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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】薬液処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
H01L21/30 572B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021570618
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001560
(87)【国際公開番号】W WO2021144982
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390005050
【氏名又は名称】ダイキンファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】出口 泰紀
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-246940(JP,A)
【文献】特開平07-176507(JP,A)
【文献】特開平09-017763(JP,A)
【文献】特開2000-098313(JP,A)
【文献】特開2005-079460(JP,A)
【文献】特開2013-138051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/42
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を薬液に浸漬することによってレジスト除去処理する処理槽と、
前記基板を縦置きで保持する複数の保持部と、
前記保持部を個別に上下に駆動する上下駆動部と、
前記基板を係脱自在にチャックするチャック部とを備え、
前記上下駆動部が、前記基板を前記薬液に浸漬した浸漬位置と、前記基板を前記薬液から引き上げた非浸漬位置との間で前記保持部を個別に上下動させることにより、前記保持部に保持された前記基板が、枚葉式でレジスト除去処理され
前記処理槽の上部には、前記薬液を前記基板に向けて下方に噴出するノズルが配設され、
前記処理槽は、前記処理槽を構成する連通側壁の底部に形成された連通口を介して、隣接する貯留槽に連通していることを特徴とする、薬液処理装置。
【請求項2】
前記処理槽の底部には、超音波発生器が配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の薬液処理装置。
【請求項3】
前記貯留槽に隣接して排出槽が配設され、前記排出槽は、前記貯留槽からオーバーフローした前記薬液を収容し、前記ノズルと前記排出槽との間には、前記薬液を循環させる循環経路が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の薬液処理装置。
【請求項4】
前記循環経路には、前記薬液に含まれるスラッジの回収対象サイズを段階的に小さくしたフィルタリングシステムが設けられていることを特徴とする、請求項に記載の薬液処理装置。
【請求項5】
前記貯留槽において、前記連通口との反対側の底部には、滞留防止部が形成されていることを特徴とする、請求項から請求項のいずれか1項に記載の薬液処理装置。
【請求項6】
前記上下駆動部および前記チャック部の各動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記非浸漬位置の前記保持部に対して或る前記基板を載置するステップと、前記或る基板が載置された前記保持部を前記浸漬位置に下動するステップと、前記浸漬位置を所定時間保つステップと、前記或る基板が載置された前記保持部を前記非浸漬位置に上動するステップと、前記非浸漬位置にある前記或る基板を前記チャック部でチャックして前記保持部から取り除くステップと、前記非浸漬位置にある前記保持部に対して前記或る基板とは異なる別の前記基板を載置するステップとを有するレジスト除去処理を、前記基板毎に個別に制御することを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬液処理装置。
【請求項7】
前記処理槽に対して、前記上下駆動部が千鳥配置で設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬液処理装置。
【請求項8】
前記処理槽が平面視で扇型形状をしており、前記上下駆動部が前記処理槽の外円弧部に沿って設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板を剥離液に浸漬することによって、基板上に形成されたレジストや金属膜を剥離する薬液処理装置がある。
