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  • 特許-移動端末試験装置とそのポート接続方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とそのポート接続方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/15 20150101AFI20240111BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240111BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240111BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240111BHJP
   H04M 1/24 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H04B17/15
H04B17/29
H04W88/02 150
H04W88/06
H04M1/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021181229
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069405
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 直樹
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-187803(JP,A)
【文献】特開2013-165322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0317767(US,A1)
【文献】特表2007-505312(JP,A)
【文献】特開2021-175097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/15
H04B 17/29
H04W 88/02
H04W 88/06
H04M 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末から受信した信号を解析する2つ以上の解析部(24a、24b)と、前記移動端末と接続される前記解析部より多い数のポート(21a、21b、31a、31b)と、を備える移動端末試験装置(1)であって、
前記解析部と接続する前記ポートを選択する選択部(22)と、
前記ポートと前記移動端末との接続状態から、前記解析部と接続する前記ポートを前記選択部により選択させる制御部(6)と、を備え
前記解析部は、前記ポートから受信した信号を補正する前記ポートごとの補正値を、全ての前記ポートそれぞれの補正値が少なくとも1つの前記解析部に記憶されるように記憶し、記憶していない前記ポートの補正値は、該補正値を記憶している前記解析部から取得する移動端末試験装置。
【請求項2】
移動端末から受信した信号を解析する2つ以上の解析部(24a、24b)と、前記移動端末と接続される前記解析部より多い数のポート(21a、21b、31a、31b)と、前記解析部と接続する前記ポートを選択する選択部(22)と、を備え、前記ポートから受信した信号を補正する前記ポートごとの補正値を、全ての前記ポートそれぞれの補正値が少なくとも1つの前記解析部に記憶されるように記憶する移動端末試験装置(1)のポート接続方法であって、
前記ポートと前記移動端末との接続状態から、前記解析部と接続する前記ポートを選択するステップと、
選択された前記ポートに対応する補正値が前記解析部に記憶されていない場合に、該補正値を記憶している前記解析部から取得するステップと、
選択された前記ポートに対応する補正値により受信した信号を補正するステップと、を備えるポート接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動しながら通信を行なう移動端末を開発した場合、この開発した移動端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動端末を接続し、試験装置と移動端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
また、移動通信システムにおいては、5G(5th Generation)無線方式である5G NR(New Radio)のサービスが開始されている。
【0004】
5G NRでは、5G回線はU-Plane(User plane:ユーザーデータ信号)に特化し、C-Plane(Control Plane:通信の制御信号)はLTE(Long Term Evolution)回線を用いて送受信するNSA(Non-Standalone)と、LTEと連携せずに5G NR単独で動作するSA(Stand Alone)の仕様が規定されている。
【0005】
特許文献1には、NSAの試験を、LTE用測定装置と、NR用測定装置とで測定する通信端末測定システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-57814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような通信端末測定システムでは、NSAに対応した移動端末を試験する場合、LTE用測定装置と、NR用測定装置とを用意する必要があり、測定システムの構成が大きくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、NSAに対応した移動端末を試験する場合に、試験構成を小さく抑えつつ、効率良く試験を行なうことができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の移動端末試験装置は、移動端末から受信した信号を解析する2つ以上の解析部と、前記移動端末と接続される前記解析部より多い数のポートと、を備える移動端末試験装置であって、前記解析部と接続する前記ポートを選択する選択部と、前記ポートと前記移動端末との接続状態から、前記解析部と接続する前記ポートを前記選択部により選択させる制御部と、を備え、前記解析部は、前記ポートから受信した信号を補正する前記ポートごとの補正値を、全ての前記ポートそれぞれの補正値が少なくとも1つの前記解析部に記憶されるように記憶し、記憶していない前記ポートの補正値は、該補正値を記憶している前記解析部から取得するものである。
