項6記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記金属酸化物粒子がSi,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属の酸化物粒子である請求項7記載のエアフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記カルボキシル基及び/又はアセチル基含有物は、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液である請求項6記載のエアフィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械からは機械の高速稼働により切削油が飛散して、オイルミストが発生し、同時に粉塵も発生する。これらのオイルミスト及び粉塵は作業環境を悪化させ、その作業効率を低下させる。このため、従来より、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタとして、空気中に浮遊する粉塵だけでなく、オイルミストによる目詰まりを抑制できるエアフィルタ濾材が提案されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0006]、段落[0021]、段落[0045]、段落[0053]~段落[0060])。
【0003】
このエアフィルタ濾材は、第1のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質膜と、第2のPTFE多孔質膜を含み、気流が、エアフィルタ濾材の第1主面から第1のPTFE多孔質膜、第2のPTFE多孔質膜の順にエアフィルタ濾材の第2主面へと、通過するようになっている。第1のPTFE多孔質膜の厚さは4~40μmの範囲にあり、第1のPTFE多孔質膜の比表面積は0.5m2/g以下にあり、第2のPTFE多孔質膜の比表面積は、第1のPTFE多孔質膜のそれより大きい1.5~10m2/g以下の範囲にある。
【0004】
第1及び第2のPTFE多孔質膜は、それぞれPTFE微粉末と液状潤滑剤を加えた混合物をシート状成形体に成形する。第1のPTFE多孔質膜は、シート状成形体をPTFEの融点(327℃)以上の温度と50倍以上の倍率で、長手(MD)方向に加熱しつつ延伸し、次いで横(TD)方向に130~400℃の温度で、延伸前の長さに対して5~8倍になるように、加熱しつつ延伸することにより、製造される。第2のPTFE多孔質膜は、PTFEのシート状成形体をPTFEの融点未満の温度(270~290℃)で、かつ15~40倍の倍率でMD方向に加熱しつつ延伸し、次いでTD方向に更に120~130℃の温度で、延伸前の長さに対して15~40倍になるように、とMD方向延伸時と同じ倍率で加熱しつつ延伸することにより、製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-51546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたエアフィルタ濾材では、第1のPTFE多孔質膜を、第2のPTFE多孔質膜と比較して、延伸温度を高くし、延伸倍率を大きくして、製造することにより、第1のPTFE多孔質膜の比表面積を0.5m2/g以下と小さくし、これにより、大きい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集する。一方、第2のPTFE多孔質膜の比表面積を1.5~10m2/gと大きくし、これにより、小さい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集している。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるエアフィルタ濾材では、第1及び第2のPTFE多孔質膜により、粒径の異なる粉塵とオイルミストを捕集するとしても、PTFE多孔質膜は、静電気が発生し易く、かつ発生した静電気の除去が困難であるため、フィルタ形状に加工することが容易でなかった。また撥油性よりも撥水性が高いため、大気中に含まれる水分がPTFE多孔質膜を塞ぐことがあり、そこに粉塵が付着し易かった。そのため、エアフィルタ濾材を使用し続けると、オイルミストがエアフィルタ濾材の内部に残留し続け、エアフィルタ濾材が目詰まりし易く、その結果、エアフィルタを通過する風量が低下し易く、新しいエアフィルタと頻繁に交換しなければならない課題があった。
【0008】
本発明の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを提供することにある。本発明の別の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを簡便に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm~90nmの金属酸化物粒子(B)とカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(以下、単に「カルボキシル基含有物等」という。)(C)とを含み、前記カルボキシル基含有物等(C)は、前記撥水撥油性膜中、10質量%~70質量%の割合で含まれ、前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜中、30質量%~90質量%の割合で含まれ、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80の範囲にあり、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80の範囲にあり、前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタである。
【0010】
【化1】
【0011】
上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1~6の整数であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2~10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO-NH結合、O-CO-NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
【0012】
