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特許7417648愛玩動物用施設のリコメンドシステム及びリコメンド方法
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  • 特許-愛玩動物用施設のリコメンドシステム及びリコメンド方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】愛玩動物用施設のリコメンドシステム及びリコメンド方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240111BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240111BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022040748
(22)【出願日】2022-03-15
(65)【公開番号】P2023135501
(43)【公開日】2023-09-28
【審査請求日】2022-12-07
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 江実
(72)【発明者】
【氏名】中言 美月
(72)【発明者】
【氏名】滋野 沙織
(72)【発明者】
【氏名】酒井 理奈
(72)【発明者】
【氏名】古舘 正行
(72)【発明者】
【氏名】梅本 なぎさ
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 宏行
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-197290(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0015576(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を受け付ける受付手段と、
前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段とを備え、
前記愛玩動物の属性情報は、愛玩動物の躾レベルに関する情報を含み、
さらに、施設が前記愛玩動物の躾レベルに関する情報と実際の愛玩動物の躾レベルに相違があることを通報又はアップロードする手段
を備える
愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
【請求項2】
施設の属性情報及び要望情報を記憶したデータベースと、
利用者の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を受け付ける受付手段と、
前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段とを備え、
前記愛玩動物の属性情報は、愛玩動物の躾レベルに関する情報を含み、
さらに、施設が前記愛玩動物の躾レベルに関する情報と実際の愛玩動物の躾レベルに相違があることを通報又はアップロードする手段
を備える
愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
【請求項3】
施設の属性情報及び要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を記憶したデータベースと、
利用者の要望情報を受け付ける受付手段と、
前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段とを備え、
前記愛玩動物の属性情報は、愛玩動物の躾レベルに関する情報を含み、
さらに、施設が前記愛玩動物の躾レベルに関する情報と実際の愛玩動物の躾レベルに相違があることを通報又はアップロードする手段
を備える
愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
【請求項4】
選定手段が、少なくとも施設の属性情報及び利用者の要望情報に基づいて、利用者の要望に適合した属性の施設を抽出する施設選定プログラムと、
少なくとも施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に基づいて、施設の要望に適合した属性の利用者を抽出する利用者選定プログラムと、
によって構成されることを特徴とする請求項1~3いずれか一項記載のリコメンドシステム。
【請求項5】
施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に躾レベルに関する情報が含まれる請求項1~4いずれか一項記載のリコメンドシステム。
【請求項6】
施設が、飲食店及び/又は宿泊施設である請求項1~5いずれか一項記載のリコメンドシステム。
【請求項7】
利用者が、愛玩動物を同伴して利用可能な施設を選択する際に、候補となる施設をリコメンドするリコメンドシステムであって、
利用者が受付手段に入力した、又は、予めデータベースに記憶されている愛玩動物の属性情報と、施設が受付手段に入力した、又は、予めデータベースに記憶されている施設の要望情報とを照らし合わせ、前記愛玩動物の属性情報が前記要望情報を満たす場合に、当該要望情報にかかる施設を選定する選定手段を備え
前記愛玩動物の属性情報は、愛玩動物の躾レベルに関する情報を含み、
さらに、施設が前記愛玩動物の躾レベルに関する情報と実際の愛玩動物の躾レベルに相違があることを通報又はアップロードする手段
を備える
