(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】シャープペンシル
(51)【国際特許分類】
B43K 21/00 20060101AFI20240111BHJP
B43K 29/02 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B43K21/00 D
B43K21/00 J
B43K29/02 A
(21)【出願番号】P 2022154127
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2018039106の分割
【原出願日】2018-03-05
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】瀬利 伸一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-204182(JP,U)
【文献】特開2002-192882(JP,A)
【文献】実開昭57-078979(JP,U)
【文献】特開2014-024226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 21/00
B43K 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯が突出する先端開口部ならびに該芯を補充するための後端開口部を有する軸筒と、
前記軸筒内に内蔵された芯タンクと、
前記芯タンクの前方に位置し該芯タンクと連動するチャックと、
前記チャックおよび前記芯タンクを後方に付勢するチャックスプリングと、
付属具と、
前記芯タンクの後方に位置し前記付属具を保持する付属具保持部材と、
前記付属具保持部材の後方に位置し前記軸筒の後端開口部から突出したキャップと、
前記芯タンクに設けられ、前記付属具保持部材が着脱可能に周方向に回転装着された第一の装着部と、
前記付属具保持部材に設けられ、前記キャップが着脱可能に軸心に沿って装着された第二の装着部と、
前記付属具保持部材と前記キャップとに設けられ、前記付属具保持部材に対する前記キャップの前記周方向の回転を規制する回転規制部と、を有し、
前記キャップを押圧することにより該キャップと連動した前記チャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、
前記第一の装着部において、前記キャップと前記付属具と前記付属具保持部材とをまとめて着脱可能に連接してあり、前記キャップと前記付属具と前記付属具保持部材とをまとめて脱着することで前記芯タンクに前記芯を補充することができることを特徴とするシャープペンシル。
【請求項2】
前記芯タンクの後部に、その内径が拡大した拡径部が設けられるとともに、前記芯タンクに予備芯を含む複数の芯が収容された状態において、前記予備芯の後端が前記拡径部の内壁面から離間することを特徴とする、請求項
1に記載のシャープペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸筒の内部に芯タンクを内蔵し、芯タンクに芯を収容し、芯タンクの前方に該芯タンクと連動するチャックを設け、後端を押圧して軸筒の先端開口部から芯を突出させた状態で紙面などへ筆記を行うシャープペンシルはよく知られており、筆記により芯が消耗し、芯タンク内の芯を使い切ると、使用者が新規の芯を芯タンク内に補充するようになっている。
【0003】
このようなシャープペンシルに誤字を消去するための消しゴムを付属させる場合には、消しゴムが露出したままだと、シャープペンシルの携帯時に消しゴムを汚損・紛失したり、シャープペンシルの後端を押圧して軸筒の先端開口部から芯を突出させる際に指に消しゴムの汚れが付着したり、またはその逆に指の油分や汚れが消しゴムに付着して消しゴムの消字性が悪くなったりするおそれがあるため、芯タンクの後端開口部に円柱状の消しゴムを嵌入し、さらに芯タンクの後端に消しゴムを被覆するキャップを着脱自在に被着することや、特許文献1(特公平6-4359号公報)に開示されているように、芯タンクの後端開口部に消しゴムを保持した消しゴムホルダーを嵌入し、さらに消しゴムを被覆するキャップを着脱自在に被着することが一般的に行われている。
これら従来のシャープペンシルでは、芯を補充する際には、まずシャープペンシルからキャップを取り外し、次いで消しゴムもしくは消しゴム保持具を取り外した後に、芯を芯タンクの後端開口部から補充する必要があり手間がかかっていた。
