(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】部分経路案内システム、および、部分経路案内方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240111BHJP
G06Q 10/047 20230101ALI20240111BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240111BHJP
【FI】
G01C21/36
G06Q10/047
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022143436
(22)【出願日】2022-09-09
【審査請求日】2022-09-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 健一
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特許第3985230(JP,B2)
【文献】特開2016-176747(JP,A)
【文献】国際公開第2022/013968(WO,A1)
【文献】特開2001-033268(JP,A)
【文献】国際公開第2006/109467(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G06Q 10/047
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路案内サーバが案内した出発地から目的地までの経路を受信する通信部と、
ユーザの端末から、前記目的地の住所、および前記目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信する受信部と、
前記目的地の住所を格納する住所登録テーブルと、
前記経路案内サーバが案内した経路に接し、且つ前記目的地に辿り着くまでの部分経路、到着時間情報、および、そのときの天候を併せて格納する経路登録テーブルと、
前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する迷いやすさ計算部と、
前記住所登録テーブルに格納された住所をユーザが新たに目的地とし、且つ前記目的地が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、
ユーザが前記目的地を設定したときの天候に合わせた前記部分経路と到着時間情報を前記ユーザの端末に通知する通知部と、
を備えることを特徴とする部分経路案内システム。
【請求項2】
前記迷いやすさ計算部は、前記経路案内サーバが案内した経路の出発地から前記目的地までの予測距離と実際の移動距離との差分または比で、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項3】
前記迷いやすさ計算部は、前記経路案内サーバが案内した経路の出発地から前記目的地までの予測移動時間と実際の移動時間との差分または比で、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項4】
前記迷いやすさ計算部は、前記目的地から所定距離圏内での移動距離の予測と実績との差分または比で、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記端末が前記部分経路の始端から所定範囲内に入ったときに、前記目的地に辿り着くまでの前記部分経路を含む情報を前記端末に通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項6】
前記端末から、前記目的地の住所、および前記目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信する受信部と、
前記目的地の住所を前記住所登録テーブルに登録し、前記目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報を前記経路登録テーブルに登録する登録部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項7】
前記登録部は、前記部分経路を、前記経路案内サーバで示された経路から逸脱した部分とする、
ことを特徴とする請求項6に記載の部分経路案内システム。
【請求項8】
前記登録部は、前記経路登録テーブルに格納され、かつ同一の目的地に向かう複数の部分経路のうち最短時間で到達できたもの以外を削除する、
ことを特徴とする請求項6に記載の部分経路案内システム。
【請求項9】
