(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】工具ホルダ及び該工具ホルダを備えた工具システム
(51)【国際特許分類】
B23B 29/12 20060101AFI20240111BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20240111BHJP
B23B 27/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B23B29/12 Z
B23Q17/09 H
B23B27/00 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021146538
(22)【出願日】2021-09-09
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503128054
【氏名又は名称】ハルトメタル-ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】521397957
【氏名又は名称】キスラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイツェル, グンナー
(72)【発明者】
【氏名】ケムラー, トビアス
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-301045(JP,A)
【文献】特開平02-222822(JP,A)
【文献】特開昭62-009851(JP,A)
【文献】特開2013-244583(JP,A)
【文献】特開2005-212045(JP,A)
【文献】実開昭53-042293(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0207671(US,A1)
【文献】国際公開第2018/095472(WO,A1)
【文献】特開昭60-186354(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016223197(DE,A1)
【文献】国際公開第2020/074434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 29/12
B23B 27/00、04
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ホルダ本体を備えた工具ホルダ(10,10')であって、該工具ホルダ本体は、
工作物を機械加工するための少なくとも1つの切れ刃(22,22')を有する工具(12,12')を解除可能に受け入れるように構成された工具受け部(14,14')と、
工具ホルダ(10、10')を工作機械に締結することを可能にするように構成された機械インターフェース(26、26')と、
工具ホルダ(10、10')に作用する力に依存する測定信号を生成するように構成されたセンサ(32、32')が着脱自在に取り付けられるセンサ受け部(30、30')と、
工具ホルダ本体から着脱可能である板状の圧力片(90)、又は工具ホルダ本体から着脱可能である少なくとも1つの楔要素を備えたクランプ装置(52)とを備え、
前記工具受け部(14,14')と機械インターフェース(26、26')とセンサ受け部(30、30')は、工具ホルダ本体を介して互いに一体的に接続され、
前記センサ受け部(30、30')は、工具受け部(14、14')及び機械インターフェース(26、26')の両方から離間されており、工具(12,12')が工具受け部(14,14')に受け入れられ、工具ホルダ(10、10')が工作機械に締結されたときに、センサ(32、32')は工具(12、12')と直接接触せず、工作機械とも直接接触せず、
前記センサ(32、32')は、前記クランプ装置(52)によって前記センサ受け部(30、30')内に固定され、
センサ(32)は感度軸(34)に沿って主たる感度を有し、該センサ(32)の感度軸(34)が、工具ホルダ(10)の長手方向軸(36)に対して鋭角(α)で配向されることを特徴とする工具ホルダ(10,10')。
【請求項2】
前記感度軸(34)は、機械加工工程中に工具ホルダ(10)上で作用する力から生じる合力の方向(40)と一致するか、又は該方向(40)と最大で10°を成す角度を向いている、請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項3】
前記工具ホルダ(10)は、前記工具(12)と接触するために、第1の接触面(42)と、前記第1の接触面(42)に対して横方向に延びる第2の接触面(44)とを備え、前記センサ(32)の前記感度軸(34)は、前記第1の接触面(42)に対して第1の鋭角で、かつ前記第2の接触面(44)に対して第2の鋭角で配向される、請求項1又は2に記載の工具ホルダ。
【請求項4】
前記第2の接触面(44)は、前記工具ホルダ(10)の長手方向軸(36)に平行に配向されていることを特徴とする請求項3に記載の工具ホルダ。
【請求項5】
