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特許7417641電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240111BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240111BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/6554
H01M50/204 401H
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M50/367
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021576686
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2020101436
(87)【国際公開番号】W WO2022006891
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】侯 ▲躍▼攀
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】林 永寿
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208298909(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109585726(CN,A)
【文献】中国実用新案第209104274(CN,U)
【文献】中国実用新案第209401662(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111106278(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111106277(CN,A)
【文献】特開2009-238654(JP,A)
【文献】中国実用新案第209071461(CN,U)
【文献】中国実用新案第210576163(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/342 - 367
H01M 10/613
H01M 10/6554
H01M 10/651
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
圧力解放機構を含む電池セルであって、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記圧力解放機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力又は温度を解放することに用いられる電池セルと、
流体を収容して前記電池セルの温度を調節するための熱管理部材と、を含み、
前記熱管理部材の第1表面は前記電池セルの前記第1壁に取り付けられ、前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する時に前記電池セル内から排出された排出物により破壊されて、前記排出物を前記熱管理部材に通過させるように構成され
前記電池はさらに、
複数の前記電池セルを収容するための電気キャビティと、
前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物を収集するための収集キャビティと、を含み、
前記熱管理部材は前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離することに用いられ、
前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物により破壊されて、前記排出物が前記熱管理部材を通過して前記収集キャビティに入るように構成される電池。
【請求項2】
前記熱管理部材には薄化領域が設置され、前記薄化領域は、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物により破壊されて、前記排出物を前記薄化領域に通過させるように構成される請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記熱管理部材には前記圧力解放機構と対向して設置される凹溝が設置され、前記凹溝の底壁に前記薄化領域が形成される請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記凹溝は前記熱管理部材の前記第1壁に面する表面に設置される請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記熱管理部材は第1熱伝導板と、第2熱伝導板とを含み、前記第1熱伝導板は前記第1壁と前記第2熱伝導板との間に位置し且つ前記第1壁に取り付けられ、前記第1熱伝導板の第1領域は前記第2熱伝導板に向かって凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2熱伝導板に接続されている請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記第1領域には貫通穴が設置され、前記貫通穴の半径方向サイズは前記凹溝の半径方向サイズ未満である請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記熱管理部材の前記薄化領域の周りに位置する部分は前記排出物により破壊されて、前記流体を前記熱管理部材の内部から排出させる請求項2~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記凹溝の側面は前記排出物により破壊されて、前記流体を前記熱管理部材の内部から排出させる請求項3~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記凹溝の半径方向サイズは前記圧力解放機構から離れる方向上に徐々に小さくなる請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記凹溝は、前記圧力解放機構が作動する時に開かれる逃げキャビティとして構成される請求項3~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記凹溝の深さは1mmより大きい請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記逃げキャビティは前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられる請求項10~11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記電池セルの第2壁には電極端子が設置され、前記第2壁は前記第1壁と異なり、前記第2壁と前記第1壁とは対向して設置される請求項1~12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の電池を含む電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電池分野に関し、且つ具体的には、電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー及び排出削減は自動車産業の持続可能な発展のキーである。この場合、電気自動車は省エネルギーで環境にやさしいとの利点があるため、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとっては、電池技術はその発展に関連する1つの重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、安全性の問題も無視できない問題である。電池の安全性の問題を確保できなければ、該電池は使用できなくなる。従って、どのように電池の安全性を高めるかは、電池技術において緊急に解決する必要のある技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置を提供し、電池の安全性を高めることができる。
【0005】
第1態様によれば、電池を提供し、圧力解放機構を含む電池セルであって、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記圧力解放機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる、電池セルと、流体を収容して前記電池セルの温度を調節するための熱管理部材と、含み、前記熱管理部材の第1表面は前記電池セルの前記第1壁に取り付けられ、前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する時に前記電池セル内から排出された排出物により破壊されて、前記排出物を前記熱管理部材に通過させるように構成される。
【0006】
本願の実施例の技術案では、熱管理部材の第1表面は圧力解放機構が設置された第1壁に取り付けられ、このように、圧力解放機構が作動する時、電池セルの排出物は熱管理部材に向かって排出され、同時に、熱管理部材は、圧力解放機構が作動する時電池セル内から排出された排出物により破壊されて、排出物を熱管理部材に通過させるように構成される。このように、排出物は熱管理部材を通過して迅速に排出されて電池セルから離れることができ、リスクを減らし、それにより電池の安全性を高めることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材には薄化領域が設置され、前記薄化領域は、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物により破壊されて、前記排出物を前記薄化領域に通過させるように構成される。
