(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】熱源装置及び基板処理設備
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20240111BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L21/26 J
H01L21/68 N
H01L21/26 Q
(21)【出願番号】P 2022065584
(22)【出願日】2022-04-12
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0051162
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522147300
【氏名又は名称】エヌピーエス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナム ウォンシク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン カンフム
(72)【発明者】
【氏名】ソン デソク
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-505123(JP,A)
【文献】特開2016-189454(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0902633(KR,B1)
【文献】特開2015-119181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0207456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0308928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための熱源装置であって、
複数の熱源と、
前記熱源を嵌入するために一方向に延びるように形成される嵌入口及び前記熱源から発せられる放射光を集光して反射するように前記嵌入口の片側に形成される凹溝が形成される支持体と、
を備え、
前記凹溝が、
前記嵌入口が延びる方向と交わる第1の方向に延びる第1のグループを形成するように前記支持体に形成される複数の第1の凹溝と、
前記嵌入口が延びる方向に交わり、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2のグループを形成するように前記支持体に形成される複数の第2の凹溝と、
を備
え、
前記第1のグループと前記第2のグループが、前記第1の方向及び前記第2の方向に交互に配置され、
前記第1のグループが、前記第1の方向にラインを形成するように離れて配置され、
前記第2のグループが、前記第2の方向にラインを形成するように前記第1のグループの少なくとも片側に配置されており、
前記第1のグループの第1の方向への長さは、前記第2のグループの第2の方向への長
と同じであり、前記第1のグループの第2の方向への長さは、前記第2のグループの第1の方向への長さと同じであり、
前記第1のグループと前記第2のグループは、同一の面積を有する長方形を呈する
熱源装置。
【請求項2】
前記第1のグループが、前記第2のグループにより取り囲まれ、
前記第2のグループが、前記第1のグループにより取り囲まれるように配置される
請求項1に記載の熱源装置。
【請求項3】
前記第1の凹溝と前記第2の凹溝が、互いに同じ直径を有するように形成され、
前記第1のグループの前記第1の方向への長さと第2のグループの第2の方向への長さが同じであり、
前記第1のグループの前記第2の方向への長さと前記第2のグループの第1の方向への長さが同じである
請求項1に記載の熱源装置。
【請求項4】
前記第1のグループが、3列2行に配置される複数の第1の凹溝を備え、
前記第2のグループが、2列3行に配置される複数の第2の凹溝を備える
請求項
3に記載の熱源装置。
【請求項5】
隣り合う第1の凹溝の中心間の距離、隣り合う第2の凹溝の中心間の距離及び隣り合う第1の凹溝の中心と第2の凹溝の中心との距離が互いに同じである
請求項
4に記載の熱源装置。
【請求項6】
前記第1のグループが、前記支持体の中央に配置され、
前記第1のグループの1列1行、1列2行、3列1行及び3列2行のうちのいずれか一つに配置される第1の凹溝の中心が前記支持体の中心に配置される
請求項
5に記載の熱源装置。
【請求項7】
基板が処理される内部空間が形成されるチャンバーと、
基板を加熱するように前記チャンバーに配設され、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の熱源装置と、
基板を支持するように前記チャンバーに配設される基板支持装置と、
を備える基板処理設備。
【請求項8】
リング状に形成される回転部材と、
リング状に形成され、前記回転部材の上部に配設される連結部材と、
一部が基板の下部面に接触可能であり、リング状に形成され、前記連結部材の外側に延びるように前記連結部材の上部に配設される基板支持部材と、
を備え、
前記基板支持部材が、
基板が延びる方向と交わる方向に延びる本体部と、
基板と接触可能であり、前記本体部が延びる方向と交わる方向に延びるように前記本体部の上部に連結される支持部と、
前記連結部材に接触可能であり、前記本体部が延びる方向と交わる方向に延びるように前記本体部の下部に連結される載置部と、
を備え、
前記本体部及び前記載置部が、リング状に形成され、
前記本体部の外径が、前記連結部材の外径よりも大きく、
前記載置部の外径が、前記本体部の外径よりも小さな、
請求項
7に記載の
基板処理設備。
【請求項9】
前記本体部の上部面が、平面状に形成される
請求項
8に記載の
基板処理設備。
【請求項10】
前記本体部の上部面が、外側に下向きに傾くように形成される
請求項
9に記載の
基板処理設備。
【請求項11】
前記支持部と前記本体部とがなす角度が、90°以上、かつ、180°未満である
請求項
8に記載の
基板処理設備。
【請求項12】
前記基板支持部材が、少なくとも前記本体部の下部面に形成される熱遮断層を備える
請求項
8に記載の
基板処理設備。
【請求項13】
前記基板支持部材が、全体が前記基板の下部面よりも低い位置に配置されるように形成される
請求項
8に記載の
基板処理設備。
【請求項14】