前記センサ受け部(30,30')が、少なくとも4つの側からセンサ(32,32')を囲む受け部ポケットとして構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の工具ホルダ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの楔要素は、第1の楔要素(54)及び第2の楔要素(56)を備える、請求項1乃至5の何れかに記載の工具ホルダ。
【請求項7】
前記第1の楔要素(54)は、前記センサ(32)に第1の側面(58)で接触し、前記第2の楔要素(56)の楔形表面(62)に、前記第1の側面(58)に対向する第2の側面(60)で接触し、前記第2の側面(60)及び前記楔形表面(62)は、前記第1の側面(58)に対して鋭角に配向される、請求項6に記載の工具ホルダ。
【請求項8】
前記センサ受け部(30)内に支持体(59)が配置され、該支持体は、第2の楔要素(56)がセンサ受け部(30)内に押し込まれたときに、第1の楔要素(54)を支持するように構成される、請求項7に記載の工具ホルダ。
【請求項9】
工具受け部(14')が工具ホルダ(10')の端面に配置され、工具ホルダ(10')内にポット形状の凹部として構成される請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項10】
前記センサ(32,32')が力変換器を構成する、請求項1乃至
9の何れかに記載の工具ホルダ。
【請求項11】
前記センサ(32)は、工具ホルダ(10)の内側に延在するケーブルダクト(66)を通してセンサ受け部(30)の外に引き回されるケーブル(64)を備える、請求項1乃至
10の何れかに記載の工具ホルダ。
【請求項12】
請求項1乃至
11の何れかに記載の工具ホルダ(10,10')と、
工作物を機械加工する少なくとも1つの切れ刃(22,22')を有する工具(12,12')とを備えた、工具システム(100)。
【請求項13】
前記工具(12)は、少なくとも1つの切れ刃(22)が形成された切削インサート(20)が配置される切削インサート受け部を有する工具カートリッジを備え、前記工具カートリッジは、少なくとも1つの締結要素(16)によって前記工具ホルダ(10)内の工具受け部(14)に締結される、請求項
12に記載の工具システム。
【請求項14】
前記工具(12')は、前記少なくとも1つの切れ刃(22')が形成された切削インサート(20')を備え、前記切削インサート(20')は、前記工具ホルダ(10')の前記工具受け部(14')内に挿入され、解放可能に固定されるクランプ部を備える、請求項
12に記載の工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物を機械加工するための少なくとも1つの切れ刃を有する工具を内部に取り外し可能に受け入れるように構成された工具受け部と、工具ホルダを工作機械に締結可能に構成された機械インターフェースと、工具ホルダに作用する力に依存して測定信号を生成するように構成されたセンサが受け入れられるセンサ受け部を備えた、工具ホルダに関する。
【0002】
本発明のさらなる態様は、そのような工具ホルダと、工作物を機械加工するための少なくとも1つの切れ刃を有する工具とを備える工具システムに関する。したがって、本発明の後者の態様は、発明単独に係る工具ホルダのみならず、そこに取付け可能な工具に関係するものである。この工具は原理的にどのような種類の切削工具であってもよい。工具は切削工具か、又はフライス工具であるのが好ましい。
【0003】
本発明による工具ホルダに使用されるセンサは、力変換器であるのが好ましい。
【背景技術】
【0004】
工作機械によって工作物を製造する場合、工作機械内に締結された工具ホルダ内に配置された工具に作用する力を測定することが望まれることが多い。
【0005】
工具に作用する種々の力を監視するためのセンサの使用は、従来技術から原理的に既に知られている。
【0006】
例えば、ヨーロッパ特許1 984 142号は、切削本体又は工具のホルダに加わる圧縮力、引張力及び剪断力を測定し、過負荷による損傷が防止されるように工作機械を制御するために、圧電セラミックセンサを使用することを開示している。この場合、力に対する閾値が指定され、閾値を超えた場合には機械加工工程が干渉される。
【0007】
切削インサートの予防的破損、割れ及び/又は摩耗検出を目的として工具上で1つ以上のセンサが使用される類似の工具は、ドイツ特許公開公報10 2014 224 778号に開示されている。
【0008】
しかしながら、このようなセンサを切削工具及び工具ホルダに使用することは、必ずしも、工具上に交換可能に配置された切削インサートの破損又は摩耗を検出する目的に役立たない。センサは、品質保証及び/又は文書化にも使用することができる。例えば、このようなセンサを使用して、機械加工中に工具の切削インサートに作用する力を経時的に記録し、文書化の目的で保存することができる。それらは、工程の力と工程の安定性を監視するためにしばしば使用される。同様に、これは産業的な長期使用におけるそのような工具システムの堅牢性及び耐久性にプラスの効果を有する工具状態の監視のために役立つことができる。
【0009】
