(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電極組立体及びその電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240111BHJP
H01M 10/0583 20100101ALI20240111BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20240111BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240111BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240111BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20240111BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240111BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240111BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20240111BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20240111BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240111BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20240111BHJP
H01M 4/66 20060101ALN20240111BHJP
H01M 10/0562 20100101ALN20240111BHJP
H01M 10/0565 20100101ALN20240111BHJP
H01M 10/0566 20100101ALN20240111BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0583
H01M50/474
H01M50/489
H01M50/486
H01M4/64 A
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/124
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/658
H01M4/66 A
H01M10/0562
H01M10/0565
H01M10/0566
(21)【出願番号】P 2022036330
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6-1, Ziqiang 7th Rd., Zhongli Dist., Taoyuan City, Taiwan
(73)【特許権者】
【識別番号】512316932
【氏名又は名称】プロロジウム ホールディング インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】楊思▲ダン▼
(72)【発明者】
【氏名】呉孟鴻
(72)【発明者】
【氏名】費文▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】趙星智
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243395(JP,A)
【文献】国際公開第2012/164642(WO,A1)
【文献】特開2019-079791(JP,A)
【文献】特開2015-005447(JP,A)
【文献】特開2020-113434(JP,A)
【文献】特開2016-110856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/64
H01M 4/66
H01M10/613
H01M10/6555
H01M10/658
H01M50/10-50/198
H01M50/40-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベルト集電体及び該第1ベルト集電体に相対する第2ベルト集電体、
前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体の間に配設される複数の電気化学系、
接着し、前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体の間に挟まれ、前記電気化学系を囲む、接着フレームであって、前記電気化学系を、前記接着フレーム、前記第1ベルト集電体及び前記第2ベルト集電体によって完全に密封して、電気化学反応なしに隣接する2つの電気化学系間で電荷移動を発生させる、接着フレーム、及び、
前記接着フレームの複数の可撓性の曲折部であって、前記電気化学系間に位置して第1ベルト集電体と第2ベルト集電体と共に
当該電気化学系間を接着させて、曲折
可能な、複数の
可撓性の曲折部、を備
え、
前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体との間に挟まれる前記電気化学系で曲折可能な電池が構成され、当該曲折可能な電池は前記電気化学系を後から前方向に積重ね可能である、
電極組立体。
【請求項2】
前記電気化学系を、並列接続を形成するために
単一の軸に沿ってジグザグ形で垂直方向に積重ねることを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
第1ベルト集電体及び該第1ベルト集電体に相対する第2ベルト集電体、
前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体の間に配設される複数の電気化学系、
