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特許7417531選択的SYK阻害剤の使用方法および医薬組成物
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  • 特許-選択的SYK阻害剤の使用方法および医薬組成物 図1
  • 特許-選択的SYK阻害剤の使用方法および医薬組成物 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】選択的SYK阻害剤の使用方法および医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240111BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240111BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240111BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240111BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/18
A61P27/02
A61P27/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020547139
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 US2019021402
(87)【国際公開番号】W WO2019173744
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】62/641,094
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/663,999
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506109155
【氏名又は名称】ポートラ ファーマシューティカルズ, エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】509328629
【氏名又は名称】オーラ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】パンディ,アンジャリ
(72)【発明者】
【氏名】チャピン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】パッターソン,ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ユン ユエ
(72)【発明者】
【氏名】アベルソン,マーク
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0274216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で、0.5%w/w~1.0%w/wの式:
【化1】

の化合物1のHCl塩、1.5%w/wのグリセリン、0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および10mMのリン酸緩衝剤を含み、6のpHを有する、眼用組成物。
【請求項2】
前記組成物は6ケ月以上安定である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項3】
前記眼用組成物は、アレルギー性結膜炎の治療用である、請求項1に記載の眼用組成物。
【請求項4】
前記アレルギー性結膜炎が、慢性アレルギー性結膜炎である、請求項3に記載の眼用組成物。
【請求項5】
前記アレルギー性結膜炎が、急性アレルギー性結膜炎である、請求項3に記載の眼用組成物。
【請求項6】
発赤、炎症、腫脹、不快感、涙目および眼のそう痒、角膜炎、角膜着色、結膜着色、または眼の炎症のマーカーのうちの1つまたは複数が、低減されるかまたは除去される、請求項3~5のいずれか一項に記載の眼用組成物。
【請求項7】
治療有効量の式:
【化2】

の化合物1の塩酸塩、1.5%w/wのグリセリン、0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および10mMのリン酸緩衝剤を含み、6のpHを有する、アレルギー性結膜炎を治療するための医薬の製造のための化合物1の塩酸塩の使用。
【請求項8】
前記医薬が、化合物1またはその薬学的に許容される塩を、0.01mg~1mgの量で含む、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬が、1日1回投与される、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
前記医薬が、1日2回投与される、請求項7または8に記載の使用。
【請求項11】
前記アレルギー性結膜炎が、急性アレルギー性結膜炎である、請求項7に記載の使用。
【請求項12】
前記アレルギー性結膜炎が、慢性アレルギー性結膜炎である、請求項7に記載の使用。
【請求項13】
発赤、炎症、腫脹、眼瞼うっ血、涙目および眼のそう痒のうちの1つまたは複数が、低減されるかまたは除去される、請求項7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月9日に出願された米国特許仮出願第62/641,094号明細書、および2018年4月27日に出願された同第62/663,999号明細書の利益を主張し、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、アレルギー性結膜炎および眼の炎症性疾患などの眼疾患を治療する方法、ならびに本方法に有用な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
数百万人ものアメリカ人が眼のアレルギーに罹患している。眼のアレルギーの認可された治療の大半は、抗ヒスタミン薬、マスト細胞安定剤、またはその両方であり、これらの薬物は主に初期相アレルギー性反応の徴候および/または症状を低減するように作用する。従来のマスト細胞安定剤は、有効性に限度がある。抗ヒスタミン活性を有する薬物は、アレルギー性反応の急性期に、より急性に機能することができるが、一般に発赤または腫脹に対するより、そう痒に対して機能する。有効である一方、抗ヒスタミン薬および抗ヒスタミン/マスト細胞安定剤は、徴候および症状の両方を十分に低減することはなく、大部分の患者は、その軽減に完全に満足しているわけではない。ステロイド薬もまた、より重度の症例に使用されるが、一般に急性的に投薬されると有効性に限度があり、長期にわたり投薬する必要があり、局所用点眼薬として慢性的に投薬されると副作用を有する。作用の迅速な開始、作用の長期持続を有し、徴候および症状をより良好に治療し、かつ繰り返される投薬にもより安全である、新しい治療の選択肢が必要とされている。眼のアレルギー患者の多くは持続性の後期炎症性応答を示しており、急性アレルギー性反応の治療におけるだけではなく、重複しかつ度重なるアレルゲン曝露により引き起こされる、より複雑な慢性の炎症性環境にも効果的である抗アレルギー薬物療法を必要としていることを示唆するエビデンスもある。市場で入手可能な既存の治療は、持続性もしくは進行中のアレルギー性反応または反応の炎症性要素に十分に対処していない。
【0004】
眼乾燥疾患は、角膜の不十分な涙膜保護を特徴とする比較的に好発する病態である。眼乾燥症状は、従来的に、眼瞼衛生、局所的抗生物質(エリスロマイシンまたはバシトラシン軟膏剤)、経口テトラサイクリン(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、またはミノサイクリン)、抗炎症性化合物(シクロスポリン)および副腎皮質ステロイドで対処されてきたが、これらは時間がかかることが多く、挫折しやすく、かつしばしば効力がないかまたは効果が変わりやすい治療である。数千万人の人々が、世界中で眼乾燥症に冒され、およそ500万人の50歳以上のアメリカ人が眼乾燥症に罹っていると推定される。これらのうち、女性が300万人を超え、男性は150万人を超える。高齢者は眼の乾きを経験することが多いが、眼乾燥症はあらゆる年齢で起こり得る。眼乾燥症はまた環境性のものであり、同様に長時間にわたる視作業により生じ得る。眼乾燥症は、視覚に関連する生活の質に悪影響を及ぼす身体障害性の可能性がある疾患である。現在の治療法的選択肢は限られており、かつ費用がかかる。眼乾燥疾患の高発生率にもかかわらず、これは依然として治療法上の難題のままである。したがって、眼乾燥疾患を治療する新しい治療法に対する必要性が依然として存在する。
【0005】
眼乾燥症は、乾性角結膜炎(KCS)とも呼ばれ、一過性または慢性の病態であり得る。重度の眼乾燥症は、世界中で数百万人の患者に影響を及ぼし、一部の患者の身体に障害を与えることもある衰弱性の疾患である。数百万人のこれらの個人は、最も重度の形態を患っている。この疾患は、重度の眼部不快感を与えることが多く、生活の質に劇的な変化をもたらし、眼表面の健康不良を引き起こし、視力を実質的に低下させ、視覚に脅威を与えることがある。重度の眼乾燥症を有する患者は、光および風に対して過敏になり、そのため実質的な時間を戸外で過ごすことが妨げられ、不快感のために読書または運転をすることができなくなることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アレルギーを乗り越えて、眼部の疾患および病態を治療するための新規な抗炎症剤が必要とされている。ステロイド性などの現在の治療法は、長期間(例えば、数週間より長く)繰り返し投薬されると、周知の眼部副作用を有する。したがって、既存の抗炎症剤と同等に効果的またはより効果的で、および/またはより安全である治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、眼性アレルギー性の、眼乾燥症、および/または炎症性疾患の治療において、Syk阻害剤を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、眼疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者の眼に局所的に、治療有効量のSyk阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、眼疾患の治療において、特異的Syk阻害剤である2-((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシルアミノ)-4-(3-(ピリミジン-2-イル)フェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド、またはその塩を使用する方法を提供する。
【0009】
2-((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシルアミノ)-4-(3-(ピリミジン-2-イル)フェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド(本明細書では化合物1とも表される)は、式:
【0010】
【化1】
の化合物である。これは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,318,755号明細書に記載されている。
【0011】
一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、アレルギー性結膜炎(急性アレルギー性結膜炎、慢性アレルギー性結膜炎、一過性アレルギー性結膜炎、持続性アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎または通年性アレルギー性結膜炎を含む、眼部アレルギーまたは眼のアレルギーとも呼ばれる)、鼻結膜炎、眼乾燥症、角結膜炎、眼炎、眼表面または眼瞼の炎症(例えば、眼乾燥症、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎、強膜炎、角膜炎、真菌性角膜炎、眼瞼の皮膚炎、細菌性およびウイルス性の結膜炎、ならびにアトピー性角結膜炎(AKC)、神経栄養性角膜炎、GVHD-移植片対宿主病)、他の眼表面の炎症、過敏、および/または充血、および/または眼の前房(例えば、前部ぶどう膜炎、術後の炎症、虹彩炎)、春期角結膜炎(VKC)、巨大乳頭結膜炎(GPC)、神経栄養性角膜炎、GVHD-移植片対宿主病、外傷性および外科手術後の虹彩炎、ぶどう膜炎、瞼裂斑、翼状片、コンタクトレンズ誘発性眼乾燥症、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部の他のステロイド応答性炎症、後部ぶどう膜炎、嚢胞様黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に関連する黄斑浮腫などの網膜疾患、眼の発赤、眼の腫れ/結膜浮腫、眼瞼腫脹、眼瞼うっ血、および眼の痒み、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある眼部病態のうちの1つまたは複数を含む、アレルギー性および/または炎症性のものである。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、急性または慢性のアレルギー性結膜炎であり、これは季節性、通年性、一過性、または持続性のアレルギー性結膜炎であり得る。
