(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20240111BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240111BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/03 400E
G06F3/03 400C
G06F3/03 400A
G06F3/044 B
G06F3/046 B
(21)【出願番号】P 2022077896
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2020172920の分割
【原出願日】2016-12-05
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2016016914
(32)【優先日】2016-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】金田 剛典
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 航平
(72)【発明者】
【氏名】阪本 龍人
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07202862(US,B1)
【文献】国際公開第2016/158418(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/044428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/044
G06F 3/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
軸心を中心として180度以上の角範囲の側壁であり前記回路基板を囲う側壁を有するとともに前記軸心を中心として180度以下の角範囲の開口部を有する
保護部材と、
前記回路基板が前記保護部材に囲まれた状態において前記保護部材に囲まれない筆圧検知部であり前記保護部材に囲まれた前記回路基板と電気的に接続される筆圧検知部と、
前記回路基板と前記
保護部材と
前記筆圧検知部とを収納する筐体と、
を有する電子ペン。
【請求項2】
前記開口部は、軸心方向に沿う方向に延びる開口部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記開口部の幅であり軸心方向に直行する方向の幅は、前記回路基板の幅であり軸心方向に直行する幅よりも短い
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記開口部は、前記回路基板に対する操作を可能とする開口部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記開口部から突出可能に設けられる部材
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記
保護部材内に配設されるスイッチであり、操作に応じて前記部材が第1の状態である場合にオン状態になるとともに操作に応じて前記部材が第2の状態である場合にオフ状態になるスイッチと、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の電子ペン。
【請求項7】
前記筐体に収納される電子ペンカートリッジであり、前記回路基板と前記
保護部材とを収納する電子ペンカートリッジ
をさらに有することを特徴する請求項1に記載の電子ペン。
【請求項8】
前記
保護部材は、金属、カーボン素材、合成樹脂のいずれかにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記回路基板を保持するともに前記
保護部材と嵌合される接続部材
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項10】
前記
保護部材の前記側壁は、前記回路基板の少なくとも4つの面を囲う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項11】
前記保護部材と接続される接続部分および前記筆圧検知部と前記回路基板とを電気的に接続する電気的接続部分を有する接続部材をさらに有する、
請求項1に記載の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置と共に使用されるペン型の位置指示器である電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペンは、使用者により把持されて、位置検出装置のセンサ上における位置指示のために用いられる。この電子ペンによるセンサ上の指示位置は、電子ペンとセンサとの間で、電磁誘導結合方式や静電容量結合方式などの種々の結合方式によって位置検出用信号の授受が行われることによって、位置検出装置で検出される。なお、電磁誘導方式の座標検出センサと電子ペンとで構成される入力装置の一例については、後に記す特許文献1に開示されており、また、静電容量方式の座標検出センサと電子ペンとで構成される入力装置の一例については、後に記す特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-044304号公報
【文献】特開平07-295722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁誘導結合方式や静電容量結合方式の位置検出装置で用いられる電子ペンは、回路基板や電池などを搭載して構成される。このため、従来の電子ペンは、例えばボールペンや万年筆ななどの一般的な筆記具よりも太いものとなっていた。しかし、位置検出装置が搭載されるいわゆるタブレットPC(Personal Computer)やスマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末などの電子機器の小型化薄型化に伴って、電子ペンもより細くすることが求められた。
【0005】
これに対応し、電子ペンに内蔵される、回路基板におけるコンデンサ等のチップ化、筆圧検知部の小型化などが促進され、電子ペンの細型化も進められている。しかしながら、電子ペンの細型化に伴い、電子ペンの外側筐体の厚さも薄くなってきており、曲がりやすくなったり、折れやすくなったりするなど、電子ペンの強度が弱くなってしまうのではないかという心配がある。そこで、細型化される電子ペンの強度を高めるための技術が求められるようになってきている。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、細型化されても、曲がったり、折れたりすることが無い強度を高めた電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、
回路基板と、
軸心を中心として180度以上の角範囲の側壁であり前記回路基板を囲う側壁を有するとともに前記軸心を中心として180度以下の角範囲の開口部を有する保護部材と、
前記回路基板が前記保護部材に囲まれた状態において前記保護部材に囲まれない筆圧検知部であり前記保護部材に囲まれた前記回路基板と電気的に接続される筆圧検知部と、
前記回路基板と前記保護部材と前記筆圧検知部とを収納する筐体と、
を有する電子ペンを提供する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、細型化しても曲がったり、折れたりすることのない強度を高めた電子ペンが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明による電子ペンの実施形態の全体の概要を説明するための図である。
【
図2】この発明による電子ペンの実施形態の内部構成を説明するための分解斜視図である。
【
図3】この発明の電子ペンの実施の形態において、芯体とコイル部と圧力検知部と回路基板と基板保護パイプとが接続された場合の当該部分の断面図である。
【
図4】この発明の電子ペンの実施の形態において、基板保護パイプ内に回路基板が収納された状態について説明するための図である。
【
図5】実施の形態の電子ペン及び位置検出装置の回路構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態の電子ペン本体部を用いて構成する電子ペン用カートリッジについて説明するための図である。
【
図7】電子ペン用カートリッジを多色ボールペンの筐体で利用するようにした場合の例を説明するための図である。
【
図8】筆圧検知部を芯体とは逆側に設けた場合の例を説明するための図である。
【
図9】静電容量結合方式の電子ペン本体部に、この発明を適用するようにした場合の例を説明する断面図である。
【
図10】静電容量結合方式の座標検出センサが用いられた位置検出装置を説明するためのブロック図である。
【
図11】基板保護パイプの変形例を説明するための図である。
【
図12】回路基板にスイッチ用の端子を形成する場合の例を説明するための図である。
【
図13】スイッチを切り替えるための摺動部材の概略構成を説明するための図である。
【
図14】ボールペンのノック機構を利用したスイッチの構成例を説明するための図である。
【
図15】接続部の他の構成例を説明するための図である。
【
図16】
図15の接続部を用いた場合の電子ペンの等価回路の例を示す図である。
【
図17】形状の異なる基板保護パイプの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明による電子ペンの実施形態を、図を参照しながら説明する。まず、この発明を電磁誘導方式の電子ペンに適用した場合の実施の形態について説明する。
【0011】
[電子ペンの構成]
図1は、この発明による実施の形態の電子ペンの構成例を説明するための図であり、この実施形態の電子ペン10の全体の概要を説明するためのものである。
図1においては、この実施形態の電子ペン10の筐体(ケース)11を切断して、その内部を示している。
【0012】
この実施の形態の電子ペン10は、電子ペン本体部8を筐体11内に収納して構成される。電子ペン本体部8は、
図1に示すように、芯体1と、コイル部2と、接続部(接続部材)3と、回路基板4とを備え、回路基板4の周囲に基板保護パイプ(硬質管状部材)6を設け、さらに基板保護パイプ6の芯体1側とは反対の端部をパイプ蓋7で閉じて構成した部分である。
【0013】