このYについて更に述べると、Yは、金属酸化物粒子(B)と結合する部位である。具体例としては、後述する式(3)又は式(4)において、Yとして、Z部分が加水分解した構造が挙げられる。また、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドとを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。更に、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドと、エポキシ基やビニル基、エーテル基を含有したシラン等とを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。因みに、上記カルボキシル基含有物等(C)は、上記フッ素系官能基成分(A)が結合した金属酸化物粒子(B)を、不織布の基材に密着させるために用いられるバインダである。
【0013】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記金属酸化物粒子(B)は、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属の酸化物粒子であるエアフィルタである。
【0014】
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記カルボキシル基含有物等(C)は、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液であるエアフィルタである。
【0015】
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成されるエアフィルタである。
【0016】
本発明の第5の観点は、第1又は第4の観点のうちいずれかの観点に基づく発明であって、前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維であるエアフィルタである。
【0017】
本発明の第6の観点は、図3に示すように、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液と、カルボキシル基含有物等と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物(以下、単に液組成物ということもある。)を調製する工程と、前記撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングする工程と、前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程とを含むエアフィルタの製造方法である。
【0018】
本発明の第7の観点は、第6の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液が、金属酸化物粒子の水分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合して、調製されるエアフィルタの製造方法である。
【0019】
本発明の第8の観点は、第7の観点に基づく発明であって、前記金属酸化物粒子がSi,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属の酸化物粒子であるエアフィルタの製造方法である。
【0020】
本発明の第9の観点は、第6の観点に基づく発明であって、前記カルボキシル基含有物等は、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液であるエアフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の観点のエアフィルタは、エアフィルタに含まれる不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、撥水撥油性膜が、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm~90nmの金属酸化物粒子(B)とカルボキシル基含有物等(C)とを含み、前記カルボキシル基含有物等(C)は、前記撥水撥油性膜中、10質量%~70質量%の割合で含まれ、前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)は、合計して前記撥水撥油性膜中、30質量%~90質量%の割合で含まれ、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80の範囲にあり、前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒である。このため、エアフィルタ内にオイルミストと粉塵を含む空気がエアフィルタの一面から流入すると、オイルミストと粉塵が不織布で捕集され、空気だけが不織布の気孔を通過しエアフィルタの他面から流出して、空気が清浄になり、目詰まりが抑制される。
【0022】
このとき、撥水撥油性膜の撥油性能のため、またエアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であるため、オイルミストが不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に吸着せずに弾かれて付着するに止まる。エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、オイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。
【0023】
一方、粉塵は、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であるため、不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。このため、エアフィルタを長期間使用して粉塵等で目詰まりしたときに、エアノッカー等でエアフィルタに衝撃を与えると、オイルミストと一緒に付着した粉塵を容易に落とすことができ、エアフィルタを再生することができる。
【0024】
本発明の第2の観点のエアフィルタでは、撥水撥油性膜に含まれる金属酸化物粒子が、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属酸化物粒子であるため、多種の金属酸化物粒子の中から、エアフィルタの使用環境に適した金属酸化物粒子を含むことができる。
【0025】
本発明の第3の観点のエアフィルタでは、カルボキシル基含有物等がカルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液であるため、この水分散液又は自己乳化液がフッ素含有金属酸化物粒子のバインダとして作用するとともに、液組成物を基材表面に成膜したときに、膜を基材表面に堅牢に結着させることができる。
【0026】