【0013】
一部の実施形態では、本方法は、前眼部炎症性疾患を治療する。一部の実施形態では、本方法は、眼乾燥症、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎、強膜炎、アトピー性角結膜炎、春期角結膜炎、真菌性角膜炎(TLRシグナル伝達の効果を介する)、細菌性またはウイルス性の結膜炎(炎症性要素を治療-必ずしも抗感染薬としてではない)、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある他の眼部病態などの眼表面の炎症性疾患を治療する。一部の実施形態では、本方法は、前部ぶどう膜炎、術後の炎症、または外傷性および外科手術後の虹彩炎などの前房の炎症性疾患を治療する。
【0014】
一部の実施形態では、本方法は、発赤、そう痒、眼瞼腫脹、結膜腫脹、不快感、涙目、光に対する敏感性、角膜炎、角膜着色、結膜着色、または眼の炎症のマーカーなどを含む、アレルギー性結膜炎の1つまたは複数の徴候/症状を治療する。一部の実施形態では、本方法は、不快感、乾き、ゴロゴロ感(grittiness)、乾き、灼熱感(burning)、角膜炎、結膜の発赤、結膜着色、角膜着色、流涙の減少、涙液層破壊時間の減少、生活の質の低下、視機能の低下を含む、眼乾燥症の1つまたは複数の徴候および/または症状を治療する。
【0015】
一部の実施形態では、本方法は、眼乾燥症を治療する。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、約0.001mg~約1mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回、局所的に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、約0.001mg~約1mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を、患者の各眼に投与することを含む。
【0017】
一部の実施形態では、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、および眼性の疾患または病態を治療するのに好適な薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物、特に点眼薬の形態の眼用組成物を提供する。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書において、化合物1またはその薬学的に許容される塩、緩衝剤、張度調節剤、および水などの媒体を含む点眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、点眼用組成物は、防腐剤をさらに含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、粘滑剤、界面活性剤、またはポリマー系をさらに含む。
【0019】
本明細書に記載される点眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を、約0.001%~約10%、約0.01%~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約10%、約0.2%~約7%、約0.3%~約5%、約0.4%~約2%、または約0.5%~約1%w/wの量で含み得る。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.5%~約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.5%または約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、化合物1のHCl塩を含む。
【0020】
一部の実施形態では、張度調節剤は、グリセリン(グリセロールとしても公知)、NaCl、およびKClのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.1%~約5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.2%~約2%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.5%~約1.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約1.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約1%~約2%w/wのグリセリンを含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約1.5%w/wのグリセリンを含む。
【0021】
一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤を含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.01%w/wの防腐剤を含む。一部の実施形態では、防腐剤は、塩化ベンザルコニウムである。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウムを含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウムを含む。一部の実施形態では、点眼用組成物は、防腐剤を含有しない。
【0022】
一部の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約5mM~約20mMのリン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mMのリン酸緩衝剤である。
【0023】
一部の実施形態では、媒体は水を含み、点眼用組成物は水性眼用組成物である。
【0024】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0026】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0027】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約6のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0028】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約6のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、およびリン酸緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0032】
一部の実施形態では、水中の、約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する、水性眼用組成物を提供する。
【0033】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、安定剤を含まない。
【0034】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、安定剤をさらに含む。
【0035】
本明細書に記載される組成物を使用する方法および調製する方法も提供する。
【0036】
これらのおよび他の実施形態は以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施例6に記載されるマウス実験における、結膜のアレルゲン曝露の前から後の平均充血スコアにおける変化を示す図である。
図2A】実施例7に記載される、in vivoの共焦点顕微鏡を使用した結膜のベースライン画像を示し、微小血管系を評価し、かつ0(白血球なし)から4(視認できる細胞の炎症)までのスケールにおいて炎症をスコア化した図である。
図2B】治療の8時間後である、アレルゲン曝露(CAC)後の結膜の画像を示す図である。図2Aおよび2Bでは、左から右へ:媒体(N=3)、Patanol(登録商標)(N=8)、組成物B、1%の化合物1(N=7)、および組成物A、0.5%の化合物1(N=5)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段に規定されない限り、以下の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または等価のあらゆる方法、装置および材料は、本明細書に記載される組成物および方法の実行に使用することができる。以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供され、本開示の範囲を制限することが意図されるものではない。本明細書に引用される全ての参考文献は、その全容が参照により組み込まれる。
【0039】
本出願で使用される見出しは、参照のみを目的とし、本開示にいかなる制限も加えるものではない。
【0040】
用語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などのそれらの変形は、包括的に、すなわち、「含んでいるが、それに限定されない」という意味を包含すると解釈されるべきである。「から本質的になる(consisting essentially of)」またはその文法的変形は、組成物および方法を定義するために使用される時、その意図される使用に関して組成物および方法に任意の本質的に重要である他の要素を除外することを意味するものであるが、組成物または方法の特徴(複数可)に実質的に影響を与えることがない要素は除外しない。「からなる(consisting of)」またはその文法的変形は、特に記載されてはいない要素を除外することを意味するものである。これらの移行用語のそれぞれにより定義される実施形態は、本開示の範囲内である。例えば、ある組成物が、原料A、BおよびCを含むと記載される時、A、BおよびCから本質的になる組成物、ならびにA、BおよびCからなる組成物は、独立して本開示の範囲内である。
【0041】
本明細書および添付される特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」などは、文脈により明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を包含することに留意されたい。例えば、用語「薬学的に許容される媒体(a pharmaceutically acceptable vehicle)」には、1つおよび2つ以上の薬学的に許容される媒体に対する言及が含まれる。
【0042】
用語「約」とは、所与の値または範囲±20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内を意味する。一実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±5%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±4%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±3%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±2%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±1%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±0.5%を意味する。別の実施形態では、「約」とは、所与の値または範囲±0.05%を意味する。用語「約x」には、値「x」が含まれる。