ことを特徴とするリコメンドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物用施設のリコメンドシステム及びリコメンド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店や宿泊施設等の施設において利用予約を受付けることが行われている。例えば、特許文献1には、施設情報をユーザ端末に送信し、ユーザが予約を希望する場合には予約を受付けて、満席になっているときにはユーザに対して代替施設をリコメンドする予約システムが開示されている。
【0003】
ところで、利用者がペットを連れて飲食店やホテルを利用しようとする場合には、その施設が提供するヒト向けの飲食物、サービス、設備等に加え、ペットの受け入れが可能かどうか、ペットが快適に過ごせるかどうか等が重要な判断基準となる。しかしながら、利用者は施設に関する詳細な情報を持っていないことが多く、施設の運営者も利用者の属性や、利用者が同伴するペットの属性についての詳細な情報を持っていないことがほとんどである。
【0004】
このため、施設のホームページに「躾されているペットの受け入れ可」と表示されていたとしても、品種、躾レベル等についての利用者と施設の間に受入基準の認識の違いにより、「利用できると思って予約したがペットの属性を理由に現地で断られた」、「期待していたサービスを受けられない」、「ペットが、動線の障害になる」などのトラブルに発展することが少なくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-163518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、愛玩動物と一緒に施設を利用しようとする利用者と施設との間の、愛玩動物の受入基準に関する認識の齟齬にまつわるトラブルの発生を抑止し得る愛玩動物用施設のリコメンドシステムやリコメンド方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、施設の属性情報及び要望情報と、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報とに基づいて、好適な組み合わせを選定することにより、利用者と施設のリコメンドをスムーズに実施できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]である。
[1]施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を受け付ける受付手段と、前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段と、を備える愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
[2]施設の属性情報及び要望情報を記憶したデータベースと、利用者の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を受け付ける受付手段と、前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段と、を備える愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
[3]施設の属性情報及び要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を記憶したデータベースと、利用者の要望情報を受け付ける受付手段と、前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段と、を備える愛玩動物用施設のリコメンドシステム。
[4]選定手段が、少なくとも施設の属性情報及び利用者の要望情報に基づいて、利用者の要望に適合した属性の施設を抽出する施設選定プログラムと、少なくとも施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に基づいて、施設の要望に適合した属性の利用者を抽出する利用者選定プログラムと、によって構成される[1]~[3]のいずれかのリコメンドシステム。
[5]施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に躾レベルに関する情報が含まれる[1]~[4]のいずれかのリコメンドシステム。
[6]施設が、飲食店及び/又は宿泊施設である[1]~[5]のいずれかのリコメンドシステム。
[7]利用者が、愛玩動物を利用可能な施設を選択する際に、候補となる施設をリコメンドするリコメンドシステムであって、利用者が受付手段に入力した、又は、予めデータベースに記憶されている愛玩動物の属性情報と、施設が受付手段に入力した、又は、予めデータベースに記憶されている施設の要望情報とを照らし合わせ、前記愛玩動物の属性情報が前記要望情報を満たす場合に、当該要望情報にかかる施設を選定する選定手段を備えることを特徴とするリコメンドシステム。
[8]前記愛玩動物の属性情報がスコア化されたものである[7]のリコメンドシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、愛玩動物用施設のリコメンドシステムやリコメンド方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のリコメンドシステムの一実施態様を表す構成概略図である。
図2】本発明のリコメンドシステムの流れの一例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<愛玩動物用施設のリコメンドシステム>
