(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】外壁パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240111BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240111BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
E04F13/08 N
E04B1/61 502N
E04B1/94 L
(21)【出願番号】P 2022197765
(22)【出願日】2022-12-12
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 康寛
(72)【発明者】
【氏名】野田 智
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-240839(JP,A)
【文献】特許第6543667(JP,B2)
【文献】特許第2699054(JP,B2)
【文献】特開平06-210783(JP,A)
【文献】特開平05-306568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に配置される一端連結部と他端に配置される他端連結部とを備え、
前記一端連結部が係合溝を有し、
前記係合溝が底面および側面の対を有する外壁パネルであって、
前記他端連結部が、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する突出部と、
前記係合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記係合溝に対向するように配置され、前記突出部の先端に連なる片持梁部とを有し、
前記片持梁部の先端が、前記一端連結部の前記係合溝に前記他端連結部の前記片持梁部が嵌め込まれ前記一端連結部と前記他端連結部とが接触していると仮定した場合には、前記一端連結部の前記係合溝の前記側面の対の一方である受力側面の付け根が位置する方向を向いていることを特徴とする外壁パネル。
【請求項2】
前記突出部と前記片持梁部とが前記係合溝に沿って延びており、
前記突出部と前記片持梁部との間に、前記突出部と前記片持梁部との間から見て前記突出部の反対側が開いた開放空間が形成されており、
前記係合溝の前記受力側面が、前記一端連結部の前記係合溝に前記他端連結部の前記片持梁部が嵌め込まれ前記一端連結部と前記他端連結部とが接触していると仮定した場合に前記開放空間に対向することを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項3】
前記係合溝が、
前記底面と前記側面の対とを形成する溝本体部と、
前記溝本体部の前記底面の位置から見た場合の前記受力側面の裏側に配置され前記受力側面を補強する側面補強部とを有していることを特徴とする請求項2に記載の外壁パネル。
【請求項4】
前記一端連結部が、前記係合溝の前記底面の位置から見て前記受力側面の裏側に前記係合溝と並んで配置される嵌合溝を前記係合溝に加えて有し、
前記他端連結部が、前記嵌合溝の位置から見て前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向にて前記嵌合溝に対向するように配置され、かつ、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に沿って突出する耐火体をさらに有しており、
前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記耐火体の幅が、前記一端連結部から前記他端連結部へ向かう方向に直交する方向についての前記嵌合溝の幅未満であることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【請求項5】
前記係合溝が、
前記底面と前記側面の対とを形成する溝本体部と、
前記溝本体部の前記底面の位置から見た場合の前記受力側面の裏側へ向かって前記受力側面から突出する嵌合溝側突出部とを有しており、
前記受力側面が前記底面から片持梁状に突出していることを特徴とする請求項4に記載の外壁パネル。
【請求項6】
前記受力側面が前記底面から片持梁状に突出しており、
前記受力側面のうち前記嵌合溝側に、前記受力側面の縁側が高く付け根側が低い段差が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の外壁パネル。
【請求項7】
前記他端連結部が、前記耐火体の両脇を塞ぐよう配置される複数の耐火目地材をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の外壁パネル。
【請求項8】
前記
耐火目地材の圧縮強度が、前記外壁パネルの前記一端連結部と前記他端連結部とに挟まれる区間の前記圧縮強度より大きいことを特徴とする請求項7に記載の外壁パネル。
【請求項9】
前記他端連結部が、前記耐火体のうち前記突出部の位置から見た場合の裏側にて前記耐火体に接する金属製の耐火体支持部をさらに有していることを特徴とする請求項4に記載の外壁パネル。
【請求項10】
前記突出部が金属製であり、
前記片持梁部が金属製であることを特徴とする請求項1に記載の外壁パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は外壁パネルの接続構造を開示する。その外壁パネルは、二枚の金属外皮の間に芯材を設けたものである。この外壁パネルの一方の端部には複数の嵌合凸部がパネル厚み方向に所定の間隔をおいて設けられる。他方の端部には複数の嵌合凹部がパネル厚み方向に所定の間隔をおいて設けられる。上述された外壁パネルの接続構造は、隣接する2枚のサンドイッチパネルを嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合により接続したものである。少なくとも1つの嵌合凹部の屋内側の側壁の屋外側面に係止用凸部が設けられる。この嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部の屋内側面に、被係止用凹部が設けられる。その被係止用凹部には、上述された嵌合凹部が嵌合位置から屋外側にずれた際に係止用凸部が係止される。特許文献1に開示されている外壁パネルの接続構造は、風荷重によって負圧がかかった場合でも凹凸嵌合による接続が外れにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された外壁パネルの接続構造には、その接続を外れにくくできる一方、嵌合凹部と嵌合凸部との簡素化が困難という問題点がある。すなわち、特許文献1に開示された外壁パネルの接続構造においては、被係止用凹部へ係止用凸部が係止されることで凹凸嵌合による接続が外れにくくなっている。それを可能とするため、被係止用凹部と係止用凸部とは十分な強度を有するものとなる。そのことが、嵌合凹部と嵌合凸部との簡素化を困難にしている。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するものである。その目的は、連結に関わる部分の構造が簡素化された外壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外壁パネルが説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述された課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、外壁パネル30,32,34,36は、一端に配置される一端連結部56,256,356,456と他端に配置される他端連結部58,258,358,458とを備える。一端連結部56,256,356,456が、係合溝70,270,370,470を有する。係合溝70,270,370,470は底面110,310,410,510および側面112,114,312,314,412,414,512,514の対を有する。他端連結部58,258,358,458が、突出部130,320,420,520と、片持梁部132,322,422,522とを有する。突出部130,320,420,520は、係合溝70,270,370,470の位置から見て一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向にて係合溝70,270,370,470に対向するように配置される。突出部130,320,420,520は、一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向に沿って突出する。片持梁部132,322,422,522は、係合溝70,270,370,470の位置から見て一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向にて係合溝70,270,370,470に対向するように配置される。片持梁部132,322,422,522は、突出部130,320,420,520の先端に連なる。次に述べられる2種類の仮定が成り立つ場合には、片持梁部132,322,422,522の先端が、受力側面112,312,412,512の付け根が位置する方向を向いている。それら2種類の仮定の一方は、一端連結部56,256,356,456の係合溝70,270,370,470に他端連結部58,258,358,458の片持梁部132,322,422,522が嵌め込まれるというものである。それら2種類の仮定の他方は、一端連結部56,256,356,456と他端連結部58,258,358,458とが接触しているというものである。受力側面112,312,412,512は、一端連結部56,256,356,456の係合溝70,270,370,470の側面112,114,312,314,412,414,512,514の対の一方である。