【0043】
用語「投与」は、薬剤を患者に導入することを指す。治療をする医師などにより決定され得る治療量が投与され得る。その関連する用語および語句「投与すること」および「の投与」は、化合物または組成物と関連して使用される時(および文法的変形)、医療専門家による患者への投与もしくは患者による自己投与であり得る直接投与、および/または薬物を処方する行為であり得る間接的投与の両方を指す。投与により、患者への薬物の送達が行われる。
【0044】
用語「用量」または「投薬量」は、単回の投与で患者に投与される有効成分(例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩)の総量を指す。用語「用量」および「投薬量」は、本明細書において互換的に使用される。
【0045】
「治療有効量」または「治療量」は、ある病態または疾患に罹患している患者に投与された時、意図された治療効果、例えば、疾患を低減または治癒すること、患者における1つもしくは複数の症状または病態もしくは疾患の症状発現の軽減、軽快、緩和または排除を有する薬物または薬剤の量を指す。治療効果は、必ずしも1用量の投与により起きる必要はなく、1日、2日、3日、4日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月など、または必要とされかつ適切な限り長くなどの期間にわたる、一連の用量の投与後に起こり得る。
【0046】
用語「薬学的に許容される」は、in vivoの、好ましくはヒトへの投与に関して一般に安全かつ無毒であることを指す。
【0047】
用語「患者」は、ヒト、ウシ亜科、ラット、マウス、イヌ、ネコ、サル、類人猿、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、またはシカなどの哺乳動物を指す。本明細書に記載される患者はヒトであり得る。一部の実施形態では、患者は成人である。一部の実施形態では、患者は小児または若年者である。
【0048】
「治療」、「治療すること」、および「治療する」は、疾患、障害、または病態に対して、薬剤を用いて、疾患、障害、もしくは病態および/またはその症状の、有害または任意の他の所望されない影響を低減するかまたは軽快する行為と定義される。治療は、本明細書で使用される場合、ヒト患者の治療を包含し、かつ:(a)病態もしくは疾患に罹患しやすいと判定されたが、病態もしくは疾患を有するとまだ診断されていない患者において、病態もしくは疾患の発生のリスクを低減すること、(b)病態もしくは疾患の発達を妨げること、および/または(c)病態もしくは疾患を軽減すること、すなわち、病態もしくは疾患を退行させ、および/または病態もしくは疾患の1つもしくは複数の症状を軽減することを含む。眼性の疾患または病態の治療を目的として、有益なまたは所望の臨床結果には、アレルギー性反応および/または炎症の低減もしくは排除、眼部そう痒の低減もしくは排除、および/または結膜の発赤の低減もしくは排除、眼部不快感の低減、角膜着色もしくは結膜着色の低減など、本明細書で提供される任意の他の症状または症状の組合せを含むなどの眼疾患の1つもしくは複数の症状の低減または排除が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「%w/w」は、ある成分を含む組成物の総重量に基づく、ある成分の重量を指す。例えば、成分1が、100mgの組成物中に50mgの量で存在する場合、成分1は、50%w/wの量で存在する。「%w/w」は、別段に明記されない限り、本明細書に記載される組成物の総重量に対する、薬剤または賦形剤の重量百分率を指すことを理解されたい。本明細書に記載される重量百分率は、そのように別段に明記されない限り、容器の重量を含まない。
【0050】
治療方法
本明細書において、眼疾患の治療にSyk阻害剤を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態を治療する方法であって、それを必要とする患者の眼に局所的に、治療有効量のSyk阻害剤を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態の治療におけるSyk阻害剤の使用を提供する。一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態の治療のための医薬の調製におけるSyk阻害剤の使用を提供する。
【0051】
一部の実施形態では、Syk阻害剤は、眼用組成物において、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。一部の実施形態では、Syk阻害剤は、持続放出性薬物送達機構により投与されてもよい。一部の実施形態では、本方法は、約0.001mg~約10mgのSyk阻害剤を、それを必要とする患者の眼に局所的に、1日に1回、2回または3回投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、約0.001mg、約0.005mg、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、もしくは約8mgまたは任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)のSyk阻害剤を、それを必要とする患者の眼に、1日に1回、2回または3回投与することを含む。一部の実施形態では、本方法は、Syk阻害剤を含む1滴または2滴の眼用組成物を、それを必要とする患者の眼に局所的に、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与することを含む。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0053】
一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態の治療における化合物1またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一部の実施形態では、本明細書において、眼性の疾患または病態の治療のための医薬の調製における化合物1またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0054】
化合物1は、化学名:2-((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシルアミノ)-4-(3-(ピリミジン-2-イル)フェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドを有し、式:
【0055】
【化2】
の化合物である。
【0056】
これは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,318,755号明細書に記載されている。
【0057】
化合物1またはその薬学的に許容される塩はまた、本明細書において有効成分またはAPIとも表される。化合物1の薬学的に許容される塩には、医薬的用量の塩において、その対イオンが患者に対して無毒である酸付加塩、例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニル-プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩および臭化水素酸塩)、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、メチレン-ビス-b-ヒドロキシナフトエ酸塩、ゲンチジン酸塩、イセチオン酸塩、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、エタンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩などが含まれる。一部の実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、化合物1のギ酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または塩酸塩のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、化合物1のギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または塩酸塩のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、化合物1の塩酸塩(hydrochloride salt)であり、これは、化合物1のHCl塩または化合物1の塩酸塩(hydrochloride)とも表される。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1のカチオン、および本明細書に記載される酸のアニオンを含む。
【0058】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、アレルギー性結膜炎(急性アレルギー性結膜炎、慢性アレルギー性結膜炎、一過性アレルギー性結膜炎、持続性アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎または通年性アレルギー性結膜炎を含む、眼部アレルギーまたは眼のアレルギーとも呼ばれる)、鼻結膜炎、眼乾燥症、角結膜炎、眼炎、眼表面または眼瞼の炎症(例えば、眼乾燥症、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎、強膜炎、角膜炎、真菌性角膜炎、眼瞼の皮膚炎、細菌性およびウイルス性の結膜炎、アトピー性角結膜炎(AKC)、神経栄養性角膜炎、およびGVHD-移植片対宿主病)、他の眼表面の炎症、過敏、および/または充血、および/または眼の前房(例えば、前部ぶどう膜炎、術後の炎症、外傷性および外科手術後の虹彩炎)、春期角結膜炎(VKC)、虹彩炎、ぶどう膜炎、瞼裂斑、翼状片、コンタクトレンズ誘発性眼乾燥症、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、後部ぶどう膜炎、嚢胞様黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に関連する黄斑浮腫などの網膜疾患、眼の発赤、眼の腫脹、眼瞼腫脹、および眼の痒み、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある眼部病態のうちの1つまたは複数を含む、アレルギー性および/または炎症性のものである。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、急性または慢性のアレルギー性結膜炎であり、これは季節性、通年性、一過性、または持続性のアレルギー性結膜炎であり得る。
【0059】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、アレルギー性結膜炎(急性アレルギー性結膜炎、慢性アレルギー性結膜炎、一過性アレルギー性結膜炎、持続性アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎または通年性アレルギー性結膜炎など)、鼻結膜炎、眼乾燥症、角結膜炎、眼瞼炎、眼瞼の皮膚炎、眼瞼結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、ウイルス、細菌、または真菌により引き起こされる他の感染症、眼炎、過敏および/または充血、眼表面、眼瞼、または眼の前房もしくは後房の炎症、アトピー性角結膜炎(AKC)、春期角結膜炎(VKC)、神経栄養性角膜炎、GVHD-移植片対宿主病、外傷性または外科手術後の虹彩炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、瞼裂斑、翼状片、コンタクトレンズ誘発性眼乾燥症、後部ぶどう膜炎、嚢胞様黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に関連する黄斑浮腫などの網膜疾患、眼の発赤、眼瞼腫脹、眼瞼うっ血、眼の腫脹、および眼の痒み、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある眼部病態のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、急性または慢性のアレルギー性結膜炎であり、これは季節性、通年性、一過性、または持続性であり得る。
