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特許7417582高い剛性、卓越したシール性、高い透過性を備えたポリエチレン組成物及びフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】高い剛性、卓越したシール性、高い透過性を備えたポリエチレン組成物及びフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20240111BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C08L23/06
C08J5/18 CES
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2021500560
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2019055693
(87)【国際公開番号】W WO2020012300
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】3011050
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾリカック、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】モロイ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、キンヤン
(72)【発明者】
【氏名】バナッセルドンク、ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】オービー、ノーマン
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535636(JP,A)
【文献】米国特許第09963529(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第106554548(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L、C08J5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むポリエチレン組成物:
エチレン/1-オクテンコポリマーである25から50重量%の第1のポリエチレンであって、75,000から175,000の重量平均分子量Mw、<2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり30から75個の短鎖分岐を有する、第1のポリエチレン;
エチレンホモポリマーである20から40重量%の第2のポリエチレンであって、25,000から80,000の重量平均分子量Mw、および>2.3の分子量分布Mw/Mnを有する、第2のポリエチレン;及び
エチレン/1-オクテンコポリマーである20から40重量%の第3のポリエチレンであって、80,000から200,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり5から30個の短鎖分岐を有する、第3のポリエチレン;
しかも、第1のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数及び第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数よりも多い;
第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い、そして
第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい;
しかも、密度が0.939g/cm以下、メルトインデックスIが0.1~10dg/minであり、結晶化溶出分別(CEF)分析で少なくとも10重量パーセントの可溶性画分を有する、前記のポリエチレン組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレン組成物が、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)においてユニモダルプロファイルを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレン組成物が、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも15重量パーセントの可溶性画分を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
前記ポリエチレン組成物が、125℃を超える示差走査熱量測定(DSC)分析において融解ピーク温度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレン組成物が、示差走査熱量測定(DSC)分析において2つの融解ピークを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項6】
前記第1のポリエチレンが、0.860から0.916g/cmの密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項7】
前記第2のポリエチレンが、0.940から0.980g/cmの密度を有するエチレンホモポリマーである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項8】
前記第3のポリエチレンが、0.880から0.936g/cmの密度を有するエチレンコポリマーである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項9】
前記第1のポリエチレンが少なくとも75重量%のCDBI50を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項10】
前記第3のポリエチレンが、75重量%未満のCDBI50を有するコポリマーである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項11】
前記第1のポリエチレンが均一に分岐したエチレンコポリマーである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項12】
前記第3のポリエチレンが不均一に分岐したエチレンコポリマーである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項13】
前記第1のポリエチレンがシングルサイト触媒で作られている、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項14】
前記第2のポリエチレンがチーグラー・ナッタ触媒で作られている、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項15】
前記第3のポリエチレンがチーグラー・ナッタ触媒で作られている、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項16】
前記ポリエチレン組成物が、2.3から6.0の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項17】
ポリエチレン組成物が、2.3から4.5の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項18】
ポリエチレン組成物が<0.935g/cmの密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項19】
前記ポリエチレン組成物が、0.880から0.932g/cmの密度を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項20】
前記ポリエチレン組成物が、0.1から3.0dg/分のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項21】
前記ポリエチレン組成物が、3.0未満のMz/Mwを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項22】
ポリエチレン組成物が15から50のメルトインデックス比I21/Iを有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項23】
ポリエチレン組成物が、5.5重量パーセント以下のヘキサン抽出可能値を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項24】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層。
【請求項25】
フィルム層が、ミルのフィルム厚さで測定されたときに、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有する、請求項24に記載のフィルム層。
【請求項26】
前記フィルム層が、ミルのフィルム厚さで測定されたときに、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有する、請求項24に記載のフィルム層。
【請求項27】
フィルム層が、ミルのフィルム厚さで測定した場合に、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、請求項24に記載のフィルム層。
【請求項28】
前記フィルム層が、ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有する、請求項24に記載のフィルム層。
【請求項29】
フィルム層が、ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有し、および、ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有する、請求項24に記載のフィルム層。
【請求項30】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む厚さ0.5~10ミルのフィルム層であって、ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有する、前記のフィルム層。
【請求項31】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む厚さ0.5~10ミルのフィルム層であって、ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、前記のフィルム層。
【請求項32】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、および、ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有する、前記のフィルム層。
【請求項33】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有し、ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、前記のフィルム層。
【請求項34】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす、前記のフィルム:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項35】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす、前記のフィルム:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項36】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす前記のフィルム:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項37】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす前記のフィルム:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項38】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たす前記のフィルム層:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項39】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む厚さが0.5~10ミルのフィルム層であって、次の関係を満たす前記のフィルム層:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項40】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たす前記のフィルム層:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項41】
請求項1に記載のポリエチレン組成物を含む0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たすフィルム層:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【請求項42】
0.5~10ミルの厚さのフィルム層にした場合、次の関係を満たす請求項1に記載のポリエチレン組成物:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITはミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスはミルの膜厚で測定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、フィルムにブローンされたときに(インフレーションフィルムにされた時に)、高い剛性(靭性)、良好な酸素透過性、および顕著な密封性を同時に有するポリエチレン組成物を提供する。当該ポリエチレン組成物は、シングルサイト重合触媒で作製された1つのポリエチレン成分と、それぞれマルチサイト重合触媒で作製された2つのポリエチレン成分とを含む。
【背景技術】
【0002】
背景技術
多成分ポリエチレン組成物は当技術分野でよく知られている。多成分ポリエチレン組成物にアクセスするための1つの方法は、1つ以上の重合反応器で2つ以上の別個の重合触媒を使用することである。例えば、少なくとも2つの別個の溶液重合反応器におけるシングルサイト重合触媒およびチーグラー・ナッタ型重合触媒の使用が知られている。このような反応器は、直列または並列に構成することができる。
【0003】
溶液重合プロセスは、一般に、製造されるエチレンホモポリマーまたはコポリマー製品の融点を超える温度で実施される。典型的な溶液重合プロセスでは、触媒成分、溶媒、モノマー、および水素が圧力下で1つまたは複数の反応器に供給される。
【0004】
液相エチレン重合またはエチレン共重合の場合、反応器温度は約80℃から約300℃の範囲であり得、圧力は一般に約3MPagから約45MPagの範囲である。生成されたエチレンホモポリマーまたはコポリマーは、反応器条件下で溶媒に溶解したままである。反応器内での溶媒の滞留時間は比較的短く、例えば、約1秒から約20分である。溶液プロセスは、多種多様なエチレンポリマーの製造を可能にする幅広いプロセス条件下で操作することができる。反応器の後、触媒失活剤を加えることによって重合反応をクエンチしてさらなる重合を防ぎ、場合により酸スカベンジャーを加えることによって不動態化する。不活性化(および場合により不動態化)されると、ポリマー溶液はポリマー回収操作(脱気システム)に送られ、そこでエチレンホモポリマーまたはコポリマーがプロセス溶媒、未反応の残留エチレン、および未反応の任意のオレフィンから分離される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造方法に関係なく、フィルム用途における多成分ポリエチレン組成物の性能を改善する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本開示は、フィルムに製造されたときに、剛性、酸素透過率、および密封特性の良好なバランスを有するポリエチレン組成物を提供する。
【0007】
本開示の一実施形態は、以下を含むポリエチレン組成物である:
エチレンコポリマーである5から60重量%の第1のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、<2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり5から100の短鎖分岐を有する、第1のポリエチレン;
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から60重量%の第2のポリエチレンであって、15,000から75,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から20個の短鎖分岐を有する、第2のポリエチレン;及び
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第3のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から35個の短鎖分岐を有する、第3のポリエチレン;
しかも、第1のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数及び第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数よりも多い;
第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い、そして
第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい;
しかも、密度が0.939g/cm以下、メルトインデックスIが0.1~10dg/minであり、結晶化溶出分別(CEF)分析で少なくとも10重量パーセントの可溶性画分を有する、前記のポリエチレン組成物。
【0008】
本開示の一実施形態は、以下を含むポリエチレン組成物を含む、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層である:
エチレンコポリマーである5から60重量%の第1のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、<2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり5から100の短鎖分岐を有する、第1のポリエチレン;
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から60重量%の第2のポリエチレンであって、15,000から75,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から20個の短鎖分岐を有する、第2のポリエチレン;及び
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第3のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から35個の短鎖分岐を有する、第3のポリエチレン;
しかも、第1のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数及び第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数よりも多い;
第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い、そして
第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい;
しかも、密度が0.939g/cm以下、メルトインデックスIが0.1~10dg/minであり、結晶化溶出分別(CEF)分析で少なくとも10重量パーセントの可溶性画分を有する、前記のポリエチレン組成物。
【0009】
一実施形態では、フィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定された場合、200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有する。
【0010】
一実施形態では、フィルム層は、約2ミルの膜厚で測定した場合、≦90℃のシール開始温度(SIT)を有する。
一実施形態では、フィルム層は、約2ミルの膜厚で測定した場合、≧160ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
一実施形態では、フィルム層は、約1ミルの膜厚で測定した場合、100インチあたり600cm以上以下の酸素透過率(OTR)を有する。
【0011】
本開示の一実施形態は、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であり、このフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、約1ミルの膜厚で測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)、約2ミルの膜厚で測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)、および約2ミルの膜厚で測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
【0012】
本開示の一実施形態は、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であり、フィルム層は、以下の関係のうちの少なくとも1つを満たす:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509。
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0013】
本開示の一実施形態は、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であり、フィルム層は、以下の関係のそれぞれを満たす:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な説明
図1図1は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物ならびにいくつかの比較ポリエチレンの屈折率検出を備えたゲル浸透クロマトグラフ(GPC)について示している。
図2図2は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物ならびにいくつかの比較ポリエチレンについて得られたフーリエ変換赤外(GPC-FTIR)検出を備えたゲル浸透クロマトグラフを示している。1000炭素骨格あたりの短鎖分岐の数(y軸)として示されるコモノマー含有量は、コポリマーの分子量(x軸)に対して与えられる。上向きに傾斜した線(左から右へ)は、FTIRによって決定された(炭素原子1000個あたりの短鎖分岐中の)短鎖分岐である。図に見られるように、発明例1および2の場合、短鎖分岐の数は、最初は高分子量で増加し、次にさらに高分子量で再び減少するため、コモノマーの取り込みはピークまたは最大値が存在し「部分的に逆転する」と言われる。
図3図3は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物ならびにいくつかの比較ポリエチレンの示差走査熱量測定分析(DSC)およびプロファイルについて示している。
図4図4は、本開示に従って作製されたポリエチレン組成物ならびにいくつかの比較ポリエチレンを使用して作製されたフィルムのホットタックプロファイルを示している。
図5図5は、本開示に従って製造されたポリエチレン組成物ならびにいくつかの比較ポリエチレンを使用して製造されたフィルムのコールドシールプロファイルを示している。
図6図6は、次の方程式のプロットを示している。AHTW=-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28。AHTW(y軸)の値は、本開示のポリエチレン組成物から作製されたフィルムおよびいくつかの比較ポリエチレンから作製されたフィルムの対応する機械方向(MD)1%セカントモジュラス値(x軸)に対してプロットされている。
図7図7は、次の方程式のプロットを示している。SIT=0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509。SIT(y軸)の値は、本開示のポリエチレン組成物から作製されたフィルムおよびいくつかの比較ポリエチレンから作製されたフィルムの対応する機械方向(MD)1%セカントモジュラス値(x軸)に対してプロットされている。
図8図8は、次の方程式のプロットを示している。OTR=-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8。OTR(y軸)の値は、本開示のポリエチレン組成物から作製されたフィルムおよびいくつかの比較ポリエチレンから作製されたフィルムの対応する機械方向(MD)1%セカントモジュラス値(x軸)に対してプロットされている。「1/2.5フィルム」とは、フィルムが1ミルの厚さで、2.5のブローアップ比(BUR)で作成されたことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語の定義
実施例または他に示されない場合を除き、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、押出条件などを参照するすべての数字または表現は、すべての場合において「約」という用語によって変更されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、様々な実施形態が取得することを望む所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。特定の例に示されている数値は、可能な限り正確に報告されている。ただし、数値には本質的に、それぞれのテスト測定で見つかった標準偏差に起因する特定のエラーが含まれている。
【0016】
本明細書に列挙される任意の数値範囲は、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含むことを意図していることを理解されたい。たとえば、「1から10」の範囲は、記載されている最小値1と記載されている最大値10の間のすべてのサブ範囲を含むことを意図している。つまり、最小値が1以上、最大値が10以下である。開示されている数値範囲は連続的であるため、最小値と最大値の間のすべての値が含まれる。特に明記されていない限り、この出願で指定されているさまざまな数値範囲は概算である。
【0017】
本明細書で表されるすべての組成範囲は、実際には合計で100パーセント(体積パーセントまたは重量パーセント)に制限され、それを超えない。複数の成分が組成物中に存在する可能性がある場合、各成分の最大量の合計は100パーセントを超える可能性があり、当業者は容易に理解するように、実際に使用される成分の量は最大100パーセントに適合することを理解している。
【0018】
本開示のより完全な理解を形成するために、以下の用語が定義され、添付の図および全体を通して様々な実施形態の説明とともに使用されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、化学的に反応し、それ自体または他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」または「アルファ-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3から20個の炭素原子を含む線状炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用される。同等の用語は「線状α-オレフィン」である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」または「エチレンポリマー」という用語は、エチレンモノマーおよび場合により1つまたは複数の追加のモノマーから生成される高分子を指す。エチレンポリマーの製造に使用される特定の触媒または特定のプロセスに関係なく。ポリエチレン技術において、1つ以上の追加のモノマーは「コモノマー」と呼ばれ、しばしばα-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、1種類のモノマーのみを含むポリマーを指す。「エチレンホモポリマー」は、重合性モノマーとしてエチレンのみを使用して製造される。「コポリマー」という用語は、2つ以上のタイプのモノマーを含むポリマーを指す。「エチレンコポリマー」は、エチレンおよび1つまたは複数の他のタイプの重合性モノマーを使用して作製される。一般的なポリエチレンには、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、プラストマー、エラストマーなどがある。ポリエチレンという用語はまた、エチレンに加えて2つ以上のコモノマーを含み得るポリエチレンターポリマーを含む。ポリエチレンという用語はまた、上記のポリエチレンの組み合わせまたはブレンドを含む。
