(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】検出装置および自動車用照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20240111BHJP
【FI】
H05B45/50
(21)【出願番号】P 2022202489
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2021516647の分割
【原出願日】2019-09-17
【審査請求日】2023-01-17
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル、アンヘル、カントゥード
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル、カルマエストラ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-040967(JP,A)
【文献】特開2012-160436(JP,A)
【文献】特開2018-122637(JP,A)
【文献】特開2016-162598(JP,A)
【文献】特開2004-322982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用照明装置の少なくとも第1電子素子(10)の状態を検出する検出装置(1)であって、
前記少なくとも第1電子素子(10)の状態を検出して、少なくとも前記第1電子素子の前記状態に応じた基準信号(21)を生成するよう構成されている状態検出部(2)と、
比較信号(31)を生成するよう構成されている比較信号発生器(3)と、
前記基準信号を前記比較信号(31)と比較することでパルス幅変調信号を生成するよう構成されている比較部(4)と、を含むものであり、前記状態は故障状態に関連するものであり、
さらに前記自動車用照明装置の少なくとも第2電子素子の状態を検出するのに適しており、前記状態検出部は前記少なくとも第2電子素子の前記状態を検出するようにも構成され、また前記基準信号は前記少なくとも第2電子素子の前記状態によっても決まるものであり、
前記比較部は前記基準信号に応じたデューティ比を有する前記パルス幅変調信号を生成するように構成され、異なる複数の状態信号により前記状態検出部が異なる複数の基準信号を生成し、これにより前記比較部が異なるデューティ比を有する複数のパルス幅変調信号を生成する、検出装置(1)。
【請求項2】
前記状態検出部(2)は、前記少なくとも第1状態信号を受信して、前記少なくとも第1電子素子の前記状態に応じて異なる値の複数の基準信号を生成するよう構成されている基準電圧発生器(21)を含み、前記比較部は前記基準信号に応じた形状を有するパルス幅変調信号を生成するよう構成されている、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記基準電圧発生器は、異なる複数の基準信号を生成する切替ブロックを含む、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記比較信号(31)は三角信号である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記状態検出部は、その状態が検出される前記電子素子のそれぞれに対してMOSFETやBJTなどのトランジスタを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
2つ以上の前記比較部と2つ以上の前記状態検出部を含み、前記比較部のそれぞれは、同じ前記比較信号と前記状態検出部のうちの一つからの1つの前記基準信号を受信し、その結果、2つ以上のパルス幅変調信号が同時に作成されうる、請求項1~5のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1電子素子は方向指示灯、テール機能、ストップ機能、後退灯、もしくはフォグランプ、または他の照明機能のうちの一つの光源である、請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記光源はLEDなどの固体光源である、請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置を含む、自動車用照明装置。
【請求項10】
請求項7に記載の検出装置を含む自動車用照明装置であって、
前記光源からの光を受光して前記光を前記
自動車用照明装置の外へ投射される光パターンへ成形するよう構成されている
光学素子をさらに含み、前記光学素子はレンズ、導光板、反射器、またはコリメータのうちの少なくとも一つである、
自動車用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車車両に設置される照明装置の分野に属し、より詳細には、そのような自動車用照明装置の制御に使用される電子デバイスに属する。
【背景技術】
【0002】
最先端
今日の自動車用デバイスは、制御する必要がありうるたくさんの電子素子を有する。こうした素子の状態に関する情報は、車両の全般的動作を管理するために処理されて異なる複数の制御部へ送信されることがある。
【0003】
こうした作業の数が増加しているため、この制御および管理に関わる素子は高速で信頼性がある必要があるが、単一のコストにこうしたデバイスの大量の数が乗じられるため、これらのデバイスのコストも重要な特徴となっている。
【0004】
マイクロコントローラおよび他のソフトウェアエレメントは、これらの電子デバイスの状態に関する高速で信頼できる情報を提供するのに役に立つが非常に高価であり、それゆえ、この情報の提供をこれらのエレメントに委ねると、電子システムの総コストの大幅な増加につながる。