図2は、電子ペン本体部8の構成を説明するための分解斜視図である。コイル部2は、円筒状のフェライト21の周囲に絶縁した電線(被覆導線)を巻回させて形成したものである。
図2(A)に示すように、コイル部2の軸心方向の両側には被覆導線が巻回されていないフェライト部分が設けられている。
【0014】
接続部3は、
図1及び
図2(A)に示すように、大きく分けると筆圧検知部31、嵌合部32、接続端子部33とからなっている。筆圧検知部31は樹脂等により円柱状に構成され、そのコイル部2側の端面の外周及び形状は、コイル部2のコイルが巻回されている部分の外周及び形状とほぼ一致する。そして、筆圧検知部31のコイル部2と対向する端面側には前述したコイル部2の被覆導線が巻回されていないフェライト部分が嵌合する凹部が設けられている。また、筆圧検知部31の内部には、後述もするが、芯体1を保持する部材や芯体1に加えられる筆圧を検知する感圧用部品が設けられている。
【0015】
嵌合部32は、後述する基板保護パイプ6と嵌合する部分である。嵌合部32は、樹脂や硬質ゴムなどにより例えば略円筒状に形成され、筆圧検知部31と強固に嵌合して一体的になっている。嵌合部32の内側には、図示しないが、後述する回路基板4の突起部4aが嵌合する凹部が設けられている。なお、嵌合部32の外径は、基板保護パイプ6の内径よりやや長くなっており、基板保護パイプ6と強固に嵌合できるようになっている。そして、嵌合部32に基板保護パイプ6を嵌合させた場合には、基板保護パイプ6の外周が、筆圧検知部31の外周と一致するようになっている。すなわち、コイル部2の外径と筆圧検知部31の外径と基板保護パイプ6の外径とは、ほぼ同じである。なお、嵌合部32の芯体1と反対側の端部部分は、基板保護パイプ6を差し込みやすくするために、その外周が基板保護パイプ6の内周よりも短くなる傾斜部分が設けられている。
【0016】
接続端子部33は、
図2(A)に示すように、嵌合部32に連結する上下に2枚の板部を備える。この板部が後述する回路基板4を挟み込むようになっている。この場合、上下に2枚の板部の間隔は、回路基板4の厚みよりもやや狭くなっており、回路基板4を挟持できるようになっている。そして、これら2枚の板部の一方には、
図1及び
図2(A)に示すように筆圧検知部31の感圧用部品の端子部材からの信号線が接続される端子33a,33bが設けられている。
【0017】
回路基板4は、軸心方向の両端に突起部4a,4bが設けられた長方形状の絶縁基板上に端子41a,41bや種々の回路部品が搭載され、それらを接続する配線が設けられて形成される。種々の回路部品には、制御回路として機能するIC(Integrated Circuit)42、サイドスイッチ43、コンデンサ44~49などが含まれる。回路基板4は、
図1及び
図2に示すように、基板保護パイプ6の内部に収納されて保護される。
【0018】
回路基板4は、理想的には、
図2(C)に示すように、基板保護パイプ6の軸心Oと回路基板4の軸心がほぼ一致するようにして基板保護パイプ6内に収納される。この場合に、回路基板4は、軸心方向の両端に設けられる突起部4a,4bの部分を除き、軸心に直行する方向の断面の対角線が基板保護パイプ6の内径と同じになるように形成されるのが理想的である。しかし、回路基板4は、容易に基板保護パイプ6内に収納できるようにするために、
図2(C)において点線で示した軸心方向に直行する方向の断面の対角線が基板保護パイプ6の内径よりもやや短くなるようにされている。
【0019】
基板保護パイプ6は、金属、カーボン素材、合成樹脂などが用いられて形成され、折れたり曲がったりしにくい硬質管状部材である。基板保護パイプ6は、
図2(B)に示すように、その両端に、芯体側開口部61と後端側開口部62とを有している。これら芯体側開口部61と後端側開口部62とは、軸心方向と交差する方向の開口部である。そして、芯体側開口部61から基板保護パイプ6の内側の所定範囲の部分が、接続部3の嵌合部32が差し込まれて嵌合する芯体側嵌合部61aとなる。同様に、後端側開口部62基板保護パイプ6の内側の所定範囲の部分が、後述するパイプ蓋7が差し込まれて嵌合する後端側嵌合部61bとなる。
【0020】
なお、この実施の形態においては、
図2(B)に示すように、後端側嵌合部62a部分には、後述するパイプ蓋7の凹部7bと嵌合する凸部62bが設けられている。また、後端側嵌合部62aの場合と同様に、芯体側嵌合部61aにも、凸部を設け、これに合致する凹部を接続部3の嵌合部32に設けるようにしてもよい。このようにすれば、接続部3の嵌合部32と基板保護パイプ6とをより強固に嵌合させることができる。
【0021】
さらに、基板保護パイプ6は、芯体側開口部61と後端側開口部62とを繋ぐように、基板保護パイプ6の側壁の一部を切り取るように形成した開口部(軸心方向に沿う方向の側面開口部)63を有する。この場合、基板保護パイプ6は、開口部63が設けられても、軸心を中心として180度以上の角範囲の側壁を有するようにされる。より詳しくは、
図2(C)に示すように、回路基板4が基板保護パイプ6に収納された場合に、回路基板4の開口部63と対向する面の両方の長辺が、基板保護パイプ6の内壁に接触するように基板保護パイプ6の側壁が残される。すなわち、開口部63の軸心方向に直行する方向の幅は、回路基板4の突起部4a,4b部分でない部分の軸心方向に交差する方向の幅よりも狭くなるようにされている。
【0022】
また、基板保護パイプ6には、
図2(B)に示したように、芯体側嵌合部61aの一部に切り欠き部61bが設けられている。この切り欠き部61bには、図示しないが、接続部3の嵌合部32に設けられた突起部と嵌合し、嵌合部32に基板保護パイプ6が嵌合した場合にその双方が回転しないように位置が規制される。また、
図2(B)に示すように、基板保護パイプ6には、基板を固定するための基板固定部として、基板受け台取り付け孔64a,64bが設けられている。
【0023】
基板保護パイプ6の基板受け台取り付け孔64a,64bには、
図2(B)に示すように台形状の基板受け台5が取り付けられる。基板受け台5の基板保護パイプ6に取る付けられる側の面は、
図2(C)に示すように、基板保護パイプ6の内壁の形状に対応して湾曲していると共に、
図2(B)に示したように、基板受け台取り付け孔64a,64bに嵌合する固定突起51a,51bが設けられている。基板受け台の固定突起51a,51bが、基板保護パイプ6の基板受け台取り付け孔64a,64bに嵌め込まれることにより、基板受け台5が基板保護パイプ6に固定される。この基板受け台5は、
図2(C)に示すように、基板保護パイプ6と回路基板4との間に設けられる。
【0024】
なお、基板固定部は、基板受け台5を取り付けるだけでなく、基板保護パイプを作業台等に固定するためにも用いることができる。また、基板固定部としては、取り付け孔だけではない。例えば、基板受け台5に凹部を設けた場合には、これに嵌合する突起の形状としたり、基板受け台の前後で基板受け台を挟持するフックの形状としたりするなど、基板受け台5を基板保護パイプ6に固定するための種々の態様を採用することができる。
【0025】
さらに、
図2(B)に示すように、基板保護パイプ6の後端側嵌合部62aに対して嵌合するパイプ蓋7が設けられる。このパイプ蓋7は、基板保護パイプ6の後端側嵌合部62aの内径に合致する嵌合部7aを有すると共に、この嵌合部7aには、基板保護パイプ6の後端側嵌合部62aに設けられた凸部62bに合致する凹部7bが設けられている。また、パイプ蓋7の嵌合部7aの内側には、回路基板4の突起部4bが嵌合する凹部7cが設けられている。また、パイプ蓋7の嵌合部7aの基板保護パイプ6とは反対側の端部部分は、基板保護パイプ6の外径と一致する直径を有し、ある程度の厚みを有する鍔部となっている。
【0026】
そして、芯体1は、コイル部2のフェライト21を貫通して、このフェライト21と嵌合する接続部3の筆圧検知部31に到達して、筆圧検知部31において保持される。また、接続部3の接続端子部33の2枚の板部の間に回路基板4が差し込まれる。これにより、回路基板4の芯体側の突起部4aは嵌合部32の凹部に嵌まり込むと共に、接続端子部33の2枚の板部によって回路基板4が挟持される。そして、接続端子部33の端子33aと回路基板4の端子41aとが、また、接続端子部33の端子33bと回路基板4の端子41bとが接続される。
【0027】
回路基板4の端子41a、41bは、IC42、サイドスイッチ43、コンデンサ44~49などからなる回路基板4に形成された電子回路に接続されている。これにより、IC42において筆圧を検知し、これを利用することができるようにされる。また、
図2には図示していないが、コイル部2のコイルの両端からの延長線23a、23bも、回路基板4に形成された電子回路に接続される。これにより、コイル22は、回路基板4のIC42やコンデンサ44、45、…と共に共振回路を構成し、詳しくは後述するが、この実施の形態の電子ペン10と位置検出装置との間で信号の授受を行うことができるようにしている。
【0028】
図3は、芯体1とコイル部2と接続部3と回路基板4と基板保護パイプ6とが接続された場合の当該接続部分の断面図である。
図3において、接続部3の筆圧検知部31は、例えば樹脂モールド31x内に感圧用部品が設けられて形成されたものである。そして、
図3に示すように、コイル部2のコイル22が巻回されていないフェライト21部分が、接続部3の筆圧検知部31の凹部に嵌合して接続される。
【0029】
筆圧検知部31の感圧用部品は、
図3に示すように、誘電体31aと、端子部材31bと、保持部材31cと、導電部材31dと、弾性部材31eとの複数個の部品からなる。端子部材31bは、導電性材料からなり、感圧用部品で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材31dは例えば導電性ゴムで構成され、弾性部材31eは導電性材料からなるコイルばねで構成されている。導電部材31dと弾性部材31eとは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
【0030】
そして、
図3に示すように、芯体1は、コイル部2の筒状のフェライト21を貫通して、筆圧検知部31の保持部材31cに到達して保持される。これにより、第1の電極を構成する端子部材31bと、第2の電極を構成する導電部材31dとの間で形成される容量可変コンデンサ(感圧用部材)の静電容量が、芯体1に印加される圧力に応じて変化するようにされる。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、信号線を通じて、接続端子部33の接続端子33a,33bに接続される。
