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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】抗菌ポリマー粒子を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/887 20200101AFI20240111BHJP
   C08F 220/34 20060101ALI20240111BHJP
   C08F 220/60 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A61K6/887
C08F220/34
C08F220/60
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021532765
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025572
(87)【国際公開番号】W WO2021010154
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019130228
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慎
(72)【発明者】
【氏名】神野 友樹
(72)【発明者】
【氏名】宮川 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】福與 悠里
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-111219(JP,A)
【文献】特表平10-501264(JP,A)
【文献】特開平10-203005(JP,A)
【文献】特開平10-197831(JP,A)
【文献】特開2005-060668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/34
C08F 220/60
A61K 6/887
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌ポリマー粒子を含む組成物であって、
前記抗菌ポリマー粒子は、抗菌性基を有する単官能モノマー由来の構成単位と、多官能モノマー由来の構成単位を有する架橋コポリマーを含み、
前記抗菌ポリマー粒子の吸水量が3g/g以上であり、
前記抗菌ポリマー粒子のメジアン径が0.2~110μmであり、
歯科用コンポジットレジンである、抗菌ポリマー粒子を含む組成物
【請求項2】
前記抗菌性基を有する単官能モノマーは、一般式
【化1】
(ただし、Rは、メチル基又は水素原子であり、Xは、酸素原子又はイミノ基であり、Rは、炭素数1~20のアルキレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基であり、Rは、炭素数1~20のアルキル基であり、Yは、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン又は硫酸メチルイオンである。)
で表される化合物である、請求項1に記載の抗菌ポリマー粒子を含む組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌ポリマー粒子、抗菌ポリマー粒子を含む組成物及び抗菌ポリマー粒子を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科分野において、歯科用コンポジットレジン等の歯科用組成物に抗菌性を付与するために、抗菌剤が添加されている。
【0003】
特許文献1には、無機フィラーの表面が、特定の構造式で示される化合物から選ばれる少なくとも1つの抗菌性重合性単量体を含む重合性単量体を重合した重合体で被覆される抗菌性フィラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-25218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、抗菌性及び抗菌性の持続性が不十分であるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、抗菌性及び抗菌性の持続性が高い抗菌ポリマー粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、抗菌ポリマー粒子を含む組成物であって、前記抗菌ポリマー粒子は、抗菌性基を有する単官能モノマー由来の構成単位と、多官能モノマー由来の構成単位を有する架橋コポリマーを含み、前記抗菌ポリマー粒子の吸水量が3g/g以上であり、前記抗菌ポリマー粒子のメジアン径が0.2~110μmであり、歯科用コンポジットレジンである、抗菌ポリマー粒子を含む組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、抗菌性及び抗菌性の持続性が高い抗菌ポリマー粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
[抗菌ポリマー粒子]
本実施形態の抗菌ポリマー粒子は、抗菌性基を有する単官能モノマー由来の構成単位と、多官能モノマー由来の構成単位を有する架橋コポリマーを含む。
【0011】
なお、単官能モノマーとは、重合性基を1個有するモノマーを意味し、多官能モノマーとは、重合性基を2個以上有するモノマーを意味する。
【0012】
重合性基としては、例えば、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0013】
ここで、抗菌ポリマー粒子を合成する際に、抗菌性基を有するモノマーとして、抗菌性基を有する多官能モノマーのみを用いると、架橋コポリマーの架橋構造により、抗菌性基が拘束されるため、抗菌ポリマー粒子の抗菌性が低下する。
【0014】
また、抗菌ポリマー粒子を合成する際に、抗菌性基を有する単官能モノマー以外のモノマーとして、多官能モノマーを用いないと、抗菌ポリマー粒子が非架橋コポリマーで構成されるため、抗菌ポリマー粒子の抗菌性の持続性が低下する。