【0005】
しかし、本発明では異なる取り組み方が提示される。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題に対する別の解決策は、請求項1に記載の検出装置および請求項12に記載の自動車用照明装置によりもたらされる。本発明の特定の実施形態は従属請求項により規定される。
【0007】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、当技術分野の慣例に従って解釈される。また、一般的に使われている用語も関連する技術分野の慣例に従って解釈されるべきであり、本明細書でそのように明示的に定義されない限りは理想化された、または過度に形式張った意味で解釈されるべきではないということがさらに理解されるであろう。
【0008】
本明細書では、用語「comprise(含む)」およびその派生形(「comprising(含む)」など)は、排他的な意味であると理解されるべきではなく、つまり、これらの用語は、説明および定義されるものが更なる要素、ステップなどを含みうることの可能性を排除すると解釈されるべきではない。
【0009】
第1態様では、本発明は自動車用照明装置の少なくとも第1電子素子の状態を検出する検出装置を提供し、この検出装置は、
少なくとも第1電子素子の状態を検出して、少なくとも第1電子素子の状態に応じた基準信号を生成するよう構成されている状態検出部と、
比較信号を生成するよう構成されている比較信号発生器と、
基準信号を比較信号と比較することでパルス幅変調信号を生成するよう構成されている比較部と、
を含む。
【0010】
この比較部はPWM信号を生成し、このPWM信号は少なくとも第1電子素子の状態を符号化しているので自動車車両の全般制御部へ送信するのに適している。このPWM信号の生成は、マイクロコントローラなどのソフトウェアエレメントを用いずに行われる。結果として、これによりいくつかのデバイスの情報を全般制御部へ伝達するための簡単で安価な解決策が提供される。
【0011】
一部の特定の実施形態では、状態検出部は、少なくとも第1状態信号を受信して少なくとも第1電子素子の状態に応じて異なる値の複数の基準信号を生成するよう構成されている基準電圧発生器を含み、比較部は基準信号に応じた形状を有するパルス幅変調信号を生成するよう構成される。
【0012】
この基準電圧発生器は、いくつかの電子素子の状態を集めて、比較部へ供給される単一の基準信号を生成するのに適しており、この基準信号はこれらの状態の情報を含む。
【0013】
一部の特定の実施形態では、基準電圧発生器は、異なる複数の基準信号を生成する切替ブロックを含む。
【0014】
この切替ブロックは、状態検出部が受信した状態に応じて異なる複数の基準信号を提供する簡単な解決策である。
【0015】
一部の特定の実施形態では、検出装置は、自動車用照明装置の少なくとも第2電子素子の状態を検出するのにさらに適しており、状態検出部は少なくとも第2電子素子の状態を検出するようにも構成され、また基準信号は少なくとも第2電子素子の状態によっても決まる。
【0016】
この検出装置は、いくつかの電子デバイスの状態を管理するのに適しており、それらのデバイスすべての状態を符号化するパルス幅変調信号を生成するのに適している。
【0017】
一部の特定の実施形態では、比較部は基準信号に応じたデューティ比を有するパルス幅変調信号を生成するように構成され、異なる複数の状態信号により状態検出部が異なる複数の基準信号を生成し、これにより比較部が異なるデューティ比を有する複数のパルス幅変調信号を生成する。
【0018】
これらの実施形態では、情報はパルス幅変調信号のデューティ比に含まれ、これは状態に関する情報を伝達する簡単な方法である。
【0019】
一部の特定の実施形態では、比較信号は三角信号である。この三角信号は、シュミットトリガセルにより生成されて、パルス幅変調信号を生成するのに使用されうる有益な信号を提供することができる。
【0020】
一部の特定の実施形態では、状態は故障状態に関連する。それゆえ、いくつかの電子デバイスの故障状態をパルス幅変調信号中に符号化することができて、その結果、この情報を自動車車両の中央制御装置へ伝達することができる。
【0021】
一部の特定の実施形態では、状態検出部は、その状態が検出される電子素子のそれぞれに対してMOSFETやBJTなどのトランジスタを含む。
【0022】
トランジスタはYES/NO信号を生成するための単純な解決策であり、その結果、基準信号は複数のYES/NO信号を符号化しうる。MOSFETおよびBJTは、この目的で使用されうるトランジスタの有利な例である。
【0023】
一部の特定の実施形態では、検出装置は2つ以上の比較部と2つ以上の状態検出部を含み、各比較部は同じ比較信号と状態検出部のうちの一つからの1つの基準信号を受信し、その結果、2つ以上のパルス幅変調信号が同時に作成されうる。
【0024】
大量の電子デバイスが制御される場合、この解決策は、2つ以上の検出部と2つ以上の比較部を提供することでスケーラブルになりうる。
【0025】
一部の特定の実施形態では、第1電子素子は方向指示灯、テール機能、ストップ機能、後退灯、もしくはフォグランプ、または他の照明機能のうちの一つの光源である。
【0026】
これらの照明機能は通常は自動車車両に見られ、その状態は、通常は車両の動作の全般制御において興味深い。
【0027】
一部の特定の実施形態では、光源は発光ダイオード(LED)などの固体光源である。
【0028】