【0031】
さらに、
図3に示すように、回路基板4の芯体側の突起部4aが嵌合部32に嵌まり込むと共に、回路基板4が接続端子部33の二枚の板部に挟み込まれるようにして接続される。これにより、
図3に示すように、接続端子部33の接続端子33aと回路基板4の端子41aが接続される。また、接続端子部33の接続端子33bと回路基板4の端子41bが接続される。これにより上述したように、筆圧検知部31の感圧用部品の端子部材からの信号線が回路基板4に接続される。また、
図3に示すように、コイル部2の両端からの延長線23a、23bと回路基板4とが接続され、上述もしたように、回路基板4のコンデンサ44等と共振回路を構成する。
【0032】
そして、回路基板4は、基板保護パイプ6に収納される。この場合に、接続部3の嵌合部32と基板保護パイプ6の芯体側嵌合部61aとが嵌合して、接続部3と基板保護パイプ6とが分離しないようにされる。これにより、回路基板4は、基板保護パイプ6により保護され、曲がったり、折れたりすることがないようにすることができる。
【0033】
図4は、基板保護パイプ6内に回路基板4が収納された状態について説明するための図である。
図4(A)に示すように、基板保護パイプ6と回路基板4との全長はほぼ同じ長さとされる。すなわち、回路基板4の全体が基板保護パイプ6内に収納できるようになっている。また、回路基板4が基板保護パイプ6内に収納された状態で、
図4(A)において、基板保護パイプ6の上部に設けられている開口部63を通じて、サイドスイッチ43を操作することができる。
【0034】
また、上述もしたように、コイル部2のコイル22と、回路基板4の複数個のコンデンサ44~49とが接続されて共振回路を構成し、位置検出装置との間で信号の授受ができるようにされる。しかし、当該共振回路における静電容量上、全てのコンデンサを接続しなくてもよい場合もある。このような場合には、開口部63を介して、不要となるコンデンサの接続をレーザ等でカット(切断)するといった作業を回路基板4に対して行うことができる。
【0035】
また、基板保護パイプ6の例えば芯体側開口部61から基板保護パイプ6内に回路基板4を収納すると、
図4(B)に示すように、回路基板4の先端下側が台形状の基板受け台の傾斜面に当たって矢印方向に押し上げられる。上述もしたように、回路基板4の軸心方向の断面の対角線は基板保護パイプ6の内径よりやや短くなっている。このため、回路基板4は基板受け台5によって若干持ち上げられることにより、回路基板4の基板保護パイプ6の開口部63と対向する面の両方の長辺が基板保護パイプ6の内壁に押し当てられる。
【0036】
これにより、回路基板4は、基板受け台5と基板保護パイプ6とによって挟持され、基板保護パイプ6内に固定される。なお、後端側開口部62から回路基板4を収納する場合にも、同様にして回路基板4を基板受け台5と基板保護パイプ6とによって挟持できる。更に、基板保護パイプ6の後端側開口部62には、パイプ蓋7が嵌め込まれ、パイプ蓋7の凹部7cが回路基板4の後端側の突起部4bと嵌合する。
【0037】
このように、コイル部2は接続部3の筆圧検知部31に設けられた凹部と嵌合して固定される。そして、コイル部2のフェライトを貫通する芯体1は、筆圧検知部31の保持部材31cに到達して保持される。また、回路基板4は、接続部3の嵌合部32の凹部に嵌合し、更に接続端子部33の2枚の板部に挟みこまれて固定される。また、回路基板4は、基板保護パイプ6内に固定される基板受け台5の作用により基板保護パイプ6内に固定され外圧から保護される。また、基板保護パイプ6は接続部3の嵌合部32と嵌合して固定される。
【0038】
更に、基板保護パイプ6の後端側開口部62にパイプ蓋7が嵌め込まれ、パイプ蓋7の凹部7cが回路基板4の後端側の突起部4bと嵌合し、回路基板4を基板保護パイプ6内に保持する。これにより、芯体1、コイル部2、接続部3、回路基板4、基板受け台5及び基板保護パイプ6、パイプ蓋7が一体になった電子ペン本体部8が形成される。このようにして形成される電子ペン本体部8が、
図1に示したように、筐体11に収納され、筐体蓋12が取り付けられて、使用者によって用いられる電子ペン10が構成される。なお、パイプ蓋7と筐体蓋12は、一体となっていてもよい。すなわち、パイプ蓋7と筐体蓋12は、一体物として構成することもできる。
【0039】
[電磁誘導授受方式の座標検出センサの概要]
次に、
図1~
図4を用いて説明した電磁誘導授受方式の電子ペン10を用いて指示位置の検出および筆圧の検出(検知)を行う電磁誘導授受方式の位置検出装置200の具体的な実施形態の回路構成例について、
図5を参照して説明する。
図5は、電子ペン10及び位置検出装置200の回路構成例を示すブロック図である。電子ペン10と位置検出装置200とにより入力装置が構成される。
【0040】
電子ペン10は、回路構成としては、位置指示コイル22と、この位置指示コイル22に接続された筆圧検知部(感圧用部品としての可変容量コンデンサを含む)31と、この筆圧検知部31に並列に接続される共振コンデンサ44等からなる共振回路によって現される。
【0041】
一方、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群204aと、Y軸方向ループコイル群204bとを積層させて設けることにより、電磁誘導方式の座標検出センサ201が形成されている。各ループコイル群204a,204bは、例えば、それぞれ40本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群204a,204bを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0042】
また、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bが接続される選択回路206が設けられている。この選択回路206は、2つのループコイル群204a,204bのうちの一のループコイルを順次選択する。
【0043】
さらに、位置検出装置200には、発振器203と、電流ドライバ205と、切り替え接続回路207と、受信アンプ208と、検波器209と、低域フィルタ210と、サンプルホールド回路212と、A/D変換回路213と、同期検波器216と、低域フィルタ217と、サンプルホールド回路218と、A/D変換回路219と、処理部214とが設けられている。
【0044】
発振器203は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ205と同期検波器216に供給する発振器203である。電流ドライバ205は、発振器203から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路207へ送出する。切り替え接続回路207は、後述する処理部214からの制御により、選択回路206によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子S)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ205が、受信側端子Rには受信アンプ208が、それぞれ接続されている。
【0045】
選択回路206に選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路206及び切り替え接続回路207を介して受信アンプ208に送られる。受信アンプ208は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器209及び同期検波器216へ送出する。
【0046】
検波器209は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ210へ送出する。低域フィルタ210は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器209の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路212へ送出する。サンプルホールド回路212は、低域フィルタ210の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路213へ送出する。A/D変換回路213は、サンプルホールド回路212のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理部214に出力する。
【0047】
一方、同期検波器216は、受信アンプ208の出力信号を発振器203からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ217に送出する。この低域フィルタ217は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器216の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路218に送出する。このサンプルホールド回路218は、低域フィルタ217の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路219へ送出する。A/D変換回路219は、サンプルホールド回路218のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理部214に出力する。
【0048】
処理部214は、位置検出装置200の各部を制御する。すなわち、処理部214は、選択回路206におけるループコイルの選択、切り替え接続回路207の切り替え、サンプルホールド回路212、218のタイミングを制御する。処理部214は、A/D変換回路213、219からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bから一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
【0049】
X軸方向ループコイル群204a及びY軸方向ループコイル群204bの各ループコイルには、電子ペン10から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理部214は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン10のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理部214は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。このように、この実施の形態の電磁誘導授受方式の電子ペン10と
