(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
F01N 13/00 20100101AFI20240111BHJP
【FI】
F01N13/00 B
(21)【出願番号】P 2020202688
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 聖司
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-256820(JP,A)
【文献】実開昭62-158120(JP,U)
【文献】実開昭60-122520(JP,U)
【文献】実開昭55-083214(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるマフラであって、
前記マフラの内部空間を覆う外壁と、
前記外壁の底部から上方に突出し、凝縮水を貯めるための貯水領域と緩衝領域とを仕切るよう構成された部位であって、前記内部空間に位置する上端を有する部位である境界部と、
前記外壁の底部における前記緩衝領域、又は、前記外壁の側部における前記緩衝領域の上方に設けられ、前記凝縮水を外部に排出するよう構成された少なくとも1つの排水孔と、
を備え
、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記外壁の側部における前記緩衝領域の上方に設けられており、
前記境界部は、前記少なくとも1つの排水孔の正面に位置する部分であって、当該境界部における他の部分よりも上方に突出する部分である正面部分を有し、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記正面部分における前記上端よりも下に位置する
マフラ。
【請求項2】
請求項
1に記載されたマフラにおいて、
前記外壁は、前記内部空間のまわりを周回するように設けられるアウタシェルと、
前記アウタシェルの一端に形成される開口を覆うエンドプレートと、を備え、
前記エンドプレートは、前記アウタシェルの一端の開口を覆う本体部を備え、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記本体部に設けられる
マフラ。
【請求項3】
車両に搭載されるマフラであって、
前記マフラの内部空間を覆う外壁と、
前記外壁の底部から上方に突出し、凝縮水を貯めるための貯水領域と緩衝領域とを仕切るよう構成された部位であって、前記内部空間に位置する上端を有する部位である境界部と、
前記外壁の底部における前記緩衝領域、又は、前記外壁の側部における前記緩衝領域の上方に設けられ、前記凝縮水を外部に排出するよう構成された少なくとも1つの排水孔と、
を備え
、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記外壁の側部における前記緩衝領域の上方に設けられており、
前記外壁は、前記内部空間のまわりを周回するように設けられるアウタシェルと、
前記アウタシェルの一端に形成される開口を覆うエンドプレートと、を備え、
前記エンドプレートは、前記アウタシェルの一端の開口を覆う本体部を備え、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記本体部に設けられる
マフラ。
【請求項4】
請求項
3に記載されたマフラにおいて、
前記少なくとも1つの排水孔は、前記境界部の前記上端よりも下に位置する
マフラ。
【請求項5】
請求項
2から請求項4のうちのいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記エンドプレートは、さらに、前記本体部の縁部から前記内部空間に突出する壁状の部位であって、前記アウタシェルに当接し、前記本体部を囲む部位である外縁部を備え、
前記境界部は、前記外縁部の前記内部空間側の端部から上方に突出する
マフラ。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載されたマフラにおいて、
前記境界部は、前記貯水領域にて貯めることができる前記凝縮水の量が、前記緩衝領域にて貯めることができる前記凝縮水の量よりも多くなるように、前記外壁の底部を仕切る
マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、車両のマフラの内部に貯まった凝縮水を排出するための排水孔を、マフラの底部に設ける技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両のエンジンから排出される排気は、エンジンの動作に連動してその流れに強弱が生じる(以後、脈動と記載)。このため、特許文献1に開示されたマフラでは、脈動により排気の流れが高圧になると、内部に貯まった凝縮水が排水孔から勢い良く排出される。これにより、見栄えが悪くなると共に、排出された凝縮水がマフラの周辺の部品にかかる恐れがある。
【0005】