また、この芯補充作業は、片手で軸筒を持ち、他方の手で芯を持って行われるため、キャップおよび消しゴム、もしくはキャップおよび消しゴム保持具を一旦机上等に置かなければならず、それらが机上等から転げ落ちて紛失してしまうおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、簡便に芯の補充作業を行い得るシャープペンシルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
「1.芯が突出する先端開口部ならびに該芯を補充するための後端開口部を有する軸筒と、前記軸筒内に内蔵された芯タンクと、前記芯タンクの前方に位置し該芯タンクと連動するチャックと、前記チャックおよび前記芯タンクを後方に付勢するチャックスプリングと、付属具と、前記芯タンクの後方に位置し前記付属具を保持する付属具保持部材と、前記付属具保持部材の後方に位置し前記軸筒の後端開口部から突出したキャップとを有し、前記キャップを押圧することにより該キャップと連動した前記チャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記キャップと前記付属具と前記付属具保持部材とをまとめて着脱可能に連接してあり、前記キャップと前記付属具と前記付属具保持部材とをまとめて脱着することで前記芯タンクに前記芯を補充することができることを特徴とするシャープペンシル。
2.前記軸筒もしくは前記芯タンクに前記付属具保持部材が着脱可能に装着された第一の装着部と、前記付属具保持部材に前記キャップが着脱可能に装着された第二の装着部を設け、前記第一の装着部と前記第二の装着部の脱着力を異にすることおよび/または前記第一の装着部と前記第二の装着部の脱着の方向を異にすることで、前記キャップと前記付属具と前記付属具保持部材とをまとめて着脱可能に連接してあることを特徴とする、前記1項に記載のシャープペンシル。
3.前記第一の装着部が軸心に沿って装着され、前記第二の装着部が周方向に回転装着され、前記軸筒もしくは前記芯タンクと前記付属具保持部材とに該付属具保持部材の周方向の回転を規制する回転規制部が設けられることを特徴とする、前記1項または2項に記載のシャープペンシル。
4.前記第一の装着部が周方向に回転装着され、前記第二の装着部が軸心に沿って装着され、前記付属具保持部材と前記キャップとに該キャップの周方向の回転を規制する回転規制部が設けられることを特徴とする、前記1項または2項に記載のシャープペンシル。
5.前記芯タンクの後部に、その内径が拡大した拡径部が設けられるとともに、前記芯タンクに予備芯を含む複数の芯が収容された状態において、前記予備芯の後端が前記拡径部の内壁面から離間することを特徴とする、前記1項ないし4項のいずれか1項に記載のシャープペンシル。」である。
【0007】
本発明によれば、一度の動作によりシャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着することができるので、シャープペンシルからキャップを取り外して机上に置き、次いで、付属具もしくは付属具を保持した付属具保持部材を取り外して机上に置くという二重の手数を省き、簡便に芯の補充作業を行い得るシャープペンシルを得ることが可能となる。
【0008】
また、軸筒もしくは芯タンクに付属具保持部材が着脱可能に装着された第一の装着部と、付属具保持部材にキャップが着脱可能に装着された第二の装着部を設け、第二の装着部の脱着により第一の装着部が脱着しないようにすること、または、第一の装着部の脱着部の脱着により第二の装着部が脱着しないようにすることが好ましい。
具体的には、軸筒もしくは芯タンクに付属具保持部材を装着した状態において、付属具保持部材の後部を軸筒の後端から露出するように形成し、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着力を、付属具保持部材へのキャップの装着力よりも大きくすることができる。
この場合には、軸筒を一方の手で把持し、付属具保持部材の後部をもう一方の手で把持して着脱動作を行うことにより、シャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着して、軸筒の後端開口部から芯を補充することができ、また軸筒もしくは付属具保持部材の後部を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持して着脱動作を行うことにより、付属具保持部材からキャップを脱着して付属具を露出させて使用することができる。
