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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20240111BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H05K3/28 G
H05K1/18 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021519779
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2019074269
(87)【国際公開番号】W WO2020074201
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102018217349.4
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519453607
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ルムリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヘッケル
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ザウアービーア
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ボック
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ホルンベルガー
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502279(JP,A)
【文献】特開2004-281999(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016225727(DE,A1)
【文献】特開2007-305740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/18
H05K3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(1)であって、前記回路基板(1)は少なくとも、
いくつかの回路基板層(L1~Ln)を備える担体要素(1.1)と、
いくつかの電子部品(3)と、
いくつかの熱的インターフェース(T)と、
いくつかの電気的インターフェース(E)と、
を含み、
前記電子部品(3)は直接的に、少なくとも、複数の表面側の1つの表面側(S1)で、前記担体要素(1.1)上に配置され、
前記担体要素(1.1)の反対側の表面側(S2)はポテンシャルフリーに形成され、
前記電子部品(3)を備える前記回路基板(1)は、前記電子部品(3)が機械的に安定し、かつ前記熱的インターフェース(T)および/または前記電気的インターフェース(E)に被覆材料(2)が設けられていないように、前記被覆材料(2)によって覆われており、
前記電気的インターフェース(E)は、前記回路基板(1)における切り欠き(5)を介してのみ、外部からアクセス可能であるように構成されており、
前記電気的インターフェース(E)として、少なくとも1つのテストポイント(9)が、内部の回路基板層(L1~Ln)に配置されており、
少なくとも1つの前記テストポイント(9)が、電気信号を交換するために、内部の導体トラックを介して前記電子部品(3)と接続されており、
テストケースにおいて、少なくとも1つの前記テストポイント(9)は、関連する前記切り欠き(5)を介して、データアクセスのためにアクセス可能である、
回路基板(1)。
【請求項2】
前記被覆材料(2)は熱硬化性材料である、請求項1記載の回路基板(1)。
【請求項3】
前記被覆材料(2)は少なくとも1mmの厚さを有している、請求項1または2記載の回路基板(1)。
【請求項4】
前記担体要素(1.1)に、貫通穴、特にメタライジングされた貫通穴(7)および/またはビア(8)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【請求項5】
前記貫通穴(7)および/または前記ビア(8)はそれぞれ少なくとも終端部で、前記回路基板(1)の複数の表面側の1つの表面側(S2)の領域において、深さ制御されたカウンターボア(14)に移行し、前記カウンターボア(14)は、関連する前記貫通穴(7)もしくは前記ビア(8)と比べて、より大きい直径を有している、請求項4記載の回路基板(1)。
