(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】バキュームワイパー及びバキュームワイパーを有するステンシルプリンター
(51)【国際特許分類】
B41F 15/12 20060101AFI20240111BHJP
B41F 35/00 20060101ALI20240111BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240111BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B41F15/12 A
B41F35/00 C
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
(21)【出願番号】P 2021539042
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 US2020012178
(87)【国際公開番号】W WO2020142684
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】201920015620.0
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ランチエ チョウ
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-138493(JP,A)
【文献】特開2014-200933(JP,A)
【文献】特開2002-059537(JP,A)
【文献】特開2011-073352(JP,A)
【文献】特開2004-237722(JP,A)
【文献】特開2007-290159(JP,A)
【文献】特開平08-160434(JP,A)
【文献】米国特許第06036787(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0144495(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/12
B41F 35/00
B41F 15/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バキュームワイパーであって、
キャビティ(505)を含むハウジング(501)と、
前記ハウジング(501)上に配置され、前記キャビティ(505)と連通する接続ポート(506)と、
前記ハウジング(501)上に前記ハウジングの長さ方向に配置され、前記キャビティ(505)と外部との間に流体連通を確立することができる複数のホール(502)であって、該複数のホール(502)の全てが前記外部と連通しているときに、前記バキュームワイパー(306)は最大真空長を有する、複数のホール(502)と、
前記バキュームワイパー(306)が真空長を調整することができるように、前記バキュームワイパー(306)の前記複数のホール(502)の配列の長さ方向における2つの端部から順に前記複数のホール(502)のうちの1つ以上を塞ぐことが可能であるように構成されるホール調整手段と、
を備え
、
前記ホール調整手段は複数のプラグ(701)であり、該複数のプラグ(701)のそれぞれのサイズは、前記複数のホール(502)のうちの1つの対応するホール(502)と一致し、それによって、各プラグ(701)は、該プラグと一致する1つのホール(502)内に少なくとも部分的に差し込むことが可能になる、ことを特徴とする、バキュームワイパー。
【請求項2】
前記接続ポート(506)は、真空化装置(307)に接続可能であることを特徴とする、請求項1に記載のバキュームワイパー。
【請求項3】
前記複数のプラグ(701)は弾性材料製であることを特徴とする、請求項
2に記載のバキュームワイパー。
【請求項4】
前記複数のプラグ(701)はシリコーンゴム製であることを特徴とする、請求項
3
に記載のバキュームワイパー。
【請求項5】
前記複数のプラグ(701)のそれぞれは、差し込み部分(801)及び取っ手部分(802)を有し、該差し込み部分(801)及び該取っ手部分(802)は、前記プラグ(701)が該プラグと一致する1つのホール(502)内に差し込まれるときに、前記差し込み部分(801)が前記ホール(502)に完全に入り込み、前記取っ手部分(802)が前記ホール(502)の外部に維持されるように構成されることを特徴とする、請求項
3又は
4に記載のバキュームワイパー。
【請求項6】
処理されるプリント回路基板を支える支持プラットフォーム(128)と、
請求項1~
5の何れか一項に記載のバキュームワイパー(306)であって、前記支持プラットフォーム(128)の1つの側部に配置される、バキュームワイパー(306)と、
前記支持プラットフォーム(128)及び前記バキュームワイパー(306)の上方に移動可能に配置されるステンシル(118)であって、はんだペーストを前記プリント回路基板上に分配するのに使用される、ステンシル(118)と、
巻きローラー(302)であって、拭き取り用紙又は拭き取り布が前記バキュームワイパー(306)のホール(502)を上方から覆うことができるように、前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布を該巻きローラー(302)に巻くことができる、巻きローラー(302)と、
前記バキュームワイパーの前記接続ポート(506)に接続され、前記ステンシル(118)上のはんだペーストを前記バキュームワイパー(306)の上方において前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布によって接着吸引することができるように、前記バキュームワイパーの前記キャビティ(505)を真空にするように構成される真空化装置(307)と、
を備えることを特徴とする、ステンシルプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本国際出願は、「VACUUM WIPER AND STENCIL PRINTER WITH VACUUM WIPER」と題された、2019年1月4日に出願された中国特許出願第201920015620.0号明細書に対する優先権を主張する。中国特許出願第201920015620.0号明細書の全体は参照することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本出願は、ステンシルプリンターの技術分野に関し、特に、ステンシルプリンターにおけるステンシル又はスティールメッシュをクリーニングするバキュームワイパーに関する。
【背景技術】
【0003】
ステンシルプリンターは、一般に、くり抜かれたステンシル又はスティールメッシュを使用して、プリント回路基板(PCB)等の基板上にはんだペーストを印刷する。プリント回路基板(PCB)印刷プロセスでは、まず第一に、ステンシル又はスティールメッシュにおけるくり抜かれたホールの位置が、プリント回路基板(PCB)に取り付けられる素子の位置と位置合わせされ、次に、スクイージー(squeegee:スキージー)を使用して、はんだペーストがステンシル又はスティールメッシュにおけるくり抜かれたホールに通され、プリント回路基板(PCB)に取り付けられる素子の位置に分配される。はんだペーストがスクイージーによってステンシル又はスティールメッシュを通じてプリント回路基板(PCB)上に分配されるプロセスでは、多くの場合に、少量のはんだペーストがステンシル又はスティールメッシュ上に残る。従来技術では、多くの場合に、バキュームワイパーが、ステンシル又はスティールメッシュ上に残っているはんだペーストをクリーニングして取り除くために使用される。