【0003】
特許文献1は、保持部によって基板を水平に保持した状態で、保持部の側面近傍に配設されたノズルが剥離液を基板の上方および下方に噴出して、剥離したレジストや金属膜が基板に再付着することを防止する薬液処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-311023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、一群の基板を水平に保持した横置き状態で、一群の基板を剥離液に浸漬する剥離処理をバッチ式で行っている。剥離液に浸漬された一群の基板を引き上げて、一群の基板の中から或る基板を取り出して、空になった箇所に別の基板に置き換えたあと、一群の基板を浸漬することが繰り返し行われている。バッチ式での剥離処理において、個々の基板に対する浸漬および引き上げを行っているので、個々の基板における浸漬温度や浸漬時間の管理が難しく、基板毎におけるレジスト除去にばらつきが発生して、後工程での品質に影響を及ぼす。
【0006】
そこで、この発明の課題は、基板毎におけるレジスト除去にばらつきが生じることを抑制する薬液処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る薬液処理装置は、
基板を薬液に浸漬することによってレジスト除去処理する処理槽と、
前記基板を縦置きで保持する複数の保持部と、
前記保持部を個別に上下に駆動する上下駆動部と、
前記基板を係脱自在にチャックするチャック部とを備え、
前記上下駆動部が、前記基板を前記薬液に浸漬した浸漬位置と、前記基板を前記薬液から引き上げた非浸漬位置との間で前記保持部を個別に上下動させることにより、前記保持部に保持された前記基板が、枚葉式でレジスト除去処理されることを特徴とする。
【0008】
本明細書における「レジスト除去処理」とは、レジスト単体を除去する処理に加えて、レジストの上に金属膜を形成した後に金属膜およびレジストを一緒に除去する処理、いわゆるリフトオフ処理も含むことを意味している。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、保持部に保持された基板が、浸漬位置と非浸漬位置との間で個別に上下動して、枚葉式でレジスト除去処理されるので、基板毎におけるレジスト除去にばらつきが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る薬液処理装置を説明する平面図である。
図2図1に示した薬液処理装置における膨潤処理システムを説明する模式図である。
図3図1に示した薬液処理装置におけるレジスト除去処理を説明する模式図である。
図4図1に示した薬液処理装置における上下駆動部を説明する模式的正面図である。
図5図4に示した上下駆動部の模式的側面図である。
図6図1に示した薬液処理装置におけるチャック部を説明する模式的正面図である。
図7図6に示したチャック部の模式的側面図である。
図8図1に示した薬液処理装置における膨潤処理槽を説明する平面図である。
図9】第2実施形態に係る薬液処理装置における膨潤処理槽を説明する平面図である。
図10】第3実施形態に係る薬液処理装置を説明する平面図である。
図11図10に示した薬液処理装置における膨潤処理槽を説明する平面図である。
図12】第4実施形態に係る薬液処理装置における膨潤処理槽を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る薬液処理装置1の実施の形態を説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1から図6を参照しながら、第1実施形態に係る薬液処理装置1を説明する。図1は、第1実施形態に係る薬液処理装置1を説明する平面図である。図2は、図1に示した薬液処理装置1における膨潤処理システム3を説明する模式図である。図3は、図1に示した薬液処理装置1におけるレジスト除去処理を説明する模式図である。図4は、図1に示した薬液処理装置1における上下駆動部20を説明する模式的正面図である。図5は、図4に示した上下駆動部20の模式的側面図である。図6は、図1に示した薬液処理装置1におけるチャック部55を説明する模式的正面図である。図7は、図6に示したチャック部55の模式的側面図である。図8は、図1に示した薬液処理装置1における膨潤処理槽10を説明する平面図である。
【0013】