本発明の第4の観点のエアフィルタでは、不織布が単一層により構成される場合には、簡単な構成のエアフィルタになり、不織布が複数層の積層体により構成される場合には、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて各層を構成することができる。
【0027】
本発明の第5の観点のエアフィルタでは、不織布を構成する繊維の材質を、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属から、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて、選択することができる。
【0028】
本発明の第6の観点の方法では、図3に示すように、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液と、カルボキシル基含有物等と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングして不織布を脱液し乾燥することにより、エアフィルタが製造されるため、不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を均一に形成することができる。また粒子表面が撥水撥油性である金属酸化物粒子がカルボキシル基含有物等中に存在するため、撥水撥油性を維持しながら不織布の通気度を低くすることが容易になる。更に特許文献1のPTFE多孔質膜とは異なり、撥水撥油性膜には静電気が発生しにくく、簡便にエアフィルタを製造することができる。
【0029】
本発明の第7の観点のエアフィルタの製造方法では、金属酸化物粒子の水分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合するため、フッ素含有金属酸化物粒子が均一に分散した分散液が得られる。
【0030】
本発明の第8の観点のエアフィルタの製造方法では、金属酸化物粒子が、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種の金属酸化物粒子であるため、多種の金属酸化物粒子の中から、エアフィルタの使用環境に適した金属酸化物粒子を含んだエアフィルタを製造することができる。
【0031】
本発明の第9の観点のエアフィルタの製造方法では、カルボキシル基含有物等がカルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液であるため、この水分散液又は自己乳化液がフッ素含有金属酸化物粒子のバインダとして作用するとともに、液組成物を基材表面に成膜したときに、膜を基材表面に堅牢に結着させることができる。
【0032】
なお、比較のために述べると、後述する比較例4に示すように、カルボキシル基含有物等とフッ素含有シランとアルコールと水の混合液に触媒を添加混合して得られた混合液に、金属酸化物粒子の水分散液を添加する、図3に示した本発明とは異なる方法でエアフィルタを製造した場合には、不織布の通気度を下げることができるけれども、肝心の撥油性能を十分に得ることができない。これに対して、本発明の第6ないし第9の観点のいずれかの観点のエアフィルタの製造方法では、通気度を下げながら、撥水撥油性膜を不織布の繊維表面に結着させるため、撥油性能を十分に得ることができる。更に金属酸化物粒子により、膜の摩耗強度を向上させる効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態の単一層の不織布の側面図である。
図2】本実施形態の二層の不織布の側面図である。
図3】本実施形態のエアフィルタを製造するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0035】
〔エアフィルタ〕
図1に示すように、本実施形態のエアフィルタ10は、不織布20とこの不織布の繊維表面に形成された撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜21とを備える。このエアフィルタ10の主たる構成要素である不織布20は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面20aと、この一面20aに対向し前記空気が流出する他面20bを有し、単一層からなる。図2に示すように、上層の不織布30と下層の不織布40の二層の積層体により構成されるエアフィルタ50でもよい。この場合、上層の不織布30の上面がオイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面30aとなり、下層の不織布40の下面がこの一面30aに対向する他面40bとなる。なお、積層体は二層に限らず、三層、四層等の複数層から構成することもできる。
【0036】
図1中央の拡大図に示すように、不織布20は多数の繊維20cが絡み合って形成され、繊維と繊維の間には気孔20dが形成される。気孔20dは不織布20の一面20aと他面20bとの間を貫通する。不織布の繊維20cの表面には撥水撥油性膜21が形成される。不織布の目付は、100g/m2~400g/m2の範囲にあることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。撥水撥油性膜21は、平均粒子径が2nm~90nmの金属酸化物粒子(B)とカルボキシル基含有物等(C)とを含む。この金属酸化物粒子(B)には、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合する。フッ素系官能基成分(A)は、撥水撥油性膜21中、1質量%~30質量%の割合で含まれる。またカルボキシル基含有物等(C)は、撥水撥油性膜21中、10質量%~70質量%の割合で含まれる。またフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)は、合計して撥水撥油性膜21中、30質量%~90質量%の割合で含まれる。更に金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80の範囲にある。
【0037】
図1上部の更なる拡大図に示すように、撥水撥油性膜21は、粒子表面がフッ素系官能基成分に覆われた多数の金属酸化物粒子21aがバインダとしてのカルボキシル基含有物等21bで結着して構成される。撥水撥油性膜21は金属酸化物粒子21aを含むため、見かけ上、厚膜となり、繊維と繊維の間の気孔20dを狭くすることができる。また膜厚は、金属酸化物粒子の粒子径と膜成分中の金属酸化物粒子の含有割合を変えることにより制御することができる。
【0038】