前記基板支持装置の少なくとも一部を取り囲むように前記チャンバーに配設される保護部材をさらに備え、
前記保護部材が、水平方向に連結部材から離れ、上下方向に基板支持部材の一部と重なり合うように配置される
請求項
8に記載の
基板処理設備。
【請求項15】
基板支持部材が、全体が前記基板よりも低い位置に配置され、少なくとも連結部材を覆うように形成される
請求項
13に記載の
基板処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源装置及び基板処理設備に係り、さらに詳しくは、基板を一様に加熱することができ、基板を安定的に支持することのできる熱源装置及び基板処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
急速熱処理(rapid thermal processing;RTP)方法は、タングステンランプなどの熱源からの放射光を基板に照射して基板を加熱処理する方法である。このような急速熱処理方法は、炉(furnace)を用いた既存の基板熱処理方法に比べて、基板を速やかに加熱したり冷却させたりすることができ、圧力条件や温度帯域の調節・制御を行い易いことから、基板の熱処理品質を向上させることができるというメリットがある。
【0003】
しかしながら、基板の大面積化が進むことに伴い、熱源を用いて基板の全体を一様に加熱するのに問題が生じていた。このため、基板の全体を一様に加熱できるように熱源と基板との距離を縮めたり、熱源の配列方法を変えたりするなど様々な取り組みが試みられている。
【0004】
一方、急速熱処理方法においては、基板を一様に加熱するために基板を回転させる方法を採用している。このため、基板の処理空間には、基板を回転可能なように支持できる基板支持装置が配設されている。基板支持装置は、基板の処理に際して基板に温度バラツキが生じることを抑えるために、基板との接触面積を最小化させ、かつ、基板を水平に支持できるリング状の基板支持部材と、基板支持部材の下部に回転可能なように配設されるリング状の回転部材と、を備える。このとき、回転部材は、基板支持体の外径よりも大きな外径を有しているが故に、基板の処理に際して、熱源から放出される放射光に直接的に晒されてしまう。基板の処理に際して、基板支持部材もまた放射光にそのまま晒されるものの、基板と同じ材質から形成されることから、過熱される場合であっても歪み難く、大きさが比較的に小さなことから、歪む場合であっても、その歪み量が少ないので基板を比較的に安定的に支持することができる。しかしながら、回転部材は、基板支持部材とは異なる材質から形成され、基板支持部材に比べて大きなため、放射光により過熱されて歪めば、基板支持部材に比べて歪みの度合いが大きいが故に基板を安定的に支持することができないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0050660号公報
【文献】韓国公開特許第10-2020-0053347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板を一様に加熱することのできる熱源装置、基板支持装置及び基板処理設備を提供する。
【0007】
本発明は、基板を安定的に支持することのできる熱源装置、基板支持装置及び基板処理設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る熱源装置は、基板を処理するための熱源装置であって、複数の熱源と、前記熱源を嵌入するために一方向に延びるように形成される嵌入口及び前記熱源から発せられる放射光を集光して反射するように前記嵌入口の片側に形成される凹溝が形成される支持体と、を備え、前記凹溝は、前記嵌入口が延びる方向と交わる第1の方向に延びる第1のグループを形成するように前記支持体に形成される複数の第1の凹溝と、前記嵌入口が延びる方向に交わり、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2のグループを形成するように前記支持体に形成される複数の第2の凹溝と、を備えていてもよい。
【0009】
前記第1のグループと前記第2のグループは、前記第1の方向及び前記第2の方向に交互に配置され、前記第1のグループは、前記第1の方向にラインを形成するように離れて配置され、前記第2のグループは、前記第2の方向にラインを形成するように前記第1のグループの少なくとも片側に配置されてもよい。
【0010】
前記第1のグループは、前記第2のグループにより取り囲まれ、前記第2のグループは、前記第1のグループにより取り囲まれるように配置されてもよい。
【0011】
前記第1の凹溝と前記第2の凹溝は、互いに同じ直径を有するように形成され、前記第1のグループの前記第1の方向への長さと第2のグループの第2の方向への長さが同じであり、前記第1のグループの前記第2の方向への長さと前記第2のグループの第1の方向への長さが同じであってもよい。
【0012】
前記第1のグループは、3列2行に配置される複数の第1の凹溝を備え、前記第2のグループは、2列3行に配置される複数の第2の凹溝を備えていてもよい。
【0013】
隣り合う第1の凹溝の中心間の距離、隣り合う第2の凹溝の中心間の距離及び隣り合う第1の凹溝の中心と第2の凹溝の中心との距離が互いに同じであってもよい。
【0014】
前記第1のグループは、前記支持体の中央に配置され、前記第1のグループの1列1行、1列2行、3列1行及び3列2行のうちのいずれか一つに配置される第1の凹溝の中心が前記支持体の中心に配置されてもよい。
【0015】
本発明の実施形態に係る基板処理装置は、リング状に形成される回転部材と、リング状に形成され、前記回転部材の上部に配設される連結部材と、一部が基板の下部面に接触可能であり、リング状に形成され、前記連結部材の外側に延びるように前記連結部材の上部に配設される基板支持部材と、を備えていてもよい。
【0016】
前記基板支持部材は、全体が前記基板の下部面よりも低い位置に配置されるように形成されてもよい。
【0017】
前記基板支持部材は、基板が延びる方向と交わる方向に延びる本体部と、基板と接触可能であり、前記本体部が延びる方向と交わる方向に延びるように前記本体部の上部に連結される支持部と、前記連結部材に接触可能であり、前記本体部が延びる方向と交わる方向に延びるように前記本体部の下部に連結される載置部と、を備え、前記本体部及び前記載置部は、リング状に形成され、前記本体部の外径は、前記連結部材の外径よりも大きく、 前記載置部の外径は、前記本体部の外径よりも小さくてもよい。