【0060】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、前眼部炎症性疾患である。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、眼乾燥症、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎、強膜炎、アトピー性角結膜炎、春期角結膜炎、真菌性角膜炎(TLRシグナル伝達の効果を介する)、細菌性またはウイルス性の結膜炎(炎症性要素を治療-必ずしも抗感染薬としてではない)、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある眼部病態などの眼表面の炎症性疾患である。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、前部ぶどう膜炎、術後の炎症、または外傷性もしくは外科手術後の虹彩炎などの前房の炎症性疾患である。
【0061】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、急性のアレルギー性結膜炎であり、これは季節性、通年性、一過性、または持続性であり得る。一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、慢性のアレルギー性結膜炎であり、これは季節性、通年性、一過性、または持続性であり得る。
【0062】
一部の実施形態では、本方法は、発赤、炎症、過敏、眼瞼の腫脹、眼瞼うっ血、結膜浮腫(結膜の腫脹)、涙目、そう痒、灼熱感、異物感、および/もしくは他の不快感、乾き、ゴロゴロ感、灼熱感、角膜炎、結膜の発赤、結膜着色、角膜着色、流涙の減少、涙液層破壊時間の減少、生活の質の低下、視機能の低下、またはこれらの組合せを含む、眼性の疾患または病態の症状を治療する。眼乾燥症の症状には、眼の刺すような痛みまたは灼熱感、何かが眼の中にあるかのようなざらついたまたはゴロゴロした感触、眼の非常に乾燥した期間後の涙液過剰のエピソード、眼からの粘質物分泌、眼の疼痛および発赤、霧視のエピソード、重いまぶた、ストレスを感じた時に泣くことができない、コンタクトレンズの不快感、読書、コンピュータでの仕事、または視覚的注意の持続を必要とする任意の活動に対する耐性低下、および眼精疲労が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
一部の実施形態では、本方法は、眼部そう痒、結膜の発赤、上強膜および毛様体の発赤などの発赤、炎症、眼瞼の腫脹、結膜浮腫、涙目および光に対する敏感性を含む急性または慢性のアレルギー性結膜炎の症状を治療する。
【0064】
一部の実施形態では、本方法は、鼻閉、鼻漏、および鼻そう痒症などの鼻アレルギー性症状、耳または口蓋のそう痒症、ならびにアレルギー性頭痛を含む他のアレルギー性症状のうちの1つまたは複数をさらに治療する。
【0065】
一部の実施形態では、本方法は、刺すような痛みおよび/または灼熱感、ゴロゴロした感覚、涙液過剰のエピソード、粘質物分泌、疼痛、発赤、霧視、重いまぶた、泣くことができない、例えばコンタクトレンズを装着した時の不快感、視覚的注意の耐性低下、および眼精疲労を含む、眼乾燥症の症状を治療する。
【0066】
一部の実施形態では、アレルギー性結膜炎は、通年性アレルゲン(例えば、ネコのフケ、イヌのフケ、塵ダニ、および/もしくはゴキブリ)ならびに/または季節性アレルゲン(例えば、樹木、イネ科草本、および/もしくはブタクサの花粉)または汚染物質により引き起こされる。一部の実施形態では、眼乾燥症は、環境的要因、栄養作用、炎症性疾患、全身性疾患、水分補給レベル、遺伝的要因、神経栄養性の病態または疾患、神経学的病態、または涙膜の他の機能障害(涙液産生、ムチン産生、脂質産生)、または眼表面の他の調節不全により引き起こされる。
【0067】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、アレルギー性結膜炎(急性アレルギー性結膜炎、慢性アレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性結膜炎または通年性アレルギー性結膜炎を含む)、鼻結膜炎、眼乾燥症、角結膜炎、眼瞼炎、眼瞼の皮膚炎、眼瞼結膜炎、翼状片、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎、強膜炎、角膜炎、周辺部角膜浸潤、真菌性角膜炎、細菌性およびウイルス性の結膜炎、術後の炎症、眼炎、眼表面または眼瞼、眼の前房または後房の炎症、アトピー性角結膜炎(AKC)、春期角結膜炎(VKC)、巨大乳頭結膜炎(GPC)、神経栄養性角膜炎、GVHD-移植片対宿主病、外傷性または外科手術後の虹彩炎、ぶどう膜炎、瞼裂斑、翼状片、コンタクトレンズ誘発性眼乾燥症、他の眼表面の炎症、過敏、および/または充血、後部ぶどう膜炎、網膜疾患、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、眼の発赤、眼瞼腫脹、眼瞼うっ血、眼の腫脹、および眼の痒み、眼瞼結膜および眼球結膜、角膜、ならびに眼球前部のステロイド応答性炎症、ならびに副腎皮質ステロイドの適応がある眼部病態のうちの1つまたは複数の徴候および/または症状を含む、アレルギー性および/または炎症性のものである。
【0068】
一部の実施形態では、眼性の疾患または病態は、眼乾燥症、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎/強膜炎、アトピー性角結膜炎、真菌性角膜炎、アレルギー、AKC、VKC、GPC、細菌性またはウイルス性の結膜炎、前部ぶどう膜炎、外傷性または外科手術後の虹彩炎、眼瞼腫脹、眼の発赤、過敏、眼表面の炎症、または術後の炎症のうちの1つまたは複数である。
【0069】
一部の実施形態では、発赤、炎症、腫脹、不快感、涙目および眼のそう痒、角膜炎、角膜着色、結膜着色、または眼の炎症のマーカーのうちの1つまたは複数は、低減されるかまたは除去される。
【0070】
一部の実施形態では、眼性疾患は、眼乾燥症、アレルギー性結膜炎、角結膜炎(乾性)、角膜炎、眼瞼炎、翼状片、周辺部角膜浸潤、角膜移植後、瞼裂斑炎、上強膜炎/強膜炎、アトピー性角結膜炎、真菌性角膜炎、細菌性およびウイルス性の結膜炎、前部ぶどう膜炎、または術後の炎症、ならびにそれらの徴候および/または症状のうちの1つまたは複数である。
【0071】
加えて、アレルギー、結膜のアレルゲン曝露(CAC)の臨床モデルは、FDAにより承認されており、新製品のスクリーニングおよび開発のための標準であり得る。CACは、新規な抗炎症剤のスクリーニングに有用であり、特にアレルギー以外の病態および疾患に関する使用可能性を明らかにし得る。CACは、用量範囲確認(dose ranging)、概念の実証、および特異的な抗炎症性効果の同定に使用することができる。
【0072】
化合物1またはその薬学的に許容される塩は、溶液、懸濁剤、乳剤、軟膏剤、ゲル、スプレー剤、持効性製剤、または持続放出性の埋め込み製剤もしくは持効性製剤などの形態などの好適な組成物において、点眼薬もしくは眼内注入、埋め込み、または挿入物として局部的または全身的のいずれかで投与されてもよい。局部的に投与される時、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、片眼または両眼に投与されてもよい。裸眼、コンタクトレンズをつけた眼、またはコンタクトレンズの内側にもしくはコンタクトレンズ上に、またはコンタクトレンズの保存液に投与されてもよい。化合物1またはその薬学的に許容される塩は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回もしくはより頻回に、1日を通して適切な間隔で、または必要に応じて投与されてもよい。一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、1日1回投与される。一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、1日2回投与される。一部の実施形態では、化合物1は、化合物1またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される媒体を含む眼用組成物で投与される。薬学的に許容される媒体には、眼科使用に好適な担体、希釈剤または賦形剤が含まれ、例えば、一般的に言えば、許容される媒体は、それ自体、望ましくない過敏をもたらすことはなく、かつ有効成分を運び去る涙の分泌を引き起こすことがない。一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載される組成物で投与される。
【0073】
一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、化合物1を経時的に放出する持続放出性薬物送達系により投与されてもよい。例えば、持続放出性薬物送達系は、約0.001mg~約10mgの化合物1を、それを必要とする患者の眼に送達してもよい。一部の実施形態では、本方法は、約0.001mg、約0.005mg、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、もしくは約8mg、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)の化合物1を、患者の眼に投与することを含む。持続性薬物送達系は、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約3時間、約1日、約1週間、約1か月、または約1年の期間にわたり、化合物1を送達してもよい。一部の実施形態では、化合物1は、医療専門家により決定された期間、投与されてもよい。
【0074】
一部の実施形態では、本方法は、抗ヒスタミン薬、血管収縮薬、抗生物質、抗炎症薬、免疫抑制剤、眼乾燥症または不快感もしくは徴候を軽減する薬剤、抗脈管剤、抗線維化、抗血管新生、創傷治癒剤などの別の薬剤を、決まった組合せとして、または同時にもしくは付加的に投薬するかのいずれかで投与することをさらに含む。
【0075】
医薬組成物
本明細書では、化合物1、またはその薬学的に許容される塩、および本明細書に記載されるものなどの眼性の疾患または病態を治療するのに好適な薬学的に許容される液体媒体を含む医薬組成物、詳細には点眼用組成物もまた提供する。点眼用液体媒体は、本質的に水性または非-水性であってもよい。一部の実施形態では、媒体は水を含み、かつ点眼用組成物は水性眼用組成物である。
【0076】
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、有効量の有効成分を送達し、かつ眼に対して最小限の副作用もしくは不快感を起こすかまたは副作用もしくは不快感を全く起こさない、最も少数の賦形剤を伴う、点眼薬としての使用に好適な、安定な透明の液体である。
【0077】
一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1の薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、化合物1のギ酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または塩酸塩のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、化合物1のHCl塩である。
【0078】
一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1および/または化合物1のカチオン、ならびに酸のアニオンを含む。一部の実施形態では、酸のアニオンは、ギ酸アニオン、シュウ酸アニオン、マレイン酸アニオン、クエン酸アニオン、リン酸アニオンまたは塩化物アニオン(Cl)のうちの1つまたは複数である。
【0079】
一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩、液体媒体、および賦形剤を含む点眼用組成物を提供し、これは、緩衝剤、張度調節剤、安定剤、可溶化剤、防腐剤、界面活性剤、粘滑剤、増粘剤、キレート剤、抗酸化剤、および浸透増強剤のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0080】