不織布の目付が100g/m2未満であると、繊維間の気孔が大き過ぎることから、粉塵を捕集する能力が不足し易い。400g/m2を超えると、通気度が1ml/cm2/秒未満となり、粉塵が直ぐに繊維間の気孔に詰まり易くなるか、或いは通気度が低過ぎるため、エアフィルタに送り込む空気の抵抗によりエアフィルタで圧力損失が生じ易く、送風エネルギーの効率が悪化し易い。不織布の目付は、200g/m2~350g/m2の範囲にあることが更に好ましい。
【0039】
繊維表面に撥水撥油性膜21が形成されたエアフィルタ10の状態で、不織布20は1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の通気度を有するように作製される。通気度が1ml/cm2/秒未満では、通気性に劣り、オイルミストと粉塵を含む空気が通過しにくくなる。30ml/cm2/秒を超えると、不織布の気孔20dの大きさが流入する空気中のオイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23の各粒径よりも遙かに大きくなり、油粒子22及び粉塵の粒子23が空気とともに不織布の気孔を通してエアフィルタ10から通過し、オイルミストと粉塵を捕集することができない。通気度は1.5ml/cm2/秒~25ml/cm2/秒であることが好ましい。通気度はJIS-L1913:2000に記載のフラジール形試験機を用いて測定される。
【0040】
撥水撥油性膜21中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合が1質量%未満では、撥油性の効果に乏しく、オイルミストを弾く性能が不十分になる。即ち、オイルミストがエアフィルタに到達したときに、オイルミストが繊維表面上に濡れ広がり、気孔20dを塞ぎ易くなる。フッ素系官能基成分(A)の含有割合が30質量%を超えると、撥水撥油性膜の不織布への密着性が悪くなる。撥水撥油性膜21中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合は、5質量%~25質量%であることが好ましい。
【0041】
撥水撥油性膜21に含まれる金属酸化物粒子(B)は、平均粒子径が2nm~90nmの範囲にある。撥水撥油性膜21中、フッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)は、合計して30質量%~90質量%、好ましくは35質量%~85質量%の割合で含まれ、金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80、好ましくは0.07~0.70の範囲にある。成分(A)と粒子(B)が合計して撥水撥油性膜21中、30質量%未満では、撥水撥油性膜の撥油性能が低下する。また合計して90質量%を超えると、カルボキシル基含有物等(C)の含有量が相対的に低くなり、撥水撥油性膜が不織布表面に堅牢に結着しなくなる。また質量比(A/B)が0.05未満では、撥水撥油性膜が撥油性に劣り、0.80を超えると、撥水撥油性膜の繊維表面への密着性が低下する。
【0042】
このようなエアフィルタ10の作用について説明する。図1に示すように、オイルミストと粉塵を含む空気が、エアフィルタ10を構成する不織布20の一面20aに到来する。ここでエアフィルタ10は所定の通気度を有するため、また撥水撥油性膜21が撥油性を示すため、オイルミストの油粒子22は気孔20dの孔径より粒径が大きい場合は勿論のこと、気孔20dの孔径より粒径が僅かに小さくても、エアフィルタ10を通過できず、不織布20の繊維20cと繊維20cの間に、撥水撥油性膜21によって弾かれながら、撥水撥油性膜21に付着して止まる。同時に粉塵の粒子23も撥水撥油性膜21に付着して止まる。撥水撥油性膜21中に金属酸化物粒子21aを含むため、膜が凹凸になり、油粒子22の膜への付着の程度は低い一方、粉塵の粒子23は付着し易くなる。これにより、オイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23が不織布に捕集され、オイルミストと粉塵を含んだ空気が、図1の拡大図に示す繊維20cと繊維20cの間に形成された気孔20dを通過して他面20bに至り、オイルミストと粉塵のない空気となって、不織布20を通過する。
【0043】
エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、膜への付着の程度が低いオイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。粉塵は不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。不織布20に溜まったオイルミストと粉塵は、定期的にエアノッカー等でエアフィルタ10に衝撃を与えることにより、エアフィルタ10から除去することができる。
【0044】
〔エアフィルタの製造方法〕
エアフィルタは次の方法により、概略製造される。
図3に示すように、金属酸化物粒子の水分散液51にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物52を混合し、更に触媒53を混合してフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液54を調製する。この水分散液54と、カルボキシル基含有物等55と、溶媒56とを混合することにより、撥水撥油性膜形成用液組成物60を調製する。この液組成物60を溶媒61により希釈して希釈液62を調製し、そこに不織布20をディッピングする。続いて不織布20を脱液し、乾燥することによりエアフィルタ10を製造する。
【0045】
以下、エアフィルタの製造方法を詳述する。
〔不織布の準備〕
先ず、1.1ml/cm2/秒~40ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。具体的には、後述する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタになった状態で、1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。撥水撥油性膜が厚膜に形成される場合には、通気度の大きい不織布が選定され、撥水撥油性膜が薄膜に形成される場合には、通気度の小さい不織布が選定される。
【0046】
この不織布としては、例えば、セルロース混合エステル性のメンブレンフィルター、ガラス繊維ろ紙、ポリエチレンテレフタレート繊維とガラス繊維を混用した不織布(安積濾紙社製、商品名:340)がある。このように不織布は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維から作られる。繊維は、2以上の繊維を混合した繊維でもよい。繊維の太さ(繊維径)は、上記通気度が得られるように、0.01μm~10μmの太さが好適である。不織布の厚さは、エアフィルタが単一層である場合には、0.2mm~0.8mm、複数層の積層体である場合には、積層体の厚さが0.2mm~1.6mmになる厚さが好ましい。