第1所定期間以内に利用されていない部分経路を端末に通知不可とする是正部、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の部分経路案内システム。
【請求項10】
前記是正部は、第2所定期間以内に利用されていない複数の部分経路があれば、最新の1件以外を端末に通知不可とする、
ることを特徴とする請求項9に記載の部分経路案内システム。
【請求項11】
通信部により、経路案内サーバが案内した出発地から目的地までの経路を受信するステップと、
受信部により、ユーザの端末から、前記目的地の住所、および前記目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信するステップと、
住所登録テーブルに、前記目的地の住所を格納するステップと、
経路登録テーブルに、前記経路案内サーバが案内した経路に接し、且つ前記目的地に辿り着くまでの部分経路、到着時間情報、および、そのときの天候を併せて格納するステップと、
迷いやすさ計算部が、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出するステップと、
前記住所登録テーブルに格納された住所をユーザが新たに目的地とし、且つ前記目的地が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、通知部が、
ユーザが前記目的地を設定したときの天候に合わせた前記部分経路と到着時間情報を前記ユーザの端末に通知するステップと、
を備えることを特徴とする部分経路案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分経路案内システム、および、部分経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ禍の状況で、フードデリバリサービスの需要はますます高まっている。フードデリバリサービスは、依頼者が食べたいと思ってから注文されるケースが多いため、食品以外の荷物の宅配に比べ、厳格に時間内に配達することが要求される。
【0003】
店舗の出前では、毎回同じ配達員が限定された範囲を配達する。そのため、配達員は、土地勘が養われて短時間に配達可能となる。しかし、フードデリバリサービスでは、毎回同じ配達員が運ぶわけでは無く、土地勘の無い人が配達するケースが多い。そのため、経路誤りなどにより、配達時間が大幅に遅れるケースがある。
【0004】
特許文献1には、クライアント側コンピューティングデバイスから地図タイルサーバに位置要求を送信する手段と、位置要求に応答して地図タイルのセットを受信する手段と、前記受信した地図を組み立てる手段とを含む発明が開示されている。特許文献1の発明は、配達業務を支援するために適切なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フードデリバリサービスの配達員は、特許文献1に示した経路案内サービスを元に配達することが多い。しかし、経路案内サービスでは、車が入れない道などは、正しい経路が案内されないケースがある。また、建物の裏側に案内されるケースもある。更に、「人しか入れない細い道」、「高低差がある家」、「最短経路誤り」などにより、現状の経路案内サービスでは、目的地に至るまでの正しい経路が出ない場合がある。このような場合、配達員は、適切な時間内に配達できない。
【0007】
そこで、本発明は、他の経路案内サービスでは適切な経路が表示できない目的地であっても、好適に経路を案内することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するため、本発明の部分経路案内システムは、経路案内サーバが案内した出発地から目的地までの経路を受信する通信部と、ユーザの端末から、前記目的地の住所、および前記目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信する受信部と、前記目的地の住所を格納する住所登録テーブルと、前記経路案内サーバが案内した経路に接し、且つ前記目的地に辿り着くまでの部分経路、到着時間情報、および、そのときの天候を併せて格納する経路登録テーブルと、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する迷いやすさ計算部と、前記住所登録テーブルに格納された住所をユーザが新たに目的地とし、且つ前記目的地が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、ユーザが前記目的地を設定したときの天候に合わせた前記部分経路と到着時間情報を前