【請求項6】
複数の前記貫通穴(7)の少なくとも1つの貫通穴は、少なくとも1つの終端側で、深さ制御されたカウンターボア(14)と共に形成されている、請求項4または5記載の回路基板(1)。
【請求項7】
前記熱的インターフェース(T)は、ポテンシャルフリーの前記表面側(S2)に、精製された、特に錫メッキ、金メッキまたは銀メッキされた銅の面(4)として形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【請求項8】
高い熱出力を伴う前記電子部品(3)の下方に、少なくとも1つの除熱面(10)が、少なくとも1つの内部の回路基板層(L1~Ln)に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【請求項9】
電子部品(3)として、少なくとも1つの能動部品、受動部品および/またはマイクロプロセッサが設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【請求項10】
センサーおよび/またはプラグ(12)が、複数の表面側の少なくとも1つの表面側(S1,S2)にさらに配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【請求項11】
前記回路基板(1)の表面領域に、避雷針およびESD保護手段である少なくとも1つの保護面(15)が形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の回路基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、特に、たとえば車両内の制御機器等の電子部品のための、または自動車分野における使用のための回路基板に関する。
【0002】
従来の電子部品、たとえばトランスミッション制御機器等の、エンジンコンパートメントに配置するための自動車の制御機器は、通常、ベースプレートに配置され、ハウジングによって包囲される。ここでこのハウジングは、ハーメチックに密閉して形成されていてよい。ハウジングは、たとえば、それを通ってコンタクトピンが外部へ導かれる金属ハウジングであってよい。これによって、電子部品の外部空間と内部空間との間に接続が形成される。コンタクトピンを、たとえば、可撓性の回路基板またはリードフレームと導電性に接続することができ、したがって、さらなる機能要素へ導くことができる。
【0003】
本発明の課題は、たとえば、環境的干渉変数および電気的干渉変数を回避するために、従来技術に比べて改善された、電子部品用の回路基板を提示することである。
【0004】
上述の課題は、請求項1に記載された特徴によって、本発明に従って解決される。
【0005】
有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
回路基板は少なくとも、いくつかの回路基板層を備える担体要素と、いくつかの電子部品と、いくつかの熱的インターフェースと、いくつかの電気的インターフェースとを含んでおり、電子部品は直接的に、少なくとも、複数の表面側の1つの表面側で、担体要素上に配置されており、担体要素の反対側の表面側はポテンシャルフリー(potentialfrei)に形成されており、電子部品を備える回路基板は、電子部品が機械的に安定し、かつ熱的インターフェースおよび/または電気的インターフェースに被覆材料が設けられていないように、被覆材料によって覆われている。
【0007】
本発明によって得られる利点は、特に、そのような、ハウジングのない回路基板が、静電気放電および不所望な電気的干渉または電磁的干渉に対してロバストに形成されているということである。さらに、このような、ハウジングのない回路基板は、傷がつきにくいように形成されている。被覆材料はここで、電子部品および回路基板のための保護層および支持層を形成する。サブアセンブリだけでなく、広範囲に、回路基板全体が、インターフェースを除いて、被覆材料によって覆われているまたは被覆されている。択一的に、電力部品等の個々の電子部品のみが被覆材料によって包囲されていてよく、ここで、インターフェースには被覆材料が設けられていない。
【0008】