【0004】
プリント回路基板(PCB)が種々の長さ指定を有することに起因して、ステンシルプリンターにおけるステンシル又はスティールメッシュも、プリント回路基板(PCB)を種々の長さ指定と適合させてはんだペーストを印刷するために、種々の長さ指定を有する。バキュームワイパーが、ステンシル又はスティールメッシュ上に残っているはんだペーストをクリーニングして取り除くために使用されるとき、固定長の1つのバキュームワイパーが、種々の長さ指定を有する複数のステンシル又はスティールメッシュのクリーニング要件を満たすように奮闘することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の1つの目的は、種々の長さ指定を有するステンシル又はスティールメッシュの拭き取り(wiping:ワイピング)要件を満たすとともに、種々の長さ指定を有するPCBに適応することが可能な改良されたバキュームワイパーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本出願の第1の態様は、ハウジングと、接続ポートと、複数のホールと、ホール調整手段とを備えるバキュームワイパーであって、前記ハウジングはキャビティを含み、前記接続ポートは、前記ハウジング上に配置され、前記キャビティと連通し、前記複数のホールは、前記ハウジング上に前記ハウジングの長さ方向に配置され、前記複数のホールは、前記キャビティと前記外部との間に流体連通を確立することができ、該バキュームワイパーは、前記複数のホールの全てが前記外部と連通しているときに最大真空長(maximum vacuumizing length:最大真空化長)を有し、前記ホール調整手段は、該バキュームワイパーが前記真空長を調整することができるように、該バキュームワイパーの前記複数のホールの配列の長さ方向における2つの端部から順に前記複数のホールのうちの1つ以上を塞ぐことが可能であるように構成される、バキュームワイパーを提供することである。
【0007】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記接続ポートは、真空化装置に接続可能である。
【0008】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記ホール調整手段は複数のプラグであり、該複数のプラグのそれぞれのサイズは、前記複数のホールのうちの1つの対応するホールと一致し、それによって、前記各プラグは、該プラグと一致する1つのホール内に少なくとも部分的に差し込むことが可能になる。
【0009】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記複数のプラグは弾性材料製である。
【0010】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記複数のプラグの材料はシリコーンゴムである。
【0011】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記複数のプラグのそれぞれは、差し込み部分及び取っ手部分を有し、該差し込み部分及び該取っ手部分は、前記プラグが該プラグと一致する1つのホール内に差し込まれるときに、前記差し込み部分が前記ホールに完全に入り込み、前記取っ手部分が前記ホールの外部に維持されるように構成される。
【0012】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記ホール調整手段は2つのスライダーであり、該2つのスライダーが前記複数のホールのうちの1つ以上をスライド可能に塞ぐことができるように、該2つのスライダーは、それぞれ前記ハウジングの左側及び右側にそれぞれ配置される。
【0013】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記2つのスライダーのそれぞれは、本体部分及び突出部を有し、前記本体部分は、前記複数のホールのうちの1つ以上を上方から調整可能に覆うように構成され、前記突出部は、塞がれたホールの数を制御するために、操作者による手動調整を容易にするように構成される。
【0014】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記2つのスライダーが、塞がれたホールの個数を制御するために、ともに電気モーターによって駆動されるように、前記2つのスライダーのそれぞれの1つの端部は、前記電気モーターに接続される。
【0015】
上述したバキュームワイパーにおいて、前記バキュームワイパーは、貫通溝を更に備え、該貫通溝は、前記ハウジングの上面上に配置され、前記複数のホールの上方に位置し、該貫通溝は、前記2つのスライダーが該貫通溝内でスライドすることができるとともに、前記2つのスライダーが前記複数のホールを上方からスライド可能に覆うことができるように構成される。
【0016】
本出願の第2の態様は、支持プラットフォームと、本出願において上述した前記バキュームワイパーのうちの任意の1つと、ステンシルと、拭き取り用紙ローラーと、真空化装置とを備えるステンシルプリンターであって、前記支持プラットフォームは、処理されるプリント回路基板を支えるのに使用され、前記バキュームワイパーは、前記支持プラットフォームの1つの側部に配置され、前記ステンシルは、前記支持プラットフォーム及び前記バキュームワイパーの上方に移動可能に配置され、前記ステンシルは、前記プリント回路基板上にはんだペーストを分配するのに使用され、拭き取り用紙又は拭き取り布が前記バキュームワイパーの前記ホールを上方から覆うことができるように、前記巻きローラーには、前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布を巻くことができ、前記真空化装置は、前記バキュームワイパーの前記接続ポートに接続され、前記ステンシル上のはんだペーストを前記バキュームワイパーの上方において前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布によって接着吸引することができるように、前記バキュームワイパーの前記キャビティを真空にするように構成される、ステンシルプリンターを提供することである。
【0017】
前記ホール調整手段は、種々の長さ指定を有するステンシル又はスティールメッシュの拭き取り要件に適合するために、前記バキュームワイパーがその真空長を調整することができるように、前記外部と前記バキュームワイパーの長さ方向における2つの端部に位置する前記ホールとの間の流体連通を調整可能に阻止する目的で、本出願の前記バキュームワイパー上に配置される。上述した構造は、真空化効率を効果的に向上させ、拭き取り用紙を節約し、拭き取りコストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本出願の一実施形態によるステンシルプリンター100の3次元正面図である。
【
図2】
図1に示すステンシルプリンター100の平面図である。
【
図3】
図2に示すバキュームワイパーアセンブリ236の3次元図である。
【
図4】
図4は動作状態にある
図3に示すバキュームワイパーアセンブリ236における構成要素のうちのいくつかの概略図である。