【0008】
本発明にかかる外壁パネル30,32,34,36の対が建築物20などに固定されているとする。その際、それらの外壁パネル30,32,34,36の受力側面112,312,412,512が建築物20の屋内側に配置されるとする。さらに、それらの外壁パネル30,32,34,36の対の一方の一端連結部56,256,356,456と他方の他端連結部58,258,358,458との接続が前者にかかる負圧により外れそうになるとする。その場合、前者の係合溝70,270,370,470の受力側面112,312,412,512は、後者の片持梁部132,322,422,522に近づく。その際、後者の片持梁部132,322,422,522の先端が、前者の係合溝70,270,370,470の受力側面112,312,412,512の付け根方向を向いていることとなる。この状態となっているので、後者の片持梁部132,322,422,522の先端がその付け根に嵌り込む。この状態で前者の外壁パネル30,32,34,36へ引き続き負圧がかかっていると、前者の係合溝70,270,370,470は後者の片持梁部132,322,422,522をめくり上げようとする。後者の片持梁部132,322,422,522は、そのようにめくり上げられようとすることに伴って前者の係合溝70,270,370,470へ反力を与える。反力が与えられるので、前者の係合溝70,270,370,470は後者の片持梁部132,322,422,522に押しとどめられる。前者の係合溝70,270,370,470が押しとどめられるので、前者が上述された負圧によってめくりあがることは抑制される。片持梁部132,322,422,522によって外壁パネル30,32,34,36のめくり上げが押しとどめられることとなっているので、外壁パネル30,32,34,36のめくり上げを抑制するための構造は簡素化されたものとなっている。その結果、連結に関わる部分の構造が簡素化された外壁パネル30,32,34,36が提供される。
【0009】
もしくは、上述された突出部130,320,520と片持梁部132,322,522とが係合溝70,270,470に沿って延びていることが望ましい。この場合、突出部130,320,520と片持梁部132,322,522との間に開放空間160,360,560が形成されていることが望ましい。開放空間160,360,560は、突出部130,320,520と片持梁部132,322,522との間から見て突出部130,320,520の反対側が開いたものである。この場合、次に述べられる2種類の仮定が成り立つと、係合溝70,270,470の受力側面112,312,512が開放空間160,360,560に対向することが望ましい。それら2種類の仮定の一方は、一端連結部56,256,456の係合溝70,270,470に他端連結部58,258,458の片持梁部132,322,522が嵌め込まれるというものである。それら2種類の仮定の他方は、一端連結部56,256,456と他端連結部58,258,458とが接触しているというものである。
【0010】
本発明にかかる外壁パネル30,32,36の対の一方の一端連結部56,256,456と他方の他端連結部58,258,458とが接続されるとする。この場合、前者の係合溝70,270,470に後者の他端連結部58,258,458の片持梁部132,322,522が嵌め込まれる。また、前者の一端連結部56,256,456と後者の他端連結部58,258,458とが接触する。これらにより、前者の係合溝70,270,470の受力側面112,312,512が後者において形成される開放空間160,360,560に対向する。一端連結部56,256,456から他端連結部58,258,458へ向かう方向に沿って後者の突出部130,320,520が突出する。後者の突出部130,320,520と後者の片持梁部132,322,522とは、前者の係合溝70,270,470に沿って延びることとなる。これらにより、上述された開放空間160,360,560が前者の係合溝70,270,470の受力側面112,312,512と後者の突出部130,320,520および片持梁部132,322,522とに挟まれることとなる。開放空間160,360,560が挟まれると、前者が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の受力側面112,312,512が後者の開放空間160,360,560に進入することとなる。そのような進入が生じた結果、前者が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の受力側面112,312,512が後者の突出部130,320,520に接触すると、次に述べられる可能性が向上する。その可能性は、前者の受力側面112,312,512が後者の突出部130,320,520と片持梁部132,322,422,522とに接触して押しとどめられる可能性である。その結果、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが一層抑制される。前者が上述された負圧によってめくりあがろうとする場合だけでなく、例えば火事による熱変形といった原因により前者の受力側面112,312,512が後者の開放空間160,360,560に進入することがある。そのような進入が生じた結果、前者の受力側面112,312,512が後者の突出部130,320,520に接触することもある。その接触があった場合、開放空間160,360,560が塞がれる。開放空間160,360,560が塞がれるので、外壁パネル30,32,34,36の耐火性能が向上する。
【0011】
もしくは、上述された係合溝70が、溝本体部90と、側面補強部92とを有していることが望ましい。溝本体部90は、底面110と側面112,114の対とを形成する。側面補強部92は、溝本体部90の底面110の位置から見た場合の受力側面112の裏側に配置される。側面補強部92は、受力側面112を補強する。
【0012】
本発明にかかる外壁パネル30の対の一方の一端連結部56と他方の他端連結部58との接続が前者にかかる負圧により外れそうになるとする。その場合、前者の係合溝70は後者の片持梁部132に押しとどめられる。その際、前者の係合溝70の受力側面112は撓み難い。前者の受力側面112が側面補強部92によって補強されるためである。前者の受力側面112が撓み難いため、その受力側面112が撓むことにより前者の係合溝70が後者の片持梁部132から外れてしまう恐れが小さくなる。その結果、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが一層抑制される。
【0013】
もしくは、上述された一端連結部56,256,356,456が、係合溝70,270,370,470に加え、嵌合溝72,272,372,472を有していることが望ましい。嵌合溝72,272,372,472は、係合溝70,270,370,470の底面110,310,410,510の位置から見て受力側面112,312,412,512の裏側に係合溝70,270,370,470と並んで配置される。この場合、他端連結部58,258,358,458が、耐火体134,334,434,534をさらに有していることが望ましい。耐火体134,334,434,534は、嵌合溝72,272,372,472の位置から見て一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向にて嵌合溝72,272,372,472に対向するように配置される。耐火体134,334,434,534は、一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向に沿って突出する。一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向に直交する方向についての耐火体134,334,434,534の幅が、一端連結部56,256,356,456から他端連結部58,258,358,458へ向かう方向に直交する方向についての嵌合溝72,272,372,472の幅未満である。
【0014】
本発明にかかる外壁パネル30,32,34,36の対の一方の一端連結部56,256,356,456と他方の他端連結部58,258,358,458とが接続されるとき、前者の嵌合溝72,272,372,472に後者の耐火体134,334,434,534が進入する。これにより、耐火性能が確保される。
【0015】
もしくは、上述された係合溝270が、溝本体部290と、嵌合溝側突出部292とを有していることが望ましい。溝本体部290は、底面310と側面312,314の対とを形成する。嵌合溝側突出部292は、溝本体部290の底面310の位置から見た場合の受力側面312の裏側へ向かって受力側面312から突出する。この場合、上述された受力側面312が、底面310から片持梁状に突出していることが望ましい。
【0016】