この目的のために使用するセンサの種類に関する限り、基本的に動力計を用いることができる。しかしながら、動力計の大きな寸法は不利であるため、動力計はしばしば機械室で干渉し、工作機械のどの位置にも設置できない。加えて、動力計の製造及び調達コストは比較的高い。
【0010】
工具力の測定には、ひずみゲージを使用することもできる。原理的には、ひずみゲージは、測定される機械部品、特に工具のある程度の柔軟性を必要とする、しかしながら、工作物の精密加工においては望ましくない。従って、ひずみゲージを使用すると、測定の動的分解能が低くなる。
【0011】
多成分の力の測定装置は更に、スイス特許公開公報680 421号に開示される。しかしながら、機械加工技術における殆どの用途に対して、1つの特性力方向における力測定で十分であり、多次元測定(例えば、3成分の測定)は必要ではない。
【0012】
はるかに重要な特性は、長期間にわたるセンサ技術の感度に関する安定性であることがしばしばあり、そのため、多数のサイクルと生産注文において、加工工程の変化を信頼性をもって比較し、評価することができる。しかしながら、測定の最高の感度に対する望みは、しばしば、工作機械内又は工具内に可能な限りセンサを適切に配置する問題に立ち向かう。
【0013】
できるだけ正確な測定を可能にするためには、センサをできるだけ加工点に近い位置、つまり工具の刃先にできるだけ近い位置で使用することが望ましいことがよくある。しかし、これは空間的な理由だけでなく、純粋な安定性の理由からも問題になることが多い。例えば、切削インサートホルダに固定される交換可能な切削インサートを有する工具の場合、切削インサートと切削インサートホルダとの間にて、直接切削インサートホルダにセンサを取り付けることは、限られた範囲のみで可能である。しかしながら、このような取付けは、純粋に機械的な理由から先行技術から知られている工具には普通はかなり不適当である。何故なら、センサが切削インサートホルダ内の切削インサートの固定の安定性を損なう恐れがあるからである。
【0014】
工具が工具ホルダに固定される接続点、又は工具ホルダが工作機械に固定される接続点にセンサを取り付けることは、スペース上の理由と安定性上の理由の両方で、確実にするのがはるかに容易である。例えば、国際特許公開2020/074434号は、工具のシャンク上の凹部にセンサを配置し、その結果、センサが、工具のシャンクと、工具が固定される工具ホルダとの間に配置されるようにすることを開示している。
【0015】
ドイツ特許公開公報34 07 619号は更に、センサハウジングを、対応する凹部内の機械部品に直接隣接して配置することを開示している。さらに、ドイツ特許10 2012 005 555号は、異なる力方向の力を測定するための圧電センサが、ねじ止めされたスラストピースによって予圧を受けてそれぞれ取り付けられた中空の円筒形凹部を有する測定板を提供することを開示している。このような測定板は、ベアリング面間に生じる高いせん断力及び圧縮力を測定するのに特に適している。
【0016】
先行技術から既に知られている前述の解決法と比較して、センサのヒステリシスの減少を可能にし、従ってより安定で信頼性のある反復測定を可能にするセンサの配置を工具システム内に決定することが望ましい。さらに、工具内の切削インサートを変更したり、工具全体を変更したりして、システムに悪影響を与えてはならない。さらに、工具システムはユーザフレンドリーであるべきであり、工具を設定する際に大きな追加的な労力を生み出すべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明の目的は、工具ホルダ及びそのような工具ホルダ及び関連する工具を備えた工具システムであって、直線性、センサの乱れヒステリシスの低減、測定安定性の向上及びできるだけ簡単な取り扱いに関する前記の目標を可能な限り実行する工具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、この目的は、冒頭に記載した種類の工具ホルダによって請求項1に従って解決され、センサ受け部が工具受け部及び機械インターフェースの両方から離間して配置されていることで、工具が工具受け部に収容され、工具ホルダが工作機械に締結されているときに、センサが工具に直接接触することも、工作機械に直接接触することもない。
【0019】
一見すると、工具ホルダと工作機械との接続点、又は工具ホルダとそこで受け入れられる工具との接続点において、センサが工具ホルダの内部に直接摩擦を持って接するように配置されていないので、本発明に係るセンサの配置のタイプは不利であると考えられる。しかし、実際には、前述の2つの接続点から離れたところにセンサを配置することは、測定の安定性及び再現性の点だけでなく、他の様々な態様においても有利である。力分路にセンサを配置することにより、センサを流れる力成分は、摩擦を持って接続された部分に直接配置する場合よりも小さいことが真実である。しかしながら、発明者らは、記載されたセンサの配置によって、直線性及びできるだけ小さなヒステリシスによって記載された高い測定品質を確保できることを認識した。干渉が低減され、これにより測定の再現性が大幅に向上する。
【0020】