接着し、前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体の間に挟まれ、前記電気化学系を囲む、接着フレームであって、前記電気化学系を、前記接着フレーム、前記第1ベルト集電体及び前記第2ベルト集電体によって完全に密封して、電気化学反応なしに隣接する2つの電気化学系間で電荷移動を発生させる、接着フレーム、
前記電気化学系を後から前方向に積重ねるために、第1ベルト集電体と第2ベルト集電体と共に、前記接着フレームのこれらの部分によって接着させて、前記電気化学系間に位置する前記接着フレームの部分を曲折することによって形成される、複数の曲折部、及び、
放熱集電体
であって、板状体、及び前記板状体の縁部から延在する複数の延伸板を含み、前記延伸板は、前記積重ねられた電気化学系間に配設され、前記第1ベルト集電体又は前記第2ベルト集電体と接触する
放熱集電体を備える、
電極組立体。
【請求項4】
各前記電気化学系は、前記第1ベルト集電体と接触する第1活性物質層、前記第2ベルト集電体と接触する第2活性物質層、及び、前記第1活性物質層と前記第2活性物質層との間に配設されるセパレータ、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1活性物質層及び前記第2活性物質層内に含浸される電解質系を更に備え、前記電解質系は、ゲル電解質、液体電解質、固体電解質又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記接着フレームは、全ての電気化学系を密封し、前記電解質系は、それぞれの電気化学系内でのみ循環することを特徴とする、請求項5に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記接着フレームは、シリコーン層と該シリコーン層の両面に配設される2つの変性シリコーン層を備え、前記2つの変性シリコーン層の一方を、前記第1ベルト集電体に接着し、前記2つの変性シリコーン層のもう一方を、前記第2ベルト集電体に接着することを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第1ベルト集電体と前記第2ベルト集電体の少なくとも一方は、機械的強度を高めるために、外面に構造補強層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記構造補強層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド、ナイロン、ポリウレタン、アクリルエポキシ、シリコーン又はそれらの組み合わせを含む材料で作製されることを特徴とする、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第1ベルト集電体及び前記第2ベルト集電体は、それぞれリードを含み、前記2つのリードは、異なる側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第1ベルト集電体及び前記第2ベルト集電体は、それぞれリードを含み、前記2つのリードは、同じ側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記電気化学系の数は、奇数であることを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記電気化学系の数は、偶数であることを特徴とする、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項14】
請求項1に記載の前記電極組立体と、
該電極組立体を外装するハウジングと、で構成される、
電池装置。
【請求項15】
難燃剤又は冷却剤を、前記電極組立体と前記ハウジングの間に充填することを特徴とする、請求項14に記載の電池装置。
【請求項16】
前記ハウジングは、アルミニウムプラスチックフィルムであるか、又は上ケース及び下ケースを含むことを特徴とする、請求項14に記載の電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体、特に電気化学系をz軸に沿って積重ねるように折曲する、電極組立体及びその電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な携帯用電子製品、電気自動車、蓄電ステーションの急速な発展に伴い、高いエネルギ貯蔵密度と環境保護の両方を備えたエネルギ貯蔵装置の需要が高まっている。イオン二次電池は、これに対する最適な解決手段である。更に、リチウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、及びナトリウムイオン二次電池等の様々な二次電池が開発されてきた。そのため、限られた空間でどのようにしてエネルギ密度を出来るだけ向上させるかが、常に、全関連産業の開発の焦点となってきた。
【0003】
例えば、
図1Aを参照されたい。米国特許出願公開第2014/227583号(特許文献1)に開示されるように、単一の集電体11の両側に、それぞれ正極活物質と負極活性物質を繰り返しコーティングして、負極パターン12と正極パターン13を形成する。次に、負極パターン12と正極パターン13が形成されていない集電体11の非コーティング部分を、垂直断面でジグザグ形に曲折する。セパレータ14を、対向する負極パターン12と正極パターン13の界面に配設して、ジグザグ形の電池を形成する。
また、同じ出願人の別の出願である、米国特許出願公開第2020/335813号(特許文献2)も参照されたい。所定の間隔で陽極活性物質と、陽極活性物質をコーティングしていない陽極非コーティング領域とでパターンコーティングすることによって形成する複数の陽極パターンを有する陽極電極、及び所定の間隔で陰極活性物質と、陰極活性物質をコーティングしていない陰極非コーティング領域とでパターンコーティングすることによって形成する複数の陰極パターンを有する陰極電極を、提供する。次に、陽極電極と陰極電極の間にセパレータを配設する。電極組立体を、陽極非コーティング領域と陰極非コーティング領域を曲折することによってジグザグ形に形成する。