本開示の一態様においては、マフラの内部に貯まった凝縮水を排出する際の勢いを抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載されるマフラであって、外壁と、境界部と、少なくとも1つの排水孔と、を備える。外壁は、マフラの内部空間を覆う。境界部は、外壁の底部から上方に突出し、凝縮水を貯めるための貯水領域と緩衝領域とを仕切るよう構成され、内部空間に位置する上端を有する。少なくとも1つの排水孔は、外壁の底部における緩衝領域、又は、外壁の側部における緩衝領域の上方に設けられ、凝縮水を外部に排出するよう構成される。
【0007】
上記構成によれば、境界部により、貯水領域に貯まっている凝縮水が緩衝領域に流入するのが抑制される。このため、少なくとも1つの排水孔の周辺に貯まる凝縮水の量を低減でき、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0008】
また、排気の脈動によりマフラ内部の凝縮水の水面が波立つ場合があり、これにより部分的に水位が上昇した凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達すると、凝縮水が勢い良く排出される恐れがある。これに対し、上記構成によれば、境界部により、脈動により水位が上昇した凝縮水が貯水領域から緩衝領域に流入するのが抑制される。このため、該凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達するのを抑制でき、その結果、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0009】
したがって、上記構成によれば、マフラの内部に貯まった凝縮水を排出する際の勢いを抑制できる。
本開示の一態様では、少なくとも1つの排水孔は、外壁の側部における緩衝領域の上方に設けられていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、緩衝領域に貯まっている凝縮水の水位が少なくとも1つの排水孔に到達した後に、少なくとも1つの排水孔から凝縮水が排出される。このため、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、少なくとも1つの排水孔は、境界部の上端よりも下に位置してもよい。
上記構成によれば、境界部の上端の位置が高くなるため、貯水領域に貯めることができる凝縮水の量を増やすことができ、マフラ内部の凝縮水が増加した場合であっても、境界部により、凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達するのを抑制できる。また、排気の脈動により、貯水領域に貯まった凝縮水の水位が部分的に少なくとも1つの排水孔を超えた場合であっても、境界部により、水位が上昇した凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達するのを抑制できる。したがって、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0012】
本開示の一態様では、境界部は、少なくとも1つの排水孔の正面に位置する部分であって、当該境界部における他の部分よりも上方に突出する部分である正面部分を有してもよい。少なくとも1つの排水孔は、正面部分における上端よりも下に位置してもよい。
【0013】
上記構成によれば、排気の脈動により、貯水領域に貯まった凝縮水の水位が部分的に少なくとも1つの排水孔を超えた場合であっても、境界部により、水位が上昇した凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達するのを抑制できる。したがって、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。また、境界部における正面部分以外の部分を低くすることができるため、マフラの軽量化を図ることができる。
【0014】
本開示の一態様では、外壁は、アウタシェルと、エンドプレートと、を備えてもよい。アウタシェルは、内部空間のまわりを周回するように設けられてもよい。エンドプレートは、アウタシェルの一端に形成される開口を覆ってもよい。また、エンドプレートは、アウタシェルの第1端の開口を覆う本体部を備えてもよい。少なくとも1つの排水孔は、本体部に設けられてもよい。
【0015】
上記構成によれば、好適に少なくとも1つの排水孔を設けることができる。
本開示の一態様では、エンドプレートは、さらに、本体部の縁部から内部空間に突出する壁状の部位であって、アウタシェルに当接し、本体部を囲む部位である外縁部を備えてもよい。境界部は、外縁部の内部空間側の端部から上方に突出してもよい。
【0016】
上記構成によれば、アウタシェルの開口を覆うようにエンドプレートを配置する工程における、エンドプレートの外縁部を該開口からアウタシェルの内側に挿入する作業が、境界部を外縁部の端部に設けたことにより容易になる。このため、マフラの製造工程における作業負荷を低減できる。
【0017】
本開示の一態様では、境界部は、貯水領域にて貯めることができる凝縮水の量が、緩衝領域にて貯めることができる凝縮水の量よりも多くなるように、外壁の底部を仕切る。