「固体」という用語は、光が固体エレクトロルミネセンス(電界発光)により放射されることを指し、電気を光へ変換するのに半導体を用いる。白熱照明と比べて、固体照明は、発熱が低減されたエネルギー散逸がより少ない可視光を作り出す。典型的には小さな質量の固体電子照明デバイスは、脆いガラス管/電球や長く薄いフィラメント電線と比べて、衝撃および振動に対してより大きな耐性を提供する。また、そうしたデバイスはフィラメントの蒸発を排除し、照明装置の寿命を延ばす可能性がある。このような種類の照明の例には、電気フィラメントやプラズマ、ガスではない照明源として、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)が含まれる。
【0029】
第3態様では、本発明は第1態様に係る検出装置を含む自動車用照明装置を提供する。
【0030】
この照明装置は、自動車用途において、それらのいずれかの光源の一つにおける故障の検出に特に関心を持たれうる照明機能で特に有用である。
【0031】
一部の特定の実施形態では、照明装置は、複数の光源からの光を受光して光を照明装置の外へ投射される光パターンへ成形するよう構成されている第1光学素子をさらに含む。
【0032】
光学素子は、自動車用照明に精通する者は更なる負担もなく理解するように、光線を受光してその光線を特定の方向へ、および/または、特定の形状で照射するためにいくつかの光学特性を有する素子である。
【0033】
一部の特定の実施形態では、光学素子は導光板、レンズ、反射器、またはコリメータのうちの少なくとも一つである。
【0034】
これらの光学素子は、複数の光源により作られた光を管理して均一な出力を提供するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
説明を完成させるとともに、本発明のよりよい理解を提供するために、一連の図面が提供される。前記図面は説明の不可分の一部を成し、本発明の実施形態を示すが、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、本発明がどのように実施されるかの単なる例と解釈されるべきである。図面は以下の図を含む。
【
図1】本発明の検出装置の第1の一般的な図を示す。
【
図2】本発明の検出装置の比較信号発生器の電気回路図を示す。
【
図3】本発明の検出装置の状態検出部および比較部の電気回路図を示す。
【
図4】本発明の電子部品アセンブリを含む照明装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示の実施形態は、当業者が本明細書に記載のシステムおよびプロセスを具体化して実施することができるように充分に詳細に説明される。実施形態は多くの代替形態で提供することが可能であり、本明細書に記載される例に限定されると解釈されるべきではない、と理解することが重要である。
【0037】
したがって、実施形態は、様々な方法で、また様々な代替形態に対する解釈により変更が可能であるが、その特定の実施形態は図面に示され、例として以下で詳細に説明される。開示される特定の形態へ制限する意図はない。それどころか、添付の請求項の範囲内に入るすべての変更、均等物、および代替が含まれるべきである。例示の実施形態の要素は、適切な場合には図面および「発明を実施するための形態」を通して一貫して同じ参照数字で示される。
【0038】
図1は、本発明の検出装置1の第1の一般的な図を示す。この検出装置1は、自動車用照明装置の複数の光源10の状態を検出するのに適している。
【0039】
本実施形態に係る検出装置1は、
光源10の状態を検出して、少なくとも光源の状態に応じた基準信号21を生成するよう構成されている状態検出部2と、
比較信号31を生成するよう構成されている比較信号発生器3と、
基準信号21を比較信号31と比較することでパルス幅変調信号41を生成するよう構成されている比較部4と、
を含む。
【0040】
結果として、検出装置1はいくつかの光源10の状態を受信し、これらの状態に応じたパルス幅変調信号を、比較信号31を状態検出部2により生成される基準信号と比較することで作り出す。
【0041】
図2は、本発明の検出装置1の比較信号発生器3の電気回路図を示す。
【0042】
この比較信号発生器3はシステムの比較信号として使用される三角信号31を生成する。本実施形態ではシュミットトリガセルが使用され、コンデンサを充電および放電することで三角信号を生成する。この三角信号の周波数は充電時間および放電時間により決まる、つまり、コンデンサ値によって決まり、この素子に適した値を選ぶことで調整されうる。
【0043】
図3は、本発明の検出装置1の状態検出部2および比較部4の電気回路図を示す。
【0044】
比較部4は2つの信号、すなわち、比較信号発生器3により生成される三角信号31と状態検出部2により作られる基準信号21を受信するコンパレータを含む。コンパレータ出力は、基準信号21中に符号化される所定の周波数および素子10の状態に応じたデューティ比を有するPWM信号41である。それゆえ、異なる複数のPWMレベル(異なる複数のPWMデューティ比の値)を生成するためには、異なる複数の基準信号を使用する必要がある。そのようにするために、この特定の実施形態では、監視される素子の状態に応じて異なる値の複数の基準信号を提供するために切替ブロックが使用される。この切替ブロックは各素子10に対するMOSFETを含む。
【0045】
図4は、本発明の電子部品アセンブリ1を含む照明装置20を示す。この照明装置20は、車両のユーザにより作動されうる複数のLED10を有する方向指示灯機能を含む。
【0046】
本発明の検出装置1は、方向指示灯機能に含まれるLED10の状態に関する情報を含む単一パルス幅変調信号を、高価なソフトウェアソリューションやマイクロコントローラを用いずに提供するよう構成される。