本発明の一実施態様の愛玩動物用のリコメンドシステムは、施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を受け付ける受付手段と、前記施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報から、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する選定手段と、を備える。これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
[施設]
本発明における施設は、利用者が、愛玩動物と共に一時的に利用する飲食用、宿泊用又は遊興用の施設である。具体的には、レストラン、カフェ、居酒屋等の飲食用施設(以下、飲食店と称する)、ホテル、旅館、貸別荘、キャンプ場等の宿泊施設、公園、アミューズメントパーク、博物館、観光施設、牧場等の遊興施設、アウトレットモールなどの商業施設などが挙げられる。なお、本発明における愛玩動物は、一般に愛玩動物として認識されている動物種である。具体的には、犬や猫だけでなく、うさぎ、モルモット、フェレット等の哺乳類、インコ、キンカチョウ、オウム等の鳥類、ヘビ、トカゲ等の爬虫類等が挙げられる。
【0013】
[施設の属性情報]
施設の属性情報は、利用者が施設を利用するかどうかを判断する際に必要となる情報である。例えば、飲食店については、住所、利用者の住所・現在地からの距離、周辺環境、交通手段、駐車場の有無、外観、内装、メニュー、価格、混雑する時間帯、予約可能期間(当日予約可等)などの基本情報、ペットフードの販売、ペットフード以外のペット用グッズの販売、ペットと利用可能な席(個室、テラス・デッキ席限定等)、併設施設(ドッグラン、トリミングサロン等)、近隣施設(公園、動物病院等)、他のペットとの交流可否などのペットに特有の情報、「お洒落な店内で食事をしたい人向け」、「ショッピングをしたい人向け」、「静かに過ごしたい人向け」といった施設運営者や第三者によるリコメンド情報が挙げられる。
【0014】
また、宿泊施設については、住所、利用者の住所・現在地からの距離、周辺環境、交通手段、駐車場の有無、外観、内装、価格(ペット追加料金・頭数制限の有無)、混雑する時期、予約可能期間(当日予約可等)、ペットと同室での宿泊が可能か、などの基本情報、ペットフードの販売、ベッド・布団の使用可否、物損補償保険の有無などのサービス情報、ペット用食器、消臭剤、ペット用シャンプー、ドライヤー、粘着テープ、ケージなどの備品情報、足洗い場、浴室、併設施設(ドッグラン、トリミングサロン等)、近隣施設(公園、動物病院等)などの設備情報、「観光したい人向け」、「ペットと一緒にアクティビティを楽しみたい人向け」、「お洒落なレストランやダイニングで食事を楽しみたい人向け」といった施設運営者や第三者によるリコメンド情報が挙げられる。
【0015】
また、遊興施設については、住所、利用者の住所・現在地からの時間距離、周辺環境、交通手段、駐車場の有無、外観、内装、価格(ペット追加料金・頭数制限の有無)、混雑する時期、予約可否などの基本情報、ペットフードの販売、ペットフード以外のペット用グッズの販売、ペットと利用可能なアトラクション、併設施設(ドッグラン、トリミングサロン等)、近隣施設(公園、動物病院等)、他のペットとの交流可否などのペットに特有の情報、「ペットと一緒にアトラクションを楽しみたい人向け」、「施設内にペットを同伴したい人向け」といった施設運営者や第三者によるリコメンド情報が挙げられる。
【0016】
[施設の要望情報]
施設の要望情報は、施設運営者が、利用者及び利用者が同伴する愛玩動物に要求する条件に関する情報である。施設運営者が要求する条件としては、ワクチン接種済みであること(狂犬病ワクチンのみで良い場合もあるが、混合ワクチンも接種していることを要望する場合もある。)、寄生虫、伝染病疾患が無いこと、生理中ではないこと、去勢・避妊手術済みであること、躾レベルが一定の水準に達していること、備品(マナーベルト、トイレシーツ等)を携帯していること、リードを装着すること、ケージ・キャリーに入れておくこと、品種や体重等が施設の指定と合致していること、合計の頭数が一定数以下であることなどが挙げられる。
【0017】
ここで、品種とは、生物の種以下の生物集団の単位である。例えば、犬でいうと、犬の品種は犬種とも呼ばれ、具体的には、トイプードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフント、柴犬、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、パピヨン、マルチーズ、ラブラドール・レトリーバー、ダルメシアン、チャウチャウ等が挙げられる。猫でいうと、猫の品種は猫種とも呼ばれ、スコティッシュ・フォールド、アメリカン・ショートヘア、ノルウェージャン・フォレストキャット、ロシアンブルー、ブリティッシュ・ショートヘア、ラグドール、メイン・クーン、ペルシャ等が挙げられる。ウサギでいうと、ネザーランドドワーフ、ホーランドロップ、ロップイヤー、ミニレッキス、ドワーフロップ、アメリカンファジーロップ等が挙げられる。
【0018】
犬の場合には品種ごとに体重や体長が大きく異なるため、施設運営者の要求水準が変わることがある。例えば、レストランでの取り扱いをトイプードル、チワワのような小型犬と、セントバーナード、グレートピレニーズのような超大型犬とで比較すると、超大型犬の場合には、レストランに十分なスペースが無く入店を断られる可能性がある。また、躾レベルの水準も異なることが多く、特に超大型犬の場合には高い躾レベルが要求される可能性がある。
【0019】
[利用者及び利用者が同伴する愛玩動物]
本発明における利用者は、施設の利用を希望する者であって、実際に施設を利用するかどうかは問わない。また、利用者が同伴する愛玩動物は、利用者が施設利用時に同伴する予定の愛玩動物であって、実際に愛玩動物を同伴して施設を利用するかどうかは問わない。なお、利用者は愛玩動物の飼い主である必要はなく、飼い主から一時的に飼育を依頼されている代理人なども含む。