一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩、水、および賦形剤を含む水性眼用組成物を提供し、これは、緩衝剤、張度調節剤、安定剤、防腐剤、界面活性剤、粘滑剤、増粘剤、キレート剤、抗酸化剤、および浸透増強剤のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0081】
一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容される塩、水、および賦形剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供し、これは、緩衝剤、張度調節剤、安定剤、防腐剤、界面活性剤、粘滑剤、増粘剤、キレート剤、抗酸化剤、および浸透増強剤のうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、本方法は、組成物のpHを調節することをさらに含む。
【0082】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、透明な溶液である。他の実施形態では、眼用組成物は、非水性の液体であってもよい。
【0083】
一部の実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、および酢酸緩衝剤、またはこれらの組合せから選択される。
【0084】
一部の実施形態では、張度調節剤は、グリセリン(グリセロールとしても公知)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG 3350、クエン酸マグネシウム、ラクツロース、およびペンタスターチ、ヘタスターチ、ゼラチンポリペプチド、デキストラン、アルブミン、アルギン酸塩、および結晶セルロース誘導体などのコロイド浸透圧剤、またはこれらの組合せのうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、張度調節剤は、グリセリン、NaCl、およびKClのうちの1つまたは複数である。
【0085】
一部の実施形態では、防腐剤は、クロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化セチルピリジニウム、フェネチルアルコール、パラヒドロキシ安息香酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルまたはブチルエステルなど)、塩化ベンゼトニウム、過ホウ酸ナトリウム、セパゾニウム、ヨウ素、ポリクアド、塩化ナトリウム、および次亜塩素酸、またはこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、防腐剤は塩化ベンザルコニウムである。
【0086】
一部の実施形態では、増粘剤は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸、およびこれらの塩、またはこれらの組合せから選択される。
【0087】
キレート剤の例には、エデト酸ナトリウムおよびクエン酸が含まれる。
【0088】
安定剤の例には、エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよびその全容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0265234号明細書において定義される安定化剤が含まれる。
【0089】
一部の実施形態では、安定剤は、ポリソルベート(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、またはポリソルベート80など)、PEG-35ヒマシ油(PEG-30ヒマシ油、PEG-33ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-36ヒマシ油またはPEG-40ヒマシ油など)、およびポリビニルピロリドン(ポビドンまたはPVPとしても公知、PVP K20、PVP K25、PVP K29/32、PVP K32、PVP K35およびPVP K40など)のうちの1つまたは複数である。
【0090】
可溶化剤の例には、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、および半フッ化アルカンが含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、安定剤または可溶化剤を含まない。
【0092】
点眼薬は25μL(マイクロリットル)~50μLの範囲であり得ると考えられる。一部の実施形態では、点眼薬は、各眼に1~2滴で患者に投与される。非限定的な例として、1滴の5~10mg/mLの化合物1の組成物は、0.125mg~0.5mgの化合物1を含有し得る。したがって、非限定的な例では、患者は、各眼に2滴程度(合計1mg)(両眼で2mg)を1日2回投薬され、1日当たり合計で4mg程度が患者に投与される。
【0093】
本明細書に記載される水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を、約0.001%~約10%、約0.01%~約10%、約0.05%~約10%、約0.1%~約1%、約0.1%~約2%、約0.1%~約5%、約0.1%~約10%、約0.2%~約7%、約0.3%~約5%、約0.4%~約2%、または約0.5%~約1%w/wの量(%w/w)で含むかまたは眼に送達することができる。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を、約0.001%~約7%、約0.001%~約5%、約0.001%~約2%、または約0.001%~約1%w/wの量(%w/w)で含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を、約0.01%~約7%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、または約0.01%~約1%w/wの量(%w/w)で含む。例えば、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約0.001%、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、または約3%w/wの化合物1もしくはその薬学的に許容される塩、または端点を含む任意の2数の間の任意の範囲を含み得る(%w/w)。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約0.5%~約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約0.5%または約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0094】
一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約5.5~約8のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約6~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約6.5~約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約6.8~約7.2のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は約7からのpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約5.5~約7のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約5.7~約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約5.9~約6.3のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約6~約6.2のpHを有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物などの眼用組成物は、約6のpHを有する。
【0095】
一部の実施形態では、組成物のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、リン酸、酢酸、および塩酸のうちの1つまたは複数により調節される。
【0096】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩、組成物のpHを調節するための緩衝剤、および水を含む。一部の実施形態では、緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、および酢酸緩衝剤から選択される。一部の実施形態では、眼用組成物中の緩衝剤の濃度は、選択された特定の緩衝剤に応じて、約1mM~約150mM以上である。一部の実施形態では、緩衝剤の濃度は、例えば、約1mM~約25mM、または約1mM~約20mMなどの100mM未満である。
【0097】
一部の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約5mM~約20mMのクエン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約5mM~約20mMのリン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mMのクエン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mMのリン酸緩衝剤である。
【0098】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約200~約350mOsm/kgの浸透圧を有する。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約230~約310mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0099】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩、組成物の浸透圧を調節するための張度調節剤、および水を含む。
【0100】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.1%~約5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.2%~約2%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.5%~約1.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約1.5%w/wの張度調節剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.2%~約1%w/wのNaClを含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.5%w/wのNaClを含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約1%~約2%w/wのグリセリンを含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約1.5%w/wのグリセリンを含む。
【0101】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩、緩衝剤、張度調節剤、および水を含む。
【0102】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、分解または微生物成長を防ぐための防腐剤をさらに含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.01%w/wの防腐剤を含む。
【0103】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウムを含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウムを含む。
【0104】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、沈殿などの物理的変化を防ぐための安定剤をさらに含む。