図5に示した電磁誘導授受方式の位置検出装置200とにより、入力装置が構成できる。
【0050】
[カートリッジ式の電子ペン本体部]
この実施の形態の電子ペン本体部8を利用して、例えばボールペンの替え芯(リフィル)と同一形状の電子ペン用カートリッジを構成し、これを例えばボールペン筐体内に取り付けて、電子ペンを構成することもできる。
図6は、この実施の形態の電子ペン本体部8を用いて構成する電子ペン用カートリッジについて説明するための図である。
【0051】
図6(A)は、
図1~
図4を用いて説明したように構成される電子ペン本体部8である。
図6(B)は、電子ペン本体部8が収納される筒状のカートリッジ筐体8CTを示している。カートリッジ筐体8CTは、
図6(B)の左側端部(芯体側端部)は、電子ペン本体部8の芯体の先端部分が突出する程度の小さな開口を有する。また、カートリッジ筐体8CTは、
図6(B)の右側端部(後端側端部)は、電子ペン本体部8を挿入する開口を有する。
【0052】
そして、
図6において点線矢印で示すように、電子ペン本体部8を、後端側端部の開口からカートリッジ筐体8CT内に収納する。
図6(C)は、電子ペン本体部8がカートリッジ筐体8CTに収納されて構成された電子ペン用カートリッジ9の外観を示している。なお、
図6(C)において、カートリッジ筐体8CTは透明の合成樹脂で構成され、内部が観視可能になっている場合を示している。
【0053】
この例の場合には、
図6(C)に示すように、電子ペン本体部8の芯体1の先端部分だけがカートリッジ筐体8CTの芯体側端部の開口から突出し、電子ペン本体部8のその他の部分はカートリッジ筐体8CT内に位置するようにされる。そして、カートリッジ筐体8CTの後端側端部の開口には、カートリッジ筐体蓋8BKを嵌合させて閉じられる。この例のカートリッジ筐体蓋8BKは、
図6(C)に示したように、ボールペンの替え芯と同様にしてボールペン筐体内に取り付けるための凹部が設けられているものである。なお、パイプ蓋7とカートリッジ筐体蓋8BKは一体となっていてもよい。すなわち、パイプ蓋7とカートリッジ筐体蓋8BKとを一体物として構成することもできる。
【0054】
そして、
図6(C)に示すように、この例の電子ペン用カートリッジ9において、長手方向の長さR1と長手方向に直行する方向の幅R2とは、いずれもこれが取り付けられるボールペンの替え芯の長さと幅に一致している。
【0055】
これにより、電子ペン本体部8をカートリッジ筐体8CTに収納して形成したこの例の電子ペン用カートリッジ9を、所定のボールペンの筐体(第1の筐体)内に取り付けることにより、使用者により使用される電子ペンを構成できる。すなわち、既存のボールペンの筐体と当該電子ペン用カートリッジ9とにより、電子ペンを構成することができる。これにより、普段使い慣れたボールペンの筐体を利用して、使い勝手のよい電子ペンを手軽に構成することができる。
【0056】
また、
図6を用いて説明したように、電子ペン用カートリッジ9を形成した場合、これを多色のボールペンの筐体内に取り付けられる替え芯の変わりに利用することもできる。
図7は、電子ペン用カートリッジを多色ボールペンの筐体で利用するようにした場合の例を説明するための図である。
【0057】
図7(A)は、この例の電子ペン10Xの外観を示す構成図である。この
図7(A)の例も、電子ペン10Xの筐体(第1の筐体)11Mが透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。
【0058】
電子ペン10Xの筐体11Mは、市販のノック式の多色ボールペンの筐体及びノックカム機構と同一の構成を備えている。市販のノック式の多色ボールペンの筐体及びノックカム機構をそのまま用いてもよい。この筐体11M内には、この例では、3本の電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eが収納されている。
【0059】
筐体11Mの軸心方向の一端側には開口11Maが形成されており、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのいずれかがノック機構により軸心方向にスライド移動されられたときに、その芯体1の先端部が、この開口11Maを通じて外部に突出するようにされる。
【0060】
電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eは、ノック機構により軸心方向にスライド移動されられてはいない状態では、
図7(A)に示すように、それぞれの芯体1の先端を含め全体が筐体11Mの中空部内に収納されており、保護されている状態となる。そして、前述したように、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eの内、ノック機構により軸心方向にスライド移動されられた電子ペン用カートリッジの芯体1の先端が、この開口11Maを通じて外部に突出するようにされる。したがって、ノック機構により、芯体1の先端が開口11Maを通じて外部に突出するようにされた電子ペン用カートリッジは、保護が解除されることになる。
【0061】
この電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eは、多色ボールペンの替え芯と同寸法に構成されている点を除けば、外形的には、
図6を用いて説明した電子ペン用カートリッジ9と同様に構成される。ただし、この例の場合の電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eにおいては、後述するようにカートリッジ筐体91B,91R,91E(図のカートリッジ筐体(第2の筐体)8CTに相当)に、ノック機構による軸心方向の移動に応じてオン・オフするスイッチ部材が設けられる。
【0062】
この例の電子ペン10Xでは、後述するように、この電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eに設けられたスイッチの状態により、ノック機構により電子ペン10Xにおいて、それぞれの電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eが保護されている状態となっているかどうかを検出するようにする。電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのその他の構成は、
図1~
図4及び
図6を用いて説明した電子ペン用カートリッジ9と同様とされる。
【0063】
電子ペン10Xのノック機構は、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのそれぞれが嵌合される嵌合部19Ba,19Ra,19Eaを備えるノック棒19B,19R,19Eと、ばね受け部材17と、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのそれぞれの嵌合部19Ba,19Ra,19Eaとばね受け部材17との間に配設されるコイルばね18B,18R,18Eとからなる。
【0064】
ばね受け部材17は、筐体11Mの中空部内の軸心方向の所定位置に固定されて取り付けられている。このばね受け部材17には、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのカートリッジ筐体91B,91R,91Eが挿通される貫通孔17B,17R,17Eが形成されている。電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのそれぞれは、このばね受け部材17の貫通孔17B,17R,17Eのそれぞれ、及びコイルばね18B,18R,18Eのそれぞれを挿通して、ノック棒19B,19R,19Eの嵌合部19Ba,19Ra,19Eaに嵌合されることにより、電子ペン10Xに取り付けられる。
【0065】
筐体11Mの、ノック棒19B,19R,19Eが収納される部分には、ノック棒19B,19R,19Eの一部が外部に露出されると共に、ノック棒19B,19R,19Eのそれぞれが、軸心方向に移動することが可能なようにされた透孔スリット(
図7(A)では図示を省略)が設けられている。
【0066】
電子ペン10Xは、周知の多色ボールペンと同様に、ノック棒19B,19R,19Eのいずれかが開口11Ma側にスライドさせられて、そのノック棒に嵌合している電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのいずれかの芯体1の先端が開口11Maから外部に突出する状態になったときに、ノック棒19B,19R,19Eの係止部(図示は省略)が、筐体11Mの中空部内に形成されている係合部に係合して、その状態で係止するロック状態となる。
【0067】
そして、そのロック状態で、他のノック棒が、開口11Ma側にスライド移動させられると、ロック状態にあるノック棒のロックが解除されて、コイルばね18B,18R,18Eのいずれかにより、そのノック棒が
図7(A)に示す元の状態に戻る。そして、後からスライド移動させられたノック棒は、そのノック棒に嵌合している電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのいずれかの芯体1の先端が開口11Maから外部に突出する状態で、ロック状態となることができる。
【0068】
以下、同様に、ノック棒をスライド移動させることにより、開口11Maから先端を突出させる電子ペン用カートリッジを変えることができる。ノック棒19B,19R,19Eのいずれかのスライド移動を、ロック状態になる途中で停止したときには、ロック中の他のノック棒のロック解除を行うと共に、そのノック棒は、コイルばね18B,18R,18Eのいずれかにより、
図7(A)の保護状態に復帰する。
【0069】
図7(B)及び(C)は、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eに設けられるスイッチについて説明するための図である。この
図7(B),(C)は、電子ペン用カートリッジ9Bに設けられるスイッチについて示したもので、他の電子ペン用カートリッジ9R,9Eについても同様に構成されるものである。
【0070】