【0022】
「不均一系分岐ポリエチレン」という用語は、不均一系触媒システムを使用して製造されるエチレンポリマーグループのポリマーのサブセットを指す。その非限定的な例には、チーグラー・ナッタまたはクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0023】
「均一に分岐したポリエチレン」という用語は、シングルサイト触媒を使用して生成されるエチレンポリマーグループのポリマーのサブセットを指す。その非限定的な例には、メタロセン触媒、ホスフィニミン触媒、および拘束された形状の触媒が含まれ、これらはすべて当技術分野でよく知られている。
【0024】
典型的には、均一に分岐したポリエチレンは、分子量分布が狭く、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のMw/Mn値が約2.8未満、特に約2.3未満であるが、例外が生じる場合がある。MwとMnは、それぞれ重量と数の平均分子量を表す。対照的に、不均一に分岐したエチレンポリマーのMw/Mnは、通常、均一なポリエチレンのMw/Mnよりも大きくなる。一般に、均一に分岐したエチレンポリマーは狭いコモノマー分布をも持っている。つまり、分子量分布内の各高分子は同様のコモノマー含有量を持っている。多くの場合、組成分布幅指数「CDBI」は、コモノマーがエチレンポリマー内でどのように分布しているかを定量化し、さまざまな触媒またはプロセスで生成されたエチレンポリマーを区別するために使用される。「CDBI50」は、組成がコモノマー組成の中央値の50重量パーセント(wt%)以内であるエチレンポリマーのパーセントとして定義される。この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡されたWO93/03093に記載されている定義と一致している。エチレンインターポリマーのCDBI50は、TREF曲線(Temperature Rising Elution Fractionation)から計算できる。TREF法は、Wild, et al., J. Polym. Sci., Part B, Polym. Phys., Vol. 20 (3), pages 441-455に記載される。通常、均一に分岐したエチレンポリマーのCDBI50は、約70%超または約75%超である。対照的に、不均一に分岐したエチレンポリマーを含むオレフィンのCDBI50は、一般に、均一なエチレンポリマーのCDBI50よりも低い。例えば、不均一に分岐したエチレンポリマーのCDBI50は、約75%未満、または約70%未満であり得る。
【0025】
均一に分岐したエチレンポリマーは、しばしば「線状の均一なエチレンポリマー」と「実質的に線状の均一なエチレンポリマー」にさらに細分されることが多いことは当業者にはよく知られている。これらの2つのサブグループは、長鎖分岐の量が異なる。より具体的には、線状の均一なエチレンポリマーは、1000個の炭素原子あたり約0.01未満の長鎖分岐を持っている。一方、実質的に線状のエチレンポリマーは、1000個の炭素原子あたり約0.01から約3.0を超える長鎖分岐を有する。長鎖分岐は本質的に高分子であり、すなわち、長鎖分岐が結合している高分子と長さが類似している。以下、本開示において、「均一に分岐したポリエチレン」または「均一に分岐したエチレンポリマー」という用語は、線状の均一なエチレンポリマーおよび実質的に線状の均一なエチレンポリマーの両方を指す。
【0026】
「熱可塑性」という用語は、加熱すると液体になり、圧力下で流動し、冷却すると固化するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーには、エチレンポリマーだけでなく、プラスチック業界で使用される他のポリマーも含まれる。フィルム用途で一般的に使用される他のポリマーの非限定的な例には、バリア樹脂(EVOH)、タイ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドなどが含まれる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「単層フィルム」という用語は、1つまたは複数の熱可塑性プラスチックの単層を含むフィルムを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビルラジカル」または「ヒドロカルビル基」という用語は、水素および1つの水素が不足している炭素を含む線状または環状、脂肪族、オレフィン、アセチレンおよびアリール(芳香族)ラジカルを指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アルキルラジカル」には、1つの水素ラジカルが不足している線状、分枝状および環状パラフィンラジカルが含まれる。非限定的な例には、メチル(-CH)およびエチル(-CHCH)ラジカルが含まれる。「アルケニルラジカル」という用語は、1つの水素ラジカルが不足している少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む線状、分枝状および環状炭化水素を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アリール」基という用語は、分子が芳香環構造を有するフェニル、ナフタ、ピリジルおよび他のラジカルを含む。非限定的な例には、ナフチレン、フェナントレンおよびアントラセンが含まれる。「アリールアルキル」基は、そこからアリール基ペンダントを有するアルキル基である。非限定的な例には、ベンジル、フェネチルおよびトリルメチルが含まれる。「アルキルアリール」は、そこからペンダントする1つまたは複数のアルキル基を有するアリール基である。非限定的な例には、トリル、キシリル、メシチルおよびクミルが含まれる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という句は、炭素および炭素に結合することができる水素以外の任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含み、同じまたは異なるヘテロ原子の1つまたは複数を含み得る炭化水素ラジカルである。一実施形態では、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群から選択される1から3個の原子を含むヒドロカルビル基である。ヘテロ原子含有基の非限定的な例には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環式化合物、オキサゾリン、チオエーテルなどのラジカルが含まれる。「複素環式」という用語は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群から選択される1から3個の原子を含む炭素骨格を有する環系を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、水素ラジカルが、非置換という用語に続く分子基に結合していることを意味する。「置換された」という用語は、この用語に続く基が、基内の任意の位置で1つまたは複数の水素ラジカルを置換した1つまたは複数の部分を有することを意味する。部分の非限定的な例には、ハロゲンラジカル(F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C~C30アルキル基、C~C30が含まれる。アルケニル基、およびそれらの組み合わせ。置換アルキルおよびアリールの非限定的な例には、アシルラジカル、アルキルアミノラジカル、アルコキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルチオラジカル、ジアルキルアミノラジカル、アルコキシカルボニルラジカル、アリールオキシカルボニルラジカル、カルボモイルラジカル、アルキル-およびジアルキル-カルバモイルラジカル、アシルオキシラジカル、アシルアミノラジカル、アリールアミノラジカルおよびそれらの組み合わせが含まれる。。
【0033】
実施形態の説明
本開示において、ポリエチレン組成物は、少なくとも以下のタイプのポリマーを含む:エチレンコポリマーであり、約2.3未満のMw/Mnを有する第1のポリエチレン;エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーであり、Mw/Mnが約2.3を超える第2のポリエチレン;及び第2のポリエチレンとは異なり、Mw/Mnが約2.3を超えるエチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである第3のポリエチレン。これらのポリエチレン成分のそれぞれ、およびそれらがそれぞれの一部であるポリエチレン組成物を以下にさらに説明する。
【0034】
第1のポリエチレン
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、シングルサイト触媒で作製され、その非限定的な例には、ホスフィニミン触媒、メタロセン触媒、および拘束形状触媒が含まれ、これらはすべて当技術分野で周知である。
【0035】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンはエチレンコポリマーである。エチレンと共重合してエチレンコポリマーを作製することができる適切なアルファオレフィンには、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが含まれる。
【0036】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0037】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0038】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、ホスフィニミン触媒で作られている。
【0039】
本開示の一実施形態では、ホスフィニミン触媒は、式によって表される:
(LM(PI)(Q)
ここで、(L)はシクロペンタジエニル型配位子を表す。Mは、Ti、Zr、Hfからなるグループから選択された金属原子を表す。PIはホスフィニミン配位子を表す。Qは活性化可能なリガンドを表す。aは0または1である。bは1または2である。(a+b)=2;nは1または2であり、;(a+b+n)の合計は、金属Mの原子価に等しくなる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「シクロペンタジエニル型」配位子という用語は、eta-5(または場合によってはeta-3)結合を介して金属に結合される少なくとも1つの5炭素環を含む配位子を含むことを意味する。したがって、「シクロペンタジエニル型」という用語は、例えば、非置換シクロペンタジエニル、単一または多重置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、単一または多重置換インデニル、非置換フルオレニル、および単一または多重置換フルオレニルを含む。インデニルおよびフルオレニル配位子の水素化バージョンも、eta-5(または場合によってはeta-3)結合を介して金属に結合する5炭素環が無傷のままである限り、本開示での使用が企図されている。シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子(またはその水素化バージョン)およびフルオレニル配位子(またはその水素化バージョン)の置換基は、下記からなる群から選択され得る:C30ヒドロカルビルラジカル(ヒドロカルビルラジカルは非置換であるか、または、例えば、ハロゲン化物および/またはヒドロカルビル基によってさらに置換され得る;例えば、適切な置換C30ヒドロカルビルラジカルは、-CHなどのペンタフルオロベンジル基である);ハロゲン原子;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリールまたはアリールオキシラジカル(これらのそれぞれは、例えば、ハロゲン化物および/またはヒドロカルビル基によってさらに置換され得る);非置換であるか、最大2つのC1-8アルキルラジカルで置換されているアミドラジカル;非置換または最大2つのC1-8アルキルラジカルで置換されたホスフィドラジカル;式-Si(R’)のシリルラジカルであって、各R’は、水素、C1-8アルキルまたはアルコキシラジカル、C6-10アリールまたはアリールオキシラジカルからなる群から独立して選択される;式-Ge(R’)のゲルマニルラジカルであって、R’は上記で定義された通りである。
【0041】
ホスフィニミン配位子PIは、次の式で定義される。
(RP=N-
ここで、R基は、以下から独立して選択される:水素原子;ハロゲン原子;非置換または1つまたは複数のハロゲン原子で置換されたC1-20ヒドロカルビルラジカル;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリールラジカル;C6-10アリールオキシラジカル;アミドラジカル;式-Si(Rのシリルラジカルであって、R基は、水素原子、C1-8アルキルまたはアルコキシラジカル、C6-10アリールラジカル、C6-10アリールオキシラジカルから独立して選択される、または式-Ge(Rのゲルマニルラジカルであって、ここで、R基はこの段落で定義されるRsとして定義される。
【0042】
本開示の一実施形態では、ホスフィニミン触媒中の金属MはチタンTiである。
【0043】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを製造するために使用されるシングルサイト触媒は、シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィニミンチタンジクロリド、Cp((t-Bu)PN)TiClである。
【0044】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、メタロセン触媒で作られている。
【0045】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、架橋メタロセン触媒で作られている。
【0046】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、式Iを有する架橋メタロセン触媒で作製される。
【化I】
【0047】
式(I)において:Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムから選択される第4族金属である。Gは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、または鉛から選択される14族元素である。Rは、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、またはC6-10アリールオキシドラジカルである。RおよびRは、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、またはC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択される。RおよびRは、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、またはC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択される。Qは独立して、活性化可能な脱離基配位子である。
【0048】
本開示において、「活性化可能」という用語は、配位子Qがプロトノリシス反応を介して金属中心Mから切断されるか、または適切な酸性または求電子性触媒活性化合物(「共触媒」化合物としても知られる)によって金属中心Mから引き抜かれ得ることを意味する。それぞれ、その例を以下に記載する。活性化可能な配位子Qはまた、金属中心Mから切断または引き抜かれる別の配位子に変換され得る(例えば、ハロゲン化物は、アルキル基に変換され得る)。単一の理論に拘束されることを望まずに、プロトノリシスまたは引き抜き反応は、オレフィンを重合することができる活性な「カチオン性」金属中心を生成する。
【0049】
本開示の実施形態では、活性化可能な配位子Qは、下記からなる群から独立して選択される:水素原子;ハロゲン原子;C1~20ヒドロカルビルラジカル、C1~20アルコキシラジカル、およびC6-10アリールまたはアリールオキシラジカル、ここで、ヒドロカルビル、アルコキシ、アリール、またはアリールオキシドラジカルのそれぞれは、非置換であるか、1つまたは複数のハロゲンまたは他のグループでさらに置換され得る;C1-8アルキル;C1-8アルコキシ;C6-10アリールまたはアリールオキシ;アミドまたはホスフィドラジカルであるが、Xはシクロペンタジエニルではない。2つのX配位子も互いに結合して、例えば、置換または非置換のジエン配位子(例えば、1,3-ブタジエン);または、アセテートまたはアセトアミジネート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成し得る。本開示の便利な実施形態では、各Xは、ハロゲン化物原子、C1~4アルキルラジカルおよびベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。特に適切な活性化可能な配位子Xは、ハロゲン化物(例えば、塩化物)またはヒドロカルビル(例えば、メチル、ベンジル)などのモノアニオン性である。
【0050】
本開示の一実施形態において、第1のポリエチレンを製造するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジクロリドである:[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfCl]。
【0051】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを製造するために使用されるシングルサイト触媒は、下記の分子式を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルである:[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp))HfMe]。
【0052】
シングルサイト触媒分子自体に加えて、活性シングルサイト触媒システムは、以下のうちの1つ以上をさらに含み得る:アルキルアルミノキサン助触媒およびイオン性活性剤。シングルサイト触媒システムはまた、場合により、ヒンダードフェノールを含み得る。
【0053】
アルキルアルミノキサンの正確な構造は不明であるが、対象分野の専門家は、下記の一般式の繰り返し単位を含むオリゴマー種であることに一般的に同意している。
(R)AlO-(Al(R)-O)-Al(R)
ここで、R基は、1から20個の炭素原子を含む同じまたは異なる線状、分岐または環状ヒドロカルビルラジカルであり得、nが0から約50である。アルキルアルミノキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(またはMAO)であり、各R基はメチルラジカルである。
【0054】
本開示の一実施形態では、アルキルアルミノキサンのRはメチルラジカルであり、mは10から40である。
【0055】
本開示の一実施形態では、助触媒は、変性メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0056】
アルキルアルミノキサンが、アルキル化剤および活性剤の両方として二重の役割を果たすことができることは、当技術分野でよく知られている。したがって、アルキルアルミノキサン助触媒は、ハロゲンなどの活性化可能な配位子と組み合わせて使用されることがよくある。
【0057】
一般に、イオン性活性剤は陽イオン及びバルキーな陰イオンで構成されている。ここで、後者は実質的に非配位性である。イオン性活性剤の非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子を持つ4つの配位であるホウ素イオン性活性剤である。ホウ素イオン性活性剤の非限定的な例には、以下に示す以下の式が含まれる:
[R[B(R
ここで、Bはホウ素原子を表し、Rは芳香族ヒドロカルビル(例:トリフェニルメチルカチオン)であり、各Rは、下記から独立して選択される:非置換またはフッ素原子で置換されているC1~4アルキルまたはアルコキシラジカル、フッ素原子から選択される3~5個の置換基で置換された又は非置換であるフェニルラジカル;式-Si(Rのシリルラジカル、ここで、各Rは、水素原子およびC1-4アルキルラジカルから独立して選択される、及び
[(RZH][B(R
ここで、Bはホウ素原子、Hは水素原子、Zは窒素またはリン原子、tは2または3、RはC1~8のアルキルラジカル、非置換または最大3つのC1-4アルキルラジカルで置換されたフェニルラジカルから選択され、または1つのRが窒素原子と一緒になってアニリニウムラジカルを形成してもよく、Rは上記で定義されたとおりである。
【0058】
両方の式において、Rの非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルである。一般に、ホウ素イオン性活性剤は、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができる。非限定的な例には、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ素とアニリニウムおよびトリチル(またはトリフェニルメチリウム)とのアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム塩が含まれる。イオン性活性剤の追加の非限定的な例は、下記のものを含む:トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ホウ酸塩、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ホウ酸塩、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボレート、およびベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5テトラフルオロフェニル)ボレート。すぐに利用できる市販のイオン性活性剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが含まれる。
【0059】
ヒンダードフェノールの非限定的な例には、ブチル化フェノール酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-ターシャリー-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩。
【0060】
活性シングルサイト触媒システムを製造するために、シングルサイト触媒、アルキルアルミノキサン、イオン性活性剤、および場合によるヒンダードフェノールの3つまたは4つの成分の量とモル比が最適化される。
【0061】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを製造するために使用されるシングルサイト触媒は長鎖分岐を生成せず、第1のポリエチレンは測定可能な量の長鎖分岐を含まないであろう。
【0062】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンを製造するために使用されるシングルサイト触媒は長鎖分岐を生成し、第1のポリエチレンは長鎖分岐、以下「LCB」を含むであろう。LCBは、ポリエチレンのよく知られた構造現象であり、当業者によく知られている。従来、LCB分析には下記の3つの方法が存在する:すなわち核磁気共鳴分光法(NMR)(たとえば、J.C. Randall, J Macromol. Sci., Rev. Macromol. Chem. Phys. 1989, 29, 201を参照);DRI、粘度計、低角レーザー光散乱検出器を備えた三重検出SEC(たとえば、W.W. Yau and D.R. Hill, Int. J. Polym. Anal. Charact. 1996; 2:151を参照);及び、レオロジー、(たとえば、W.W. Graessley, Acc. Chem. Res. 1977, 10, 332-33を参照)。本開示において、長鎖分岐は、本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験またはレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0063】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンの分子量分布Mw/Mnの上限は、約2.8、または約2.5、または約2.4、または約2.3、または約2.2であり得る。本開示の実施形態において、第1のポリエチレンの分子量分布Mw/Mnの下限は、約1.4、または約1.6、または約1.7、または約1.8、または約1.9であり得る。
【0064】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンは、分子量分布、Mw/Mnが<2.3、または<2.1、または<2.0、または約2.0である。本開示の実施形態では、第1のポリエチレンは、約1.8から約2.2の分子量分布、Mw/Mnを有する。
【0065】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり1から200個の短鎖分岐(SCBPE-1)を有する。さらなる実施形態において、第1のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり3から150の短鎖分岐(SCBPE-1)、または1000炭素原子あたり5から100の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり10から100の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり5~75個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり10~75個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり15~75個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり20~75個の短鎖分岐(SCBPE-1)を有する。さらに別の実施形態では、第1のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり20から100個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または1000個の炭素原子あたり25から100個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり30から100個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり35から100の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり35から75の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり30~75個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり30~60個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり30~50個の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり35から60の短鎖分岐(SCBPE-1)、または炭素原子1000個あたり35から55の短鎖分岐(SCBPE-1)を有する。
【0066】