記ユーザの端末に通知する通知部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の部分経路案内方法は、通信部により、経路案内サーバが案内した出発地から目的地までの経路を受信するステップと、受信部により、ユーザの端末から、前記目的地の住所、および前記目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信するステップと、住所登録テーブルに、前記目的地の住所を格納するステップと、経路登録テーブルに、前記経路案内サーバが案内した経路に接し、且つ前記目的地に辿り着くまでの部分経路、到着時間情報、および、そのときの天候を併せて格納するステップと、迷いやすさ計算部が、前記目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出するステップと、前記住所登録テーブルに格納された住所をユーザが新たに目的地とし、且つ前記目的地が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、通知部が、ユーザが前記目的地を設定したときの天候に合わせた前記部分経路と到着時間情報を前記ユーザの端末に通知するステップと、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、他の経路案内サービスでは適切な経路が表示できない目的地であっても、好適に経路を案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る経路案内システムの構成図である。
【
図6】ユーザの軌跡と経路登録テーブルに記録する軌跡情報を示す図である。
【
図7】サーバが既存マップと独立する部分経路を通知する処理のフローチャートである。
【
図8】端末の情報登録処理のフローチャートである。
【
図9】サーバの情報登録処理のフローチャートである。
【
図10】迷いやすさ計算処理のフローチャートである。
【
図11】冗長経路削除処理のフローチャートである。
【
図12】誤り経路参考情報追加処理のフローチャートである。
【
図14】誤り経路是正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る経路案内システムの構成図である。
経路案内システムは、サーバ2によって具現化される。サーバ2は、例えばデータセンタに設置されたコンピュータであり、端末1から配達軌跡や配達時間を受信し、部分経路を端末1に送信する。このサーバ2は、経路案内サーバ3に出発地と目的地を送信し、出発地から目的地までの全経路を取得する。
【0013】
端末1は、例えばフードデリバリサービスの配達員が持っているものであり、経路案内サーバ3にアクセスして出発地(現在地)と目的地を入力し、経路案内サーバ3から、出発地から目的地までの全経路を取得する。
経路案内サーバ3は、内部に地図情報や道路ネットワーク情報などを格納しており、入力された出発地から目的地に至る全経路を送信する。
【0014】
端末1は、GPS(Global Positioning System)情報を取得して、目的地まで辿り着いた軌跡情報をサーバ2に送信する。そして、端末1のユーザがその目的地に向かうのが2回目以降のとき、端末1は、その軌跡情報をサーバ2から受信する。なお、その目的地に向かうのが初回のとき、端末1はデータ無しとするか、またはフードデリバリサービスの利用者によって手動登録された軌跡情報をサーバ2から受信する。
【0015】
サーバ2は、端末1から受信した配達軌跡のうち、車道から目的地までの最短距離のみを保存する。そしてサーバ2は、車道から目的地までの最短距離ではなく、配達員が迷った経路は削除する。サーバ2は、経路案内サーバ3による経路案内で辿り着ける場所の情報は蓄積しない。経路の迷いやすさは、到着予定時間と実際の到着時間の差によって定義される。なお、サーバ2は、時間のかかる要因が道の複雑さではない可能性が高い場所である公園などを、この迷いやすさき評価の対象外エリアとする。
【0016】
サーバ2の通知部25は、迷いやすい場所のみ、事前に部分経路を配達員が有する端末1に通知する。配達員は、端末1に表示された地図と目的地までの部分経路情報により、好適な配達経路を把握する。
【0017】
図2は、端末1の一例を示すブロック図である。
端末1は、GPS測位部11と、通信部12と、制御部13と、タッチパネルディスプレイ14とを含んで構成される。
【0018】
GPS測位部11は、GPS衛星から受信した電波に基づき、現在位置を測位する。通信部12は、例えばキャリア通信網を介して、サーバ2または経路案内サーバ3と通信する。