受力側面312が、底面310から片持梁状に突出している。嵌合溝側突出部292が、溝本体部290の底面310の位置から見た場合の受力側面312の裏側へ向かって受力側面312から突出する。これにより、次に述べられる場合、溝本体部290の受力側面312は耐火体134から反力を受けて溝本体部290のうち側面312,314の対の他方側へ押されることがある。その場合とは、本発明にかかる外壁パネル32の対の一方の一端連結部256と他方の他端連結部258との接続が上述された負圧により外れようとする場合である。溝本体部290の受力側面312が反力を受けると、その受力側面312は押し上げられる。これにより、その溝本体部290へ他の外壁パネル32の片持梁部322が進入してもその溝本体部290は撓み難いものとなる。撓み難いものとなるので、その溝本体部290は他の外壁パネル32の片持梁部322から大きな反力を受けやすくなる。その結果、上述されためくり上がりがさらに抑制される。
【0017】
もしくは、上述された受力側面412が、底面410から片持梁状に突出していることが望ましい。この場合、受力側面412のうち嵌合溝372側に、受力側面412の縁450側が高く付け根452側が低い段差430が形成されていることが望ましい。
【0018】
本発明にかかる外壁パネル34の対の一方の一端連結部356と他方の他端連結部358との接続が上述された負圧により外れようとしているとする。この場合において、係合溝370の受力側面412が耐火体334から力を受けて押されることがある。その際、受力側面412に上述された段差430が設けられていると、耐火体334がその段差430に係合しやすくなる。耐火体334がその段差430に係合しやすくなると、その係合溝370へ他の外壁パネル34の片持梁部422が進入してもその係合溝370は撓み難いものとなる。撓み難いものとなるので、その係合溝370は他の外壁パネル34の片持梁部422から大きな反力を受けやすくなる。その結果、上述されためくり上がりがさらに抑制される。
【0019】
もしくは、上述された他端連結部58,258,358,458が、複数の耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540をさらに有していることが望ましい。それら複数の耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540は、耐火体134,334,434,534の両脇を塞ぐよう配置される。
【0020】
耐火体134,334,434,534の両脇が複数の耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540によって塞がれる。これにより、火災などによって生じた熱に起因する外壁パネル30,32,34,36の内部の温度上昇が抑えられる。その温度上昇が抑えられるので、外壁パネル30,32,34,36の耐火性能が向上する。
【0021】
もしくは、上述された耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540の圧縮強度が、一端連結部56,256,356,456と他端連結部58,258,358,458とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいことが望ましい。
【0022】
外壁パネル30,32,34,36が建築物20などに固定されるにあたり、その固定のためのビスなどが耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540の対と耐火体134,334,434,534とを貫通するとする。その場合、その貫通に伴う外壁パネル30,32,34,36の表面の陥没は、そのビスなどが一端連結部56,256,356,456と他端連結部58,258,358,458とに挟まれる区間を貫通する場合に比べて抑えられる。耐火目地材138,140,338,340,438,440,538,540の圧縮強度が大きいためである。その結果、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。
【0023】
もしくは、上述された他端連結部58,258,358,458が、金属製の耐火体支持部136,336,436,536をさらに有していることが望ましい。耐火体支持部136,336,436,536は、耐火体134,334,434,534のうち突出部130,320,420,520の位置から見た場合の裏側にて耐火体134,334,434,534に接する。
【0024】
耐火体支持部136,336,436,536が耐火体134,334,434,534に接すると、耐火体134,334,434,534に曲げモーメントがかかる際に耐火体134,334,434,534に対するその曲げモーメントの影響を抑え得る。その曲げモーメントの影響が抑えられると、その曲げモーメントの影響で耐火体134,334,434,534が破壊される可能性が小さくなる。
【0025】
もしくは、上述された突出部130,320,420,520が金属製であることが望ましい。この場合、片持梁部132,322,422,522が金属製であることが望ましい。
【0026】
本発明にかかる外壁パネル30,32,34,36の対の一方の一端連結部56,256,356,456と他方の他端連結部58,258,358,458との接続が前者にかかる負圧により外れそうになるとする。その場合、突出部130,320,420,520と片持梁部132,322,422,522とが金属製であると、これらは塑性変形後も前者の係合溝70,270,370,470を押しとどめる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、連結に関わる部分の構造が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネルの役割が示される概念図である。
【
図2】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【
図6】本発明の第2実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【
図10】本発明の第3実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【
図14】本発明の第4実施形態にかかる外壁パネルの断面図である。
【
図17】本発明の第4実施形態にかかる外壁パネル同士が接続された状況が示される図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態にかかる外壁パネル30の役割が示される概念図である。
図1に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル30の役割が説明される。
【0031】
本実施形態にかかる外壁パネル30は建築物20の外壁に配置される。外壁パネル30は縦横に並ぶように配置されている。したがって、ある外壁パネル30の上に他の外壁パネル30が配置される。前者の外壁パネル30の下にさらに別の外壁パネル30が配置される。
【0032】
図2は、本実施形態にかかる外壁パネル30の断面図である。
図2に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル30の構成が説明される。
【0033】
図2に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル30は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部56と、他端連結部58と、防水材60とを備える。
【0034】
外皮部50は、建築物20の外壁となる位置に配置される。外皮部50は、金属板が屈曲することにより形成される。本実施形態の場合、その金属板は鋼板である。
【0035】
内皮部52は、外皮部50に対向する。その結果、内皮部52は外皮部50から見て建築物20の内側となる位置に配置される。内皮部52も、金属板が屈曲することにより形成される。本実施形態の場合、内皮部52を形成するための金属板も鋼板である。
【0036】
皮間部54は、外皮部50と内皮部52との間に配置される。皮間部54は、外皮部50と内皮部52との基部となる。本実施形態の場合、外皮部50と内皮部52とは皮間部54に接着されている。本実施形態の場合、皮間部54は、耐火性(耐熱性、難燃性、不燃性)を有する周知の素材からなる。
【0037】
一端連結部56は、外壁パネル30の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部56は外壁パネル30の下端に配置されるように用いられる。本実施形態にかかる一端連結部56は、外皮部50を構成する鋼板の一部と、内皮部52を構成する鋼板の一部と、皮間部54を構成する部材の一部とからなる。本実施形態における一端連結部56の具体的な構成は後述される。
【0038】
他端連結部58は、外壁パネル30の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部58は外壁パネル30の上端に配置されるように用いられる。本実施形態にかかる他端連結部58は、外皮部50を構成する鋼板の一部と、内皮部52を構成する鋼板の一部と、周知の耐火材とからなる。本実施形態における他端連結部58の具体的な構成も後述される。
【0039】
本実施形態の場合、防水材60は、後述される溝本体部90の内部ひいては後述される係合溝70が形成する空間内に配置される。本実施形態の場合、防水材60が、他端連結部58から一端連結部56へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態における防水材60の素材は周知のものと同様である。したがってその詳細な説明は繰り返されない。