熱的インターフェースを、たとえば、回路基板の表面側に形成することができ、かつ熱的インターフェースには被覆材料が設けられていない。この場合、熱的インターフェースは、特に、電力部品とは反対側の、回路基板の表面側に配置されている、または形成されている。付加的または択一的に、これらを、電力部品に面する表面側に配置または形成することができる。特に、熱的インターフェースを、電力部品の下方に、回路基板の対応する表面側に、配置または形成することができる。
【0009】
電気的インターフェースは特に内部に形成されており、回路基板における切り欠きを介して外部からアクセス可能である。この場合、電気的インターフェースは、表面側で、かつ/または外部から、アクセス可能であるように形成されていてよい。
【0010】
この場合、回路基板はハウジングなく、安価に形成される。したがって、コストのかかるハウジングを省くことができる。
【0011】
さらに、回路基板は、表面側で、少なくとも、複数の表面側の1つの表面側で、特に電子部品とは反対側の表面側でポテンシャルフリーに形成されている。
【0012】
電気的インターフェースは、内部で、複数の回路基板層の少なくとも1つの回路基板層内に、かつ/または複数の回路基板層の少なくとも1つの回路基板層上に形成されており、かつ/またはたとえば、1つまたは複数の回路基板層にまたがって延在する、部分的または完全な通路線路として形成されている。その結果、熱硬化性樹脂等の被覆材料に機械的損傷が発生し得る場合でも、短絡または接触が回避される。さらに、内部の電気的インターフェースは、外部からの不所望なアクセスから保護されている。したがって、特に制御機器の場合、表面側で、電気信号がタップされる、かつ/または供給されることはない。これによって、回路基板に実装された制御部は、外部のデータアクセス、特に再プログラミングおよび/またはデータ盗難から保護されている。
【0013】
熱的インターフェースは、ポテンシャルフリーの面として、たとえば精製された、特に錫メッキ、銀メッキ、または金メッキされた銅の面として、回路基板の複数の表面側の1つの表面側に形成されている。これによって、電子部品を容易に、ひいては安価に除熱することができる。
【0014】
被覆材料は、たとえば、熱硬化性材料である。被覆材料は、特に担体要素の材料および/または膨張係数に合うように調整されている。さらに、電子部品および/または回路基板の表面側は、保護層としてのはんだレジストで覆われていてよい。ここではんだレジストは、被覆材料の下方、つまり被覆材料の前に、回路基板上に被着されている。被覆材料を任意の厚さで被着させることができる。十分な支持機能を実現するために、被覆材料は1mmの最低厚さで被着されている。
【0015】
さらに、担体要素に、銅の面が備えられている貫通穴(たとえば、いわゆるバックドリル穴またはHDI技術)を設けることができる。言い換えれば、各貫通穴の内部表面は、メタライジング(metallisierten)されている貫通穴として形成されており、たとえば、熱的インターフェースおよび/または電気的インターフェースを形成するために銅が設けられている。メタライジングされている貫通穴は、回路基板内のビア(vertical interconnect accesses)を実現し、さらに回路基板の回路基板層のより良好な一体性、ならびにより良好な熱放散を可能にする。ここで貫通穴には、電子部品の反対側の、回路基板の表面側で、凹部、特に深さ制御された穴が設けられている。ここで貫通穴は、終端側の凹部よりも小さい直径を有している。凹部は、これが回路基板の最後の内部の導体層から間隔を有しているように、深さ制御された穴によって導入されている。凹部の領域におけるメタライゼーションは、この穴を通じて除去される。したがって、静電シンクが容易に提供され、これによって、回路基板は、背面での短絡から保護されている。さらに、凹部が樹脂材料で充填されていてよい。
【0016】
別の実施形態では、ポテンシャルフリーの表面側上の熱的インターフェースは、精製された、特に銀メッキ、金メッキ、または錫メッキされた銅の面として形成されている。
【0017】
さらに、たとえば抵抗器、変圧器、電力変換器、バッテリー等の高い熱的出力を有する電子部品の下方に、少なくとも1つの除熱面が、たとえば、その下方に位置する回路基板の表面側に、かつ/または少なくとも1つの内部の回路基板層内に配置されていてよい。特に、回路基板の表面側で、底面側の面または背面側の面をサーマルシンクとして提供することができる。これらの電子部品、特に電力部品が、メタライジングされている複数の貫通穴または通路の上方に配置されていてもよい。このような内部の除熱面と、熱放散器としてのメタライジングされている複数の貫通穴とによって、関連する電子部品の除熱を迅速かつ容易に行うことができる。終端側で、メタライジングされている貫通穴または通路は、回路基板の表面側の領域において切り欠きされており、被覆材料が設けられていない。さらに、これらを部分的に樹脂材料で充填することができる。