制御部13は、この端末1を統括制御する。
タッチパネルディスプレイ14は、文字や画像や図形を表示するディスプレイ上に、ユーザ操作を検知するタッチパネルが積層されて構成される。地図や部分経路などは、このタッチパネルディスプレイ14に表示される。
【0019】
図3は、サーバ2の一例を示すブロック図である。
サーバ2は、住所登録テーブル21と、経路登録テーブル22と、受信部23と、登録部24と、通知部25と、是正部26と、迷いやすさ計算部27とを備える。
【0020】
住所登録テーブル21は、ユーザが辿り着いた目的地の住所と経路情報のIDとを格納する。経路登録テーブル22は、目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報を格納する。
受信部23は、ユーザの端末1から、目的地の住所、およびこの目的地に辿り着くまでの経路の情報を受信する。
【0021】
登録部24は、目的地の住所を住所登録テーブル21に登録し、目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報を経路登録テーブル22に登録する。更に登録部24は、部分経路を、目的地までの経路のうち車道から逸脱した部分とするか、または、他の経路案内サービスで示された経路から逸脱した経路とする。登録部24は、経路登録テーブル22に格納され、かつ同一の目的地に向かう複数の部分経路のうち、最短時間で到達できたもの以外を削除する。
【0022】
是正部26は、登録された部分経路を是正するものである。是正部26は、3年以内(第1所定期間)以内に利用されていない部分経路を、端末1に通知不可とする。これにより、第1所定期間以上使われておらず信頼性に欠ける情報を端末1に通知することがなくなる。ここで部分経路を端末1に通知不可とする方法は、部分経路に削除対象のマークを付加するほか、部分経路を実際に削除する方法がある。
是正部26は更に、半年(第2所定期間)以内に利用されていない複数の部分経路があれば、最新の1件以外を端末1に通知不可とする、
【0023】
通知部25は、住所登録テーブル21に格納された住所をユーザが新たに目的地とし、かつ、目的地までの経路が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報をユーザの端末1に通知する。目的地までの経路が所定の迷いやすさの条件を満たす場合とは、目的地までの経路の迷いやすさの指標値が、所定の閾値を超える場合である。
なお、通知部25は、迷いやすさの条件に関わらず、目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報をユーザの端末1に通知してもよく、限定されない。
【0024】
迷いやすさ計算部27は、目的地までの経路の迷いやすさの指標値を算出する。迷いやすさの指標値は、移動時間の予測値の実績値の差分または比であってもよく、移動距離の予測値の実績値の差分または比であってもよい。また、移動距離の予測値の実績値の比較方法は、差分と比とに限定されず、任意の演算を用いてもよい。また、比較にあたっては、部分経路における目的地までの経路の予測値と実績値との比較であるが、出発地から目的地までの経路の予測値と実績値との比較であってもよい。
【0025】
なお、迷いやすさ計算部27は、初回の登録時には、登録時の迷いやすさの指標値を格納し、それ以降は利用時の迷いやすさの指標値を格納する。登録時の迷いやすさの指標値は、この目的地に初めて配達する配達員にとって迷いやすいか否かを示すものである。利用時の迷いやすさの指標値は、この目的地に2回目以降に配達する配達員にとって迷いやすいか否かを示すものである。
【0026】
図4は、住所登録テーブル21の一例を示す図である。
住所登録テーブル21は、ID欄と、住所欄と、迷いやすさ欄と、前回利用日欄と、利用回数欄とを含んで構成される。
ID欄は、経路情報の識別子を格納する欄であり、後記する経路登録テーブル22のID欄に格納される情報を参照するためのものである。
住所欄は、目的地の住所を格納する欄である。
【0027】
迷いやすさ欄は、この目的地までの経路の迷いやすさの指標値を格納する欄である。この迷いやすさ欄は更に、登録時欄と利用時欄を格納している。登録時欄は、登録時における目的地までの経路の迷いやすさの指標値を格納する欄である。登録時欄に格納された指標値は、この目的地に初めて配達する配達員にとって迷いやすいか否かを示す指標として利用される。
【0028】
利用時欄は、利用時における目的地までの経路の迷いやすさの指標値を格納する欄である。利用時欄に格納された指標値は、この目的地に2回目以降に配達する配達員にとって迷いやすいか否かを示す指標として格納される。