センサは、ホルダに完全に一体化され、従って、保護位置に配置される。工具ホルダ内の力の流れに取り付けることで、非常に精密な測定が可能になる。さらに、センサの工具ホルダへの一体化により、ケーブルの簡単で整然とした供給が可能になる。
【0021】
もう1つの特別な利点は、工具が工具ホルダから容易に取り外すことができ、センサと関連するケーブルを工具ホルダから外したり、配置を変更したりする必要なくして、他の工具と交換可能であるという事実である。したがって、本発明による工具ホルダへの工具の取付けは、センサ技術に重大な影響を及ぼさないか、又はまったく影響を及ぼさない。
【0022】
本発明の好ましい改良例によれば、センサは感度軸に沿って主たる感度を有し、該センサの感度軸は、工具ホルダの長手方向軸に対して鋭角に配向される。
【0023】
センサが力変換器として構成される場合、前記感度軸は、例えば、センサの上側に直交して配向された軸であってもよい。センサの感度軸が鋭角で傾斜するのが好ましい工具ホルダの長手方向軸は、好ましくは、工具の少なくとも1つの切れ刃に対して横方向に配向される。
【0024】
現在の文脈では、「横方向」とは、平行ではない任意のタイプの方向を意味すると理解されており、これには0度以外の角度での任意のタイプの方向が含まれる。故に、「横方向」という用語もまた、垂直方向又は直交方向を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明に従って、センサの感度軸が、少なくとも1つの切れ刃に作用する力から生じる力の方向、又は、この方向に対し最大で10°をなす力の方向と一致することが、特に好ましい。
【0026】
従って、殆どの用途に対して、センサの感度軸は、可能な限り最大の力方向と一致する。センサの挿入角度は、切削力から生じる力の方向に対応する。このように、センサは、工具ホルダ内の力の流れの中に正確に位置決めされるので、非常に精密な測定が可能である。センサの感度軸が、結果として生じる引張/圧縮方向の力方向と、可能な限り対応するという事実故に、センサは、可能な限り小さな剪断力を受けるので、可能な限り小さいヒステリシスが、測定中に生じる。
【0027】
この力方向からの10°の偏差は概ね許容範囲内である。言うまでもなく、ここでは+/-10°の偏差を意味しているので、この仕様は量の仕様として理解されることになる。望ましいことに、合力の方向に対する感度軸の方向の偏差は、最大で5°である。特に、感度軸は、結果として生じる力の方向と平行を向いているか、又は一致していることが望ましい。
【0028】
さらなる改良例によれば、工具ホルダが、工具との接触用に、第1の接触面と該第1の接触面を横切って延びる第2の接触面で構成され、センサの感度軸が、第1の接触面に比べて第1の鋭角で指向され、第2の接触面に比べて第2の鋭角で指向されることが好ましい。
【0029】
工具は、工具が工具ホルダの工具受け部内に保持されるときに、前記の各2つの接触面において、工具ホルダに対して同一面内となるのが好ましい。原理的には、さらなる接触面又は個々の接触点が存在し得ることに留意する必要がある。好ましくは、センサの感度軸は、工具ホルダの工具受け部の2つの前記接触面に対して30°-60°の角度で配向される。特に、2つの接触面は、互いに垂直又は直交しているので、その2つの鋭角(第1の鋭角及び第2の鋭角)は、対向角となり、いずれも、望ましくは、上述の角度範囲内に入る。
【0030】
用途の種類に応じて、前述の角度は、できるだけ多くの種類の工具を対象とすることを意図した妥協策を表す。
【0031】
例えば、第1の当接面は、工具ホルダの長手方向軸に平行に配向することができる。この場合、前述の第1の鋭角は、センサの感度軸と工具ホルダの長手方向軸との間で測定されるセンサの前述の挿入角度に対応する。引張荷重と圧縮荷重を組み合わせた荷重の場合、センサの挿入角度は前述の30°-60°の範囲で選択される。他方、純粋なせん断荷重の場合、センサの挿入角度は0°として選択されるであろう。
【0032】
好ましくは、センサ受け部内に取り付けられたセンサは、工具ホルダの力分路内に配置される。これにより、力の大部分が工具ホルダを通って流れ続けるので、工具ホルダの安定性、従って工具システム全体の安定性は、最小限にしか低下しない。
【0033】
本発明の更なる改良例によれば、センサ受け部は、少なくとも4つの側部からセンサを取り囲む受け部ポケットとして構成される。特に好ましくは、受け部ポケットとして構成されたセンサ受け部は、5つの側面からセンサを取り囲んでいる。
【0034】
この改良例によれば、このようにセンサは閉じたフレームで囲まれている。これにより、開いたフレームと比較して工具ホルダへの切込み効果をできるだけ低く抑え、工具ホルダの永久的な変形を回避し、より大きな力を測定するための堅牢性を確保する。センサを4つの側部からだけでなく5つの側部から封入すれば、堅牢性と安定性はさらに増大する。
【0035】
さらなる改良によれば、センサは、クランプ装置によってセンサ受け部内に固定される。
【0036】
このクランプ装置により、工具ホルダに力が加わっていない場合でもセンサに予圧がかけられる。これは、センサがその感度軸に沿って引張荷重と圧縮荷重の両方を測定できるようにするために重要である。引張荷重の純粋な測定の場合、センサの予荷重は、好ましくは、機械加工工程の結果として工具ホルダに挿入されたセンサに作用する引張力よりも大きくなるように選択される。これは、センサが常に予荷重が掛けられた状態に保たれるために必要である。