【
図5A】
図5Aは本出願の第1の実施形態におけるバキュームワイパー306の部分分解図である。
【
図8】
図8は
図5B内の第1のプラグ701.1が設置されている位置に示すバキュームワイパー306の線M-Mに沿った部分断面図である。
【
図9A】
図9Aは第2の実施形態におけるバキュームワイパー306の部分分解図である。
【
図9B】
図9Bは第2の実施形態におけるバキュームワイパー306の3次元図である。
【
図13】
図13は本出願の第3の実施形態におけるバキュームワイパー306の3次元図である。
【
図15】
図15は
図13内の第2の電気スライダー1301.2の位置に示すバキュームワイパー306の方向N-Nにおける部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書の一部をなす添付図面を参照しながら、本出願の種々の特定の実施形態を記載する。「正面」、「背面」、「上」、「下」、「左」、及び「右」等の方向を示す用語が、本出願の種々の実証的な構造部品及び要素を記述するために本出願において用いられているが、これらの用語は、本明細書において単に説明を容易にするために用いられているものであり、図面に示す実証的な方向に基づいて決定されていることが理解されるべきである。本出願に開示されている実施形態は、様々な方向に従って配置することができるので、方向を示すこれらの用語は、単に例示であり、限定とみなされるべきでない。可能な事例では、本出願において用いられている同一又は類似の参照符号は、同一の構成要素を示す。加えて、用語「スティールメッシュ」及び「ステンシル」は、本明細書では代替的に使用することができ、これらの2つの用語はともに、ステンシルプリンターにおいて基板(すなわちPCB)上に印刷されるパターンを規定する装置を記述するのに使用される。
【0020】
図1は、本出願の一実施形態によるステンシルプリンター100の3次元正面図である。
図1に示すように、ステンシルプリンター100は、ステンシルプリンター100の構成要素を支持するのに使用されるフレーム112を備える。ステンシルプリンター100の構成要素には、コントローラー114と、PCB転送装置116と、支持プラットフォーム128と、ステンシル118と、撮像システム130と、スクイージー120とが含まれる。コントローラー114は、フレーム112の下方に配置され、PCB転送装置116と、支持プラットフォーム128と、ステンシル118と、撮像システム130と、スクイージー120との移動位置及び動作状態を制御することができる。PCB転送装置116は、印刷されるPCBを支持プラットフォーム128に搬送するとともに印刷を受けたPCBを支持プラットフォーム128から取り除く一対の転送トラック124及び126を備える。支持プラットフォーム128は、印刷動作の間にPCBの曲げ又は変形を防止するようPCBを支えるのに使用される。さらに、支持プラットフォーム128は、それによって支えられたPCBをZ軸方向に上昇又は降下させるのに使用することもでき、それによって、印刷されるPCBをステンシル118に接近する方向に上昇させることができるとともに、印刷を受けたPCBをステンシル118から遠ざかる方向に下降させることができる。ステンシル118は、PCB転送装置116の上方に移動可能に配置される。ステンシル118は、PCB上に印刷されるはんだペーストの位置を定めるくり抜かれたホールを有する。ステンシル118及び印刷されるPCBを位置合わせする位置合わせシステム130がステンシル118の近くに配置される。スクイージー120は、ステンシル118の上方に配置され、X軸方向に延在するように配置される。一対のスクイージーラック122が、フレーム112上に更に配置される。スクイージーラック122は、スクイージー120の2つの側部に対称にそれぞれ配置され、各スクイージーラック122はY軸方向に延在し、そのため、スクイージーラック122上にセットアップされたスクイージー120はY軸方向に移動することができる。スクイージー120は、Z軸方向に上及び下にも移動することができ、それによって、印刷前に下降してステンシル118と接触することができるとともに、印刷が終了するとステンシル118から離れるように上昇することができる。
【0021】
ステンシルプリンター100に関して、PCBを印刷するプロセスは、主として以下の通りである。
【0022】
コントローラー114は、まず第一に、PCB転送装置116を制御して、印刷されるPCBを転送トラック124及び126を介して支持プラットフォーム128に搬送させる。コントローラー114は、次に、位置合わせシステム130を制御して、印刷されるPCBをステンシル118と位置合わせさせる。PCBがステンシル118と位置合わせされると、コントローラー114は、支持プラットフォーム128を制御してZ軸に沿って上昇させ、その結果、それによって支えられたPCBは、上方に移動して転送トラック124及び126から離れ、ステンシル118に非常に近い位置まで又はステンシル118と接触するまで移動する。コントローラー114は、次に、スクイージー120を制御してZ軸に沿って下方に移動させ、ステンシル118と接触させる。スクイージー20がZ軸方向における適した位置に達すると、コントローラー114は、スクイージー120を更に制御して、スクイージーラック122を介してY軸方向に移動させることができる。スクイージー120がY軸方向における適した位置に達すると、コントローラー114は、スクイージー120を制御して、ステンシル118におけるホールを通じてPCB上にはんだペーストを印刷させる。PCBの印刷が終了すると、コントローラー114は、スクイージー120を制御してZ軸に沿って上方に移動させ、それによって、ステンシル118から離れさせる。コントローラー114は、次に、支持プラットフォーム128を制御してZ軸に沿って下降させ、その結果、それによって支えられたPCBは、転送トラック124及び126と接触する。PCBが転送トラック124及び126上に完全に置かれると、コントローラー114は、次のPCBの印刷に備えて、PCB転送装置116を制御して、PCBをステンシルプリンター100の外部に転送させ、それによって、1つのPCBを印刷するプロセスを完了する。
【0023】
はんだペーストがスクイージー120によってステンシル118からPCB上に分配されるプロセスでは、多くの場合に、微量のはんだペーストがステンシル118上に残って積もる。これは多くの問題を引き起こし、例えば、はんだペーストは、現れるべきでないPCBの領域に予期せず現れ、その結果、PCBは、使用中に短絡に起因した問題に遭遇する。さらに、ステンシル118上に残っているはんだペーストは、硬化すると、PCBをステンシル118と位置合わせする手順を複雑にし、ステンシル118におけるくり抜かれたホールも塞ぎ、ステンシル118からPCB上へのはんだペーストの分配を妨げる。したがって、ステンシル118の底部に残っているはんだペーストを取り除くことは非常に必要である。
【0024】
図2は、