前回利用日欄は、この住所に対する前回の利用日を格納する欄である。
利用回数欄は、この目的地に配達するための利用回数を格納する欄である。
【0029】
図5は、経路登録テーブル22の一例を示す図である。
経路登録テーブル22は、ID欄と、時刻欄と、緯度欄と、経度欄と、始端・終端欄とを含んで構成される。経路登録テーブル22は、部分経路を構成する各地点の位置情報で構成される。
【0030】
ID欄は、この経路情報の識別子を格納する欄である。同一の経路には同一の識別子が付与される。この識別子によって住所登録テーブル21を参照すると、識別子に紐づけられた目的地を知ることができる。
時刻欄は、この部分経路を構成する或る地点に端末1が到達した時刻を格納する欄である。
【0031】
緯度欄は、この部分経路を構成する或る地点の緯度情報を格納する欄である。
経度欄は、この部分経路を構成する或る地点の経度情報を格納する欄である。
始端・終端欄は、この地点が、この部分経路における始端・終端またはその中間の何れであるかを示す情報を格納する欄である。これら位置情報は、端末1によって所定時間毎に取得され、サーバ2に送信される。サーバ2は、登録部24により、受信した位置情報を経路登録テーブル22に登録する。
【0032】
図6は、ユーザの軌跡と経路登録テーブル22に記録する軌跡情報を示す図である。
図6には所定領域の地図情報が示されており、その上には部分経路42と、経路41a~41cと、始端43と、終端44とが表示されている。
【0033】
経路41a~41cは、例えば経路案内サーバ3が案内した経路であり、例えば所定幅以上の道路や、車道である。始端43は、これら既存の経路41a上に接している位置情報である。終端44は、届け先住所であり、目的地である。部分経路42は、サーバ2が端末1のユーザに案内する部分経路である。部分経路42は、車道における始端43から、目的地である終端44までを繋ぐ好適な配達経路である。
【0034】
図7は、既存の経路案内と独立する部分経路を通知する処理のフローチャートである。
最初、サーバ2の通知部25は、住所登録テーブル21を取得して(ステップS10)、目的地の住所と比較する。通知部25は、住所登録テーブル21に目的地の住所が登録されているならば(Yes)、ステップS12に進む。通知部25は、目的地の住所が登録されていないならば(No)、
図7の処理を終了する。
【0035】
次に通知部25は、住所登録テーブル21の迷いやすさ欄を参照して(ステップS12)、目的地が所定の迷いやすさの条件を満たしているか判定する。通知部25は、目的地が所定の迷いやすさの条件を満たしているならば(Yes)、ステップS13に進む。通知部25は、目的地が所定の迷いやすさの条件を満たしていないならば(No)、
図7の処理を終了する。
【0036】
ステップS13にて、通知部25は、経路登録テーブル22から、目的地の住所が一致した一連の経路データを取得する。そして、通知部25は、端末1から位置情報を待ち受ける。端末1は、現在の位置を更新する(ステップS14)。更新した位置情報は、サーバ2に送信される。
【0037】
次にサーバ2の通知部25は、部分経路の始端付近であるか否かを判定する(ステップS15)。ここで通知部25は、部分経路の始端から所定範囲内であるとき、始端付近であると判定する。通知部25は、始端付近ではないならば(No)、ステップS14に戻って現在位置を更新し、始端付近ならば(Yes)、ステップS16に進む。
【0038】
ステップS16にて、通知部25は、ユーザの端末1に、部分経路である旨と、部分経路情報を通知する。そして端末1は、この部分経路を地図に重ねて表示すると(ステップS16)、
図7の処理を終了する。
【0039】
なお、既存の経路案内と連携するケースは、既存の経路検索ロジックで代用可能である。
【0040】
図8は、端末1の情報登録処理のフローチャートである。
配達員がフードデリバリを開始すると、配達員が有する端末1は、情報取得を開始する(ステップS20)。ここで情報取得とは、GPS測位部11により、測位情報を取得することである。
そして、配達員が有する端末1は、配達が終了したか否かを判定する(ステップS21)。配達員は、配達が終了すると、その旨を端末1に入力する。端末1は、配達が終了していないならば(No)、ステップS20の処理に戻り、配達が終了したならば(Yes)、ステップS22の処理に進む。
ステップS22にて、端末1は、経路情報をサーバ2にアップロードすると、
図8の処理を終了する。
【0041】
図9は、サーバ2の情報登録処理のフローチャートである。
サーバ2は、端末1から経路情報を受信すると、