【0037】
クランプ装置は、工具ホルダから少なくとも部分的に取り外し可能であるように構成されることが好ましい。特に、クランプ装置は、工具ホルダから完全に取り外すことができる。
【0038】
更に好ましい改良例によれば、クランプ装置は第1の楔要素と第2の楔要素から構成される。この2つの楔要素によって、センサを工具ホルダのセンサ受け部内に非常に簡単に固定することができる。単純な固定に加えて、利点は本質的にセンサの取り外し易さと位置決め易さにある。
【0039】
第1の側面を有する第1の楔要素が、センサに当接し、反対の第2の側面が第2の楔要素の楔面に当接し、第1の楔要素の第2の側面及び第2の楔要素の楔面が、第1の側面に対して鋭角に配向されるのが特に好ましい。この後者の鋭角は、第2の側面と楔表面の両方で同じである。
【0040】
従って、この改良例によれば、センサを固定するためにポケット形状のセンサ受け部内に固定される2つの対向する楔要素が存在する。これにより、せん断力がさらに減少する。
【0041】
言うまでもなく、第2の楔要素の「楔面」という用語は、第1の楔要素の「側面」を区別するためだけに用いられたが、本件においては、制限的に理解されるものではない。この「楔面」は、第2の楔要素の側面でもある。
【0042】
2つの楔要素のうちの1つ、好ましくは第2の楔要素は、好ましくは、締結要素によってセンサ受け部内に変位可能に締結される。締結要素は、例えば、ねじであり、それによって、第2の楔要素をセンサ受け部内で変位させることができる。このタイプの組み合わされたねじ/楔の接続により、センサの予圧力を非常に正確に調整することができる。これは、ヒステリシスを減少させ、従って、センサの測定安定性に正の効果を及ぼす。
【0043】
改良例によれば、センサ受け部内に支持体が配置され、該支持体は、第2の楔要素がセンサ受け部内に押し込まれたときに第1の楔要素を支持するように構成される。
【0044】
この支持体のため、センサに対向する第1の楔要素は、第2の楔要素が挿入されたときに、センサにせん断力を作用させない。このせん断力は、センサに負の影響を与えたり、さらには、損傷を与える可能性がある。支持体は、例えば、センサ受け部内に設けられた支持面であってもよく、この支持面に対して、第1の楔要素が同一面内に存在する。
【0045】
さらなる改良例によれば、センサは感度軸に沿って主たる感度を有し、該センサの感度軸が、工具ホルダの長手方向軸に平行に配向される。これは、センサの位置における合力の方向が、工具ホルダの長手方向軸に平行に向けられる場合に、特に望ましい。
【0046】
例えば、これは、工具受け部が工具ホルダの前端部に配置され、工具ホルダ内のポット形状の凹部として構成される工具ホルダの改良例において有利であり得る。
【0047】
前記の如く、センサは、望ましくは力変換器である。この力変換器は、例えば、圧電センサを含む。このような圧電センサは、測定範囲において電子的に修正することができ、その測定結果は、工具ホルダの変形に依存しない。圧電センサは、また、非常に低いエージング工程にさらされるので、非常に長い耐用年数にわたって、安定し反復可能な測定がセンサを用いて可能である。
【0048】
さらなる改良例によれば、センサは、工具ホルダの内側に延在するケーブルダクトを通してセンサ受け部から引き出されるケーブルを備える。
【0049】
換言すれば、この改良例に従って、ケーブルは工具ホルダの内部に案内される。ケーブルダクトは、工具とは反対を向いており、かつケーブルがケーブルダクトから出る工具ホルダの側面に配置されたケーブル出口を備えるのが好ましい。従って、ケーブル出口は、工具の切れ刃とは反対を向いている工具ホルダの側面上で選択されるのが好ましい。このようにして、ケーブルは安全に収容され、特に工具の交換中は損傷から保護される。
【0050】
冒頭で言及したように、本発明は、工具ホルダ自体のみならず、工具ホルダと、工作物を機械加工するための少なくとも1つの切れ刃を有し、工具ホルダ内に固定される工具とを備える工具システムに関する。
【0051】
本工具システムの改良例によれば、少なくとも1つの切れ刃が形成される切削インサートが配置される切削インサート受け部を有する工具カートリッジであって、少なくとも1つの締結要素によって、工具カートリッジが工具受け部内の工具ホルダに着脱自在に締結される。
【0052】
比較的省スペースの構成のため、このような工具カートリッジは、幾つかの工具が同時に使用される工作機械での使用に特に適している。工具自体は、例えば、旋回工具やフライス工具であってもよい。工具カートリッジは、典型的には、比較的平坦な構成を有し、締結要素として機能する1つ又は複数の締結ねじによって工具ホルダに取り外し可能に締結される。必要に応じて、工具カートリッジを工具ホルダから簡単かつ迅速に切り離すことができる。切削インサートのみが、例えば摩耗のために交換される必要がある場合、工具カートリッジは工具ホルダに取り付けられたままで、切削インサートは工具カートリッジから分離されて、新しいものに交換することができる。
【0053】