【0047】
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の製造方法〕
〔金属酸化物粒子の水分散液の調製〕
先ず、先ず、水性溶媒中に、金属酸化物粒子を分散させて金属酸化物粒子の水分散液を調製する。金属酸化物粒子は、2nm~90nm、好ましくは2nm~85nmの平均粒子径を有する。平均粒子径が2nm未満では、金属酸化物粒子の凝集が起こりやすくなり、媒体中に分散しにくくなる。90nmを超えると、液組成物を成膜したときに、金属酸化物粒子が撥水撥油性膜から脱落する。金属酸化物粒子としては、SiO2、Al23、MgO、CaO、TiO2、ZnO、ZrO2の粒子等が例示される。
【0048】
水性溶媒としては、水又は水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒が例示される。上記水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。ここで、溶媒として水性溶媒を用いて、有機溶媒を用いないのは、取扱い上の安全性のためである。なお、本明細書において、金属酸化物粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した粒子形状のうち、200点の粒子サイズを画像解析により測定したものの平均値をいう。
【0049】
〔フッ素含有金属酸化物粒子分散液の調製〕
次に、調製された金属酸化物粒子の水分散液中に、上述した式(1)又は式(2)で表されるフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物を添加して、金属酸化物粒子とフッ素系官能基成分とがナノコンポジット化された複合材料を合成する。更に反応を促進するために、触媒を添加する。これにより、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液が調製される。
【0050】
上記触媒としては、有機酸、無機酸、アルカリ又はチタン化合物が挙げられ、有機酸としてはギ酸、シュウ酸が例示され、無機酸としては塩酸、硝酸、リン酸が例示され、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアが例示され、チタン化合物としてはテトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、乳酸チタン等が例示される。触媒は上記のものに限定されない。
【0051】
フッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物は、下記一般式(3)又は式(4)で示される。これらの式(3)又は式(4)中のペルフルオロエーテル基としては、より具体的には、下記式(5)~(13)で示されるペルフルオロエーテル構造を挙げることができる。
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】
【化4】
【0055】
また、上記式(3)及び式(4)中のXとしては、下記式(14)~(18)で示される構造を挙げることができる。なお、下記式(14)はエーテル結合、下記式(15)はエステル結合、下記式(16)はアミド結合、下記式(17)はウレタン結合、下記式(18)はスルホンアミド結合を含む例を示している。
【0056】
【化5】
【0057】
ここで、上記式(14)~(18)中、R2及びR3は炭素数が0から10の炭化水素基、R4は水素原子又は炭素数1から6の炭化水素基である。R3の炭化水素基の例とは、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基が挙げられ、R4の炭化水素基の例とは、メチル基、エチル基等のアルキル基の他、フェニル基等も挙げられる。
【0058】
また、上記式(3)及び式(4)中、R1は、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0059】
また、上記式(3)及び式(4)中、Zは、加水分解されてSi-O-Si結合を形成可能な加水分解性基であれば特に限定されるものではない。このような加水分解性基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアラルキルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、エトキシ基を適用することが好ましい。
【0060】
ここで、上記式(3)又は式(4)で表されるペルフルオロエーテル構造を有するフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物の具体例としては、例えば、下記式(19)~(27)で表される構造が挙げられる。なお、下記式(19)~(27)中、Rはメチル基又はエチル基である。
【0061】
【化6】
【0062】
【化7】
【0063】
上述したように、本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物に含まれるフッ素系化合物は、分子内に酸素原子に炭素数が6以下の短鎖長のペルフルオロアルキル基とペルフルオロアルキレン基が複数結合したペルフルオロエーテル基を有しており、分子内のフッ素含有率が高いため、形成した膜に優れた撥水撥油性を付与することができる。
【0064】
〔カルボキシル基含有物等〕
カルボキシル基含有物等は、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体の自己乳化液である。市販品として、エチレン-酢酸ビニル系のものとしては、セポルジョンVA406N、セポルジョンVA407N(いずれも住友精化社製)、スミカフレックスS-201HQ、S-465HQ(いずれも住友化学社製)、クアテックスEC-1800、EC-1200(いずれもジャパンコーティングレジン社製)が挙げられる。またカルボキシル基を有するポリオレフィン系のものとしては、ザイクセンA、ザイクセンL、ザイクセンN(いずれも住友精化社製)などが、エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸系のものとしてはスミカフレックスS-900HL(住友化学社製)などが挙げられる。
【0065】
〔撥水撥油性膜形成用液組成物〕