また、
図1Bを参照されたい。台湾特許出願公開第200631218号(特許文献3)に開示されるように、可撓性を有するセパレータ15を使用して、曲折する。負極電極16と正極電極17をセパレータ15に取り付けているだけである。負極電極16と正極電極17を、セパレータ15によって電気的に絶縁して、垂直方向の積重ねを実行している。しかしながら、上記用途では、陽極活性物質と陰極活性物質を、セパレータを通して直接曲折して、垂直方向の積重ねを形成している。全く緩衝機構がなければ、曲げ力のために、活性物質が破壊されやすい。更に、電解質を共有するため、最大許容電圧の限定や不均一な電界分布といった問題に直面するであろう。
【0004】
そのため、本発明では、前述した問題を緩和し、又は未然に防ぐために、電極組立体及びその電池装置を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2014/227583号
【文献】米国特許出願公開第2020/335813号
【文献】台湾特許出願公開第200631218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、電極組立体の電気化学系を、ジグザグ形で垂直方向に積重ねるように折曲する、電極組立体及びその電池装置を提供することである。曲折位置は、活性物質が破壊されるのを防ぐために、ベルト集電体と接着フレームのみを含む。
【0007】
本発明の別の目的は、電極組立体の電気化学系を、ジグザグ形で、且つ電気的に接続するために垂直方向に積重ねるように、折曲する、電極組立体とその電池装置を提供することである。そのため、直列又は並行接続するように構成されるタブの量は、減少する。生産効率や所要電力に対応する配置は、向上し、製造工程における困難性や、空間構成に起因するエネルギ密度損失は、減少する。
【0008】
また、本発明の別の目的は、電極組立体を、電気化学系と接着フレームを2つのベルト集電体間に直接挟んで、形成する、電極組立体とその電池装置を提供することである。そのため、大量生産し易く、大量生産に向いた製品化が容易である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記を実装するために、本発明は、第1ベルト集電体、第2ベルト集電体、接着フレーム、複数の電気化学系、及び複数の曲折部を含む電極組立体を開示する。電気化学系を、第1ベルト集電体と第2ベルト集電体の間に配設する。電気化学系を、接着フレーム、第1ベルト集電体及び第2ベルト集電体によって完全に密封して、電気化学反応なしで、隣接する2つの電気化学系間で、電荷移動を生じさせる。任意の2つの隣接する電気化学系間に位置する接着フレームを、第1ベルト集電体及び第2ベルト集電体と共に、接着フレームのこれらの部分によって接着させて折曲して、曲折部を形成する。電気化学系を、垂直方向に、単一の軸に沿って、後から前方向に繰り返し積重ねる。そのため、共有された電解質に起因する短所を、電気化学反応が行われることなく隣接する2つの電気化学系間で電荷移動のみを生じさせる完全に密封された電気化学系によって、排除する。曲折位置は、活性物質が破壊されないように、接着フレームと、接着フレームによって接着されたベルト集電体を含むだけである。
【0010】
また、本発明では、電池装置を開示する。ハウジングを利用して、電極組立体を外装する。難燃剤又は冷却剤を電極組立体とハウジング間に充填して、放熱効率を高めて電池性能を維持する。また電池装置の安全性も高められる。
【0011】
本発明の更なる適用可能範囲について、以下の詳細な説明から明らかにする。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲内での様々な変更や変形が、この詳細な説明から当業者には明らかになるため、詳細な説明や特定の実施例は、本発明の好適な実施形態を示すが、例示目的のみで提示しているものと理解されるべきである。
【0012】
本発明は、以下で例示のみを目的として提示し、従って本発明を限定しない詳細な説明から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】従来技術のジグザグ形に積重ねた電池セルの概略図である。
【
図1B】従来技術のジグザグ形に積重ねた電池セルの概略図である。
【
図2A】本発明の電極組立体の実施形態の概略図である。
【
図2B】本発明の電極組立体の実施形態の側面図である。
【
図2C】本発明の曲折前の電極組立体の実施形態の展開図である。
【
図2D】本発明の曲折前の電極組立体の実施形態の概略図である。
【
図2E】本発明の構造補強層を有する電極組立体の実施形態の概略図である。
【
図3】本発明の電極組立体の別の実施形態の概略図である。
【
図4】本発明の電極組立体の接着フレームの別の実施形態の概略図である。
【
図5A】本発明の電極組立体の実施形態の曲折工程を示す概略図である。
【
図5B】本発明の電極組立体の実施形態の曲折工程を示す概略図である。
【
図5C】本発明の電極組立体の実施形態の曲折工程を示す概略図である。
【
図5D】本発明の電極組立体の実施形態の曲折工程を示す概略図である。
【
図5E】本発明の電極組立体の実施形態の曲折工程を示す概略図である。
【
図5F】本発明の放熱集電体を有する電極組立体の実施形態の概略図である。
【