【0105】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0%~約5%w/wの安定剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約1%~約3%w/wの安定剤を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約2%w/wの安定剤を含む。
【0106】
一部の実施形態では、安定剤は、ポリソルベート80(PS80、Montanox(商標)80、Alkest(登録商標)TW 80およびTween(登録商標)80の商品名の下で入手可能)、PEG-35ヒマシ油(ポリオキシル35水素化ヒマシ油、ポリオキシル-35ヒマシ油、リシノール酸マクロゴールグリセリンとしても公知、かつKolliphor(登録商標)EL、Kolliphor(登録商標)ELPおよびCremophor(登録商標)ELの商品名の下で入手可能)、ならびにポビドンK29/32(PVP K29/32、Plasdone(商標)K-29/32の商標名の下で入手可能)のうちの1つまたは複数である。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約0%~約5%w/wのポリソルベート80、PEG-35ヒマシ油またはPVP K29/32を含む。
【0107】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約1%~約3%w/wのポリソルベート80、PEG-35ヒマシ油またはPVP K29/32を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、約2%w/wのポリソルベート80、PEG-35ヒマシ油またはPVP K29/32を含む。
【0108】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は安定剤を含まず、それにもかかわらず驚くほど安定である。
【0109】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、可溶化剤を含む。可溶化剤の例には、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、モノステアリン酸ポリオキシエチレンが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、可溶化剤を含まない。
【0110】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、増粘剤を含む。
【0111】
一部の実施形態では、水性眼用組成物は、キレート剤を含む。一部の実施形態では、キレート剤は、エデト酸ナトリウムまたはクエン酸である。
【0112】
一部の実施形態では、約0.1%w/w~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、張度調節剤、緩衝剤、および水を含む眼用組成物を提供する。
【0113】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、張度調節剤、緩衝剤、および水を含む眼用組成物を提供する。
【0114】
一部の実施形態では、水中の、約0.001%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0115】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0116】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0117】
一部の実施形態では、水中の、約0.001%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0119】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0120】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0121】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0122】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0123】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、およびリン酸緩衝剤を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0124】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0125】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0126】
一部の実施形態では、水中の、約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0127】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、および約10mMのクエン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0128】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、および約10mMのクエン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0129】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0130】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0131】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPVP K29/32、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0132】
一部の実施形態では、約0.001%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤、および水を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0133】
一部の実施形態では、約0.01%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤、および水を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0134】
一部の実施形態では、約0.1%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、緩衝剤、および水を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0135】
一部の実施形態では、約0.1%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、緩衝剤、および水を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0136】
一部の実施形態では、約0.1%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0137】
一部の実施形態では、約0.1%~約2%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0138】
一部の実施形態では、約0.5%~約1%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、リン酸緩衝剤、および水を含み、約5.5~7.5のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0139】
一部の実施形態では、約0.5%~1%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0140】
一部の実施形態では、約0.5%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0141】
一部の実施形態では、約1%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0142】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%の化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、約10mMのクエン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0143】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%の化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、約10mMのクエン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0144】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%の化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0145】
一部の実施形態では、約0.5%~約1%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0146】
一部の実施形態では、約0.5%w/wの化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPVP K29/32、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0147】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%の化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約0.5%w/wのNaCl、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPVP K29/32、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0148】
一部の実施形態では、約0.5%w/w~約1%の化合物1および/またはそのカチオン、Cl、約0.5%w/wのNaCl、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPVP K29/32、約10mMのリン酸緩衝剤、および水を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。
【0149】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約1%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を含み、約5.5~約7.5のpHを有する眼用組成物を提供する。
【0150】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約5%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を含み、約5.5~約7.5のpHを有する眼用組成物を提供する。
【0151】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する眼用組成物を提供する。
【0152】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、および約10mMのリン酸緩衝剤を含み、約6のpHを有する水性眼用組成物であって、防腐剤を含まない水性眼用組成物を提供する。
【0153】
一部の実施形態では、水中の、約0.001%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0154】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0155】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1またはその薬学的に許容される塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0156】