本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物は、上記製造方法で製造され、前述したフッ素系官能基成分(A)が結合した金属酸化物粒子(B)と、カルボキシル基含有物等(C)と、溶媒(D)とを含む。このフッ素系官能基成分(A)は、上記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を有し、溶媒(D)を除く全成分量を100質量%としたとき、液組成物中、1質量%~30質量%含まれる。フッ素系官能基成分が1質量%未満では形成した膜に撥油性を付与できず、30質量%を超えると膜の弾き等が発生し成膜性に劣る。好ましいフッ素系官能基成分の含有割合は2質量%~28質量%である。またフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)とを合計した含有割合は、溶媒(D)を除く全成分量を100質量%としたとき、液組成物中、30質量%~90質量%、好ましくは35質量%~85質量%である。更に金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.80、好ましくは0.07~0.70の範囲にある。
【0066】
溶媒を除いた液組成物中、成分(A)と粒子(B)が合計して、30質量%未満では、撥水撥油性膜の撥油性能が低下する。また合計して90質量%を超えると、カルボキシル基含有物等(C)の含有量が相対的に低くなり、液組成物を基材に成膜したときに、撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に堅牢に結着しなくなる。また質量比(A/B)が0.05未満では、撥水撥油性膜が撥油性に劣り、0.80を超えると、撥水撥油性膜の不織布の繊維表面への密着性が低下する。上記溶媒(D)は、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である。炭素数1~4のアルコールの含有割合を40質量%以下とするのは取扱い上の安全性と液組成物の保存安定性のためである。また水と炭素数1~4のアルコールとを混合した混合溶媒にすることにより、乾燥速度が向上し、成膜性が改善される。炭素数1~4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールが挙げられる。
【0067】
〔不織布の繊維表面への撥水撥油性膜の形成方法〕
本実施形態の不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を形成するには、撥水撥油性膜形成用液組成物を、水と沸点が120℃未満の炭素数1~4の範囲にあるアルコールとを混合した溶媒で希釈した液を調製する。この溶媒における水とアルコールとの混合割合(水:アルコール)は質量比で1:0~5である。また液組成物に対する溶媒の質量比(液組成物:溶媒)は1:0.1~10の割合である。このように調製した希釈液に不織布をディッピングして希釈液から引上げ、大気中、室温で不織布を水平な金網等の上に拡げて一定の液分量になるまで脱液する。別法として、引き上げた不織布を振り払って余分な液を除去するか、或いは引き上げた不織布をマングルロール(絞り機)に通して脱液する。脱液した不織布は、大気中、25℃~140℃の温度で0.5時間~24時間乾燥する。これにより、図1中央の拡大図に示すように、不織布20を構成している繊維20cの表面に撥水撥油性膜21が形成される。脱液量が少ない場合には、撥水撥油性膜は厚膜に不織布の繊維表面に形成され、脱液量が多い場合には、撥水撥油性膜は薄膜に不織布の繊維表面に形成される。
【実施例
【0068】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。先ず、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液を調製する合成例1~6及び比較合成例1~3を説明し、次いでこれらの合成例及び比較合成例を用いた撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造に関する実施例1~6及び比較例1~3と、これらの合成例及び比較合成例を用いない撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造に関する比較例4を説明する。
【0069】
〔フッ素含有金属酸化物粒子分散液を調製するための合成例1~6、比較合成例1~4〕
<合成例1>
平均粒子径が5nmの二酸化ケイ素の水分散液(ST-OXS、日産化学社製、SiO2濃度10% )が50.0g入ったビーカーに、上述した式(19)で表されるフッ素系化合物を4.00g添加し混合した。次に、硝酸を0.013g添加し、40℃で2時間混合し、二酸化ケイ素粒子がフッ素系化合物に結合した二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化ケイ素に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.75であった。
【0070】
<合成例2>
平均粒子径が45nmの二酸化ケイ素の水分散液(ST-XS、日産化学社製、SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(20)で表されるフッ素系化合物を0.90g添加し混合した。次に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。質量比(A/B)は0.05であった。
【0071】
<合成例3>
平均粒子径が80nmの二酸化ケイ素の水分散液(ST-ZL、日産化学社製、SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(21)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合した。次に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。質量比(A/B)は0.19であった。
【0072】
<合成例4>
平均粒子径が3nmの二酸化ジルコニウムの水分散液(SZR-W、堺化学社製、ZrO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合した。次に、硝酸が0.009g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ジルコニウム粒子の水分散液(フッ素含有ジルコニア粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化ジルコニウムに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
【0073】
<合成例5>