上記の特徴及び後述する未だ説明されていない特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、それぞれ提供する組合せのみならず、他の組合せ又は単独で使用することができることは言うまでもない。同様に、言うまでもなく、工具ホルダに関する特許請求の範囲に定義された特徴は、発明に係る工具ホルダのみならず、発明に係る工具システムと同等の方法で参照するものである。そのため、以上の記述は、発明に係る工具ホルダのみならず、発明に係る工具ホルダを含む発明に係る工具システムについても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の実施形態は図面に示されており、以下の説明でより詳しく説明する。
【
図1】本発明に係る工具ホルダを備える本発明に係る工具システムの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1に示す本発明に係る工具システムの第1の実施形態の分解図である。
【
図3】
図1に示す本発明に係る工具システムの第1の実施形態の側面図である。
【
図4】
図1に示す本発明に係る工具システムの第1の実施形態の別の側面図である。
【
図5】
図1に示す本発明に係る工具ホルダの第1の実施形態の詳細な断面図である。
【
図6】本発明に係る工具ホルダを備えた工具システムの第2の実施形態の斜視図である。
【
図7】
図6に示す本発明に係る工具システムの第2の実施形態の分解図である。
【
図8】
図6に示す本発明に係る工具システムの第2の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1乃至
図4は、本発明に係る工具システムの第1の実施形態を斜視図、分解図及び2つの側面図で示す。本発明に係る工具システムは、全体を符号100で記載している。
【0056】
工具システム100は、工具ホルダ10と工具12から構成される。工具12は、工具ホルダ10に着脱自在に締結される。この目的のために、工具ホルダ10は、工具12が正確に規定された方法で配置されるポケット形状の工具受け部14を備える。本実施形態では、4つのネジ16が、工具12を工具受け部14に締結する役割を果たす。しかし、工具12を工具ホルダ10に締結するために、より多くの又はより少ないねじを使用することもできることは言うまでもない。同様に、工具12を工具ホルダ10に締結するための他の締結手段も考えられる。
【0057】
工具12自体は、切削インサートホルダ18と、該切削インサートホルダ18に取り外し可能に配置される切削インサート20とを備えている。切削インサート20は、典型的には、切削インサート又は炭化物からなる所謂インデキサブルインサートである。切削インサート20は、工作物を機械加工するための少なくとも1つの切れ刃22を備える。この場合、切れ刃は直線状のエッジ部分を有する切れ刃22である。しかしながら、切削インサート20は、加工物を機械加工するための曲線状の切れ刃又は幾つかの異なる切れ刃を含むことができる。
【0058】
なお、本実施形態において、工具12は、特に溝加工に適した旋削用工具として構成されている。しかしながら、本発明は、この種の工具12の構成に限定されるものではない。
【0059】
切削インサートホルダ18は、工作機械内で幾つかの工作機械システムが同時に使用される場合、空間上の理由から特に有利である工作カートリッジとして構成される。切削インサートホルダ又は工具カートリッジ18における切削インサート20の固定は、ここでは更なる固定ねじ24によって行われる。しかしながら、切削インサート20を固定する他の固定手段も考えられる。いずれにせよ、切削インサート20が工具カートリッジ18から分離して解除され、工具カートリッジ18が工具ホルダ10から解除される必要が無い場合には、有利である。このようにして、この目的のために工具ホルダ10から工具12全体を取り外す必要なく、切削インサート20が磨耗したときに、切削インサート20を非常に簡単に新しいものと交換することができる。
【0060】
工具ホルダ10は、工具ホルダ10を機械工具に締結することを可能にする機械インターフェース26を更に含む。機械インターフェース26は、工具ホルダ10のハウジングの一部を含む。同様に、ねじのような更なる締結手段が、この機械インターフェース26に含まれてもよい。更に、本実施形態では、機械インターフェース26は、工具ホルダ10の後側に配置された冷却剤ポート28を備えている。
【0061】
本発明による工具ホルダ10は、センサ32が着脱自在に取り付けられるセンサ受け部30をさらに備える。特に
図2から分かるように、センサ受け部30は、センサ32を完全に又は少なくともほぼ完全に挿入することができるポケット形状の受け部として構成される。本明細書に示す実施形態では、ポケット形状のセンサ受け部30は、5つの空間的側部からセンサ32を取り囲んでいる。しかしながら、
図2に概略的に示すように、センサ32をセンサ受け部30から取り外すことができるようにするために6つの空間的側部のうちの1つは開いている。
【0062】
