(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】シャフト炉の内壁を保護する方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/10 20060101AFI20240111BHJP
F27B 1/14 20060101ALI20240111BHJP
F27B 1/24 20060101ALI20240111BHJP
F27D 9/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C21B7/10 301
F27B1/14
F27B1/24
F27D9/00
(21)【出願番号】P 2021533419
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2019085174
(87)【国際公開番号】W WO2020120771
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】マギオリ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ、エスマー
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-217608(JP,A)
【文献】特開2003-171708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B
C21C
F27B
F27D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁が冷却用ステーブの裏張りを含む、シャフト炉の内壁を保護する方法であって、
冷却用ステーブに対してシャフト炉に保護材料を注入するように構成された装置である少なくとも1つの注入装置を、シャフト炉の内壁を介してかつ冷却用ステーブを介して設け、かつ
保護材料を増強してシャフト炉の内部と炉壁冷却用ステーブ裏張りとの間に保護壁を形成するような仕方で、少なくとも1つの注入装置によって保護材料をシャフト炉に
要求に応じて注入する、各工程を含み、
冷却用ステーブのホット面がリブおよび溝を備えた
外形を含み、冷却用ステーブを介して注入装置を設ける工程が、注入装置を冷却用ステーブのホット面の
外形のリブ又は溝に貫通させる工程を含む方法。
【請求項2】
冷却用ステーブは、少なくとも1つの保護レッジを含み、冷却用ステーブを介して注入装置を設ける工程が、保護レッジの上側、貫通して又は下側に注入装置を設ける工程を含む、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
保護材料を注入する工程は、重力によって保護材料で炉壁を被覆する工程を含む、請求項
1又は2に記載された方法。
【請求項4】
保護材料を注入する工程は、炉の動作中に保護材料を注入する工程を含む、請求項
1ないし3のいずれかに記載された方法。
【請求項5】
保護材料を注入する工程は、シャフト炉の内壁に対して所定の角度で保護材料を注入する工程を含む、請求項
1ないし4のいずれかに記載された方法。
【請求項6】
保護材料は、固体材料、流体材料、又は固体および流体材料の組み合わせを含む、請求項
1ないし5のいずれかに記載された方法。
【請求項7】
保護材料は粒状、圧断した又は大きな粒子を含む、請求項
1ないし6のいずれかに記載された方法。
【請求項8】
保護材料は丸い形の粒状材料を含む、請求項
1ないし7のいずれかに記載された方法。
【請求項9】
保護材料は、スラグ、石炭、鉱石、焼結体、耐火材料、ミルスケール又はペレットを含む、請求項1ないし8のいずれかに記載された方法。
【請求項10】
保護材料はシャフト炉に機械的に注入される、請求項9に記載された方法。
【請求項11】
保護材料は流体に注入された保護粉末材料である、請求項1ないし8のいずれかに記載された方法。
【請求項12】
保護粉末は、流体として下位レベルから取り戻される
N
2
又は高炉クリーンガスを含む、請求項11に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高炉等のシャフト炉を作動させる方法に関する。本発明は、特にシャフト炉の内壁を保護する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャフト炉の内壁は、通常、炉の動作中に作用する極端な温度で発生する熱を放散し、炉壁が強烈な熱によって損傷するのを防ぐため冷却用ステーブ(棚、staves)の裏張り(lining)で被覆されている。
【0003】