短鎖分岐(すなわち、1000炭素あたりの短鎖分岐、SCBPE-1)は、ポリエチレンにアルファ-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、たとえば、1-ブテンコモノマーでは2つの炭素原子、1-ヘキセンコモノマーの場合は4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6個の炭素原子などを持つ。
【0067】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い。
【0068】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第3のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数よりも多い。
【0069】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレン(SCBPE-2)および第3のポリエチレン(SCBPE-3)のそれぞれの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐の数よりも多い。
【0070】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンの密度d1の上限は、約0.975g/cm、場合によっては約0.965g/cmおよび;その他の場合、約0.955g/cmであり得る。本開示の実施形態では、第1のポリエチレンの密度d1の下限は、約0.855g/cm、場合によっては約0.865g/cm、その他の場合、約0.875g/cmであり得る
【0071】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンの密度d1は、約0.855から約0.965g/cm、または0.865g/cmから約0.965g/cm、または約0.870g/cmから約0.960g/cm、または約0.865g/cmから0.950g/cm、または約0.865g/cmから約0.940g/cm、または約0.865g/cmから約0.936g/cm、または約0.860g/cm、約0.932g/cm、または約0.865g/cmから約0.926g/cm、または約0.865g/cmから約0.921g/cm、または約0.865g/cmから約0.918g/cm、または約0.860g/cmから約0.916g/cm、または約0.865g/cmから約0.916g/cm、または約0.870g/cmから約0.916g/cm、または約0.865g/cmから約0.912g/cm、または約0.865g/cmから約0.910g/cm、または約0.865g/cmから約0.905g/cm、または約0.865g/cmから約0.900g/cm、または約0.855g/cmから約0.900g/cm、または約0.855g/cmから約0.905g/cm、または約0.855g/cmから約0.910g/cmまで、であり得る。
【0072】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンのCDBI50の上限は、約98重量%、他の場合には約95重量%、さらに他の場合には約90重量%であり得る。本開示の実施形態では、第1のポリエチレンのCDBI50の下限は、約70重量%、他の場合には約75重量%、さらに他の場合には約80重量%であり得る。
【0073】
本開示の実施形態では、第1のポリエチレンのメルトインデックスI21は、約0.01dg/分から約1000dg/分、または約0.01dg/分から約500dg/分、または約0.01dg/分から約100dg/分、または約0.01dg/分から約50dg/分、または約0.01dg/分から約25dg/分、または約0.01dg/分から約10dg/分、または約0.01dg/分から約5dg/分、または約0.01dg/分から約3dg/分、または約0.01dg/分から約1dg/分、または約5dg/分未満、または約3dg/分未満、または約1.0dg/分未満、または約0.75dg/分未満であり得る
【0074】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、約50,000から約300,000、または約50,000から約250,000、または約60,000から約250,000、または約70,000から約250,000または約75,000から約200,000、または約75,000から約175,000;または約70,000から約175,000、または約75,000から約150,000の重量平均分子量Mwを有する。
【0075】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第2のポリエチレンの重量平均分子量Mwよりも大きい重量平均分子量Mwを有する。
【0076】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwの30パーセント以内である重量平均分子量Mwを有する。明確にするために、これは、第1のポリエチレンの重量平均分子量Mwと第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwとの間の絶対差を、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwで割って、パーセンテージに変換されたもの(つまり、[│Mw1-Mw3│/Mw3]×100%)が、25パーセント以内であることを意味する。
【0077】
本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwの25パーセント以内である重量平均分子量Mwを有する。本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwの20パーセント以内である重量平均分子量Mwを有する。本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwの15パーセント以内である重量平均分子量Mwを有する。本開示の一実施形態では、第1のポリエチレンは、第3のポリエチレンの重量平均分子量Mwの10パーセント以内である重量平均分子量Mwを有する。
【0078】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第1のポリエチレンの重量パーセント(重量%)の上限(すなわち、第1、第2、および第3のポリエチレンの総重量に基づく第1のポリエチレンの重量パーセント)は、約80重量%、または約75重量%、または約70重量%、または約65重量%、または約60重量%、または約55重量%、または約50重量%、または約45重量%、または約40wt%、または約35wt%であり得る。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第1のポリエチレンの重量%の下限は、約5重量%、または約10重量%、または約15重量%、または約20重量%、または約25重量%、または他の場合には約30wt%であり得る。
【0079】
第2のポリエチレン
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、マルチサイト触媒システムで作製され、その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ触媒およびクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0080】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒で作られている。
【0081】
チーグラー・ナッタ触媒システムは、当業者によく知られている。チーグラー・ナッタ触媒は、インラインチーグラー・ナッタ触媒システムまたはバッチチーグラー・ナッタ触媒システムであり得る。「インラインチーグラー・ナッタ触媒システム」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒システムの連続合成と、この触媒を少なくとも1つの連続運転反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒はエチレンと1つ以上の場合によるα-オレフィンを重合してエチレンポリマーを形成する。「バッチチーグラー・ナッタ触媒システム」または「バッチチーグラー・ナッタプロ触媒」という用語は、連続運転溶液重合プロセスの外部またはそれ分離された1つまたは複数の混合容器内でのはるかに大量の触媒またはプロ触媒の合成を指す。準備ができたら、バッチチーグラー・ナッタ触媒システム、またはバッチチーグラー・ナッタプロ触媒を触媒貯蔵タンクに移す。「プロ触媒」という用語は、不活性な触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指す。プロ触媒は、アルキルアルミニウム助触媒を加えることによって活性触媒に変換される。必要に応じて、プロ触媒は貯蔵タンクから少なくとも1つの連続運転反応器にポンプで送られ、そこで活性触媒がエチレンおよび1つまたは複数の場合によるオレフィンを重合してポリエチレンを形成する。プロ触媒は、反応器内または反応器の外部、あるいは反応器に向かう途中で活性触媒に変換することができる。
【0082】
多種多様な化合物を使用して、アクティブなチーグラー・ナッタ触媒システムを合成できる。以下に、アクティブなチーグラー・ナッタ触媒システムを生成するために組み合わせることができるさまざまな化合物について説明する。当業者は、本開示における実施形態が、開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0083】
活性チーグラー・ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、塩化物化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム助触媒およびアルミニウムアルキルから形成することができる。当業者によって理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒システムは、追加の構成要素を含み得る。追加の構成要素の非限定的な例は、アミンまたはエーテルなどの電子供与体である。
【0084】
アクティブなインライン(またはバッチ)チーグラー・ナッタ触媒システムの非限定的な例は、以下のように調製することができる。最初のステップでは、マグネシウム化合物の溶液を塩化物化合物の溶液と反応させて、溶液に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例には、Mg(Rが含まれる。ここで、R基は、1から10個の炭素原子を含む同じまたは異なる、線状、分枝状または環状のヒドロカルビルラジカルであり得る。塩化物化合物の非限定的な例には、RClが含まれる。ここで、Rは、水素原子、または1から10個の炭素原子を含む線状、分岐または環状のヒドロカルビルラジカルを表す。最初のステップでは、マグネシウム化合物の溶液にアルミニウムアルキルが含まれている場合もある。アルミニウムアルキルの非限定的な例には、Al(Rが含まれ、R基は、1から10個の炭素原子を含む同じまたは異なる、線状、分枝状または環状のヒドロカルビルラジカルであり得る。第2のステップでは、金属化合物の溶液が塩化マグネシウムの溶液に加えられ、金属化合物が塩化マグネシウム上に支持される。適切な金属化合物の非限定的な例には、M(X)またはMO(X)が含まれる。ここで、Mは、周期表の第4族から第8族から選択された金属、または第4族から第8族から選択された金属の混合物を表す。Oは酸素を表し;Xは塩化物または臭化物を表す。nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。適切な金属化合物の追加の非限定的な例には、第4族から第8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることによって調製され得る)、およびハロゲン化物、アルキルおよびアルコキシドリガンドの混合物を含む混合配位子金属化合物が含まれる。第3のステップでは、アルキルアルミニウム助触媒の溶液が、塩化マグネシウム上に担持された金属化合物に添加される。下記の式で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム助触媒が適切である:
Al(R(OR(X)
ここで、R基は、同じまたは異なる、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり得る。OR基は、同じまたは異なる、アルコキシまたはアリールオキシ基であり得る。ここで、Rは、酸素に結合した1から10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。Xは塩化物または臭化物であり、;(p+q+r)=3、ただしpは0より大きい。一般的に使用されるアルキルアルミニウム助触媒の非限定的な例には、下記のものが含まれる:トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、ジエチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、ジブチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、およびエチルアルミニウムジクロリドまたはジブロミド。
【0085】
活性インライン(またはバッチ)チーグラー・ナッタ触媒システムを合成するための上記の段落で説明したプロセスは、さまざまな溶媒中で実行できる。溶媒の非限定的な例には、線状または分枝状のCからC12アルカンまたはそれらの混合物が含まれる。
【0086】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンはエチレンホモポリマーである。
【0087】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンはエチレンコポリマーである。エチレンと共重合して第2のポリエチレンを与えることができる適切なアルファオレフィンには、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが含まれる。
【0088】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、不均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0089】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、75重量%未満または70重量パーセント以下の組成分布幅指数、CDBI50を有するエチレンコポリマーである。本開示のさらなる実施形態において、第2のポリエチレンは、65重量%以下、または60重量%以下、または55重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下のCDBI50を有するエチレンコポリマーである。。
【0090】
本開示の実施形態において、第2のポリエチレンは、分子量分布、Mw/Mnが2.3以上、または2.3超、または2.5以上、または2.5超、2.7以上、または2.7超、または2.9以上、または2.9超、または≧3.0、または3.0である。本開示の実施形態では、第2のポリエチレンは、2.3から6.0、または2.3から5.5、または2.3から5.0、または2.3から4.5、または2.3から4.0、または2.3から3.5、または2.3から3.0、または2.5から5.0、または2.5から4.5、または2.5から4.0、または2.5から3.5、または2.7から5.0、または2.7から4.5、または2.7から4.0、または2.7から3.5、または2.9から5.0、または2.9から4.5、または2.9から4.0、または2.9から3.5の分子量分布、Mw/Mnを有する。
【0091】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり0から100個の短鎖分岐(SCBPE-2)を有する。さらなる実施形態において、第2のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり0から30の短鎖分岐(SCBPE-2)、または1000炭素原子あたり0から20の短鎖分岐(SCBPE-2)、または炭素原子1000個あたり0から10の短鎖分岐(SCBPE-2)、または炭素原子1000個あたり0から5の短鎖分岐(SCBPE-2)、または炭素原子1000個あたり5未満の短鎖分岐(SCBPE-2)、または炭素原子1000個あたり3未満の短鎖分岐(SCBPE-2)、または炭素原子1000個あたり1個未満の短鎖分岐(SCBPE2)、または炭素原子1000個あたり約ゼロの短鎖分岐(SCBPE-2)を有する。
【0092】
短鎖分岐(すなわち、1000炭素あたりの短鎖分岐、SCBPE-2)は、存在する場合、ポリエチレン中にアルファ-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、たとえば、1-ブテンコモノマーの場合は2つの炭素原子、または1-ヘキセンコモノマーの場合は4つの炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6つの炭素原子などを持つ。
【0093】
本開示の実施形態では、第2のポリエチレンの密度d2の上限は、約0.985g/cm、場合によっては約0.975g/cmおよび;その他の場合、約0.965g/cmあり得る。本開示の実施形態では、第2のポリエチレンの密度d2の下限は、約0.921g/cm、場合によっては約0.932g/cmであり得る。その他の場合、約0.949g/cmである。
【0094】
本開示の実施形態では、第2のポリエチレンの密度d2は、約0.921g/cmから約0.980g/cm、または約0.921g/cmから約0.975g/cm、または約0.926g/cmから約0.975g/cm、または約0.930g/cmから約0.975g/cm、または約0.936g/cmから約0.975g/cm、または約0.940g/cmから約0.975g/cm、または約0.940g/cmから約0.980g/cm、または約0.945g/cmから約0.975g/cm、または約0.950g/cmから約0.975g/cm、または約0.951g/cmから約0.975g/cm、または約0.953g/cmから約0.975g/cm、または約0.955g/cmから約0.975g/cm、または約0.955g/cmから約0.980g/cm、または約0.960g/cmから約0.980g/cm、または約0.960g/cmから約0.985g/cmであり得る。
【0095】
本開示の実施形態では、第2のポリエチレンI のメルトインデックスは、約0.5dg/分から約10,000dg/分、または約1.0dg/分から約10,000dg/分、または約1.5dg/分から約10,000dg/分、または約0.5dg/分から約5000dg/分、または約1.0dg/分から約5000dg/分、または約0.5dg/分から約500dg/分、または約1.0dg/分から約500dg/分、または約0.5dg/分から約100dg/分、または約1.0dg/分から約100dg/分、または約0.5dg/分から約75dg/分、または約1.0dg/分から約75dg/分、または約0.5dg/分から約50dg/分、または約1.0dg/分から約50dg/分、または約0.5dg/分から約40dg/分、または約1.0dg/分から約40dg/分、または約3.0dg/分から約100dg/分、または約3.0dg/分から約50dg/分、または約3.0dg/分から約45dg/分、または約1.0dg/分から約30dg/分、または約1.0dg/分から約25dg/分、または約3.0dg/分から約25dg/分までであり得る
【0096】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンは、約5,000から約150,000、または約5,000から約125,000、または約10,000から約110,000、または約15,000から約100,000または約20,000から約80,000;または約25,000から約75,000、または約30,000から約80,000、または約25,000から約80,000、または約35,000から約75,000、または約100,000未満、または約80,000未満、または約75,000未満、または約70,000未満、または約65,000未満の重量平均分子量Mwを有する。
【0097】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい。
【0098】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい。
【0099】
本開示の一実施形態では、第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンのそれぞれの重量平均分子量よりも小さい。
【0100】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第2のポリエチレンの重量パーセント(重量%)の上限(すなわち、第1、第2、および第3のポリエチレンの総重量に基づく第2のポリエチレンの重量パーセント)は、約80重量%、または約70重量%、または約65重量%、他の場合には約60重量%、他の場合には約55重量%、または約50重量%、または約45重量%、または約40重量%、または約35重量%であり得る。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第2のポリエチレンの重量%の下限は、約5重量%、または約10重量%、または約15重量%、または約20重量%、または他の場合約25wt%であり得る。
【0101】
本開示の実施形態では、第2のポリエチレンは、長鎖分岐が存在しないか、または検出可能なレベルの長鎖分岐を有さない。
【0102】
第3のポリエチレン
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、マルチサイト触媒システムで作製され、その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ触媒およびクロム触媒が含まれ、これらは両方とも当技術分野で周知である。
【0103】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンはチーグラー・ナッタ触媒で作られている。
【0104】
チーグラー・ナッタ触媒システムは、当業者によく知られている。チーグラー・ナッタ触媒は、インラインチーグラー・ナッタ触媒システムまたはバッチチーグラー・ナッタ触媒システムであり得る。「インラインチーグラー・ナッタ触媒システム」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒システムの連続合成と、この触媒を少なくとも1つの連続運転反応器に直ちに注入することを指し、ここで、触媒はエチレンと1つ以上の場合によるα-オレフィンを重合してエチレンポリマーを形成する。「バッチチーグラー・ナッタ触媒システム」または「バッチチーグラー・ナッタプロ触媒」という用語は、連続運転溶液重合プロセスの外部または分離された1つまたは複数の混合容器内でのはるかに大量の触媒またはプロ触媒の合成を指す。準備ができたら、バッチチーグラー・ナッタ触媒システム、またはバッチチーグラー・ナッタプロ触媒を触媒貯蔵タンクに移する。「プロ触媒」という用語は、不活性な触媒系(エチレン重合に関して不活性)を指す。プロ触媒は、アルキルアルミニウム助触媒を加えることによって活性触媒に変換される。必要に応じて、プロ触媒は貯蔵タンクから少なくとも1つの連続運転反応器にポンプで送られ、そこで活性触媒がエチレンおよび1つまたは複数の場合によるオレフィンを重合してポリエチレンを形成する。プロ触媒は、反応器内または反応器の外部、あるいは反応器に向かう途中で活性触媒に変換することができる。
【0105】
多種多様な化合物を使用して、アクティブなチーグラー・ナッタ触媒システムを合成できる。以下に、アクティブなチーグラー・ナッタ触媒システムを生成するために組み合わせることができるさまざまな化合物について説明する。当業者は、本開示における実施形態が、開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0106】
活性チーグラー・ナッタ触媒系は、マグネシウム化合物、塩化物化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム助触媒およびアルミニウムアルキルから形成することができる。当業者によって理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒システムは、追加の構成要素を含み得る。追加の構成要素の非限定的な例は、電子供与体である。アミンまたはエーテル。
【0107】
アクティブなインライン(またはバッチ)チーグラー・ナッタ触媒システムの非限定的な例は、以下のように調製することができる。最初のステップでは、マグネシウム化合物の溶液を塩化物化合物の溶液と反応させて、溶液に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例には、Mg(Rが含まれる。ここで、R基は、1から10個の炭素原子を含む同じまたは異なる、線状、分枝状または環状のヒドロカルビルラジカルであり得る。塩化物化合物の非限定的な例には、RClが含まれる。ここで、Rは、水素原子、または1から10個の炭素原子を含む線状、分岐または環状のヒドロカルビルラジカルを表す。最初のステップでは、マグネシウム化合物の溶液にアルミニウムアルキルが含まれている場合もある。アルミニウムアルキルの非限定的な例には、Al(Rが含まれ、R基は、1から10個の炭素原子を含む同じまたは異なる、線状、分枝状または環状のヒドロカルビルラジカルであり得る。第2のステップでは、金属化合物の溶液が塩化マグネシウムの溶液に加えられ、金属化合物が塩化マグネシウム上に支持される。適切な金属化合物の非限定的な例には、M(X)またはMO(X)が含まれる。ここで、Mは、周期表の第4族から第8族から選択された金属、または第4族から第8族から選択された金属の混合物を表す。Oは酸素を表し、;Xは塩化物または臭化物を表す。nは、金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。適切な金属化合物の追加の非限定的な例には、第4族から第8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることによって調製され得る)、およびハロゲン化物、アルキルおよびアルコキシドリガンドの混合物を含む混合配位子金属化合物が含まれる。第3のステップでは、アルキルアルミニウム助触媒の溶液が、塩化マグネシウムに担持された金属化合物に添加される。下記の式で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム助触媒が適切である:
Al(R(OR(X)
ここで、R基は、同じまたは異なる、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり得る。OR基は、同じまたは異なる、アルコキシまたはアリールオキシ基であり得る。ここで、Rは、酸素に結合した1から10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。Xは塩化物または臭化物であり、;(p+q+r)=3、ただしpは0より大きい。一般的に使用されるアルキルアルミニウム助触媒の非限定的な例には、下記のものが含まれる:トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、ジエチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、ジブチルアルミニウムクロリドまたはブロミド、およびエチルアルミニウムジクロリドまたはジブロミド。
【0108】
活性インライン(またはバッチ)チーグラー・ナッタ触媒システムを合成するための上記の段落で説明したプロセスは、さまざまな溶媒中で実行できる。溶媒の非限定的な例には、線状または分枝状のCからC12アルカンまたはそれらの混合物が含まれる。
【0109】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンはエチレンコポリマーである。エチレンと共重合して第3のポリエチレンを得ることができる適切なアルファオレフィンには、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが含まれる。
【0110】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンはエチレンホモポリマーである。
【0111】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、不均一に分岐したエチレンコポリマーである。
【0112】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0113】
本開示の実施形態において、第3のポリエチレンは、分子量分布、Mw/Mnが2.3以上、または2.3超、または2.5以上、または2.5超、2.7以上、または2.7超、または2.9以上、または2.9超、または≧3.0、または3.0である。本開示の実施形態では、第3のポリエチレンは、分子量分布、Mw/Mnが2.3から6.5、または2.3から6.0、または2.3から5.5、または2.3から5.0、または2.3から4.5、または2.3から4.0、または2.3から3.5、または2.3から3.0、または2.5から5.0、または2.5から4.5、または2.5から4.0、または2.5から3.5、または2.7から5.0、または2.7から4.5、または2.7から4.0、または2.7から3.5である。
【0114】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり0から100個の短鎖分岐(SCBPE-3)を有する。さらなる実施形態において、第3のポリエチレンは、1000個の炭素原子あたり0から35の短鎖分岐(SCBPE-3)、または1000個の炭素原子あたり0から30の短鎖分岐(SCBPE-3)、または炭素原子1000個あたり3~30個の短鎖分岐(SCBPE-3)、または炭素原子1000個あたり5~30個の短鎖分岐(SCBPE-3)、または炭素原子1000個あたり5~25個の短鎖分岐(SCBPE-3)、または炭素原子1000個あたり3~20個の短鎖分岐(SCBPE-3)を有する。
【0115】
短鎖分岐(すなわち、1000炭素あたりの短鎖分岐、SCBPE-3)は、存在する場合、ポリエチレンにアルファ-オレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、たとえば、1-ブテンコモノマーの場合は2つの炭素原子、または1-ヘキセンコモノマーの場合は4つの炭素原子、1-オクテンコモノマーの場合は6つの炭素原子などを持つ。
【0116】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数は、第2のポリエチレンの1000個の炭素原子あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い。
【0117】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンの密度d3の上限は、約0.975g/cm、場合によっては約0.965g/cmおよび;その他の場合、約0.955g/cmであり得る。本開示の実施形態では、第3のポリエチレンの密度d3の下限は、約0.855g/cm、場合によっては約0.865g/cm、その他の場合、約0.875g/cmであり得る。
【0118】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンの密度d3は、約0.875g/cmから約0.965g/cm、または約0.875g/cmから約0.960g/cm、または約0.875g/cmから0.950g/cm、または約0.865g/cmから約0.940g/cm、または約0.865g/cmから約0.936g/cm、または約0.865g/cmから約0.932g/cm、または約0.865g/cmから約0.926g/cm、または約0.865g/cmから約0.921g/cm、または約0.865g/cmから約0.918g/cm、または約0.875g/cmから約0.916g/cm、または約0.875g/cmから約0.916g/cm、または約0.865g/cmから約0.912g/cm、または約0.880g/cmから約0.912g/cm、または約0.890g/cmから約0.916g/cm、または約0.900g/cmから約0.916g/cm、または約0.880g/cmから約0.916g/cm、または約0.880g/cmから約0.918g/cm、または約0.880g/cmから約0.921g/cm、または約0.880g/cmから約0.926g/cm、または約0.880g/cmから約0.932g/cm、または約0.880g/cmから約0.936g/cmであり得る。
【0119】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、75重量%未満、または70重量%以下の組成分布幅指数CDBI50を有するエチレンコポリマーである。本開示のさらなる実施形態において、第3のポリエチレンは、65重量%以下、または60重量%以下、または55重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下のCDBI50を有するエチレンコポリマーである。
【0120】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンI のメルトインデックスは、約0.01dg/分から約1000dg/分、または約0.01dg/分から約500dg/分、または約0.01dg/分から約100dg/分、または約0.01dg/分から約50dg/分、または約0.01dg/分から約25dg/分、または約0.01dg/分から約10dg/分、または約0.01dg/分から約5dg/分、または約0.01dg/分から約3dg/分、または約0.01dg/分から約1dg/分、または約5dg/分未満、または約3dg/分未満、または約1.0dg/分未満、または約0.75dg/分未満、または約0.50dg/分未満であり得る
【0121】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、約50,000から約300,000、または約50,000から約250,000、または約60,000から約250,000、または約70,000から約250,000、または約75,000から約200,000、または約80,000から約275,000;または約80,000から約250,000、または約80,000から約200,000、または約80,000から約175,000の重量平均分子量Mwを有する
【0122】
本開示の一実施形態では、第3のポリエチレンは、第2のポリエチレンの重量平均分子量Mwよりも大きい重量平均分子量Mwを有する。
【0123】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物中の第3のポリエチレンの重量パーセント(重量%)の上限(すなわち、第1、第2、および第3のポリエチレンの総重量に基づく第3のポリエチレンの重量パーセント)は、約80重量%、または約75重量%、または65重量%、他の場合には約60重量%、他の場合には約55重量%、または約50重量%、または約45重量%、または約40重量%、または約35重量%であり得る。本開示の実施形態では、最終ポリエチレン組成物中の第3のポリエチレンの重量%の下限は、約5重量%、または約10重量%、または約15重量%、または約20重量%、または他の場合約25wt%であり得る。
【0124】
本開示の実施形態では、第3のポリエチレンは、長鎖分岐が存在しないか、または検出可能なレベルの長鎖分岐を有さない。
【0125】
ポリエチレン組成物
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、溶融ブレンド、溶液ブレンド、または反応器内ブレンドを含むがこれらに限定されない、第1のポリエチレン、第2のポリエチレン、および第3のポリエチレンを一緒にする任意の周知の技術を使用して作製することができる。
【0126】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、3つの異なるポリエチレン成分:i)第1のポリエチレン、ii)第2のポリエチレン、およびiii)第3のポリエチレンを溶融ブレンドまたは溶液ブレンドすることによって作製される。
【0127】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、2つの異なるポリエチレン成分を溶融ブレンドまたは溶液ブレンドすることによって作製される:i)第1のポリエチレンおよび第2のポリエチレンを含む第1のポリエチレン成分、およびii)第3のポリエチレンを含む第2のポリエチレン成分。
【0128】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、2つの異なるポリエチレン成分を溶融ブレンドまたは溶液ブレンドすることによって作製される:i)第1のポリエチレンを含む第1のポリエチレン成分、およびii)第2のポリエチレンおよび第3のポリエチレンを含む第2のポリエチレン成分。
【0129】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、2つの異なるポリエチレン成分を溶融ブレンドまたは溶液ブレンドすることによって作製される:i)第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンを含む第1のポリエチレン成分、およびii)第2のポリエチレンを含む第2のポリエチレン成分。
【0130】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、反応器内のシングルサイト触媒を使用して作製されて第1のポリエチレンを与え、同じマルチサイト触媒が2つの異なる反応器で使用され、各反応器は異なる重合条件下で操作されて、第2のポリエチレンおよび第3のポリエチレンを与える。
【0131】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、反応器内のシングルサイト触媒を使用して作製されて第1のポリエチレンを与え、異なるマルチサイト触媒が2つの異なる反応器で使用され、各反応器は同じまたは異なる重合条件で操作されて、第2のポリエチレンおよび第3のポリエチレンを与える。
【0132】
第1、第2および第3のポリエチレンを含むポリマー組成物は、シングルサイト触媒および2つの異なるマルチサイト重合触媒を使用して、1つまたは複数の重合反応器で作製でき、各触媒は、所与の一連の重合条件下での水素濃度、エチレン濃度、コモノマー濃度、および温度の1つまたは複数に対する異なる応答を有し、したがって、第1のポリエチレンは第1のシングルサイト触媒によって生成され、第2のポリエチレンは第1のマルチサイト触媒によって生成され、および第3のポリエチレンは、第2のマルチサイト触媒によって生成される。
【0133】
第1、第2および第3のポリエチレンを含むポリマー組成物は、1つのシングルサイト重合触媒、および1つまたは複数のマルチサイト触媒を使用して、1つまたは複数の重合反応器で作製でき、各触媒は、所与の一連の重合条件下で、水素濃度、エチレン濃度、コモノマー濃度、および温度の1つまたは複数に対して類似または異なる応答を有し、しかも、水素濃度、エチレン濃度、コモノマー濃度、および温度の1つまたは複数が循環して、第1、第2および第3のポリエチレンが、1つまたは複数の重合反応器に存在する1つのシングルサイト触媒および1つまたは複数のマルチサイト触媒によって生成される。
【0134】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって製造される:エチレンおよびアルファオレフィンを第1の反応器においてシングルサイト触媒で重合して第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の反応器で第3のポリエチレンを形成する。
【0135】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより第1の反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の反応器で第3のポリエチレンを形成し、第1、第2および第3の反応器のうちの2つは、互いに直列に構成されている。
【0136】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンを第1の液相重合反応器においてシングルサイト触媒で重合することにより、第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の液相重合反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の液相重合反応器で第3のポリエチレンを形成する。
【0137】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の液相重合反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の液相重合反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の液相重合反応器で第3のポリエチレンを形成し、第1、第2および第3の液相重合反応器のうちの少なくとも2つが互いに直列に構成されている。
【0138】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の液相重合反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の液相重合反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の液相重合反応器で第3のポリエチレンを形成し、第1および第2の液相重合反応器が互いに直列に構成されている。
【0139】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の反応器で第3のポリエチレンを形成し、第1、第2および第3の反応器は、互いに並行して構成されている。
【0140】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の液相重合反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の液相重合反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の液相重合反応器で第3のポリエチレンを形成し、第1、第2および第3の液相重合反応器のそれぞれが互いに並列に構成されている。
【0141】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の反応器で第3のポリエチレンを形成し、第2の反応器は互いに直列に構成され、第3の反応器は第1および第2の反応器と並列に構成されている。
【0142】
一実施形態では、本開示のポリエチレン組成物は、下記によって作製される:エチレンおよびアルファオレフィンをシングルサイト触媒で重合することにより、第1の液相反応器において第1のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第2の液相反応器で第2のポリエチレンを形成し、エチレンおよび場合によりアルファオレフィンをマルチサイト触媒で重合することにより第3の液相反応器で第3のポリエチレンを形成し、ここで、第1および第2の液相反応器は互いに直列に構成され、第3の液相反応器は第1および第2の反応器と並列に構成されている。
【0143】
一実施形態では、第1の液相反応器、第2の液相反応器、または第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、連続撹拌槽型反応器である。
【0144】
一実施形態では、第1の液相反応器、第2の液相反応器、または第3の液相反応器として使用される液相重合反応器は、管状反応器である。
【0145】
液相重合反応器では、様々な溶媒をプロセス溶媒として使用することができる。非限定的な例には、線状、分岐または環状のCからC12アルカンが含まれる。α-オレフィンの非限定的な例には、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが含まれる。適切な触媒成分溶媒には、脂肪族および芳香族炭化水素が含まれる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例には、線状、分岐または環状のC5~12脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、またはそれらの組み合わせが含まれる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例には、下記のものが含まれる:ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、シュードクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2 、3,4-テトラメチルベンゼン)、デュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼンおよびそれらの組み合わせ。
【0146】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、約0.880g/cmから約0.965g/cm、または約0.885g/cmから約0.960g/cm、または約0.890g/cmから0.950g/cm、または約0.895g/cmから約0.940g/cm、または約0.900g/cmから約0.936g/cm、または約0.905g/cmから約0.934g/cm、または約0.910g/cmから約0.932g/cm、または約0.910g/cmから約0.930g/cm、または約0.910g/cmから約0.926g/cm、または約0.890g/cmから約0.924g/cm、または約0.890g/cmから約0.922g/cm、または約0.890g/cmから約0.920g/cm、または約0.890g/cmから約0.918g/cm、または約0.880g/cmから約0.922g/cm、または約0.880g/cmから約0.926g/cm、または約0.880g/cmから約0.932g/cm、または≦0.948g/cm、または<0.948g/cm、または≦0.945g/cm、または<0.945g/cm、または≦0.940g/cm、または<0.940g/cm、または≦0.939g/cm、または<0.939g/cm、または≦0.935g/cm、または<0.935g/cm、または≦0.932g/cm、または<0.932g/cmであり得る密度を有する。
【0147】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のメルトインデックスIは、約0.01dg/分から約1000dg/分、または約0.01dg/分から約500dg/分、または約0.01dg/分から約100dg/分、または約0.01dg/分から約50dg/分、または約0.01dg/分から約25dg/分、または約0.01dg/分から約10dg/分、または約0.01dg/分から約5dg/分、または約0.01dg/分から約3dg/分、または約0.01dg/分から約1dg/分、または約0.1dg/分から約10dg/分、または約0.1dg/分から約5dg/分、または約0.1dg/分から約3dg/分、または約0.1dg/分から約2dg/分、または約0.1dg/分から約1.5dg/分、または約0.1dg/分から約1dg/分、または約5dg/分未満、または約3dg/分未満、または約1.0dg/分未満であり得る
【0148】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物の高負荷メルトフローI21は、約10dg/分から約10,000dg/分、または約10dg/分から約1000dg/分、または約10dg/分から約100dg/分、または約10dg/分から約75dg/分、または約10dg/分から約50dg/分、または約15dg/分から約10,000dg/分、または約15dg/分から約1000dg/分、または約15dg/分から約100dg/分、または約15dg/分から約75dg/分、または約15dg/分から約50dg/分、または約20dg/分から約100dg/分、または約20dg/分から約75dg/分、または約20dg/分から約50dg/分、または約15dg/分から約45dg/分、または約15dg/分から約40dg/分、または約15dg/分から約38dg/分、または約15dg/分から約36dg/分、または約20dg/分から約50dg/分、または約20dg/分から約45dg/分、または約20dg/分から約40dg/分、または約20dg/分から約38dg/分、または約20dg/分から約36dg/分、または約22dg/分から約36dg/分であり得る。
【0149】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物のメルトフロー比I21/Iは、約15から約10,000、または約15から約1000、または約15から約100、または約15から約75、または約15から約50、または約20から約100、または約20から約75、または約20から約50、または約20から約45、または約20から約40、または約20から約38、または約22から約38、または約45未満、または約40未満であり得る。
【0150】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、約50,000から約300,000、または約50,000から約250,000、または約60,000から約250,000、または約70,000から約225000、または約70,000から約200,000、または約75,000から約175,000、または約75,000から約150,000、または約75,000から約125,000の重量平均分子量、Mwを有する。
【0151】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、2.3、または2.5、または2.7、または2.9、または3.0の下限分子量分布、Mw/Mnを有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、6.0、または5.5、または5.0、または4.5、または4.0、または3.75、または3.5の上限分子量分布、Mw/Mnを有する。本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、分子量分布、Mw/Mnが2.1から6.0、または2.3から6.0、または2.3から5.5、または2.3から5.0、または2.3から4.5、または2.5から6.0、または2.5から5.5、または2.5から5.0、または2.5から4.5、または2.3から4.0、または2.5から4.0、または2.1から4.0、または2.1から4.5、または2.1から5.0、または2.1から5.5である。
【0152】
本開示の実施形態では、ポリエチレン組成物は、Z平均分子量分布、Mz/Mwが4.0以下、または4.0未満、または3.5以下、または3.5未満、または3.0以下、または3.0未満、または2.75以下、または2.75未満、または≦2.50である。本開示の実施形態において、ポリエチレン組成物は、1.5から4.0、または1.75から3.5、または1.75から3.0、または2.0から4.0、または2.0から3.5または2.0から3.0までのZ平均分子量分布、Mz/Mwを有する。
【0153】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、ASTM D6474-99の方法に従って生成されたゲル浸透クロマトグラフにおいてユニモダルのプロファイルを有する。「ユニモダル」という用語は、本明細書では、GPC曲線に明らかな有意なピークまたは最大値が1つだけあることを意味すると定義される。ユニモダルプロファイルには、幅広いユニモダルプロファイルが含まれる。対照的に、「バイモダル」という用語の使用は、第1のピークに加えて、より高いまたはより低い分子量成分を表す二次ピークまたはショルダーが存在することを伝えることを意味する(すなわち、分子量分布曲線に2つの最大値があると言うことができる分子量分布)。あるいは、「バイモダル」という用語は、ASTMD6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線に2つの最大値が存在することを意味する。「マルチモダル」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における2つ以上、典型的には2つを超える最大値の存在を意味する。
【0154】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、示差走査熱量測定(DSC)グラフにおいてマルチモダルプロファイルを有し得る。DSC分析の文脈において、「マルチモダル」という用語は、2つ以上の別個の融解ピークが観察可能であるDSCプロファイルを意味する。
【0155】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、示差走査熱量測定(DSC)グラフにおいてバイモダルプロファイルを有し得る。DSC分析の文脈において、「バイモダル」という用語は、2つの異なる融解ピークが観察可能であるDSCプロファイルを意味する。
【0156】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、120℃を超える示差走査熱量測定(DSC)分析において融解ピーク温度を有する。明確にするために、「DSC分析において融解ピーク温度を有する」という句は、DSC分析において、1つ以上の融解ピークが明らかであるかもしれないが、少なくとも1つのそのようなピークが示された温度より上で生じることを意味する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、123℃を超える示差走査熱量測定(DSC)分析において融解ピーク温度を有する。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、125℃を超える示差走査熱量測定(DSC)分析において融解ピーク温度を有する。
【0157】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを使用して測定されるように、逆または部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有するであろう。 GPC-FTIRを使用して測定した場合、コモノマーの取り込みが分子量とともに減少する場合、分布は「正常」と表現される。GPC-FTIRを使用して測定した場合、コモノマーの取り込みが分子量に対してほぼ一定である場合、コモノマーの分布は「フラット」または「均一」と表現される。「逆コモノマー分布」および「部分的に逆コモノマー分布」という用語は、コポリマーについて得られたGPC-FTIRデータにおいて、1つ以上の低分子量成分よりも高いコモノマー取り込みを有する1つ以上の高分子量成分が存在することを意味する。「逆コモノマー分布」という用語は、本明細書では、エチレンコポリマーの分子量範囲にわたって、様々なポリマー画分のコモノマー含有量が実質的に均一ではなく、その高分子量画分が比例して高いコモノマー含有量を有することを意味するために使用される(すなわち、コモノマーの取り込みが分子量とともに上昇する場合、分布は「逆」または「逆」として記述される)。コモノマーの取り込みが分子量の増加とともに上昇し、その後低下する場合でも、コモノマーの分布は「逆」と見なされるが、「部分的に逆」と表現されることもある。部分的に逆のコモノマー分布は、ピークまたは最大を示すであろう。
【0158】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを使用して測定されるように、逆コモノマー分布プロファイルを有する。
【0159】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、GPC-FTIRを使用して測定されるように、部分的に逆のコモノマー分布プロファイルを有する。
【0160】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも10重量%の可溶性画分を有し、ここで、可溶性画分は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも15重量%の可溶性画分を有し、ここで、可溶性画分は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも20重量%の可溶性画分を有し、ここで、可溶性画分は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも25重量%の可溶性画分を有し、ここで、可溶性画分は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも30重量%の可溶性画分を有し、ここで、可溶性画分は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において20から45重量%の可溶性分率を有し、ここで、可溶性分率は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において25から40重量%の可溶性分率を有し、ここで、可溶性分率は、30℃以下で溶出する材料の重量パーセント(重量%)として定義される。