図9の処理を実行する。
サーバ2の登録部24は、
図10に示す迷いやすさ計算処理を実行する(ステップS30)。そして、サーバ2は、
図11に示す冗長経路削除処理を実行する(ステップS31)。
登録部24は、この経路情報の目的地が新規住所であるか否かを判定する(ステップS32)。登録部24は、この経路情報の目的地が新規住所ならば(Yes)、迷いやすさ部分経路データを保存して(ステップS34)、
図9の処理を終了する。
【0042】
登録部24は、この経路情報の目的地が新規住所ではないならば(No)、
図12に示す誤り経路参考情報追加処理を実施し(ステップS33)、
図9の処理を終了する。
【0043】
測位情報として、他の経路案内サービスよりも詳細なルート情報を管理することで、ルート誤りによる配達時間を削減できる。
【0044】
図10は、迷いやすさ計算処理のフローチャートである。
サーバ2の迷いやすさ計算部27は、経路案内サーバ3から予測距離を取得する(ステップS40)。そして、サーバ2の迷いやすさ計算部27は、端末1から取得した経路に基づき、実際の移動距離を取得する(ステップS41)。更に迷いやすさ計算部27は、予測距離と、実際の移動距離の差異を算出して、これを迷いやすさの指標とすると(ステップS42)、
図10の処理を終了する。なお、サーバ2は、初めて目的地を登録した場合には、住所登録テーブル21の登録時欄に、迷いやすさの指標を格納する。サーバ2は、登録された目的地の部分経路を利用した場合には、住所登録テーブル21の利用時欄に、迷いやすさの指標を格納する。
【0045】
なお、登録部24は、経路案内サーバ3から取得した目的地までの予測時間と、実際のユーザの移動時間の際を算出して、迷いやすさの指標としてもよく、限定されない。
【0046】
図11は、冗長経路削除処理のフローチャートである。
サーバ2は、受信部23により、配達終了時のGPS情報を取得する(ステップS50)。そして、サーバ2の登録部24は、終端から順に、GPS情報が既存マップ上の道路と一致するか否かを判定する(ステップS51)。登録部24は、GPS情報が既存マップ上の道路と一致しないならば(No)、その1つ前のGPS情報を取得して(ステップS52)、ステップS51に戻る。
【0047】
登録部24は、GPS情報が既存マップ上の道路と一致するならば(Yes)、登録部24により、比較したGPS情報を部分経路として保存して(ステップS53)、
図11の処理を終了する。
【0048】
なお、登録部24は、GPS情報が車道と一致するか否かを判定してもよい、これにより登録部24は、部分経路を、目的地までの経路のうち車道から逸脱した部分とすることができる。
【0049】
登録部24は、GPS情報が経路案内サーバ3で示された全経路と一致するか否かを判定してもよい、これにより登録部24は、部分経路を、目的地までの経路のうち経路案内サーバ3で示された全経路から逸脱した部分とすることができる。
【0050】
図12は、誤り経路参考情報追加処理のフローチャートである。
サーバ2の登録部24は、登録済の部分経路を利用したか否かを判定する(ステップS60)。登録部24は、登録済の部分経路を利用していなかったならば(No)、この目的地を新たに保存し、経路データを別の経路として保存する(ステップS61)。更に登録部24は、目的地に係る経路データ登録時の迷いやすさを住所登録テーブル21に保存すると(ステップS62)、
図12の処理を終了する。
【0051】
ステップS60にて、登録部24は、登録済の部分経路と同一の経路を利用したならば(Yes)、登録部24により、この部分経路の利用回数をカウントアップする(ステップS63)。登録部24は、前回利用日を更新する(ステップS64)。登録部24は、目的地に係る経路データ登録時の迷いやすさを住所登録テーブル21に保存すると(ステップS65)、
図12の処理を終了する。
【0052】
なお、サーバ2は、別経路であるか否かを、両経路の位置情報をそれぞれ線で繋いだ時の線のズレで判断する。
【0053】
図13は、住所登録テーブル21の一例を示す図である。
住所登録テーブル21は、ID欄と、住所欄と、迷いやすさ欄と、前回利用日欄と、利用回数欄とを含んで構成される。
【0054】
この住所登録テーブル21は、1行目と3行目の住所欄が同一であり、同じ目的地でありながら、ID欄の識別子が異なっている。このID欄は、経路登録テーブル22に格納された部分経路に付与された識別子を指し示している。3行目の情報は、利用回数が1である。これにより、識別子が3である部分経路は、初めて登録されており、かつ識別子が1である部分経路とは別の経路であることを示している。
【0055】