【0018】
前記本体部の上部面は、平面状に形成されてもよい。
【0019】
前記本体部の上部面は、外側に下向きに傾くように形成されてもよい。
【0020】
前記支持部と前記本体部とがなす角度は、90°以上、かつ、180°未満であってもよい。
【0021】
前記基板支持部材は、少なくとも前記本体部の下部面に形成される熱遮断層を備えていてもよい。
【0022】
本発明の実施形態に係る基板処理設備は、基板が処理される内部空間が形成されるチャンバーと、基板を支持するように前記チャンバーに配設され、前述した特徴のうちの少なくとも一つを有する熱源装置と、を備えていてもよい。
【0023】
本発明の実施形態に係る基板処理設備は、基板が処理される内部空間が形成されるチャンバーと、基板を支持するように前記チャンバーに配設され、前述した特徴のうちの少なくとも一つを有する基板支持装置と、を備えていてもよい。
【0024】
前記基板処理設備は、前記基板支持装置の少なくとも一部を取り囲むように前記チャンバーに配設される保護部材をさらに備え、前記保護部材は、水平方向に前記連結部材から離れ、上下方向に前記基板支持部材の一部と重なり合うように配置されてもよい。
【0025】
前記基板支持部材は、全体が前記基板よりも低い位置に配置され、少なくとも前記連結部材を覆うように形成されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によれば、熱源装置の支持体に一定のパターンを有する凹溝(groove)を形成して、熱源装置の全体に亘って放射光が一様に放出されるようにすることができる。なお、熱源装置の半径方向又は基板の半径方向に沿って凹溝をほとんど連続的に配置することができる。したがって、基板の処理に際して、基板に温度バラツキが生じることを抑え、基板を一様に加熱することができる。
【0027】
また、支持体に予め定められたパターンに凹溝を形成することができて、様々な大きさの熱源装置を手軽に作製することができる。特に、大面積の基板を処理できる熱源装置を手軽に作製することができる。
【0028】
さらに、基板処理空間に配設される様々な構造物が熱源から放出される放射光により過熱されてしまうことを抑制もしくは防止することができる。すなわち、基板支持装置の構造を変更して、基板を支持する構造物が放射光に直接的に晒されてしまうことを防ぐことができる。したがって、基板支持装置が放射光により過熱されて歪む現象を抑えて、基板の処理に際して基板の姿勢を安定的に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板処理設備の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る基板支持装置の一部の構造を詳しく示す断面図である。
【
図3】基板の処理に際しての基板支持部材の上部における工程ガスの流れを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る基板支持装置の概念図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る熱源装置に適用される熱源を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る熱源装置の底面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る熱源装置を構成する凹溝の配置構造を示す図である。
【
図8】
図7に示す凹溝の配置構造を説明するための概念図である。
【
図9】従来の技術による熱源装置における熱源装置の中心から各凹溝の中心までの距離を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施形態に係る熱源装置における熱源装置の中心から各凹溝の中心までの距離を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理設備の断面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る基板支持装置の一部の構造を詳しく示す断面図であり、
図3は、基板の処理に際しての基板支持部材の上部における工程ガスの流れを示す図であり、
図4は、本発明の実施形態に係る基板支持装置の概念図であり、
図5は、本発明の実施形態に係る熱源装置に適用される熱源を示す図であり、
図6は、本発明の実施形態に係る熱源装置の底面図であり、
図7は、本発明の実施形態に係る熱源装置を構成する凹溝の配置構造を示す図であり、
図8は、
図7に示す凹溝の配置構造を説明するための概念図である。
【0032】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る基板処理設備は、基板Sが処理される内部空間が形成されるチャンバー110と、基板Sを支持するようにチャンバー110に配設される基板支持装置120及び基板Sを加熱するようにチャンバー110に配設される熱源装置140を備えていてもよい。
【0033】
チャンバー110は、内部に収められる基板Sを処理するための処理空間が設けられた構成要素であって、大まかな形状は、中空のボックス状又はブロック状を呈していてもよい。チャンバー110は、チャンバー胴体110aと、チャンバー胴体110aに結合される透過窓110bと、を備えていてもよい。
【0034】
チャンバー胴体110aは、上部が開かれた中空状に形成されてもよく、透過窓110bは、開かれたチャンバー胴体110aの上部に結合されてもよい。このとき、チャンバー胴体110aは、単一の構造体として形成されてもよいが、複数の部品が連結又は結合された組立体として形成されてもよい。この場合、各部品間の連結部位には、密閉手段(図示せず)が付設されてもよい。なお、チャンバー胴体110aと透過窓110bとの連結部位にも密閉手段(図示せず)が設けられてもよい。これにより、基板Sの処理に際して、チャンバー110の内部に投入されるエネルギーを節減することができる。
【0035】