図1に示すステンシルプリンター100の上面図である。バキュームワイパーアセンブリ236が、PCB印刷領域から離れたステンシルプリンター100の後側に配置され、ステンシル118の後側に位置する。ステンシルプリンター100には、バキュームワイパーアセンブリ236の2つの側部にそれぞれ位置する一対のワイパーアセンブリ搬送ガイドレール238及び240が更に設けられ、バキュームワイパーアセンブリ236は、ワイパーアセンブリ搬送ガイドレール238及び240上にセットアップされる。上述した構成によって、バキュームワイパーアセンブリ236は、ワイパーアセンブリ搬送ガイドレール238及び240上の駆動メカニズムによってステンシル118の下方の領域に移動し、ステンシル118の下方で往復運動することが可能になる。他の実施形態では、バキュームワイパーアセンブリ236がステンシル118の下面を拭き取る機能を実現することができる限り、ステンシル118を駆動して、バキュームワイパーアセンブリ236の上方の領域に移動させることも可能である。
【0025】
図3は、
図2に示すバキュームワイパーアセンブリ236の3次元図である。
図3に示すように、バキュームワイパーアセンブリ236は、左側及び右側に配置された支持部301を備える。一対の巻きローラー302が支持部301上にセットアップされ、巻きローラー302は、送りローラー303及び受けローラー304を備え、駆動装置(図示せず)が送りローラー303及び受けローラー304に接続される。送りローラー303及び受けローラー304は、駆動装置の駆動作用を受けて同期して回転することができ、拭き取り用紙をそれぞれ送り出し及び受け取るのに使用される。拭き取り用紙の移動をガイドする複数のガイドローラー305が、送りローラー303と受けローラー304との間に設けられる。バキュームワイパー306が、複数のガイドローラー305の間に配置される。ガイドローラー305及びバキュームワイパー306も全て、支持部301上にセットアップされる。真空化装置307が、左側支持部301上に更に配置される。真空化装置307は、真空ポンプ308と、接続チューブ309と、ドラッグチェーン310とを備える。ドラッグチェーン310は、接続チューブ309の外側を取り囲むように配置され、接続チューブ309を保護するのに使用される。接続チューブ309は、真空ポンプ308とバキュームワイパー306との間に接続され、それによって、真空ポンプ308がバキュームワイパー306を真空にすることを可能にする。本出願の一実施形態では、拭き取り用紙は、ステンシル118を拭き取ることを目的として巻きローラー302に巻かれ、他の実施形態では、拭き取り用紙の代わりに拭き取り布を使用することができる。
【0026】
図4は、動作状態にあるバキュームワイパーアセンブリ236における構成要素のうちのいくつかの概略図である。
図4に示すように、ガイドローラー305は、第1のガイドローラー305.1と、第2のガイドローラー305.2と、第3のガイドローラー305.3とを含む。第1のガイドローラー305.1は、送りローラー303とバキュームワイパー306との間に位置し、第2のガイドローラー305.2及び第3のガイドローラー305.3は、受けローラー304とバキュームワイパー306との間に位置する。拭き取り用紙401のロールが送りローラー303に巻かれ、送りローラー303が回転すると、送りローラー303に巻かれた拭き取り用紙401が、バキュームワイパー306の上面に転送される。拭き取り用紙401が送りローラー303からバキュームワイパー306に転送されるプロセスでは、第1のガイドローラー305.1は、拭き取り用紙401をガイド及び支持する機能を果たす。バキュームワイパー306の上面に位置する拭き取り用紙401は、拭き取り機能を果たすことができ、拭き取り後、第2のガイドローラー305.2と第3のガイドローラー305.3との間の間隙を通って引き続き受けローラー304に転送される。受けローラー304は、送りローラー303と連携して同期回転し、拭き取り作用を実行した拭き取り用紙401を巻き取って収集する。第2のガイドローラー305.2及び第3のガイドローラー305.3は、バキュームワイパー306と受けローラー304との間で拭き取り用紙401を支持し相対的に固定する機能を果たす。
【0027】
図2を参照することによって、拭き取り中に、バキュームワイパー306の上面がステンシル118の下面に非常に近いことを見て取ることができ、バキュームワイパーアセンブリ236は、ワイパーアセンブリ搬送ガイドレール238、240上を往復運動することができ、それによって、バキュームワイパー306の上面に位置する拭き取り用紙401は、ステンシル118の下面を繰り返し拭き取ることが可能になる。
【0028】
図5Aは、本出願の第1の実施形態におけるバキュームワイパー306の部分分解図であり、
図5Bは、
図5Aに示すバキュームワイパー306の別の3次元概略図である。
図5A及び
図5Bに示すように、バキュームワイパー306はハウジング501を備え、ハウジング501は、実質的には、長い短冊の形状のプレートの形態を取る。突出した接触部分507が、ハウジング501の上面の中央位置に設けられ、接触部分507を配置することによって、バキュームワイパー306の上面がステンシル118の底面に接近することがより容易になる。接触部分507は長さAを有し、接触部分507の全長に沿って長い短冊の形状の溝508が設けられる。複数のホール502が、長さ方向に間隔を置いて溝508に配列され、ホール502は、ハウジング501内のキャビティと連通することができ、それによって、ハウジング501内のキャビティと外部との間に流体連通が確立される。ホール502(外部と連通することが可能)がバキュームワイパー306の接触部分507上に配列される全長の値は真空長と定義される。真空長の範囲内で、バキュームワイパー306は、真空効果を用いた接着吸引によってステンシル118をクリーニングする機能を果たすことができる。ホール502は、接触部分507の全長Aに沿って配列されるので、バキュームワイパー306は、長さAの最大真空長を有し、したがって、最大で長さAのステンシル118に適応することができる。ただし、種々の長さ指定を有するPCBに適応するために、ステンシル118も種々の長さ指定を有する。バキュームワイパー306が、A未満の長さのステンシル118を拭くのに使用されるとき、接触部分507の2つの端部におけるホールは、接着吸引によってステンシルをクリーニングする機能を果たさず、これは、真空ポンプ308の吸引エネルギーを浪費するだけでなく、接触部分507の中央位置にあるホールが接着吸引によってステンシル118の底部をクリーニングする効果の低下ももたらす。
【0029】
上記問題を回避するために、プラグ(plugs:栓)701が、本出願の第1の実施形態のバキュームワイパー306におけるホール調整手段として使用される。プラグ701は、第1のプラグ701.1及び第2のプラグ701.2を含む。第1のプラグ701.1の形状構造は、第1のプラグ701.1を第1のホール502.1内に差し込むことができるように、接触部分507の最左端部にある第1のホール502.1と一致し、第2のプラグ701.2の形状構造は、第2のプラグ701.2を第2のホール502.2内に差し込むことができるように、接触部分507の最右端部にある第2のホール502.2と一致する。一致を容易にするために、バキュームワイパー306における複数のホール502は、同じ形状及びサイズを有し、第1のプラグ701.1及び第2のプラグ701.2も、正確に同じ構造及び形状を有する。
【0030】
第1のプラグ701.1及び第2のプラグ701.2が、
図5Aに示す位置から第1のホール502.1及び第2のホール502.2内へ下方にそれぞれ差し込まれると、
図5Bに示すバキュームワイパー306を得ることができる。
