(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブSSZ-118及びその合成と使用
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20240111BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20240111BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20240111BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/70 M
B01J20/18 A
B01J20/30
(21)【出願番号】P 2022506259
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 IB2020053834
(87)【国際公開番号】W WO2021019314
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515139(JP,A)
【文献】特表2001-502652(JP,A)
【文献】特開2008-184381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/48
B01J 29/70
B01J 20/18
B01J 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成されたままの形態で、以下のピークを含む粉末X線回折パターンを有するモレキュラーシーブであって、
【表3】
しかも、以下のモル関係を含む化学組成を有し、
【表2B】
Qが1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含み、Mが1族または2族の金属である、前記のモレキュラーシーブ。
【請求項2】
(a)(1)酸化ケイ素の源と、
(2)酸化アルミニウムの源と、
(3)1族または2族の金属(M)の源と、
(4)1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含む構造指向剤(Q)と、
(5)水酸化物イオンの源と、
(6)水と、
を含む反応混合物を提供することと、
(b)前記反応混合物を前記モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、を含み、前記結晶化条件が、150℃~180℃の温度を含み、
前記反応混合物が、モル比に関して以下の組成を有する、請求項
1に記載のモレキュラーシーブを合成する方法。
【表1B】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/879,609号の優先権と利点を主張する。
【0002】
本開示は、SSZ-118と呼ばれる新規の合成結晶性モレキュラーシーブとその合成、ならびに有機化合物の変換及び収着プロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
モレキュラーシーブは、特異的なX線回折(XRD)パターンによって示され、特定の化学組成を有する明確な細孔構造を備える特異的な結晶構造を有する商業的に重要なクラスの材料である。結晶構造は、特定のタイプのモレキュラーシーブの特徴である空洞と細孔を画定する。
【0004】
本開示によると、SSZ-118と呼ばれ、独特の粉末X線回折パターンを有する新規の結晶性モレキュラーシーブが、現在、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを構造指示剤として使用して合成されている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、合成されたままの形態で以下のピークを含む粉末X線回折パターンを有するモレキュラーシーブが提供される。
【表3】
【0006】
モレキュラーシーブは、合成されたままの無水形態で以下のモル関係を含む化学組成を有することができ、
【表2】
ここで、Qは1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含み、Mは1族または2族の金属である。
【0007】
別の態様では、か焼された形態で以下のピークを含む粉末X線回折パターンを有するモレキュラーシーブが提供される。
【表4】
【0008】
モレキュラーシーブは、か焼された形態で以下のモル関係を含む化学組成を有することができる。
Al2O3:(n)SiO2
ここで、nは20~100の範囲である。
【0009】
さらなる態様において、本明細書に記載のモレキュラーシーブを合成する方法が提供され、本方法は、(a)(1)酸化ケイ素の源と、(2)酸化アルミニウムの源と、(3)1族または2族の金属(M)の源と、(4)1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンを含む構造指向剤(Q)と、(5)水酸化物イオンの源と、(6)水と、を含む反応混合物を提供することと、(b)反応混合物をモレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、を含む。
【0010】
さらに別の態様では、有機化合物を含む原料を変換生成物に変換するプロセスが提供されており、このプロセスは、有機化合物変換条件で原料を本明細書に記載のモレキュラーシーブを含む触媒と接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例1で調製された合成されたままのSSZ-118、例7で調製されたか焼されたSSZ-118、および例5で調製されたゼオライトベータの粉末X線回折(XRD)パターンの比較である。
【0012】
【
図2】例1で調製された合成されたままのSSZ-118の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書において、「合成されたままの」という用語は、構造指向剤を除去する前の、結晶化後の形態のモレキュラーシーブを指すために使用される。
【0014】
本明細書において、「無水」という用語は、物理的に吸着した水と、及び化学的に吸着した水の両方を実質的に欠くモレキュラーシーブと、を指すように使用される。
【0015】
本明細書で使用される場合、周期表の族の番号付けスキームは、Chem.Eng.News 1985,63(5),26-27に開示されている通りである。
【0016】
モレキュラーシーブの合成
モレキュラーシーブSSZ-118は、(a)(1)酸化ケイ素の源と、(2)酸化アルミニウムの源と、(3)1族または2族の金属(M)の源と、(4)1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含む構造指向剤(Q)と、(5)水酸化物イオンの源と、(6)水と、を含む反応混合物を提供することと、(b)反応混合物をモレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、によって合成され得る。
【0017】
反応混合物は、モル比に関して、表1に示される範囲内の組成を有し得る。
【表1】
【0018】
いくつかの態様では、反応混合物は、60~80の範囲のSiO2/Al2O3モル比を有することができる。
【0019】