冷却用ステーブは、一般に銅又は鋼又は合金からなる熱伝導板であり、冷却回路を備え、かつ炉壁に取り付ける接続手段を有する。冷却回路は、冷却用ステーブの内部を通る所望の任意の設計に成る中空経路である。回路には、例えば、炉壁から熱を搬出する冷却用ステーブから抽出される水のような循環冷却流体が供給される。
【0004】
シャフト炉の動作中に、炉壁の一部の領域は他の領域よりもより大きな浸食、損傷および/又は高熱負荷を受ける。現代の高機能(high duty)シャフト炉では、連続した2回の修理間の時間間隔はかなりの程度炉裏張りの摩耗特性で決まり、次にこの摩耗特性は、高温に対する耐久性、化学腐食や機械的摩耗に対する耐久性等の多くの要因および炉の冷却モードにも依存することが分っている。
【0005】
過大な熱量は、冷却用ステーブを弱化し、それらを変形させ、最終的には不可逆的な損傷につながる可能性がある。これらの影響を軽減するためには、高炉プロセスおよび重量材料(burden material)の投入プロファイル(charging profile)を変更してもよい。流動する重量材料の研磨作用に起因する可能性がある冷却用ステーブの過度の浸食は、最終的に冷却回路の周りの露出した金属を除去して冷却流体を炉内部に漏出させる可能性がある。この漏出を止めるための一般的な救済策は、予約されている次の保守作業まで冷却チャネルの流体供給を停止することである。
【0006】
上記の場合、炉の動作を一時的に変更し、かつ更なる損傷を防ぐためにその性能を低下させる必要がある。加えて、上記の解決策は、冷却用ステーブに対して炉の動作に対する悪影響を防ぐための手段は何も提供しない。
【0007】
冷却用ステーブの摩耗を遅延させるために、それは耐火レンガを含む別の裏張りによって保護されることが多い。耐火レンガは理想的な熱伝導性および摩耗に対する耐久性を提供するよう設計されている。それらは冷却回路を含まずかつ冷却用ステーブが露出する前にゆっくりと侵食される。
【0008】
高炉の耐火レンガの裏張りの浸食に対する耐久性を改善するための当技術分野で既知の解決策が存在する。例えば、US 3953007 Aには、液体冷却される冷却板を備えた耐火性の裏張りを施した壁を有するシャフト炉が開示されている。冷却板は第1の熱伝導率を有する耐火レンガの第1層によって炉内部から保護される。第1層はさらに第2の熱伝導率を有する耐火レンガの第2層で部分的に被覆されている。
【0009】
異なる熱伝導率を有するレンガの層を組み合わせることにより、高温の影響をより受ける領域の熱の分布が改善する。より強力な摩耗の影響を受ける他の領域は、摩耗に対するより高い耐久性を持つレンガで被覆されている。
【0010】
既知の解決策は一時的な保護を提供するだけであり、銅のステーブを維持する可能性は提供されない。炉内のステーブ裏張りを保護する解決策は使用される材料の熱や浸食に対する耐久性によって制限され、保守作業中の生産損失を伴う。
【発明の目的】
【0011】
したがって、シャフト炉の壁を保護するための、特にシャフト炉内のステーブ裏張りを保護するための、上記の欠点の無い改良された方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、炉壁が冷却用ステーブの裏張りを含み、冷却用ステーブは炉内部に面したホット面(hot face)を有し、上記ホット面はリブおよび溝を備えた外形を含む、シャフト炉の内壁を保護する方法であって、
冷却用ステーブに対してシャフト炉に保護材料を注入するように構成された装置である少なくとも1つの注入装置を、シャフト炉の内壁を介してかつ冷却用ステーブを介して設け、かつ
保護材料を増強してシャフト炉の内部と炉壁冷却用ステーブ裏張りとの間に保護壁を形成するような仕方で、少なくとも1つの注入装置によって保護材料をシャフト炉に要求に応じて注入する、各工程を含む方法を提案する。
【0013】
本発明による方法は、炉内壁とシャフト炉内を流動する重量材料との間に保護材料の降着層を要求に応じて作成又は変更する方法を提供する。したがって、重量材料の浸食の影響は保護壁を形成する再生可能な降着層にのみ及ぶ。保護壁が損傷すると、保護材料の新しい層を注入することによって、新しい壁を完全に又は部分的に復元することができる。重要なことには、この保守作業は通常の炉の動作中に、即ちシャフト炉内の生産プロセス(production process)を停止、変更、又は妨害することなく行うことができる。注入された材料はこうして炉壁の冷却要素が熱負荷により浸食されおよび変形しないように保護し、そのサービス時間を延長する。
【0014】
なお、注入装置は冷却要素間又はその傍に設けてもよいが、保護材料を冷却要素内に直接注入することで、それをより良好に一体化することができる。
【0015】