図1に示すように、薬液処理装置1は、膨潤処理槽10と、洗浄処理槽5,5と、乾燥処理槽7,7と、制御部8と、多関節ロボット9とを備える。多関節ロボット9は、ドライ専用のロボットおよびウエット専用のロボットから構成されている。図1に示した薬液処理装置1では、膨潤処理槽10の一側に、一側の洗浄処理槽5および乾燥処理槽7が配設されるとともに、膨潤処理槽10の他側に、他側の洗浄処理槽5および乾燥処理槽7が配設されている。また、洗浄処理槽5および乾燥処理槽7を挟んで膨潤処理槽10の反対側には、キャリア2,2が配設されている。膨潤処理槽10と、洗浄処理槽5,5と、乾燥処理槽7,7と、キャリア2,2とが、平面視で、多関節ロボット9を取り囲むように配置されている。薬液処理装置1は、平板状の基板4(例えば、ウェハー)の上に回路パターンなどを形成する際に、回路パターンを除いて、フォトレジストおよびその上に形成された金属膜(以下、両者をまとめて被覆物という)を当該基板4から除去することを目的にしている。
【0014】
図2に示すように、膨潤処理システム3は、膨潤処理槽10と、複数の基板上下動アクチュエータ20と、スラッジ回収タンク30とを備える。後述するように、膨潤処理システム3では、膨潤処理槽10に配設された複数の基板上下動アクチュエータ20によって、複数の基板4を枚葉式でレジスト除去処理するように構成されている。
【0015】
膨潤処理槽10は、剥離液(薬液)6を収容して、処理槽10aと貯留槽10bと排出槽10cとを有する。剥離液(薬液)6は、処理槽10aから貯留槽10bへ流れ、さらに貯留槽10bから排出槽10cへ流れるように、すなわち一方向に流れるように、構成されている。
【0016】
図1および図8に示すように、処理槽10aでは、複数の基板上下動アクチュエータ20が、処理槽10aの長手方向(横方向)に沿って離間して一列で配置されている。隣り合う2つの基板上下動アクチュエータ20の間には、後述するノズル14が配設されるとともに、側端に位置する基板上下動アクチュエータ20の外側にも後述するノズル14が配設されている。各基板上下動アクチュエータ20の動作は、制御部8によって個別に制御される。
【0017】
制御部8は、CPU(中央演算処理装置)を備え、ROM(リード・オンリー・メモリ)やRAM(ランダム・アクセス・メモリ)などの各種メモリと、各種の入力デバイスや出力デバイスとを通じて、薬液処理装置1における各種の動作および処理を制御している。基板上下動アクチュエータ20および多関節ロボット9の詳細は、後述する。
【0018】
処理槽10aでは、基板上下動アクチュエータ20によって、基板4が、剥離液6に浸漬される浸漬位置と、剥離液6から引き上げる非浸漬位置との間で上下方向に移動するように構成されている。処理槽10aに収容された剥離液(薬液)6の中に基板4を浸漬することによって、基板4の上に形成されたフォトレジストが膨潤して、被覆物が基板4から剥離する。
【0019】
図2に示すように、膨潤処理槽10の底部は、処理槽10aから排出槽10cにかけて、剥離液(薬液)6の流れ方向に対して下り勾配で傾斜している。膨潤処理槽10の底部(具体的には、処理槽10aの底部および貯留槽10bの底部)には、超音波発生器17が配設されている。当該構成によれば、基板4からの被覆物の剥離を促進するとともに、基板4から剥離した被覆物を粉砕して、粉砕によって生じたスラッジが下流側に流れやすくなる。
【0020】
処理槽10aの上流側の上方には、ノズル14が配設されている。ノズル14は、剥離液(薬液)6を基板4の中心に対して斜め上方から下向きに噴出してダウンフロー流を発生するように構成されている。当該構成によれば、剥離した被覆物が基板4に再付着することを防止して、発生したスラッジの回収を容易にする。ノズル14は、例えば、フルコーンノズルである。例えば、ノズル14から噴出される剥離液(薬液)6の流量が1~2リッター/分であり、流速が1~1.8m/秒である。
【0021】
処理槽10aと貯留槽10bとの間は、連通側壁11によって隔てられている。連通側壁11の底部に設けられた連通口15を介して、処理槽10aは、隣接する貯留槽10bに連通している。当該構成によれば、処理槽10aでの剥離液(薬液)6が、ダウンフロー流の状態で、貯留槽10bに流入するので、剥離した被覆物が基板4に再付着することを防止できる。また、貯留槽10bと、貯留槽10bに隣接する排出槽10cとの間は、オーバーフロー側壁12によって隔てられている。
【0022】
貯留槽10bにおいて、連通口15との反対側(すなわち、オーバーフロー側壁12の側)に位置する底部側のコーナー部には、滞留防止部16が形成されている。当該構成によれば、貯留槽10bの底部とオーバーフロー側壁12とが交わるコーナー部において、スラッジが堆積することを防止できる。滞留防止部16は、R面形状またはC面形状をしている。