【0020】
[利用者の要望情報]
利用者の要望情報は、利用者が施設に要求する条件に関する情報である。本発明では、利用者の要望情報と、施設の属性情報とを比較することによって、利用者の要望に適合した施設かどうかを判断する。したがって、利用者の要望情報の項目は、施設の属性情報の項目と一致する。
【0021】
[利用者が同伴する愛玩動物の属性情報]
利用者が同伴する愛玩動物の属性情報は、施設運営者が施設の利用を許可するかどうかを判断する際に必要となる情報である。本発明では、施設の要望情報と、利用者が同伴する愛玩動物の属性情報とを比較することによって、施設の要望に適合した愛玩動物かどうかを判断する。
【0022】
愛玩動物の属性情報としては、ワクチン接種に関する情報、寄生虫・伝染病疾患に関する情報、生理に関する情報、去勢・避妊手術の有無、躾レベルに関する情報、携帯している備品(マナーベルト、トイレシーツ等)に関する情報、品種や体重に関する情報、頭数などが挙げられる。
【0023】
[躾レベル]
施設の要望に適合した愛玩動物かどうかを判断するうえで、愛玩動物に適切な躾レベルが設定されていることが重要である。愛玩動物の躾レベルを設定することにより、施設が受け入れ可能な愛玩動物かどうかの判定が容易になる。なお、以下の事例では、犬を前提とした躾レベルの設定方法のみを例示しているが、犬以外の愛玩動物についても、それぞれの種に適した躾レベルを設定することが好ましい。
【0024】
躾レベルの設定方法には標準化された方法はなく、システム運営者が適宜決定することができる。例えば、予め品種ごとに基準点を決めておいて、自宅外における基本コマンド(おすわり、ふせ、まて)に対する応答率や応答の可否、トイレの可否や成功率、ヒトや他の犬に対する興味、及び吠えや飛び付きの頻度や抑止の可否、並びに自前ではないハウス(ゲージ、キャリーケース含む)への入室指示に対する応答率等に基づいて減点する、或いは、加点していくという方法で躾レベルを決めてもよい。
【0025】
また、自宅における基本コマンド(おすわり、ふせ、まて)に対する応答率、トイレの成功率、及びヒトや他の犬に対する興味の有無、並びに自前のハウス(ゲージ、キャリーケース含む)への入室指示に対する応答率等に基づいて基準点を決めて、自宅外における基本コマンド(おすわり、ふせ、まて)に対する応答率、トイレの成功率、ヒトや他の犬に対する興味、及び吠えや飛び付きの頻度や抑止の可否、並びに自前ではないハウス(ゲージ、キャリーケース含む)への入室指示に対する応答率等に基づいて減点する或いは加点するという方法で躾レベルを決定してもよい。
【0026】
応答率や成功率は、愛玩動物のトレーナー資格を有する者によって判定されることが好ましい。専門知識のない利用者が判定する場合、判定結果がぶれやすく、客観的な躾レベルを設定しにくい。ただ、応答率や成功率を自己申告とすることも可能である。自己申告とすることによって、利用者がシステムを利用する際のハードルを下げることができる。自己申告の場合、利用規約等において虚偽の申告をした場合には利用停止などの罰則を定めることによってある程度信頼性を担保することができる。また、自己申告の内容と実際の愛玩動物の躾レベルが相違する場合、施設側が当該相違を通報する手段や相違の事実をアップロードする手段を備えていてもよい。また、利用した施設側が自己申告にかかる応答率や成功率を承認する手段を備えていてもよい。当該愛玩動物を実際に見た施設側が承認することで、自己申告が客観的に裏付けられることになる。
【0027】
躾レベルの設定方法について、具体例を示す。
先ず、自宅における基本コマンド(おすわり、ふせ、まて)に対する応答率、トイレの成功率、及びヒトや他の犬に対する興味の有無、並びに自前のハウス(ゲージ、キャリーケース含む)への入室指示に対する応答率からなる基礎点を設定した。配点や評価条件は表1のとおりである。なお、基礎点は、加点方式で最大14点とした。
【0028】
【表1】
【0029】
次に、自宅外における基本コマンド(おすわり、ふせ、まて)に対する応答率、トイレの成功率、ヒトや他の犬に対する興味、及び吠えや飛び付きの頻度や抑止の可否、並びに自前ではないハウス(ゲージ、キャリーケース含む)への入室指示に対する応答率に基づいて、点数を調整(減点)する。この例においては、施設の利用において重要な項目(吠え、飛び付き、トイレ)と、それ以外の項目とで減点の方法を変更している。施設の利用において重要な項目についての減点方法と評価条件は表2の通りである。例えば、「吠え」については、「何度か合図すれば静止できる」場合には、基礎点に0.7を乗じて、減点する。
【0030】
【表2】
【0031】
重要な項目以外の項目についての減点方法と評価条件は表3、4の通りである。なお、表3は施設が飲食店の場合の項目、表4は施設が宿泊施設の場合の項目である。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
[利用者の属性情報]
本発明では、施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に加えて、利用者の属性情報を選定の際に用いてもよい。利用者の属性情報を選定要素に加えることで、年齢、性別、過去の利用状況等に基づいてより好ましい施設を選定できる。利用者の属性情報は、利用者の氏名、連絡先、住所・現在地、年齢、性別、同一又は類似施設の過去の利用状況等に関する情報である。
【0035】
[受付手段]
本発明の受付手段は、少なくとも利用者の要望情報の入力を受け付ける手段であり、必要に応じて施設の属性情報及び要望情報、利用者の属性情報、利用者が同伴する愛玩動物の属性情報、並びにその他必要な情報を受け付けてもよい。