好ましくは、冷却用ステーブのホット面はリブおよび溝を備えた外形を含み、かつここでは、冷却用ステーブを介して注入装置を設ける工程は、注入装置を冷却用ステーブのホット面の外形のリブ又は溝に貫通させる工程を含んでいる。
【0016】
本発明による方法の実施形態において、冷却用ステーブは、少なくとも1つの保護レッジ(ledge;保護棚)を含み、ここで、冷却用ステーブを介して注入装置を設ける工程(step)は、保護レッジの真上に注入装置を設ける工程を含む。そこに注入された保護材料は、保護レッジによって保持される。実施形態では、この方法は、保護レッジの直下に注入装置を設ける工程を含む。注入装置はレッジの下側で流動する重量材料から保護され、装置が詰まるおそれを低減する。
【0017】
有利にも、保護材料を注入する工程は、重力によって保護材料で炉壁を被覆する工程を含む。保護壁は、その際重量材料と同じ方向の流れ(flow)として設けてもよい。
【0018】
好ましい実施形態では、保護材料を注入する工程は、炉の動作中に保護材料を注入する工程を含む。保護材料の層は、基本的に一定の最小厚さを維持するように調節されてもよい。注入は降着層の浸食をリアルタイムで補償するために提供される。注入はまたシャフト炉の現在のプロセスパラメータによって変更してもよい。
【0019】
好ましくは、保護材料を注入する工程は、シャフト炉の内壁に対して所定の角度で保護材料を注入する工程を含む。注入角度は、内壁に沿った保護材料の分布を改善するため、注入装置の位置におけるシャフト炉の内壁の実際の傾きに依存してもよい。
【0020】
保護材料は、固体材料、流体材料、又は固体および流体材料の組み合わせを含んでもよい。重量材料が反応しかつ炉床(hearth of the furnace)への流れを変えるので、降着層の効率は、その組成をそれが接触する材料に適応させ、その結果その特性をそれに適応させることで改善することができる。任意の適切なタイプの保護材料を使用して降着層の特性を変更することができる。
【0021】
実施形態において、保護材料は、粒状、圧断した(stamped)又は大きな粒子を含む。注入装置はさらに炉内に注入する材料のタイプに適合させてもよい。
【0022】
保護材料は、例えば、重量材料と炉壁との間に緩衝圧延層(buffer rolling layer)を提供するように、例えば丸い形の粒状材料を含んでもよい。炉壁や冷却用ステーブを重量材料と一緒に流れ落ちるように構成された降着層を設けると、降着層は重量材料による摩耗の影響を吸収するが、炉壁に対するその流れが壁の浸食の要因となる可能性がある。丸い形の粒状材料は、保護材料自体により生じる炉壁の摩耗を制限し得るであろう。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、保護材料は、スラグ、石炭、鉱石(ore)、焼結体(sinter)、耐火材料、ミルスケール(mill scales)又はペレット(pellet)を含む。これらの材料は、また一般的にシャフト炉に投入される重量材料に含まれている。したがって、降着層から除去された保護材料は、シャフト炉内の反応に過度の影響を与えることなく重量材料と混合される。
【0024】
実施形態において、保護材料は流体に注入された保護粉末材料である。重量材料に含み得る要素(elements)を使用するため、保護粉末は、流体として下位レベル(lower level)から取り戻されるN
2
又は高炉クリーンガスを含んでいてもよい。
【0025】
保護材料は、特に固体形態である場合、機械的な注入装置を用いてシャフト炉内に注入される。このような機械的注入装置は、例えば保護材料をシャフト炉内に押し込むピストンを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の更なる細部および利点は、非限定的な実施形態についての、添付図面を参照して行う以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【
図1】本発明の好ましい一実施形態によって提供される注入装置を含む高炉の一部の概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態によって提供される異なる構成の注入装置の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態によって提供される異なる構成の注入装置の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態によって提供される異なる構成の注入装置の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態によって提供される異なる構成の注入装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法の好ましい実施形態は、シャフト炉、一般的には高炉において適用されるものとして説明する。このようなシャフト炉は、