【0161】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される、≦1.50である応力指数を有する。本開示のさらなる実施形態において、ポリエチレン組成物は、1.48未満、または1.45未満、または1.43未満、または1.40未満、または1.38未満の応力指数、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]を有する。
【0162】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物は、5.5重量パーセント以下、または5.0重量%未満、または4.5重量%未満、または4.0重量%未満のヘキサン抽出可能値を有する。
【0163】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、単層または多層フィルムなどの柔軟な製造品に変換することができる。そのようなフィルムは、当技術分野で経験を積んだ人々によく知られている。そのようなフィルムを調製するためのプロセスの非限定的な例には、インフレーションフィルムおよびキャストフィルムプロセスが含まれる。
【0164】
インフレーションフィルム押出プロセスでは、押出機は熱可塑性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックブレンドを加熱、溶融、混合、および搬送する。溶融すると、熱可塑性プラスチックは環状ダイを通過して熱可塑性プラスチックチューブを生成する。共押出しの場合、複数の押出機を使用して多層熱可塑性チューブを製造する。押出プロセスの温度は、主に、処理される熱可塑性または熱可塑性ブレンド、例えば、熱可塑性プラスチックの溶融温度またはガラス転移温度、および溶融物の所望の粘度によって決定される。ポリオレフィンの場合、一般的な押出温度は、166℃から288℃(330°Fから550°F)である。環状ダイから出ると、熱可塑性チューブは空気で膨張し、冷却され、固化され、一対のニップローラーを通して引っ張られる。空気の膨張により、チューブの直径が大きくなり、目的のサイズの気泡が形成される。ニップローラーの引っ張り作用により、気泡は機械方向に引き伸ばされる。したがって、気泡は、膨張する空気が気泡の直径を増加させる横方向(TD)と、ニップローラーが気泡を伸ばす機械方向(MD)の、2つの方向に引き伸ばされる。その結果、インフレーションフィルムの物理的特性は、典型的に異方性である。つまり、物理的特性はMD方向とTD方向で異なる。たとえば、フィルムの引き裂き強度と引張特性は、通常、MDとTDで異なる。一部の先行技術文献では、「クロスディレクション」または「CD」という用語が使用されている。これらの用語は、本開示で使用される「横方向」または「TD」という用語と同等である。インフレーションフィルムプロセスでは、熱可塑性プラスチックが環状ダイを出るときに、熱可塑性プラスチックを冷却するために外部気泡周囲にも空気が吹き付けられる。フィルムの最終的な幅は、膨張する空気または内部の気泡圧力を制御することによって決定される。言い換えれば、気泡の直径を増減する。膜厚は、主にニップローラーの速度を増減してドローダウン速度を制御することによって制御される。ニップローラーを出た後、気泡またはチューブは崩壊し、機械方向にスリットされてシートが作成される場合がある。各シートは、フィルムのロールに巻くことができる。各ロールをさらにスリットして、所望の幅のフィルムを作成することができる。フィルムの各ロールは、以下に説明するように、さまざまな消費者製品にさらに加工される。
【0165】
キャストフィルムプロセスは、単一または複数の押出機を使用できるという点で類似している。ただし、さまざまな熱可塑性材料は、平らなダイに計量され、チューブではなく単層または多層シートに押し出される。キャストフィルムプロセスでは、押し出されたシートはチルロールで固化される。
【0166】
最終用途に応じて、開示されたポリエチレン組成物は、広範囲の厚さに及ぶフィルムに変換され得る。非限定的な例としては、食品包装フィルムが含まれ、その厚さが約0.5ミル(13μm)から約4ミル(102μm)の範囲であり得、およびヘビーデューティーサックの用途では、膜厚は約2ミル(51μm)から約10ミル(254μm)の範囲であり得る。
【0167】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、単層フィルムに使用することができる。単分子層が複数のポリエチレン組成物および/または追加の熱可塑性プラスチックを含み得る場合;熱可塑性プラスチックの非限定的な例には、ポリエチレンポリマーおよびプロピレンポリマーが含まれる。単層フィルム中のポリエチレン組成物の重量パーセントの下限は、約3重量%、他の場合には約10重量%、さらに他の場合には約30重量%であり得る。単層フィルム中のポリエチレン組成物の重量パーセントの上限は、100重量%、他の場合には約90重量%、さらに他の場合には約70重量%であり得る。
【0168】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物はまた、多層フィルムの1つまたは複数の層で使用され得る。多層フィルムの非限定的な例には、3、5、7、9、11またはそれ以上の層が含まれる。多層フィルム内の特定の層(ポリエチレン組成物を含む)の厚さは、全多層フィルムの厚さの約5%、他の場合には約15%、さらに他の場合には約30%であり得る。他の実施形態では、多層フィルム内の特定の層(ポリエチレン組成物を含む)の厚さは、全多層フィルムの厚さの約95%、他の場合には約80%、さらに他の場合には約65%であり得る。多層フィルムの個々の層は、複数のポリエチレン組成物および/または追加の熱可塑性プラスチックを含み得る。
【0169】
追加の実施形態は、ラミネーションおよびコーティングを含み、開示されたポリエチレン組成物を含む単層または多層フィルムは、押出ラミネートまたは接着剤ラミネートまたは押出コーティングされる。押し出しラミネーションまたは接着剤ラミネーションでは、2つ以上の基板がそれぞれ熱可塑性プラスチックまたは接着剤で結合される。押し出しコーティングでは、熱可塑性プラスチックが基材の表面に塗布される。これらのプロセスは、当技術分野で経験を積んだ人々によく知られている。多くの場合、接着剤ラミネーションまたは押出ラミネーションは、異種材料を接着するために使用される。非限定的な例には、紙ウェブの熱可塑性ウェブへの接着、またはアルミホイル含有ウェブの熱可塑性ウェブへの接着、または2つの熱可塑性化学的に互換性のないウェブ、例えばウェブを含むポリエチレン組成物のポリエステルまたはポリアミドウェブへの結合が含まれる。積層の前に、開示されたポリエチレン組成物を含むウェブは、単層または多層であり得る。積層の前に、個々のウェブを表面処理して結合を改善することができ、表面処理の非限定的な例はコロナ処理である。一次ウェブまたはフィルムは、その上面、その下面、またはその上面と下面の両方に二次ウェブで積層することができる。二次ウェブと三次ウェブを一次ウェブにラミネートすることができる。ここで、二次ウェブと三次ウェブは化学組成が異なる。非限定的な例として、二次または三次ウェブは以下を含み得る:ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、またはEVOHなどのバリア樹脂層を含むウェブ。そのようなウェブはまた、蒸気堆積バリア層を含み得る;たとえば、薄い酸化ケイ素(SiO)または酸化アルミニウム(AlO)層。多層ウェブ(またはフィルム)は、3、5、7、9、11、またはそれ以上の層を含むことができる。
【0170】
本明細書に開示されるポリエチレン組成物は、1つまたは複数のフィルムまたはフィルム層(単層または多層)を含む広範囲の製造品に使用することができる。そのような製造品の非限定的な例には、下記のものが含まれる:食品包装フィルム(生鮮および冷凍食品、液体および粒状食品)、スタンドアップポーチ、レトルト包装およびバッグインボックス包装;バリアフィルム(酸素、水分、アロマ、オイルなど)および調整雰囲気包装;軽量および頑丈なシュリンクフィルムおよびラップ、照合シュリンクフィルム、パレットシュリンクフィルム、シュリンクバッグ、シュリンクバンドリングおよびシュリンクシュラウド;軽量および頑丈なストレッチフィルム、ハンドストレッチラップ、マシンストレッチラップ、ストレッチフードフィルム;高透明度フィルム;頑丈な袋;家庭用ラップ、オーバーラップフィルム、サンドイッチバッグ;産業用および機関用フィルム、ゴミ袋、缶ライナー、雑誌のオーバーラップ、新聞バッグ、メールバッグ、袋と封筒、プチプチ、カーペットフィルム、家具バッグ、衣服バッグ、コインバッグ、自動パネルフィルム。ガウン、ドレープ、外科用衣服などの医療用途;建設用フィルムおよびシート、アスファルトフィルム、断熱バッグ、マスキングフィルム、造園用フィルムおよびバッグ;都市ごみ処理および鉱業用途向けのジオメンブレンライナー;バッチインクルージョンバッグ;農業用フィルム、マルチフィルム、グリーンハウスフィルム;店内のパッケージ、セルフサービスバッグ、ブティックバッグ、食料品バッグ、持ち帰り用サック、Tシャツバッグ;配向ポリプロピレン(OPP)フィルムの配向フィルム、機械方向および二軸配向フィルム、および機能性フィルム層;シーラントおよび/または靭性層。少なくとも1つのポリエチレン組成物を含む1つまたは複数のフィルムを含む追加の製造品には、下記のものが含まれる:ラミネートおよび/または多層フィルム;多層フィルムおよび複合材料のシーラントおよびタイ層;紙とのラミネーション;アルミホイルラミネートまたは真空蒸着アルミニウムを含むラミネート;ポリアミドラミネート;ポリエステルラミネート;押出コーティングされたラミネート、および;ホットメルト接着剤配合。この段落に要約された製造品は、開示されたポリエチレン組成物の少なくとも1つの実施形態を含む少なくとも1つのフィルム(単層または多層)を含む。
【0171】
望ましいフィルムの物理的特性(単層または多層)は、通常、対象の用途によって異なる。望ましいフィルム特性の非限定的な例には、下記のものが含まれる:光学特性(光沢、ヘイズ、透明度)、ダーツ衝撃、エルメンドルフ引裂き、弾性率(1%および2%セカントモジュラス)、パンク伝播引裂き抵抗、引張特性(降伏強度、破断強度、破断点伸び、靭性など)およびヒートシール特性(ヒートシール開始温度およびホットタック強度)。ポーチのようなパッケージ内に市販の製品(液体、固体、ペースト、部品など)をロードしてシールする高速の垂直および水平のフォームフィルシールプロセスでは、特定のホットタックおよびヒートシール特性が望まれる。
【0172】
所望のフィルムの物理的特性に加えて、開示されたポリエチレン組成物は、フィルムライン上で容易に処理できることが望ましい。当業者は、「加工性」という用語を頻繁に使用して、加工性が劣るポリマーと比較して、加工性が改善されたポリマーを区別する。加工性を定量化するために一般的に使用される尺度は、押出圧力である。より具体的には、加工性が改善されたポリマーは、加工性が劣るポリマーと比較して、(インフレーションフィルムまたはキャストフィルム押出ライン上で)より低い押出圧力を有する。
【0173】
本開示の一実施形態では、フィルムまたはフィルム層は、上記のポリエチレン組成物を含む。
【0174】
本開示の実施形態では、フィルムまたはフィルム層は、上記のポリエチレン組成物を含み、0.5から10ミルの厚さを有する。
【0175】
本開示の実施形態では、フィルムまたはフィルム層は、0.5から10ミルの厚さを有する。
【0176】
本開示の実施形態では、フィルムは、≧400g/ミル、または≧450g/ミル、または≧500g/ミル、または≧600g/ミル、または≧700g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。本開示の別の実施形態では、フィルムは、400g/ミルから950g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。本開示のさらなる実施形態では、フィルムは、400g/ミルから850g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。本開示のさらなる実施形態では、フィルムは、450g/ミルから850g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、フィルムは、600g/ミルから850g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。本開示のさらに別の実施形態では、フィルムは、600g/ミルから800g/ミルのダーツ衝撃強度を有するであろう。
【0177】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%ひずみで、170MPa以上、または180MPa以上、または190MPa以上、または200MPa以上、または210MPa以上、または220MPa以上、または≧230MPaの機械方向(MD)セカントモジュラスを有する。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、160MPaから280MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%ひずみで170MPaから280MPaの機械方向(MD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、180MPaから280MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、1%ひずみで190MPaから280MPaの機械方向(MD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、200MPaから270MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、210MPaから270MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、220MPaから270MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、230MPaから270MPaの1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスを有するであろう。
【0178】
本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、1%ひずみで、200MPa以上、または210MPa以上、または220MPa以上、または230MPa以上、または240MPa以上,または250MPa以上、または260MPa以上、または270MPa以上の横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、200MPaから400MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、210MPaから400MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、220MPaから350MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、230MPaから350MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、240MPaから350MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、250MPaから350MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、260MPaから350MPaの1%ひずみで横方向(TD)セカントモジュラスを有する。
【0179】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、40MPa以上、または45MPa以上、または50MPa以上、または55MPa以上、または60MPaの破断時の機械方向(MD)引張強度を有する。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、30MPaから70MPaの破断時の機械方向引張強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、35MPaから70MPaの破断時の機械方向(MD)引張強度を有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、40MPaから70MPaの破断時の機械方向(MD)引張強度を有するであろう。本開示の別の実施形態では、1ミルのフィルムは、45MPaから70MPaの破断時の機械方向(MD)引張強度を有するであろう。
【0180】
本開示の実施形態では、フィルムは、200g/ミル以上、または210g/ミル以上、または220g/ミル以上、または230g/ミル以上、または240g/ミル以上の機械方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、200g/ミルから400g/ミルの機械方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、210g/ミルから375g/ミルの機械方向(MD)引裂強度を有するであろう。本開示の一実施形態では、フィルムは、220g/ミルから375g/ミルの機械方向(MD)引裂強度を有するであろう。
【0181】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、≧50J/mm、または≧55J/mm、または≧60J/mmのASTM穿刺抵抗値を有するであろう。本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、50J/mmから90J/mm、または55J/mmから90J/mm、または60J/mmから85J/mmのASTM穿刺値を有するであろう。
【0182】
本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、16%以下、または15%以下、14%以下、または13%以下、または12%以下、または11%以下、または10%以下のヘイズを有する。本開示の実施形態では、1ミルのフィルムは、6%から16%、または8%から15%のヘイズを有するであろう。
【0183】
本開示の実施形態では、2ミルのフィルムは、100℃以下、または95℃以下、または90℃以下、または85℃以下、または80℃以下のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、65℃から100℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、65℃から95℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、70℃から90℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、70℃から85℃の間のシール開始温度(SIT)を有するであろう。
【0184】
本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり625cm以上の酸素透過率(OTR)を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり650cm以上の酸素透過率(OTR)を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり600から800cmの酸素透過率(OTR)を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり650から800cmの酸素透過率(OTR)を有するであろう。本開示の一実施形態では、1ミルのフィルムは、100インチあたり650から750cmの酸素透過率(OTR)を有するであろう。
【0185】
本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、170ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、180ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、190ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、200ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、160から300ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、170から280ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、180から280ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、190から280ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。本開示の一実施形態では、2ミルのフィルムは、190から270ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有するであろう。
【0186】
本開示のいくつかの実施形態は、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比較して、機械方向(MD)弾性率(1%および/または2%)およびシール開始温度が改善されたフィルムを提供する。したがって、本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、及び、約2ミルの膜厚で測定した場合、≦95℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の別の実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、及び、約2ミルの膜厚で測定した場合、≦90℃のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の別の実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、および約2ミルの膜厚で測定した場合、85℃以下のシール開始温度(SIT)を有する。本開示の別の実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、および約2ミルの膜厚で測定した場合、≦80℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0187】
本開示のいくつかの実施形態は、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比較して、機械方向(MD)弾性率(1%および/または2%)および酸素透過率(OTR)が改善されたフィルムを提供する。したがって、本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、および約1ミルの膜厚で測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有する。
【0188】
本開示の一実施形態では、ポリエチレン組成物を使用して製造されたフィルムは、良好なホットタック性能を有するであろう。優れたホットタック性能は、一般に、垂直フォームフィルシール(VFFS)アプリケーションラインなどのバッグまたはポーチ包装ラインでの優れたフィルム性能に関連している。理論に拘束されることを望まないが、ホットタックプロファイル(シール温度対力)では、良好なホットタック性能は、初期(または低い)ホットタック開始温度、次に広範囲のシール温度にわたって比較的高い力によって示される。
【0189】
本開示のいくつかの実施形態は、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比較して、機械方向(MD)弾性率(1%および/または2%)およびホットタックウィンドウの面積(AHTW)が改善されたフィルムを提供する。したがって、本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、および、約2ミルの膜厚で測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
【0190】
本開示のいくつかの実施形態は、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比較して、機械方向(MD)弾性率(1%および/または2%)およびシール開始温度が改善されたフィルムを提供する。したがって、本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、および約2ミルの膜厚で測定した場合、≦90℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0191】
本開示のいくつかの実施形態は、比較ポリエチレンから形成されたフィルムと比較して、機械方向(MD)弾性率(1%および/または2%)、酸素透過率、シール開始温度およびホットタックウィンドウの面積(AHTW)が改善されたフィルムを提供する。したがって、本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラス、約1ミルの膜厚で測定した場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)、約2ミルの膜厚で測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)、および約2ミルの膜厚で測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
【0192】
本開示の一実施形態では、フィルムは、以下の関係を満たす:ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;ここで、AHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0193】
本開示の一実施形態では、フィルムは、以下の関係を満たしている:酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;ここで、OTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0194】
本開示の一実施形態では、フィルムは、以下の関係を満たしている:シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0195】
本開示の一実施形態では、フィルムは、以下の関係のそれぞれを満たす:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28、ここで、AHTWは、フィルム厚さ約2ミルで測定され、機械方向(MD)のセカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定され、
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8、ここでOTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラス約1ミルの膜厚で測定され、
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509、ここでSITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラス約1ミルの膜厚で測定される。
【0196】
本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、以下の関係の少なくとも1つを満たす:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)-2.0981(機械方向(MD)1%割線)弾性率)+564.28、ここでAHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される、