平均粒子径が6nmの二酸化チタンの水分散液(TKS-203、テイカ社製、TiO2濃度20%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を2.00g添加し混合した。次に、硝酸が0.006g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化チタン粒子の水分散液(フッ素含有チタニア粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化チタンに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
【0074】
<合成例6>
平均粒子径が25nmの酸化亜鉛の水分散液(MZ-500、テイカ社製、ZnO濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合した。次に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして酸化亜鉛粒子の水分散液(フッ素含有酸化亜鉛粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である酸化亜鉛に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
【0075】
<比較合成例1>
平均粒子径が230nmの二酸化チタンの水分散液(R32、堺化学社製、TiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合した。次に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化チタン粒子の水分散液(フッ素含有チタニア粒子の水分散液)を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化チタンに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
【0076】
<比較合成例2>
合成例2と同じ二酸化ケイ素の水分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を0.60g添加し混合した。次に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。質量比(A/B)は0.04であった。
【0077】
<比較合成例3>
合成例2と同じ二酸化ケイ素の水分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を13.50g添加し混合した。次に、硝酸を0.043g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)を得た。質量比(A/B)は0.84であった。
【0078】
以下の表1に、合成例1~6及び比較合成例1~3のフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液の内容を示す。なお、表1において、フッ素系化合物として式(19)~式(21)及び式(27)で表わされるフッ素含有シランの式中のRはすべてエチル基である。
【0079】
【表1】
【0080】
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造のための実施例1~6、比較例1~4〕
<実施例1>
合成例1で得られたフッ素含有シリカ粒子の水分散液6.43gにアンモニア水(アンモニア濃度20質量%)を適宜添加し、この液と、カルボキシル基含有物等の1種であるカルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液(ザイクセンA、住友精化社製)10.00gと、水94.86gと工業アルコール(AP-7、日本アルコール産業社製)23.71gからなる溶媒とを混合し、撥水撥油性膜形成用液組成物135.00gを調製した。得られた撥水撥油性膜形成用液組成物135.00gを、水と工業アルコールとの混合溶媒(質量比で水:工業アルコール=1:1)65.00gで希釈して希釈液を調製した。エアフィルタの基材として、PET繊維とガラス繊維の混合繊維(質量比でPET:ガラス=80:20)からなる、通気度が9.3ml/m2/sの安積ろ紙社製不織布356を用いた。上記希釈液にこの不織布をディッピングし、余分な液を振り払い、室温で24時間乾燥させ、通気度が6.5ml/cm2/秒のエアフィルタを作製した。この内容を以下の表2及び表3に示す。
【0081】
表2には、『溶媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)』の含有割合、『溶媒を除く液組成物中のカルボキシル基含有物等(C)』の含有割合及び『溶媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)を合計した含有割合』も示す。なお、溶媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合(%)は、カルボキシル基含有物等(C)の含有割合を考慮して表現をすれば、[(A)/[(A)+(B)+(C)]]の百分率であり、溶媒を除く液組成物中のカルボキシル基含有物等(C)の含有割合(%)は、[(C)/[(A)+(B)+(C)]]の百分率であり、溶媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)を合計した含有割合(%)は、カルボキシル基含有物等(C)の含有割合を考慮して表現をすれば、[[(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)]]の百分率である。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
<実施例2~7及び比較例1~3>
表2に示すように、実施例2~6では、表1に示す合成例1~6で得られたフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液をそれぞれ用いそれぞれの秤量を決定した。実施例7では、表1に示す合成例1で得られたフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液を用いその秤量を決定した。比較例1~3では、表1に示す比較合成例1~3で得られたフッ素含有金属酸化物粒子の水分散液をそれぞれ用いそれぞれの秤量を決定した。
カルボキシル基含有物等として、実施例2、比較例1~3では、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液のザイクセンN(住友精化社製)を用いそれぞれの秤量を決定した。実施例3~5、実施例7では、カルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液のザイクセンL(住友精化社製)を用いそれぞれの秤量を決定した。実施例6では、エチレン-酢酸ビニル共重合体の自己乳化液のセポルジョンVA406N(住友精化社製)を用いその秤量を決定した。