またはこの逆として、付属具保持部材の後部を軸筒の後端から露出するように形成し、付属具保持部材へのキャップの装着力を、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着力よりも大きくすることもできる。
この場合には、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持して着脱動作を行うことにより、シャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着して、軸筒の後端開口部から芯を補充することができ、また付属具保持部材の後部を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持して着脱動作を行うことにより、付属具保持部材からキャップを脱着して付属具を露出させて使用することができる。
なお、第1の装着部および第二の装着部の装着力は特に限定されないが、プッシュプルスケールなどによって測定することができる。
【0009】
また、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着/脱着方向と、付属具保持部材へのキャップの装着/脱着方向とを異なる方向とすると、芯の補充時と付属具の使用時とでシャープペンシルの把持する部分を変えることがないので、より好ましい。
たとえば、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着/脱着をシャープペンシルの軸心方向の前方に向かって押す/後方に向かって引くという操作により行う構成にした場合には、付属具保持部材へのキャップの装着/脱着をシャープペンシルの周方向の時計回りもしくは反時計回りの回転操作により行う構成にすることによって、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持し、キャップを軸心方向の後方に向かって引くという一度の動作によりシャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着して、軸筒の後端開口部から芯を補充することができ、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持し、キャップを周方向に回転するという一度の動作により、付属具保持部材からキャップを脱着して付属具を露出させて使用することができ、芯の補充時と付属具の使用時とでシャープペンシルの把持する部分を変えることがない。
またはこの逆として、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着/脱着をシャープペンシルの周方向の時計回りもしくは反時計回りの回転操作により行う構成にした場合には、付属具保持部材へのキャップの装着/脱着をシャープペンシルの軸心方向の前方に向かって押す/後方に向かって引くという操作により行う構成にすることによって、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持し、キャップを周方向に回転するという一度の動作によりシャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着して、軸筒の後端開口部から芯を補充することができ、キャップを軸心方向の後方に向かって引くという一度の動作により、付属具保持部材からキャップを脱着して付属具を露出させて使用することができ、芯の補充時と付属具の使用時とでシャープペンシルの把持する部分を変えることがない。
さらに、軸筒もしくは芯タンクへの付属具保持部材の装着/脱着をシャープペンシルの周方向の時計回りの回転操作により行う構成にした場合には、付属具保持部材へのキャップの装着/脱着をシャープペンシルの周方向の反時計回りの回転操作により行う構成にすることによって、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持し、キャップを周方向の時計回りに回転するという一度の動作によりシャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材とをまとめて脱着して、軸筒の後端開口部から芯を補充することができ、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持し、キャップを周方向の反時計回りに回転するという一度の動作により、付属具保持部材からキャップを脱着して付属具を露出させて使用することができ、芯の補充時と付属具の使用時とでシャープペンシルの把持する部分を変えることがない。