【0008】
薄化領域を設置することにより、排出物が熱管理部材を通過することを容易にすることができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記薄化領域と前記圧力解放機構とは対向して設置される。このように、前記圧力解放機構が作動する時、前記排出物は前記薄化領域を直接突撃して前記薄化領域を開くことができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材には前記圧力解放機構と対向して設置される凹溝が設置され、前記凹溝の底壁に前記薄化領域が形成される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記凹溝は前記熱管理部材の前記第1壁に面する表面に設置される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は第1熱伝導板と、第2熱伝導板とを含み、前記第1熱伝導板は前記第1壁と前記第2熱伝導板との間に位置し且つ前記第1壁に取り付けられ、前記第1熱伝導板の第1領域は前記第2熱伝導板に向かって凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2熱伝導板に接続されている。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1領域には貫通穴が設置され、前記貫通穴の半径方向サイズは前記凹溝の半径方向サイズ未満である。
【0014】
いくつかの実施例では、前記貫通穴に対応する前記第2熱伝導板の厚さはその他の領域の前記第2熱伝導板の厚さ未満である。このように、前記薄化領域はより容易に前記排出物により破壊される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記薄化領域の厚さは3mm以下である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記薄化領域は前記熱管理部材の残りの部分よりも低い融点を有する。
【0017】
いくつかの実施例では、前記薄化領域が使用した材料の融点は400℃未満である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材の前記薄化領域の周りに位置する部分は前記排出物により破壊されて、前記流体を前記熱管理部材の内部から排出させる。
【0019】
前記圧力解放機構が作動する時に、前記熱管理部材は破壊されて、流体が前記熱管理部材の内部から排出され、このように、電池セルの熱量を吸収し、排出物の温度を下げ、さらに排出物のリスクを減らすことができる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記凹溝の側面は前記排出物により破壊されて、前記流体を前記熱管理部材の内部から排出させる。
【0021】
前記凹溝を採用する場合、圧力解放機構が作動する時、電池セルの排出物は前記凹溝に入り、前記凹溝の底壁は薄いため、前記排出物は前記凹溝の底壁を破壊して前記収集キャビティに入り、また、前記凹溝内に入った排出物はさらに同時に前記凹溝の側面を溶融させて、流体を前記熱管理部材の内部から排出させ、それにより高熱の排出物を冷却する。
【0022】
いくつかの実施例では、前記凹溝の半径方向サイズは前記圧力解放機構から離れる方向に徐々に小さくなる。このように、排出物との接触面積を増加することができ、前記排出物による破壊が容易になる。
【0023】
いくつかの実施例では、前記凹溝は、前記圧力解放機構が作動する時に開かれる逃げキャビティとして構成される。
【0024】
逃げキャビティは前記圧力解放機構に変形空間を提供して、前記圧力解放機構を前記熱管理部材に向かって変形させて破裂させる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記凹溝の深さは前記圧力解放機構のサイズに関連する。
【0026】
いくつかの実施例では、前記凹溝の深さは1mmより大きい。
【0027】
いくつかの実施例では、前記凹溝の開口の面積は前記圧力解放機構の面積に関連する。
【0028】
いくつかの実施例では、前記凹溝の開口の面積と前記圧力解放機構の面積との比の値の範囲は0.5~2である。
【0029】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構の少なくとも一部は前記第1壁から突出し、前記逃げキャビティは前記圧力解放機構の前記少なくとも一部を収容することに用いられる。
【0030】
このように、電池セルの第1壁は前記熱管理部材の表面に緊密に密着することができ、それにより電池セルの固定を容易にし、空間を節約し且つ熱管理効率を向上させることができ、且つ、圧力解放機構が作動する時、電池セルの排出物は逃げキャビティに向かって排出されて電池セルから離れ、そのリスクを減らし、それにより電池の安全性を高めることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する部分は外に突出し、前記逃げキャビティは前記第1壁の前記圧力解放機構の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。
【0032】
いくつかの実施例では、前記電池セルの第2壁には電極端子が設置され、前記第2壁は前記第1壁とは異なる。
【0033】
圧力解放機構及び電極端子を電池セルの異なる壁上に設置することで、圧力解放機構が作動する時、電池セルの排出物は電極端子からより離れることができ、それにより排出物の電極端子及びバス部材に対する影響を減少させ、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、前記第2壁と前記第1壁とは対向して設置される。
【0035】
いくつかの実施例では、前記圧力解放機構は感温圧力解放機構であり、前記感温圧力解放機構は前記電池セルの内部温度が閾値になった場合に溶融できるように構成され、及び/又は、前記圧力解放機構は感圧圧力解放機構であり、前記感圧圧力解放機構は前記電池セルの内部気圧が閾値になった場合に破裂できるように構成される。
【0036】
いくつかの実施例では、前記電池はさらに、複数の前記電池セルを収容するための電気キャビティと、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物を収集するための収集キャビティと、を含み、前記熱管理部材は前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離することに用いられる。
【0037】
熱管理部材を利用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを分離し、圧力解放機構が作動する時、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少量で入り、それにより電気キャビティでの電気的接続に影響を与えることがなく、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共用される壁を有する。
【0039】
前記熱管理部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共用される壁として使用されるため、排出物と電気キャビティを最大限に分離することができ、それにより排出物のリスクを減らし、電池の安全性を高める。
【0040】
いくつかの実施例では、前記電池はさらに、前記熱管理部材を保護するための保護部材を含み、前記保護部材は前記熱管理部材と前記収集キャビティを形成する。
【0041】
前記保護部材と前記熱管理部材により形成された前記収集キャビティは、前記排出物を効果的に収集して緩衝することができ、そのリスクを減らす。
【0042】
いくつかの実施例では、前記電気キャビティは前記熱管理部材を介して前記収集キャビティから隔絶される。
【0043】
前記収集キャビティと前記電気キャビティとは連通せず、前記収集キャビティ内の液体又はガス等は前記電気キャビティに入ることができず、それにより前記電気キャビティをより効果的に保護できる。
【0044】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物により破壊されて、前記排出物が前記熱管理部材を通過して前記収集キャビティに入るように構成される。
【0045】
第2態様によれば、第態様の電池を含む電力消費装置を提供する。
【0046】
いくつかの実施例では、前記電力消費装置は車両、船又は宇宙機である。
【0047】
第3態様によれば、電池製造方法を提供し、電池セルを提供するステップであって、前記電池セルは圧力解放機構を含み、前記圧力解放機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記圧力解放機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、流体を収容するための熱管理部材を提供するステップと、前記熱管理部材の第1表面を前記電池セルの前記第1壁に取り付けるステップであって、前記熱管理部材は、前記圧力解放機構が作動する時に前記電池セル内から排出された排出物により破壊されて、前記排出物を前記熱管理部材に通過させる、ステップと、を含む。