図1に部分的に示されており、鉄とスラグが回収される炉床部(hearth portion)10を有する下部と、炉床部10から上方に延びる概して円筒形の筒状部(barrel)を形成する内壁12を有するシェルを含む。分かりやすくするために、符号14は、動作中重量材料(図示せず)が投入される炉内部容積(furnace interior volume)の一部を表している。
【0028】
図1に示すように、内壁12は異なる直径の部分を含んでいる。シャフト炉は、炉床部10から頂部に掛けて、羽口周縁(tuyere surrounding)16、朝顔部(bosh portion)18、炉腹部(belly portion)20および炉胸部(stack portion)22を含む。さらに、シャフト炉は炉胸部22の上部にシャフト炉内に材料を投入するための炉喉(throat)および投入設備(図示せず)を含んでいる。
【0029】
内壁12は、例えば冷却用ステーブ24などの熱保護要素の裏張りで被覆されている。冷却用ステーブ24は、さらに、内壁12の羽口周縁16および朝顔部18における耐火材料26の裏張りで被覆されている。他の実施形態では、内壁は、異なる裏張り又は耐熱材料および/又は冷却要素を備えた複数の裏張りで被覆されている。
【0030】
冷却用ステーブ24は、羽口周縁16から炉胸部22の頂部まで、隣接するステーブの頂部を重ねて概して列状に配置されている。冷却用ステーブ24は、異なる形状および材料を有し、その中に冷却流体を循環させる冷却回路(図示せず)を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態によるシャフト炉の内壁12を保護する方法は、シャフト炉の内壁12を介して複数の注入装置28を設ける一つの工程を含む。注入装置28は、シャフト炉内に保護材料30を注入するように構成されている。この注入装置28は、有利にもシャフト炉の周囲に、かつ内壁12の全ての部分をカバーするように列状に設けられている。注入装置28の数量および位置は、内壁12の形状および寸法、および使用する注入装置28の種類に応じて変えることができる。
【0032】
注入装置28は、任意の適切な装置を含み、シャフト炉に注入される保護材料の種類に応じて設計できる。この注入装置28は、真っ直ぐな注入ランス(注入槍;injection lance)32と供給装置34を含み、
図1に概略的に示されている。この注入ランス32は、炉内部14に開口端36を含み、かつシャフト炉の供給装置34と内部14との間にカナル(管路;canal)を形成する。供給装置34は、保護材料を貯蔵手段(図示せず)から注入ランス32を通してシャフト炉の内部14に発送するように構成されている。
【0033】
注入装置28は、シャフト炉の外部から提供されかつ内壁12を介して供給される。注入装置28の接続は、例えば溶接などの任意の適切な手段によって得ることができる。
【0034】
図1に示すように、注入ランス32の開口端36は、内壁12内の位置に応じて異なる向きで配置される。この向きは、内壁12のその場所の傾斜に対して適合している。炉の朝顔部18内の内壁12は、シャフト炉の外部に向かって傾斜しており、従って、朝顔の内壁を通る注入ランス32は基本的に水平であることが好ましい。炉腹部20では、内壁12は基本的に垂直であり、かつ注入ランス32の開口端36は水平に対して角度を付して下向きに炉内部14に向って配置されている。炉胸部22では、内壁12はシャフト炉の内部に向かって傾斜し、シャフト炉幅を炉喉まで狭くしている。内壁12のその部分では、注入ランス32はほぼ垂直である。
【0035】
図2~5は、注入ランス32の開口端36が1つの冷却用ステーブ24に対して異なる位置に設けられる異なる実施形態を示す。
【0036】
図2~5では、冷却用ステーブ24は、炉内部に面したホット面40と、シャフト炉の内壁12に面したコールド面(cold face)38を持っている。冷却用ステーブ24のホット面40は、リブ42および溝44を備えた
外形を含む。冷却用ステーブ24のコールド面38は、任意の適切な手段(図示せず)によって内壁12に接続されている。ここでは、コールド面38と内壁12との間に隙間46が設けられている。隙間46は、耐火材料で充填することができる。隙間46は、冷却用ステーブ24と内壁12との間のスペーサ48を含み、冷却用ステーブ24を内壁12から所定の距離に維持するように構成されている。注入ランス32の通路は、耐火材料から注入ランス32を保護するためにスペーサ48内に配置することが好ましい。これらの実施形態では、設備は、内壁12の外側で注入ランス32を案内するのに使用する案内パイプ50をさらに含んでいる。