【0015】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子の吸水量は、3g/g以上であり、5g/g以上であることが好ましい。抗菌ポリマー粒子の吸水量が3g/g未満であると、抗菌ポリマー粒子の抗菌性が低下する。
【0016】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子の吸水量は、150g/g以下であることが好ましく、105g/g以下であることがさらに好ましい。本実施形態の抗菌ポリマー粒子の吸水量が150g/g以下であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子が表面に固定されている物品が強靭となることに加え、外観が良好となる。
【0017】
なお、ポリマー粒子とは、ポリマーの粒子を意味し、例えば、ポリマーにより表面が被覆されている無機粒子を含まない。
【0018】
抗菌性基を有する単官能モノマーは、抗菌性基を1個以上有する。
【0019】
抗菌性基としては、例えば、4級アンモニウム塩基等のカチオン性基、ビグアニド基等が挙げられる。これらの中でも、抗菌性の点で、4級アンモニウム塩基が好ましい。
【0020】
抗菌性基を有する単官能モノマーは、一般式
【0021】
【化1】
(ただし、Rは、メチル基又は水素原子であり、Xは、酸素原子又はイミノ基であり、Rは、炭素数1~20のアルキレン基であり、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基であり、Rは、炭素数1~20のアルキル基であり、Yは、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン又は硫酸メチルイオンである。)
で表される化合物であることが好ましい。
【0022】
抗菌性基を有する単官能モノマーの具体例としては、例えば、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート等が挙げられる。
【0023】
上記以外の抗菌性基を有する単官能モノマーの具体例としては、例えば、化学式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【0024】
【化2】
化学式(2)で表される化合物は、例えば、以下のようにして、合成することができる。
【0025】
まず、1-ブロモドデカン、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを量り取り、エタノールに溶解させた後、加熱還流する。次に、減圧濃縮により溶媒を除去した後、真空ポンプを用いて乾燥させ、白色泡状の粗生成物を得る。次に、ヘキサンを用いて、粗生成物を洗浄し、化学式(2)で表される化合物を得る。
【0026】
多官能モノマーは、抗菌性基を有していてもよいし、抗菌性基を有さなくてもよい。
【0027】
抗菌性基を有さない多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート(Bis-GMA)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート等が挙げられる。
【0028】
抗菌性基を有する多官能モノマーは、抗菌性基を1個以上有する。
【0029】
抗菌性基としては、例えば、4級アンモニウム塩基等のカチオン性基、ビグアニド基等が挙げられる。これらの中でも、抗菌性の点で、4級アンモニウム塩基が好ましい。
【0030】
抗菌性基を有する多官能モノマーとしては、例えば、化学式(3)、(4)で表される化合物等が挙げられる。
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
化学式(3)で表される化合物は、例えば、以下の工程1、2により、合成することができる。
【0033】
(工程1)
アルゴン気流下、1-ブロモドデカンを脱水アセトンに添加した後、N-メチルジエタノールアミンを添加して昇温し、撹拌する。次に、生成物を放冷した後、減圧濃縮(濃縮乾固)させ、残渣を得る。次に、残渣にジエチルエーテルを添加した後、撹拌し、固体を得る。次に、ジエチルエーテルを用いて、固体を2回懸濁洗浄した後、乾燥させ、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルドデシルアンモニウムブロミドを得る。
【0034】
(工程2)
アルゴン気流下、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルドデシルアンモニウムブロミド、メタクリル酸2-イソシアナトエチルを脱水アセトンに添加した後、室温で撹拌し、懸濁液を得る。次に、パスツールピペットを用いて、ジラウリン酸ジブチルスズを懸濁液に添加して昇温し、撹拌する。次に、生成物を放冷した後、減圧濃縮(濃縮乾固)させ、オイル状の残渣を得る。次に、残渣にヘプタンを添加した後、エバポレーターを用いて撹拌し、上澄みを廃棄する操作を実施する。次に、ジエチルエーテルを添加した後、エバポレーターを用いて撹拌し、上澄みを廃棄する操作を実施する。次に、アセトンを添加し、溶解させた後、減圧濃縮させ、化学式(3)で表される化合物を得る。
【0035】
化学式(4)で表される化合物は、例えば、以下のようにして、合成することができる。
【0036】
アルゴン気流下、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルドデシルアンモニウムブロミド、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートを脱水アセトンに添加した後、室温で撹拌し、懸濁液を得る。次に、パスツールピペットを用いて、ジラウリン酸ジブチルスズを懸濁液に添加した後、昇温し、撹拌する。次に、生成物を放冷した後、減圧濃縮(濃縮乾固)させ、オイル状の残渣を得る。次に、残渣にジエチルエーテルを添加した後、エバポレーターを用いて撹拌し、上澄みを廃棄する操作を実施する。次に、ヘプタンを添加した後、エバポレーターを用いて撹拌し、上澄みを廃棄する操作を実施する。次に、ジエチルエーテルを添加した後、エバポレーターを用いて撹拌し、上澄みを廃棄する操作を実施した後、減圧濃縮させ、化学式(4)で表される化合物を得る。
【0037】
架橋コポリマーは、抗菌性基を有さない単官能モノマー由来の構成単位をさらに有していてもよい。