【0048】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材には薄化領域が設置され、前記薄化領域は、前記圧力解放機構が作動する時に前記排出物により破壊されて、前記排出物を前記薄化領域に通過させるように構成される。
【0049】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材には前記圧力解放機構と対向して設置される凹溝が設置され、前記凹溝の底壁に前記薄化領域が形成される。
【0050】
いくつかの実施例では、前記熱管理部材は第1熱伝導板と、第2熱伝導板とを含み、前記第1熱伝導板は前記第1壁と前記第2熱伝導板との間に位置し且つ前記第1壁に取り付けられ、前記第1熱伝導板の第1領域は前記第2熱伝導板に向かって凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2熱伝導板に接続されている。
【0051】
いくつかの実施例では、前記第1領域には貫通穴が設置され、前記貫通穴の半径方向サイズは前記凹溝の半径方向サイズ未満である。
【0052】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するためのモジュールを含む電池製造装置を提供する。
【0053】
ここで説明される図面は本願の更なる理解を提供することに用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈することに用いられ、本願の不適切な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本願の一実施例の車両の模式図である。
図2】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図3】本願の一実施例の電池モジュールの構造模式図である。
図4】本願の一実施例の電池セルの分解図である。
図5】本願の別の実施例の電池セルの分解図である。
図6】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図7】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図8】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図9a】本願の一実施例の電池の平面模式図である。
図9b図9aに示される電池のA-Aに沿う断面模式図である。
図9c図9bに示される電池のB部分の拡大図である。
図10a】本願の一実施例の熱管理部材の立体模式図である。
図10b図10aに記載の熱管理部材のA-Aに沿う断面模式図である。
図10c】本願の一実施例の熱管理部材の分解図である。
図11】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図12】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図13】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図14】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図15】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図16】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図17】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
図18】本願の一実施例の電池の分解図である。
図19】本願の一実施例の電池製造方法の例示的なフローチャートである。
図20】本願の一実施例の電池製造装置の例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願のいくつかの実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要としない前提において得るすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0056】
特に定義されていない限り、本願で使用される技術用語又は科学用語は当業者によって一般的に理解される意味と同じである。本願において、出願の明細書で使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1」、「第2」等は特定の順序又は主従関係を説明するためのものではなく、異なる対象を区別するために使用される。
【0057】
本願に言及される「実施例」は、実施例を組み合わせて説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書のさまざまな位置に現れる該語句は必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立した又は代替の実施例でもない。当業者は、本願において説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0058】
本願の説明において、説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、「装着」、「連結」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0059】
本願の「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種の関係が存在することを示し、たとえば、A及び/又はBは、Aが単独で存在し、AとBとが同時に存在し、Bが単独で存在するという3種の状況を指す。また、本願の「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」という関係であることを示す。
【0060】
本願において出現した「複数」は2つの以上(2つを含む)であることを指し、同様に、「複数のグループ」は2つのグループ以上(2つのグループを含む)であることを指し、「複数のシート」は2つのシート以上(2つのシートを含む)であることを指す。
【0061】
本願では、電池セルはリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれに対して限定されない。電池セルは円柱体、偏平体、長方体又は他の形状等であってもよく、本願の実施例はこれに対しても限定されない。電池セルは一般的にパッケージ方式で、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けられ、本願の実施例はこれに対しても限定されない。
【0062】
本願の実施例に言及された電池は、より高い電圧及び容量を供給するように1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。たとえば、本願で言及された電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般的に1つ又は複数の電池セルをパッケージするためのボックスを含む。ボックスは液体やその他の異物が電池セルの充電又は放電に悪影響を与えることを回避することができる。
【0063】
電池セルは電極アセンブリ及び電解液を含み、電極アセンブリは正極板、負極板及びセパレータからなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することに依存して動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされて、正極活物質層がコーティングされていない集電体は正極活物質層がコーティングされている集電体から突出し、正極活物質層がコーティングされていない集電体は正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされて、負極活物質層がコーティングされていない集電体は負極活物質層がコーティングされている集電体から突出し、負極活物質層がコーティングされていない集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコーン等であってもよい。溶断が発生せずに高電流が流れることを確保するために、正極タブは、数が複数で一体に積層され、負極タブは数が複数で一体に積層される。セパレータの材質はPP又はPE等であってもよい。また、電極アセンブリは巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれらに制限されない。電池技術の発展は、たとえば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電速度等の性能パラメータという様々な設計要素を同時に考慮する必要があり、また、さらに電池の安全性を考慮する必要がある。
【0064】