図6A】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6B】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6C】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6D】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6E】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6F】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6G】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図6H】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図7A】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7B】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7C】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7D】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7E】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7F】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7G】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図7H】本発明のアルミニウムプラスチックフィルムによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【
図8A】本発明の擬似コイン電池(quasi-coin battery)用電気絶縁層でケースをコーティングして外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図8B】本発明の擬似コイン電池用ケースによって外装された電極組立体で構成された電池装置の実施形態の概略図である。
【
図8C】本発明の擬似コイン電池用ケースによって外装された電極組立体で構成された電池装置の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を、特定の実施形態について特定の図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらに限定されず、クレームによってのみ限定される。クレーム中の参照符号は、発明の範囲を限定するものとして解釈されない。図面は概略的なものにすぎず、非限定的である。図面においては、例示目的で、縮尺通りではなく一部の要素の大きさが誇張されて描かれることもある。
【0015】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態だけについて説明することを目的にしており、発明の一般概念を限定することを意図していない。本明細書において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうではないことがはっきりとわかる場合を除いて、複数形も含むものとする。特に断りがない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、例示の実施形態が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。更に、一般的に使用される辞書で定義されている用語等の用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、また本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化的に又は過度に形式的に解釈されるべきではないと理解される。
【0016】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「ある実施形態」とは、その実施形態に関連して説明した特定の特色、構造又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書のいたる箇所に「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という文言があっても、これは必ずしも全て同一の実施形態に言及しているわけではなく、そういう場合もあるということである。更にまた、特定の特色、構造又は特徴は、1つ又は複数の実施形態において、任意の適切なやり方で組み合わせしてもよく、このことは本開示から当業者には明白である。
【0017】
本発明の説明において、用語「設置」、「接続」及び「配設」は、広く解釈され、例えば、固定又は着脱可能としてもよく、機械的又は電気的なものにでき、直接的に又は2構成要素間で内部接続できる中間媒体を介して間接的に接続できることに留意されたい。本発明における上記用語の特定の意味は、当業者により特定の状況下で理解され得る。
【0018】
本発明の電極組立体の概略図、側面図及び本発明の電極組立体を曲折する前の展開図である
図2A~
図2Dを参照されたい。電極組立体30は、第1ベルト集電体32、第2ベルト集電体33、複数の電気化学系301、接着フレーム36、及び複数の曲折部38を含む。
電気化学系301及び接着フレーム36を、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33の間に挟む。接着フレーム36は、各電気化学系301の全ての面を囲む。接着フレーム36の上面を、第1ベルト集電体32に接着し、接着フレーム36の下面を、第2ベルト集電体33に接着する。そのため、全ての電気化学系301が、接着フレーム36、第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33によって完全に密封され、各電気化学系301の電解質系は、それらの間で循環しない。電気化学反応なしに、隣合う2つの電気化学系301間で、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33を通して、電荷移動だけが起こる。任意の2つの隣接する電気化学系301間に位置する接着フレーム36を、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33と共に、接着フレームのこれら部分で接着させて折曲して、曲折部38を形成する。