図5Bに示すように、第1のプラグ701.1及び第2のプラグ701.2は、それぞれ第1のホール502.1及び第2のホール502.2が外部と流体連通しないようにし、実質的に長さBのステンシル118に適応するために、外部と連通することが可能なバキュームワイパー306上のホール502の長さ値はBであり、そのため、バキュームワイパー306は長さBの真空長を有する。
【0031】
図6A~
図6Cは、
図5Aに示すバキュームワイパー306のハウジング501をより詳細に示し、
図6Aは、
図5A内の位置Cに示すハウジング501の拡大図である。
図5A及び
図6Aを参照することによって、複数のホール502が溝508の底部に位置し、複数のホール502が、溝508の底面から下方に貫通していることを見て取ることができる。したがって、複数のホール502は、全体的に見ると、溝508内に掘られている。幅方向における接触部分507の一方の側部610は、2段の階段形を有し、各段の階段は、接触部分507の長さ方向に延在し、接触部分507の外縁位置に位置する階段は、接触部分507の中央位置に位置する階段よりも低い。接触部分507の中央位置に位置するより高い段の階段は、接触部分507の長さ方向における2つの端部に面取り部分を有する。
【0032】
図6Bは、ハウジング501の上面図である。
図6Bに示すように、複数のホール502は、同じサイズのホールであり、直線状に均一の間隔で配列される。各ホール502の断面は、細長い楕円形を有し、細長い楕円形の断面は、長さ方向における2つの端部が弧形状として、幅方向における2つの側部が平行な直線として明確に現れる。溝508の幅は、ホール502の幅と同じであり、幅方向における溝508の2つの側部エッジは、複数のホール502の2つの対応する側部エッジとそれぞれ一致し、2つの平行な直線でもある。長さ方向における溝508の2つの端部も弧形状であり、溝508の左端エッジは第1のホール502.1の左端エッジと一致し、溝508の右端エッジは第2のホール502.2の右端エッジと一致する。
【0033】
図6Cは、ハウジング501の分解組立図である。
図6Cに示すように、ハウジング501は、上側ハウジング503及び下側ハウジング504を備え、上側ハウジング503及び下側ハウジング504が互いに嵌合及び接続されると、バキュームワイパー306がキャビティ505を含むように、上側ハウジング503の下側部分及び下側ハウジング504の上側部分はともに収容空間を有する。接触部分507は、上側ハウジング503上に配置され、接触部分507におけるホール502は、接触部分507の表面に垂直な方向に上側ハウジング503を貫通し、それによって、キャビティ505は外部と流体連通することが可能になる。接続ポート506が下側ハウジング504の底部に配置され、真空化装置307の接続チューブ309を接続するのに使用される。接続ポート506は、キャビティ505と連通し、それによって、真空ポンプ308は、接続チューブ309を介してバキュームワイパー306内のキャビティ505を真空にすることが可能になる。真空ポンプ308の真空状況下で、バキュームワイパー306内のキャビティ505は負圧状態にあり、バキュームワイパー306は、バキュームワイパー306の上面を覆う拭き取り用紙401を通じてステンシル118の底部に対して接着吸引効果を生み出すことができ、それによって、拭き取り用紙401の拭き取り効果が高められ、ステンシル118のクリーニングが促進される。
【0034】
図7は、
図5Aに示す第1のプラグ701.1の3次元図を示しており、
図8は、
図5B内の第1のプラグ701.1が設置された位置に示すバキュームワイパー306の線M-Mに沿った断面図を示している。複数のホール502は同じ形状及びサイズのホールであるので、他の位置にあるホール502に栓をするのに使用されるプラグ701は、第1のプラグ701.1と正確に同じ形状構造及び材料のプラグである。
図7及び
図8に示すように、第1のプラグ701.1は、差し込み部分801及び取っ手部分802を備える。差し込み部分801は、ホール502内に差し込むのに使用され、したがって、差し込み部分801の断面形状は、ホール502の断面形状と一致し、バキュームワイパー306におけるホール502の断面は、細長い楕円形を有するので、差し込み部分801の断面も細長い楕円形を有する。さらに、第1のプラグ701.1が差し込まれると第1のホール502.1との密閉接続を達成し、それによって、第1のホール502.1と外部との間の流体連通を防止するために、第1のプラグ701.1は、弾性材料製とすることができ、その形状は、第1のプラグと一致する第1のホール502.1の形状よりも僅かに大きい。いくつかの実施形態では、シリコーンゴムを使用して、第1のプラグ701.1を準備することができる。取っ手部分802は、差し込み部分801の上方に位置し、その断面も細長い楕円形を有する。取っ手部分802の左端部、及び、中央位置における取っ手部分802の側部は、差し込み部分801の側部と同一平面であり、取っ手部分802の右端部は、差し込み部分801に対して突出し、それによって、ボス(boss:突起)803を形成する。
【0035】
図8に示すように、第1のプラグ701.1が、バキュームワイパー306の最左端部におけるホール502内に差し込まれているとき、差し込み部分801は、ホール502内に完全に埋め込まれているのに対して、取っ手部分802は、ホール502の外部に維持され、接触部分507の溝508に位置する。この時、第1のプラグ701.1の上面は、接触部分507の上面とほぼ同じ高さである。取っ手部分802のこの構成は、ホール502内に差し込まれた第1のプラグ701.1を滑らかに引き抜くのを助け、バキュームワイパー306の真空長の調整を容易にする。
【0036】
図5A及び
図5Bを参照することによって、プラグ701が接触部分507の左側に位置するホール502内に差し込まれているときは、取っ手部分802のボス803は、このホール502の右側を向いていなければならず、プラグ701が接触部分507の右側に位置するホール502内に差し込まれているときは、取っ手部分802のボス803は、このホール502の左側を向いていなければならないことを見て取ることができる。上述した構成によって、プラグ701の差し込み部分801及び取っ手部分802をそれぞれホール502及び溝508に完全に収容することが可能になる。
【0037】
図5A及び
図5Bに示す実施形態では、バキュームワイパー306は2つのプラグ701を備える。他の実施形態では、バキュームワイパー306は、別の個数のプラグ、例えば、1つ、3つ、4つ等を備えることもでき、各プラグのサイズは、ホールが外部と流体連通しないように、そのプラグが差し込まれるホールのサイズと一致する。それによって、種々の長さ指定を有するステンシル118と適合するために、A未満の他の長さの真空長を得ることが可能である。さらに、プラグ701は、バキュームワイパー306内に差し込まれると、プラグを収容していないホール502が中央領域に実質的に集中し、中央領域に位置する真空長を得ることがより容易になるように、バキュームワイパー306の2つの端部からそれぞれ順に対称に差し込まれなければならない。それによって、中央領域の上方に位置するステンシル118のバキュームワイピングと適合することが可能である。偶数個のプラグ701を差し込むことが必要であるときは、それらのプラグをバキュームワイパー306の左端部及び右端部から中央位置に向けて順に対称に差し込むことだけを行えばよい。奇数個のプラグ701を差し込むことが必要であるときは、真空長が中央領域に実質的に集中するようにプラグを差し込むことだけを行えばよい。例えば、1つのプラグ701を差し込むことが必要であるときは、このプラグを最左端部における第1のホール701.1内に差し込むこともできるし、最右端部における第2のホール701.2内に差し込むこともでき、3つのプラグ701を差し込むことが必要であるときは、2つのプラグをバキュームワイパー306の最左端部から順に差し込むとともに1つのプラグをバキュームワイパー306の最右端部に差し込むことも可能であるし、1つのプラグをバキュームワイパー306の最左端部に差し込むとともに2つのプラグをバキュームワイパー306の最右端部から順に差し込むことも可能である。