センサ受け部30は工具ホルダ10上に配置されて、工具ホルダの取り付け状態で、センサ受け部30に挿入されたセンサは、工具ホルダ10上に取り付けられた工具12又は工具ホルダ10が締め付けられた工作機械とは直接接触しない。換言すれば、センサ受け部30は、工具受け部14及び機械インターフェース26の両方から離間している。
【0063】
センサ32は、力変換器であるのが好ましい。この力変換器は、工具12に作用する機械加工力から生じて工具ホルダ10に作用する力を測定するように構成される。換言すれば、センサ32は、工具12の使用中に少なくとも1つの切れ刃22に作用する切削力又は機械加工力を測定するために使用される。少なくとも、センサ32によって生成される測定信号は、少なくとも1つの切れ刃22に作用する力に依存する。
【0064】
センサ32は、工具ホルダ10内で傾斜している。より具体的には、
図3に破線で示され、符号34で示されたセンサ32の感度軸は、工具ホルダ10の縦方向又は長手方向軸36に対して傾斜している。感度軸34はセンサ32がその主感度を有する軸である。この軸34は、センサ32の上面又は底面38に対して垂直であるのが好ましい。
【0065】
センサ32の感度軸34が工具ホルダ10の長手方向軸36に対して傾斜する角度αは、30°から60°の大きさを有するのが好ましい。従って、角度αは鋭角度であるのが好ましい。
【0066】
角度αは、特に好ましくは、センサ32の感度軸34が、機械加工工程中に工具ホルダ10に作用する合力の方向と一致するか、又はこの方向に対して最大で10°の角度で配向されるように選択される。特に、これは、センサ32の位置における合力の方向である。この結果として生じる力の方向は、
図4に符号40又は40'を有する矢印によって概略的に示されている。
【0067】
機械加工中に、切削インサート20又は切れ刃22に力が作用するが、これは
図4に矢印68で概略的に示されている。この機械加工力68は、切削力成分70と送り力成分72とに分けることができる。三次元の見方では、機械加工力に直交する受動力の部分も考慮しなければならないが、これは単純化のためここでは省略している。
【0068】
機械加工力68によって、対応する力及びモーメントが工具ホルダ10に誘導され、その量及び方向は、工具ホルダ10内の観察位置に応じて互いに異なる。
図4は、2つの可能な位置74、74'についての力の平行四辺形を図式的に示し、結果として生じる力40、40'は、これらの位置74、74'にそれぞれ作用する。
【0069】
結果として生じる力40,40'は夫々垂直力成分48,48'と水平力成分50,50'を含む。垂直力成分48、48'は夫々本質的に機械加工力68の切削力成分70から生じる。一方、水平力成分50、50'は、本質的に機械加工力68の送り力成分72から、及びセンサ32のそれぞれの位置74、74'におけるモーメント誘起レバー力から生じる。関連するレバーアームは、切れ刃22からの位置74、74'の垂直方向及び水平方向の距離である。
【0070】
故に、引張荷重は位置74に対して生じるが、圧縮荷重は位置74'に対して生じる。従って、センサ32が工具ホルダ10内の第1の位置74に配置されていれば、本質的に引張荷重を受ける。一方、センサ32が工具ホルダ10内の第2の位置74'に配置されていれば、本質的に圧縮荷重を受ける。位置に応じて、センサ32の感度軸34の位置合わせは、結果として生じる力40又は40'の方向に沿ってできる限り正確に実行される。
【0071】
示される位置74、74'は、力分路内にてセンサ32の可能な位置であることは言うまでもない。センサ32が力分路内に配置されると、力の一部のみがセンサ32を流れる。従って、
図4に概略的に示される平行四辺形は、工具ホルダ10の切削面内の力の一部、即ち、夫々の位置74、74'においてセンサ32を流れる部分のみをも表す。
【0072】
図4からさらに分かるように、工具12が工具ホルダ10に取り付けられているとき、工具12は、工具受け部14内の2つの接触面42、44に対して載置される。本明細書に示す実施形態では、第1の接触面42は垂直方向に延在するが、第2の接触面44は水平方向に延在する。従って、2つの接触面42、44は互いに垂直に延在する。
図4に見られるように、第2の接触面44は、工具12の支持を安定させるために、又はより正確に構成することができるようにするために、凹部46によって中断される。
【0073】
従って、主に引張荷重又は圧縮荷重がセンサ32で測定されるべきか否かに応じて、2つの可能な最適ポジション(74、74'を参照)又は本発明に従って生じる工具ホルダ10内のセンサ32の位置合わせが可能である。2つの最適な位置合わせの可能性のうちの1つが、
図3に示されており、そこでは、センサ32の感度軸34が、結果として生じる力の方向40と一致する。ここでは明示的に示されていない第2の最適な位置合わせの可能性は、方向40'に沿ったセンサ32の感度軸34の位置合わせである(
図4参照)。
【0074】
感度軸34が結果として生じる力の方向40に正確に位置合わせされるほど、少なくとも1つの切れ刃22に作用する切削力のより正確で安定した測定が可能になる。第2の接触面44は、本実施形態では工具ホルダ10の長手方向軸36に平行に配向されているので、感度軸34と長手方向軸36との間だけでなく、感度軸34と第2の接触面との間にも同じ角度αが生じる。対応する反対の角度が、感度軸34と第1の接触面42との間で生じる。