すなわち、電子ペン用カートリッジ9Bが、非ロック状態であるノック棒19Bの嵌合部19Baに嵌合されたときに、丁度、ばね受け部材17の貫通孔17Bに収納されるカートリッジ筐体91Bの部位の周面に貫通孔(開口部)91Baが設けられると共に、カートリッジ筐体91B内に、この貫通孔91Baから一部が露呈するように、スイッチ部材50Bが設けられる。
【0071】
このスイッチ部材50Bは、弾性を有すると共に導電性を有する材料、例えば弾性を有する導電性金属で構成される。このスイッチ部材(スイッチ部)50Bは、
図7(B)及び(C)に示すように、カートリッジ筐体91Bの貫通孔91Baの近傍の内壁面に固定される固定端子片(導電部材)51と、当該固定端子片51と弾性的に接触可能な可動端子片(弾性部材)52とからなる。可動端子片52は、固定端子片51と弾性的に接触する状態と、非接触の状態とを取り得るように構成された折り曲げ部52aを備え、この折り曲げ部52aの一部が貫通孔91Baから突出することが可能ように、カートリッジ筐体91B内に取り付けられている。
【0072】
電子ペン用カートリッジ9Bが、非ロック状態であるノック棒19Bの嵌合部19Baに嵌合されて、電子ペン用カートリッジ9Bの全てが筐体11Mの中空部に存在する保護状態であるときには、
図7(B)に示すように、スイッチ部材50Bは、丁度、ばね受け部材17の貫通孔17B内に位置する。このため、可動端子片52の折り曲げ部52aは、貫通孔17Bの内壁によりカートリッジ筐体91B内側に弾性的に変位し、固定端子片51と可動端子片52とは接触せずに離間する状態となる。すなわち、スイッチ部材50Bは、オフの状態となる。
【0073】
ノック棒19Bがロック状態までスライド移動されて、電子ペン用カートリッジ9Bの芯体1の先端が筐体11Mの開口11Maから突出している非保護状態になると、
図7(C)に示すように、スイッチ部材50Bは、ばね受け部材17の貫通孔17Bから脱する状態になる。すると、可動端子片52の折り曲げ部52aの一部が貫通孔91Baから突出するように弾性変位し、これにより、可動端子片52と固定端子片51とが接触する状態となる。すなわち、スイッチ部材50Bは、オンの状態となる。
【0074】
このスイッチ部材50Bの固定端子片51と、可動端子片52とは、カートリッジ筐体91Bに収納されている回路基板4のIC42に電気的に接続されている。IC42は制御回路としての機能を有し、このスイッチ部材50Bのオン・オフ状態を監視することで、電子ペン用カートリッジ9Bの全てが筐体11Mの中空部に存在する保護状態であるか、あるいはノック棒19Bにより電子ペン用カートリッジ9Bの芯体1の先端が筐体11Mの開口11Maから突出している非保護状態であるかを検出する。
【0075】
電子ペン用カートリッジ9R、9Eにおいても、同様にして、カートリッジ筐体91R、91E内にスイッチ部材50R,50E(図示は省略)が設けられており、カートリッジ筐体91R,91Eに収納されている回路基板4のIC42に接続されている。そして、この例の場合には、電子ペン用カートリッジ9B、9R、9Eの内、スイッチ部材50B、50R、50Eがオンの状態にされて、非保護の状態になっているときに、回路基板4に搭載された各電子部品間の接続がオンにされて機能する。これにより、位置検出装置側との信号の送受が可能にされる。
【0076】
そして、この実施形態の場合、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eと共に使用される位置検出装置は、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのそれぞれから送信されてくる識別情報を受信して、判別する機能を備える。すなわち、この実施形態の場合の位置検出装置は、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eの違いを判別して、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eのそれぞれに割り当てられた機能を実現するようにする。
【0077】
例えば、電子ペン用カートリッジ9Bは、その指示位置に応じて表示する軌跡(文字や図形)を黒色で表す機能を割り当てられ、電子ペン用カートリッジ9Rは、その指示位置に応じて表示する軌跡を赤色で表す機能を割り当てられ、電子ペン用カートリッジ9Eは、その指示位置に応じて、先に指示入力された軌跡を消去する機能を割り当てられる。
【0078】
このため、電子ペン用カートリッジ9B、9R、9Eのそれぞれに搭載されている回路基板4には、電子ペン用カートリッジ9B,9R,9Eの識別情報の他、これら文字色を通知する情報や、消去機能を通知する情報を記憶するIDメモリが搭載されている。そして、電子ペン用カートリッジ9B、9R、9Eのそれぞれに搭載されている回路基板4のIC42は、それらの情報を必要に応じて、位置検出装置に送信することができるようにしている。
【0079】
なお、電子ペン用カートリッジに割り当てられる機能は、この例のような指示位置に応じた軌跡の表示色のみではなく、軌跡の太さや、実線、点線、一点鎖線などの表示する線の種別などであってもよい。
【0080】
ところで、上述した実施の形態では、芯体側部材内に筆圧検知部を設けたが、これに限るものではない。筆圧検知部は芯体1とは逆側に設けることもできる。
図8は、筆圧検知部を芯体1とは逆側に設けた場合の例を説明するための図である。
図8(A)は、この例の電子ペン本体部8Aの全体構成を示している。
【0081】
図8(A)に示すように、この例の電子ペン本体部8Aは、芯体1と、円柱状のコイル部2Aと、円柱状の接続部34とを有する。そして、接続部34は基板保護パイプ6と嵌合する嵌合部34aを有し、この嵌合部34aを介して回路基板4とも接続できるようになっている。なお、回路基板4と基板保護パイプ6とは、
図1~
図5を用いて説明した電子ペン本体部8と同様のものである。
【0082】
図8(B)は、この例の電子ペン本体部8Aの各部材間の接続部分の断面図である。
図8(B)に示すように、コイル部2Aは軸心方向の両方の端部の側に凹部を備えたフェライト21Aの周囲に被覆導線22Bが巻回されて構成されたものである。フェライト21Aに設けられた一方の凹部は芯体1を保持するためのものであり、他方の凹部は接続部34の凸部と嵌合するためのものである。
【0083】
接続部34は、樹脂や硬質ゴムなどにより形成され、軸心方向の一方の側にはフェライト21Aの前述した他方の凹部に嵌合する凸部を有し、他方の側には基板保護パイプ6と嵌合する嵌合部34aが設けられている。この嵌合部34aは、上述した電子ペン本体部8の場合と同様に、基板保護パイプ6の内径よりやや大きいが、基板保護パイプ6の外径よりは小さな外径を有するものである。
【0084】
そして、嵌合部34aに基板保護パイプ6を嵌合させたときには、基板保護パイプ6の先端側端面が、接続部34の嵌合部34a側に形成される接続部34の端面と接合するようになっている。また、接続部34の嵌合部34aの内側には、回路基板4の突起部4aが嵌まり込む凹部が設けられている。この凹部は、
図8(B)に示すように、回路基板4の突起部4aの軸心方向の長さと同じ位の深さを有するようになっている。
【0085】
このため、
図8(B)に示すように、芯体1がフェライト21Aの一方の凹部に嵌合して固定され、フェライト21Aの他方の凹部には接続部34の凸部が嵌合して固定される。更に、回路基板4の突起部4aが、接続部34の嵌合部34aに設けられた凹部に嵌合して固定される。そして、回路基板4は、基板保護パイプ6内に収納され、基板保護パイプ6の芯体側開口部61には、接続部34の嵌合部34aが嵌合して固定される。なお、フェライト21Aに巻回されているコイルの両端端子23A,23Bは、回路基板4に接続され、回路基板4のコンデンサ44等が接続されて共振回路を構成する。また、基板保護パイプ6内には、上述した電子ペン本体部8の場合と同様に、基板受け台5も設けられている。
【0086】
そして、この例の電子ペン本体部8Aの場合には、芯体1側とは反対側の後端部に筆圧検知部14が設けられている。
図8(C)は、当該筆圧検知部14部分の断面図である。
図8(C)に示すように、この例の電子ペン本体部8Aは、回路基板4が搭載された部分(第1の部分)と、連結棒部材141が固定された固定部13(第2の部分)とに分けられている。回路基板4の芯体1側とは反対側の端部には、筆圧検出用の感圧用部品15が設けられている。そして、固定部13に固定された連結棒部材141によって、感圧用部品15が押圧されるようになっている。
【0087】
そして、回路基板4が搭載された部分(第1の部分)と、連結棒部材141が固定された固定部13(第2の部分)との間には、コイルばね142が設けられている。これにより、当該第1の部分と当該第2の部分とは、軸心方向において、互いに離れるように弾性変位される。しかし、
図8(C)に示すように、連結棒部材141には、回路基板4が搭載された部分の内部にストッパ141bが設けられており、当該第1の部分と当該第2の部分とは、所定位置で係止して、それ以上は軸芯方向に変位しないように構成されている。
【0088】
このように構成された電子ペン本体部8Aが、例えば、
図1に示したように筐体11内に収納され、電子ペンとして用いるようにされるが、固定部13の連結棒部材141が固定されている面とは反対側の面が、筐体11の後端部の内部に設けられる係止壁に接して固定される。そして、筐体11に収納された電子ペン本体部8Aの芯体1に筆圧がかかると、連結された芯体1とコイル部2Aと接続部34と回路基板4及び基板保護パイプ6の全体が押し上げられ、連結棒部材141の先端141aが感圧用部品15を押圧する。これにより感圧用部品15において、筆圧が検出でき、この検出した筆圧に応じた信号を回路基板4に向けられているIC42に供給できる。
【0089】
[静電容量結合方式の電子ペンへの応用]
上述した実施の形態の電子ペン本体部8、8Aは、電磁誘導授受方式のものであったが、この発明は、静電容量結合方式の電子ペン本体部を構成する場合にも適用できる。
図9は、静電容量結合方式の電子ペン本体部に、この発明を適用するようにした場合の例を説明するための断面図であり、芯体側における各構成部材の接続状態を示したものである。
【0090】
この例の電子ペン本体部8Bは、
図9に示すように、芯体1A、芯体保持部35、接続部3、回路基板4、基板保護パイプ6とにより構成される。接続部3は、上述した電子ペン本体部8の場合と同様に、筆圧検知部31、嵌合部32、接続端子部33とからなる部分である。これら筆圧検知部31、嵌合部32、接続端子部33と、回路基板4と、基板保護パイプ6とは、上述した電子ペン本体部8の場合と同様に構成されるものであるから、その詳細な説明については省略する。