【0038】
抗菌性基を有さない単官能モノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
【0039】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子のメジアン径は、0.2~110μmであることが好ましく、0.5~80μmであることがより好ましい。本実施形態の抗菌ポリマー粒子のメジアン径が0.2μm以上であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性がさらに向上し、110μm以下であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性の持続性がさらに向上する。
【0040】
[抗菌ポリマー粒子の製造方法]
本実施形態の抗菌ポリマー粒子の製造方法は、例えば、抗菌性基を有する単官能モノマーと、多官能モノマーを含むモノマー組成物を、重合開始剤の存在下、溶液重合する工程を含む。これにより、抗菌性基を有する単官能モノマー由来の構成単位と、多官能モノマー由来の構成単位を有する架橋コポリマーを含む抗菌ポリマー粒子が得られる。
【0041】
モノマー組成物中の抗菌性基を有する単官能モノマーの含有量は、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましい。モノマー組成物中の抗菌性基を有する単官能モノマーの含有量が5質量%以上であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性が向上し、99質量%以下であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性の持続性が向上する。
【0042】
モノマー組成物中の多官能モノマーの含有量は、1~95質量%であることが好ましく、5~90質量%であることがより好ましい。モノマー組成物中の多官能モノマーの含有量が1質量%以上であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性の持続性が向上し、95質量%以下であると、本実施形態の抗菌ポリマー粒子の抗菌性が向上する。
【0043】
重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
【0044】
溶液重合に用いる溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、水等が挙げられる。
【0045】
なお、モノマー組成物を溶液重合法以外の重合方法で重合してもよい。
【0046】
溶液重合法以外の重合方法としては、例えば、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。
【0047】
[抗菌ポリマー粒子の使用方法及び用途]
本実施形態の抗菌ポリマー粒子を物品の表面に固定すると、物品の表面に抗菌性が付与される。
【0048】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子が表面に固定されている物品としては、例えば、補綴物等の修復物、印象、義歯床等の歯科用品、コンタクトレンズ、カテーテル、インプラント、創傷被覆材、ステント等の医療用品、抗菌シート、まな板、便座、食器等の生活用品等が挙げられる。
【0049】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子が表面に固定されている物品の製造方法は、例えば、本実施形態の抗菌ポリマー粒子を含む組成物を成形する工程を含む。
【0050】
本実施形態の抗菌ポリマー粒子を含む組成物としては、例えば、歯科用コンポジットレジン、歯科用ボンディング材、歯科用コーティング剤、歯科用セメント、歯科用印象材、義歯床用材料等が挙げられる。
【0051】
[歯科用コンポジットレジン]
本実施形態の歯科用コンポジットレジンは、本実施形態の抗菌ポリマー粒子以外に、酸基を有する(メタ)アクリレートと、酸基を有さない(メタ)アクリレートと、重合開始剤と、フィラーを含むことが好ましい。
【0052】
(酸基を有する(メタ)アクリレート)
本明細書及び特許請求の範囲において、(メタ)アクリレートとは、メタクリロイルオキシ基及び/又はアクリロイルオキシ基(以下、(メタ)アクリロイルオキシ基という)を1個以上有する化合物(例えば、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等)を意味する。
【0053】
酸基を有する(メタ)アクリレートは、リン酸基、チオリン酸基又はカルボキシル基を1個以上有することが好ましい。
【0054】
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]ハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニルハイドロジェンホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルプロパン-2-ジハイドロジェンホスフェート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルプロパン-2-フェニルハイドロジェンホスフェート、ビス[5-{2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニル}ヘプチル]ハイドロジェンホスフェート等が挙げられる。
【0055】