【0040】
図3は、
図2のA部拡大図である。
図2と
図3とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部56の具体的な構成が説明される。
【0041】
本実施形態の場合、一端連結部56は、係合溝70と、嵌合溝72とを有する。係合溝70は、他の外壁パネル30の他端連結部58のある一部が進入するための溝である。本実施形態の場合、係合溝70は建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。嵌合溝72は、外壁パネル30が建築物20に設置されたとき係合溝70から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝70と並んで配置される。嵌合溝72は、他端連結部58の他の一部が進入するための溝である。本実施形態の場合、嵌合溝72は上述された皮間部54の一部からなる。
【0042】
本実施形態の場合、係合溝70が、溝本体部90と、側面補強部92とを有している。
【0043】
溝本体部90は、底面110と受力側面112と対向側面114とを形成する。受力側面112と対向側面114とは溝本体部90が形成する側面の対である。受力側面112は底面110の位置から見て嵌合溝72側に配置される。上述されたように、嵌合溝72は、外壁パネル30が建築物20に設置されたとき係合溝70から見て屋内側となる箇所へ配置される。このため、受力側面112も建築物20に設置されたとき底面110から見て屋内側となる箇所へ配置されることとなる。本実施形態の場合、受力側面112は、他端連結部58から一端連結部56を見るとき、後述される片持梁部132よりも嵌合溝72側に配置される。対向側面114は受力側面112に対向する。
【0044】
側面補強部92は、溝本体部90の底面110の位置から見た場合の受力側面112の裏側に配置される。側面補強部92は、受力側面112に接する。本実施形態の場合、側面補強部92は上述された皮間部54の一部からなる。側面補強部92は受力側面112を補強する。
【0045】
図4は、
図2のB部拡大図である。
図2と
図4とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部58の具体的な構成が説明される。
【0046】
本実施形態の場合、他端連結部58は、突出部130と、片持梁部132と、耐火体134と、耐火体支持部136と、第1耐火目地材138と、第2耐火目地材140とを有する。
【0047】
突出部130は、係合溝70の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に配置される。突出部130は、その方向にて係合溝70に対向するように配置される。突出部130は、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に沿って突出する。
【0048】
片持梁部132は、係合溝70の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向にて係合溝70に対向するように配置される。片持梁部132は、突出部130の先端に連なる。片持梁部132の先端は、後述される所定の方向を向いている。
【0049】
本実施形態の場合、突出部130および片持梁部132は、外皮部50を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる突出部130および片持梁部132は金属製である。
【0050】
上述されたように、本実施形態の場合、係合溝70は建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。本実施形態の場合、突出部130と片持梁部132とは、その係合溝70に沿って延びている。したがって、突出部130および片持梁部132もまた建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びていることとなる。本実施形態の場合、突出部130と片持梁部132との間に、開放空間160が形成されている。本実施形態の場合、開放空間160のうち、突出部130と片持梁部132との間から見て突出部130とは反対側が開いている。
【0051】
耐火体134は、嵌合溝72の位置から見て一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に配置される。耐火体134は、その方向にて嵌合溝72に対向するように配置される。耐火体134は、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部56から他端連結部58へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体134の幅は、その方向についての嵌合溝72の幅未満である。耐火体134は、周知の耐火材からなる。
【0052】
耐火体支持部136は、耐火体134のうち突出部320の位置から見た場合の裏側にて耐火体134に接する。本実施形態の場合、耐火体支持部136は内皮部52を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる耐火体支持部136は金属製である。
【0053】
第1耐火目地材138は、耐火体134の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材140は、耐火体134の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材138と第2耐火目地材140とからなる耐火目地材の対は、耐火体134の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材138および第2耐火目地材140は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材138と第2耐火目地材140との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材138と第2耐火目地材140との圧縮強度は、一端連結部56と他端連結部58とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0054】
[施工手順の説明]
以下、本実施形態にかかる外壁パネル30の施工手順が説明される。まず、周知の手順により建築物20の最下部において本実施形態にかかるある外壁パネル30が建築物20へ取付けられる。本実施形態にかかる外壁パネル30が建築物20へ取付けられると、その外壁パネル30の上へ本実施形態にかかる他の外壁パネル30が載せられる。そのための具体的な手順は周知である。したがってここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0055】
建築物20の最下部において建築物20へ取付けられた外壁パネル30の上へ他の外壁パネル30が載せられると、前者の外壁パネル30の他端連結部58は後者の外壁パネル30の一端連結部56へ進入する。
【0056】
前者の外壁パネル30の他端連結部58が後者の外壁パネル30の一端連結部56へ進入することに伴い、その他端連結部58の突出部130および片持梁部132はその一端連結部56の係合溝70内へ進入する。その他端連結部58の耐火体134および耐火体支持部136はその一端連結部56の嵌合溝72内へ進入する。
【0057】
その突出部130および片持梁部132がその係合溝70内へ進入すると、その突出部130および片持梁部132はその係合溝70内の防水材60に接触する。これにより、その突出部130および片持梁部132はその防水材60に押付けられることとなる。
図5は、それら外壁パネル30同士が接続された状況が示される図である。なお、
図5においては図示されていないが、前者すなわち
図5において下側に設置されている外壁パネル30は、その耐火体134と第1耐火目地材138と第2耐火目地材140とを周知のビスが貫通することにより建築物20の躯体に固定される。
【0058】
図5において示されているように、後者の外壁パネル30の一端連結部56の係合溝70に前者の外壁パネル30の他端連結部58の片持梁部132が嵌め込まれている。さらに、後者の外壁パネル30の一端連結部56と前者の外壁パネル30の他端連結部58とが接触している。この場合に、前者の外壁パネル30の片持梁部132の先端が、後者の外壁パネル30の係合溝70の受力側面112の付け根が位置する方向を向いている。このことに基づき、1枚の外壁パネル30において次のことを仮定する。それは、一端連結部56の係合溝70に他端連結部58の片持梁部132が嵌め込まれ一端連結部56と他端連結部58とが接触しているというものである。この仮定の下では、片持梁部132の先端が一端連結部56の係合溝70の受力側面112の付け根が位置する方向を向く。ここで言う受力側面112の付け根が位置する方向とは、突出部130の先端の位置から見て係合溝70の受力側面112側であって受力側面112の先端よりも受力側面112の付け根寄りの方向を意味する。本実施形態にかかる外壁パネル30において、片持梁部132の先端はこのような方向を向いている。
【0059】
また、