電池セルについては、主な安全上の問題は充放電過程由来であり、同時に適切な環境温度の設計も必要であり、不要な損失を効果的に回避するために、電池セルに対して一般的に少なくとも3つの保護手段がある。具体的には、保護手段は少なくともスイッチング素子、適切なセパレータ材料の選択及び圧力解放機構を含む。スイッチング素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が特定の閾値になった場合に電池の充電又は放電を停止させることができる素子である。セパレータは正極板と負極板を分離することに用いられ、温度が特定の数値に上昇した場合その上に付着されたミクロレベル(さらにナノレベル)の微細孔を自動的に溶解することができ、それにより金属イオンはセパレータを通過できなくなり、電池セルの内部反応を停止させる。
【0065】
圧力解放機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放するための素子又は部材である。該閾値の設計は設計需要に応じて異なる。前記閾値は電池セル中の正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの1種又は複数種の材料に決められる可能性がある。圧力解放機構は防爆弁、空気弁、圧力解放弁又は安全弁等の形式を採用してもよく、かつ具体的に感圧又は感温素子又は構造を採用してもよく、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値になった場合に、圧力解放機構は動作を実行し、又は圧力解放機構内に設けられた薄化構造が破壊され、それにより内部圧力又は温度を解放するための開口又はチャンネルが形成される。
【0066】
本願で言及された「作動」とは、圧力解放機構が動作を発生させ又は一定の状態にアクティベートされ、それにより電池セルの内部圧力及び温度を解放することを指す。圧力解放機構による動作は、圧力解放機構の少なくとも一部の破裂、粉砕、裂け又は開放等を含むがこれらに制限されない。圧力解放機構が作動する時、電池セルの内部の高温高圧物質が排出物として作動部位から外部へ排出される。このような方式で圧力又は温度が制御可能な状況で電池セルに圧力を解放させることができ、それにより潜在的でより深刻な事故の発生が回避される。
【0067】
本願で言及された、電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分割された正負極板、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、炎等を含むがこれらに制限されない。
【0068】
電池セル上の圧力解放機構は電池の安全性に対して重要な影響を与える。たとえば、短絡や過充電等の現象が発生すると、電池セルの内部の熱暴走が発生して急激な圧力や温度の上昇を引き起こす可能性がる。このような場合に、圧力解放機構が作動することにより内部圧力及び温度を外部に解放することができ、それにより電池セルの爆発、発火が防止される。
【0069】
従来の圧力解放機構の設計案において、主に電池セル内部の高圧及び高熱を解放し、すなわち、前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。しかしながら、電池の出力電圧又は電流を確保するために、通常、複数の電池セルが必要であり且つ複数の電池セルの間がバス部材によって電気的に接続される。電池セルの内部から排出された排出物は、残りの電池セルの短絡現象の発生を引き起こす恐れがあり、たとえば、排出された金屑が2つのバス部材と電気的に接続されると、電池の短絡を引き起こし、したがって、安全上の問題が存在する。且つ、高温高圧排出物は電池セルの圧力解放機構が設置される方向に向かって排出され、且つ具体的に圧力解放機構が作動する領域に向かう方向に排出され、このような排出物の力及び破壊力は非常に大きい可能性があり、さらに、該方向上の1つ又は複数の構造を突破するのに十分であり、更なる安全性の問題をもたらす可能性もある。
【0070】
これに鑑み、本願の実施例は技術案を提供し、電池セルの圧力解放機構が設置された壁を熱管理部材に取り付け、圧力解放機構が作動する時、電池セル内から排出された排出物は熱管理部材を通過して電池セルから迅速に離れることにより、排出物のリスクを減らし、それにより電池の安全性を高めることができる。
【0071】
熱管理部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調節することに用いられる。ここでの流体は、液体又はガスであってもよく、温度調節とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合、該熱管理部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を下げることに用いられ、このとき、熱管理部材は冷却部材、冷却システム又は冷却板等とも呼ばれ、それに収容されている流体は冷却媒体又は冷却流体とも呼ばれ、具体的には、冷却液又は冷却ガスとも呼ばれる。また、熱管理部材は加熱して複数の電池セルの温度を上げることにも用いられ、本願の実施例はこれに対して限定しない。選択可能に、前記流体は、より良い温度調節効果を達成するために、循環的に流れるものであってもよい。選択可能に、流体は水、水とエチレングリコールとの混合液又はエア等であってもよい。
【0072】
本願で言及された電気キャビティは複数の電池セル及びバス部材を収容することに用いられる。電気キャビティは密封されてもよく又は密封されなくてもよい。電気キャビティは電池セル及びバス部材のための装着空間を提供する。いくつかの実施例では、電気キャビティにはさらに電池セルを固定するための構造が設置されてもよい。電気キャビティの形状は収容された複数の電池セル及びバス部材に基づいて決められる。いくつかの実施例では、電気キャビティは四角形であってもよく、6つの壁を有する。電気キャビティ内の電池セルは電気的に接続することにより高い電圧出力が形成されるため、電気キャビティは「高圧キャビティ」とも呼ばれる。
【0073】
本願で言及されたバス部材は複数の電池セルの間の電気的接続、たとえば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バス部材は電池セルの電極端子を接続することにより電池セルの間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バス部材は溶接によって電池セルの電極端子に固定され得る。「高圧キャビティ」に対応し、バス部材により形成された電気的接続は「高圧接続」とも呼ばれる。
【0074】
本願で言及された収集キャビティは排出物を収集することに用いられ、密封されてもよく又は密封されなくてもよい。いくつかの実施例では、前記収集キャビティ内にはエア、又はその他のガスが含まれてもよい。収集キャビティ内には電圧出力に接続される電気的接続がなく、「高圧キャビティ」に対応し、収集キャビティは「低圧キャビティ」とも呼ばれる。選択可能に、又は付加的に、前記収集キャビティ内には、冷却媒体のような液体が含まれてもよく、又は、該液体を収容するための部材が設置されてもよく、それにより収集キャビティに入る排出物の温度をさらに下げる。さらに、選択可能に、収集キャビティ内のガス又は液体は循環するものである。
【0075】
本願の実施例により説明される技術案はいずれも電池を使用するさまざまな装置に適用でき、たとえば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船及び宇宙機等であり、たとえば、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。
【0076】
理解できるように、本願の実施例により説明される技術案は上記説明された機器に適用できるだけでなく、電池を使用するすべての機器に適用できるが、説明の便宜上、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0077】
たとえば、図1に示すように、本願の一実施例の車両1の構造模式図であり、車両1は燃料自動車、ガス燃料自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車又はレンジエクステンダー式電気自動車等であってもよい。車両1の内部にはモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。たとえば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10を設置してもよい。電池10は車両1に給電することに用いられ得、たとえば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに用いられ、たとえば、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の作業電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として使用できるだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供するために使用され得る。
【0078】