チオリン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンチオホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンチオホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンチオホスフェート、5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンチオホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンチオホスフェート、7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンチオホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンチオホスフェート、9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンチオホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンチオホスフェート、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンチオホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンチオホスフェート、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジハイドロジェンチオホスフェート、14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジハイドロジェンチオホスフェート、15-(メタ)アクリロイルオキシペンタデシルジハイドロジェンチオホスフェート、16-(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンチオホスフェート、17-(メタ)アクリロイルオキシヘプタデシルジハイドロジェンチオホスフェート、18-(メタ)アクリロイルオキシオクタデシルジハイドロジェンチオホスフェート、19-(メタ)アクリロイルオキシノナデシルジハイドロジェンチオホスフェート、20-(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンチオホスフェート等が挙げられる。
【0056】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリット酸無水物、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸、1,4-ジ(メタ)アクリロイルオキシピロメリット酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0057】
なお、酸基を有する(メタ)アクリレートは、二種以上を併用してもよい。
【0058】
酸基を有する(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有することが好ましい。これにより、修復部の表面の強度がさらに向上する。
【0059】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の酸基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがさらに好ましい。
【0060】
(酸基を有さない(メタ)アクリレート)
酸基を有さない(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ジ-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、1,3,5-トリス[1,3-ビス{(メタ)アクリロイルオキシ}-2-プロポキシカルボニルアミノヘキサン]-1,3,5-(1H,3H,5H)トリアジン-2,4,6-トリオン、2,2-ビス[4-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)]フェニルプロパン、N,N’-(2,2,4-トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2-(アミノカルボキシ)プロパン-1,3-ジオール〕テトラメタクリレート、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンと2-オキシパノンとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとからなるウレタンオリゴマーの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0061】
酸基を有さない(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有することが好ましい。これにより、修復部の表面の強度がさらに向上する。
【0062】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の酸基を有さない(メタ)アクリレートの含有量は、0.5~90質量%であることが好ましく、10~60質量%であることがさらに好ましい。
【0063】
(重合開始剤)
重合開始剤としては、化学重合開始剤及び/又は光重合開始剤を用いることができる。
【0064】
化学重合開始剤は、酸化剤及び還元剤から構成される。
【0065】
化学重合開始剤を構成する酸化剤としては、例えば、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、過酸化水素、過硫酸塩等が挙げられる。
【0066】
なお、酸化剤は、二種以上を併用してもよい。
【0067】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の酸化剤の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがさらに好ましい。
【0068】
化学重合開始剤を構成する還元剤としては、アミン化合物、スルフィン酸類、チオ尿素類、システイン類、アスコルビン酸類等を用いることができる。
【0069】
アミン化合物としては、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、トリエチルアミン、N-エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物、N-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0070】