図5において示されているように、後者の外壁パネル30の一端連結部56の係合溝70に前者の外壁パネル30の他端連結部58の片持梁部132が嵌め込まれている。上述されたように、後者の外壁パネル30の一端連結部56と前者の外壁パネル30の他端連結部58とが接触している。この場合において、後者の外壁パネル30の係合溝70の受力側面112は、前者の外壁パネル30の開放空間160に対向している。このことに基づき、1枚の外壁パネル30において上述したものと同じことを仮定する。この仮定の下では、一端連結部56の係合溝70に他端連結部58の片持梁部132が嵌め込まれ一端連結部56と他端連結部58とが接触している場合には、係合溝70の受力側面112は、開放空間160に対向する。本実施形態にかかる外壁パネル30において、係合溝70の受力側面112はこのように配置されている。
【0060】
外壁パネル30同士が接続されると、後者の外壁パネル30は建築物20の図示されない躯体に固定される。そのために、後者の外壁パネル30のうち耐火体134と第1耐火目地材138と第2耐火目地材140とを図示されない周知のビスが貫通する。その貫通の具体手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。以下、同様の工程が繰り返されることで建築物20の外壁が形成される。
【0061】
[本実施形態にかかる効果の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル30によって外壁が形成された建築物20の回りに風が吹くなどしてそれらの外壁パネル30のうち他の外壁パネル30の上に載せられているものに負圧がかかったとする。その場合、それら外壁パネル30のうちある外壁パネル30は他の外壁パネル30の上に載っていることとなる。その場合、後者の外壁パネル30の耐火体134が前者の外壁パネル30の嵌合溝72に嵌まっている。このことから、当初、前者の外壁パネル30の嵌合溝72が後者の外壁パネル30の耐火体134から反力を受ける。これにより、それら外壁パネル30の接続が維持される。
【0062】
次いで、後者の外壁パネル30も負圧によって建築物20から外れようとしたとする。併せて、前者の外壁パネル30の嵌合溝72が後者の耐火体134から受ける反力に耐えられず破壊されたとする。これにより、それら外壁パネル30の接続が維持できなくなる。その破壊により後者の耐火体134が前者の嵌合溝72から外れると、前者の係合溝70の受力側面112は、後者の片持梁部132に近づく。その際、後者の片持梁部132の先端が、前者の係合溝70の受力側面112の付け根方向を向いていることとなる。この状態となっているので、後者の片持梁部132の先端がその付け根に嵌り込む。この状態で前者の外壁パネル30へ引き続き負圧がかかっていると、前者の係合溝70は後者の片持梁部132をめくり上げようとする。後者の片持梁部132は、そのようにめくり上げられようとすることに伴って前者の係合溝70へ反力を与える。反力が与えられるので、前者の係合溝70は後者の片持梁部132に押しとどめられる。前者の係合溝70が押しとどめられるので、前者が上述された負圧によってめくりあがることは抑制される。片持梁部132によって外壁パネル30のめくり上げが押しとどめられることとなっているので、外壁パネル30のめくり上げを抑制するための構造は簡素化されたものとなっている。その結果、連結に関わる部分の構造が簡素化された外壁パネル30が提供される。
【0063】
また、本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、それらの一方の係合溝70の受力側面112がそれらの他方において形成される開放空間160に対向する。本実施形態にかかる外壁パネル30においては、その開放空間160が前者の係合溝70の受力側面112と後者の突出部130および片持梁部132とに挟まれることとなる。開放空間160が挟まれると、前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の受力側面112が後者の開放空間160に進入することとなる。そのような進入が生じた結果、前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする際、前者の受力側面112が後者の突出部130に接触すると、後者の開放空間160が塞がれる。これにより、この箇所における耐火性能が向上する。前者の受力側面112が後者の開放空間160に進入するのは前者の外壁パネル30が上述された負圧によってめくりあがろうとする場合に限られない。本実施形態にかかる外壁パネル30の対が高温に晒された場合にも前者の受力側面112は後者の開放空間160に進入し得る。本実施形態にかかる外壁パネル30の対が高温に晒される場合の例には火災がある。そのようにして前者の受力側面112が後者の開放空間160に進入した場合にも後者の開放空間160は塞がれる。この場合にもこの箇所における耐火性能が向上する。
【0064】
また、本実施形態にかかる外壁パネル30の対の一方の一端連結部56と他方の他端連結部58との接続が前者にかかる負圧により外れそうになるとする。その場合、前者の係合溝70は後者の片持梁部132に押しとどめられる。その際、前者の係合溝70の受力側面112は撓み難い。前者の受力側面112が、これに接する側面補強部92によって補強されるためである。前者の受力側面112が撓み難いため、その受力側面112が撓むことにより前者の係合溝70が後者の片持梁部132から外れてしまう恐れが小さくなる。その結果、連結に関わる部分の構造が共通する物同士が接続された状態でそれらの一方が負圧によりめくり上がることが一層抑制される。
【0065】
本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、一方の嵌合溝72に他方の耐火体134が進入する。これにより、それら外壁パネル30の対における耐火性能が確保される。その結果、本実施形態にかかる外壁パネル30の対が互いに接続されるとき、これらは高い耐火性能を発揮することとなる。
【0066】
本実施形態にかかる外壁パネル30の他端連結部58において、耐火体134の両脇が第1耐火目地材138と第2耐火目地材140とによって塞がれる。これにより、火災などによって生じた熱に起因する外壁パネル30の内部の温度上昇が抑えられる。その温度上昇が抑えられるので、外壁パネル30の耐火性能が向上する。
【0067】
本実施形態にかかる外壁パネル30が建築物20などに固定されるにあたり、ビスが第1耐火目地材138と第2耐火目地材140と耐火体134とを貫通する。その場合、その貫通に伴う外壁パネル30の表面の陥没は、次に述べられる場合に比べて抑えられる。その場合とは、そのビスなどが次に述べられる区間を貫通する場合である。その区間は、外壁パネル30の一端と他端とに挟まれる区間である。ここで言う外壁パネル30の一端と他端とに挟まれる区間とは、皮間部54が外皮部50と内皮部52との間に配置されている区間のことである。ビスの貫通に伴う外壁パネル30の表面の陥没が抑えられるのは、第1耐火目地材138と第2耐火目地材140との圧縮強度が大きいためである。その結果、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。
【0068】
本実施形態にかかる外壁パネル30において耐火体支持部136が耐火体134に接すると、耐火体134に曲げモーメントがかかる際に耐火体134に対するその曲げモーメントの影響を抑え得る。その曲げモーメントの影響が抑えられると、その曲げモーメントの影響で耐火体134が破壊される可能性が小さくなる。
【0069】
本実施形態にかかる外壁パネル30において、突出部130と片持梁部132とは鋼板製である。これにより、これらは塑性変形後も係合溝70を押しとどめられている。
【0070】
<第2実施形態>
図6は、本実施形態にかかる外壁パネル32の断面図である。
図6に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル32の構成が説明される。
【0071】
図6に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル32は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部256と、他端連結部258と、防水材60とを備える。
【0072】
一端連結部256は、外壁パネル32の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部256は外壁パネル32の下端に配置されるように用いられる。本実施形態における一端連結部256の具体的な構成は後述される。
【0073】
他端連結部258は、外壁パネル32の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部258は外壁パネル32の上端に配置されるように用いられる。本実施形態における他端連結部258の具体的な構成も後述される。
【0074】
図7は、
図6のA部拡大図である。
図6と
図7とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部256の具体的な構成が説明される。
【0075】
本実施形態の場合、一端連結部256は、係合溝270と、嵌合溝272とを有する。係合溝270は、他の外壁パネル32の他端連結部258のある一部が進入するための溝である。嵌合溝272は係合溝270と並んで配置される。本実施形態の場合、係合溝270は外壁パネル32が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。嵌合溝272は、外壁パネル32が建築物20に設置されたとき係合溝270から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝270と並んで配置される。嵌合溝272は、その他端連結部258の他の一部が進入するための溝である。