【0018】
ある実施形態では、電気的インターフェースとして、少なくとも1つのテストポイントが、内部の回路基板層に配置されており、ここで隣接する内部の回路基板層および/または接している上部の回路基板層は、テストポイントの領域において切り欠きされている、かつ/または回路基板の接している表面側には被覆材料が設けられていない。有利には、1つもしくは複数のテストポイント開口部が、回路基板の下面に設けられており、これによって、内部のテストポイントへのアクセスが可能になる。有利な実施形態では、テストポイントは、回路基板の表面側に最も近い、回路基板の導電層上に配置されている。テストポイントの領域では、このテストポイントに最も近い、回路基板のこの表面側には、被覆材料および/または保護層材料が設けられていない。
【0019】
さらなる実施形態では、テストポイントは外部に対して開かれておらず、自由にアクセス可能ではなく、したがって閉じられている。たとえば、テストポイント開口部は樹脂材料によって閉じられている。択一的に、内部のテストポイントと回路基板の表面側との間に回路基板材料が配置されている。次にテストケースにおいて、樹脂材料もしくは回路基板材料が除去される。これによって、コストのかかる被覆材料の除去が省かれる。次に、テストのために、隣接または接している回路基板層が開かれる、または樹脂材料が除去される。たとえば、テストポイントの露出は機械的に、穴開けまたはレーザーによって行われる。
【0020】
たとえば、テストポイントは、データアクセスのための、そのような、外部に開かれた切り欠きを介してアクセスされる。特に、そのようなテストポイントは、最後から2番目の回路基板層、特に最後の導体面または導体層に配置されており、その上の領域には、回路基板の表面側の方向において、被覆材料および/または保護層材料が設けられていない。テストポイントだけが回路基板材料および/または樹脂材料によって重畳されている。
【0021】
テストポイントは、電気信号を交換するために、内部の導体トラックを介して電子部品と接続されている。これによって、被覆材料および/または保護層を除去または取り去る必要なく、回路基板の制御部の電気信号に容易にアクセスすることが可能になる。たとえば、上部の回路基板層上のX方向およびY方向における各テストポイントの位置または場所は、これを通じて切り欠きされる。
【0022】
さらに、避雷器面および/またはESD保護面として形成されている保護面を組み込むことができる。たとえば、回路基板の表面側に保護面が配置されていてよい。複数の除熱面の1つの除熱面が、保護面および/または電気的インターフェースとして形成されていてもよい。
【0023】
電子部品として、少なくとも1つの能動部品、電力部品、受動部品および/またはマイクロプロセッサが設けられている。さらに、センサーおよび/またはプラグが、複数の表面側の少なくとも1つの表面側に配置されていてよい。
【0024】
本発明の実施例を以降で、図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】被覆材料がかぶせられている回路基板の概略的な斜視図である。
図2】電力部品の領域において被覆材料がかぶせられている回路基板の概略的な断面図である。
図3】被覆材料がかぶせられている回路基板の別の実施形態の概略的な断面図である。
【0026】
すべての図において、対応する部品には同じ参照記号が付けられている。
【0027】
図1は、被覆材料2によって覆われている回路基板1の概略的な斜視図を示している。
【0028】
図2は、電力部品の領域において、部分的に被着された被覆材料2を備えた、択一的な回路基板1の断面図を示している。
【0029】
回路基板1は、電子部品または電子機械部品、たとえば、航空宇宙技術または自動車部門、特に車両における制御機器に適している。
【0030】
回路基板1は、いくつかの回路基板層L1~Lnを有する少なくとも1つの担体要素1.1を含んでいる。さらに、回路基板1は、いくつかの電子部品3、たとえば電力部品、マイクロプロセッサ、コンデンサ、抵抗器、メモリ、トランジスタ等を含んでいる。
【0031】