【0010】
軸筒もしくは芯タンクと付属具保持部材との装着部や、付属具保持部材とキャップとの装着部には、乗り越え嵌合、圧入嵌合、ねじ嵌合などの嵌合方式を適宜用いることができ、嵌合位置は軸筒もしくは芯タンクと付属具保持部材との装着部のいずれであってもよく、また付属具保持部材とキャップとの装着部のいずれであってもよい。
また、嵌合箇所は複数箇所存在してもよい。
【0011】
また、第一の装着部が軸心に沿って装着され、第二の装着部が周方向に回転装着されている場合には、軸筒もしくは前記芯タンクと付属具保持部材とに周方向の回転を規制する回転規制部が設けられることが好ましい。
回転規制部を設けることで、キャップの脱着時に軸筒もしくは芯タンクと付属具保持部材との装着部へ負荷がかかり難く、且つキャップの脱着をスムーズに行うことができる。
また、第一の装着部が周方向に回転装着され、第二の装着部が軸心に沿って装着されている場合には、付属具保持部材とキャップとに周方向の回転を規制する回転規制部が設けられることが好ましい。
回転規制部を設けることで、付属具保持部材の脱着時に付属具保持部材とキャップとの装着部へ負荷がかかり難く、且つ付属具保持部材の脱着をスムーズに行うことができる。
なお、軸筒もしくは芯タンクと付属具保持部材との回転規制部や、付属具保持部材とキャップとの回転規制部には、一方に凸部や突起を設け、もう一方に凹部や溝、スリットなどを設けて、両者を噛み合わせて回り止めとすることができる。
また、回転規制部は複数箇所存在していてもよい。
【0012】
本発明の芯タンクは、その形状は特に限定されず円筒形状など様々な形状を選択することができるが、芯タンクの後部にその内径が拡大した拡径部を設けることが好ましい。
拡径部を設けることで、拡径部前端を芯支持部とし、芯タンクに予備芯を含む複数の芯が収容された状態において、予備芯の後端部を前記拡径部の内壁面から離間させることができる。
また、拡径部を設けることにより、軸筒の後端開口部から芯タンクに芯を補充する際に、芯タンクの後端がそのまま芯の入り口になっている場合と比較して芯の補充が容易になる。
また、芯タンクに予備芯を収容した状態でシャープペンシルを持ち歩いて振動が加わった場合や、シャープペンシルに落下などによる衝撃が加わった場合にも、予備芯の後端部が芯タンクの内壁面に擦れることによる芯タンクの内壁面汚れが生じにくく、芯タンクの一部もしくは全部を透明な部材で形成し、軸筒に窓部を設けた場合に、芯タンクならびに窓部を透しての残芯の有無ならびに消費状況を軸筒の外部から確認することが容易になる。
また、予備芯の後端部が芯タンクの内壁面に擦れることにより発生する芯の粉末が減少するため、芯の粉末が付着することによる芯タンクの内壁面汚れが生じにくく、芯タンクの一部もしくは全部を透明な部材で形成し、軸筒に窓部を設けた場合に、芯タンクならびに窓部を透しての残芯の有無ならびに消費状況を軸筒の外部から確認することが容易になる。
さらにまた、芯の粉末がチャック内などに入り込むことによる芯詰まりなどが生じにくい。
なお、芯タンクに予備芯を収容した状態において、予備芯の後端から拡径部前端の芯支持部までの長さをLとし、芯支持部を通る水平面と予備芯とが形成する角度をθとした場合に、芯タンクの内径と拡径部の内径との差が2Lcosθ以上となるように芯タンクと拡径部とを形成すると、芯タンク内で予備芯が傾いた場合でも予備芯の後端部を常に拡径部の内壁面から離間させることができるので、芯の後端部と芯タンクとの接触を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の芯タンクは、その材質は特に限定されず樹脂や金属など様々な材質を選択することができるが、その内壁面にシリコーン処理を施すことが好ましい。
シリコーン処理を施すことにより、予備芯の後端部が芯タンクの内壁面に擦れることによる芯タンクの内壁面汚れが生じにくくなり、また芯の粉末が発生した場合においても、芯の粉末が付着することによる芯タンクの内壁面汚れが生じにくくなる。