図14は、誤り経路是正処理のフローチャートである。この誤り経路是正処理は、定期的にサーバ2側で実施される処理であり、ユーザの利用が契機ではない。
最初、サーバ2の是正部26は、住所登録テーブル21の前回利用日を参照し、3年以内に利用された経路であるか否かを判定する(ステップS70)。ここで3年とは、第1の所定期間である。
ステップS70にて、是正部26は、3年以内に利用された経路ではないならば(No)、対象の部分経路を削除して(ステップS71)、
図14の処理を終了する。
【0056】
ステップS70にて、是正部26は、3年以内に利用された経路ならば(Yes)、この目的地への登録経路件数が1件以下であるか否かを判定する(ステップS72)。
ステップS72にて、是正部26は、この目的地への登録経路件数が2件以上ならば(No)、半年以内の利用が有るか否かを判定する(ステップS73)。
【0057】
ステップS73にて、是正部26は、半年以内の利用が無いならば(No)、利用日が最新の1件を残して、対象経路の削除対象欄(
図15参照)をマークすると(ステップS74)、
図14の処理を終了する。ここで半年とは、第2の所定期間である。
ステップS72にて、是正部26は、この目的地への登録経路件数が1件以下ならば(Yes)、
図14の処理を終了する。
【0058】
ステップS73にて、是正部26は、半年以内の利用が有るならば(Yes)、
図14の処理を終了する。
なお、上記処理において各閾値はあくまでも例である。閾値は運用に合わせて定義されることが望ましい。
【0059】
図15は、住所登録テーブル21の一例を示す図である。
住所登録テーブル21は、ID欄と、住所欄と、迷いやすさ欄と、前回利用日欄と、利用回数欄と、削除対象欄を含んで構成される。
削除対象欄は、対象経路が削除されていることを示す欄である。これにより、登録部24は、容易に対象経路を削除可能である。
【0060】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0061】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0062】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)~(f)のようなものがある。
【0063】
(a) 経路案内システムは、地図中に経路始端を示すだけでなく、街中を撮影した写真に重畳して経路の始端とその先の部分経路を示すとよい。これにより、経路案内の分かりやすさを向上させることができる。
【0064】
(b) 経路案内システムは、経路情報に天候または交通状況を併せて記録し、配達時の天候または交通状況に合わせた到着時間と部分経路を案内してもよい。
【0065】
(c) 配達される側が、好適な経路を事前に登録してもよい。配達先の本人が登録するので、当初から最も好適な部分経路を案内できる。
【0066】
(d) 配達以外でも、初めて招く友達などに共有してきてもらう場合などに適用してもよく、会社や店舗の道案内としても使用してもよい。
(e) 人材不足が懸念されている郵便配達に、本実施形態の経路案内システムを適用してもよい。
(f) 迷いやすさの指標値は、目的地の所定距離圏内での移動距離の予測と実績の差分であってもよい。配達員がルートを迷っている場合、目的地への入口が分からず、よってその周辺で多くの距離を移動していると考えられるためである。目的地の所定距離圏内にて取得するため、目的地の所定距離圏内での移動距離の実績は、容易に算出可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 端末
11 GPS測位部
12 通信部
13 制御部
14 タッチパネルディスプレイ
2 サーバ (経路案内システム)
21 住所登録テーブル
22 経路登録テーブル
23 受信部
24 登録部
25 通知部
26 是正部
27 迷いやすさ計算部
3 経路案内サーバ
41a~41c 経路
42 部分経路
43 始端
44 終端
【要約】
【課題】他の経路案内サービスでは適切な経路が表示できない目的地であっても、好適に経路を案内する。
【解決手段】サーバ2は、ユーザが辿り着いた目的地の住所を格納する住所登録テーブル21と、この目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報を格納する経路登録テーブル22と、住所登録テーブル21に格納された住所をユーザが新たに目的地とし、かつ、目的地までの経路が所定の迷いやすさの条件を満たす場合、目的地に辿り着くまでの部分経路を含む情報をユーザの端末に通知する通知部25とを備える。
【選択図】
図1