【0036】
[データベース]
本発明のデータベースは、施設の属性情報及び要望情報を記憶するものである。それに加えて、利用者の属性情報及び要望情報、利用者が同伴する愛玩動物の属性情報、並びにその他必要な情報を記憶するものであってもよい。利用者に関する情報は、利用者が会員登録をした際などに記憶されることになる。これらの情報の中でも、施設の属性情報及び要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報については、予めデータベースに記憶されていることが好ましい。施設の属性情報及び要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報を予めデータベースに記憶させておくことにより、利用者の要望情報のみを受け付けるだけで、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定することができる。
【0037】
データベースは、データベースサーバーの形で管理してもよく、クラウドサーバー上で管理してもよく、分散データベースとしてもよい。前記情報をデータベースに記憶する方法には特に限定はなく、受付手段を介して情報を取得してもよいし、記憶媒体を用いて直接データベースに情報を記憶させてもよい。
【0038】
[選定手段]
本発明の選定手段は、施設の属性情報及び要望情報、利用者の要望情報、並びに利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に基づいて、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定するものである。必要に応じて、利用者の属性情報や、その他必要な情報を選定要素としてもよい。
【0039】
選定手段は、少なくとも施設の属性情報及び利用者の要望情報に基づいて、利用者の要望に適合した属性の施設を抽出する施設選定プログラムと、少なくとも施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報に基づいて、施設の要望に適合した属性の利用者を抽出する利用者選定プログラムとから構成されることが好ましい。
【0040】
施設選定プログラムと利用者選定プログラムはどちらを先に実行してもよい。なお、施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報が予めデータベースに記憶されている場合には、事前に利用者選定プログラムを実行しておくことができる。本発明において、事前に利用者選定プログラムを実行した際の結果(情報)は、施設の要望情報及び利用者が同伴する愛玩動物の属性情報のいずれにも該当するものとみなす。
【0041】
[出力]
出力の形式は特に限定されず、例えば、パソコンやスマートフォンの画面上において、選定(リコメンド)の結果を出力することができる。出力の内容については、例えば、最も好ましい組み合わせのみを出力してもよいし、好ましい組み合わせを複数出力してもよい。また、システム運営又は利用者が適宜変更できる仕様でもよい。
【0042】
本発明の個体識別システムの実施形態の一例を図1によって説明する。
データベース12には、施設の属性情報及び要望情報、利用者の属性情報及び要望情報、利用者が同伴する愛玩動物の属性情報、並びにその他必要な情報が記憶されている。
利用者や施設運営者が端末に情報を入力すると、情報がネットワークを通じて受付手段31に入力される。
処理演算部20は、選定手段11を用いて、受付手段31に入力された情報、及びデータベース12に予め記憶されている情報に基づいて、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する。選定の結果は、出力手段32により、端末1の画面上に出力する。
【0043】
図1中、端末2及び3は、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などが挙げられる。端末は、CPUなどの処理部、ハードディスク、ROMあるいはRAMなどの記憶部、液晶パネルなどの表示部、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力部、ネットワークアダプタなどの通信部などを含んで構成される。
【0044】
図1中、サーバはコンピュータによって構成されるが、本発明にかかる機能を有する限りにおいて、どのような装置であってもよい。サーバは、クラウド上にあるサーバであってもよい。また、本実施形態では、判定手段や受付手段がサーバに格納され、端末とインターネットやLAN等の接続手段で接続される態様を説明したが、本発明はこれに限定されず、判定手段、受付手段、インターフェース部が一つのサーバや装置内に格納される態様や、端末を別途必要としない態様等であってもよい。
【0045】
記憶部は、例えばROM、RAMあるいはハードディスクなどから構成される。記憶部には、サーバの各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶され、特に、選定手段11が記憶される。
【0046】
インターフェース部(通信部)は、受付手段31と出力手段32を備え、端末3に対して、選定の結果や、予約の方法等を出力する。インターフェース部は、必要に応じて端末2に対しても、選定の結果等を出力する。
【0047】
本発明のリコメンドシステムの一実施態様に基づくフローチャートを図2に示す。利用者が端末を通じて、受付手段に利用者の要望情報等を入力する(ステップS1)。処理演算部20は、データベースから必要な情報を取得し、施設と利用者双方の要望に合致した組み合わせを選定する(ステップS2)。出力手段は、選定結果を出力する(ステップS3)。

図1
図2