【0037】
図2~5の4つの実施形態では、注入装置28は、冷却用ステーブ24に基本的に垂直な注入ランス32を備えている。当業者は、注入ランス32の開口端36の位置を変えないで、注入ランス32の向きを異なるものにしてもよいことを理解するであろう。
【0038】
図2に示す実施形態では、注入ランス32は、冷却用ステーブ24を貫通し、ステーブ
外形の溝44に開口している。
【0039】
図3の実施形態では、注入ランス32は、冷却用ステーブ24を貫通し、ステーブ
外形のリブ42に開口している。
【0040】
図4および5の実施形態では、冷却用ステーブ24は、そのホット面40から突出したレッジ52をさらに含む。レッジ52は、一般に、冷却用ステーブ24に沿って重量材料の流れを乱すために設けられている。レッジ52はまた、その上に重量材料を保持し、冷却用ステーブ24を摩耗から保護する局在材料層が形成できるように構成されている。
【0041】
図4の実施形態では、注入ランス32は冷却用ステーブ24を貫通し、レッジ52の上方位置にある冷却用ステーブ24のホット面40に開口している。
【0042】
他方、
図5の実施形態では、注入ランス32は冷却用ステーブ24を貫通し、レッジ52の下方位置にある冷却用ステーブ24のホット面40に開口している。
【0043】
動作中、注入装置28はシャフト炉に保護材料を注入するために使用される。このような注入は、保護材料を増強して炉内部と炉壁との間に保護壁を形成するような仕方で、要求に応じて行うことができる。
【0044】
保護材料30は、ここでは流体キャリアによって搬送される固体材料を含んでいる。固体材料は、シャフト炉内の反応に与える衝撃を制限にするため、例えばスラグ、石炭、鉱石、焼結体、耐火材料、ミルスケール又はペレットを含んでもよい。同じ理由から、流体キャリアは例えば高炉クリーンガス又はN
2
を含んでもよい。
【0045】
保護材料30は一度注入されると、単純に冷却用ステーブ24のホット面40に沿って重力で流れ、内壁12の表面を覆い、それによって冷却用ステーブ24のホット面40上に降着層54を形成する。
図1に示すように、羽口周縁16および朝顔部18において、降着層54は、冷却用ステーブ24を保護又は更に保護するために耐火材料26の裏張り上に形成される。
【0046】
重量材料がシャフト炉に投入されると、それが降着層54に接触することで冷却用ステーブ24への摩耗の影響が抑制される。冷却用ステーブ24上を流れる保護材料30による潜在的な摩耗の影響を最小にするために、保護材料30は、例えば丸い形の粒状材料を含むこととなろう。
【0047】
保護材料30は、冷却用ステーブが重量材料に晒される前に要求に応じてさらに注入される。炉の動作中、重量材料はシャフト炉の炉床に絶えず流れ落ち、この重量材料の流れは保護層の粒子に沿っており、降着層54の厚さを減少させる。従って保護材料30は、重量材料とステーブ24との間の保護層を所定の最小厚さに維持するために、一定流量が注入される。シャフト炉の特定の領域において、降着層54のより急速な薄肉化が検出された場合には、そのような局在化した薄肉化を補うために、選択された注入装置により保護材料の量を増加するように保護材料30の注入が調節される。
【0048】
保護材料30は、注入ランス32の開口端36における重量材料の圧力に応じて、予め定義された圧力でN
2
ガスによって注入することができる。これは、保護材料30が粒状の形態である場合に特に有利である。保護材料30が、スラグ、石炭、鉱石、焼結体、耐火材料、ミルスケール又はペレットなどのより大きな固体形態である場合、保護材料30を機械的に注入することがより有利である。この効果を得るために、注入装置は例えば保護材料をシャフト炉内に押し込むピストンを含んでもよい。
【0049】
実施形態において、保護材料30は、炉内に連続的に注入される材料の固体ブロックを含んでもよい、又は異なる保護材料を連続的に注入してもよい。例えば、この方法は、流体材料の層を注入する第1の工程を含んでもよい。その後、流体材料の層に固体材料を注入する。
【符号の説明】
【0050】
10 炉床部
12 内壁
14 炉内部
16 羽口周縁
18 朝顔部
20 炉腹部
22 炉胸部
24 冷却用ステーブ
26 耐火材料
28 注入装置
30 保護材料
32 注入ランス
34 供給装置
36 開口端
38 コールド面
40 ホット面
42 リブ
44 溝
46 隙間
48 スペーサ
50 案内パイプ
52 レッジ
54 降着層