スルフィン酸類としては、例えば、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルホニルクロライド、p-トルエンスルホニルフルオライド、o-トルエンスルホニルイソシアネート、p-アセトアミドベンゼンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0071】
チオ尿素類としては、例えば、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N-メチルチオ尿素、N-エチルチオ尿素、N-プロピルチオ尿素、N-ブチルチオ尿素、N-ラウリルチオ尿素、N-フェニルチオ尿素、N-シクロヘキシルチオ尿素、N,N-ジメチルチオ尿素、N,N-ジエチルチオ尿素、N,N-ジプロピルチオ尿素、N,N-ジブチルチオ尿素、N,N-ジラウリルチオ尿素、N,N-ジフェニルチオ尿素、N,N-ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N-アセチルチオ尿素、N-ベンゾイルチオ尿素、1-アリル-3-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオ尿素、1-(2-テトラヒドロフルフリル)-2-チオ尿素等が挙げられる。
【0072】
システイン類としては、例えば、システイン、システインメチル、システインエチル、N-メチルシステイン、N-エチルシステイン、N-アセチルシステイン、N,N-ジメチルシステイン、N,N-ジエチルシステイン、N,N-ジアセチルシステイン、グルタチオン等が挙げられる。
【0073】
アスコルビン酸類としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム等が挙げられる。
【0074】
なお、還元剤は、二種以上を併用してもよい。
【0075】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の還元剤の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがさらに好ましい。
【0076】
光重合開始剤としては、ケトン系化合物、α-ジケトン系化合物、ケタール系化合物、アントラキノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物等を用いることができる。
【0077】
ケトン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0078】
α-ジケトン系化合物としては、例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセナフテンキノン、9,10-フェナントラキノン等が挙げられる。
【0079】
ケタール系化合物としては、例えば、ベンジルケタール、ジアセチルケタール、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルビス(β-フェニルエチル)ケタール、ベンジルビス(2-メトキシエチル)ケタール、4,4’-ジメチル(ベンジルジメチルケタール)等が挙げられる。
【0080】
アントラキノン系化合物としては、例えば、アントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、1-ヒドロキシアントラキノン、1-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1-ブロモアントラキノン等が挙げられる。
【0081】
チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-ニトロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロ-7-トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン-10,10-ジオキシド、チオキサントン-10-オキシド、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライド等が挙げられる。
【0082】
ベンゾインアルキルエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0083】
アシルホスフィンオキシド系化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0084】
なお、光重合開始剤は、二種以上を併用してもよい。
【0085】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の光重合開始剤の含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがさらに好ましい。
【0086】
(光重合促進剤)
本実施形態の歯科用コンポジットレジンが光重合開始剤を含む場合、本実施形態の歯科用コンポジットレジンは、光重合促進剤をさらに含んでいてもよい。
【0087】
光重合促進剤としては、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、トリエタノールアミン、トリルジエタノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の3級アミン、バルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3,5-トリエチルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸等のバルビツール酸誘導体等が挙げられる。
【0088】
なお、光重合促進剤は、二種以上を併用してもよい。
【0089】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の光重合促進剤の含有量は、0.001~5質量%であることが好ましく、0.01~1質量%であることがさらに好ましい。
【0090】
(フィラー)
フィラーは、有機フィラー及び無機フィラーのいずれであってもよいが、無機フィラーであることが好ましい。
【0091】
無機フィラーとしては、例えば、シリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末(例えば、バリウムガラス粉末、ストロンチウムガラス粉末)等が挙げられる。