【0023】
オーバーフロー側壁12の高さは、連通側壁11の高さよりも低く構成されている。これにより、オーバーフロー側壁12を乗り越えた貯留槽10bの剥離液(薬液)6が、排出槽10cに流れ込む。
【0024】
図2を参照しながら、膨潤処理システム3において剥離液(薬液)6が循環して流れる循環経路40を説明する。排出槽10cの底部には、配管41が接続されている。配管41の途中に設けられたバルブ46によって、循環経路40を流れる剥離液(薬液)6の流れが制御される。
【0025】
配管41は、スラッジ回収タンク30の上部に接続されている。スラッジ回収タンク30は、その上部において、ステンレス製のメッシュフィルター31を有する。メッシュフィルター31は、配管41を流れる剥離液(薬液)6を受けるように、配管41の接続部の直下に配設されている。メッシュフィルター31は、例えば、20メッシュ(目開きが0.77~0.98mm)よりも粗い粗メッシュかご32と、50メッシュ(目開きが0.28~0.33mm)程度の中間メッシュかご33、100メッシュ(目開きが0.15mm)程度の細メッシュかご34から構成されている。メッシュフィルター31は、フィルター取り出し部36を通じて装着・脱着できるように構成されている。スラッジ回収タンク30の上部には、大気開放された排気部37が設けられている。
【0026】
スラッジ回収タンク30の下流側には、配管42を介して循環ポンプ47が接続されている。循環ポンプ47の下流側には、配管43を介してリキッドサイクロン48が接続されている。リキッドサイクロン48の下流側には、配管44を介してケミカルフィルター49が接続されている。ケミカルフィルター49の下流側には、配管45を介してノズル14が接続されている。したがって、膨潤処理システム3において、排出槽10cと、処理槽10aに配設されたノズル14との間は、循環経路40によって、剥離液(薬液)6が循環している。剥離液(薬液)6の循環により、使用済みの剥離液(薬液)6に含まれる有機溶剤および金属を再利用することができ、薬液処理装置1のランニングコストを低減できる。
【0027】
膨潤処理システム3の循環経路40には、剥離液(薬液)6に含まれるスラッジの回収対象サイズを、段階的に(例えば、三段階に)小さくしたフィルタリングシステム31,48,49が設けられている。すなわち、メッシュフィルター31は、第一段階のフィルタリングとして働き、100μm以上のスラッジを濾過する。リキッドサイクロン48は、第二段階のフィルタリングとして働き、遠心力で固液分離を行うことにより、2μm~100μmのスラッジを濾過する。ケミカルフィルター49は、第三段階のフィルタリングとして働き、0.2μm~2μmのスラッジを濾過する。上記構成によれば、高価なフィルターエレメントの交換頻度を低減でき、薬液処理装置1のダウンタイムを抑制し、生産効率をアップさせることができる。
【0028】
基板上下動アクチュエータ20は、上下駆動部として働き、上下動アーム21と、保持部22と、基板受け23と、上下動アクチュエータ25とを有する。上下動アーム21の先端側には、保持部22が設けられているとともに、上下動アーム21の基端側には、上下動アクチュエータ25が設けられている。上下動アクチュエータ25は、例えば、電動モータや流体シリンダによって駆動される。上下動アクチュエータ25の上下方向の動作は、制御部8によって制御される。
【0029】
膨潤処理槽10の処理槽10aにおいて、基板4は、保持部22により縦置きで保持される。保持部22は、図4に示すように、正面視でV字形状で屈曲している。保持部22の上面には、複数の(少なくとも3つの)基板受け23が設けられている。基板受け23は、図5に示すように、基板4の下周縁部を支持しながら保持するY字形状の溝を有する。
【0030】
上下動アクチュエータ25が上下動アーム21を上下方向に駆動するように、制御部8が上下動アクチュエータ25を制御すると、保持部22が上下動する。このとき、保持部22で縦置きで保持された基板4は、剥離液(薬液)6から引き上げられる非浸漬位置と、剥離液(薬液)6に浸漬される浸漬位置との間で移動する。基板上下動アクチュエータ20によって基板4が浸漬位置に保たれた時間すなわち膨潤処理時間は、制御部8によって制御される。
【0031】