上記構成によれば、貯水領域に貯めることができる凝縮水の量を増やすことができ、マフラ内部の凝縮水が増加した場合であっても、凝縮水が少なくとも1つの排水孔に到達するのを抑制できる。したがって、少なくとも1つの排水孔から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図1のマフラにおけるII-II断面図である。
【
図4】変形例のマフラにおける出口エンドプレートの排水孔及びその周辺部分の、左右方向に直交する断面図である。
【
図5】変形例のマフラにおける出口エンドプレートの排水孔及びその周辺部分の、左右方向に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
[1.全体の構成]
本実施形態のマフラ1は、前後方向に延びる柱状の形状であり、前後方向に直交する断面は略楕円形となっている(
図1参照)。無論、該断面の形状は、略楕円形に限らず、様々な形状であっても良い。また、一例として、マフラ1は、該断面における短軸が上下方向に延び、且つ、長軸が左右方向に延びるように車両に搭載される。以後、マフラ1における長軸に沿った一方の側を右側、他方の側を左側と記載する。また、一例として、マフラ1は、前後方向及び左右方向が、それぞれ、車両の前後方向及び左右方向と一致するように車両に搭載される。しかし、車両に搭載された際のマフラ1の向きは、適宜定められ得る。
【0021】
マフラ1は、排気音を低減させるため車両のエンジンからの排気の流路に設けられ、排気音を低減するための内部空間10を備える。また、マフラ1は、外壁11と、インレットパイプ5と、アウトレットパイプ6と、第1及び第2セパレータ7、8とを備える。
【0022】
[2.外壁]
外壁11は、マフラ1の内部空間10を覆う部位である(
図1、2参照)。以後、外壁11における下側に位置する部分を底部12と記載し、外壁11における右側、左側、前側、及び後側に位置する部分を、側部13とも記載する。また、外壁11は、アウタシェル2と、入口及び出口エンドプレート3、4とを備える。
【0023】
アウタシェル2は、前後方向に延びる筒状の部位であり、内部空間10のまわりを周回するように設けられる。アウタシェル2の前後方向に直交する断面は、一例として略楕円形である。
【0024】
入口及び出口エンドプレート3、4は、それぞれ、略楕円形の板状の部材である。入口エンドプレート3は、アウタシェル2の前端に形成された開口を覆い、出口エンドプレート4は、アウタシェル2の後端に形成された開口を覆う。
【0025】
[3.セパレータ及びパイプ]
第1及び第2セパレータ7、8は、内部空間10を3つの領域に分割するよう、前後方向に並んで配置される(
図1参照)。また、第1及び第2セパレータ7、8は、アウタシェル2の前後方向に直交する断面と同様、略楕円形であり、前後方向に略直交する向きに内部空間10に配置される。なお、第1及び第2セパレータ7、8は、各領域を連通する複数の孔部を有しており、排気及び内部空間10に貯まった凝縮水は、これらの孔部を通過して移動可能となっている。
【0026】
インレットパイプ5は、排気を内部空間10に流入させる部位であり、入口エンドプレート3に形成された排気の入口から、前後方向に沿って内部空間10に向かって直線状に延びるように設けられる。また、インレットパイプ5は、第1及び第2セパレータ7、8を貫通するように設けられる。
【0027】
アウトレットパイプ6は、内部空間10の排気を外部に流出させる部位であり、出口エンドプレート4に形成された排気の入口から、前後方向に沿って内部空間10に向かって直線状に延びるように設けられる。また、アウトレットパイプ6は、第1及び第2セパレータ7、8を貫通するように設けられる。
【0028】
[4.出口エンドプレート]
出口エンドプレート4は、本体部40と、外縁部41と、ヘリ曲げ部42と、排水孔43を備える(
図1、2参照)。
【0029】
[4-1.本体部及び外縁部]
本体部40は、アウタシェル2の後端の開口を覆う略楕円形の板状の部位である(
図1、2参照)。なお、本体部40は、外壁11の側部13の一部に相当する。
【0030】
外縁部41は、本体部40の縁部から、アウタシェル2に沿って内部空間10に(換言すれば、前側に)突出する壁状の部位である。外縁部41は、本体部40の縁部の全周にわたって設けられ、本体部40を囲む。また、外縁部41の外周面は、アウタシェル2の内周面に接合される。
【0031】
[4-2.ヘリ曲げ部]
ヘリ曲げ部42は、外縁部41の前端(換言すれば、内部空間10側の端部)から外縁部41の内周側に突出する壁状の部位である(
図2参照)。ヘリ曲げ部42は、後側に向かうに従い外縁部41に接近するように、上下方向に対し傾斜する。また、ヘリ曲げ部42は、略一定の幅を有しており、外縁部41の前端の全周にわたって設けられる。なお、ヘリ曲げ部42は、一例として、外縁部41の前端側に突出した部分を内周側に屈曲させることで形成される。
【0032】
ここで、ヘリ曲げ部42における、外壁11の底部12から上方に突出する部分を、境界部14と記載する。境界部14は、壁状であり、底部12の右端から左端にわたって延び、底部12を貯水領域15と緩衝領域16とに仕切る(詳細は後述する)。また、境界部14は、外壁11の底部12に沿って延びる帯状の部分であり、境界部14の上端14Aは、内部空間10に位置する。上端14Aは、底部12に沿って延び、上端14Aと外壁11の内周面との間には、十分な間隔が設けられている。