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8、ここでOTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラス約1ミルの膜厚で測定される、
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509、ここでSITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0197】
本開示の一実施形態では、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層は、以下の関係のそれぞれを満たす:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28、ここでAHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される、
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8、ここでOTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラス約1ミルの膜厚で測定される、
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509、ここでSITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0198】
このセクションで説明されている製造品で使用されるフィルムは、その使用目的に応じて、添加剤および補助剤を場合により含むことができる。添加剤および補助剤の非限定的な例には、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、充填剤、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核剤およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0199】
以下の例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されている。提示された例は、提示されたクレームを制限するものではないことを理解されたい。
【0200】

試験方法
試験の前に、各試験片を23±2℃および50±10%の相対湿度で少なくとも24時間調整し、その後の試験を23±2℃および50±10%の相対湿度で実施した。本明細書において、「ASTM条件」という用語は、23±2℃および50±10%の相対湿度に維持されている実験室を指す。試験する試験片は、試験前にこの実験室で少なくとも24時間調整した。ASTMは、the American Society for Testing and Materialsを指す。
【0201】
密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を使用して決定された。
【0202】
メルトフロー(メルトインデックス)は、ASTM D1238(2013年8月1日)を使用して決定された。メルトフローI、I、I10、およびI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、および21.6kgの重量を使用して190℃で測定された。ここで、「応力指数」という用語またはその頭字語「S.Ex.」は、次の関係によって定義される。S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160);ここで、IとIは、それぞれ6.48kgと2.16kgの負荷を使用して190℃で測定されたメルトフローレートである。
【0203】
Mn、Mw、およびMz(g/mol)は、ユニバーサルキャリブレーション(ASTM D6474-99など)を使用した屈折率差(DRI)検出を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定された。GPCデータは、140℃で移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンを使用して、「Waters150c」という商品名で販売されている機器を使用して取得した。サンプルは、ポリマーをこの溶媒に溶解することによって調製され、ろ過せずに実行された。分子量は、数平均分子量(「Mn」)で2.9%、重量平均分子量(「Mw」)で5.0%の相対標準偏差を持つポリエチレン当量として表される。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量を数平均分子量で割ったものMw/Mnである。z平均分子量分布はMz/Mnである。ポリマーサンプル溶液(1~2mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)で加熱し、オーブン内で150℃で4時間ホイール上で回転させることによって調製した。酸化分解に対してポリマーを安定化するために、酸化防止剤の2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を混合物に加えた。BHT濃度は250ppmであった。サンプル溶液は、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、およびHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけ、移動相としてTCBを使用し、流速は1.0mL/min、濃度検出器としての差屈折率(DRI)を備えた。カラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。サンプル注入量は200mLであった。生データはCirrusGPCソフトウェアで処理された。カラムは、狭い分布のポリスチレン標準でキャリブレーションされた。ポリスチレンの分子量は、ASTM標準試験方法D6474に記載されているように、Mark-Houwinkの式を使用してポリエチレンの分子量に変換された。
【0204】
エチレンコポリマーサンプルの短鎖分岐頻度(例えば、1000炭素骨格原子あたりの短鎖分岐、またはSCB/1000C)は、ASTM D6645-01法に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって決定された。測定には、OMNICバージョン7.2aソフトウェアを搭載したThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を使用した。ポリエチレン組成物の不飽和度は、ASTMD3124-98に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によっても決定された。
【0205】
オンラインFTIR検出器(GPC-FTIR)を備えた高温GPCを使用して、分子量の関数としてコモノマー含有量を測定した。
【0206】
結晶化溶出分画(CEF):ポリマーサンプル(20~25mg)をサンプルバイアルに量り取り、ポリマーCEFユニットのオートサンプラーにロードした。ベールに6~7mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、レベル番号3の振とう速度で2時間、目的の溶解温度(160℃など)に加熱した。次に、溶液(0.5ml)をCEFカラム(Polymer Charから購入して直列に取り付けた2つのCEFカラム)にロードした。所与の安定化温度(例えば、115℃)で5分間平衡化させた後、ポリマー溶液を、安定化温度から30℃への温度低下とともに結晶化させた。30℃で10分間平衡化した後、可溶性画分を30℃で10分間溶出し、続いて結晶化したサンプルを30℃から110℃までの温度ランプでTCBで溶出した。CEFカラムは、150℃で5分間の分析の最後に洗浄された。その他のCEFの実行条件は、冷却速度0.5℃/分、結晶化流量0.02mL/分、加熱速度1.0℃/分、溶出流量2.0mL/分であった。データはExcelスプレッドシートを使用して処理された。「CDBI50」は、その組成がコモノマー組成の中央値の50%以内(コモノマー組成の中央値の両側で50%)であるエチレンポリマーの重量パーセントとして定義される。「CDBI50」は、上記のCEF手順によって決定された組成分布曲線、および、米国特許第5,376,439号またはWO93/03093に示されているように、組成分布曲線の正規化された累積積分から計算され得る。
【0207】
あるいは、「組成分布分岐指数」または「CDBI」は、Polymer ChAR (Valencia, Spain)から市販されている結晶TREFユニットを使用して決定することができる。頭字語「TREF」は、温度上昇溶出分別(Temperature Rising Elution Fractionation)を指す。ポリエチレン組成物のサンプル(80~100mg)をPolymer ChARクリスタル-TREFユニットの反応器に入れ、反応器に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、150℃に加熱した。この温度で2時間保持して、サンプルを溶解した。次に、TCB溶液のアリコート(1.5mL)をステンレス鋼ビーズで満たされたPolymer Char TREFカラムにロードし、カラムを110℃で45分間平衡化した。次に、ポリエチレン組成物を、TREFカラム内のTCB溶液から、毎分0.09℃の冷却速度を使用してカラムを110℃から30℃にゆっくりと冷却することによって結晶化させた。次に、TREFカラムを30℃で30分間平衡化した。次に、結晶化したポリエチレン組成物を、純粋なTCB溶媒を、0.75mL/分の流速でカラムに通し、カラムの温度を30℃から120℃にゆっくりと上昇させながら、毎分0.25℃。Polymer Charソフトウェアを使用して、ポリエチレン組成物がTREFカラムから溶出されるときに、TREF分布曲線が生成された。つまり、TREF分布曲線は、TREF溶出温度の関数としてカラムから溶出するポリエチレン組成物の量(または強度)のプロットである。CDBI50は、分析された各ポリエチレン組成物のTREF分布曲線から計算できる。「CDBI50」は、その組成がコモノマー組成の中央値の50%以内(コモノマー組成の中央値の両側で50%)であるエチレンポリマーの重量パーセントとして定義される。これは、TREF組成分布曲線とTREF組成分布曲線の正規化された累積積分から計算される。当業者は、TREF溶出温度をコモノマー含有量、すなわち特定の温度で溶出するポリエチレン組成物画分のコモノマーの量に変換するために検量線が必要であることを理解するであろう。そのような検量線の生成は、先行技術に記載されている:Wild, et al., J. Polym. Sci., Part B, Polym. Phys., Vol. 20 (3), pages 441-455:参照により完全に本明細書に組み込まれる。注:「CDBI25」は、組成がコモノマー組成の中央値の25%以内(コモノマー組成の中央値の両側で25%)であるポリエチレン組成物の重量パーセントとして定義される。
【0208】
動的機械的分析は、レオメーター、すなわちRheometrics Dynamic Spectrometer (RDS-II)またはRheometrics SR5 or ATS Stresstechを使用して、直径25mmのコーンとプレートの形状を使用して、190℃の窒素雰囲気下で圧縮成形されたサンプルに対して実行された。振動せん断実験は、0.05~100rad/sの頻度でひずみの線状粘弾性範囲(10%ひずみ)内で行われた。貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G)、および複素粘度(η)の値は、頻度の関数として取得された。同じレオロジーデータは、窒素雰囲気下、190℃で直径25mmの平行板形状を使用しても取得できる。ゼロせん断粘度は、Ellisモデルを使用して推定される。つまり、η(ω)=η/(1+τ/τ1/2α-1である。ここで、ηはゼロせん断粘度である。τ1/2は、η=η/2となるせん断応力の値であり、αは調整可能なパラメータの1つである。Cox-Merz規則は、本開示において適用可能であると想定されている。
【0209】
DRIは「ダウレオロジー指数」であり、次の式で定義される:DRI=[365000(T/η)-1]/10;ここで、Tはポリエチレンの特徴的な緩和時間であり、η0は材料のゼロせん断粘度である。DRIは、以下の一般化されたクロス方程式すなわち、η(ω)=η/[1+(ωT]で、米国特許第6,114,486号に記載されているように、レオロジー曲線の最小二乗適合(動的複素粘度対適用頻度、例えば、0.01~100ラジアン/秒)によって計算される;ここで、nは材料のべき乗則指数、η(ω)およびωはそれぞれ測定された複素粘度および適用頻度データである。DRIを決定する際、使用されるゼロせん断粘度ηは、クロスモデルではなくエリスモデルを使用して推定された。
【0210】
交差頻度は、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)の曲線が互いに交差する頻度であり、G’@G”=500Paは、損失弾性率(G”)が500Paである貯蔵弾性率である。
【0211】
一次融解ピーク(℃)、融解ピーク温度(℃)、融解熱(J/g)、および結晶化度(%)は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して次のように決定した。機器は最初にインジウムで較正された。キャリブレーション後、ポリマー試験片を0℃で平衡化し、10℃/分の加熱速度で温度を200℃に上げた。次に、溶融物を等温で200℃で5分間保持した。次に、溶融物を10℃/分の冷却速度で0℃に冷却し、0℃で5分間維持した。次に、試験片を10℃/分の加熱速度で200℃に加熱した。DSC Tm、融解熱、および結晶化度は、2回目の加熱サイクルから報告される。
【0212】
フィルムダーツ衝撃強度は、ASTM D1709-09 Method A (May 1, 2009)を使用して決定された。この開示では、ダーツ衝撃試験は、直径1.5インチ(38mm)の半球形の頭付きダーツを使用した。
【0213】
フィルム「ASTMパンクチャ(穿刺)」は、フィルムを破壊するために必要なエネルギー(J/mm)であり、ASTM D5748-95(1995年に最初に採用され、2012年に再承認)を使用して決定された。パンクテスト(パンクチャテスト)は、可動クロスヘッドに取り付けられたロードセルにパンクプローブが取り付けられた機械式テスターで実行される。フィルムは、直径4インチ(102mm)の開口部を持つクランプ機構にクランプされる。クランプ機構は固定板に取り付けられている。クロスヘッド速度は10インチ/分(255mm/分)に設定されている。フィルムに穴を開ける最大の力とエネルギーが記録される。
【0214】
「遅い穿刺(パンクチャ)」または「潤滑穿刺(パンクチャ)」試験は、以下のように実施された:フィルムサンプルを穿刺(パンクチャ)するためのエネルギー(J/mm)は、10インチ/分(25.4cm/分)で移動する直径0.75インチ(1.9cm)の洋ナシ形フルオロカーボン被覆プローブを使用して決定された。ASTM条件が採用された。試験片をテストする前に、摩擦を減らすためにプローブヘッドをMuko Lubricating Jellyで手動で潤滑した。Muko Lubricating Jellyは、Cardinal Health Inc., 1000 Tesma Way, Vaughan, ON L4K 5R8 Canadaから入手できる水溶性の個人用潤滑剤である。プローブは、使用時に1000Nロードセル及びInstron Model 5 SL Universal Testing Machine中に取り付けられた。フィルムサンプル(厚さ1.0ミル(25μm)、幅5.5インチ(14cm)、長さ6インチ(15cm))をInstronに取り付け、穴を開けた。下記のフィルム引張特性は、ASTM D882-12(2012年8月1日)を使用して決定された:引張破断強度(MPa)、破断点伸び(%)、引張降伏強度(MPa)、降伏時引張伸び(%)およびフィルム靭性または総破壊エネルギー(ft・lb/in)。引張特性は、インフレーションフィルムの機械方向(MD)と横方向(TD)の両方で測定された。
【0215】
セカントモジュラスは、フィルムの剛性の尺度である。セカントモジュラスは、応力-ひずみ曲線上の2点間に引かれた線、つまり割線、の傾きである。応力-ひずみ曲線の最初の点は原点である。つまり、原点に対応する点(ひずみがゼロパーセントで応力がゼロの点)である。応力-ひずみ曲線の2番目の点は、1%のひずみに対応する点である。これらの2つのポイントが与えられると、1%のセカントモジュラスが計算され、単位面積あたりの力(MPa)で表される。2%セカントモジュラスも同様に計算される。ポリエチレンの応力-ひずみ関係はフックの法則に従わないため、この方法はフィルム弾性率の計算に使用される。つまり、ポリエチレンの応力-ひずみ挙動は、粘弾性の性質のために非線状である。セカントモジュラスは、200lbfのロードセルを備えた従来のインストロン引張試験機を使用して測定した。単層フィルムサンプルのストリップは、次の寸法でテスト用にカットされた。長さ14インチ、幅1インチ、厚さ1ミル。サンプルの端に傷や切り傷がないことを確認する。フィルムサンプルは、機械方向(MD)と横方向(TD)の両方で切断され、テストされた。ASTM条件を使用して、サンプルを調整した。各フィルムの厚さは、ハンドヘルドマイクロメーターで正確に測定され、サンプル名とともにInstronソフトウェアに入力された。サンプルは、10インチのグリップ間隔でインストロンにロードされ、1インチ/分の速度で引っ張られてひずみ-ひずみ曲線が生成された。1%および2%のセカントモジュラスは、Instronソフトウェアを使用して計算された。
【0216】
インフレーションフィルムの酸素透過率(OTR)は、MOCON Inc, Minneapolis, Minnesota, USA.製のOxtran 2/20装置を使用してテストした。機器には2つのテストセル(AとB)があり、各フィルムサンプルは2回ずつ分析された。報告されるOTRの結果は、これら2つのテストセル(AおよびB)の結果の平均である。試験は、23℃の温度および0%の相対湿度で実施される。試験に使用したフィルムサンプル面積は100cmであった。使用したキャリアガスは2%水素ガスと残りの窒素ガスであり、テストガスは超高純度酸素である。試験されたインフレーションフィルムはそれぞれ1ミルの膜厚を有していた。
【0217】
インフレーションフィルムの穿刺伝播引裂き抵抗は、ASTM D2582-09(2009年5月1日)を使用して決定された。このテストでは、インフレーションフィルムの引っ掛かりに対する抵抗、より正確には、動的なパンクとそのパンクの伝播による裂けに対する抵抗を測定する。インフレーションフィルムの機械方向(MD)と横方向(TD)で穿刺伝播引裂き抵抗を測定した。
【0218】
フィルムの引き裂き性能は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)によって決定された。引き裂きの同等の用語は「エルメンドルフ引き裂き」である。フィルムの引き裂きは、インフレーションフィルムの機械方向(MD)と横方向(TD)の両方で測定された。
【0219】
フィルムの光学特性は次のように測定された:Haze(ヘイズ), ASTM D1003-13 (November 15, 2013),および; Gloss(グロス) ASTM D2457-13 (April 1, 2013)。
【0220】
本開示では、「ホットタック試験」は、ASTM条件を使用して、以下のように実施された。ホットタックデータは、Jbi Hot Tack, Geloeslaan 30, B-3630 Maamechelen, Belgiumから市販されているJ&B Hot Tack Testerを使用して生成された。ホットタックテストでは、ポリオレフィンとポリオレフィンのシールの強度は、2つのフィルムサンプルを一緒にヒートシールした直後(2つのフィルムサンプルを2.0ミル(51μm)の厚さのフィルムの同じロールから切り取った)、つまりフィルムを構成するポリオレフィン高分子は半溶融状態である。このテストは、高速自動包装機(垂直または水平のフォーム、充填およびシール装置など)でのポリエチレンフィルムのヒートシールをシミュレートする。J&B Hot Tack Testでは、次のパラメータが使用された。フィルム試験片の幅、1インチ(25.4mm);フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、0.27N/mm;遅延時間、0.5秒;フィルム剥離速度、7.9インチ/秒(200mm/秒);テスト温度範囲、131°Fから293°F(55℃から145℃);温度増分、9°F(5℃);そして、5つのフィルムサンプルを各温度増分でテストして、各温度での平均値を計算した。このようにして、引張力対シール温度のホットタックプロファイルが生成される。このホットタックプロファイルから次のデータを計算できる。「タック開始@1.0N(℃)」は、1Nのホットタック力が観察された温度である(5つのフィルムサンプルの平均)。「最大ホットタック強度(N)」は、テスト温度範囲で観察された最大ホットタック力(5つのフィルムサンプルの平均)である。「温度-最大ホットタック(℃)」は、最大のホットタック力が観察された温度である。最後に、ホットタック(強度)ウィンドウの面積(「ホットタックウィンドウの面積」または「AHTW」)は、ホットタックの開始温度から試験片が溶ける直前の温度までのこのホットタックプロファイルの下の面積の推定値である。試験片が溶融する前の後者の温度は典型的に130℃であるが、必ずしも130℃である必要はない。ホットタックプロファイルのさまざまなセグメントに対して区分的回帰(線状または多項式)を実行して、シール温度と引張力の数学的関係を取得した。次に、各温度力セグメントの部分面積を計算した。総面積(AHTW)は、指定された範囲内(つまり、ホットタックの開始温度から試験片が溶融する直前の温度まで)のホットタックプロファイルの各セグメントの各部分面積の合計である。
【0221】
本開示において、「ヒートシール強度試験」(「コールドシール試験」としても知られる)は、以下のように実施された。ASTM条件が採用された。ヒートシールデータは、従来のインストロン引張試験機を使用して生成された。このテストでは、2つのフィルムサンプルが一定範囲の温度でシールされる(2つのフィルムサンプルは、2.0ミル(51μm)の厚さのフィルムの同じロールから切り取られた)。ヒートシール強度(またはコールドシール)テストでは、次のパラメーターが使用された。フィルム試験片の幅、1インチ(25.4mm);フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、40 psi(0.28N/mm);温度範囲、212°Fから302°F(100℃から150℃)および温度増分、9°F(5℃)。ASTM条件で少なくとも24時間エージングした後、次の引張パラメータを使用してシール強度を決定した:プル(クロスヘッド)速度、12インチ/分(2.54cm/分);引っ張る方向、シールするために90°、そして;フィルムの5つのサンプルが各温度増分でテストされた。シール開始温度(以下、S.I.T.)は、商業的に実行可能なシールを形成するために必要な温度として定義される。商業的に実行可能なシールのシール強度は、シール1インチあたり2.0ポンド(シール25.4mmあたり8.8N)である。
【0222】
ポリマーサンプルのヘキサン抽出可能含有量は、the Code of Federal Registration 21 CFR §177.1520 Para (c) 3.1 and 3.2に従って決定された。ここで、フィルム中のヘキサン抽出可能材料の量は、重量分析で決定される。精巧に、2.5グラムの3.5ミル(89μm)単層フィルムをステンレス鋼バスケットに入れ、フィルムとバスケットの重さを量り(w)、バスケット内でフィルムを次のようにした:49.5℃で2時間n-ヘキサンで抽出した;真空オーブン内で80℃で2時間乾燥させた;デシケーターで30分間冷却し、計量(w)。重量の減少率は、抽出可能なヘキサンの割合(wC6)である:wC6=100×(w-w)/w
【0223】
ポリエチレン組成物
第1、第2および第3のポリエチレンを含むポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物AまたはBをポリエチレンCと溶融ブレンドすることによって作製された。
【0224】
ポリエチレン組成物AおよびBはそれぞれ、二重並列反応器溶液重合プロセスにおいて混合二重触媒システムを使用して製造された。結果として、ポリエチレン組成物AおよびBは、それぞれ、シングルサイト触媒で作製された第1のポリエチレンと、チーグラー・ナッタ触媒で作製された第2のポリエチレンとを含んでいた。混合二重触媒を使用するものを含む、並列モード液相重合反応器プロセスは、米国特許出願第15/491,264号(本出願と同時係属中)に記載されている。基本的に、並列モードでは、第1の反応器(R1)および第2の反応器(R2)のそれぞれを出る出口流が各反応器の下流で組み合わされ、ポリマー生成物が脱気後に得られる。
【0225】
以下の例は、並列に接続されたデュアル反応器システムにおける中圧でのエチレンと1-オクテンの連続溶液共重合を示している。第1および第2の反応器圧力は、約16,000kPa(約2.3×10psi)であった。第1の反応器は、第2の反応器よりも低い温度で運転された。第1の反応器の容量は12リットルで、第2の反応器の容量は24リットルであった。反応器内容物の良好な混合を確実にするために、両方の反応器を撹拌した。このプロセスは、すべての供給ストリーム(すなわち、メチルペンタンである溶媒、モノマー、触媒および助触媒成分)および生成物の除去において連続的であった。モノマー(エチレン)およびコモノマー(1-オクテン)は、従来のフィード調製システム(水、酸素、極性汚染物質などの不純物を除去するためのさまざまな吸収媒体との接触など)を使用して、反応器に追加する前に精製した。反応器供給物は、表1に示される比率で反応器にポンプ輸送された。反応器の平均滞留時間は、平均流量を反応器体積で割ることによって計算される。本発明のすべての実験の各反応器での滞留時間は10分未満であり、反応器は十分に混合されていた。
【0226】
下記のシングルサイト触媒(SSC)成分を使用して、第2の反応器(R2)と並列に構成された第1の反応器(R1)で第1のポリエチレンを調製した:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチド[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfMe];メチルアルミノキサン(MMAO-07);トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート(トリチルボレート)、および2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(BHEB)。メチルアルミノキサン(MMAO-07)と2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールをインラインで予備混合した後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチドおよびトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと、重合反応器(R1)に入る直前に、組合せた。
【0227】
下記のチーグラー・ナッタ(ZN)触媒成分を使用して、第1の反応器(R1)と並列に構成された第2の反応器(R2)で第2のポリエチレンを調製した:ブチルエチルマグネシウム;ターシャリーブチルクロリド;四塩化チタン;ジエチルアルミニウムエトキシド;及びトリエチルアルミニウム。メチルペンタンを触媒成分溶媒として使用し、インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物を以下のステップを使用して調製した。ステップ1では、トリエチルアルミニウムとブチルエチルマグネシウム(Mg:Al=20、mol:mol)の溶液をターシャリーブチルクロリドの溶液と混合し、約30秒間反応させて、MgCl担体を生成した。ステップ2では、四塩化チタンの溶液をステップ1で形成された混合物に加え、約14秒間反応させてから、第2の反応器(R2)に注入した。インラインチーグラー・ナッタ触媒は、R2にジエチルアルミニウムエトキシドの溶液を注入することにより、反応器内で活性化された。反応器に添加された四塩化チタンの量を表1に示す。インラインチーグラー・ナッタ触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比を調整することによって最適化された。