異なる電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、ここで、複数の電池セルの間は直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続とは、直列接続と並列接続との混合である。電池は電池パックとも呼ばされる。選択可能に、複数の電池セルはまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、次に、複数の電池モジュールは直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成する。つまり、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成して、次に、電池モジュールが電池を構成することもよい。
【0079】
たとえば、図2に示すように、本願の一実施例の電池10の構造模式図であり、電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池10はさらにボックス(又はカバーとも呼ばれる)を含んでもよく、ボックス内部は中空構造であり、複数の電池セル20はボックス内に収容される。図2に示すように、ボックスは2つの部分を含んでもよく、ここでそれぞれ第1部分111及び第2部分112と呼ばれ、第1部分111と第2部分112とは締め付けられる。第1部分111及び第2部分112の形状は複数の電池セル20の組み合わせの形状に基づいて決定されてもよく、第1部分111及び第2部分112はいずれも1つの開口を有してもよい。たとえば、第1部分111及び第2部分112はいずれも中空長方体であり且つそれぞれ1つのみの面が開口面であることがよく、第1部分111の開口と第2部分112の開口とは対向して設置され、且つ第1部分111と第2部分112とは互いに締め付けられて閉鎖チャンバを有するボックスを形成する。複数の電池セル20は互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせた後、第1部分111と第2部分112とが締め付けられることによって形成されたボックス内に配置される。
【0080】
選択可能に、電池10はさらにその他の構造を含んでもよく、ここで詳細な説明は省略する。たとえば、該電池10はさらにバス部材を含んでもよく、バス部材は複数の電池セル20の間の電気的接続、たとえば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現してもよい。さらに、バス部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定され得る。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに導電機構を介してボックスを通過して導出され得る。選択可能に、導電機構はバス部材に属してもよい。
【0081】
異なる電力需要に応じて、電池セル20の数量は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続方式で接続されて大きな容量又はパワーを実現することができる。各電池10中に含まれる電池セル20の数量が多い可能性があるため、装着しやすくするために、電池セル20をグループ分けして設置し、各グループの電池セル20が電池モジュールを構成することもよい。電池モジュール中に含まれる電池セル20の数量については制限されず、需要に応じて設定されてもよい。たとえば、図3は電池モジュールの1つの例である。電池は複数の電池モジュールを含んでもよく、それらの電池モジュールは直列接続、並列接続又は直並列接続方式で接続され得る。
【0082】
図4に示すように、本願の一実施例の電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は1つ又は複数の電極アセンブリ22、ハウジング211及びカバープレート212を含む。図4中に示される座標系は図3におけるものと同じである。ハウジング211とカバープレート212とによりケーシング又は電池ケース21が形成される。ハウジング211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ハウジング211は1つ又は複数の電極アセンブリ22の組み合わせ後の形状に基づいて決定され、たとえば、ハウジング211は中空の長方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の1つの面は開口を有して1つ又は複数の電極アセンブリ22をハウジング211内に配置することを容易にする。たとえば、ハウジング211は中空の長方体又は立方体である場合、ハウジング211の1つの平面は開口面であり、すなわち該平面は壁体がなく、ハウジング211の内部と外部とを連通させる。ハウジング211は中空の円柱体である場合、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち該端面は壁体がなく、ハウジング211の内部と外部とを連通させる。カバープレート212は開口を被覆し且つハウジング211と接続されて、それにより電極アセンブリ22を配置する密閉キャビティを形成する。ハウジング211内には電解質、たとえば電解液が充填される。
【0083】
該電池セル20はさらに2つの電極端子214を含んでもよく、2つの電極端子214はカバープレート212上に設置されてもよい。カバープレート212は、通常、平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面上に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正極端子214a及び負極端子214bである。各電極端子214にはそれぞれ1つの接続部材23が対応して設置され、又は集電部材23とも呼ばれ、それはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現することに用いられる。
【0084】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aとは極性が逆である。たとえば、第1タブ221aは正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子と接続されており、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは他の接続部材23を介して他の電極端子と接続されている。たとえば、正極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブと接続されており、負極端子214bは他の接続部材23を介して負極タブと接続されている。
【0085】
該電池セル20では、実際の使用需要に応じて、電極アセンブリ22は単一で、又は複数であるように設置されてもよく、図4に示すように、電池セル20内には4つの独立した電極アセンブリ22が設置される。
【0086】
図5に示すように、本願の別の実施例の圧力解放機構213を含む電池セル20の構造模式図である。
【0087】
図5におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び接続部材23は図4におけるハウジング211、カバープレート212、電極アセンブリ22及び接続部材23に一致し、簡潔のために、ここで詳細な説明は省略する。
【0088】
電池セル20の1つの壁については、たとえば、図5に示される第1壁21a上にはさらに圧力解放機構213が設置されてもよい。容易に表すために、図5において第1壁21aとハウジング211とが分離されるが、ハウジング211の底側に開口を有することが限定されない。圧力解放機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0089】
該圧力解放機構213は第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aと分割式構造であってよく、たとえば溶接方式で第1壁21a上に固定される。圧力解放機構213は第1壁21aの一部である場合、たとえば、圧力解放機構213は第1壁21a上にノッチを設置する方式で形成されてもよく、該ノッチに対応する第1壁21aの厚さは圧力解放機構213のノッチ以外の他の領域の厚さ未満である。
【0090】
ノッチの箇所は圧力解放機構213の最も薄い位置である。電池セル20によるガスが大きすぎるためハウジング211の内部圧力が高くなって閾値に達し、又は電池セル20の内部反応により熱量をもたらし、電池セル20の内部の温度が高くなって閾値に達する場合、圧力解放機構213はノッチの箇所に破裂してハウジング211の内部と外部とを連通させることができ、ガスの圧力及び温度は圧力解放機構213の破裂で外部へ解放され、さらに電池セル20の爆発の発生が回避される。
【0091】
選択可能に、本願の一実施例では、図5に示すように、圧力解放機構213が電池セル20の第1壁21aに設置される場合、電池セル20の第2壁には電極端子214が設置され、第2壁は第1壁21aと異なる。
【0092】
選択可能に、第2壁と第1壁21aとは対向して設置される。たとえば、第1壁21aは電池セル20の底壁であってもよく、第2壁は電池セル20の頂壁、すなわちカバープレート212であってもよい。
【0093】
選択可能に、図5に示すように、該電池セル20はさらにパッド24を含んでもよく、該パッド24は電極アセンブリ22とハウジング211の底壁との間に位置し、電極アセンブリ22を支持する役割を果たすことができ、さらに電極アセンブリ22がハウジング211の底壁の周りの角丸に干渉することを効果的に防止することができる。また、該パッド24上には1つ又は複数の貫通穴が設置されてもよく、たとえば、均一に並べられた複数の貫通穴が設置されてもよく、又は、圧力解放機構213がハウジング211の底壁に設置される場合、該圧力解放機構213に対応する位置に貫通穴を設置して、液体および気体の伝導を容易にすることもよく、具体的には、このようにすると、パッド24上下表面の空間が連通し、電池セル20内部によるガス及び電解液はいずれも自由にパッド24を通過することができる。