【0033】
[4-3.排水孔]
排水孔43は、本体部40を貫通する孔であり、マフラ1の内部空間10に貯まった凝縮水を外部に排出するために設けられる(
図2参照)。本実施形態では、一例として、排水孔43は、インレットパイプ5の排気の出口の正面に設けられる。しかしながら、排水孔43の位置は、適宜定められ得る。
【0034】
また、排水孔43は、境界部14の上端14Aよりも下方に位置する。つまり、排水孔43と外壁11の底部12との間の距離は、境界部14の上端14Aと底部12との間の距離よりも短い。より詳しくは、排水孔43は、境界部14の上端14Aのうち、最も下の部分よりも下に位置する。
【0035】
なお、この他にも、境界部14における排水孔43の正面に位置する部分(以後、正面部分14B)は、境界部14における他の部分よりも上方に突出していても良い(
図3参照)。つまり、正面部分14Bの上端14Aは、境界部14の他の部分の上端14Aよりも上に位置しても良い。そして、排水孔43は、正面部分14Bの上端14Aよりも下に位置していても良い。また、境界部14の他の部分の上端14Bは、排水孔43よりも下に位置していても良いし、排水孔43よりも上に位置していても良い。
【0036】
これにより、排気の脈動により、貯水領域15に貯まった凝縮水の水位が部分的に排水孔43を超えた場合であっても、境界部14により、水位が上昇した凝縮水が排水孔43に到達するのを抑制できる。したがって、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。また、境界部14における正面部分14B以外の部分を低くすることができるため、マフラ1の軽量化を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、本体部40の縁部の周辺にはRが形成されており、排水孔43は、一例として、Rが形成された部分の上側に設けられる。しかし、これに限らず、排水孔43は、Rが形成された部分に設けられていても良い。
【0038】
また、本実施形態では、1つの排水孔43が設けられるが、複数の排水孔43が設けられても良い。
また、本実施形態では、出口エンドプレート4は、外縁部41における本体部40に隣接する部分が外部に露出した状態でアウタシェル2に接合されている。また、外縁部41の該露出した部分は、外壁11の底部12に位置する。
図1に示すように、排水孔43は、該部分に設けられていても良い。
【0039】
[5.入口エンドプレート]
入口エンドプレート3もまた、出口エンドプレート4と同様の本体部、外縁部、及びヘリ曲げ部を有していても良い。しかし、入口エンドプレート3のヘリ曲げ部は境界部14を形成しておらず、該ヘリ曲げ部は、出口エンドプレート4のヘリ曲げ部42よりも緩やかな傾斜を有していても良い。
【0040】
[6.貯水領域及び緩衝領域]
上述したように、ヘリ曲げ部42における外壁11の底部12から上方に突出する部分は、外壁11の底部12を貯水領域15と緩衝領域16とに仕切る境界部14を形成する(
図2参照)。
【0041】
貯水領域15は、凝縮水を貯めるための領域である。一方、緩衝領域16は、排水孔43が設けられている出口エンドプレート4の本体部40に隣接しており、排水孔43は緩衝領域16の上方に位置する。また、緩衝領域16は、境界部14と本体部40とにより囲まれる。このため、境界部14により、貯水領域15に貯まった凝縮水が緩衝領域16に流出するのが妨げられる。
【0042】
なお、貯水領域15は、境界部14から入口エンドプレート3まで広がっており、境界部14は、貯水領域15が緩衝領域16よりも広くなるように、外壁11の底部12を仕切る。つまり、貯水領域15に貯めることができる凝縮水の量は、緩衝領域16に貯めることができる凝縮水の量よりも多い。無論、貯水領域15と緩衝領域16とに貯めることができる凝縮水の量は、同程度であっても良いし、緩衝領域16に貯めることができる凝縮水の量は、貯水領域15に貯めることができる凝縮水の量よりも多くても良い。
【0043】
[7.変形例]
本実施形態では、出口エンドプレート4のヘリ曲げ部42により境界部14が形成される。しかし、他の部位により境界部14が形成されても良い。
【0044】
具体的には、例えば、アウタシェル2の後端を含む部分により境界部14を形成しても良い(
図4参照)。すなわち、外縁部41の内周面とアウタシェル2の外周面とを接合することで、アウタシェル2の後端の開口に出口エンドプレート4を設けても良い。そして、アウタシェル2の後端を含む部分を内周側に屈曲させることで、外壁11の底部12から上方に突出する壁状の部分を形成し、該部分により境界部14を形成しても良い。
【0045】
この他にも、例えば、出口エンドプレート4に対面する第2セパレータ8により、壁状の境界部14を形成しても良い(
図5参照)。具体的には、第2セパレータ8は、前後方向に略直交する本体部80と、本体部80の外縁から後側に突出する縁部81とを備える。縁部81は、本体部80の外縁を周回するように設けられ、アウタシェル2の内周面に接合される。
【0046】