【0019】
図2Cを参照されたい。接着フレーム36は、複数の貫通開口361を含む。各電気化学系301を、貫通開口361の1つに収容する。電気化学系301の2表面を、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33に接触させる。そのため、各電気化学系301は、接着フレーム36、及び第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33によって完全に密封される。
各電気化学系301は、独立したモジュールとして機能し、電気化学系301は、電解質系等の電気化学系301を構成するのに使用される如何なる構成要素も共有しない。つまり、電荷移送だけが、電気化学反応なしに、即ち、電解質系を通したイオンの移動や移送なしに、隣接する2つの電気化学系301間で、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33を通して発生する。上述したように、接着フレーム36を、複数の貫通開口361を有する単一の要素としてもよい。また、
図3のように、それぞれが貫通開口361を有する複数の接着フレーム36を有してもよい。
【0020】
第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33の材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、又はニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銀(Ag)、金(Au)、又は少なくとも1つの前述した金属から成る合金、又は導電性材料と混合した高分子等の導電率が高い高分子材料である。第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33がベルトの形をしているため、パターンコーティングによって大量生産し易い。
【0021】
電気化学系301は、第1活性物質層34、第2活性物質層35、第1活性物質層34と第2活性物質層35の間に配設されるセパレータ31、及び第1活性物質層34と第2活性物質層35に含浸された又は混入された電解質系を含む。上述したように、電気化学系301の任意の2つは、第1活性物質層34、第2活性物質層35、セパレータ31又は電解質系等の如何なる構成要素も共有しない。
製造方法に関する例示的実施形態について、以下で説明する。第1ベルト集電体32の内側に、所定間隔で、第1活性物質層34を個々に繰り返しコーティングする。第2ベルト集電体33の内側に、同じ所定間隔で、第2活性物質層35を個々に繰り返しコーティングする。各第1活性物質層34は、それぞれ1つの第2活性物質層35と向かい合い、対応している。各セパレータ31を、第1活性物質層34の1つとそれに対応する第2活性物質層35の間に挟んで、1つの電気化学系301を形成する。セパレータ31を、ポリマ又はグラスファイバによって形成される多孔性の積層物としてもよい。或いはセパレータ31を、イオン移動を可能にするために孔を有する、セラミック材料によって積重ねられた又は焼結されたセラミックセパレータとしてもよい。孔は、貫通孔又は蟻孔、即ち非直線の貫通孔である。
また、セパレータ31は、セラミック粒子補強層を有する多孔性積層物、又はセラミック粒子及びイオン伝導性高分子と混合したセパレータとしてもよい。セラミック粒子の大きさは、ナノメートルスケール、マイクロメートルスケールとする、又はナノメートルスケールとマイクロメートルスケールとを混合したもの等、少なくとも2つのより大きい異なるスケールと混合したものとする。セラミック粒子の材料は、TiO2、Al2O3、SiO2、アルキル化セラミック粒子、又はLLZO(リチウムランタンジルコニウム酸化物、Li7La3Zr2O12)若しくはLATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)等の酸化物系固体電解質とする。更に、セラミック材料を、セラミック絶縁材及び酸化物系固体電解質と混合してもよい。セパレータ31は、セラミック材料によって積重ねる場合、これらのセラミック粒子を結着するのに使用する高分子接着剤をさらに含んでもよい。高分子接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-HFP)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、アクリル酸接着剤、エポキシ樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びポリイミド(PI)としてもよい。
【0022】
この場合、第1活性物質層34及び第2活性物質層35の上記所定間隔を、実際の要件に基づいて調節できる。第1活性物質層34及び第2活性物質層35の幅も、変更してもよい。更に、第1活性物質層34及び第2活性物質層35の所定間隔の分布や配置を、変えてもよい。図面における幅、所定間隔の分布や配置は、説明目的だけに使用するが、これらの大きさに限定しない。
【0023】
接着フレーム36を、電気化学系301を囲むように配設する。接着フレーム36の上面を、第1ベルト集電体32に接着し、接着フレーム36の下面を、第2ベルト集電体33に接着する。そのため、全ての電気化学系301は、接着フレーム36、第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33によって完全に密封される。電解質系を、第1活性物質層34及び第2活性物質層35に含浸又は混入する。電解質系を、ゲル電解質、液体電解質、固体電解質又はそれらの組み合わせとする。そのため、第1活性物質層34及び第2活性物質層35の活性物質によって、化学エネルギを電気エネルギに変換するプロセス、即ち、放電、及び電気エネルギを化学エネルギに変換するプロセスである充電が行われ、イオンの移動及び移送が達成される。電荷は、第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33を介して転送される。そのため、全ての電気化学系301は、完全に密封される。電解質系は、それぞれの電気化学系301内で循環するだけであり、2つの電気化学系301間で共有されない。電荷移動だけが、隣接する2つの電気化学系301間で起こる。そこでは、如何なる電気化学反応も、2つの電気化学系301間で発生させない。