図3に示すように、多関節ロボット9は、基台51と、多関節アーム52と、チャック部55と、回動部57とを備える。多関節アーム52の基端側は、基台51から垂直方向に延在する支柱59に固定されている。多関節アーム52の先端側は、回動部57を介してチャック部55に接続されている。多関節アーム52は、複数のアーム部からなり、基端側のアーム部は、支柱59の上端に固定される。支柱59は、基台51の内部に設けられた図示しない駆動装置および駆動力伝達機構によって、支柱59の支軸を中心に回転するとともに、垂直方向に往復移動するように構成される。したがって、基端側のアーム部は、支柱59の回転作用により水平面内で回転自在である。
【0032】
先端側のアーム部は、基端側のアーム部に対して連結軸部によって水平面内で回転自在に取り付けられる。チャック部55は、先端側のアーム部に対して回動部57によって回動自在に取り付けられる。したがって、チャック部55は、回動部57の回動軸を中心に回動自在である。
【0033】
複数のアーム部、回動部57およびチャック部55は、例えば、それらの内部に設けられた駆動装置によって、任意の回転量や回転方向、任意の回動量や回動方向、任意の移動量や移動方向で駆動される。支柱59、複数のアーム部、回動部57およびチャック部55の各動作は、制御部8によって、独立して制御される。
【0034】
図6および図7に示すように、チャック部55は、係止部53と、係止部53の先端に設けられた2つの爪部54,54と、係止部53に凹設された収容部56を有する。係止部53が垂直方向に延在するとき、収容部56は基板4を収容するとともに、2つの爪部54,54は、係止部53の幅方向に離間しており、基板4の外周下部を支持する。収容部56は、基板4の外径よりも一回り大きな外径を有するように寸法構成されている。これにより、基板4は、収容部56の中で移動できる。基板4の外周下部が、2つの爪部54,54に係合することなく脱離可能となる脱離位置に位置するとき、基板4が収容部56から離脱できる。基板4の外周部が、2つの爪部54,54に係合する係合位置に位置するとき、基板4が収容部56に係止される。したがって、収容部56は、基板4の外周部と2つの爪部54,54との間での位置関係を調整することにより、基板4を係脱自在に収容できるので、チャック部55は基板4を係脱自在にチャックできる。
【0035】
チャック部55によって基板4が係脱自在にチャックされる動作は、制御部8によって制御される。多関節ロボット9により、すなわち、支柱59、複数のアーム部および回動部57の各動作の組み合わせにより、基板4をチャック部55の収容部56における係合位置または脱離位置に移動させることができ、チャック部55の収容部56によって基板4を係脱自在に収容できる。
【0036】
また、多関節ロボット9は、図1において矢印で示すように、水平方向に移動できるように構成されている。これにより、多関節ロボット9は、キャリア2、膨潤処理槽10、洗浄処理槽5および乾燥処理槽7の間で任意に移動でき、基板4をキャリア2、膨潤処理槽10、洗浄処理槽5および乾燥処理槽7の間で自在に搬送できる。
【0037】
キャリア2には、複数の基板4が横置きで載置されている。多関節ロボット9は、キャリア2において横置きで載置された複数の基板4の中から、或る基板4を取り出す。そして、多関節ロボット9は、キャリア2から取り出された或る基板4を膨潤処理槽10まで搬送し、或る基板4を縦置きで空きの保持部22に載置する。載置された或る基板4は、保持部22で保持される。基板上下動アクチュエータ20は、縦置きで保持部22に保持された或る基板4を、膨潤処理槽10において非浸漬位置から浸漬位置に下動させる。或る基板4を浸漬位置で所定時間保つことによって、或る基板4の膨潤処理が所定の膨潤処理時間で行われる。
【0038】
所定の膨潤処理時間が経過すると、基板上下動アクチュエータ20は、或る基板4が載置された保持部22を非浸漬位置に上動させ、多関節ロボット9は、非浸漬位置にある或る基板4を係止部53で係合して保持部22から取り除く。多関節ロボット9は、非浸漬位置にある保持部22に対して或る基板4とは異なる別の基板4を載置する。このようなレジスト除去処理が基板4毎に個別に行われる。
【0039】
膨潤処理された基板4は、多関節ロボット9によって、膨潤処理槽10から洗浄処理槽5へ搬送される。洗浄処理槽5では、膨潤処理された基板4に対して、基板4の表面に残る残渣を除去する洗浄処理(いわゆるリンス処理)が行われる。洗浄処理槽5は、二流体ノズルを有する。二流体ノズルからは、加圧ガス(例えば、窒素ガス)と洗浄液(例えば、純水)とを含むリンス流体が基板4の表面に噴射される。リンス流体が、基板4の表面に噴射されると、基板4の表面に残存する残渣が、基板4の表面から除去される。これにより、基板4が洗浄処理される。なお、基板4の厚みが薄い場合、基板4の裏面側にバックアッププレートを配設することができる。また、基板4の裏面側も、基板裏面センターノズルで洗浄することもできる。