【0014】
本発明の付属具としては、誤字を修正するための消しゴムの他に、ボールペンやマーキングペン、修正テープ、スマートフォンやタブレット端末用のタッチペンなどを適宜用いることができる。
また、芯として可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含むと共に筆記により可逆熱変色性を有する筆跡を形成可能な固形芯を用い、付属具として紙面との摩擦熱により前記固形芯による筆跡の色を変色もしくは消色可能な摩擦部材を用いることもできる。
【0015】
本発明の軸筒内に、芯タンク内に収容された芯の後端に当接する表示体を軸心方向に前後動可能に配し、軸筒に表示体の移動状態を外部から視認し得る窓部を設けてもよい。
表示体を付属具保持部材に遊着し、軸筒もしくは芯タンクに付属具保持部材を装着した状態において表示体が軸筒内に位置して軸心方向に前後動可能とすることで、芯タンク内の最後の芯がチャック内に入って前方に移動することにより予備芯の後端に当接した表示体が芯に追従して前方に移動するとともに、窓部から表示体の移動状態が見えるので、芯タンク内の予備芯の有無ならびに芯の消費状況を外部から容易に確認することができる。
また、軸筒を一方の手で把持し、キャップをもう一方の手で把持して脱着するという一度の動作により、シャープペンシルからキャップと付属具と付属具保持部材と表示体とをまとめて脱着して、軸筒の後端から芯を補充することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、シャープペンシルからキャップを取り外して机上に置き、次いで、付属具もしくは付属具を保持した付属具保持部材を取り外して机上に置くという二重の手数を省き、簡便に芯の補充作業を行い得るシャープペンシルを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のシャープペンシルの縦断面図である。
【
図2】
図1のシャープペンシルのA-A横断面図である。
【
図3】
図1のシャープペンシルに芯を補充する状態を示す縦断面図である。
【
図4】
図1のシャープペンシルの消しゴムを使用する状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図1のシャープペンシルの芯支持部の近傍を示す拡大図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態のシャープペンシルで、芯タンク内に予備芯がある状態を示す縦断面図である。
【
図7】
図6のシャープペンシルのB-B横断面図である。
【
図8】
図6のシャープペンシルで、芯タンク内に予備芯がない状態を示す縦断面図である。
【
図9】
図6のシャープペンシルに芯を補充する状態を示す縦断面図である。
【
図10】
図6のシャープペンシルの消しゴムを使用する状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本実施の形態のシャープペンシルを詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態のシャープペンシルの縦断面図であり、
図2は、
図1のシャープペンシルのA-A横断面図である。
なお、図面の説明においては、図面における上方、すなわちキャップ側を後方と表現し、図面における下方、すなわち軸筒の先端開口部側を前方と表現する。
【0020】
本発明の第1の実施の形態のシャープペンシル1は、
図1に示すように、円筒形状の軸筒本体2の前方に先口3を設け、軸筒本体2と先口3とで軸筒が構成され、後端開口部2aより後端が閉塞された略円筒形状のキャップ4を突出させている。
軸筒内には、後端開口部2aから前方に向けて略円筒形状の付属具保持部材5が挿入され、付属具保持部材5の前端は縮径されて嵌合部5aを形成し、後述する芯タンク7の後端に設けられた嵌合部7aに挿嵌されている。
図2に示すように、軸筒本体2の後部内周面には複数の係合溝2bが形成され、付属具保持部材5の外周面には複数の係合突起5bが形成され、係合溝2bと係合突起5bとが噛み合うことにより、軸筒本体2と付属具保持部材5との回り止め(回転規制)がなされている。
図1に示すように、付属具保持部材5の後端は円柱状にくりぬかれて、付属具として円柱形状の消しゴム6が挿嵌され、付属具保持部材5の後部外周面には雄螺子部5cが設けられ、前部内周面に雌螺子部4aが設けられた前記キャップ4が着脱可能に螺合され、キャップ4により消しゴム6は覆われている。