【0091】
この例の電子ペン本体部8Bの場合には、コイル部2の代わりに、芯体保持部35が設けられている。芯体保持部35は、芯体ホルダー35aと、導電性弾性部材35bと、弾性部材としてのコイルばね35cとからなる。そして、芯体1Aが、導電性弾性部材35bを介して導電性材料からなる芯体ホルダー35aに嵌合されることにより、芯体ホルダー35aに対して結合保持される。この芯体ホルダー35aが、
図9に示すように、筆圧検知部31の保持部材31cに嵌合されることにより、芯体1Aに印加される圧力(筆圧)が筆圧検知部31に構成される感圧用部品に伝達されるようになっている。
【0092】
この場合に、芯体ホルダー35aは、当該芯体ホルダー35aと筆圧検知部31との間に設けられる、導電性金属などの導電性材料からなる弾性部材の例としてのコイルばね35cにより、筆圧検知部31に対して常に芯体1A側に付勢されるように構成されている。なお、コイルばね35cは、導体端子部材102を通じて回路基板4に配設されているIC42、サイドスイッチ43、コンデンサ44~49などからなる電子回路に接続される。これにより、IC42からの信号を芯体1Aに伝達し、芯体1Aから位置検出装置に送信できる。
【0093】
また、筆圧検知部31に構成される感圧用部品の端子部材からの信号線は、接続端子部33の接続端子33a,33bに接続される。この接続端子33a,33bは、上述もしたように、嵌合部32及び接続端子部33に回路基板4が差し込まれた場合に、回路基板4の端子41a,41bに接続される。回路基板4の端子41a,41bは、回路基板4のIC42、サイドスイッチ43、コンデンサ44~49などからなる電子回路に接続されており、感圧用部品からの検出出力が、端子33a,33b及び端子41a,41bを通じて回路基板4のIC42に供給される。これにより、IC42において、筆圧を検知でき、筆圧に応じた信号を、芯体1Aを通じて位置検出装置に送信できる。
【0094】
そして、この
図9に示す電子ペン本体部8Bの場合にも、接続部3と、回路基板4及び基板保護パイプ6との接続は、上述した電子ペン本体部8の場合と同様にして行われる。これにより、静電容量接続方式の電子ペン本体部8Bの場合にも、回路基板4を基板保護パイプ6で保護することができる。しかも、芯体1A、芯体保持部35、接続部3とは、直列に強固に接続できるので、外圧に対する強度の強い静電容量方式の電子ペン本体部8Bを構成できる。
【0095】
[静電容量結合方式の位置検出装置の概要]
図10は、
図9に示した電子ペン本体部8Bが用いられて構成される電子ペン10Yからの信号を受け、センサ上の位置を検出すると共に、筆圧やサイドスイッチの状態を検出するようにする静電容量結合方式の座標検出センサが用いられた位置検出装置300を説明するためのブロック図である。
【0096】
この例の位置検出装置300は、
図10に示すように、静電容量結合方式の座標検出センサ(以下、センサと略称する)310と、このセンサ310に接続されるペン検出回路320とからなる。センサ310は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群311、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群312を積層して形成されたものである。第1の導体群311は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体311Y1、311Y2、…、311Ym(mは正の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。また、第2の導体群312は、第1の導体群311と直交する縦方向(Y軸方向)に延在し互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0097】
このように、位置検出装置300のセンサ310では、第1の導体群311と第2の導体群312を交差させて形成したセンサパターンを用いて、電子ペンが指示する位置を検出する構成を備えている。なお、以下の説明において、第1の導体311Y1、311Y2、…、311Ymについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体211Yと称する。同様に、第2の導体312X1、312X2、…、312Xnについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体312Xと称することとする。
【0098】
ペン検出回路320は、センサ310との入出力インターフェースとされる選択回路321と、増幅回路322と、バンドパスフィルタ323と、検波回路324と、サンプルホールド回路325と、AD(Analog to Digital)変換回路326と、制御回路327とからなる。
【0099】
選択回路321は、制御回路327からの制御信号に基づいて、第1の導体群311および第2の導体群312の中から1本の導体311Yまたは312Xを選択する。選択回路321により選択された導体は増幅回路322に接続され、電子ペン10Yからの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路322により増幅される。この増幅回路322の出力はバンドパスフィルタ323に供給されて、電子ペン10Yから送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0100】
バンドパスフィルタ323の出力信号は検波回路324によって検波される。この検波回路324の出力信号はサンプルホールド回路325に供給されて、制御回路327からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路326によってデジタル値に変換される。AD変換回路326からのデジタルデータは制御回路327によって読み取られ、処理される。
【0101】
制御回路327は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路325、AD変換回路326、および選択回路321に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路327は、AD変換回路326からのデジタルデータから、電子ペン10Yによって指示されたセンサ310上の位置座標を算出する。さらに、制御回路327は、電子ペン10Yの感圧用部品などからなる筆圧検知部31で検出された筆圧と、電子ペン10Yのサイドスイッチ43の状態を検出する。
【0102】
なお、この例の電子ペン10Yにおいては、回路基板4のIC42の信号発生回路42Xは、発振回路のみの構成とし、筆圧やサイドスイッチのオン/オフをその発振周波数の変化として位置検出装置に伝送する。しかし、これに限るものではない。信号発生回路を、発振回路と、その発振信号に対して所定の変調を行う回路とで構成し、筆圧情報やサイドスイッチのオン/オフを示す情報を、例えばASK信号などとして位置検出装置に伝送するようにしてもよい。
【0103】
[基板保護パイプの変形例]
なお、上述した実施の形態の電子ペン本体部8、8A、8Bにおいて、基板保護パイプ6は、
図2を用いて説明したように、芯体側開口部61と後端側開口部62とを繋ぐように、基板保護パイプ6の側壁の一部を切り取るように形成した開口部63を設けるようにした。当該開口部63は、軸心方向に沿う方向の側面開口部であり、基板保護パイプ6の側面に設けた窓部あるいは切り欠き部とも呼べるものである。しかし、これに限るものではない。
【0104】
図11は、基板保護パイプ6の変形例を説明するための図である。例えば、
図11(A)に示す変形例1の基板保護パイプ6Aは、芯体側開口部61と後端側開口部62とを繋ぐように、基板保護パイプ6の側壁の一部を切り取るように形成した開口部63Aを有する。しかし、
図11(A)に示すように、芯体側開口部61と後端側開口部62の部分では、その開口部の幅を狭めた部分を設けるようにしてもよい。このようにすることによって、接続部3の嵌合部32との嵌合やパイプ蓋7との嵌合をより強固にすることができる。
【0105】
また、
図11(B)に示す変形例2の基板保護パイプ6Bは、回路基板4のサイドスイッチ43に対する操作やコイルと共に共振回路を構成するコンデンサの接続をレーザで切断するなどの作業が可能となる位置に必要最小限の開口部63Bを設ける。この開口部63Bは、開口範囲が基板保護パイプ6Bの側面に囲まれた閉じた範囲となるいわゆる窓部になっている。また、芯体側開口部61と後端側開口部62の部分には、開口範囲の一部が基板保護パイプ6Bの側面に囲まれていない開いた範囲となる開口部である切り欠き部6Ba,6Bbを設ける。この切り欠き部6Ba,6Bbは、接続部3の嵌合部32との嵌合やパイプ蓋7との嵌合を、その嵌合の程度を低下させることなく、かつ、容易に嵌合させることができるようにするためのものである。
【0106】
この
図11(B)に示す変形例2の場合には、開口部63B、切り欠き部6Ba,6Bbの部分は、
図2に示した基板保護パイプ6の開口部63や
図11(A)に示した基板保護パイプ6Aの開口部63Aよりも狭い。このため、
図2に示した基板保護パイプ6や
図11(A)に示した基板保護パイプ6Aよりも強度の面で強く、回路基板4をより強固に保護することができる。
【0107】
また、
図11(C)に示す変形例3の基板保護パイプ6Cは、
図11(B)に示した変形例2の基板保護パイプ6Bが備えていた切り欠き部6Ba,6Bbを設けずに、窓部としての開口部63Cだけを設けたタイプのものである。この基板保護パイプ6Cの場合には、
図11(B)に示した基板保護パイプ6Bに比べて、切り欠き部6Ba,6Bbを備えない分、基板保護パイプ6C自体の強度を大きくすることができる。
【0108】
[サイドスイッチ以外のスイッチを設けた電子ペン]
また、上述した実施の形態の電子ペン本体部8の場合には、サイドスイッチ43を備えていた。このサイドスイッチ43は、例えば、いわゆるマウスが備えるクリックボタンと同様の機能を実現する。例えば、サイドスイッチ43を1回押下操作したら(ワンクリックしたら)、その押下操作位置にカーソル移動したり、サイドスイッチ43を2回連続して押下操作したら(ダブルクリックしたら)、所定のウインドウを開くようにしたりするといった操作ができる。
【0109】