接着フレーム36を製造する方法の例示的実施形態について、以下で説明する。接着フレーム36を、第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33上それぞれにコーティングする。次に、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33を、ホットプレス法で互いに接着する。また、接着フレーム36を、第1ベルト集電体32又は第2ベルト集電体33のどちらかだけにコーティングしてもよい。
【0024】
接着フレーム36の材料は、エポキシ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、シリコーン、アクリル樹脂、及び/又は紫外線硬化型接着剤を含む。接着フレーム36の接着力を高めるために、シリコーンを利用した場合には、接着フレーム36は、2つの変性シリコーン層362、363、及び2変性シリコーン層362、363間に配設するシリコーン層364を含んでもよい。
図4を参照されたい。変性シリコーン層362を、第1ベルト集電体32に接着し、変性シリコーン層363を、第2ベルト集電体33に接着する。シリコーン層364を、2変性シリコーン層362、363間に挟む。変性シリコーン層362、363を、シリコーン層364と比較して縮合型シリコーンと付加型シリコーンの割合を調節することによって変性する、又は異なる材料、即ち、第1ベルト集電体32の材料又は第2ベルト集電体33の材料に対する接着力を高めるように添加物を加えることによって変性する。そのため、第1ベルト集電体32又は第2ベルト集電体33と接着フレーム36の界面間の接着力が高まり、全体の外観が一層完璧になり、作製歩留まりが向上する。
【0025】
図2Dを参照されたい。任意の2つの隣接する電気化学系301間に位置する接着フレーム36を、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33と共に、接着フレーム36のこれらの部分で接着させて折曲して、曲折部38を形成する。そのため、電気化学系301を、同じ向きに対して垂直方向に積重ねる。
詳細な説明を以下に示す。電極組立体の電気化学系301を、ジグザグ形で垂直方向に積重ねるように折曲する。
図2A及び
図2Bを参照されたい。また、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33の少なくとも一方は、機械的強度を高めるために、
図2Eに示すように、外面上に構造補強層321、331を含む。構造補強層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド、ナイロン、ポリウレタン、アクリルエポキシ、シリコーン又はそれらの組み合わせを含む材料で作製される。構造補強層321、331は、電気を出力するのに使用される第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33の位置を被覆しないようにする。
【0026】
曲折工程に関して、
図5Aを参照されたい。縁部に最も近い電気化学系301を、この電気化学系301に近い接着フレーム36で形成する曲折部38によって、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33と共に、接着フレーム36のこれらの部分によって接着させて折曲する。
図5Bを参照されたい。この縁部に最も近い電気化学系301を、次の電気化学系301に積重ねる。その後、2つの積重ねた電気化学系301を、次の曲折部38によって反対方向に折曲する。また、この曲折部38を、次の接着フレーム36によって、第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33と共に、接着フレーム36のこれらの部分によって接着させて、形成する。そのため、接着フレーム36が曲折中に緩衝機構として機能できるため、電極、即ち、第1活性物質層34と第2活性物質層35は、曲折力又は積重ね力から生じる破壊等の影響を受けない。
次に、
図5C~
図5Eを参照されたい。積重ねられた電気化学系301を、後から前方向に繰り返し折曲して、電極組立体30を形成する。ジグザグ形で垂直方向に積重ねた電気化学系301を有する電極組立体を、達成する。第1ベルト集電体32と第2ベルト集電体33を、全ての電気化学系301に共有する。そのため、電極組立体30における電気化学系301を、並列に接続する。
【0027】
また、第1活性物質層34及び第2活性物質層35は、曲折中に影響を受けず、従って、第1活性物質層34及び第2活性物質層35に対する損傷を、回避する。第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33を、通常、展性が良い金属材料で作製する。また、接着フレーム36を、シリコーン等の可撓性の良好な材料で作製してもよい。この曲折工程は、ジグザグ形で垂直に積重ねた電気化学系301を有する電極組立体30を達成するように予め形成しやすい。
【0028】
また、
図5Fで示すように、放熱集電体41、42を、放熱性を高めるように適合させる。放熱集電体41、42は、それぞれ、板状体411、421、及び板状体411、421の縁部から延在する複数の延伸板412、422を含む。延伸板412、422は、積重ねられた電気化学系301間に配設され、第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33と接触する。大面積の接触構造は、電気化学系301によって発生する熱を効果的に放散して、電気化学系301の最高性能を維持できる。また、放熱集電体41、42は、更なる電気的接続出力としての役割を果たしてもよい。