【0021】
軸筒本体2の内部にはポリプロピレン製のパイプからなる内径2.2mmの芯タンク7が配され、芯タンク7はその前端から全長の約2/3となる中間部分で段状に拡径されて拡径部7bが設けられて該拡径部7bの前端が芯支持部7cとなり、芯タンク7内には芯8ならびに予備芯81が収容され、芯タンク7の後端開口部には嵌合部7aが設けられて前記付属具保持部材5の前端に設けられた前記嵌合部5aが挿嵌され、芯タンク7の前端は略円筒形状の連結具9に挿入され、芯タンク7の先端開口部には黄銅からなるチャック10が圧入固着されている。
【0022】
チャック10の前部は複数分割して構成され、チャック頭部10aにはリング状の締具11が外嵌され、締具11の後端を受け止める連結具9と芯タンク7前端との間にチャックスプリング12が張嵌され、チャックスプリング12により後方に付勢されたチャック頭部10aが芯を保持している。
先口3は両端が開口した先細り形状であり、先端開口部3aから芯8が突出され、内部に芯8を保持する芯ホルダー13が配置され、後部内周面には雌螺子部3bが設けられ、連結具9の前部外周面に設けられた雄螺子部9aと螺合している。
【0023】
筆記により芯8が消耗した場合には、チャックスプリング12の弾発力に抗してキャップ4をシャープペンシル1の前方に向けて押圧すると、キャップ4と螺合した付属具保持部材5が前方に移動し、付属具保持部材5と嵌合した芯タンク7が前方に移動し、チャック10が芯8をつかんだ状態で前方に移動し、締具11が先口3の内面に当接して移動を停止し、締具11がチャック頭部10aから外れてチャック頭部10aが拡開するまで芯8が繰り出される。
チャック頭部10aが拡開しても、芯8は芯ホルダー13に保持されるため先端開口部3aから落下することはない。
キャップ4の押圧をやめると、チャックスプリング12の弾発力により芯タンク7が後方に移動し、チャック10が後方に移動し、締具11が連結具9の前端に当接して停止しチャック頭部10aに外嵌され、チャック頭部10aが閉じて芯8が固定され筆記が可能となる。
【0024】
次に、
図3を用いて、第1の実施の形態のシャープペンシル1に芯8を補充する状態について詳細に説明する。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持し、キャップ4を後方に引くと、キャップ4はその前部内周面の雌螺子部4aにより付属具保持部材5の後部外周面の雄螺子部5cに螺合されているために軸心方向の力が加わっても付属具保持部材5から脱着しないので、キャップと共に付属具保持部材5が後方に引っ張られ、付属具保持部材5前端の嵌合部5aと芯タンク7後端の嵌合部7aとの嵌合が脱着され、キャップ4と消しゴム6が挿嵌された付属具保持部材5とが連結されたままの状態でシャープペンシル1から抜き取られ、後端開口部2aが開放される。
芯8を後端開口部2aからシャープペンシル1内に落とし込むと、芯タンク7の後部が段状に拡径されて拡径部7bが形成されているために、芯8が芯タンク7内にスムーズに収容される。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持してキャップ4と連結されたままの付属具保持部材5を後端開口部2aからシャープペンシル1内に挿入すると、芯タンク7の後端に設けられた嵌合部7aに付属具保持部材5の前端に形成された嵌合部5aが挿嵌されて、芯タンク7内への芯8の補充が完了する。
【0025】
次に、
図2、
図4を用いて、第1の実施の形態のシャープペンシル1の消しゴム6を使用する状態について詳細に説明する。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持し、キャップ4を後方からみて反時計回りに回転させると、キャップ4が螺合した付属具保持部材5にも後方からみて反時計回りの力が加わるが、付属具保持部材5はその外周面に形成された複数の係合突起5bが軸筒本体2の後部内周面に形成された複数の係合溝2bに噛み合っているために周方向の力が加わっても軸筒本体2に対して回転しないので、キャップ4のみが回転して付属具保持部材5の後部外周面に設けられた雄螺子部5cとキャップ4の内周面に設けられた雌螺子部4aとの螺合が脱着され、付属具保持部材5に挿嵌された消しゴム6が露出して使用可能となる。