【0076】
本実施形態の場合、係合溝270が、溝本体部290と、嵌合溝側突出部292とを有している。
【0077】
溝本体部290は、底面310と受力側面312と対向側面314とを形成する。受力側面312と対向側面314とは溝本体部290が形成する側面の対である。受力側面312は底面310の位置から見て嵌合溝272側に配置される。上述されたように、嵌合溝272は、外壁パネル32が建築物20に設置されたとき係合溝270から見て屋内側となる箇所へ配置される。このため、受力側面312も外壁パネル32が建築物20に設置されたとき底面310から見て屋内側となる箇所へ配置されることとなる。本実施形態の場合、受力側面312は、底面310から片持梁状に突出している。受力側面312は他の外壁パネル32の他端連結部258から反力を受ける。その反力を受けることで本実施形態にかかる受力側面312は撓むことができる。本実施形態の場合、受力側面312は、他端連結部258から一端連結部256を見るとき、後述される片持梁部322よりも嵌合溝272側に配置される。対向側面314は受力側面312に対向する。
【0078】
嵌合溝側突出部292は、溝本体部290の底面310の位置から見た場合の受力側面312の裏側へ向かって受力側面312から突出する。
図7に示されているように、本実施形態の場合、嵌合溝側突出部292の付け根は、係合溝270から嵌合溝272へ向かう方向に延びている。嵌合溝側突出部292の先端は、一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に沿うよう延びている。これに伴い、
図7に示されているように、嵌合溝側突出部292の付け根は屈曲している。なお、本実施形態の場合、嵌合溝側突出部292の先端は、嵌合溝272のうち係合溝270側の縁332の位置から見て受力側面312とは反対側に配置されている。
【0079】
本実施形態の場合、上述された防水材60は、溝本体部290の内部ひいては係合溝270が形成する空間内に配置される。本実施形態の場合、防水材60が、他端連結部258から一端連結部256へ向かう方向に沿って突出する。
【0080】
図8は、
図6のB部拡大図である。
図6と
図8とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部258の具体的な構成が説明される。
【0081】
本実施形態の場合、他端連結部258は、突出部320と、片持梁部322と、耐火体334と、耐火体支持部336と、第1耐火目地材338と、第2耐火目地材340とを有する。
【0082】
突出部320は、係合溝270の位置から見て一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向にて係合溝270に対向するように配置される。突出部320は、一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に沿って突出する。
【0083】
片持梁部322は、係合溝270の位置から見て一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向にて係合溝270に対向するように配置される。片持梁部322は、突出部320の先端に連なる。片持梁部132の先端は、後述される所定の方向を向いている。
【0084】
本実施形態の場合、突出部320および片持梁部322は、外皮部50を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる突出部320および片持梁部322は金属製である。
【0085】
上述されたように、本実施形態の場合、係合溝270は外壁パネル32が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。本実施形態の場合、突出部320と片持梁部322とは、その係合溝270に沿って延びている。その結果、突出部320および片持梁部322もまた、外壁パネル32が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びることとなる。本実施形態の場合、突出部320と片持梁部322との間に、開放空間360が形成されている。本実施形態の場合、開放空間360のうち、突出部320と片持梁部322との間から見て突出部320とは反対側が開いている。
【0086】
耐火体334は、嵌合溝272の位置から見て一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に配置される。耐火体334は、その方向にて嵌合溝272に対向するように配置される。耐火体334は、一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部256から他端連結部258へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体334の幅は、その方向についての嵌合溝272の幅未満である。耐火体334は、周知の耐火材からなる。
【0087】
耐火体支持部336は、耐火体334のうち突出部320の位置から見た場合の裏側にて耐火体334に接する。本実施形態の場合、耐火体支持部136は内皮部52を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる耐火体支持部136は金属製である。
【0088】
第1耐火目地材338は、耐火体334の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材340は、耐火体334の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材338と第2耐火目地材340とからなる耐火目地材の対は、耐火体334の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材338および第2耐火目地材340は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材338と第2耐火目地材340との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材338と第2耐火目地材340との圧縮強度は、一端連結部256と他端連結部258とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0089】
その他の点は第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0090】
[施工手順の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル32の施工手順は第1実施形態にかかる外壁パネル30のものと同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
図9は、本実施形態にかかる外壁パネル32同士が接続された状況が示される図である。
【0091】
図9から明らかな通り、本実施形態においても、片持梁部322の先端は次に述べられる方向を向いている。すなわち、一端連結部256の係合溝270に他端連結部258の片持梁部322が嵌め込まれ一端連結部256と他端連結部258とが接触しているとまず仮定される。この仮定の下では、本実施形態にかかる片持梁部322の先端は一端連結部256の係合溝270の受力側面312の付け根が位置する方向を向く。ここで言う受力側面312の付け根が位置する方向とは、突出部320の先端の位置から見て係合溝270の受力側面312側であって受力側面312の先端よりも受力側面312の付け根寄りの方向を意味する。本実施形態にかかる外壁パネル30において、片持梁部322の先端はこのような方向を向いている。
【0092】
[本実施形態にかかる効果の説明]
第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル32も連結に関わる部分の構造が簡素化され、耐火性能は向上し、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。さらに、耐火体334が破壊される可能性が小さくなる。
【0093】
また、本実施形態にかかる外壁パネル32の場合、溝本体部290の受力側面312は他の外壁パネル32の耐火体334から反力を受けて対向側面314側へ押されることがある。溝本体部290の受力側面312がそのような反力を受けると、その受力側面312は押し上げられる。これにより、その溝本体部290へ他の外壁パネル32の片持梁部322が進入してもその溝本体部290は撓み難いものとなる。撓み難いものとなるので、その溝本体部290は他の外壁パネル32の片持梁部322から大きな反力を受けやすくなる。その結果、外壁パネル32のめくり上がりが抑制される。
【0094】
<第3実施形態>
図10は、本実施形態にかかる外壁パネル34の断面図である。
図10に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル34の構成が説明される。
【0095】
図10に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル34は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部356と、他端連結部358と、防水材60を備える。