一部の実施形態では、水中の、約0.001%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0157】
一部の実施形態では、水中の、約0.01%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0158】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wの張度調節剤、約0.005%~約0.02%w/wの防腐剤、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0159】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0160】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0161】
一部の実施形態では、水中の、約0.1%~約2%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、および緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0162】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1%~約2%w/wのグリセリン、約0.005%~約0.02%w/wの塩化ベンザルコニウム、およびリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約5.5~7.5に調節することをさらに含む。
【0163】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0164】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0165】
一部の実施形態では、水中の、約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0166】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、および約10mMのクエン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0167】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、および約10mMのクエン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0168】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/w~約1%の化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのポリソルベート80、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0169】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%~約1%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPEG-35ヒマシ油、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0170】
一部の実施形態では、水中の、約0.5%w/wの化合物1のHCl塩、約1.5%w/wのグリセリン、約0.01%w/wの塩化ベンザルコニウム、約2%w/wのPVP K29/32、および約10mMのリン酸緩衝剤を混合することを含む方法により調製される水性眼用組成物を提供する。一部の実施形態では、本方法は、pHを約6に調節することをさらに含む。
【0171】
本明細書に記載される組成物は、適切な大きさの容器(約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約1mL、約2.5mL、約5mL、7.5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、または約40mLまでなど)に入れることができる。一部の実施形態では、容器は、点眼薬の投与に好適である。
【0172】
一部の実施形態では、容器は、1~2単位用量を入れるのに適切な大きさである。一部の実施形態では、容器は、密封される。一部の実施形態では、容器は、防腐性の密封を提供する。一部の実施形態では、容器は、開封時に穿孔される栓(puncture seal)を備える。一部の実施形態では、容器は、成形同時充填型の閉止物を備える。
【0173】
一部の実施形態では、本開示の水性眼用組成物は、適切な量の化合物1またはその薬学的に許容される塩、張度調節剤、防腐剤、および必要に応じて透明な溶液を形成するために、本明細書に記載される水性緩衝剤中の安定剤を混合することにより調製され得る。
【0174】
一部の実施形態では、本明細書に記載される眼疾患を治療する方法であって、必要とする患者の眼に、本明細書に記載される治療有効量の水性眼用組成物を投与することを含む、方法を提供する。本明細書に記載される水性眼用組成物の単回投与または単位用量は、片眼または両眼への組成物の適用を指し、各回に1滴、2滴、3滴、4滴、5滴、6滴、7滴、8滴またはそれ以上の組成物を含んでよい。組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回もしくは、1日を通して適切な間隔で、または必要に応じてより頻回に、投与されてもよい。一部の実施形態では、組成物は、持続放出性送達系により投与されてもよい。
【0175】
一部の実施形態では、水性眼用組成物の治療有効量は、治療を必要とする片眼に投与される、約0.001mg~約10mg、約0.01mg~約10mg、約0.1mg~約10mg、約0.15mg~約8mg、約0.25mg~約5mg、または約1mg~約5mg、約0.2mg~約1mg、約0.2mg~約0.7mg、約0.2mg~約0.5mgの、化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、水性眼用組成物の治療有効量は、治療を必要とする片眼に投与される、約0.01mL~約0.5mLである。一部の実施形態では、水性眼用組成物の治療有効量は、治療を必要とする片眼に投与される、約0.005mL、約0.01mL、約0.025mL、約0.03mL、約0.035mL、約0.04mL、約0.05mL、約0.07mL、約0.1mL、約0.15mL、約0.2mL、約0.25mL、約0.3mL、約0.35mL、約0.4mL、約0.45mL、約0.5mL、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)である。一部の実施形態では、水性眼用組成物の治療有効量は、片眼または両眼に投与される、1~10滴である。一部の実施形態では、水性眼用組成物の治療有効量は、片眼に投与される、1滴、2滴、3滴、4滴、5滴、6滴、7滴、8滴、9滴、もしくは10滴、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)である。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回もしくはより頻回に、1日を通して適切な間隔で、または必要に応じて投与される。
【0176】
一部の実施形態では、本明細書において、本明細書に記載される眼疾患の治療における、本明細書に記載される医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、片眼に約0.005mL~約0.5mL投与用である。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、片眼に約0.01mL、約0.025mL、約0.03mL、約0.035mL、約0.04mL、約0.045mL、約0.05mL、0.07mL、約0.1mL、約0.15mL、約0.2mL、約0.25mL、約0.3mL、約0.35mL、約0.4mL、約0.45mL、もしくは約0.5mL投与用、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)での投与用である。一部の実施形態では、1~10滴の水性眼用組成物が、片眼に投与される。一部の実施形態では、1滴、2滴、3滴、4滴、5滴、6滴、7滴、8滴、9滴、もしくは10滴、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)の水性眼用組成物が、片眼または両眼に投与される。一部の実施形態では、水性眼用組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回の投与用、もしくは、1日を通して適切な間隔で、または必要に応じて、より頻回の投与用である。
【0177】
一部の実施形態では、薬学的に許容される包装材料から調製された容器中に、本明細書に記載される眼用組成物を含む、キットを提供する。薬学的に許容される包装材料には、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートなど)、ナイロン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリジン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)および当業者に公知の他の材料が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、容器は、LDPEまたはHDPEから調製された可撓性のびんである。一部の実施形態では、容器は、約0.01mL~約50mLの眼用組成物、例えば約0.05mL、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約1mL、約2mL、約2.5mL、約3mL、約4mL、約5mL、約7.5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、約45mL、もしくは約50mL、または任意の2つの値の間の任意の範囲(端点を含む)などの眼用組成物を含む。一部の実施形態では、容器は、多回用量を含む。一部の実施形態では、容器は、単回の単位用量または1日用量を含む。一部の実施形態では、容器は、密封される。フィルタ、チップを有するもの、または二重チャンバ容器などの特殊な多回用量防腐剤非含有の容器もまた、使用されてもよい。
【実施例
【0178】
[実施例1]
水性眼用組成物の調製
一般に、本明細書に記載される水性眼用組成物は、好適な容器中で、目標体積の水に賦形剤を溶解し、続いて有効成分を添加することにより調製される。その後、pHを所望の値に調節し、目標の最終体積までさらに水を添加する。以下の実施例に列記される濃度または量は、示された値の±10%、±5%または±1%で変動し得る。
【0179】
[実施例2]
溶解性の検討
HCl塩または遊離塩基を、10mg/mL(1%)の濃度で以下の配合緩衝剤に添加し、溶解性の検討を実施した:
- pH6、10mMのクエン酸緩衝剤、1%のPEG400、1%のグリセリン、0.3%のNaCl、0.05%のPS80。
【0180】
可溶性試料の特性をより良く理解するためにpHを上昇させた。試料の外観を、透明性または濁りに関して目視で観察した。HCl塩は、pH6においてさえも可溶性であったが、pHが6から上昇すると沈殿が形成された。遊離塩基は溶解しなかった。
【0181】
遊離塩基は、様々な可溶化剤に溶解しなかった。1~10mg/mLという溶解度を示した唯一の試料は、3%のグリセリン、5%のPEG 400、5%のPEG-35ヒマシ油、15%のポリソルベート60、4%のポリソルベート80、2%のPVP K29/32、10%のプロピレングリコールの組合せであった。pH調節/緩衝化を伴う5%のPEG 400では透明溶液が得られたが、pHは3であった。pH調節/緩衝化を伴う10%のプロピレングリコールでは、pH6.1を有する透明溶液が得られたが、1mg/mLの化合物1に対する緩衝剤濃度は約20mMのリン酸塩であり、10mg/mLの化合物1に対して約200mMであると推定された。
【0182】
【表1】
【0183】