【0094】
圧力解放機構213及び電極端子214を電池セル20の異なる壁上に設置することで、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物が電極端子214からより離れ、それにより電極端子214及びバス部材に対する排出物の影響を減らし、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0095】
さらに、電極端子214は電池セル20のカバープレート212上に設置される場合、圧力解放機構213を電池セル20の底壁に設置することで、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物は電池10の底部へ排出される。このように、一方で、電池10の底部の熱管理部材等を利用して排出物のリスクを減らすことができ、他方で、電池10の底部は通常、ユーザから離れ、それによりユーザへの害を減らすことができる。
【0096】
圧力解放機構213はさまざまな可能な圧力解放構造であってもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。たとえば、圧力解放機構213は感温圧力解放機構であってもよく、感温圧力解放機構は圧力解放機構213が設置された電池セル20の内部温度が閾値になった場合に溶融できるように構成され、及び/又は、圧力解放機構213は感圧圧力解放機構であってもよく、感圧圧力解放機構は圧力解放機構213が設置された電池セル20の内部気圧が閾値になった場合に破裂できるように構成される。
【0097】
図6は本願の一実施例の電池10の模式図である。図6に示すように、電池10は電池セル20及び熱管理部材13を含んでもよい。
【0098】
電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、圧力解放機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。たとえば、電池セル20は図5における電池セル20であってもよい。
【0099】
熱管理部材13は、流体を収容して複数の電池セル20の温度を調節することに用いられる。電池セル20の温度を下げる場合、該熱管理部材13は冷却媒体を収容して複数の電池セル20の温度を調節することができ、この時、熱管理部材13は冷却部材、冷却システム又は冷却板等とも呼ばれる。また、熱管理部材13は加熱することに用いられてもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない。選択可能に、前記流体は、より良い温度調節効果を達成するために、循環するものであってもよい。
【0100】
熱管理部材13の第1表面(図6に示される上面)は第1壁21aに取り付けられる。つまり、電池セル20の圧力解放機構213が設置される壁は熱管理部材13に取り付けられる。熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する時に電池セル20内から排出された排出物により破壊されて、排出物を熱管理部材13に通過させるように構成される。
【0101】
本願の実施例では、熱管理部材13の第1表面は圧力解放機構213が設置される第1壁21aに取り付けられ、このように、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物が熱管理部材13へ排出され、同時に、熱管理部材13は、圧力解放機構213が作動する時に電池セル20内から排出された排出物により破壊されて、排出物を熱管理部材13に通過させるように構成される。このように、排出物は熱管理部材13を通過して迅速に排出されて電池セル20から離れることができ、そのリスクを減らし、それにより電池の安全性を高めることができる。
【0102】
選択可能に、図7に示すように、本願の一実施例では、排出物が熱管理部材13を通過することを容易にするために、熱管理部材13には薄化領域135が設置され、薄化領域135は、圧力解放機構213が作動する時に排出物により破壊されて、排出物を薄化領域135に通過させるように構成される。
【0103】
選択可能に、薄化領域135と圧力解放機構213とは対向して設置されてもよい。このように、圧力解放機構213が作動する時、排出物は薄化領域135に直接突撃して薄化領域135を開くことができる。
【0104】
薄化領域135は排出物により容易に破壊され得るさまざまな設置を採用してもよく、本願の実施例はこれに対して限定しない、以下、例を挙げて説明する。
【0105】
選択可能に、図8に示すように、本願の一実施例では、熱管理部材13には圧力解放機構213と対向して設置される凹溝134が設置され、凹溝134の底壁は薄化領域135を形成する。凹溝134の底壁は熱管理部材13の他の領域よりも薄いため、排出物により容易に破壊され、圧力解放機構213が作動する時、排出物は凹溝134の底壁を破壊して熱管理部材13を通過することができる。
【0106】
選択可能に、凹溝134は熱管理部材13の第1壁21aに面する表面に設置される。つまり、凹溝134の開口は第1壁21aに面する。
【0107】
理解できるように、凹溝134の開口は第1壁21aとは反対側に設置されてもよい。このような場合、凹溝134の底壁は同様に排出物により容易に破壊される。
【0108】
熱管理部材13は熱伝導材料で流体のランナーを形成してもよい。流体がランナーにおいて流れ、かつ熱伝導材料によって熱量を伝導することにより電池セル20の温度を調節する。選択可能に、薄化領域は熱伝導材料のみがあるが流体がなくてもよく、より薄い熱伝導材料層を形成して、それにより排出物により容易に破壊される。たとえば、凹溝134の底壁は、薄化領域135を形成するように、熱伝導材料の薄層であってもよい。
【0109】
選択可能に、図9a~9cに示すように、本願の一実施例では、熱管理部材13は第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132を含んでもよい。第1熱伝導板131及び第2熱伝導板132はランナー133を形成し、流体を収容することに用いられる。第1熱伝導板131は第1壁21aと第2熱伝導板132との間に位置し且つ第1壁21aに取り付けられる。第1熱伝導板131の第1領域131aは第2熱伝導板132に向かって凹んで凹溝134を形成し、第1領域131aは第2熱伝導板132に接続されている。このように、凹溝134の周りにランナー133が形成されるが、凹溝134の底壁内にランナーがなく、それにより薄化領域が形成される。
【0110】
選択可能に、さらに凹溝134の底壁での第1熱伝導板131又は第2熱伝導板132を取り外して、より薄い薄化領域を形成してもよい。たとえば、図9cに示すように、本願の一実施例では、第1領域131aには第1貫通穴136が設置され、第1貫通穴136の半径方向サイズは凹溝134の半径方向サイズ未満であり、すなわち凹溝134の底壁での第1熱伝導板131を取り外し、かつ凹溝134の底部エッジでの第1熱伝導板131と第2熱伝導板132との接続を保持して、凹溝134の周りのランナー133を形成する。
【0111】
選択可能に、さらに第1貫通穴136に対応する第2熱伝導板132に対して薄化処理を行ってもよく、すなわち、第1貫通穴136に対応する第2熱伝導板132の厚さをその他の領域の第2熱伝導板132の厚さ未満にし、それにより薄化領域が排出物により破壊されることを容易にする。選択可能に、さらに第1貫通穴136に対応する第2熱伝導板132上に薄化溝を設置してもよい。
【0112】
図10a~図10cは熱管理部材13の模式図である。図10a~図10cに示すように、第1熱伝導板131が凹んで凹溝134を形成し、第2熱伝導板132は凹溝134に対応する領域にランナーがなくかつ薄化溝132aが設置され、このように、第1熱伝導板131と第2熱伝導板132とが接続された後、凹溝134の底壁に薄化領域が形成される。
【0113】
理解できるように、さらにその他の薄化方式を採用して凹溝134の底壁を薄化してもよく、たとえば、第1熱伝導板131の第1領域131a上に止まり穴又は段付き穴を設置してもよく、及び/又は、第2熱伝導板上に止まり穴等を設置してもよい。
【0114】
選択可能に、本願の一実施例では、薄化領域135の厚さは3mm以下である。たとえば、薄化領域135の厚さは1mm以下であってもよい。
【0115】
厚さのより薄い薄化領域135を採用することに加えて、低融点材料の薄化領域135を採用してもよく、それにより排出物により溶融されやすい。つまり、薄化領域135は熱管理部材13の残りの部分よりも低い融点を有してもよい。たとえば、薄化領域135が使用した材料の融点は400℃未満である。
【0116】
理解できるように、薄化領域135は低融点材料及び厚さのより薄いという設定を同時に採用してもよく、つまり、上記2種の実施形態は別々に実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。