【0038】
他の実施形態では、ホール502の断面は、他の形状、例えば円形、方形等を有することができ、溝508の形状構造は、複数のホール502を接触部分507の上面に掘ることが可能であり、ホール調整手段が設置されていない状態にあり、キャビティ505が外部と流体連通することが可能になるときに、これらの複数のホール502の全ては外部に露出される限り、ホール502の形状構造に従って調整することができる。さらに、複数のホール502のサイズは、互いに異なるように設定することもできる。複数のホール502の形状サイズが異なる他の実施形態では、これらの複数のホール502と一致するように、複数のプラグ701もそれに対応して異なる形状構造を有するように機械加工しなければならない。
【0039】
本出願の第1の実施形態は、A未満の他の長さ指定を有するPCBの印刷に適応するために、バキュームワイパー306が最大真空長Aを有する状況下でプラグ701をホール調整手段として使用し、バキュームワイパー306の中央位置が調整可能な真空長を有するように、或る特定の数量のプラグ701が必要数だけバキュームワイパー306の2つの端部から順に対称に差し込まれる。上述した構成によって、様々なPCBに適合された様々な長さ指定を有するステンシル118の拭き取り及びクリーニングにバキュームワイパー306を適応させることが可能になり、バキュームワイパー306の真空化効率が大幅に向上される。
【0040】
プラグ701以外に、本出願は、バキュームワイパー306の真空長を調整する機能を同様に果たすことができる他の構造を有するホール調整手段も用いることができる。
【0041】
図9A及び
図9Bは、本出願の第2の実施形態におけるバキュームワイパー306を示し、
図9Aは、第2の実施形態におけるバキュームワイパー306の部分分解組立図であり、
図9Bは、第2の実施形態におけるバキュームワイパー306の3次元図である。
図9A及び
図9Bに示すように、本出願の第2の実施形態におけるバキュームワイパー306のハウジング501の構造は、第1の実施形態におけるバキュームワイパー306のハウジング501の構造と同様である。相違点は、第2の実施形態のハウジング501上に貫通溝(through-groove:スルー溝)1101が更に設けられていることである。貫通溝1101は、接触部分507の左端部及び右端部にそれぞれ位置する第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2を含む。バキュームワイパー306は、手動スライダー1001を更に備える。手動スライダー1001は、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2を含み、これらの2つの手動スライダー1001は、構造及びサイズが正確に同じである。
【0042】
第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2が、
図9Aに示す位置から、接触部分507のそれぞれ左端部及び右端部にある第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2内へ下方に挿入されると、
図9Bに示すバキュームワイパー306を得ることができる。
図9Bに示すように、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2は、それぞれ第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2内をスライドすることができ、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2は、バキュームワイパー306が調整可能な真空長を有するように、接触部分507のそれぞれ左端部及び右端部にあるホール502を上方から覆う。
【0043】
図10は、
図9A内の位置Fにおけるハウジング501の拡大図を示している。ハウジング501の左側及び右側が対称構造を有することから、接触部分507の右側端部の構造が、本明細書では説明のための一例として使用される。
図10に示すように、第2の貫通溝1101.2は、溝508の右側における底部位置に位置し、溝508と同じように接触部分507の長さ方向に延在する。第2の貫通溝1101.2は、接触部分507の右側端部を貫通し、第2のスロット1102.2を形成し、それによって、第2の手動スライダー1001.2を第2のスロット1102.2を通して第2の貫通溝1101.2内に挿入することが可能になる。第2の貫通溝1101.2内に挿入された第2の手動スライダー1001.2が、接触部分507の右端部に位置するホール502を覆うことができるように、第2の貫通溝1101.2の底面及び溝508の底面は一致し、同じ平面上に位置する。第2の貫通溝1101.2は、溝508に部分的に重なる。具体的には、第2の貫通溝1101.2が、幅方向において接触部分507の2つの側部に向けて溝508よりも遠くに延在するように、第2の貫通溝1101.2の幅は溝508の幅よりも大きい。さらに、第2の貫通溝1101.2内に挿入された第2の手動スライダー1001.2が、接触部分507の最右端部にあるホール502のうちのいくつかのみを覆うことができるように、第2の貫通溝1101.2の長さHは溝508の長さよりも短い。バキュームワイパー306の左側及び右側における構造が完全に対称であることに起因して、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2が、
図9Bに示すように、それぞれ第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2内に長さHだけ完全に挿入されているとき、バキュームワイパー306は最小真空長Fminを有する(
図9B参照)。したがって、第1の貫通溝1101.1の長さH及び第2の貫通溝1101.2の長さHは、最小指定を有するステンシル118の長さに従って決定することができる。
【0044】
図11は、
図9Aにおける第2の手動スライダー1001.2の3次元概略図を示している。第2の手動スライダー1001.2は、底部プレート1002及び手動押動部分1003を備える。底部プレート1002は長い短冊の形状のプレートの形態を取り、手動押動部分1003は直方体の形態を取る。手動押動部分1003は、底部プレート1002の左端部に配置され、それによって、底部プレート1002の上面上に突出部を形成し、操作者による押動を容易にする。第2の手動スライダー1001.2は長さLを有し、長さLは、第2の手動スライダー1001.2が第2の貫通溝1101.2の長さHを完全に占有することができるように、第2の貫通溝1101.2の長さHよりも僅かに長い。
【0045】
図12Aは、