チャンバー胴体110aには、基板Sをチャンバー110の内部に搬入したりチャンバー110の外部に搬出したりするための開閉手段112が設けられてもよい。また、チャンバー胴体110aには、チャンバー110の内部空間に工程ガスを供給するためのガス注入口114と、チャンバー110の内部に供給された工程ガスやその他のガスを排気するためのガス排気口116と、が形成されてもよい。このとき、ガス排気口116には、チャンバー110の内部の圧力を制御するための真空ライン130が連結されて、チャンバー110の内部を吸い込むことにより、チャンバー110の内部のガスを排気し、チャンバー110の内部の圧力を制御することができる。真空ライン130は、ガス排気口116に連結される排気管132と、排気管134に配設されるポンプ134と、を備えていてもよい。これらの他にも、チャンバー胴体110aには、チャンバー胴体110aを冷却させるための冷却ライン(図示せず)が設けられてもよい。
【0036】
基板支持装置120は、上部に基板Sを支持するようにチャンバー110の内部に配設されてもよい。基板支持装置120は、基板の処理に際して、基板Sを一様に処理できるように基板Sを回転させてもよい。
【0037】
基板支持装置120は、リング状に形成される回転部材124と、上下方向に延びるリング状に形成され、回転部材124の上部に配設される連結部材126と、リング状に形成され、少なくとも一部が基板Sの下部面に接触可能であり、連結部材126の外側に延びるように連結部材126の上部に配設される基板支持部材128とを備えていてもよい。
【0038】
回転部材124は、チャンバー110の内部の底面に回転可能なように配設されてもよい。このとき、回転部材124の配設位置を設定し、回転部材124の離脱を抑えるように、回転部材124の下部には回転部材ハウジング122が配設されてもよい。回転部材ハウジング122は、少なくとも回転部材124の下部と内側を支持するようにチャンバー110の内部、例えば、チャンバー110の内部の底面に配設されてもよい。
【0039】
回転部材124は、リング状を呈するように形成されてもよい。より具体的には、回転部材124は、上部及び下部が開かれた中空の円筒状に形成されてもよい。また、回転部材124は、単一の構造体として形成されてもよく、少なくとも二つ以上の構造体が連結された組立体として形成されてもよい。例えば、回転部材124は、回転部材胴体124aと、回転部材胴体124aの下部に連結される摩擦防止体124bと、を備えていてもよい。このとき、摩擦防止体124bは、回転部材124において回転部材ハウジング122に触れる個所に形成されて、回転部材124と回転部材ハウジング122との摩擦を抑えることができる。摩擦防止体124bは、軸受けなどにより作製されてもよく、回転部材ハウジング122に触れる内側が固定側となり、外側は自由側となってもよい。このような回転部材124は、チャンバー110の内部又はチャンバー110の外部に配設される駆動手段(図示せず)に連結されて、駆動手段により与えられる動力を用いて回転することができる。
【0040】
連結部材126は、回転部材124の上部に配設されてもよい。連結部材126は、上下方向に延び、上部及び下部が開かれた中空の円筒状に形成されてもよい。連結部材126は、回転部材124又は回転部材胴体124aの内径よりも小さいかあるいはそれに等しい外径を有するように形成されてもよい。また、連結部材126は、下部の一部が回転部材124又は回転部材胴体124aの内部に嵌入される方式により回転部材124に配設されてもよい。このとき、回転部材124の内壁には段差が形成されて、段差の上部に連結部材126が載置又は支持されてもよい。回転部材124と連結部材126は、別途の固定部材(図示せず)を用いて互いに連結されてもよい。これは、基板の処理に際して、回転部材124の回転により連結部材126が回転部材124の上部において遊動したり離脱したりする虞があるからである。連結部材126は、これらの他にも、種々の方式により回転部材124に配設されることが可能である。
【0041】
基板支持部材128は、上部に基板Sを支持するように連結部材126の上部に配設されてもよい。基板支持部材128は、基板Sと同一もしくは類似の熱的特性を有する材質から形成され、基板の処理に際して、基板Sが全体的に一様に加熱できるように基板Sの底面の一部に接触可能なように形成されてもよい。すなわち、基板Sを一様に加熱するためには、基板Sとは異なる構造物との接触面積を最小化させることが好ましい。換言すれば、基板Sにおいて他の構造物と接触する領域と他の構造物と接触しない領域との間に温度バラツキが生じるため、基板Sを全体的に一様に加熱するためには、基板Sとは異なる構造物間の接触面積を最小化させなければならない。
【0042】
このような基板支持部材128は、連結部材126が延びる方向と交わる方向に延びる本体部128a、基板Sを支持するために連結部材126に配設するために、本体部128aが延びる方向と交わる方向に延びるように本体部128aの内側に連結される支持部128b及び連結部材126に配設するために、本体部128aが延びる方向と交わる方向に延びるように本体部128aの下部に連結される載置部128cを備えていてもよい。
【0043】
本体部128aはリング状に形成されてもよく、本体部128aの上部面は平面状に形成されてもよい。このとき、本体部128aの上部面は、基板Sが延びる方向、例えば、水平方向に延びるように形成され、上部面が水平をなすように形成されてもよく、本体部128aの内側から外側に向かって下向きに傾く斜面を有するように形成されてもよい。
【0044】
支持部128bは、本体部128aの内側に本体部128aが延びる方向と交わる方向に延びるように形成されてもよい。このとき、支持部128bは、本体部128aの上部面よりも高い位置に基板Sを支持できるように本体部128aの上部面よりも上部に突き出るように形成されてもよい。支持部128bは、本体部128aの上部面と直交するように形成されてもよく、上向きに傾くように形成されてもよい。このとき、本体部128aの上部面と支持部128bの外面とがなす角度θは、90°以上、かつ、180°未満であってもよい。ここで、支持部128bの外面とは、本体部128aの上部面から延びる面のことを意味する。本体部128aの上部面と支持部128bの外面とがなす角度が90°未満である場合、工程ガスが本体部128aと支持部128bとの間に滞ることがある。これに対し、本体部128aの上部面と支持部128bの外面とがなす角度θが180°以上であれば、基板Sを本体部128aよりも高く支持することができない。このような支持部128bは、基板Sの下部面に線接触又は点接触するように形成されてもよい。前者の場合、基板Sと接触する支持部128bの上端は、支持部128bの周り方向に沿って同一の高さを有するように形成されてもよい。後者の場合、基板Sと接触する支持部128bの上端は、支持部128bの周り方向に沿って互いに異なる高さを有するように形成されてもよく、あるいは、突起状を呈するように形成されてもよい。