担体要素1.1は、特に基板材料、特に耐燃性の複合材料および難燃性の複合材料、たとえばエポキシ樹脂およびFR-4材料(難燃材)等のガラス繊維布から形成されている。各回路基板層L1~Lnは、導体トラック、メタライジングされている面等を含んでいる。
【0032】
少なくとも1つの能動部品および/または受動部品を電子部品3として設けることができる。付加的に、センサーおよび/またはプラグ12(図3に示されている)を、複数の表面側S1、S2の少なくとも1つに配置することができる。択一的にプラグ12を、回路基板1の側面に配置することができる。
【0033】
さらに、いくつかの熱的インターフェースTおよび/またはいくつかの電気的インターフェースEが設けられている。
【0034】
電子部品3は、たとえば、直接的に、少なくとも、担体要素1.1の複数の表面側の1つの表面側S1に配置されている。図示された実施例では、電子部品3は上側の表面側S1に配置されている。
【0035】
担体要素1.1の反対側の表面側S2は、ポテンシャルフリーに形成されている。このために、回路基板1に被覆材料が設けられていてよい。択一的に、回路基板1には、図2に示されるように、下側の表面側S2に、被覆材料2が設けられていなくてよい。
【0036】
電子部品3を備える回路基板1は、電子部品3が機械的に安定し、かつ熱的インターフェースTおよび/または電気的インターフェースEに被覆材料2が設けられていないように、被覆材料2によって覆われている。
【0037】
択一的に、電子部品3を、表面側S1およびS2の両方に配置することができる。
【0038】
したがって、被覆材料2は、電子部品3および部分的に回路基板1のための保護層および支持層を形成する。ここで被覆材料2は、すべての電子部品3を覆うことができる。回路基板1の空いている面も被覆材料2で覆われていてよい。熱的インターフェースTおよび/または電気的インターフェースEが位置する領域には、被覆材料2が設けられていない。
【0039】
より良好な熱放散を可能にするために、回路基板1の表面側に形成されている熱的インターフェースTには、被覆材料2が設けられていない。熱的インターフェースTは、ポテンシャルフリーの面として形成されている。たとえば、熱的インターフェースTは、回路基板1の1つまたは複数の表側面S1もしくはS2に、精製された銅の面4として形成されている。これによって、容易に電子部品3の除熱を行うことができる。有利には熱的インターエースTは表面側S2に、したがって電力部品として形成されている電子部品3の反対側に配置されている。
【0040】
ここで、電力部品等の、高い出力したがって高い熱出力を伴う電子部品3の下方に、複数の熱的インターフェースTが配置されていてよい。これらは、精製された、たとえば錫メッキ、金メッキ、または銀メッキされた銅の面4を有するメタライジングされている貫通穴7として、または精製された、たとえば錫メッキ、金メッキ、または銀メッキされた銅の面4を有していないメタライジングされている貫通穴7として形成されていてよい。これらの内部の除熱面10(図2に示されている)および熱放散器としての複数のメタライジングされている貫通穴7を通じて、関連する電子部品3の容易かつ迅速な除熱が可能になる。メタライジングされている貫通穴7は、たとえば、回路基板の厚さ全体にわたって、特に電子部品3が配置されている表面側S1から、ポテンシャルフリーに形成されている、反対側の表面側S2まで延在している。電気部品3の反対側の表面側S2では、メタライジングされている貫通穴7が拡張され、たとえば、深さ制御されたカウンターボア14が設けられている。深さ制御されたカウンターボア14の領域においてメタライゼーションが除去されている。
【0041】
貫通穴7は、型流れ、したがってその被着中の被覆材料2の分布を制御し、耐用年数を延ばすために、型の適用(被覆材料2の被着)の前に、たとえば樹脂で充填されてよい。次に、樹脂が再び除去されるので、回路基板1は、表面側S2に、深さ制御されたカウンターボア14を備える貫通穴7の領域において穴を有する。
【0042】
電気的インターフェースEは、特に内部に形成されており、回路基板1における切り欠き5を介して外部からアクセス可能である。テストポイント9を形成する電気的インターフェースEは、外部に対して閉じられていてもよい。これらの切り欠き5が、材料、たとえば樹脂で充填されていても、または回路基板材料によって覆われていてもよい(これは図2に、テストポイント9に関する断面で示されている)。次に、テストケースにおいて、テストポイント9の電気的インターフェースEの上方に位置する領域が開放されてよく、たとえばレーザー加工されてよく、または穴開けされてよい。関連する表面側S1および/またはS2の領域では、電気的インターフェースEには被覆材料2が設けられていない。したがって、たとえば、テストポイント9に到達するために、テスト時に、回路基板材料および/または樹脂材料だけが除去されるべきである。これによって、被覆材料2、特にコーティング材料の、比較的コストのかかる除去を省くことができる。