【0040】
洗浄処理された基板4は、多関節ロボット9によって、洗浄処理槽5から乾燥処理槽7へ搬送される。乾燥処理槽7では、例えば、基板4を高速で回転させることによって、基板4に付着するリンス流体を遠心力で飛散させて、基板4を乾燥させるいわゆるスピン乾燥が行われる。
【0041】
乾燥処理された基板4は、多関節ロボット9によって、乾燥処理槽7からキャリア2へ搬送される。例えば、キャリア2では、基板4が、横置きで載置される。これにより、薬液処理装置1での一連の処理が完了する。制御部8は、他の基板4についても同様の動作を繰り返し実行するように制御して、複数枚の基板4を一枚ずつ(枚葉式で)レジスト除去処理するように制御する。したがって、基板4の膨潤処理時間を個々に管理できるので、基板4毎の膨潤処理時間に差違が生じることを防止でき、基板4毎におけるフォトレジスト除去にばらつきが生じることを抑制できる。
【0042】
第1実施形態に係る薬液処理装置1によれば、保持部22に保持された基板4が、浸漬位置と非浸漬位置との間で個別に上下動して、枚葉式でレジスト除去処理されるので、基板4毎におけるレジスト除去にばらつきが生じることを抑制できる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図9を参照しながら、第2実施形態に係る薬液処理装置1を説明する。図9は、第2実施形態に係る薬液処理装置1における膨潤処理システム3を説明する平面図である。第2実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を除く他の構成は、第1実施形態に係る薬液処理装置1と同じであるので、第2実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を中心に説明する。
【0044】
図9に示すように、薬液処理装置1の膨潤処理槽10に対して、基板上下動アクチュエータ20が千鳥配置で設けられている。上下動アクチュエータ25が千鳥配置で設けられているが、上下動アーム21の水平長さを調整することにより、保持部22が、処理槽10aの長手方向(横方向)に沿って離間して一列で配置されている。したがって、保持部22に保持される基板4も、処理槽10aの長手方向(横方向)に沿って離間して一列で位置する。横方向にスペースを必要とする上下動アクチュエータ25が交互にセットバックして、隣り合う上下動アーム21および保持部22が近づけて配設されるので、隣り合う基板4同士の間隔を狭くすることができる。
【0045】
上記構成によれば、隣り合う基板4同士の間隔の狭小化、膨潤処理槽10の省スペース化(例えば、図8に示した膨潤処理槽10との比較で約20%の省スペース化)、膨潤処理槽10で使用される剥離液(薬液)6の削減を可能にする。
【0046】
〔第3実施形態〕
図10および図11を参照しながら、第3実施形態に係る薬液処理装置1を説明する。図10は、第3実施形態に係る薬液処理装置1を説明する平面図である。図11は、図10に示した薬液処理装置1における膨潤処理槽10を説明する平面図である。第3実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を除く他の構成は、第1実施形態に係る薬液処理装置1と同じであるので、第3実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を中心に説明する。
【0047】
図10および図11に示すように、膨潤処理槽10が平面視で扇型形状をしており、多関節ロボット9が扇の中心に配設されている。基板上下動アクチュエータ20が、膨潤処理槽10の外円弧部に沿って設けられている。扇型の外円弧部の側において、横方向にスペースを必要とする基板上下動アクチュエータ20が配設されているので、隣り合った上下動アームおよび保持部22が近づけて配設されるので、隣り合う基板4同士の間隔を狭くすることができる。
【0048】
上記構成によれば、膨潤処理槽10の省スペース化(例えば、図8に示した膨潤処理槽10との比較で約44%の省スペース化)、膨潤処理槽10で使用される剥離液(薬液)6の削減、多関節ロボット9の回転半径の低減を可能にする。
【0049】
〔第4実施形態〕
図12を参照しながら、第4実施形態に係る薬液処理装置1を説明する。図12は、第4実施形態に係る薬液処理装置1における膨潤処理槽10を説明する平面図である。第4実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を除く他の構成は、第3実施形態に係る薬液処理装置1と同じであるので、第4実施形態に係る薬液処理装置1の特徴部分を中心に説明する。