【0010】
この構成により、ポートから受信した信号を補正するポートごとの補正値が、全てのポートそれぞれの補正値が少なくとも1つの解析部に記憶されるように記憶され、ポートと移動端末との接続状態から、解析部と接続するポートが選択部により選択され、接続されたポートに対応する補正値で受信した信号が補正され、記憶されていない補正値は、補正値を記憶している解析部から取得される。このため、試験構成を小さく抑えつつ、効率良く試験を行なうことができ、解析部において補正値を記憶する領域を削減しつつ、精度良く受信信号の解析を行なうことができる。
【0015】
また、本発明のポート接続方法は、移動端末から受信した信号を解析する2つ以上の解析部と、前記移動端末と接続される前記解析部より多い数のポートと、前記解析部と接続する前記ポートを選択する選択部と、を備え、前記ポートから受信した信号を補正する前記ポートごとの補正値を、全ての前記ポートそれぞれの補正値が少なくとも1つの前記解析部に記憶されるように記憶する移動端末試験装置のポート接続方法であって、前記ポートと前記移動端末との接続状態から、前記解析部と接続する前記ポートを選択するステップと、選択された前記ポートに対応する補正値が前記解析部に記憶されていない場合に、該補正値を記憶している前記解析部から取得するステップと、選択された前記ポートに対応する補正値により受信した信号を補正するステップと、を備えるものである。
【0016】
この構成により、ポートと移動端末との接続状態から、解析部と接続するポートが選択部により選択され、選択されたポートに対応する補正値で受信した信号が補正され、記憶されていない補正値は、補正値を記憶している解析部から取得される。このため、試験構成を小さく抑えつつ、効率良く、精度良く試験を行なうことができ、解析部において補正値を記憶する領域を削減しつつ、精度良く受信信号の解析を行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、NSAに対応した移動端末を試験する場合に、試験構成を小さく抑えつつ、効率良く試験を行なうことができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のポート構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について詳細に説明する。
【0020】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、第1スロット2と、第2スロット3と、表示部4と、操作部5と、制御部6と、を含んで構成される。
【0021】
第1スロット2は、試験対象の移動端末とRF(無線周波数)信号を送受信する。第1スロット2は、移動端末から受信したRF信号の測定を行なったり、設定されたRF信号を生成して移動端末に送信したりする。
【0022】
第1スロット2は、第1ポート21aと、第2ポート21bと、選択部22と、送受信部23と、擬似基地局部26と、を含んで構成される。
【0023】
第1ポート21a及び第2ポート21bは、移動端末とケーブル等により接続され、移動端末にRF信号を出力したり、移動端末から入力されたRF信号を受け付けたりする。
【0024】
選択部22は、第1スロット2の第1ポート21a、第2ポート21b、第2スロット3の第1ポート31a、第2ポート31bを送受信部23に接続する。
【0025】
送受信部23は、移動端末とRF信号の送受信を行なう。送受信部23は、移動端末から受信したRF信号を擬似基地局部26に出力するとともに、擬似基地局部26で生成されたRF信号を移動端末に送信する。送受信部23は、移動端末から受信したRF信号の測定を行なう。送受信部23は、移動端末から受信したRF信号の測定結果の情報を制御部6に出力する。
【0026】
送受信部23は、第1解析部24aと、第2解析部24bと、第1ハードウェア制御部25aと、第2ハードウェア制御部25bと、を含んで構成される。
【0027】
第1解析部24a及び第2解析部24bは、選択部22により選択され接続されたポートが受信したRF信号の解析を行なう。第1解析部24a及び第2解析部24bは、LTEのRF信号の解析と、NRのRF信号の解析の両方ができるようになっている。
【0028】
第1ハードウェア制御部25a及び第2ハードウェア制御部25bは、送受信部23や選択部22などのハードウェアを制御する。
【0029】
第1ハードウェア制御部25a及び第2ハードウェア制御部25bは、例えば、選択部22を制御して各ポートの接続先を設定する。
【0030】
擬似基地局部26は、制御部6の制御により、送受信部23を介して移動端末との間でRF信号を送受信する。擬似基地局部26は、制御部6から入力されるコマンドに基づいて移動端末との通信を制御する。擬似基地局部26は、移動端末との通信の状態などを制御部6に出力する。
【0031】
擬似基地局部26は、LTEのRF信号の制御や、NRのRF信号の制御、NSAのRF信号の制御ができるようになっている。
【0032】
第2スロット3は、第1ポート31a及び第2ポート31bを有し、第1ポート31a及び第2ポート31bを選択部22に接続する。
【0033】
第1ポート31a及び第2ポート31bは、移動端末とケーブル等により接続され、移動端末にRF信号を出力したり、移動端末から入力されたRF信号を受け付けたりする。
【0034】
第1スロット2及び第2スロット3は、例えば、図2に示すように構成される。図2においては、第1スロット2の第1ポート21a及び第2ポート21bは、LTEのRF信号を入出力するためのポートとして構成される。また、第2スロット3の第1ポート31a及び第2ポート31bは、NRのRF信号を入出力するためのポートとして構成される。