【0029】
実際には、電極組立体30を、
図6A及び
図6Bで開示したように、ハウジングによって外装して、電池装置を形成する。図面で示したように、ハウジングは、アルミニウムプラスチックフィルム51である。第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33は、電気を外部に伝送するために、それぞれリード52、53を含む。図面で示したようなこの実施形態では、電極組立体30は、奇数の電気化学系301で構成される。リード52、53が、電極組立体30の側面から延在する。電極組立体30の側面は、電極組立体30の2長手方向面、又は曲折方向に直交する面である。また、リード52、53は、同じ側に位置している。また、
図6C及び
図6Dを参照されたい。電極組立体30は、偶数の電気化学系301で構成され、リード52、53は、同じ側に位置している。また、
図6E及び
図6Fを参照されたい。電極組立体30を奇数の電気化学系301で構成する場合、リード52、53は、異なる側に位置させてもよい。
図6G及び
図6Hを参照されたい。電極組立体30を偶数の電気化学系301で構成する場合、リード52、53は、異なる側に位置させてもよい。
【0030】
更に、曲折方向に直交する側面から延在するリード52、53以外に、リード52、53を、電極組立体30の端部から、即ち、電気化学系301の曲折方向と平行に、延在してもよい。
図7A及び
図7Bを参照されたい。電極組立体30は、奇数の電気化学系301から構成される。リード52、53を、電極組立体30の2つの異なる端部から延在する。また、リード52、53を、
図7C及び
図7Dに示すように、電極組立体30の同じ端部から延在してもよい。
図7E及び
図7Fを参照されたい。電極組立体30が偶数の電気化学系301から構成される場合、リード52、53を、電極組立体30の2つの異なる端部から延在してもよい。
図7G及び
図7Hを参照されたい。リード52、53を、電極組立体30の同じ端部から延在してもよい。上記のように、ジグザグ形で垂直方向に積重ねた電気化学系301を有する電極組立体30は、奇数又は偶数の電気化学系301から構成されてもよい。生産効率や所要電力に対応する配置は、向上し、製造工程における困難性は、軽減される。
【0031】
また、
図8Aを参照されたい。ハウジングは、擬似コイン電池用ケース61である。電極組立体30の第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33を、電気的な接続を形成するために、上下内部出力部と接触する。図面で示すように、電気化学系301の長さは、エネルギ密度を最大にするようにケース61の外形に基づいて可変であるが、これに限定されないことに留意されたい。
図5Eで示したように、電気化学系301の長さを均一にする、又は他の配置にするのが、大量生産するのにより簡単な方法である場合がある。難燃剤又は冷却剤を、電極組立体と、アルミニウムプラスチックフィルム51又はケース61のどちらかであるハウジングとの間に充填して、電池装置の性能を向上させ、電池装置の安全性を高める。
ケース61は、上ケース611及び下ケース612を含む。電気絶縁材613を、上ケース611と下ケース612の間に配設して、上ケース611と下ケース612を互いに電気的に絶縁する。
図8Bを参照されたい。第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33上に構造補強層又は電気絶縁構造を有さない場合、電気絶縁層614を、上ケース611及び下ケース612の、上下内部出力部ではない、内面の部分にコーティングして、上ケース611、下ケース612と第1ベルト集電体32及び第2ベルト集電体33との間での不適切な電気的伝達を防止する。
【0032】
図8Bに示すように、電極組立体30は、奇数の電気化学系301で構成される。
図8Cを参照されたい。電極組立体30は、偶数の電気化学系301で構成される。電極組立体30の最上面と最下面が同じ極性であるため、下ケース612を別の極性を有するベルト集電体と電気的に接続するように、導電性バス615を適合させる。電気絶縁体616を利用して、電極組立体30の最下面と導電性バス615の間で短絡が発生するのを防止する。導電性バス615を、上記の放熱集電体として設計してもよい。他の配置や構造も同様なため、繰り返し説明するのを省略する。
【0033】
よって、本発明は、電極組立体及びその電池装置を提供する。電極組立体を、電気化学系と接着フレームを2ベルト集電体間に直接挟むことによって形成する。全ての電気化学系を、接着フレームと2ベルト集電体によって完全に密封する。電気化学系の全構成要素は、如何なる2つ電気化学系間でも共有しない。そのため、電解質系は、各電気化学系内で循環するだけとなり、如何なる2つの電気化学系間でも共有しない。電荷移動だけが、隣接する2つの電気化学系間で起こる。
また、任意の隣接する2つの電気化学系間に位置する接着フレームを、第1ベルト集電体と第2ベルト集電体と共に、接着フレームのこれらの部分で接着させて折曲して、曲折部を形成する。電気化学系は、ジグザグ形で垂直方向に積重ねを形成するように、隣接する電気化学系へと折曲される。そのため、大量生産が容易であり、直列又は並列に接続するように構成されるタブの量が減少する。空間構成に起因するエネルギ密度の損失は、減少する。また、ベルト集電体がベルト形をしているため、パターンコーティングによって活性物質層と接着フレームを大量生産し易い。
【0034】
以上本発明について説明したが、本発明を様々に変更してもよいことは明らかであろう。かかる変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱したものとは見なされず、当業者には明らかであろう全てのかかる変形も、以下のクレームの範囲内に含むものとする。