【0228】
他方、ポリエチレンCは、上記のように、チーグラー・ナッタ触媒を使用する単一溶液重合反応器で製造される。ただし、この例では、インラインで形成されたチーグラー・ナッタ触媒を第1の反応器(R1)にのみ供給して、単一の反応器でポリエチレンCを調製した。明確にするために、ポリエチレンCは、最終的なポリエチレン組成物内の第3のポリエチレンになる。
【0229】
表1は、ポリエチレン組成物AおよびB、ならびにポリエチレンCのそれぞれを製造するために使用される反応器条件を示す。ポリエチレン組成物AおよびB、ならびにポリエチレンCの特性は、表2に示されている。
【0230】
【表1】
【0231】
【表2】
【0232】
ポリエチレン組成物AまたはBをポリエチレンCと(70重量%から30重量%の比率で)溶融ブレンドすることから得られたポリエチレン組成物の特性を、発明例1および2として表3に提供する。L/Dが32:1のCoperion ZSK26共回転二軸スクリュー押出機を使用して、材料を溶融ブレンドした。押出機には、水中ペレタイザーとGalaスピンドライヤーが取り付けられていた。材料は、重量フィーダーを使用して押出機に同時供給され、ポリエチレン組成物AまたはB対ポリエチレンCの所望の比率を達成した。ブレンドは、225-230℃の溶融温度で、15~20kg/時の出力速度で200rpmのスクリュー速度を使用して配合された。
【0233】
比較ポリエチレン組成物、比較例1~9のデータも表3に含まれている。比較例1は、Dow Chemical Companyから市販されている樹脂であるELITE(登録商標)5400Gである。ELITE5400Gの密度は約0.916g/cmで、メルトインデックスIは約1dg/minである。比較例2は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSURPASS(登録商標)FP117-Cである。SURPASSFP117-Cの密度は0.917g/cmで、メルトインデックスIは1dg/minである。比較例3および4は、米国特許出願番号2016/0108221に従って製造された樹脂である。比較例3は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、密度が約0.917g/cmであり、メルトインデックスIが約0.96dg/分であり、第1の反応器と第2の反応器が互いに直列に構成されている多反応器溶液プロセスで製造される。比較例4は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、密度が約0.913g/cmであり、メルトインデックスIが約0.85dg/分であり、第1の反応器と第2の反応器が互いに直列に構成されている多反応器溶液プロセスで製造される。比較例5は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP112-Aである。SCLAIRFP112-Aの密度は0.912g/cmで、メルトインデックスIは0.9dg/minである。比較例6は、ExxonMobilルから市販されている樹脂であるEXCEED(登録商標)1018CAである。EXCEED1018CAの密度は約0.918g/cmで、メルトインデックスIは約0.94dg/minである。比較例7は、ChevronPhillipsから市販されている樹脂であるMARLEX(登録商標)D139である。MARLEX D139は、約0.918g/cmの密度および約0.9dg/分のメルトインデックスIを有する。比較例8は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP120-Aである。FP120-Aの密度は0.920g/cmで、メルトインデックスIは1dg/minである。比較例9は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP026-Fである。FP026-Fの密度は0.926g/cmで、メルトインデックスIは0.75dg/minである。
【0234】
【表3-1】
【0235】
【表3-2】
【0236】
本発明のポリエチレン組成物成分の詳細:第1のポリエチレン、第2のポリエチレン、および第3のポリエチレンを表4に提供する。重量パーセンテージw1およびw2(以下でさらに説明するように、デコンボリューション値w1’およびw2’を調整することによって見出される)を除いて、表4のデータには、ポリエチレン組成物AまたはB(シングルサイト触媒で製造された第1のポリエチレンとチーグラー・ナッタ触媒で製造された第2のポリエチレンで構成されたもの)の数学的にデコンボリューションされた成分特性、及び、および実験的に決定されたポリエチレンC(チーグラー・ナッタ触媒で製造された第3のポリエチレン)の特性が含まれている。
【0237】
オンラインFTIR検出器(GPC-FTIR)を備えた高温GPCを使用して、分子量の関数としてコモノマー含有量を測定した。ポリエチレン組成物AまたはB(並列モード重合においてR1におけるSSCおよびR2におけるZN触媒の使用から生じる)を成分にデコンボリューションするために、米国特許第8,022,143号に記載されている数学的デコンボリューションモデルが使用されたが、以下でさらに説明するように、(R2で製造されたような)チーグラー・ナッタ成分の特性を見つけるためにいくつかの変更が加えられた。ここで、GPCおよびGPC-FTIRデータの数学的デコンボリューションでは、シングルサイト触媒を使用して作成された第1のポリエチレン(R1で作成されたSSC成分、1つの触媒サイトと見なされる)の分子量分布が、米国特許第8,022,143号に記載されているように、単一のSchultz Flory分布を使用してモデル化された(Mw/Mnは2であると仮定され;MnはMw/2であり、Mzは1.5×Mwであった)。一方で、R2のマルチサイトチーグラー・ナッタ触媒を使用して作成された第2のポリエチレンの分子量分布は、モデルのために4つの触媒サイトを持っていると見なされるため、4つのShultz-Flory分布を使用してモデル化された(それぞれのMw/Mnは2で、MnはMw/2、Mzは各サイトで1.5×Mwであった)。デコンボリューションの精度と一貫性を向上させるために、制約として、モデル化された組成物(つまり、デュアル反応器ポリエチレン組成物AまたはB)のメルトインデックスIが設定され、デコンボリューション中に次の関係が満たされた。
Log10(I2) = 22.326528 + 0.003467*[Log10(Mn)]3 - 4.322582*Log10(Mw) -
0.180061*[Log10(Mz)]2+ 0.026478*[Log10(Mz)]3
ここで、実験的測定された全体のメルトフローインデックス(すなわち、ポリエチレン組成物AまたはBの)Iは、式の左側で使用された。したがって、合計5つのサイト(SSC用に1つ、i=1;ZN触媒用に4つ、i=2~5)を使用して、ポリエチレン組成物AまたはBをデコンボリューションした。w(i)およびMn(i)、i=1~5が得られ、一方で、各サイトのMw(i)とMz(i)は、各サイトのMn(i)を使用して上記の関係を使用して計算された。w(i)の合計(i=1から5)は、1に等しいことに注意する。デコンボリューション中に、ポリエチレン組成物AまたはBの全体のMn、Mw、およびMzは、次の関係で計算された:Mn=1/Sum(wi/Mn(i))、Mw=Sum(wi×Mw(i))、Mz=Sum(wi×Mz(i))、ここでiはi番目の成分を表し、wiは上記の5サイトデコンボリューションからの組成物中のi番目の成分の相対的な重量分率を表す。続いて、GPC-FTIRクロマトグラフプロファイルを、w(i)の結果を使用してデコンボリューションし、各サイトの1000炭素あたりの短鎖分岐(SCB/1000C)で短鎖分岐を得た:SCB(i)、i=1~5。
【0238】
R2のチーグラー・ナッタ触媒で作られた第2のポリエチレンの全体的な特性を取得するために、上記の全体的な5サイトデコンボリューション(i=2~5)からの4つのモデル化されたチーグラー・ナッタサイトのそれぞれの重量分率、wが、は最初に正規化された(つまり、各ZNサイトの重量分率wを、ZN成分の4つのサイトの合計重量で割ったもの)。次に、R2のZN触媒で製造された第2のポリエチレンの全体的なMn、Mw、Mz、およびSCB/1000Cが、上記の関係を使用して、Mn(i)、Mw(i)、Mz(i)、SCB(i)および各ZNサイトの新しく正規化されたw(i)で計算された。本例の場合のように、ZN触媒で作られたポリマーがエチレンホモポリマーである場合、デコンボリューション分析中に、4つのモデル化されたZNサイトのそれぞれのSCB/1000Cがゼロに設定された。ただし、ZN触媒によって作成されたポリマーがコポリマーである場合、SCB値は、上記のデコンボリューションモデルを使用して4つのZNサイトのそれぞれについて決定されるであろう。
【0239】
ポリエチレン組成物A又はB中の第1及び第2のポリエチレンのそれぞれのメルトインデックスIを計算するために、下記のメルトインデックスIモデルが使用された:
Log10(melt index, I2) = 22.326528 + 0.003467*[Log10(Mn)]3 - 4.322582*Log10(Mw) -
0.180061*[Log10(Mz)]2 + 0.026478*[Log10(Mz)]3
ここで、Mn、Mw、およびMzは、上記のGPCデコンボリューションの結果から得られた、ポリエチレン組成物AまたはB中に存在する第1または第2のポリエチレン成分のデコンボリューション値である。
【0240】
シングルサイト触媒を使用して製造されたエチレンコポリマーである第1のポリエチレンの密度は、以下の密度モデルを使用して計算された:
SSCで製造された第1のポリエチレンの密度
= 0.979863 -0.00594808*(FTIR SCB/1000C)0.65 - 0.000383133*[Log10(Mn)]3
- 0.00000577986*(Mw/Mn)3+0.00557395*(Mz/Mw)0.25
ここで、Mn、Mw、およびMzは、上記のGPCデコンボリューションの結果から得られた第1のポリエチレンのデコンボリューション値であり、SCB/1000CはGPC-FTIRデコンボリューションから得られた。ただし、チーグラー・ナッタ触媒を使用してR2で作成された第2のポリエチレンはエチレンコポリマーではなくエチレンホモポリマーであったため、短鎖分岐の存在を考慮しない修正式を使用して密度を求めた:
チーグラー・ナッタ触媒で作られた第2のポリエチレンの密度=-0.02×ln(Mw)+1.1823;ここで、Mwは、上記のGPCデコンボリューションの結果から得られたZielger-Nattaホモポリマー成分の全体的なMwである。ただし、チーグラー・ナッタ触媒で作成された第2のポリエチレンが代わりにエチレンコポリマーである場合は、第1のポリエチレン(エチレンコポリマー)の密度を見つけるために上記で使用した密度モデルを代わりに使用する必要があることに注意する。
【0241】
デコンボリューションは、密度(d1およびd2)、メルトインデックス(I およびI )、短鎖分岐(SCB1、SCB2はエチレンホモポリマーではゼロに設定)、重量平均および数平均分子量(Mw1、Mn1、Mw2およびMn2)、および第1および第2のポリエチレンの重量分率(w1’およびw2’)を与えた。結果として得られるデコンボリューションされた特性と相対重量パーセントw1、w2(それぞれ、第1および第2のポリエチレンの場合、以下でさらに説明する混合規則によって決定されるように、デコンボリューションされた重量分率w1’およびw2’を、最終的な溶融混合ポリエチレン組成物中のポリエチレン組成物AまたはBの量に一致するように、修正することによって求められる)を表4に示す。
【0242】
以下の基本的な混合規則を使用して、第1、第2、および第3のポリエチレンを含む所望のポリエチレン組成物を達成した。
w1=最終的なポリエチレン組成物中の第1のポリエチレンの重量パーセント。
w2=最終的なポリエチレン組成物中の第2のポリエチレンの重量パーセント。
w3=最終的なポリエチレン組成物中の第3のポリエチレンの重量パーセント。
w1=溶融ブレンド中のポリエチレン組成物AまたはBの重量パーセント。
w2=溶融ブレンド中のポリエチレンCの重量パーセント。
w1’=ポリエチレン組成物AまたはB中の第1のポリエチレンの重量パーセント(つまり、ポリエチレン組成物AまたはBの数学的デコンボリューションから決定されたw1’)。
w2’=ポリエチレン組成物AまたはB中の第2のポリエチレンの重量パーセント(つまり、ポリエチレン組成物AまたはBの数学的デコンボリューションから決定されたw2’)。
ここで、
w1+w2+w3=1;
w1+w2=1;及び
w1’+w2’=1;
そのため、,
w1=w1×w1’;
w2=w1×w2’;及び
w3=w2
【0243】
【表4-1】
【0244】
【表4-2】
【0245】
図1を参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン組成物がユニモダルGPCプロファイルを有することを認識するであろう。
【0246】
図2を参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン組成物が部分的に逆のコモノマー取り込みを有し、コモノマー取り込みが最初に分子量が増加するにつれて上昇し、次に分子量がさらに増加するにつれて低下することを認識するであろう。
【0247】
図3を参照すると、当業者は、本発明のポリエチレン組成物がマルチモダルDSCプロファイルを有することを認識するであろう。発明の例1および2の場合、DSCプロファイルはバイモダルである。
【0248】
表3のデータは、比較樹脂のそれぞれとは対照的に、本発明のポリエチレン組成物は、結晶化溶出分別(CEF)分析において低温で溶出するかなりの量の材料を有することを明確に示している。本発明の例1および2はそれぞれ、10重量パーセントを超える結晶溶出分別(CEF)分析における可溶性画分を有する(本発明の例1は35.8重量パーセントであり、本発明の例2は33.4重量パーセントである)。比較例1~9は、結晶化溶出分別(CEF)分析で10重量パーセント未満の可溶性画分(すなわち、30℃以下で溶出する画分)を持っている。
【0249】
インフレーションフィルムは、ダイ径4インチの2.5インチGloucesterインフレーションフィルムライン(L/D=24)を使用して生成された。溶融破壊を回避するために、高濃度のPPAマスターバッチをラインにスパイクすることにより、ダイをポリマー加工助剤(PPA)でコーティングした。固定条件は、35ミル(0.0889cm)のダイギャップ、約17インチのフロストラインの高さ、および100ポンド/時の出力であった。フィルムは、異なる配向条件下で収集された。単層の1ミルフィルムは2.5のブローアップ比(BUR)で製造され、1ミルフィルムはフィルムの物理的特性を得るために使用された。単層の2ミルフィルム(BUR=2.5)を使用して、コールドシールとホットタックのプロファイルを取得した。本開示のポリエチレン組成物からのインフレーションフィルムのデータは、様々な比較樹脂から作られたフィルムのデータとともに表5に提供されている。
比較例1は、Dow Chemical Companyから市販されている樹脂であるELITE(登録商標)5400Gから作製されたフィルムである。ELITE5400Gの密度は約0.916g/cmで、メルトインデックスIは約1dg/minである。比較例2は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSURPASS(登録商標)FP117-Cから作製されたフィルムである。SURPASSFP117-Cの密度は0.917g/cmで、メルトインデックスIは1dg/minである。比較例3および4は、米国特許出願第2016/0108221号に従って製造された樹脂から製造されたフィルムである。比較例3は、密度が約0.917g/cm、メルトインデックスIが約0.96dg/分であるエチレン/1-オクテンコポリマーから作製されたフィルムであり、第1の反応器および第2の反応器が互いに直列に構成されているマルチ反応器溶液プロセス中で作製された。比較例4は、密度が約0.913g/cm、メルトインデックスIが約0.85dg/分であるエチレン/1-オクテンコポリマーから作製されたフィルムであり、第1の反応器および第2の反応器が互いに直列に構成されているマルチ反応器溶液プロセス中で作製された。比較例5は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP112-Aから作製されたフィルムである。SCLAIRFP112-Aの密度は0.912g/cmで、メルトインデックスIは0.9dg/minである。比較例6は、ExxonMobilから市販されている樹脂であるEXCEED(登録商標)1018CAから作製されたフィルムである。EXCEED1018CAの密度は約0.918g/cmで、メルトインデックスIは約0.94dg/minである。比較例7は、ChevronPhillipsから市販されている樹脂であるMARLEX(登録商標)D139から作製されたフィルムである。MARLEX D139は、約0.918g/cmの密度および約0.9dg/分のメルトインデックスIを有する。比較例8は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP120-Aから作製されたフィルムである。FP120-Aの密度は0.920g/cmで、メルトインデックスIは1dg/minである。比較例9は、NOVA Chemicals Corporationから市販されている樹脂であるSCLAIR(登録商標)FP026-Fから作製されたフィルムである。FP026-Fの密度は0.926g/cmで、メルトインデックスIは0.75dg/minである。表5において、本発明の実施例1および2は、本発明の実施例1および2の本発明のポリエチレン組成物から作製されたフィルムである。
【0250】
【表5-1】
【0251】
【表5-2】
【0252】
【表5-3】
【0253】
表5に提供されたデータは、図4~8のデータとともに、本発明のポリエチレン組成物が、良好な剛性、良好な酸素透過率および良好なシール特性を含む特性の良好なバランスを有するフィルムに作製できることを示している。例えば、図4~8を参照すると、本発明のポリエチレン組成物から作製されたフィルムは、良好なホットタックおよびコールドシール性能を有する。
【0254】
理論に縛られることを望まないが、ホットタック(またはコールドシール)プロファイル(シール温度対シール力)では、良好なホットタック(またはコールドシール)性能は、早い(または低)ホットタック(またはコールドシール)開始温度、次に広範囲のホットタックシール温度にわたって比較的高いシール力によって示される。たとえば、比較例1~7と比較して、発明例1および2の図4および5の曲線の形状を参照。本発明の実施例1および2のホットタック曲線の形状は特に良好であり、早いホットタックシール開始温度と、広範囲のホットタックシール温度にわたる高いシール力とが組み合わされている。この改善されたホットタックシーリング性能のより定量的な測定を提供するために、新しいパラメータである「ホットタック(強度)ウィンドウの面積」(「ホットタックウィンドウの面積」または「AHTW」)が、ここで定義されている。AHTWは、ホットタック開始温度から試験片が溶融する直前の温度までのホットタック曲線下の面積の単純な推定値である。図4に示すように、試験片が溶融する前の温度は典型的に130℃であったが、必ずしも130℃である必要はなかった。表5および図4に示されるように、本発明の実施例1および2は、それぞれ200ニュートン・℃を超えるAHTWを有するが、比較例1~7のそれぞれは、160ニュートン・℃未満のAHTWを有する。
【0255】
良好なコールドシール特性は、本発明の実施例1および2について図5に与えられた曲線によって証明される。比較のために、比較例1~7のコールドシール特性も図5に示されている。当業者は、本発明の実施例1および2がそれぞれ、広範囲のコールドシール温度にわたって比較的高いシール力と組み合わされた早いコールドシール開始温度を有することを認識するであろう。対照的に、比較例1~7は、コールドシール開始温度が遅く、コールドシール温度の範囲が狭く、その上で比較的高いシール力が発生する。
【0256】
図6は、本発明の例1と2が、比較例2-9よりも、AHTWと剛性(1%ひずみでの機械方向(MD)のセカントモジュラスによって決定される)のバランスが優れていることを示している。実際、図6は、1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラス(MPa)値(x軸)に対するAHTW(ニュートン・℃)値(y軸)をプロットしている。方程式のプロット:AHTW=-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28は、本発明の例1および2が次の条件を満たすことを示している:AHTW>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28。しかし、比較例2~9はそうではない。
【0257】
図7は、本発明の例1と2が、比較例2~9よりも、SITと剛性(1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスによって決定される)のバランスが優れていることを示している。図7は、1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラス(MPa)値(x軸)に対するSIT(℃)値(y軸)をプロットし、方程式のプロットを示している:SIT=0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509は、発明例1および2が次の条件を満たすことを示している:SIT<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509。しかし、比較例2-9はそうではない。
【0258】
図8は、本発明の例1と2が、比較例2-9よりも、OTRと剛性(1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラスによって決定される)のバランスが優れていることを示している。図8は、OTR(100インチあたりのcm)値(y軸)を1%ひずみでの機械方向(MD)セカントモジュラス(MPa)値(x軸)に対してプロットしたものである。方程式:OTR=-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8は、本発明の例1および2が次の条件を満たすことを示している:OTR>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8。しかし、比較例2~9はそうではない。
【0259】
本開示の非限定的な実施形態には、以下が含まれる:
【0260】
実施形態A.以下を含むポリエチレン組成物:
エチレンコポリマーである5から80重量%の第1のポリエチレン、第1のポリエチレンは、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、<2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり5から100の短鎖分岐を有する;
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第2のポリエチレン、第2のポリエチレンは、重量平均分子量、Mwが15,000から100,000、分子量分布Mw/Mnが>2.3および炭素原子1000個あたりの短鎖分岐が0から20個である;及び
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第3のポリエチレン、第3のポリエチレンは、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から35個の短鎖分岐を有する;ここで、
第1のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-1)の数は、第2のポリエチレン(SCBPE-2)と第3のポリエチレン(SCBPE-3)の炭素原子1000個あたりの短鎖分岐の数よりも多い;
第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-3)の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCBPE-2)の数よりも多い;そして
第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい;ここで、
ポリエチレン組成物は、密度が0.939g/cm以下、メルトインデックスIが0.1~10dg/minであり、結晶化溶出分別(CEF)分析で少なくとも10重量パーセントの可溶性画分を持っている。
【0261】
実施形態B.ポリエチレン組成物がゲル浸透クロマトグラフ(GPC)においてユニモダルプロファイルを有する、実施形態Aのポリエチレン組成物。
【0262】
実施形態C.ポリエチレン組成物が、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも15重量パーセントの可溶性画分を有する、実施形態AまたはBのポリエチレン組成物。
【0263】
実施形態D.ポリエチレン組成物が、示差走査熱量測定(DSC)分析において125℃を超える融解ピーク温度を有する、実施形態A、BまたはCのポリエチレン組成物。
【0264】
実施形態E.示差走査熱量測定(DSC)分析においてポリエチレン組成物が2つの融解ピークを有する、実施形態A、B、CまたはDのポリエチレン組成物。
【0265】
実施形態F.第1のポリエチレンが、1000個の炭素原子あたり30から75個の短鎖分岐を有する、実施形態A、B、C、DまたはEのポリエチレン組成物。
【0266】
実施形態G.第2のポリエチレンがエチレンホモポリマーである、実施形態A、B、C、D、EまたはFのポリエチレン組成物。
【0267】
実施形態H.第3のポリエチレンがエチレンコポリマーであり、1000個の炭素原子あたり5から30個の短鎖分岐を有する、実施形態A、B、C、D、E、FまたはGのポリエチレン組成物。
【0268】
実施形態I.第1のポリエチレンが75,000から175,000の重量平均分子量、Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、GまたはHのポリエチレン組成物。
【0269】
実施形態J.第2のポリエチレンが25,000から80,000の重量平均分子量、Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、HまたはIのポリエチレン組成物。
【0270】
実施形態K.第3のポリエチレンが80,000から2000,000の重量平均分子量、Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、IまたはJのポリエチレン組成物。
【0271】
実施形態L.第1のポリエチレンが0.860から0.916g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKのポリエチレン組成物。
【0272】
実施形態M.第2のポリエチレンが0.940から0.980g/cmの密度を有するエチレンホモポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、KまたはLのポリエチレン組成物。
【0273】
実施形態N.第3のポリエチレンが0.880から0.936g/cmの密度を有するエチレンコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、LまたはMのポリエチレン組成物。
【0274】
実施形態O.第1のポリエチレンが5から60重量%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、MまたはNのポリエチレン組成物。
【0275】
実施形態P.第2のポリエチレンが5から60重量%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、NまたはOのポリエチレン組成物。
【0276】
実施形態Q.第1のポリエチレンが15から60重量%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、MまたはNのポリエチレン組成物。
【0277】