【0045】
図3の(a)を参照すると、従来の技術による基板支持部材12は、基板Sを支持する支持部12bが本体部12aよりも低い位置に配置される。これにより、チャンバーの内部に供給される工程ガスが本体部12aにより円滑に移動できず、支持部12bの上部において滞ったり渦流を形成したりする現象が生じていた。この場合、支持部12bに載置される基板Sの周縁領域は、基板Sの中心領域に比べて工程ガスと接触する時間が長引いてしまう結果、基板Sが全体的に一様に処理されないという不都合が生じてしまう。例えば、基板Sに薄膜を形成する場合、基板Sの中心領域に形成される薄膜の膜厚よりも基板Sの周縁領域に形成される薄膜の膜厚の方が厚くなる。
【0046】
これに対し、
図3の(b)に示すように、基板Sを支持する支持部128bを本体部128aよりも高い位置に配置し、本体部128aの上部面を平面状に形成すれば、チャンバー110の内部に供給される工程ガスが基板Sの表面と基板支持部材128の本体部128aを自然に移動することになる。また、基板支持部材128の全体を基板Sよりも下、すなわち、下部に配置されるように形成してもよい。このため、基板支持部材128の本体部128aと支持部128bとの間において工程ガスが滞ったり渦流を形成したりする現象を抑えることができる。したがって、工程ガスが基板Sの全体に亘って一定の時間の間に一様に接触することから、基板Sの全体を一様に処理することができる。
【0047】
このような基板支持部材128は、基板Sを支持するとともに、熱源装置140から放出される放射光が基板支持部材128の下部に配設される連結部材126及び回転部材124に届くことを遮断する役割を果たしてもよい。
【0048】
図4を参照すると、本体部128aは、リング状に形成され、本体部128aの内径r
EIは、連結部材126の内径r
SI及び外径r
SOよりも小さく、本体部128aの外径r
EOは、連結部材126の外径r
SOよりも大きく設けられてもよい(r
EI<r
SO<r
EO)。本体部128aの外径r
EOは、連結部材126の外径r
SOよりも大きく、回転部材124の外径r
ROよりも大きいかあるいはそれに等しくてもよい(r
SO<r
EO 、r
RO≦r
EO)。また、載置部128cの外径r
ESは、本体部128aの内径r
EIよりも大きく、本体部128aの外径r
EOよりも小さくてもよい(r
EI<r
ES<r
EO)。このような構成を通して、本体部128aの一部で連結部材126と回転部材124を覆うことにより、熱源装置140から放出される放射光が連結部材126と回転部材124に届いて連結部材126と回転部材124が過熱されることを防ぐことができる。
【0049】
また、基板支持部材128は、
図3の(b)に示すように、本体部128aの少なくとも一部、例えば、本体部128aの底面に形成される熱遮断層129を備えていてもよい。熱遮断層129は、熱を吸収する物質、熱伝導度の低い物質などを用いて形成されてもよい。熱遮断層129は、アルミナ(Alumina,Al
2O
3)、イットリア(Yttria,Y
2O
3)、ジルコニア(Xirconia,ZrO
2)などのように耐熱性に優れており、高温において他の物質との反応性が低い物質から形成されてもよい。このような熱遮断層129は、放射光により加熱された本体部128aの熱が本体部128aの下部に届くことを抑えることができる。
【0050】
一方、
図1及び
図2を参照すると、チャンバー110には、基板の処理に際して、基板支持装置120を放射光から保護するための保護部材118が配設されてもよい。熱源装置140は、基板Sの面積とほとんど同じ面積に、あるいは、基板Sの面積よりも広い面積に放射光を照射するようにチャンバー110に配設される。このため、基板支持装置120において基板Sの外側に配置される連結部材126と回転部材124が放射光にそのまま晒されてしまうことが懸念される。このように、連結部材126と回転部材124が放射光に晒されてしまうことを防ぐために、基板支持装置120の一部を覆うようにチャンバー110の内面に保護部材118を配設してもよい。このとき、基板の処理に際して、基板Sは、基板支持装置120により回転するため、保護部材118は、基板支持部材128及び連結部材126から離れるように配設されなければならない。このため、保護部材118と基板支持部材128との間、保護部材118と連結部材126との間には、空間が形成可能である。これにより、基板の処理のために熱源装置140を動作させれば、熱源装置140の熱源146から放出される放射光が保護部材118と基板支持部材128との間及び保護部材118と連結部材126との間に流れ込むことが可能になる。したがって、基板支持部材128の外径、例えば、本体部128aの外径を保護部材118の内径よりも大きく形成して、本体部128aの一部が保護部材118と上下方向に所定の長さLに見合う分だけ重なり合うように形成することができる。このため、熱源146から放出される放射光が基板支持部材128と保護部材118との間に流れ込んでしまうことを防ぐことができる。このとき、保護部材118の上部面の少なくとも一部は、基板支持部材128に向かって下向きに傾くように形成されてもよい。このような構成を通して、放射光により基板支持部材128の下部に配設される連結部材126と回転部材124が過熱されることをさらに効率よく抑制もしくは防止することができる。
【0051】
熱源装置140は、基板支持装置120に支持される基板Sを加熱するようにチャンバー110に配設されてもよい。熱源装置140は、チャンバー110の上部に配設される支持体142と、基板Sを加熱するように支持体142に配設される複数の熱源146と、を備えていてもよい。
【0052】
図5を参照すると、熱源146は、放射光を放出するバルブ(電球)状ランプであってもよい。熱源146は、少なくとも一部に開口部が形成され、内部に空間が形成される透光体146aと、透光体146aの内部に配設されるフィラメント146bと、を備えていてもよい。透光体146aの開口部には、フィラメント146bを固定し、フィラメント146bに電力を印加するための端子などを有する連結部材146cが配備されてもよい。このため、ランプに電力が印加されれば、フィラメント146bから放射光が放出される。透光体146aは、中空の円筒状に形成される。このとき、透光体146aの横方向の断面の形状は円形状であってもよい。フィラメント146bは、透光体146aの内部に水平方向に延びる「一」字状に形成されてもよい。このため、熱源146を前面から眺めると、