表2-2中の製剤を調製し、外観を検討した。透明溶液が得られた製剤を、保存のため周囲温度(15℃~25℃)においた。8週間後、透明のままであったこれらの製剤を、条件を満たしたHPLC法により分析した。pHおよび浸透圧を、開始時(T0)および8週(T8W)において、T0時に透明でありかつ8週間の保存後に透明のままであったこれらの製剤に関して測定した。(表2-3および2-4を参照されたい)。
【0184】
NaClを張度調節剤として含有する全ての溶液(製剤2-4、2-5、2-6、2-10、2-11、および2-12)は、開始時に透明溶液を形成することができなかったか、または8週後に透明溶液を維持することができなかった。さらに、クエン酸緩衝剤およびPVP K29/32を含有する製剤(製剤2-3)は、濁った懸濁液を生成した。グリセリンを有するほとんどの溶液は、8週間を通して透明であった。
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】
【表4】
【0188】
表2-4に示されるように、製剤2-1、2-2、2-7、2-8、および2-9は、8週間後、透明のままであった。これらの製剤を、HPLC分析により、不純物および質量バランスについて試験した。製剤7は、他の製剤と比較すると、有意と考えられる2本の不純物ピークを有した。
【0189】
[実施例3]
In Vivoの適合性研究
in vivoの研究を実行して、表3-1中の4つの製剤を、ウサギにおける認容性に関して試験した。本研究では、各群は、1つの製剤を受ける3匹のウサギ(2匹のオス、1匹のメス)から構成された。ウサギは、1日4回(投薬は2時間隔てられた)、連続7日間投薬された。投薬は、ウサギの右眼に50μLの適切な製剤を投与(局所的に眼部注入)、左眼は、対側性対照として働き未処置のままという構成であった。各ウサギの眼を、ドレーズスコア化法を使用して、処置前および毎日の最後の投与後に再度、1日単位で、過敏の徴候に関して段階分けした。スコア0は、認められた過敏がなかったことを表し、一方、スコア1、2、3、または4は、いくらかの過敏が観察されたことを表す。数字が大きくなるにつれて、観察された過敏が重度となる。
【0190】
各製剤および分類では、最大21の観察(3匹のウサギ×7日間)を行う。認容性スコアを表3-2に示す。クエン酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤およびPEG-35ヒマシ油を有する溶液(製剤3-2および3-3)が、4つの製剤の中で最も良好な認容性を示した。
【0191】
【表5】
【0192】
【表6】
【0193】
[実施例4]
安定性
異なるレベルのPEG-35ヒマシ油(2%、1%、および0%)(表4-1)を用いて溶液を調製し、25℃の長期保存条件および40℃の加速保存条件の両方で保持した。1か月後、全ての試料を、条件を満たしたHPLC法により分析した。
【0194】
【表7】
【0195】
【表8】
【0196】
API濃度の上昇および防腐剤濃度の低下を伴う製剤が、25℃で少なくとも6か月間安定であることが見出された。
【0197】
【表9】
【0198】
[実施例5]
イヌおよびウサギにおける毒性研究
毒性研究を、以下の2つの製剤に関してイヌおよびウサギにおいて実行した。
【0199】
【表10】
【0200】
研究1:各製剤を、各性別の7匹のイヌに投与し、各性別の4匹のイヌが毒性評価に使用され、かつ各性別の3匹のイヌが回復動物として可能性がある処置関連効果の可逆性を評価するために使用された。各イヌは、50μLの指定された製剤を28日間、1日4投薬受けた(回復したイヌは、追加の14日間、処置することなく保持された)。処置関連の死亡または毒性の臨床徴候は、本研究において認められなかった。
【0201】
研究2:各製剤を、各性別の11匹のウサギに投与した。ウサギは分割され、各性別の5匹のウサギが中心的毒性のために使用され、かつ各性別の3匹のウサギが毒物動態を評価するために使用され、かつ各性別の3匹のウサギが回復動物として可能性がある処置関連効果の可逆性を評価するために使用された。各ウサギは、50μLの化合物1眼用溶液を28日間、1日4投薬受けた(回復したウサギは、追加の14日間、処置することなく保持された)。処置関連の死亡または毒性の臨床徴候は、本研究において認められなかった。
【0202】
[実施例6]
アレルギー性結膜炎のマウスモデルにおける化合物1
化合物1は、アレルギー性結膜炎のマウスモデルにおいて、アレルギー性結膜炎の軽減における有効性を示した。
【0203】
マウスに、ブタクサアレルゲンを皮下注射して感作させ(1日目、11日目)、18日目にブタクサアレルゲンを用いて結膜のアレルゲン曝露(CAC)を実行した。曝露に続いて、マウスを処置群(n=8)に無作為化し、局所的試験化合物:媒体、0.1%の化合物1、1%の化合物1、1%のプレドニソロン、または生理食塩水(BSS)を、1日2回、2日間、およびアレルゲン曝露中に1日3回、追加の4日間、与えた。曝露を、1日2回、21日目から24日目に実行した。アレルゲン曝露に対する応答を、1、4、6および8回の曝露後、評価した。
【0204】
図1に例証されるように、化合物1(1%)は、生理食塩水と比較して、4試験日中の4試験日に充血における平均変化(CACの前対CACの後)を有意に減少させ、化合物1(0.1%)は、生理食塩水と比較して、4試験日中の2試験日に充血における平均変化を有意に減少させた。正の対照プレドニソロン(1.0%)もまた、4試験日中の2試験日に充血における平均変化に有意な減少を誘発させた。充血の全体平均における統計学的に有意な減少が、1%の化合物1について4試験日中の3試験日に観察された。眼部分泌物、まぶた腫脹、または斜視に関して、有意な変化は見られなかった。
【0205】
[実施例7]
急性および慢性のアレルギー性結膜炎の治療のための化合物1の臨床的有効性および安全性
結膜のアレルゲン曝露(CAC)の臨床モデルを利用する研究では、急性または慢性のアレルギー性結膜炎を有する適格な患者を無作為化して、以下に列記する5つの介入のうちの1つを受けさせ、それぞれに1投薬当たり1滴で、6投薬を与えた。CACモデルは、アレルギーおよび抗炎症性活性に関する新規な薬物の評価のための標準的臨床方法であり、新規な治療法の臨床的開発のためにFDAにより承認され、かつ現在市販されている19の薬物の開発に使用されてきた。CACモデルにおいて、ある用量のアレルゲンが、制御された方式でオフィス環境における患者の眼に投与され、制御されたアレルギー性反応を誘導した。薬物は事前に決められた時間点に投与され、徴候および症状もまた決められた時間点に収集され、有効性を評価する。
【0206】
【表11】
【0207】
・組成物A:0.5%w/wの化合物1のHCl塩、1.5%w/wのグリセリン、10mMのリン酸緩衝剤中の0.01%w/wのBAC、pH 6.0。
・組成物B:1.0%w/wの化合物1のHCl塩、1.5%w/wのグリセリン、10mMのリン酸緩衝剤中の0.01%w/wのBAC、pH 6.0。
・プラセボ:0.01%w/wのBAC、1.5%w/wのグリセリン、pH 6.0。
【0208】
スクリーニングおよびベースラインCACを受けた後、患者は、マスク化無作為化方式で、それぞれ、来診4bおよび5においてCAC前の8時間または15分に研究治療を受けるように割り当てられた。次に、患者は、1日2回で投薬を継続し、かつ投薬の6時間および8時間後に一連のCAC曝露の繰り返しを受けた。
【0209】
評価項目:
・眼部そう痒[時間枠:アレルゲン投与(CAC)後の5、7、および10分]眼部そう痒が、0~4スケール(0=なし~4=重度)を使用して、対象により評価された。両眼に対する眼部そう痒スコアの平均を分析した。
・結膜の発赤[時間枠:アレルゲン投与CAC後の7、15、および20分]
結膜の発赤が、0~4スケール(0=なし~4=重度)を使用して、研究者により評価された。両眼に対する結膜の発赤スコアの平均を分析した。
・有効性に関して評価された他の変化要素には、まぶた腫脹、結膜浮腫、流涙、鼻の症状、ならびにバイオマーカーの探索的評価、およびin vivoの共焦点顕微鏡を用いた炎症の探索的画像を介した生物活性の徴候が含まれる。
【0210】
結果:
化合物1の両方の濃度が、本研究において、明瞭かつ一貫した生物学的効果を示した。
【0211】
組成物AおよびBは両方とも、曝露の8時間前に投与された時、眼部発赤および結膜腫脹(結膜浮腫)に対して、媒体およびPatanol(登録商標)より、統計学的に優れた臨床的意義がある治療効果を示した。加えて、組成物AおよびBは両方とも、CACの8時間前に投与された時、毛様体の発赤および上強膜の発赤の防止に有効性を示した。媒体(全3パラメータ)およびPatanol(登録商標)(毛様体の発赤および上強膜の発赤)との差は統計学的に有意であった。
【0212】
表7-1は、組成物A、BまたはPatanol(登録商標)で治療された対象の結膜の発赤スコアを、媒体と比較して示しており、来診4b(アレルゲン曝露を第1の投薬の8時間後に行った)および5a(アレルゲン曝露を第2の投薬の15分後に行った)に、研究者により評価された。来診4bおよび5aにおいて、Patanol(登録商標)およびPatanol(登録商標)/Pred forte(登録商標)群の全ての患者は、Patanol(登録商標)を受けた。
【0213】
負の数が大きいほど、より有効である(すなわち薬物とプラセボの間のより大きい差)ことを示している。驚いたことに、投薬の8時間後に有効性を測定した来診4bにおいて(作用の持続)、組成物AおよびBは、現在、市場で最も有力な薬物でありかつ活性対照薬として含まれた標準的アレルギー療法であるPatanol(登録商標)と比較して、より優れた性能を示した。また驚いたことに、データは、化合物1が、投薬の15分後(来診5a)と比較して、投薬の8時間後により良好に作用することを示唆している。
【0214】
【表12】
【0215】
表7-2~7-11は、来診4bおよび5aにおける、媒体と比較した、組成物A、BまたはPatanol(登録商標)の、毛様体の発赤、上強膜の発赤、結膜浮腫、眼瞼腫脹、流涙、鼻漏、鼻そう痒症、耳または口蓋のそう痒症、鼻閉および眼部そう痒に対する効果を示す。
【0216】
【表13】
【0217】
【表14】
【0218】
【表15】
【0219】
【表16】
【0220】
【表17】
【0221】
【表18】
【0222】
【表19】
【0223】
【表20】
【0224】
【表21】
【0225】
【表22】
【0226】
結膜を、in vivoの共焦点顕微鏡を使用して画像化し、微小血管系を評価し、0(白血球なし)から4(視認できる細胞の炎症)までのスケールにおいて炎症をスコア化した。図2Aおよび2Bは、それぞれ、ベースラインにおけるスコア(治療なし)、および治療の8時間後であったCAC後のスコアを示す。図2Bは、プラセボと比較した、炎症の客観的画像の低減に対する化合物1製剤の効果を示す。棒グラフでは、棒は、左から右へ、プラセボ、Patanol、組成物B、組成物Aを表す。
【0227】
特異的Syk阻害剤が、眼においてこの手法で臨床的に評価されたのは、これが最初である。実際、Sykの特異的阻害剤の可溶性で安定な配合物を製剤化し、かつ適切なモデルにおいて有効性を実証するという過去の試みは失敗した。マスト細胞脱顆粒におけるSykキナーゼ関与の認められた作用機序、およびアレルギー性応答におけるマスト細胞の中心的役割を考慮すると、この臨床データは、血管拡張(発赤)の低減、および炎症の低減における化合物1の驚くべき有効性を支持している。この効果は、結膜浮腫(結膜組織の炎症)の低減、および存在する白血球のより低い炎症スコアを伴う共焦点画像化を客観的に介しても示されるように強力である。特に、化合物1は、投薬の8時間後に、15分後と比較してかなりの程度まで発赤を低減した。これは、作用の持続(本研究では8時間)で比較して、一般的により高レベルの有効性が15分に開始される、抗ヒスタミン薬/マスト細胞安定剤などの現在の標準的な薬物(本試行に含まれた活性対照薬でありかつ眼のアレルギーに関しておよそ20年間市場で最も有力な薬物であるPatanol(登録商標)など)とは対照的である。この臨床データは、眼の充血および炎症を低減する化合物1の強力な効果を支持している。本記載の組成物は、驚いたことに、快適さ、安全性、有効性、溶解性、および安定性の改善をもたらすと考えられる。
【0228】
組成物AおよびBは、安全でかつ良好な認容性を示すことが見出された。治療創発的の重篤な有害事象はなく、かつ化合物1群における全ての治療創発的有害事象は、軽度と段階付けされた。化合物1組成物の快適さスコアの低下は、スケールの快適な区分および現在市販されている製品のこれまでの平均内に段階付けされた。
図1
図2A
図2B