そして、本体部80の中央に、左右方向に延び、本体部80を貫通する孔部82を設け、本体部80における孔部82の下方に位置する部分で境界部14を形成し、該境界部14により、外壁11の底部12を貯水領域15と緩衝領域16とに仕切ってもよい。
【0047】
[8.効果]
(1)上記実施形態によれば、境界部14により、貯水領域15に貯まっている凝縮水が緩衝領域16に流入するのが抑制される。このため、排水孔43の周辺に貯まる凝縮水の量を低減でき、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0048】
また、排気の脈動によりマフラ1内部の凝縮水の水面が波立つ場合があり、これにより部分的に水位が上昇した凝縮水が排水孔43に到達すると、凝縮水が勢い良く排出される恐れがある。これに対し、上記実施形態によれば、境界部14により、脈動により水位が上昇した凝縮水が貯水領域15から緩衝領域16に流入するのが抑制される。このため、該凝縮水が排水孔43に到達するのを抑制でき、その結果、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0049】
したがって、マフラ1の内部に貯まった凝縮水を排出する際の勢いを抑制できる。
そして、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを低減することで、排出された凝縮水によりマフラ1の周辺の部品が汚れたりするのを抑制できる。
【0050】
(2)また、排水孔43は、出口エンドプレート4の本体部40に設けられている。このため、緩衝領域16に貯まっている凝縮水の水位が排水孔43に到達した後に、排水孔43から凝縮水が排出される。このため、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0051】
(3)また、排水孔43は、境界部14の上端14Aよりも下に位置する。これにより、上端14Aの位置が高くなるため、貯水領域15に貯めることができる凝縮水の量を増やすことができ、マフラ1内部の凝縮水が増加した場合であっても、境界部14により、凝縮水が排水孔43に到達するのを抑制できる。また、排気の脈動により、貯水領域15に貯まった凝縮水の水位が部分的に排水孔43を超えた場合であっても、境界部14により、水位が上昇した凝縮水が排水孔43に到達するのを抑制できる。したがって、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0052】
(4)また、境界部14は、外縁部41の前端から上方に突出している。このため、アウタシェル2の開口を覆うように出口エンドプレート4を配置する工程における、出口エンドプレート4の外縁部41を該開口からアウタシェル2の内側に挿入する作業が容易になる。このため、マフラ1の製造工程における作業負荷を低減できる。
【0053】
(5)また、貯水領域15にて貯めることができる凝縮水の量は、緩衝領域16にて貯めることができる凝縮水の量よりも多い。このため、貯水領域15に貯めることができる凝縮水の量が増え、マフラ1内部の凝縮水が増加した場合であっても、凝縮水が排水孔43に到達するのを抑制できる。したがって、排水孔43から排出される凝縮水の勢いを抑制できる。
【0054】
[9.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、排水孔43は出口エンドプレート4に設けられている。しかし、例えば、上記実施形態と同様にして、排水孔43を入口エンドプレート3に設けると共に、入口エンドプレート3のヘリ曲げ部により境界部を形成することで、貯水領域と緩衝領域とを設けても良い。
【0055】
また、例えば、排水孔43はアウタシェル2に設けられていても良い。具体的には、例えば、アウタシェル2の側部に排水孔を形成すると共に、アウタシェル2の底部から上方に突出する壁状の境界部を形成し、境界部とアウタシェル2の側部とにより囲まれる緩衝領域を形成しても良い。なお、アウタシェル2の側部とは、外壁11の側部13に相当する部分であり、アウタシェル2の底部とは、外壁11の底部12に相当する部分である。
【0056】
この他にも、例えば、アウタシェル2の底部に排水孔を形成すると共に、アウタシェル2の底部から上方に突出する壁状の境界部を排水孔の周囲に形成し、境界部により囲まれる緩衝領域を形成しても良い。
【0057】
これらの構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
(2)上記実施形態では、マフラ1の外壁11は、アウタシェル2と、入口及び出口エンドプレート3、4とにより形成される。しかし、外壁11は、これらとは異なる様々な部材から形成され得る。
【0058】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…マフラ、10…内部空間、11…外壁、12…底部、13…側部、14…境界部、14A…上端、14B…正面部分、15…貯水領域、16…緩衝領域、2…アウタシェル、4…出口エンドプレート、40…本体部、41…外縁部、42…ヘリ曲げ部、43…排水孔、8…第2セパレータ、80…本体部、81…縁部、82…孔部。