このようにして、実施例2~7及び比較例1~3の各撥水撥油性膜形成用液組成物を調製した。
【0085】
表3に示す通気度の異なる不織布と、エアフィルタの基材の種類を選定して、実施例2~7及び比較例1~3の各撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液を、選定してた不織布からなる基材に、実施例1と同様にして、ディッピングし、脱液・乾燥して表3に示す特性を有するエアフィルタを得た。
【0086】
<比較例4>
比較例4では、撥水撥油性膜形成用液組成物を上記実施例1~7及び比較例1~3とは異なる方法で調製した。即ち、カルボキシル基含有物等の1種であるカルボキシル基を有するポリオレフィン系水分散液(ザイクセンA、住友精化社製)10.00gと、フッ素系化合物として式(27)で表わされるフッ素含有シラン(R:エチル基)0.47gと、水94.86gと、工業アルコール(AP-7、日本アルコール産業社製)23.71gとを混合した。
次に、この混合物に平均粒子径が5nmの二酸化ケイ素の水分散液(ST-OXS、日産化学社製、SiO2濃度10% )6gを添加し、セパラブルフラスコ内で25℃の温度で5分間撹拌することにより混合液を調製し、撥水撥油性膜形成用液組成物を調製した。この撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に実施例7と同一の不織布を、実施例1と同様にして、ディッピングし、脱液・乾燥して表3に示す特性を有するエアフィルタを得た。
【0087】
なお、実施例7及び比較例3に用いた不織布は、実施例1の不織布と異なり、ガラス繊維の不織布とPET繊維の不織布の二層からなり、実施例7及び比較例3に用いた不織布から得られたエアフィルタの通気度は、それぞれ1.3ml/cm2/秒及び0.8ml/cm2/秒であった。
【0088】
<比較試験及び評価>
金属製品を切削油を用いて加工する工作機械から飛散するオイルミストと粉塵に模して、ヘキサデカンと酸化鉄(III)(富士フイルム和光純薬社製)を質量比で80:20の割合で自転公転撹拌機に投入して撹拌混合し、模擬液を得た。得られた模擬液1mlを、実施例1~7及び比較例1~4で得られた11種類の水平に置いたエアフィルタに上方から滴下した後、エアフィルタを鉛直に立てて、模擬液の転落性を確認した。模擬液がエアフィルタに染みこんだものは、エアフィルタの撥油性が『不良』であるとし、模擬液がエアフィルタから転落するものをエアフィルタの撥油性が『良好』であるとした。
【0089】
表3から明らかなように、比較例1のエアフィルタは、平均粒子径が230nmである金属酸化物(二酸化チタン)粒子を含む比較合成例1から撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この液組成物に不織布をディッピングし、脱液し乾燥して作られたため、金属酸化物粒子の平均粒子径が大き過ぎ、バインダ成分であるカルボキシル基含有物等で金属酸化物粒子が不織布の繊維表面に結着しにくかった。この結果、模擬液がエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
【0090】
比較例2のエアフィルタは、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)における『(A)/(B)』が0.04であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『カルボキシル基含有物等(C)』の含有割合が80質量%であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『(A)+(B)』の含有割合が20質量%であり、膜中のフッ素系官能基成分の含有量が少な過ぎた。このため、エアフィルタの通気度が32.2ml/cm2/秒と高過ぎ、模擬液はエアフィルタに染みこんで転落せず、その撥油性は『不良』であった。
【0091】
比較例3のエアフィルタでは、フッ素含有金属酸化物粒子の水分散液(フッ素含有シリカ粒子の水分散液)における『(A)/(B)』が0.84であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『カルボキシル基含有物等(C)』の含有割合が5質量%であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『(A)+(B)』の含有割合が95質量%であり、膜中のフッ素系官能基成分の含有量が多過ぎた。このため、模擬液がエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
【0092】
比較例4のエアフィルタでは、フッ素含有カルボキシル基含有物に金属酸化物粒子の水分散液を添加し混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製したため、粒子表面が親油性である金属酸化物粒子が膜中に多数存在することにより、撥油性能が大きく劣化していた。この結果、撥油性が『不良』であった。
【0093】
それに対して、実施例1~7のエアフィルタでは、フッ素系官能基成分が式(1)又は式(2)であり、金属酸化物粒子の平均粒子径が2nm~90nmの範囲にあり、溶媒(D)を除く液組成物中のカルボキシル基含有物等(C)の含有割合が10質量%~70質量%であり、溶媒(D)を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)とを合計した含有割合が30質量%~90質量%であり、『(A)/(B)』が0.05~0.80の範囲にあって、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の範囲にあって、第1の観点の発明の範囲を満たしていることから、模擬液がエアフィルタから転落し、その撥油性はすべて『良好』であることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のエアフィルタは、金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械のある作業環境で用いられる。
【符号の説明】
【0095】
10 エアフィルタ
20 不織布
20a 不織布の一面
20b 不織布の他面
20c 不織布の繊維
20d 不織布の気孔
21 撥水撥油性膜
21a フッ素含有金属酸化物粒子
21b カルボキシル基含有物等
22 オイルミストの油粒子
23 粉塵の粒子
図1
図2
図3