【0096】
一端連結部356は、外壁パネル34の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部356は外壁パネル34の下端に配置されるように用いられる。本実施形態における一端連結部356の具体的な構成は後述される。
【0097】
他端連結部358は、外壁パネル34の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部358は外壁パネル34の上端に配置されるように用いられる。本実施形態における他端連結部358の具体的な構成も後述される。
【0098】
図11は、
図10のA部拡大図である。
図10と
図11とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部356の具体的な構成が説明される。
【0099】
本実施形態の場合、一端連結部356は、係合溝370と、嵌合溝372とを有する。係合溝370は、他の外壁パネル34の他端連結部358のある一部が進入するための溝である。本実施形態の場合、係合溝370は外壁パネル34が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。嵌合溝372は、外壁パネル34が建築物20に設置されたとき係合溝370から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝370と並んで配置される。嵌合溝372は、他端連結部358の他の一部が進入するための溝である。
【0100】
本実施形態の場合、係合溝370は、底面410と受力側面412と対向側面414とを有している。受力側面412は底面410の位置から見て嵌合溝372側に配置される。上述されたように、嵌合溝372は、外壁パネル34が建築物20に設置されたとき係合溝370から見て屋内側となる箇所へ配置される。このため、受力側面412も外壁パネル34が建築物20に設置されたとき底面410から見て屋内側となる箇所へ配置されることとなる。本実施形態の場合、受力側面412は、底面410から片持梁状に突出している。受力側面412は他の外壁パネル34の他端連結部358から反力を受ける。その反力を受けることで本実施形態にかかる受力側面412は撓むことができる。本実施形態の場合、受力側面412は、他端連結部358から一端連結部356を見るとき、後述される片持梁部422よりも嵌合溝372側に配置される。対向側面414は受力側面412に対向する。
【0101】
図11に示されているように、本実施形態の場合、受力側面412のうち嵌合溝372側に、段差430が形成されている。
図11に示されているように、この段差430は、受力側面412の縁450側が高く付け根452側が低いものである。本実施形態の場合、その段差430は、係合溝370を構成する鋼板の先端を折り曲げてなるものである。
【0102】
本実施形態の場合、係合溝370の受力側面412の縁450は、後述される片持梁部422よりも嵌合溝372側に配置される。また、本実施形態の場合、受力側面412の付け根452が、嵌合溝372のうち係合溝370側の縁432の位置から見て他端連結部358から一端連結部356へ向かう方向より耐火体334側に配置されている。
【0103】
図12は、
図10のB部拡大図である。
図10と
図12とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部358の具体的な構成が説明される。
【0104】
本実施形態の場合、他端連結部358は、突出部420と、片持梁部422と、耐火体434と、耐火体支持部436と、第1耐火目地材438と、第2耐火目地材440と、第3耐火目地材442とを有する。
【0105】
突出部420は、係合溝370の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向にて係合溝370に対向するように配置される。突出部420は、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に沿って突出する。
【0106】
片持梁部422は、係合溝370の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向にて係合溝370に対向するように配置される。片持梁部422は、突出部420の先端に連なる。片持梁部422の先端は、後述される所定の方向を向いている。
【0107】
本実施形態の場合、突出部420および片持梁部422は、外皮部50を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる突出部420および片持梁部422は金属製である。
【0108】
耐火体434は、嵌合溝372の位置から見て一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に配置される。耐火体434は、その方向にて嵌合溝372に対向するように配置される。耐火体434は、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部356から他端連結部358へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体434の幅は、その方向についての嵌合溝372の幅未満である。
【0109】
第1耐火目地材438は、耐火体434の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材440は、耐火体434の位置から見て内皮部52側に配置されている。第3耐火目地材442は、第1耐火目地材438の位置から見て外皮部50側に配置されている。これにより、第1耐火目地材438と第2耐火目地材440と第3耐火目地材442とからなる複数の耐火目地材は、耐火体434の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。
【0110】
また、本実施形態の場合、第3耐火目地材442が配置されているのは、突出部420と片持梁部422との間でもある。第3耐火目地材442のうち、突出部420と片持梁部422との間から見て突出部420とは反対側は、空間を開けて耐火体434に対向している。
【0111】
なお、第1耐火目地材438と第2耐火目地材440と第3耐火目地材442とは、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材438と第2耐火目地材440と第3耐火目地材442との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材438と第2耐火目地材440と第3耐火目地材442との圧縮強度は、一端連結部356と他端連結部358とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0112】
その他の点は第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0113】
[施工手順の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル34の施工手順は第1実施形態にかかる外壁パネル30のものと同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
図13は、本実施形態にかかる外壁パネル34同士が接続された状況が示される図である。
【0114】
なお、
図13から明らかな通り、本実施形態においても、片持梁部422の先端は次に述べられる方向を向いている。すなわち、一端連結部356の係合溝370に他端連結部358の片持梁部422が嵌め込まれ一端連結部356と他端連結部358とが接触しているとまず仮定される。この仮定の下で、本実施形態にかかる片持梁部422の先端が一端連結部356の係合溝370の受力側面412の付け根が位置する方向を向く。ここで言う受力側面412の付け根が位置する方向とは、突出部420の先端の位置から見て係合溝370の受力側面412側であって受力側面412の先端よりも受力側面412の付け根寄りの方向を意味する。本実施形態にかかる外壁パネル34において、片持梁部422の先端はこのような方向を向いている。
【0115】
[本実施形態にかかる効果の説明]
第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル34も連結に関わる部分の構造が簡素化され、耐火性能は向上し、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。さらに、耐火体434が破壊される可能性が小さくなる。
【0116】
また、本実施形態にかかる外壁パネル34の場合、受力側面412の段差430に耐火体434が係合すると、係合溝370へ他の外壁パネル34の片持梁部422が進入してもその係合溝370は撓み難いものとなる。撓み難いものとなるので、その係合溝370は他の外壁パネル34の片持梁部422から大きな反力を受けやすくなる。その結果、上述されためくり上がりがさらに抑制される。
【0117】
<第4実施形態>
図14は、本実施形態にかかる外壁パネル36の断面図である。
図14に基づいて、本実施形態にかかる外壁パネル36の構成が説明される。
【0118】
図14に示されるように、本実施形態にかかる外壁パネル36は、外皮部50と、内皮部52と、皮間部54と、一端連結部456と、他端連結部458と、防水材460とを備える。