【0043】
被覆材料2は、たとえば、熱硬化性材料である。
【0044】
被覆材料2による部分的または完全な被覆のため、回路基板1にはハウジングが設けられていない。
【0045】
さらに、回路基板1は表面側で、少なくとも、複数の表面側の1つの表面側S2で、ポテンシャルフリーに形成されている。
【0046】
任意選択的に、電子部品3および/または回路基板1の表面側S1、S2が、たとえば、保護層6としてのはんだレジストで被覆されていてよい。ここで、はんだレジストは、被覆材料2の下方に、したがって回路基板1および/または電子部品3上に直接的に被着されている。被覆材料2は、任意の厚さに被着されてよい。
【0047】
電気的インターフェースEは、実施可能な実施形態において、貫通穴7として形成されていてよい。貫通穴7には、たとえば、金属、特に銅の面が備えられており、特に精製された、たとえば、錫メッキ、金メッキまたは銀メッキされた、かつ/またははんだレジストで覆われた銅の面が備えられている。特に、各貫通穴7の内部表面は、メタライジングされている貫通開口部として形成されており、たとえば、銅が設けられている。そのような電気的インターフェースEは熱放散も可能にし、同時に熱的インターフェースTを形成することができる。
【0048】
電気的インターフェースEの銅の面は、電子部品3の領域において、特に電子部品3の下方に、表面側S1に平坦な面として形成されていてもよい。
【0049】
付加的に、避雷針またはパルス導体として形成されている、精製された銅の面4が下側の表面側S2に設けられていてよい。たとえば、精製された銅の面4は、アースと接続されている。これによって、アース接続が改善され、ひいてはパルス放電(ESD保護/避雷針保護)が改善される。
【0050】
メタライジングされている貫通穴7はさらに、図2に示されているように、回路基板1内のビア8を実現する。さらに、回路基板層L1~Lnへのより良好な一体性ならびにより良好な熱放散が得られる。さらに、メタライジングされていないカウンターボア14を備える、メタライジングされている貫通穴7によって、容易に、回路基板1の下側への信号の遮蔽を行うことができる。
【0051】
回路基板1の下側にある、付加的な、平坦な、精製された銅の面4は、避雷器保護を提供し、これによって、回路基板1は、静電気放電(略してESDと称される)から保護されている。
【0052】
別の実施形態では、電気的インターフェースEとして、少なくとも1つのテストポイント9が、内部の回路基板層L2の中またはその上に配置されている。特に、テストポイント9は、接している、特に下側の表面側S1に最も近い回路基板層Ln-1上に、または下側の表面側S1に接している回路基板層Ln-1上に配置されている。接している下側の回路基板層Ln-1は、テストポイント9の領域において切り欠きされている。たとえば、テストポイント9は、外側へ向けられた切り欠き5を介して、データアクセスのためにアクセス可能である。特に、そのようなテストポイント9は、最後から2番目の、または最後の内部の回路基板層Ln-1上に配置されている。
【0053】
図2は、部分的に被覆材料2がかぶせられている回路基板1の概略的な断面図を示している。
【0054】
図2は、貫通穴7および/またはビア8を示している。これらは、終端側で、回路基板1の表面側S2の領域において、それぞれ、深さ制御されたカウンターボア14(バックドリル穴)に移行する。カウンターボアは、関連する貫通穴7と比べて、より浅い深さと、より大きい直径とを有している。この深さは、最後の内部の回路基板層Ln-1、特に内部の導体トラックに対して間隔が得られるように選択されている。
【0055】
これは、回路基板1の表面側S2に、避雷針またはESDシンクとして形成されている保護面15を有している。このような保護面15は、アースに接続されていてよい。
【0056】
電気的インターフェースEは、外側では、精製された銅の面4として形成されており、内側では、複数の回路基板層L1~Lnの少なくとも1つの回路基板層内にかつ/または上に、かつ/または部分的または完全な通路線路として、特にメタライジングされている貫通穴7として形成されている。メタライジングされている貫通穴7は、たとえば、1つまたは複数の回路基板層L1~Lnにわたって延在していてよい。