【0092】
無機フィラーは、必要に応じて、シランカップリング剤等の表面処理剤で処理されていてもよい。
【0093】
なお、フィラーは、二種以上を併用してもよい。
【0094】
(他の成分)
本実施形態の歯科用コンポジットレジンは、重合禁止剤等をさらに含んでいてもよい。
【0095】
重合禁止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、2,6-t-ブチル-2,4-キシレノール等が挙げられる。
【0096】
なお、重合禁止剤は、二種以上を併用してもよい。
【0097】
本実施形態の歯科用コンポジットレジン中の重合禁止剤の含有量は、0.001~1質量%であることが好ましく、0.01~0.1質量%であることがさらに好ましい。
【実施例
【0098】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0099】
[抗菌性基を有する単官能モノマー]
抗菌性基を有する単官能モノマーとして、以下のモノマーを用いた。
【0100】
A:メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(三菱ケミカル製)
B:3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MCCユニテック製)
[多官能モノマー]
多官能モノマーとして、以下のモノマーを用いた。
【0101】
C:化学式(3)で表される化合物
E:ジエチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業製)
[抗菌性基を有さない単官能モノマー]
抗菌性基を有さない単官能モノマーとして、以下のモノマーを用いた。
【0102】
D:メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(新中村化学工業製)
[実施例1~10、比較例1~5]
表1に示す配合量[質量%]で配合したモノマー組成物を、溶媒に溶解させた後、重合開始剤を添加し、窒素雰囲気下、撹拌しながら、昇温し、重合した。このとき、生成した抗菌ポリマーが一定の分子量を超えると、溶媒中に析出し、抗菌ポリマー粒子となった。次に、溶媒を除去し、抗菌ポリマー粒子を得た。
【0103】
なお、抗菌ポリマー粒子の吸水量、メジアン径が所望の値になるように、重合条件を適宜調整した。
【0104】
次に、抗菌ポリマー粒子の吸水量、メジアン径を測定した。
【0105】
[吸水量]
JIS K 7223-1996 高吸水性樹脂の吸水量試験方法に従い、抗菌ポリマー粒子の(単位質量あたりの)吸水量[g/g]を測定した。
【0106】
なお、抗菌ポリマー粒子の粒径が小さく、255メッシュからの抗菌ポリマー粒子の漏れが著しい場合は、255メッシュの代わりに、521メッシュを用いた。
【0107】
また、試験液として、脱イオン水を用い、浸漬時間を3時間とした。
【0108】
[メジアン径]
レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960V2 乾式測定ユニット(HORIBA製)を用い、抗菌ポリマー粒子のメジアン径を測定した。
【0109】
次に、抗菌ポリマー粒子の抗菌性、抗菌性の持続性を評価した。
【0110】
[抗菌性]
<試験片1の作製>
ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート60質量部、トリエチレングリコールジメタクリレート20質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート20質量部を混合して、モノマー組成物を得た。
【0111】
モノマー組成物100質量部に対して、充填剤(メジアン径0.4μmの3-グリシジルオキシトリメトキシシランにより表面処理されているフルオロアルミノシリケートガラスフィラー)150質量部、(±)-カンファーキノン0.2質量部、4-(N,N-ジメチルアミノ)安息香酸エチル0.5質量部、抗菌ポリマー粒子15質量部を添加し、メノウ乳鉢で均一なペーストになるまで混練した後、真空下で脱泡し、コンポジットレジンを得た。
【0112】
コンポジットレジンを歯科用光照射器で硬化させた後、試験面を#4000の耐水研磨紙で研磨し、試験片1とした。
【0113】
<試験片2の作製>
ポリプロピレンペレット95質量部、抗菌ポリマー粒子5質量部を180℃で混合した後、押し出し成形し、試験片2とした。
【0114】
<抗菌性の評価試験>
JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果に従い、試験片1、2の抗菌性を評価した。
【0115】
なお、試験菌として、S.mutans菌を用いた。
【0116】
また、試験片1、2に試験菌を播種する際の培地として、より過酷な状況でも抗菌性を発揮させることを想定して、1/500ブイヨン培地の代わりに、1/10BHI培地を用いた。
【0117】
抗菌性の判定基準は、以下の通りである。
【0118】
優:抗菌活性値が4以上である場合
良:抗菌活性値が2以上4未満である場合
不可:抗菌活性値が2未満である場合
[抗菌性の持続性]
試験片1、2を中性のリン酸緩衝液に1ヵ月間浸漬した後、<抗菌性の評価試験>と同様にして、抗菌性を評価した。
【0119】
表1に、抗菌ポリマー粒子の抗菌性、抗菌性の持続性の評価結果を示す。
【0120】
【表1】
表1から、実施例1~10の抗菌ポリマー粒子は、抗菌性及び抗菌性の持続性が高いことがわかる。
【0121】
これに対して、比較例1の抗菌ポリマー粒子は、抗菌性基を有する単官能モノマー由来の構成単位を有さない架橋コポリマーを含むため、抗菌性が低い。
【0122】
比較例2、4、5の抗菌ポリマー粒子は、吸水量が0.3~2.0g/gであるため、抗菌性が低い。
【0123】
比較例3の抗菌ポリマー粒子は、合成時に多官能モノマーが用いられておらず、非架橋コポリマーで構成されているため、抗菌性の持続性が低い。
【0124】
本願は、日本特許庁に2019年7月12日に出願された基礎出願2019-130228号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。