【0119】
一端連結部456は、外壁パネル36の一端に配置される。本実施形態の場合、一端連結部456は外壁パネル36の下端に配置されるように用いられる。本実施形態における一端連結部456の具体的な構成は後述される。
【0120】
他端連結部458は、外壁パネル36の他端に配置される。本実施形態の場合、他端連結部458は外壁パネル36の上端に配置されるように用いられる。本実施形態における他端連結部458の具体的な構成も後述される。
【0121】
図15は、
図14のA部拡大図である。
図14と
図15とに基づいて、本実施形態にかかる一端連結部456の具体的な構成が説明される。
【0122】
本実施形態の場合、一端連結部456は、係合溝470と、嵌合溝472とを有する。係合溝470は、他の外壁パネル36の他端連結部458のある一部が進入するための溝である。本実施形態の場合、係合溝470は外壁パネル36が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。嵌合溝472は、外壁パネル36が建築物20に設置されたとき係合溝470から見て屋内側となる箇所へ、その係合溝470と並んで配置される。嵌合溝472は、他端連結部458の他の一部が進入するための溝である。
【0123】
本実施形態の場合、係合溝470は、底面510と受力側面512と対向側面514とを有している。受力側面512は底面510の位置から見て嵌合溝472側に配置される。上述されたように、嵌合溝472は、外壁パネル36が建築物20に設置されたとき係合溝470から見て屋内側となる箇所へ配置される。このため、受力側面512も外壁パネル36が建築物20に設置されたとき底面510から見て屋内側となる箇所へ配置されることとなる。本実施形態の場合、受力側面512は、底面510から片持梁状に突出している。本実施形態の場合、受力側面512は、他端連結部458から一端連結部456を見るとき、後述される片持梁部522よりも嵌合溝472側に配置される。対向側面514は受力側面512に対向する。
【0124】
本実施形態の場合、上述された防水材460は、係合溝470の内部に配置される。本実施形態の場合、防水材460は、係合溝470の底面510と受力側面512との間に挟まれる。
【0125】
図16は、
図14のB部拡大図である。
図14と
図16とに基づいて、本実施形態にかかる他端連結部458の具体的な構成が説明される。
【0126】
本実施形態の場合、他端連結部458は、突出部520と、片持梁部522と、耐火体534と、耐火体支持部536と、第1耐火目地材538と、第2耐火目地材540とを有する。
【0127】
突出部520は、係合溝470の位置から見て一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向にて係合溝470に対向するように配置される。突出部520は、一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向に沿って突出する。
【0128】
片持梁部522は、係合溝470の位置から見て一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向にて係合溝470に対向するように配置される。片持梁部522は、突出部520の先端に連なる。片持梁部522の先端は、後述される所定の方向を向いている。
【0129】
本実施形態の場合、係合溝470は外壁パネル36が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びている。本実施形態の場合、突出部520と片持梁部522とは、その係合溝470に沿って延びている。したがって、突出部520および片持梁部522もまた外壁パネル36が建築物20に設置されたときその外壁面に沿う方向に沿って延びていることとなる。本実施形態の場合、突出部520と片持梁部522との間に、開放空間560が形成されている。本実施形態の場合、開放空間560のうち、突出部520と片持梁部522との間から見て突出部520と反対側が開いている。
【0130】
本実施形態の場合、突出部520および片持梁部522は、外皮部50を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる突出部520および片持梁部522は金属製である。
【0131】
耐火体534は、嵌合溝472の位置から見て一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向に配置される。耐火体534は、その方向にて嵌合溝472に対向するように配置される。耐火体534は、一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向に沿って突出する。本実施形態の場合、一端連結部456から他端連結部458へ向かう方向に対して直交する方向についての耐火体534の幅は、その方向についての嵌合溝472の幅未満である。耐火体534は、周知の耐火材からなる。
【0132】
耐火体支持部536は、耐火体534のうち突出部520の位置から見た場合の裏側にて耐火体534に接する。本実施形態の場合、耐火体支持部536は内皮部52を構成する鋼板の一部からなる。したがって、本実施形態にかかる耐火体支持部536は金属製である。
【0133】
第1耐火目地材538は、耐火体534の位置から見て外皮部50側に配置されている。第2耐火目地材540は、耐火体534の位置から見て内皮部52側に配置されている。これにより、第1耐火目地材538と第2耐火目地材540とからなる複数の耐火目地材は、耐火体534の両脇を塞ぐよう配置されることとなる。第1耐火目地材538および第2耐火目地材540は、いずれも周知の耐火材からなる。本実施形態の場合、第1耐火目地材538と第2耐火目地材540との圧縮強度は、皮間部54の圧縮強度より大きい。その結果、第1耐火目地材538と第2耐火目地材540との圧縮強度は、一端連結部456と他端連結部458とに挟まれる区間の圧縮強度より大きいこととなる。
【0134】
その他の点は第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0135】
[施工手順の説明]
本実施形態にかかる外壁パネル36の施工手順は第1実施形態にかかる外壁パネル30のものと同様である。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
図17は、本実施形態にかかる外壁パネル36同士が接続された状況が示される図である。
【0136】
図17から明らかな通り、本実施形態においても、片持梁部522の先端は次に述べられる方向を向いている。すなわち、一端連結部456の係合溝470に他端連結部458の片持梁部522が嵌め込まれ一端連結部456と他端連結部458とが接触しているとまず仮定される。この仮定の下では、本実施形態にかかる片持梁部522の先端は一端連結部456の係合溝470の受力側面512の付け根が位置する方向を向く。ここで言う受力側面512の付け根が位置する方向とは、突出部520の先端の位置から見て係合溝470の受力側面512側であって受力側面512の先端よりも受力側面512の付け根寄りの方向を意味する。本実施形態にかかる外壁パネル36において、片持梁部522の先端はこのような方向を向いている。
【0137】
[本実施形態にかかる効果の説明]
第1実施形態にかかる外壁パネル30と同様に、本実施形態にかかる外壁パネル36も連結に関わる部分の構造が簡素化され、耐火性能は向上し、建築物20などへの固定によって外観が損なわれる可能性は軽減される。さらに、耐火体534が破壊される可能性が小さくなる。
【0138】
[変形例の説明]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0139】
例えば、本発明にかかる外壁パネルの具体的な素材は特に限定されない。
【符号の説明】
【0140】
20…建築物
30,32,34,36…外壁パネル
50…外皮部
52…内皮部
54…皮間部
56,256,356,456…一端連結部
58,258,358,458…他端連結部
60,460…防水材
70,270,370,470…係合溝
72,272,372,472…嵌合溝
90,290…溝本体部
92…側面補強部
110,310,410,510…底面
112,312,412,512…受力側面
114,314,414,514…対向側面
130,320,420,520…突出部
132,322,422,522…片持梁部
134,334,434,534…耐火体
136,336,436,536…耐火体支持部
138,338,438,538…第1耐火目地材
140,340,440,540…第2耐火目地材
160,360,560…開放空間
292…嵌合溝側突出部
332,432,450…縁
430…段差
442…第3耐火目地材
452…付け根
【要約】
【課題】連結に関わる部分の構造が簡素化された外壁パネルを提供する。
【解決手段】外壁パネル30は一端連結部56と他端連結部58とを備える。一端連結部56が係合溝70を有する。他端連結部58が突出部130と片持梁部132とを有する。片持梁部132は突出部130の先端に連なる。片持梁部132の先端が次に述べられる方向を向いている。その方向は、一端連結部56の係合溝70に他端連結部58の片持梁部132が嵌め込まれ一端連結部56と他端連結部58とが突き当てられていると仮定した場合に一端連結部56の係合溝70の受力側面112の付け根が位置する方向である。
【選択図】
図5