【0117】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13は、圧力解放機構213が作動する時に破壊されて、流体を熱管理部材13の内部から排出させるように構成される。
【0118】
具体的には、圧力解放機構213が作動する時、熱管理部材13は破壊され、流体は熱管理部材13の内部から排出され、このようにして、電池セル20の熱量を吸収して、排出物の温度を下げ、さらに排出物のリスクを減らすことができる。流体が冷却され、電池セル20の排出物の温度を迅速に下げることができるため、電池の他の部分、たとえばその他の電池セル20に対して、より深刻な影響をもたらすことがなく、それにより単一の電池セル20の異常による破壊性をタイムリーに抑制して、電池爆発の可能性を低減させることができる。
【0119】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13の薄化領域135の周りに位置する部分は排出物により破壊されて、流体を熱管理部材13の内部から排出させることができる。
【0120】
具体的には、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物はまず薄化領域135を破壊(突破又は溶融)して、薄化領域135を通過して排出され、また、排出物はさらに薄化領域135の周りの部分を破壊し、たとえば、高熱の排出物は周りの熱管理部材13を溶融して、流体を熱管理部材13の内部から排出させ、それにより高熱の排出物の温度を下げる。排出物の温度が非常に高いため、流体が電池セル20を加熱又は冷却することにかかわらず、流体の温度はいずれも排出物の温度未満であり、従って排出物を冷却することができる。
【0121】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13には凹溝134が設置される場合、凹溝134の側面は排出物により破壊され、流体を熱管理部材13の内部から排出させることができる。
【0122】
凹溝134を採用する場合、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物は凹溝134に入り、凹溝134の底壁がより薄いため、排出物は凹溝134の底壁を破壊して熱管理部材13を通過し、また、凹溝134内に入った排出物はさらに凹溝134の側面を同時に溶融して、流体を熱管理部材13の内部から排出させることができ、それにより高熱排出物の温度を下げる。
【0123】
選択可能に、凹溝134の半径方向サイズは圧力解放機構213から離れる方向上に徐々に小さくなる。つまり、凹溝134の側面は傾斜面であり、このようにすると、排出物との接触面積を増加することができ、排出物により破壊されることをより容易にする。たとえば、凹溝134の側面の傾斜角(底壁の位置する平面との夾角)の角度範囲は15~85度であってもよい。
【0124】
圧力解放機構213は作動する時、変形して電池セル20の内部と外部とを連通させる。たとえば、ノッチを採用した圧力解放機構213については、圧力解放機構213が作動する時にノッチの箇所で破裂しかつ両側へ開き、対応して、圧力解放機構213は一定の変形空間を必要とする。本願の一実施例では、凹溝134は圧力解放機構213が作動する時に開かれる逃げキャビティとして構成される。逃げキャビティは圧力解放機構213に変形空間を提供して、圧力解放機構213を熱管理部材13に向かって変形させて破裂させる。
【0125】
逃げキャビティとして使用される場合、凹溝134の設置は圧力解放機構213が作動する時に開かれる条件を満たす必要がある。具体的には、凹溝134の深さは圧力解放機構213のサイズに関連する。本願の1つの実施例として、凹溝134の深さは1mmより大きい。たとえば、凹溝134の深さは3mm以上であってもよく、それにより圧力解放機構213が容易に開かれる。凹溝134の開口の面積は圧力解放機構213の面積に関連する。圧力解放機構213を開くために、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は特定の値より大きい必要がある。また、凹溝134の側面が排出物により破壊されることを容易にするために、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比は特定の値未満である必要がある。たとえば、凹溝134の開口の面積と圧力解放機構213の面積との比の値範囲は0.5~2であってもよい。
【0126】
圧力解放機構213を電池セル20の第1壁21aに設置する時、圧力解放機構213の少なくとも一部が第1壁21aから突出し、このように、圧力解放機構213を容易に装着し、電池セル20の内部の空間を確保することができる。選択可能に、図11に示すように、本願の一実施例では、圧力解放機構213の少なくとも一部が第1壁21aから突出される場合、逃げキャビティは圧力解放機構213の少なくとも一部を収容することに用いられてもよい。このように、電池セル20の第1壁21aは熱管理部材13の表面に緊密に密着することができ、電池セル20の固定を容易にすることができるだけでなく、空間を節約し且つ熱管理効率を向上させることができ、且つ、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物は逃げキャビティに向かって排出されて電池セル20から離れることができ、そのリスクを減らし、それにより電池の安全性を高めることができる。
【0127】
選択可能に、本願の一実施例では、第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分が外に突出し、逃げキャビティは第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する突出部分を収容することに用いられる。類似し、第1壁21aの圧力解放機構213の周りに位置する部分が突出される場合、逃げキャビティは電池セル20の第1壁21aが熱管理部材13の表面に緊密に密着できることを確保でき、電池セル20の固定を容易にすることができるだけでなく、空間を節約し且つ熱管理効率を向上させることができる。
【0128】
理解できるように、熱管理部材13上に、熱管理部材13が、圧力解放機構213が作動する時に破壊されることを可能にする構造を設置することに加え、圧力解放機構213上に、熱管理部材13が、圧力解放機構213が作動する時に破壊されることを可能にする構造を設置してもよい。
【0129】
選択可能に、本願の一実施例では、圧力解放機構213上には破壊装置が設置され、破壊装置は圧力解放機構213が作動する時に熱管理部材13を破壊して、流体を熱管理部材13の内部から排出させることに用いられる。たとえば、破壊装置はとげであってもよいが、本願の実施例はこれに対して限定されない。
【0130】
選択可能に、本願の一実施例では、図12に示すように、電池10はさらに電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bを含んでもよい。熱管理部材13は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離することに用いられる。ここでの「分離」は分けることを意味しており、密封されなくてもよい。
【0131】
電気キャビティ11aは複数の電池セル20を収容することに用いられる。電気キャビティ11aはさらにバス部材12を収容することに用いられてもよい。電気キャビティ11aは電池セル20及びバス部材12のための収容空間を提供し、電気キャビティ11aの形状は複数の電池セル20及びバス部材12に基づいて決定されてもよい。バス部材12は複数の電池セル20の電気的接続を実現することに用いられる。バス部材12は電池セル20の電極端子214を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。収集キャビティ11bは圧力解放機構213が作動する時に排出物を収集することに用いられる。
【0132】
本願の実施例では、熱管理部材13で電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとを分離する。つまり、複数の電池セル20及びバス部材12を収容するための電気キャビティ11aと、排出物を収集するための収集キャビティ11bとが分離される。このように、圧力解放機構213が作動する時、電池セル20の排出物は収集キャビティ11bに入るが、電気キャビティ11aに入らず又は少量で入り、それにより電気キャビティ11a中の電気的接続に影響を与えることがなく、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0133】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13は、圧力解放機構213が作動する時に排出物により破壊され、排出物が熱管理部材13を通過して収集キャビティ11bに入るように構成される。
【0134】
選択可能に、本願の一実施例では、熱管理部材13は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bにより共用される壁を有する。図12に示すように、熱管理部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁として使用されてもよい。つまり、熱管理部材13(又はその一部)は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bにより共用される壁として直接使用されてもよく、このように、電池セル20の排出物は熱管理部材13を通過して収集キャビティ11bに入ることができ、また、熱管理部材13が存在するため、該排出物と電気キャビティ11aを最大限に分離することができ、それにより排出物のリスクを減らし、電池の安全性を高める。