【0026】
次に、
図5を用いて、第1の実施の形態のシャープペンシル1の拡径部7bならびに芯支持部7cの作用について詳細に説明する。
芯タンク7に予備芯81を収容した状態において、予備芯81の後端から拡径部7b前端の芯支持部7cまでの長さをLとし、芯支持部7cを通る水平面と予備芯81とが形成する角度をθとした場合に、芯タンク7の内径と拡径部7bの内径との差が2Lcosθ以上となるように芯タンク7と拡径部7bとを形成すると、芯タンク7内で予備芯81が傾いた場合においても予備芯81の後端部が拡径部7bの内壁面から離間する。
【0027】
本実施の形態では、シャープペンシル1に対してキャップ4を軸心方向の後方に向かって引くだけで、シャープペンシル1からキャップ4と消しゴム6と付属具保持部材5とがまとめて脱着されて後端開口部2aを開放することができ、まずシャープペンシル1からキャップ4を取り外して机上に置き、次いで、消しゴム6もしくは消しゴム6が挿嵌された付属具保持部材5を取り外して机上に置くという二重の手数がなくなり、キャップ4や消しゴム6を保持した付属具保持部材5を紛失することなく、容易に芯を補充することができた。
また、シャープペンシル1に対してキャップ4を周方向に向かって回転するだけで消しゴム6を露出することができ、消しゴム6の使用時と前記芯8の補充時とでシャープペンシル1の把持する部分を変えることがなかった。
また、芯タンク7に拡径部7bが設けられているために、芯タンクへの芯補充も容易に行うことができた。
さらに、芯タンク7に予備芯81を収容した状態でシャープペンシル1を持ち歩いて振動が加わった場合や、シャープペンシル1に落下などによる衝撃が加わった場合にも、芯タンク7に拡径部7bが設けられているために、予備芯81の後端部が擦れることによる芯タンク7の内壁面汚れや、予備芯81の粉末による芯タンク7の内壁面汚れが生じにくく、また予備芯81の粉末がチャック10内などに入り込むことによる芯詰まりなどが生じにくかった。
【0028】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態におけるシャープペンシル100について詳細に説明する。
第2の実施の形態のシャープペンシル100は、第1の実施の形態のシャープペンシル1の軸筒本体2に窓部2cを設け、軸筒本体2の内部に芯タンク7内に収容された予備芯81の有無ならびに消費状況を窓部2cから容易に確認することができる表示体14を設けたものである。
【0029】
図6、
図7に示すように、軸筒本体2は第1の実施の形態のシャープペンシル1と同様に形成されると共に、その両側面には窓部2cが開口されている。
また、付属具保持部材5の後部は第1の実施の形態のシャープペンシル1の付属具保持部材5と同様に形成されると共に、その内部が前端から全長の約3/4となる深さまで円柱状にくりぬかれ、両側面には軸心方向に延びるスリット5dが形成されている。
付属具保持部材5の内部には略円柱形状の表示体14が前後動可能に配置され、表示体14の後端両側面には凸部14aが形成され、前記スリット5d内に凸部14aが嵌入されている。
芯タンク7内に予備芯81がある場合には、表示体14の前端が芯タンク7内に収容された予備芯81の後端に当接することにより、表示体14が軸筒本体2の窓部2cよりも後方に位置しているので、表示体14は窓部2cから視認されない。
【0030】
次に、
図8を用いて、第2の実施の形態のシャープペンシル100で、芯タンク7内に予備芯81がない状態について詳細に説明する。
筆記によりチャック頭部10aに保持された芯8を使い切り、芯タンク7内に収容された最後の予備芯81がその自重によりチャック10内に落下し、予備芯81の後端に当接していた表示体14が予備芯81に追従して前方に移動することにより、表示体14が軸筒本体2の窓部2cから視認される。
【0031】
次に、
図9を用いて、第2の実施の形態のシャープペンシル100に芯8を補充する状態について詳細に説明する。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持し、キャップ4を後方に引っ張ると、キャップ4はその内周面の雌螺子部4aにより付属具保持部材5の後部外周面の雄螺子部5cに螺合されているために軸心方向の力が加わっても付属具保持部材5から脱着しないので、キャップ4と共に付属具保持部材5が後方に引っ張られ、付属具保持部材5前端の嵌合部5aと芯タンク7後端の嵌合部7aとの嵌合が脱着され、キャップ4と消しゴム6が挿嵌された付属具保持部材5とが連結されたままの状態でシャープペンシル100から抜き取られ、後端開口部2aが開放される。