【0075】
センサ32は、
図5に詳細に示すクランプ装置52によって工具ホルダ10に固定される。より正確には、センサ32は、このクランプ装置52によって固定される。クランプ装置52は、2つの楔要素54、56を備える。これら2つの楔要素54、56は、互いに反対方向にセンサ受け部30内に挿入される。第1の楔要素54は、その第1の側面58がセンサ32に接し、その反対側の第2の側面60が第2の楔要素56の楔表面62に対して接する。第1の側面58は、該第1の側面58が当接するセンサ32の上面に対して平行に配向されることが好ましい。第2の側面60と楔表面62は、好ましくは、互いに同一面上にあり、センサ32に接する第1の側面58に対して鋭角度をなす。第2の楔要素56は、好ましくは、2つのねじ(図示せず)によって変位させることができる(
図1及び
図2参照)。このようにして、センサ32がセンサ受け部30に予圧される予圧力は正確に調整される。
【0076】
第1の楔要素54は、センサ受け部30の内側に設けられた当接面59に対してその端面に載置される。この当接面59は、第1の楔要素54のサポートとして役立つ。それは、第1の楔要素54を、特に第2の楔要素56をセンサ受け部30に挿入する間に支持し、それによって、第1の楔要素54からセンサ32への望ましくない剪断力の伝達を防止する。従って、提供されたクランプ装置52は、結果としてセンサ32が望ましくない剪断力を被ることなく、センサ32がセンサ受け部30内に固定されることを可能にする。
【0077】
言うまでもなく、この種の第1の楔要素54を支えることは、本発明の範囲から逸脱することなく、別の方法で成し遂げることができる。
【0078】
しかし、センサ32の感度軸34に沿った予圧が好ましい。このような予圧は、圧縮荷重だけでなく引張荷重もセンサ32によって測定される場合に特に必要である。引張荷重の場合、センサ32の予圧荷重は、センサ32が常に予圧荷重状態に留まるように、機械加工工程の結果としてセンサ32に作用する引張力よりも大きくなければならない。
【0079】
センサ32は、ケーブル64を介して接続され、このケーブルは、工具ホルダ10の内側を通るケーブルダクト66(
図2参照)を通して、センサ受け部30を出て外側に配線される。従って、ケーブル64は、損傷から安全に保護され、センサ32を問題なく接続することができる。
【0080】
図6乃至
図8には、発明に係る工具システム100'の第2の実施の形態を示す。同一又は同等の構成要素には、追加のアポストロフィを含む前述の符号が付されている。
【0081】
図6乃至
図8に示す工具システム100'は、細長い工具ホルダ10'を備えた切削工具であり、その前端部76にはポット形状の工具受け部14'が配置されている。工具12'は、この場合では、締結手段78によって工具受け部14'内に取り外し可能に締結される切削インサート20'である。この場合、締結手段78は締付ねじとして構成される。しかしながら、言うまでもなく、工具受け部14'内の工具12'を締結する他の可能性も、本発明の範囲を出ることなく可能である。
【0082】
ここで、工具ホルダのシャンク80の後部は、機械インターフェース26'として機能する。この工具ホルダのシャンク80は、工具ホルダ10'の工作機械への取り付けを容易にするために、1つ又は複数の位置で部分的に平坦化することができる。
【0083】
切削インサート20'は、クランプ部82と、片持ちレバーアーム84と、切削ヘッド86とを備え、該切削ヘッド86の上に少なくとも1つの切れ刃22'が配置されている。切削ヘッド86は、片持ちレバーアーム84の第1の端部に配置されている。クランプ部82は、片持ちレバーアーム84の反対側の第2の端部に配置されている。片持ちレバーアーム84は、クランプ部82よりも小さい断面を有する。
【0084】
組み立てられた状態では、工具12'のクランプ部82が工具受け部14'に挿入される。この実施形態では、クランプ部82及び工具受け部14'は、実質的に涙滴形状の断面を有する。
【0085】
この実施形態では、センサ32'もまた、工具受け部14'及び機械インターフェース26'の両方から離間されたセンサ受け部30'内に取り外し可能に挿入される。同様に、センサ32'の位置及び向きも、この場合には、センサ32'が可能な限り低い剪断力を受け、工具ホルダ10'内の力の流れにできるだけ平行に配置されるように選択される。しかしながら、工具ホルダ10'内のわずかに異なる力の流れのために、感度軸34'は、この場合、工具ホルダ10'の長手方向軸36'と平行又は少なくとも実質的に平行に調整される(
図8参照)。
【0086】
この場合、クランプ装置52'は、それによってセンサ32'を軸方向に予圧することができる締結ねじ88を備える。加えて、板状の圧力片90は、力をできるだけ均等に、かつセンサ32'の全表面にわたって分配し、望ましくない剪断力を回避する役割を果たす。板状の圧力片90は、センサ32'と締結ねじ88との間に配置され、好ましくはセンサ32'に対して平らに横たわる。センサ32'の動作モードは、さもなければ、第1の実施形態に関して説明したように、本質的に動作モードに対応する。