【0135】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは開口を有するカバー及び熱管理部材13で形成されてもよい。たとえば、図13に示すように、カバー110は開口(図13における下側開口)を有する。開口を有するカバー110は半密閉型のチャンバであり、外部と連通する開口を有し、熱管理部材13は該開口をカバーし、チャンバ、すなわち電気キャビティ11aを形成する。
【0136】
選択可能に、カバー110は複数の部分で構成されてもよく、たとえば、図14に示すように、カバー110は第1部分111及び第2部分112を含んでもよい。第2部分112の両側にはそれぞれ開口を有し、第1部分111は第2部分112の一側の開口をカバーし、熱管理部材13は第2部分112の他側の開口をカバーし、それにより電気キャビティ11aを形成する。
【0137】
図14の実施例は図2を基礎として改良することにより得られる。具体的には、図2における第2部分112の底壁を熱管理部材13に置換し、熱管理部材13を電気キャビティ11aの1つの壁として、それにより図14における電気キャビティ11aを形成する。換言すれば、図2における第2部分112の底壁を取り外し、すなわち、両側が開口する環状壁を形成して、第1部分111及び熱管理部材13がそれぞれ第2部分112の両側開口をカバーし、チャンバ、すなわち電気キャビティ11aを形成することもよい。
【0138】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bについては、熱管理部材13及び保護部材で形成されてもよい。たとえば、図15に示すように、電池10はさらに保護部材115を含む。保護部材115は熱管理部材13を保護することに用いられ、且つ、保護部材115は熱管理部材13と収集キャビティ11bを形成する。保護部材115と熱管理部材13とが形成した収集キャビティ11bは、電池セルを収容する空間を占用せず、従って、より大きな空間がある収集キャビティ11bを設置することができ、それにより排出物を効果的に収集して緩衝し、そのリスクを減らすことができる。
【0139】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11b内にはさらに冷却媒体のような流体が設置されてもよく、又は、流体を収容するための部材が設置されてもよく、収集キャビティ11b内に入る排出物の温度をさらに下げる。
【0140】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは密封されたチャンバであってもよい。たとえば、保護部材115と熱管理部材13との接続部は密封部材によって密封されてもよい。
【0141】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは密封されたチャンバではなくてもよい。たとえば、収集キャビティ11bはエアと連通してもよく、このように、一部の排出物はさらに収集キャビティ11bの外部に排出され得る。
【0142】
上記実施例では、熱管理部材13はカバー110の開口をカバーして電気キャビティ11aを形成し、熱管理部材13と保護部材115とが収集キャビティ11bを形成する。選択可能に、熱管理部材13は密閉されたカバーを電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに直接分離してもよい。
【0143】
たとえば、図16に示すように、本願の一実施例では、熱管理部材13はカバー110内部に設置され、かつカバー110内部を電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。つまり、密閉されたカバー110はその内部にチャンバを形成し、熱管理部材13はカバー110の内部のチャンバを2つのチャンバ、すなわち電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。
【0144】
電気キャビティ11aは複数の電池セル20等を収容するために大きな空間を必要とするため、熱管理部材13はカバー110のある壁に近い位置に設置されてもよく、それにより大きな空間を有する電気キャビティ11a及びより小さな空間を有する収集キャビティ11bに分離する。
【0145】
選択可能に、図17に示すように、本願の一実施例では、カバー110は第1部分111及び第2部分112を含んでもよい。第2部分112の一側に開口を有して半密閉構造が形成される。半密閉構造はすなわち開口を有するチャンバである。熱管理部材13は第2部分112の内部に設置され、第1部分111は第2部分112の開口をカバーする。換言すれば、まず熱管理部材13を半密閉された第2部分112内に設置して、収集キャビティ11bを分離し、次に第1部分111で第2部分112の開口をカバーして、電気キャビティ11aを形成する。
【0146】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは熱管理部材13を介して収集キャビティ11bから隔絶される。つまり、収集キャビティ11bと電気キャビティ11aとは連通せず、収集キャビティ11b内の液体又はガス等が電気キャビティ11aに入ることができず、それにより電気キャビティ11aをより効果的に保護することができる。
【0147】
図18は本願の一実施例の電池10の分解図である。図18に示される実施例では、熱管理部材13には凹溝134が設置され、かつ保護部材115と収集キャビティを形成する。
【0148】
電池10における各部材についての説明は上記各実施例を参照でき、簡潔のために、ここで詳細な説明は省略する。
【0149】
本願の一実施例はさらに電力消費装置を提供し、該電力消費装置は上記各実施例の電池10を含んでもよい。選択可能に、電力消費装置は車両1、船又は宇宙機であってもよい。
【0150】
上文で本願の実施例の電池及び電力消費装置を説明しており、以下、本願の実施例の電池製造方法及び装置を説明し、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照できる。
【0151】
図19は本願の一実施例の電池製造方法300の例示的なフローチャートである。図19に示すように、該方法300はステップ310~ステップ330を含んでもよい。
310、電池セル20を提供し、電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、圧力解放機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
320、流体を収容するための熱管理部材13を提供する。
330、熱管理部材13の第1表面を電池セル20の第1壁21aに取り付け、熱管理部材13は圧力解放機構213が作動する時に電池セル20内から排出された排出物により破壊されて、排出物を熱管理部材13に通過させることができる。
【0152】
図20は本願の一実施例の電池製造装置400の例示的なブロック図である。図21に示すように、電池製造装置400は提供モジュール410及び装着モジュール420を含んでもよい。
【0153】
前記提供モジュール410は、電池セル20を提供することであって、電池セル20は圧力解放機構213を含み、圧力解放機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、圧力解放機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる、ことと、流体を収容するための熱管理部材13を提供することと、に用いられる。
【0154】
前記装着モジュール420は、熱管理部材13の第1表面を電池セル20の第1壁21aに取り付けることに用いら、熱管理部材13は、圧力解放機構213が作動する時に電池セル20内から排出された排出物により破壊され、排出物を熱管理部材13に通過させることができる。
【0155】
最終的に説明されるように、以上の実施例は本願の技術案を説明するものに過ぎず、それを制限するものではなく、上記実施例を参照しながら本願を詳細に説明したが、当業者は、依然として上記各実施例に記載の技術案を修正し、又は一部の技術的特徴に対して等価置換を行うことができるが、それらの修正や置換が対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0156】
1 車両
10 電池
11 電気キャビティ
12 バス部材
13 熱管理部材
20 電池セル
21 電池ケース
21a 第1壁
22 電極アセンブリ
23 接続部材
24 パッド
30 コントローラ
40 モータ
110 カバー
111 第1部分
112 第2部分
115 保護部材
131 第1熱伝導板
131a 第1領域
132 第2熱伝導板
132a 薄化溝
133 ランナー
134 凹溝
135 薄化領域
136 貫通穴
211 ハウジング
212 第2タブ
212 カバープレート
213 圧力解放機構
214 電極端子
221 第1タブ
222 第2タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20