このとき、表示体14はその自重により前方に移動しようとするが、表示体14の両側面に設けられた凸部14aが付属具保持部材5の両側面に設けられたスリット5dに嵌入されているために、凸部14aがスリット5dの前端に当接して、付属具保持部材5からの表示体14の落下が防止され、表示体14もシャープペンシル100から抜き取られる。
芯8を後端開口部2aからシャープペンシル100内に落とし込むと、芯タンク7の後部が段状に拡径されて拡径部7bが形成されているために、芯8が芯タンク7内にスムーズに収容される。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持してキャップ4と連結されたままの付属具保持部材5と表示体14を後端開口部2aからシャープペンシル100内に挿入すると、芯タンク7の後端に設けられた嵌合部7aに付属具保持部材5の前端に形成された嵌合部5aが挿嵌されて、芯タンク7内への芯8の補充が完了する。
【0032】
次に、
図7、
図10を用いて、第2の実施の形態のシャープペンシル100の消しゴム6を使用する状態について詳細に説明する。
軸筒本体2を一方の手で把持し、もう一方の手でキャップ4を把持し、キャップ4を後方からみて反時計回りに回転させると、キャップ4が螺合した付属具保持部材5にも後方からみて反時計回りの力が加わるが、付属具保持部材5はその外周面に形成された複数の係合突起5bが軸筒本体2の後部内周面に形成された複数の係合溝2bに噛み合っているために周方向の力が加わっても軸筒本体2に対して回転しないので、キャップ4のみが回転して付属具保持部材5の後部外周面に設けられた雄螺子部5cとキャップ4の内周面に設けられた雌螺子部4aとの螺合が脱着され、付属具保持部材5に挿嵌された消しゴム6が露出して使用可能となる。
【0033】
本実施の形態では、シャープペンシル100に対してキャップ4を軸心方向の後方に向かって引くだけで、シャープペンシル100からキャップ4と消しゴム6と付属具保持部材5と表示体14とがまとめて脱着されて後端開口部2aを開放することができ、まずシャープペンシル100からキャップ4を取り外して机上に置き、次いで、消しゴム6もしくは消しゴム6が挿嵌された付属具保持部材5を取り外して机上に置くという二重の手数がなくなり、キャップ4や消しゴム6を保持した付属具保持部材5や表示体14を紛失することなく、容易に芯8を補充することができた。
また、第一の実施の形態と同様に、シャープペンシル100に対してキャップ4を周方向に向かって回転するだけで消しゴム6を露出することができ、消しゴム6の使用時と前記芯8の補充時とでシャープペンシル100の把持する部分を変えることがなかった。
また、表示体14の移動状態を軸筒本体2の窓部2cから視認することで、芯タンク7内に収容された予備芯81の有無ならびに消費状況を窓部2cから容易に確認することができた。
また、芯タンク7に拡径部7bが設けられているために、芯タンク7への芯補充も容易に行うことができた。
さらに、芯タンク7に予備芯81を収容した状態でシャープペンシル100を持ち歩いて振動が加わった場合や、シャープペンシル100に落下などによる衝撃が加わった場合にも、芯タンク7に拡径部7bが設けられているために、予備芯81の後端部が擦れることによる芯タンク7の内壁面汚れや、予備芯81の粉末による芯タンク7の内壁面汚れが生じにくく、芯タンク7ならびに窓部2cを透しての表示体14の移動状態の確認が容易であった。
さらにまた、予備芯81の粉末がチャック10内などに入り込むことによる芯詰まりなどが生じにくかった。
【符号の説明】
【0034】
1…第1の実施の形態のシャープペンシル、
2…軸筒本体、2a…後端開口部、2b…係合溝、2c…窓部、
3…先口、3a…先端開口部、3b…雌螺子部、
4…キャップ、4a…雌螺子部、
5…付属具保持部材、5a…嵌合部、5b…係合突起、5c…雄螺子部、5d…スリット、
6…消しゴム、
7…芯タンク、7a…嵌合部、7b…拡径部、7c…芯支持部、
8…芯、81…予備芯、
9…連結具、9a…雄螺子部、10…チャック、10a…チャック頭部、
11…締具、12…チャックスプリング、13…芯ホルダー、
14…表示体、14a…凸部
100…第2の実施の形態のシャープペンシル。