図5の(a)に示すように、フィラメント146bがまるで「一」字状に配置されるかのように見え、熱源146を側面から眺めると、
図5の(b)に示すように、フィラメント146bがまるで「句点(。)」状に配置されるかのように見える。
【0053】
フィラメント146bから放出される放射光が基板Sを支持する基板支持装置120に向かってすべて照射されることが理想的である。しかしながら、放射光が放射状に放出されるため、透光体146aの一部に反射体146dを形成して、基板支持装置120の反対側、例えば、支持体142に向かって放出される放射光を集光して、基板支持装置120に向かって反射させてもよい。このような反射体146dとしては、反射率に優れたタングステン、モリブデン、ニッケル、金などの金属物質が用いられてもよく、透光体146aの表面に薄膜状にコーティングされてもよい。なお、反射体146dとしては、耐熱性に優れており、高温において他の物質との反応性が低いセラミック類などの非金属物質が用いられてもよく、フィラメント146bの上部に放射される放射光を遮へいして、支持体142や熱源146を構成する連結部材146cが過熱されることを防ぐことができる。
【0054】
支持体142は、基板支持装置120に載置される基板Sを加熱できるようにチャンバー110の上部に配設されてもよい(
図1参照)。
図6を参照すると、支持体142には、複数の熱源146を嵌入するための嵌入口144が設けられてもよい。嵌入口144は、支持体142を一方向、例えば、上下方向に貫通して形成されてもよい。また、支持体142には、複数の熱源146に電力を印加するためのソケット143が結合されてもよい。支持体142は、円形の平面状を呈し、所定の膜厚を有する円筒状に形成されてもよい。支持体142は、チャンバー110の形状や基板Sの形状に応じて、多面体など様々な形状に形成されてもよいということはいうまでもない。以下では、支持体142が円形の断面形状を呈する円形状に形成された例について説明する。
【0055】
支持体142の表面には、耐化学性、耐熱性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetra Fluoroethylene)、パーフルオロアルコキシ(PFA:perfluoroalkoxy)、フルオロ化エチレンプロピレン共重合体(FEP:Fluorinated Ethylene Propylene Copolymer)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(FTFE:Polyethlene Tetrafluoro Ethylene)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF:Polyvinylidene Fluoride)、ポリビニルフルオライド(PVF:Polyvinylfluoride)、ポリ塩化三フッ化エチレン(PCTFE:Polychlorotrifluoro Ethylene)などのフッ素系共重合体がコーティングされてもよい。また、嵌入口144の下部には、熱源146から放出される放射光を集光するための凹溝145が形成されてもよい。このとき、凹溝145は、嵌入口144と連通されるように形成されてもよい。嵌入口144は、互いに離れ合うように形成されてもよく、凹溝145は、嵌入口144の直径よりも大きく形成されて凹溝145の一部は、隣り合う凹溝145と接触し合うように形成されてもよい。ここで、「隣り合う」とは、すぐ隣、又は最も近くに位置することを意味する。凹溝145には、集光された放射光を基板支持装置120、すなわち、例えば、基板Sに反射するための反射体(図示せず)が形成されてもよい。このとき、反射体としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、金(Au)など熱に強く、しかも、反射率の高い金属物質が用いられてもよい。
図6を参照すると、支持体142の底面から見たとき、凹溝145は円形状に形成されるものの、凹溝145の壁面は斜面として形成されるか、あるいは、曲面をもってアーク状に形成されてもよい。
【0056】
凹溝145は、一定のパターンを有するように支持体142に形成されてもよい。凹溝145は、支持体142に配設されるべき熱源146の数を増やし、基板Sの処理に際して、基板Sの全体を一様に加熱できる形状に配置されてもよい。
図7を参照すると、凹溝145は、列と行を有し、第1の方向に延びるように配置される第1のグループAと、第1のグループAが延びる方向と交わる第2の方向に延びるように配置される第2のグループBと、に分けられてもよい。以下では、第1のグループAを形成する凹溝145を第1の凹溝145aと称し、第2のグループBを形成する凹溝145は第2の凹溝145bと称する。ここで、第1の方向とは、嵌入口144が延びる方向と交わる方向のことを意味し、第2の方向とは、嵌入口144が延びる方向と交わり、第1の方向と直交する方向のことを意味する。例えば、嵌入口144は、上下方向に延びるように形成され、第1の方向は水平方向に延び、第2の方向は水平方向に第1の方向と直交する方向に延びてもよい。また、第1のグループAは、横方向に延びるように形成され、第2のグループBは、縦方向に延びるように形成されてもよい。このような第1のグループAと第2のグループBは、互いに交互に配置されて、互いに異なる方向にラインを形成してもよい。すなわち、第1のグループAは、第1の方向にラインを形成するように離れて配置され、第2のグループBは、第2の方向にラインを形成するように第1のグループAの少なくとも片側に配置されてもよい。ここで、ラインとは、第1のグループAや第2のグループBが一つの方向に配置されて形成される仮想の線のことを意味し、連続して延びる線のことを意味するわけではない。このように、第1のグループAと第2のグループBを配置すれば、第1のグループAと第2のグループBは、まるで横糸と縦糸(経と緯)とが交差して形成される平織(plain weave)構造のパターンを有するかのように見える。すなわち、平織構造を有する織物の表面は、まるで横糸と縦糸とが交互に配置されるかのように見え、横糸と縦糸のそれぞれが一方向に延びるラインを形成しながら配置される。本発明の実施形態に係る熱源装置は、複数の第1の凹溝145aからなる第1のグループAと、複数の第2の凹溝145bからなる第2のグループBとが交互に配置されて、平織構造を有する織物の表面においてまるで横糸と縦糸とがラインをなすかのような形状にそれぞれラインをなしてもよい。