【0035】
図1において、表示部4は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成され、必要な情報を入力させる画像や試験中の状態を示す画像などを表示する。
【0036】
操作部5は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器で構成され、操作入力された情報などを制御部6に出力する。
【0037】
制御部6は、操作部5に入力された指示に従って、試験シナリオの作成画面を表示部4に表示させて試験シナリオの生成に必要な情報を入力させたり、試験シナリオの作成画面において操作部5に入力された情報に基づいて試験シナリオを生成したりする。また、制御部6は、操作部5に入力された指示に従って、擬似基地局部26に指示を送信して、記憶装置に記憶された試験シナリオに基づいて試験を実行させたり、擬似基地局部26から送信される移動端末との通信の状態などの情報に基づいて表示部4に試験中の状態などを表示させたりする。
【0038】
ここで、移動端末試験装置1は、移動端末と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0039】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0040】
本実施形態において、選択部22は、例えば、通常の状態では、第1スロット2の第1ポート21a及び第2スロット3の第1ポート31aを、送受信部23の第1解析部24aに接続する。また、選択部22は、第1スロット2の第2ポート21b及び第2スロット3の第2ポート31bを、送受信部23の第2解析部24bに接続する。
【0041】
第1解析部24a及び第2解析部24bは、接続されたポートにより周波数特性が異なるため、ポートごとの補正値により受信信号を補正する。
【0042】
第1解析部24aは、例えば、第1スロット2の第1ポート21a及び第2スロット3の第1ポート31aの補正値を記憶している。第2解析部24bは、第1スロット2の第2ポート21b及び第2スロット3の第2ポート31bの補正値を記憶している。
【0043】
第1解析部24aは、第1スロット2の第2ポート21bまたは第2スロット3の第2ポート31bに接続されたときには、第2解析部24bから補正値を取得して受信信号を補正する。
【0044】
第2解析部24bは、第1スロット2の第1ポート21aまたは第2スロット3の第1ポート31aに接続されたときには、第1解析部24aから補正値を取得して受信信号を補正する。
【0045】
制御部6は、ユーザの設定や、現在のポートの接続状態などにより、第1スロット2の第1ポート21aと第2スロット3の第1ポート31a、または、第1スロット2の第2ポート21bと第2スロット3の第2ポート31bが同時に使用されると判断した場合、一方を第1解析部24aに接続し、他方を第2解析部24bに接続するように、第1解析部24a及び第2解析部24bに接続先を指示する。
【0046】
第1解析部24a及び第2解析部24bは、制御部6の指示に従って、指示された接続先ポートと接続するように、それぞれ第1ハードウェア制御部25a及び第2ハードウェア制御部25bに指示を出す。
【0047】
第1ハードウェア制御部25a及び第2ハードウェア制御部25bは、それぞれ指示された接続先ポートに接続するように選択部22を制御する。
【0048】
制御部6は、例えば、現在のポートの接続状態が維持される、すなわち、現在の接続のまま、接続の変更を行なわなくてもいいように、第1解析部24a及び第2解析部24bの接続先を選択する。
【0049】
このようにすることで、例えば、第1スロット2の第1ポート21aでLTEの試験を実施した後、第2スロット3の第1ポート31aでNRの試験を行なった後、LTEとNRを使った試験を行なおうとしたとき、ポートの接続を変えることなく試験することができ、効率良く試験を行なうことができる。
【0050】
このように、上述の実施形態では、ポートと移動端末との接続状態から、選択部22により第1解析部24a及び第2解析部24bの接続先ポートを選択するため、ポートの接続を変えることなく試験することができ、効率よく試験を行なうことができる。
【0051】
また、第1解析部24a及び第2解析部24bは、各ポートの周波数特性の補正値を記憶し、接続されたポートに対応した補正値で受信した信号を補正するため、精度良く受信信号の解析を行なうことができる。
【0052】
また、第1解析部24aは、第1スロット2の第1ポート21a及び第2スロット3の第1ポート31aの補正値を記憶し、第2解析部24bは、第1スロット2の第2ポート21b及び第2スロット3の第2ポート31bの補正値を記憶し、第1解析部24a及び第2解析部24bは、補正値を記憶していないポートと接続された場合は、他の解析部から補正値を取得して受信した信号を補正する。
【0053】
これにより、第1解析部24a及び第2解析部24bにおいて補正値を記憶する領域を削減しつつ、精度良く受信信号の解析を行なうことができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、一体型の移動端末試験装置の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、制御部6の機能をパーソナルコンピュータ上で動作するプログラムで実現し、パーソナルコンピュータにより第1スロット2、第2スロット3などを制御するようにしてもよい。
【0055】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0056】
1 移動端末試験装置
2 第1スロット
3 第2スロット
6 制御部
21a 第1ポート(ポート)
21b 第2ポート(ポート)
22 選択部
23 送受信部
24a 第1解析部(解析部)
24b 第2解析部(解析部)
31a 第1ポート(ポート)
31b 第2ポート(ポート)
図1
図2