図9B内の位置Dに示すバキュームワイパー306の拡大図を示し、
図12Bは、
図12A内の位置Dに示すバキュームワイパー306の方向E-Eにおける断面図を示している。
図12A及び
図12Bに示すように、第2の手動スライダー1001.2は、第2のスロット1102.2を通ってスライド可能なように第2の貫通溝1101.2上に配置され、バキュームワイパー306の右側位置におけるホール502を上方から覆うように構成される。手動押動部分1003が設けられている第2の手動スライダー1001.2の端部は、手動押動部分1003を溝508内に収容することができるように、長さ方向においてバキュームワイパー306の内側に位置する。手動押動部分1003の上面は、接触部分507の上面よりも低くすることもできるし、接触部分507の上面と同じ高さとすることもできる。
【0046】
ステンシルプリンター100の構造に適応し、ステンシル118の拭き取り位置に適合するために、バキュームワイパー306は左右対称構造を有し、操作者は、バキュームワイパー306の真空長を制御するとともにPCB及びステンシル118の長さ要件を満たすために、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2を対称に押動する必要がある。第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2の長さHは、手動スライダー1001の長さLよりも僅かに短いので、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2はともに、バキュームワイパー306の左端部及び右端部において制限される。第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2は対称にスライドしていくにつれて、バキュームワイパー306の真空長が常にその中央位置に位置することを確保するために、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2は、常に、バキュームワイパー306の最も左及び最も右のホール502を最初に覆うことができる。操作者が、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2をそれぞれ第1の貫通溝1101.1の最も左側及び第2の貫通溝1101.2の最も右側に押動すると、第1の手動スライダー1001.1及び第2の手動スライダー1001.2上の手動押動部分1003は、溝508のそれぞれ左端部及び右端部におけるエッジ位置において進行を阻止され、この時、バキュームワイパー306は最大真空長Fmaxを有する。最大真空長Fmaxは、実質的に接触部分507の長さに等しい。
【0047】
図13は、本出願の第3の実施形態におけるバキュームワイパー306の3次元図を示している。本出願の第3の実施形態におけるバキュームワイパー306の設計原理及び構造は、
図9A及び
図9Bに示す第2の実施形態におけるバキュームワイパー306の設計原理及び構造と同様である。具体的には、第3の実施形態におけるバキュームワイパー306に用いられるハウジング501は、第2の実施形態におけるハウジング501と正確に同じ構造を有し、ともに、ホール調整手段をスライドさせる第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2を備える。相違点は、第2の実施形態におけるバキュームワイパー306が、手動スライダー1001をホール調整手段として使用し、手動スライダー1001は、操作者によって直接手動で駆動することができるのに対して、第3の実施形態が、電気スライダー1301をホール調整手段として使用し、電気スライダー1301は、駆動装置1501(
図15参照)によって駆動されるということである。
図13に示すように、電気スライダー1301は、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2を含み、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2は、正確に同じ構造形状を有し、ハウジング501の2つの端部に対称に配置される。第1の電気スライダー1301.1は、第1のスロット1102.1を通ってスライド可能なように第1の貫通溝1101.1上に配置され、バキュームワイパー306の左側位置にあるホール502を上方から覆うように構成され、第2の電気スライダー1301.2は、第2のスロット1102.2を通ってスライド可能なように第2の貫通溝1101.2上に配置され、バキュームワイパー306の右側位置にあるホール502を上方から覆うように構成される。
【0048】
ステンシルプリンター100の構造に適応し、ステンシル118の拭き取り位置に適合するために、バキュームワイパー306は対称構造を有し、駆動装置1501は、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2に対称動作を受けさせる必要がある。第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2は、対称にスライドしていくにつれて、バキュームワイパー306の真空長が常にその中央位置に位置することを確保するために、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2は、常に、バキュームワイパー306の最も左及び最も右のホール502を最初に覆うことができる。
【0049】
図14は、第2の電気スライダー1301.2の3次元図を示している。第2の電気スライダー1301.2は、スライダー本体1302及び接続構成要素1303を備え、接続構成要素1303は、スライダー本体1302の右端部に配置される。スライダー本体1302は、長い短冊の形状のプレートの形態を取り、接続構成要素1303は、スライダー本体1302と同じ厚さを有するが、2つの接続ホール1304を接続構成要素1303の幅方向に横並びに配置することができるようにスライダー本体1302よりも幅広である。接続ホール1304は、駆動装置1501(
図15参照)に接続するのに使用される。
【0050】
図15は、
図13内の第2の電気スライダー1301.2の位置に示すバキュームワイパー306の方向N-Nにおける断面図を示している。第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2は、対称構造及び正確に同じ動作メカニズムを用いて対称に配置されるので、説明のための一例として第2の電気スライダー1301.2を利用する。
図15に示すように、第2の電気スライダー1301.2の接続構成要素1303は駆動装置1501に接続される。駆動装置1501は、電気モーター1502と、ねじ1503と、ナット1504とを備える。ねじ1503は、電気モーター1502に接続され、それによって、電気モーター1502が回転すると、電気モーター1502とともに回転することができる。ナット1504は、ねじ1503に嵌合及び接続され、それによって、ねじ1503が回転すると、左又は右に直線状に移動することができる。ナット1504は、第2の電気スライダー1301.2の接続構成要素1303に接続され、ナット1504の移動は、第2の電気スライダー1301.2を駆動して、第2の貫通溝1101.2上を左又は右にスライドさせることができる。操作者は、電気モーター1502の時計回り又は反時計回りの回転方向を制御することによって、第2の電気スライダー1301.2の左向き又は右向きのスライド方向を制御することができる。