これ以外にも、電子ペンを描画のために用いたり、また、描画された情報を消去するいわゆる消しゴムとして用いたりするなど、1本の電子ペンを切り替えて使用したい場合もある。そこで、この実施の形態の電子ペンの場合には、例えば機能切り替え用のスイッチを容易に構成することができるようにしている。
【0110】
図12は、回路基板4Aにスイッチ用の端子を形成する場合の例を説明するための図である。この例の回路基板4Aも基本的には
図2に示した回路基板4と同様に構成されるが、芯体1側とは反対側の端部部分に、芯体1側の端部部分に設けた端子41a,41bと同様に機能切り替え用のスイッチ端子41c,41dを設ける。これらのスイッチ端子41c,41dは、制御回路として機能するIC42に接続されている。
【0111】
しかし、このままでは、スイッチ端子41c,41dに対してオン/オフをする機構を設けることは難しい。そこで、この例では、
図12に示すように、いわゆるソケット式のスイッチ端子部材70を設ける。このスイッチ端子部材70は、
図2に示したパイプ蓋7を扁平に形成したような形状を有し、回路基板4Aより厚みを有するものである。そして、スイッチ端子部材70の一方の端部側は回路基板4Aと嵌合する凹部を備え、他方の端部にはスイッチ端子を構成する導電性部材で形成された端子72a,72bが設けられている。
【0112】
そして、スイッチ端子部材70の凹部に対して、回路基板4Aの端子41c,41dが設けられている側が挿入されて嵌合する。この場合、回路基板4Aの端子41cとスイッチ端子部材の端子72aが、導電性の接続部材70aを通じて接続され、回路基板4Aの端子41dとスイッチ端子部材の端子72bが、導電性の接続部材70bを通じて接続されるように構成されている。このような構成は、
図2を用いて説明した接続端子部33と回路基板4の芯体1の端子41a,41bが設けられている側の接続構成と同様の構成となっている。また、スイッチ端子部材70は、基板保護パイプ6の端部にも嵌合し、基板保護パイプ6と共に、回路基板4Aを基板保護パイプ6内に保持できるようにしている。
【0113】
このように、回路基板4Aに端子41c,41dが設けられ、スイッチ端子部材70を備える点を除き、その他の構成は、
図1~
図4を用いて説明した電子ペン本体部8と同様の構成を有するようにして、スイッチ端子付きの電子ペン本体部8を構成できる。そして、回路基板4Aに設けられたスイッチ端子41c、41dを、スイッチ端子部材70の端面に設けられた端子72a,72bに導出したことにより、スイッチを簡単に構成できる。すなわち、端子72aと端子72bとを接続すればオン状態となり、接続しなければオフ状態となるスイッチを構成できる。
【0114】
このため、ボールペンのノック式機構を利用し、ノックするごとに端子72aと端子72bとの接続/非接続を切り替えることができるようにする。
図13は、ボールペンのノック式機構を利用して、端子72aと端子72bとの接続/非接続を切り替える摺動部材114の構成を説明するための図である。
図13(A)に示すように、摺動部材114は、ノック式機構に繋がる棒状体114Aと、端子72a,72bを押圧する押子部材114Bとからなる。押子部材114Bは例えばゴムなどの弾性材料により構成された本体部401aと、この本体部401aの端子72a,72bと対向する面に金属部材401bが貼り付けられて構成されたものである。
【0115】
このように構成される摺動部材114が、ノック式のカム機構に連動して電子ペン筐体内を上下し、端子72aと端子72bとの接続/非接続を切り替えることができるようにしている。
図14は、この例の電子ペン100のリアケース部104側に設けられているノック式の機構部分を説明するための図であり、
図14(A)は、ノック棒110が押下操作されていない状態の図であり、また、
図14(B)は、ノック棒110が押下操作されたときの状態を示す図である。そして、この例の電子ペン100は、
図12を用いて説明したように、スイッチ端子41c,41dが設けられた回路基板4Aとスイッチ端子部材70とによりスイッチ端子が形成されると共に、
図13を用いて説明した摺動部材114を有するものである。
【0116】
この実施形態の電子ペン100のノック式機構は、筆記具のノック式ボールペンのノックカム機構と同様の構成とされており、ノック棒110と、回転子111と、カム本体112と、復帰用コイルバネ113とが組み合わされた構成を備え、ロック機構を含む。ノック式ボールペンのノックカム機構の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0117】
この実施形態の電子ペン100では、ノック棒110は、リアケース部104の中空部の横断面(横断面は軸心方向に直交する方向の断面:以下同じ)に応じた円形状の横断面を備えると共に、中空部の横断面よりも僅かに小さい横断面を有する第1の棒状部110aと、この第1の棒状部110aと一体的に形成され、回転子111と連結する部分となる第2の棒状部110bと、第1の棒状部110aの第2の棒状部110bとの結合側とは反対側の端面に形成される鍔部110cとからなる。そして、ノック棒110は、使用者のノック操作(押下操作)を受け付けて、リアケース部104の中空部内で軸心方向に摺動移動することができるように、その一部である第1の棒状部110aの一部と、鍔部110cとが、リアケース部104の開口104bから外部に突出する状態で、リアケース部104内に収納されている。ノック棒110は、突出部を構成する。
【0118】
鍔部110cは、第1の棒状部110aとの間に段差が生じるように形成されており、この例では、鍔部110cの横断面の形状及び大きさは、リアケース部104の横断面の外周形状及び大きさと同一とされている。
【0119】
カム本体112は、リアケース部104の内壁面に形成されており、回転子111とかみ合うように構成されている。回転子111は、ノック棒110が軸心方向に摺動移動するのに伴い、リアケース部104の中空部内を軸心方向に移動すると共に回転して、カム本体112とのかみ合い状態が変化する。これにより、ノック棒110に対するノック操作に応じて、ノック動作がなされる。
【0120】
そして、この実施形態では、回転子111には、摺動部材114が結合されている。摺動部材114は、棒状体114Aと押子部材114Bとからなり、摺動部材114の一方の端部側に押子部材114Bが取り付けられたもので、摺動部材114の他方の端部側が、回転子111に設けられている嵌合部(図示は省略)に嵌合されて取り付けられている。
【0121】
この場合に、棒状体114Aと押子部材114Bは、
図14(A)に示すように、ノック棒110が押下されていないときには、軸心方向の力が印加されず、押子部材114Bの金属部材401bはスイッチ端子部材70の端子72a,72bを接続しない。しかし、
図14(B)に示すように、ノック棒110が押下されたときには、軸心方向の力が印加され、押子部材114Bの金属部材401bがスイッチ端子部材70の端子72a,72bを接続するように両端子72a,72bに接触するような長さとされている。
【0122】
そして、ノックカム機構の復帰用コイルバネ113は、摺動部材114の棒状体114Aに挿通された状態で取り付けられ、回転子111の軸心方向の端面と、リアケース部104内に設けられた復帰用コイルバネ係止部115との間で伸縮することが可能なようにされている。
【0123】
すなわち、
図14(A)の状態において、ノック棒110の鍔部110c側が押下されると、ノック棒110の軸心方向の摺動移動に応じた回転子111とカム本体112とを含むノックカム機構の動作により、ノック棒110の鍔部110cがリアケース部104の開口104bの端部の近傍となる
図14(B)の状態でノック棒110がロックされるロック状態となる。
【0124】
このとき、押子部材114Bの金属部材401bが、スイッチ端子部材70の端子72a,72bを接続し、スイッチがオンの状態になる。なお、このとき、リアケース部104の中空部の内壁に形成されている係合突起(図示は省略)に、ノック棒110の第1の棒状部110aに形成されている嵌合穴110dが係合して、ノック棒110は、
図14(B)の状態で係止する。
【0125】
そして、この
図14(B)の状態から、ノック棒110の鍔部110c側が再度押下されると、回転子111とカム本体112とを含むノックカム機構により、ロック状態が解除されて、復帰用コイルバネ113により、ノック棒110及び回転子111は、
図14(A)の状態に戻るように軸心方向に摺動移動すると共に、この
図14(A)の状態で係止する。なお、このとき、リアケース部104の中空部の内壁に形成されている係合突起(図示は省略)に、ノック棒110の第2の棒状部110aに形成されている嵌合穴110eが係合して、ノック棒110は、
図14(A)の状態で係止する。
【0126】
そして、このノック棒110及び回転子111の
図14(A)の状態への復帰に応じて、棒状体114Aと押子部材114Bは、
図14(A)に示すように、押子部材114Bの金属部材401bが、スイッチ端子部材70の端子72a,72bに接触しない状態に戻り、スイッチがオンの状態になる。
【0127】
なお、
図13(A)に示した押子部材114Bの金属部材401bに替えて、
図13(B)に示すように、スプリング形状の金属部材401cを用いた押子部材114Cを形成してもよい。この例のスプリング形状の金属部材401cは、線状の金属部材を円形螺旋状となるように加工し、弾性力を有するようにしたものである。これにより、スプリング形状の金属部材401cを、スイッチ端子部材70の端子72a,72bに同時に接触させることで、両端子間を短絡させることができる。さらに、ノック棒110に過剰な力がかかっても、スプリング形状の金属部材401cが、スイッチ端子部材70に余計な力が加わらないように吸収する役割も担う。この他、金属部材401b,401cに替えて、導電性を有し弾性力を有する種々の部材を用いるようにしてもよい。
【0128】
以上のようにして、回路基板4Aのスイッチ端子41c,41dに接続されたスイッチ端子部材70と、筆記具のノック機構とを利用することによって、例えば、機能を切り替えるためのスイッチを簡単に構成できる。この場合、いわゆるソケット型のスイッチ端子部材70を用いることにより、回路基板4Aにおいて、複雑な構成のスイッチ機構を構成することもなく、比較的に簡単な構成で、目的とするスイッチ機能を搭載することができる。
【0129】
[コイル部と感圧用部材と回路基板との電気的接続の簡素化]
図1~