実施形態R.第2のポリエチレンが10から50重量%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、NまたはOのポリエチレン組成物。
【0278】
実施形態S.第3のポリエチレンが10から50wt%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、またはRのポリエチレン組成物。
【0279】
実施形態T.第1のポリエチレンが25から50重量%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、MまたはNのポリエチレン組成物。
【0280】
実施形態U.第2のポリエチレンが20から40wt%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、QまたはTのポリエチレン組成物。
【0281】
実施形態V.第3のポリエチレンが20~40wt%で存在する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、TまたはUのポリエチレン組成物。
【0282】
実施形態W.第1のポリエチレンは、少なくとも75重量%のCDBI50を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、UまたはVのポリエチレン組成物。
【0283】
実施形態X.第3のポリエチレンは、75重量%未満のCDBI50を有するコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、VまたはWのポリエチレン組成物。
【0284】
実施形態Y.第1のポリエチレンは均一に分岐したエチレンコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはXのポリエチレン組成物。
【0285】
実施形態Z.第3のポリエチレンは、不均一に分岐したエチレンコポリマーである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、XまたはYのポリエチレン組成物。
【0286】
実施形態AA。第1のポリエチレンは、シングルサイト触媒で作られている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、YまたはZのポリエチレン組成物。
【0287】
実施形態BB。第2のポリエチレンはチーグラー・ナッタ触媒で作られている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAのポリエチレン組成物。
【0288】
実施形態CC。第3のポリエチレンはチーグラー・ナッタ触媒で作られている、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AAまたはBBのポリエチレン組成物。
【0289】
実施形態DD。ポリエチレン組成物は、2.3から6.0の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BBまたはCCのポリエチレン組成物。
【0290】
実施形態EE。ポリエチレン組成物は、2.3から4.5の分子量分布Mw/Mnを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BBまたはCCのポリエチレン組成物。
【0291】
実施形態FF。ポリエチレン組成物は、<0.935g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DDまたはEEのポリエチレン組成物。
【0292】
実施形態GG。ポリエチレン組成物は、0.880から0.932g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DDまたはEEのポリエチレン組成物。
【0293】
実施形態HH。ポリエチレン組成物は、0.1から3.0dg/分のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FFまたはGGのポリエチレン組成物。
【0294】
実施形態II。ポリエチレン組成物は、3.0未満のMz/Mwを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GGまたはHHのポリエチレン組成物。
【0295】
実施形態JJ。ポリエチレン組成物は、15から50のメルトインデックス比、I21/Iを有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HHまたはIIのポリエチレン組成物。
【0296】
実施形態KK。ポリエチレン組成物は、5.5重量パーセント以下のヘキサン抽出可能値を有する、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、IIまたはJJのポリエチレン組成物。
【0297】
実施形態LL。実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、II、JJまたはKKのポリエチレン組成物を含む、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層。
【0298】
実施形態MM。フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定されたときに、≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有する、実施形態LLのフィルム層。
【0299】
実施形態NN。フィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定されたときに、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有する、実施形態LLまたはMMのフィルム層。
【0300】
実施形態OO。フィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定したときに、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、実施形態LL、MMまたはNNのフィルム層。
【0301】
実施形態PP。実施形態LL、MM、NNまたはOOのフィルム層であって、フィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定された場合、100インチあたり600cm以上の酸素透過率(OTR)を有する。
【0302】
実施形態QQ。実施形態LLのフィルム層であって、フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≦90℃のシール開始温度(SIT)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧160ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有し、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に100インチあたり≧600cmの酸素透過率(OTR)を有する。
【0303】
実施形態RR。厚さが0.5~10ミルのフィルム層であって、当該フィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≦90℃のシール開始温度(SIT)を有する。
【0304】
実施形態SS。厚さが0.5~10ミルのフィルム層であって、当該フィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧160ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
【0305】
実施形態TT。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であって、当該フィルム層は、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に100インチあたり≧600cmの酸素透過率(OTR)を有する。
【0306】
実施形態UU。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であり、フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧200MPaの機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合に100インチあたり≧600cmの酸素透過率(OTR)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≦90℃のシール開始温度(SIT)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に≧160ニュートン・℃のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する。
【0307】
実施形態VV。実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、II、JJ、またはKKのポリエチレン組成物を含むフィルムであって、次の関係を満たすフィルム:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0308】
実施形態WW。実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、II、JJまたはKKのポリエチレン組成物を含むフィルムであって、次の関係を満たすフィルム:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0309】
実施形態XX。実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、II、JJまたはKKのポリエチレン組成物を含むフィルムであって、次の関係を満たすフィルム:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0310】
実施形態YY。実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、HH、II、JJ、またはKKのポリエチレン組成物を含むフィルムであって、次の関係を満たすフィルム:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される、
Ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される、そして
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0311】
実施形態ZZ。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であり、フィルム層が以下の関係を満たすフィルム層:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0312】
実施形態AAA。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であり、フィルム層が以下の関係を満たすフィルム層:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0313】
実施形態BBB。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であり、フィルム層が以下の関係を満たすフィルム層:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0314】
実施形態CCC。厚さが0.5から10ミルのフィルム層であり、フィルム層が以下の関係を満たすフィルム層:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;そして
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0315】
実施形態DDD。0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層に製造されたときに、以下の関係を満たすポリエチレン組成物:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;そして
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
【0316】
産業上の利用可能性
エチレン共重合体から作られたプラスチックフィルムは、食品包装などの用途に使用される。本開示は、フィルムにブローされたときに(インフレーションフィルムにされたときに)、高い剛性、良好な酸素透過性、および顕著な密封性を有するポリエチレン組成物を提供する。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
以下を含むポリエチレン組成物:
エチレンコポリマーである5から80重量%の第1のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、<2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり5から100の短鎖分岐を有する、第1のポリエチレン;
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第2のポリエチレンであって、15,000から100,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から20個の短鎖分岐を有する、第2のポリエチレン;及び
エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマーである5から80重量%の第3のポリエチレンであって、70,000から250,000の重量平均分子量Mw、>2.3の分子量分布Mw/Mn、および炭素原子1000個あたり0から35個の短鎖分岐を有する、第3のポリエチレン;
しかも、第1のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB PE-1 )の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB PE-2 )の数及び第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB PE-3 )の数よりも多い;
第3のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB PE-3 )の数は、第2のポリエチレンの炭素原子1000個あたりの短鎖分岐(SCB PE-2 )の数よりも多い、そして
第2のポリエチレンの重量平均分子量は、第1のポリエチレンおよび第3のポリエチレンの重量平均分子量よりも小さい;
しかも、密度が0.939g/cm 以下、メルトインデックスI が0.1~10dg/minであり、結晶化溶出分別(CEF)分析で少なくとも10重量パーセントの可溶性画分を有する、前記のポリエチレン組成物。
[2]
前記ポリエチレン組成物が、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)においてユニモダルプロファイルを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[3]
前記ポリエチレン組成物が、結晶化溶出分別(CEF)分析において少なくとも15重量パーセントの可溶性画分を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[4]
前記ポリエチレン組成物が、125℃を超える示差走査熱量測定(DSC)分析において融解ピーク温度を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[5]
前記ポリエチレン組成物が、示差走査熱量測定(DSC)分析において2つの融解ピークを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[6]
前記第1のポリエチレンが、1000個の炭素原子あたり30から75個の短鎖分岐を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[7]
前記第2のポリエチレンがエチレンホモポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[8]
前記第3のポリエチレンがエチレンコポリマーであり、1000個の炭素原子あたり5から30個の短鎖分岐を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[9]
前記第1のポリエチレンが、75,000から175,000の重量平均分子量、Mwを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[10]
前記第2のポリエチレンが、25,000から80,000の重量平均分子量、Mwを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[11]
前記第3のポリエチレンが、80,000から200,000の重量平均分子量、Mwを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[12]
前記第1のポリエチレンが、0.860から0.916g/cm の密度を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[13]
前記第2のポリエチレンが、0.940から0.980g/cm の密度を有するエチレンホモポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[14]
前記第3のポリエチレンが、0.880から0.936g/cm の密度を有するエチレンコポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[15]
前記第1のポリエチレンが5から60重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[16]
前記第2のポリエチレンが5から60重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[17]
前記第1のポリエチレンが15から60重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[18]
前記第2のポリエチレンが10から50重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[19]
前記第3のポリエチレンが10から50重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[20]
前記第1のポリエチレンが25から50重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[21]
前記第2のポリエチレンが20から40重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[22]
前記第3のポリエチレンが20から40重量%で存在する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[23]
前記第1のポリエチレンが少なくとも75重量%のCDBI 50 を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[24]
前記第3のポリエチレンが、75重量%未満のCDBI 50 を有するコポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[25]
前記第1のポリエチレンが均一に分岐したエチレンコポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[26]
前記第3のポリエチレンが不均一に分岐したエチレンコポリマーである、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[27]
前記第1のポリエチレンがシングルサイト触媒で作られている、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[28]
前記第2のポリエチレンがチーグラー・ナッタ触媒で作られている、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[29]
前記第3のポリエチレンがチーグラー・ナッタ触媒で作られている、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[30]
前記ポリエチレン組成物が、2.3から6.0の分子量分布Mw/Mnを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[31]
ポリエチレン組成物が、2.3から4.5の分子量分布Mw/Mnを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[32]
ポリエチレン組成物が<0.935g/cm の密度を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[33]
前記ポリエチレン組成物が、0.880から0.932g/cm の密度を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[34]
前記ポリエチレン組成物が、0.1から3.0dg/分のメルトインデックスI を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[35]
前記ポリエチレン組成物が、3.0未満のMz/Mwを有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[36]
ポリエチレン組成物が15から50のメルトインデックス比I 21 /I を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[37]
ポリエチレン組成物が、5.5重量パーセント以下のヘキサン抽出可能値を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[38]
[1]に記載のポリエチレン組成物を含む、0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層。
[39]
フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定されたときに、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有する、[38]に記載のフィルム層。
[40]
前記フィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定されたときに、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有する、[38]に記載のフィルム層。
[41]
フィルム層が、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合に、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、[38]に記載のフィルム層。
[42]
前記フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチ あたり600cm 以上の酸素透過率(OTR)を有する、[38]に記載のフィルム層。
[43]
フィルム層が、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有し、および、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチ あたり600cm 以上の酸素透過率(OTR)を有する、[38]に記載のフィルム層。
[44]
厚さ0.5~10ミルのフィルム層であって、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有する、前記のフィルム層。
[45]
厚さ0.5~10ミルのフィルム層であって、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、前記のフィルム層。
[46]
0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、および、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチ あたり600cm 以上の酸素透過率(OTR)を有する、前記のフィルム層。
[47]
0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、200MPa以上の機械方向(MD)1%セカントモジュラスを有し、約1ミルのフィルム厚さで測定した場合、100インチ あたり600cm 以上の酸素透過率(OTR)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、90℃以下のシール開始温度(SIT)を有し、約2ミルのフィルム厚さで測定した場合、160ニュートン・℃以上のホットタックウィンドウの面積(AHTW)を有する、前記のフィルム層。
[48]
[1]に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす、前記のフィルム:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[49]
[1]に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす、前記のフィルム:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[50]
[1]に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす前記のフィルム:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[51]
[1]に記載のポリエチレン組成物を含むフィルムであって、以下の関係を満たす前記のフィルム:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[52]
0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たす前記のフィルム層:
ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[53]
厚さが0.5~10ミルのフィルム層であって、次の関係を満たす前記のフィルム層:
酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[54]
0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たす前記のフィルム層:
シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[55]
0.5から10ミルの厚さを有するフィルム層であって、以下の関係を満たすフィルム層:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
[56]
0.5~10ミルの厚さのフィルム層にした場合、次の関係を満たすポリエチレン組成物:
i)ホットタックウィンドウの面積(AHTW)>-2.0981(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+564.28;
ここで、AHTWは、約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;
ii)酸素透過率(OTR)>-5.4297(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+1767.8;
ここで、OTRは、約1ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)1%セカントモジュラスは、約1ミルの膜厚で測定される;及び
iii)シール開始温度(SIT)<0.366(機械方向(MD)1%セカントモジュラス)+22.509;
ここで、SITは約2ミルの膜厚で測定され、機械方向(MD)の1%セカントモジュラスは約1ミルの膜厚で測定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8