【0050】
図12に示すように、平面視で扇型形状をしている膨潤処理槽10に対して、基板上下動アクチュエータ20が千鳥配置で設けられている。上下動アクチュエータ25が千鳥配置で設けられているが、上下動アーム21の水平長さを調整することにより、保持部22が、処理槽10aの周方向に沿って離間して一列で配置されている。したがって、保持部22に保持される基板4が、処理槽10aの周方向に沿って離間して一列で位置する。周方向にスペースを必要とする上下動アクチュエータ25が交互にセットバックして、隣り合う上下動アーム21および保持部22が近づけて配設されるので、隣り合う基板4同士の間隔を狭くすることができる。
【0051】
上記構成によれば、隣り合う基板4同士の間隔の狭小化、膨潤処理槽10の省スペース化、膨潤処理槽10で使用される剥離液(薬液)6の削減を可能にする。
【0052】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0053】
上記実施形態では、基板4が、キャリア2に横置きで載置される場合を例示した。しかしながら、基板4が、キャリア2に縦置きで載置される構成であってもよい。
【0054】
上記実施形態では、洗浄処理槽5において、二流体ノズルから噴射されるリンス流体が、加圧ガスとして窒素ガス、洗浄液として純水である場合を例示した。しかしながら、加圧ガスとして不活性ガスなどを用い、洗浄液として有機溶剤以外の他の薬液などを用いることができる。
【0055】
上記実施形態では、薬液処理装置1が、1つの膨潤処理槽10と2つの洗浄処理槽5,5と2つの乾燥処理槽7,7とから構成される場合を例示した。しかしながら、薬液処理装置1を構成する槽の数は、これに限らず、適宜に増減することができる。
【0056】
上記実施形態では、基板4を搬送する搬送装置が、多関節ロボット9である態様を例示した。しかしながら、搬送装置は、その他の各種搬送手段を用いることができる。
【0057】
上記実施形態では、基板4の上に金属膜の回路パターンを形成する際のリフトオフ処理を例示した。しかしながら、この発明の薬液処理装置1は、例えば、FPD(Flat Panel Display)基板、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス、MEMS(Micro -Electro Mechanical Systems)、あるいはハードディスクなどを製造するとき、各種の基板4の上に様々な膜のパターンを形成する際のレジスト除去処理にも適用可能である。
【0058】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0059】
この発明の一態様に係る薬液処理装置1は、
基板4を薬液6に浸漬することによってレジスト除去処理する処理槽10aと、
前記基板4を縦置きで保持する複数の保持部22と、
前記保持部22を個別に上下に駆動する上下駆動部20と、
前記基板4を係脱自在にチャックするチャック部53とを備え、
前記上下駆動部20が、前記基板4を前記薬液6に浸漬した浸漬位置と、前記基板4を前記薬液6から引き上げた非浸漬位置との間で前記保持部22を個別に上下動させることにより、前記保持部22に保持された前記基板4が、枚葉式でレジスト除去処理されることを特徴とする。
【0060】
上記構成によれば、保持部22に保持された基板4が、浸漬位置と非浸漬位置との間で個別に上下動して、枚葉式でレジスト除去処理されるので、基板4毎におけるレジスト除去にばらつきが生じることを抑制できる。
【0061】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記処理槽10aの底部には、超音波発生器17が配設されている。
【0062】
上記実施形態によれば、基板4からの被覆物の剥離を促進するとともに、基板4から剥離した被覆物が粉砕され、粉砕によって生じたスラッジが下流側に流れやすくなる。
【0063】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記処理槽10aの上部には、前記薬液6を前記基板4に向けて下方に噴出するノズル14が配設されている。
【0064】
上記実施形態によれば、剥離した被覆物が基板4に再付着することを防止して、発生したスラッジの回収を容易にする。
【0065】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記処理槽10aは、前記処理槽10aを構成する連通側壁11の底部に形成された連通口15を介して、隣接する貯留槽10bに連通している。
【0066】