【0051】
第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2が、第1の貫通溝1101.1及び第2の貫通溝1101.2に完全に入り込み、それによって、ホール502を上方から最大限覆っているとき、バキュームワイパー306は最小真空長Fminを有する。電気モーターが、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2を駆動して、それぞれ第1の貫通溝1101.1の左側及び第2の貫通溝1101.2の右側に向けて移動させるにつれて、バキュームワイパー306は、その真空長Fを徐々に拡大する。電気モーターが、第1の電気スライダー1301.1及び第2の電気スライダー1301.2を駆動して、それぞれ第1の貫通溝1101.1の最も左側及び第2の貫通溝1101.2の最も右側に移動させたとき、バキュームワイパー306は最大真空長Fmaxを有する。最大真空長Fmaxは、接触部分507の長さと実質的に等しい。
【0052】
本出願では、種々の長さ指定を有するステンシル118の拭き取りと適合するために、ホール調整手段は、バキュームワイパー306が調整可能な真空長を有するように、バキュームワイパー306上に配置され、それによって、バキュームワイパー306の真空化効率が効果的に高まり、生産コストが効果的に削減される。本出願におけるバキュームワイパー306は、はんだペーストがPCB上に印刷されるステンシルプリンター100において適用されるが、他の実施形態では、バキュームワイパー306は、他の粘着性材料(例えば、接着剤及び密封材)を分配する必要がある他の用途にも適していることを説明しておかなければならない。
【0053】
本出願の一部の特徴しか本明細書には図示及び記載されていないが、当業者であれば、多くの改良及び変更を行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本出願の本質的な趣旨の範囲内に含まれる上述の改良及び変更の全てを包含するように意図されている。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
バキュームワイパーであって、
キャビティ(505)を含むハウジング(501)と、
前記ハウジング(501)上に配置され、前記キャビティ(505)と連通する接続ポート(506)と、
前記ハウジング(501)上に前記ハウジングの長さ方向に配置され、前記キャビティ(505)と外部との間に流体連通を確立することができる複数のホール(502)であって、該複数のホール(502)の全てが前記外部と連通しているときに、前記バキュームワイパー(306)は最大真空長を有する、複数のホール(502)と、
前記バキュームワイパー(306)が真空長を調整することができるように、前記バキュームワイパー(306)の前記複数のホール(502)の配列の長さ方向における2つの端部から順に前記複数のホール(502)のうちの1つ以上を塞ぐことが可能であるように構成されるホール調整手段と、
を備えることを特徴とする、バキュームワイパー。
[態様2]
前記接続ポート(506)は、真空化装置(307)に接続可能であることを特徴とする、態様1に記載のバキュームワイパー。
[態様3]
前記ホール調整手段は複数のプラグ(701)であり、該複数のプラグ(701)のそれぞれのサイズは、前記複数のホール(502)のうちの1つの対応するホール(502)と一致し、それによって、各プラグ(701)は、該プラグと一致する1つのホール(502)内に少なくとも部分的に差し込むことが可能になることを特徴とする、態様1又は2に記載のバキュームワイパー。
[態様4]
前記複数のプラグ(701)は弾性材料製であることを特徴とする、態様3に記載のバキュームワイパー。
[態様5]
前記複数のプラグ(701)はシリコーンゴム製であることを特徴とする、態様4に記載のバキュームワイパー。
[態様6]
前記複数のプラグ(701)のそれぞれは、差し込み部分(801)及び取っ手部分(802)を有し、該差し込み部分(801)及び該取っ手部分(802)は、前記プラグ(701)が該プラグと一致する1つのホール(502)内に差し込まれるときに、前記差し込み部分(801)が前記ホール(502)に完全に入り込み、前記取っ手部分(802)が前記ホール(502)の外部に維持されるように構成されることを特徴とする、態様4又は5に記載のバキュームワイパー。
[態様7]
前記ホール調整手段は2つのスライダーであり、該2つのスライダーが前記複数のホール(502)のうちの1つ以上をスライド可能に塞ぐことができるように、該2つのスライダーは、前記ハウジング(501)の長さ方向における2つの側部にそれぞれ配置されることを特徴とする、態様1に記載のバキュームワイパー。
[態様8]
前記2つのスライダーのそれぞれは、底部プレート(1002)及び手動押動部分(1003)を有し、前記底部プレート(1002)は前記複数のホール(502)のうちの1つ以上を上方から調整可能に覆うように構成され、前記手動押動部分(1003)は塞がれたホール(502)の個数を制御するために操作者による手動調整を容易にするように構成されることを特徴とする、態様7に記載のバキュームワイパー。
[態様9]
前記2つのスライダーが、塞がれたホール(502)の個数を制御するために、ともに電気モーター(1502)によって駆動されるように、前記2つのスライダーのそれぞれの1つの端部は、前記電気モーター(1502)に接続されることを特徴とする、態様7に記載のバキュームワイパー。
[態様10]
前記バキュームワイパー(306)は貫通溝(1101)を更に備え、該貫通溝(1101)は前記ハウジング(501)上に配置され、該貫通溝(1101)は前記複数のホール(502)の上方に位置し、該貫通溝(1101)は前記2つのスライダーが該貫通溝(1101)内でスライドすることができるとともに、前記2つのスライダーが前記複数のホール(502)を上方からスライド可能に覆うことができるように構成されることを特徴とする、態様7に記載のバキュームワイパー。
[態様11]
処理されるプリント回路基板を支える支持プラットフォーム(128)と、
態様1~10の何れか一項に記載のバキュームワイパー(306)であって、前記支持プラットフォーム(128)の1つの側部に配置される、バキュームワイパー(306)と、
前記支持プラットフォーム(128)及び前記バキュームワイパー(306)の上方に移動可能に配置されるステンシル(118)であって、はんだペーストを前記プリント回路基板上に分配するのに使用される、ステンシル(118)と、
巻きローラー(302)であって、拭き取り用紙又は拭き取り布が前記バキュームワイパー(306)のホール(502)を上方から覆うことができるように、前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布を該巻きローラー(302)に巻くことができる、巻きローラー(302)と、
前記バキュームワイパーの前記接続ポート(506)に接続され、前記ステンシル(118)上のはんだペーストを前記バキュームワイパー(306)の上方において前記拭き取り用紙又は前記拭き取り布によって接着吸引することができるように、前記バキュームワイパーの前記キャビティ(505)を真空にするように構成される真空化装置(307)と、
を備えることを特徴とする、ステンシルプリンター。