図8の(a)を参照すると、第1のグループAは、三つの列と二つの行を有するように配置される六本の第1の凹溝145aを備えていてもよい。六本の第1の凹溝145aは、いずれも同一の大きさ、例えば、いずれも同一の直径r11を有するように形成されてもよい。まず、第1の行をなす三本の第1の凹溝145aは、それぞれの中心が水平線の上に位置し、それぞれの第1の凹溝145aが接触し合うように配置されてもよい。また、第2の行をなす三本の第1の凹溝145aは、それぞれの中心が一直線の上に位置し、それぞれの第1の凹溝145aが接触し合うように配置されてもよい。さらに、第1の行をなす第1の凹溝145aと第2の行をなす第1の凹溝145aの中心は、互いに一直線の上に位置するように配置されてもよい。
【0057】
このような構成を通して、隣り合う第1の凹溝145aの中心間の距離r12,r13は、第1の凹溝145aの直径r11と同じ(r11=r12=r13)であってもよい。このため、第1のグループAは、第1の方向への長さW1が第1の方向と交わる方向、例えば、第2の方向への長さT1の1.5倍(W1:T1=1.5:1)になることができ、概ね長方形を呈することができる。
【0058】
図8(b)を参照すると、第2のグループ
Bは、二つの列と三つの行を有するように配置される六本の第2の凹溝145bを備えていてもよい。六本の第2の凹溝145bは、いずれも同一の大きさ、例えば、いずれも同一の直径r21を有するように形成され、第1の凹溝145aと同じ直径を有するように形成されてもよい。まず、第1の行をなす二本の第2の凹溝145bは、それぞれの中心が水平線の上に位置し、それぞれの第2の凹溝145bが接触し合うように配置されてもよい。第2の行をなす二本の第2の凹溝145bは、それぞれの中心が一直線の上に位置し、それぞれの第2の凹溝145bが接触し合うように配置されてもよい。また、第3の行をなす二本の第2の凹溝145bは、それぞれの中心が一直線の上に位置し、それぞれの第2の凹溝145bが接触し合うように配置されてもよい。さらに、第1の行をなす第2の凹溝145bと第2の行をなす第2の凹溝145b及び第3の行をなす第2の凹溝145bの中心は、互いに一直線の上に位置するように配置されてもよい。
【0059】
換言すれば、第1のグループAは、3列2行に配置される複数の第1の凹溝145aを備え、第2のグループBは、2列3行に配置される複数の第2の凹溝145bを備える。また、各行をなす第1の凹溝145aと第2の凹溝145bは、それぞれの中心が水平線の上に位置し、隣り合う第1の凹溝145aの中心間の距離、隣り合う第2の凹溝145bの中心間の距離及び隣り合う第1の凹溝145aの中心と第2の凹溝145bの中心との距離が互いに同じである。なお、第1のグループAは、支持体142の中央に配置され、第1のグループAの1列1行、1列2行、3列1行及び3列2行のうちのいずれか一つに配置される第1の凹溝145aの中心が支持体142の中心に配置される。
【0060】
このような構成を通して、隣り合う第2の凹溝145bの中心間の距離r22,r23は、第2の凹溝145bの直径r21と同じ(r21=r22=r23)であってもよいこのため、第2のグループBは、第2の方向への長さT2が第2の方向と交わる方向、例えば、第1の方向への長さW2の1.5倍(W2:T2=1:1.5)になることができ、概ね長方形を呈することができる。
【0061】
これらに加えて、支持体142に複数の凹溝145を平織構造を有するように配置できるのであれば、第1のグループAと第2のグループBは、第1の凹溝145aと第2の凹溝145bの列と行を広げてもよい。
【0062】
ここでは、第1のグループAを形成する第1の凹溝145aと第2のグループBを形成する第2の凹溝145b、及び第1のグループAを形成する第1の凹溝145aと第2のグループBを形成する第2の凹溝145bが接触し合うように形成されると説明したが、これらは互いに離れ合うように形成されてもよい。この場合、隣り合う第1の凹溝145aの中心間の距離、隣り合う第2の凹溝145bの中心間の距離及び隣り合う第1の凹溝145aと第2の凹溝145bとの中心間の距離は互いに同じであってもよく、これらの距離は、第1の凹溝145a又は第2の凹溝145bの直径よりも大きくてもよい(r11<r12=r13,r21<r22=r23)。ここでも、「隣り合う」とは、すぐ隣又は最も近い距離のことを意味する。このように、第1の凹溝145aと第2の凹溝145bとが互いに離れ合うように形成される場合、凹溝間の離間距離に応じて、第1のグループAは、第1の方向への長さW1と第2の方向への長さT1が約1.3~1.7:1又は約1.4~1.6:1の比率を有するように形成されることが可能になる。また、第2のグループBは、第1の方向への長さW2と第2の方向への長さT2が約1:1.3~1.7又は約1:1.4~1.6の比率を有するように形成されてもよい。すなわち、第1のグループAの第1の方向への長さT1は、第2のグループBの第2の方向への長さW2と同じであり(W2=T1)、第1のグループAの第2の方向への長さW1は、第2のグループBの第1の方向への長さT2と同じである(T2=W1)。さらに、第1のグループAの面積と第2のグループBの面積は同じである。
【0063】
このように、複数の凹溝145は、一定のパターンを有する第1のグループAと第2のグループBに分けられて、支持体142の全体に亘って交互に形成されてもよい。このとき、第1のグループAの第1の凹溝145aのうち、1列1行、1列2行、3列1行及び3列2行のうちのいずれか一つに位置する第1の凹溝145aの中心が支持体142の中心Cに位置するように支持体142に複数の凹溝145を形成してもよい。例えば、支持体142の中心に第1のグループAの1列1行に位置する第1の凹溝145aを位置させ、第1のグループAが延びる第1の方向に第2のグループBと第1のグループAを交互に位置させてもよい。そして、第1のグループAが延びる第1の方向と交わる方向、例えば、第2の方向に第2のグループBと第1のグループAを交互に位置させてもよい。このとき、第1のグループAの第1の行と第2の行との間、又は第1のグループAの第2の方向への長さT1の途中に第2のグループBの第2の行に配置される第2の凹溝145bの中心を配置してもよい。これにより、第1のグループAは、四つの第2のグループBにより取り囲まれ、第2のグループBは、四つの第1のグループAにより取り囲まれることが可能になる。