上記実施形態によれば、処理槽10aでの薬液6が、ダウンフロー流の状態で、貯留槽10bに流入するので、剥離した被覆物が基板4に再付着することを防止できる。
【0067】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記貯留槽10bに隣接して排出槽10cが配設され、前記排出槽10cは、前記貯留槽10bからオーバーフローした前記薬液6を収容し、前記ノズル14と前記排出槽10cとの間には、前記薬液6を循環させる循環経路40が形成されている。
【0068】
上記実施形態によれば、使用済みの薬液6に含まれる有機溶剤および金属を再利用することができ、薬液処理装置1のランニングコストを低減できる。
【0069】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記循環経路40には、前記薬液6に含まれるスラッジの回収対象サイズを段階的に小さくしたフィルタリングシステム31,48,49が設けられている。
【0070】
上記実施形態によれば、高価なフィルターエレメントの交換頻度を低減でき、薬液処理装置1のダウンタイムを抑制し、生産効率をアップさせることができる。
【0071】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記貯留槽10bにおいて、前記連通口15との反対側の底部には、滞留防止部16が形成されている。
【0072】
上記実施形態によれば、貯留槽10bの底部とオーバーフロー側壁12とが交わるコーナー部において、スラッジが堆積することを防止できる。
【0073】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記上下駆動部20および前記チャック部55の各動作を制御する制御部8を備え、
前記制御部8は、前記非浸漬位置の前記保持部22に対して或る前記基板4を載置するステップと、前記或る基板4が載置された前記保持部22を前記浸漬位置に下動するステップと、前記浸漬位置を所定時間保つステップと、前記或る基板4が載置された前記保持部22を前記非浸漬位置に上動するステップと、前記非浸漬位置にある前記或る基板4を前記チャック部55でチャックして前記保持部22から取り除くステップと、前記非浸漬位置にある前記保持部22に対して前記或る基板とは異なる別の前記基板4を載置するステップとを有するレジスト除去処理を、前記基板4毎に個別に制御する。
【0074】
上記実施形態によれば、基板4の膨潤処理時間を個々に管理できるので、基板4毎の膨潤処理時間に差違が生じることを防止でき、基板4毎におけるレジスト除去にばらつきが生じることを抑制できる。
【0075】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記処理槽10aに対して、前記上下駆動部20が千鳥配置で設けられている。
【0076】
上記実施形態によれば、隣り合う基板4同士の間隔の狭小化、処理槽10aの省スペース化、処理槽10aで使用される薬液6の削減を可能にする。
【0077】
また、一実施形態の薬液処理装置1では、
前記処理槽10aが平面視で扇型形状をしており、前記上下駆動部20が前記処理槽10aの外円弧部に沿って設けられている。
【0078】
上記実施形態によれば、処理槽10aの省スペース化、処理槽10aで使用される薬液6の削減を可能にする。
【符号の説明】
【0079】
1…薬液処理装置
2…キャリア
3…膨潤処理システム
4…基板
5…洗浄処理槽
6…剥離液(薬液)
7…乾燥処理槽
8…制御部
9…多関節ロボット
10…膨潤処理槽
10a…処理槽
10b…貯留槽
10c…排出槽
11…連通側壁
12…オーバーフロー側壁
14…ノズル
15…連通口
16…滞留防止部
17…超音波発生器
20…基板上下動アクチュエータ(上下駆動部)
21…上下動アーム
22…保持部
23…基板受け
25…上下動アクチュエータ
30…スラッジ回収タンク(スラッジ回収部)
31…メッシュフィルター(フィルタリングシステム)
32…粗メッシュかご
33…中間メッシュかご
34…細メッシュかご
36…フィルター取り出し部
37…排気部
40…循環経路
41…配管
42…配管
43…配管
44…配管
45…配管
46…バルブ
47…循環ポンプ
48…リキッドサイクロン(フィルタリングシステム)
49…ケミカルフィルター(フィルタリングシステム)
51…基台
52…多関節アーム
53…係止部
54…爪部
55…チャック部
56…収容部
57…回動部
59…支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12