【0057】
外側の、精製された銅の面4のいくつかを、錫メッキされた銅の面45として形成することができ、別のものを、錫メッキされた、ポテンシャルフリーの銅の面46として形成することができる。
【0058】
被覆材料2は、その厚さとパラメータとによって、ハウジングされている回路基板よりも優れている。さらに、内部にある電気的インターフェースEは、外部からの不所望なアクセスから保護されている。したがって、特に制御機器の場合に、表面側で、電気信号がタップされることはない、かつ/または供給されることはない。したがって、回路基板1に実装された制御部は、外部のデータアクセスから保護されている。
【0059】
さらに、高い熱出力を伴う電子部品3の下方に、少なくとも1つの除熱面10を、少なくとも1つの内部の回路基板層L1の中または上に配置することができる。
【0060】
テストポイント9は、電気信号を交換するために、内部の導体トラック11を介して電子部品3と接続されている。たとえば樹脂材料または最後の回路基板層Ln-1の回路基板材料によって開口部が外部に対して閉じられている内部の点としてテストポイント9を配置することによって、被覆材料2の除去の代わりに、たとえば樹脂材料および/または任意選択的に最後の回路基板層Ln-1の上でレーザー処置をすることによって、回路基板1の制御部の電気信号へのアクセスを容易に行うことができる。ここで回路基板1の表面側S2には、テストポイント9の領域において被覆材料2が設けられていない。これによって、被覆材料2のコストのかかる除去を省くことができる。
【0061】
別の実施形態では、ポテンシャルフリーの表面側S2上の熱的インターフェースTは、精製された、特に銀メッキ、金メッキ、または錫メッキされた銅の面4として形成されている。
【0062】
図3は、被覆材料20がかぶせられている回路基板1’のさらなる実施形態の概略的な断面図を示している。回路基板1’は、複数の電子部品30を有している。さらに、回路基板1’は、被覆材料20によって少なくとも部分的に包囲され、支持されているプラグ12を有している。プラグ12は、担体要素10.1に直接的に配置されている。
【0063】
電子部品30は、担体要素10.1の1つの表面側S1に配置されている。プラグ12は、特に、担体要素10.1の、これとは反対側の表面側S2に配置されている。
【0064】
プラグ12のコンタクト12.1、12.2は、回路基板1’の担体要素10.1と直接的に結合されている。たとえば、担体要素10.1に面する、コンタクト12.1、12.2の端部は、担体要素10.1の電気的インターフェースEに差し込まれ、固定されている。
【0065】
さらに、被覆材料20に、貫通している開口部13が設けられていてよい。このような貫通している開口部13によって、回路基板1’が、たとえばモーターユニットまたはトランスミッションユニットの詳細には示されていない機器のハウジングまたは壁部に配置されていてよい。回路基板1’の電子部品30は、たとえば、接続されている状態で、たとえば電気機械式トランスミッションまたは電気モーター用の制御ユニットを形成する。
【0066】
被覆材料20によって包囲されているそのような回路基板1’は、ハウジングを回避する。包囲されている回路基板1’を、容易に、たとえばネジによって、機器の壁部またはハウジングに固定することができる。言い換えれば、回路基板1または1’は、ハウジングを設けることなく、直接的に、被覆材料2もしくは20から成る包囲部によって取り付け可能であり、たとえばトランスミッションまたはモーター上に、特にそのハウジング上に固定可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,1’ 回路基板
1.1,10.1 担体要素
2,20 被覆材料
3,30 電子部品
4 精製された銅の面
5 切り欠き
6 保護層
7 メタライジングされている貫通穴
8 ビア
9 テストポイント
10 除熱面
11 導体トラック
12 プラグ
12.1,12.2 コンタクト
13 貫通している開口部
14 深さ制御されたカウンターボア
15 保護面
45 錫メッキされた銅の面
46 錫メッキされた、ポテンシャルフリーの銅の面
E 電気的インターフェース
L1~Ln 回路基板層
S1,S2 回路基板の表面側
T 熱的インターフェース
図1
図2
図3