【0064】
このような熱源装置140は、支持体142の半径方向、又は基板Sの半径方向に凹溝145の中心をほとんど連続して配置することができる。このように、凹溝145の中心が支持体142の半径方向に連続して配置され、基板の処理に際して基板Sを回転させれば、基板Sの全体が放射光に一様に晒されて一様に加熱されることが可能になる。
【0065】
以上においては、基板処理装置が、少なくとも一部が基板Sの下部面に接触可能であり、連結部材126の外側に延びるように連結部材126の上部に配設される基板支持部材128を備える基板支持装置120と、嵌入口144が延びる方向と交わる第1の方向に延びる第1のグループAを形成するように支持体142に形成される複数の第1の凹溝145aと、嵌入口144が延びる方向と交わり、第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2のグループBを形成するように支持体142に形成される複数の第2の凹溝145bとを備える熱源装置140と、を備えると説明した。しかしながら、基板処理装置は、前述した基板支持装置120と、様々なパターンに形成される熱源装置と、を備えていてもよく、前述した熱源装置と、様々な形状形成される基板支持装置と、を備えていてもよい。すなわち、基板処理装置は、基板Sを安定的に支持しながら、基板を一様に加熱できれば、基板支持装置120と熱源装置140のうちのどちらか一方は種々に変更可能である。
【0066】
以下では、本発明の実施形態に係る熱源装置の性能を検証するために、本発明の実施形態に係る熱源装置と従来の技術による熱源装置に形成される凹溝の配置状態を比較した結果について説明する。
【0067】
図9は、従来の技術による熱源装置における熱源装置の中心から各凹溝の中心までの距離を示すグラフであり、
図10は、本発明の実施形態に係る熱源装置における熱源装置の中心から各凹溝の中心までの距離を示すグラフである。ここで、熱源装置の中心とは、支持体の中心のことを意味してもよく、支持体の中心は、基板支持装置に載置される基板の中心と同じであってもよい。
【0068】
図9の(a)は、従来の技術による熱源装置の一例を示す図であり、熱源装置は、熱源装置の中心Cを基準として放射状に配置される複数の熱源を備える。このような熱源装置の中心から支持体に形成される凹溝の中心までの距離をそれぞれ測定し、測定された距離を
図9の(b)のように示した。
図9の(b)において、y軸は、支持体の中心から支持体の半径方向への距離を示し、x軸は、支持体に形成される凹溝の番号を示す。ここでは、支持体の中心Cに形成される凹溝を1番とし、残りの凹溝の番号は任意に定められてもよい。例えば、支持体に400本の凹溝が形成される場合、それぞれの凹溝には1番から400番までの番号が付されてもよい。このとき、凹溝のうち、支持体の中心から同一の距離を有する複数の凹溝があり得るが、凹溝の番号は、支持体の中心Cに形成される1番の凹溝から遠ざかる順番に凹溝に番号を付してもよい。あるいは、凹溝の番号は、支持体の中心Cに形成される1番の凹溝を基準として、1番の凹溝から遠ざかる方向に螺旋状に回転しながら凹溝に番号を付してもよい。これらに加えて、様々な方式にて凹溝に番号を付することができる。
【0069】
図9の(b)を参照すると、凹溝の中心は、熱源装置140の中心Cから支持体の半径方向に沿って断続的に配置されるということが分かる。特に、熱源装置、例えば、支持体の中心から約150mmの範囲においては、凹溝の中心が断続的に配置されて、凹溝の中心と凹溝の中心との間に離間距離が形成されるということが分かる。また、熱源装置の中心から約175~180mmの範囲においては、凹溝の中心がほとんど配置されないということが分かる。この場合、基板を回転させながら基板を処理すれば、熱源装置の半径方向に凹溝の中心の間に離間距離が生じた領域において基板が熱源から放出される放射光に十分に晒されなくなる。これにより、凹溝の中心が配置される領域と凹溝の中心が離れる領域における放射光の光量又は光の強さの違いにより基板が一様に加熱されないという不都合がある。
【0070】
図10の(a)は、本発明の実施形態に係る熱源装置140を示す図であり、熱源装置は、支持体142に平織構造のパターンを有するように配置される複数の凹溝145を備える。このような熱源装置140の中心Cから支持体142に形成される凹溝145の中心までの距離をそれぞれ測定し、測定された距離を
図10の(b)のように示した。
図10の(b)において、y軸は、支持体の中心から支持体の半径方向への距離を示し、x軸は、支持体に形成される凹溝の番号を示す。凹溝の番号は、前述した方式と同じ方式により定められてもよい。
図10の(b)を参照すると、凹溝145の中心は、熱源装置140の中心Cから支持体142の半径方向に沿ってほとんど連続して配置されるということが分かる。但し、熱源装置140の中心から約75mmの範囲においては、凹溝145の中心が断続的に配置されるものの、凹溝145の中心と中心との距離が比較的に短く、凹溝145は面積を有するように形成されることから、凹溝145の中心の間において基板が十分に加熱されることが可能になる。特に、基板Sを回転させながら基板を処理することから、基板Sの半径方向に沿って放射光が一様に届くので、基板Sの全体を一様に加熱することができる。
【0071】
以上、本発明について、添付図面と前述した好適な実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲により限定される。よって、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲の技術的思想から逸脱しない範囲内において本発明を種々に変形しかつ修正することができる。
【符号の説明】
【0072】
S:基板
110:チャンバー
120:基板支持装置
122:回転部材ハウジング
124:回転部材
126:連結部材
128:基板支持部材
128a:本体部
128b:支持部
130:真空ライン
140:熱源装置
142:支持体
144:嵌入口
145:凹溝
145a:第1の凹溝
145b:第2の凹溝
146:熱源
A:第1のグループ
B:第2のグループ