図4を用いて説明した実施の形態の電磁誘導結合方式の電子ペン本体部8の場合には、コイル部2のコイル22と回路基板4との電気的接続と、筆圧検知部31の感圧用部品と回路基板4との電気的接続は、別々の経路で行うようにした。すなわち、筆圧検知部31の感圧用部品と回路基板4との電気的接続は、感圧用部品の端子部材からの信号線が接続された接続端子部33の接続端子33a,33bと、回路基板4の端子41a,41bを接続することにより行うようにした。一方、コイル部2のコイル22と回路基板4との電気的接続は、コイル22の両端からの延長線23a,23bを直接に回路基板4に接続するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。
【0130】
コイル部2のコイル22と回路基板4との電気的接続と、筆圧検知部31の感圧用部品と回路基板4との電気的接続とを同一経路を通じて行うようにすることができる。
図15は、コイル部2のコイル22と回路基板4との電気的接続と、筆圧検知部31の感圧用部品と回路基板4との電気的接続とを同一経路を通じて行うようにするための、この例の接続部(接続部材)3Aの構成を説明するための図である。接続部3Aは、筆圧検知部31A、嵌合部32A、接続端子部33Aからなる部分である。
【0131】
接続部3Aの筆圧検知部31A、嵌合部32A、接続端子部33Aの各部は、基本的には
図1~
図4を用いて説明した実施の形態の電子ペン本体部8の接続部3の筆圧検知部31A、嵌合部32A、接続端子部33Aと同様に構成される。コイル22との電気的接続態様が異なっている。
【0132】
図15に示すように、接続端子部33Aは上下に2枚の板部からなり、上側の板部には、接続端子33a,33bが設けられている。これらの接続端子33a,33bが筆圧検知部31側に延伸されて、筆圧検知部31の感圧用部品の端子部材に接続されている。なお、接続端子33a,33bは、これらが設けられた板部の裏面にまで引き回されて、接続端子部33に回路基板4を挟み込むようにして接続したときに、自動的に回路基板4の端子41a,41bと接続できるようになっている。このように、接続端子部33に感圧用部品の端子部材に接続され接続端子33a,33bが設けられる構成は、上述した電子ペン本体部8の接続部3と同様である。
【0133】
さらに、この例の接続部3の接続端子部33Aには、
図15に示すように、コイル接続部33cが設けられている。コイル接続部33cには、
図15に示すように、導体で形成された接続端部C1,C2が設けられており、接続端部C1は接続端子33aに接続され、接続端部C2は接続端子33bに接続されている。そして、コイル接続部33cには、コイル部2のコイル22の両端が接続される。より具体的には、
図15に示すように、コイル部2のコイル22の両端からの延長線(被覆導線)23a,23bのそれぞれの被覆を剥がした導線部分がコイル接続部33cに接続される。
【0134】
なお、コイル接続部33cは、V字型の係止溝(切り込み)を有する端子が2つ並んだ構成とすることもできる。この場合、端子に設けられるV字型の係止溝は、例えば、上部から下部に向ってテーパー状に形成された溝である。このため、コイル22の延長線22aまたは延長線22bを端子のV字型の係止溝に上部の開口部から下部に向って押し込むことで、延長線22aまたは延長線22bを端子のV字型の係止溝に固定することができる。もちろん、入口がV字にカットされた切り込みがある端子の当該切り込みに、コイル22の延長線22aまたは延長線22bを挟みこむように構成してもよい。
【0135】
これにより、コイル22の一方の延長線23aの導線がコイル接続部33cの接続端部C1に接続され、コイル22の一方の延長線23bの導線がコイル接続部33cの接続端部C2に接続される。そして、上述したように、接続端部C1は接続端子33aに接続され、接続端部C2は接続端子33bに接続されているので、コイル22の一方の延長線23aが接続端子33aに接続され、コイル22の他方の延長線23bが接続端子33bに接続される。すなわち、筆圧検知部31の感圧用部品の出力端子と、コイル22の両端のそれぞれとが、接続端子部33Aの接続端子33a,33bに接続される。
【0136】
これにより、接続端子部33Aの2枚の板部に回路基板4を挟み込むようにして装着した場合には、接続端子部33Aの接続端子33a,33bと回路基板4の端子41a,42bと自動的に接続できる。接続端子部33Aの接続端子33a,33bには、感圧用部品の出力端子だけでなく、コイル22の両端も接続されているので、筆圧検知部31の感圧用部品とコイル部2のコイル22とを同時に回路基板4に形成された電子回路に接続できる。
【0137】
図16は、
図15に示した接続部3Aを用いて、電子ペン本体部を構成した場合の等価回路の一例を示す図である。
図16に示すように、コイル22の一方の端部からの延長線23aは、コイル接続部33cの接続端部C1に接続され、コイル22の他方の端部からの延長線23bは、コイル接続部33cの接続端部C2に接続される。
【0138】
接続端部C1、C2は、筆圧検知部31の感圧用部品の出力端子が接続された接続端子部33Aの接続端子33a,33bに接続されている。これにより、点線で示した回路基板4を接続端子部33Aに接続すると、矢印で示したように、接続端子33aと回路基板4の端子41aが接続され、接続端子33bと回路基板4の端子41bが接続される。これにより、コイル部2のコイル22と筆圧検知部31Aの感圧用部品とを同時に、かつ、確実に回路基板4に形成された電子回路に対して電気的に接続できる。
【0139】
なお、接続部3Aの嵌合部32A及び接続端子部33Aに設ける接続端子33a,33bは、圧着、融着、接着、塗布する等の種々の方法を用いることにより、導電材料により嵌合部32A及び接続端子部33Aに対して例えば
図15に示した導電パターンを形成する。この場合、筆圧検知部31側においては、嵌合部32A及び接続端子部33Aを筆圧検知部31に対して嵌合させるだけで、筆圧検知部31の感圧用部品の出力端子と接続可能なように接続端子33a,33bを形成しておく。そして、
図15に示したように、接続端子33a,33bに電気的に接続される接続端部C1、C2を備えたコイル接続部33cを設ける。
【0140】
このようにすれば、半田付けなどの接着作業を伴わずに、筆圧検知部31の感圧用部品とコイル部2のコイル22とを簡単かつ確実に回路基板4の回路に接続可能な、電子ペン本体部8を構成するための接続部3Aを形成できる。この接続部3Aを用いることにより、極めて組立が簡単な電子ペン本体部8を実現できる。
【0141】
なお、
図16において、回路基板4には、IC42、コンデンサ44、45、…からなる電子回路を示しているが、回路基板4に形成される電子回路は、サイドスイッチを設けたり、他のコンデンサを設けたり、種々の構成を取ることができることは言うまでもない。
【0142】
[その他]
なお、上述した実施の形態では、基板保護パイプ6は、円筒状のものを想定したが、これに限るものではない。断面が多角形となるような側壁を有する筒状のものであってもよい。
図17は、長手方向に交差する方向の断面が、多角形状になる基板保護パイプの一例について説明するための図である。
図17(A)に示す基板保護パイプ6Dは、その形状は円筒状のものではなく、略角柱状のものであり、芯体側には芯体側開口部61が、後端側には後端側開口部62が設けられ、側面(上面側)には、大きな開口部63Dが設けられたものである。
【0143】
そして、基板保護パイプ6Dの長手方向に交差する方向の断面は、
図17(B)に示すように、平板状の底面を有し、外側に丸みを帯びた側壁を有するものとなっている。このような形状の基板保護パイプ6Dの場合には、回路基板を基板保護パイプ6D内により安定に内包して保持できるなどの利点がある。また、基板保護パイプに設ける窓部(軸心方向に沿う方向の側面開口部)は、適宜の位置に、必要な大きさのものを、必要な数だけ設けることができる。つまり、上面側の開口は、
図17(A)に示した大きな開口部63Dに限るものではなく、例えば
図11を用いて説明したように、種々の態様で開口部を設けることができる。
【0144】
ただし、基板保護パイプ内に収納される回路基板を保持することができるように、軸心を中心として180度以上の角範囲の側壁を有する部分が存在することが好ましい。より好ましくは、内部に収納する回路基板の側面開口部と対向する面の両方の長辺が、基板保護パイプの内壁に当接し、外部に出ないようにする構成すればよい。また、換言すれば、基板保護パイプに設ける側面開口部は、回路基板の対向する面よりも小さくなるように構成すればよい。なお、基板保護パイプ6の強度を維持するため、軸心を中心として180度より小さな角範囲の側壁を有する部分が存在しないように構成することが好ましい。
【0145】
また、回路基板4には、上述した電子部品の他にも種々の電子部品を搭載することももちろん可能である。
【0146】
また、電子ペン本体部8等を構成する各部品のサイズは適宜のものを用いることが可能であり、適宜のサイズの電子ペン本体部を構成することができる。
【0147】
なお、上述の実施形態では、筆圧検知部31の感圧用部品は、筆圧に応じて機械的な可動部により静電容量を可変する可変容量コンデンサを用いるようにしたが、これに限るものではない。可変容量コンデンサを半導体デバイスからなるMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップとして構成したものを用いるようにしてもよい。また、感圧用部品は、静電容量の変化を検出するものではなく、インダクタンス値や抵抗値を可変するものであってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0148】
1…芯体、2…コイル部、3…接続部、31…筆圧検知部、32…嵌合部、33…接続端子部、33a,33b…接続端子、4…回路基板、41a,41b…端子、42…IC(制御回路)、43…サイドスイッチ、44~49…コンデンサ、5…基板受け台、6、6A、6B、6C、6D…基板保護パイプ、61…芯体側開口部、61a…芯体側嵌合部、62…後端側開口部、62a…後端側嵌合部、63、63A、63B、63C、63D…開口部、7…パイプ蓋、8…電子ペン本体部、9…電子ペン用カートリッジ、10…電子ペン、11…ケース、12…筐体蓋、70…スイッチ端子部材、70a,70b…接続部材、41c,41d…端子、114,114´…摺動部材、114A…棒状体、114B,114C…押子部材、401a…本体部、401b,401c…金属部材
3A…接続部、31A…筆圧検知部、32A…嵌合部、33A…接続端子部、33c…コイル接続部、C1,C2…接続端部