適切な酸化ケイ素源には、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩およびテトラアルキルオルトシリケートが含まれ得る。
【0020】
適切な酸化アルミニウム源には、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、アルカリ金属アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、および水溶性アルミニウム塩(例えば、硝酸アルミニウム)が含まれ得る。
【0021】
追加的または代替的に、酸化ケイ素の源及び酸化アルミニウムの源の組み合わせを使用することができ、アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えば、ゼオライトY)及び粘土または処理された粘土(例えば、メタカオリン)を含み得る。
【0022】
結晶化プロセスに有害ではない任意のM含有化合物が使用され得る。1族または2族の金属の源には、金属水酸化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属カルボン酸塩、及び金属アルミン酸塩が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「1族または2族の金属」という句は、1族金属及び2族金属が代替的に使用されることを意味するのではなく、1つ以上の1族金属が単独で、または1つ以上の2族金属と組み合わせて使用され得、1つ以上の2族金属が単独で、または1つ以上の1族金属と組み合わせて使用され得ることを意味する。好ましい1族または2族金属には、ナトリウム、カリウム、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0023】
構造指向剤(Q)は、以下の構造(1)によって表される、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含む。
【化1】
【0024】
Qの適切な源は、ジ四級アンモニウム化合物の水酸化物及び/または他の塩である。
【0025】
反応混合物は、反応混合物の重量の0.01~10,000ppmの量(例えば、重量の100~5000ppm)で、前の合成からのSSZ-118などの結晶性材料のシードを含み得る。シード添加は、発生する結晶化を完了するのに必要な時間を短縮するのに有利になり得る。さらに、シード添加は、任意の望ましくない段階にわたって核形成、及び/またはSSZ-118の形成を促進することによって得られる生成物の純度を高めることができる。
【0026】
反応混合物成分は、複数の源から供給され得ることに留意されたい。同様に、2つ以上の反応成分が1つの源から提供され得る。反応混合物は、バッチ式または連続的に調製され得る。
【0027】
結晶化と合成後の処理
上記の反応混合物からのモレキュラーシーブの結晶化は、125°C~200°C(例えば、150°C~180°C)の温度で、使用した温度で結晶化が起こるのに十分な時間(例えば、1日~14日)にわたり、ポリプロピレンジャーまたはテフロン(登録商標)ライニングまたはステンレス鋼製オートクレーブなどの適切な反応器容器内で、静的、タンブルまたは撹拌条件下のいずれかで実施することができる。結晶化は通常、反応混合物が自生圧力を受けるようにオートクレーブ内で行われる。
【0028】
モレキュラーシーブ結晶が形成されると、遠心分離または濾過などの標準的な機械的分離技術によって、固体生成物が反応混合物から回収される。次に、回収された固形物を脱イオン水ですすぎ、高温(例えば、75℃~150℃)で数時間(例えば、約4~24時間)にわたり乾燥した。乾燥工程は、真空下または大気圧下で実施され得る。
【0029】
結晶化プロセスの結果として、回収された結晶性モレキュラーシーブ生成物は、その細孔構造内に、その合成で使用された構造指向剤の少なくとも一部を含有する。
【0030】
合成されたままのモレキュラーシーブは、その合成に使用された構造指向剤の一部または全部を除去するための処理に供され得る。構造指向剤の除去は、合成されたままのモレキュラーシーブを構造指向剤の一部または全部を除去するのに十分な温度で加熱する熱処理(例えば、か焼)によって実施することができる。熱処理には大気圧未満を使用することもできるが、利便性の理由で大気圧が望ましい。熱処理は、少なくとも370℃の温度で少なくとも1分間にわたって、一般には20時間以内(例えば、1~12時間)で実施され得る。熱処理は最大925℃の温度で実施され得る。例えば、熱処理は、酸素含有ガスの存在下で、400℃~600℃の温度で実施され得る。追加的または代替的に、構造指向剤は、オゾンを用いた処理によって除去され得る。
【0031】
モレキュラーシーブ内のフレームワーク外の金属カチオンは、当技術分野で周知の技術に従って(例えば、イオン交換によって)他のカチオンと置き換えることができる。置換カチオンは、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えば、アンモニウム)イオン、及びそれらの混合物を含み得る。特に好ましい置換カチオンは、特定の有機変換反応のための触媒活性を調整するものである。これらには、水素、希土類金属、及び元素周期表の2~15族の金属が含まれる。
【0032】
モレキュラーシーブの特性化
合成されたままの無水形態では、モレキュラーシーブSSZ-118は、表2に記載されているように、以下のモル関係を含む化学組成を有することができる。
【表2】
ここで、組成変数Q及びMは、本明細書で上述した通りである。
【0033】
本発明のモレキュラーシーブの合成されたままの形態は、合成されたままの形態を調製するために使用される反応混合物の反応物のモル比とは異なるモル比を有し得ることに留意されたい。この結果は、(反応混合物から)形成された結晶への反応混合物の反応物の100%の不完全な取り込みが原因で発生する場合がある。
【0034】
モレキュラーシーブSSZ-118は、そのか焼された形態で以下のモル関係を含む化学組成を有することができ、
Al2O3:(n)SiO2
ここで、nは少なくとも20~100(例えば、30~70、35~60、または40~50)である。
【0035】
新規のモレキュラーシーブ構造SSZ-118は、粉末XRDパターンによって特徴付けられ、モレキュラーシーブの合成されたままの形態では、少なくとも表3に示されるピークを含み、モレキュラーシーブのか焼された形態では、少なくとも表4に示されるピークを含む。
【表3】
【表4】
【0036】
本明細書で提供される粉末XRDパターンは、相対強度スケールに基づいており、そこではX線回折パターンの最も強い線が100の値を割り当てられ、対応する相対強度は、w(弱い)が≦20であり、m(中程度)が>20~≦40であり、s(強い)が>40~<60であり、vs(非常に強い)が>60である。これらの範囲のうち1つの終点近くに特性線が存在する場合、不純物の存在や使用する機器を含む、さまざまな既知の実験的要因による線の強度の変動により、強度が隣接する範囲になることがある。従って、この線は2つの範囲の組み合わせであると説明できる。例えば、強度が18の線は、弱い範囲の上限にあるが、わずかな変動により、強度が約20~25の範囲になる可能性がある。この場合、強度範囲はw~mであると報告される可能性がある。
【0037】
本明細書に提示される粉末X線回折パターンは、標準的な手法によって収集された。放射線はCuKα放射線であった。ピーク高さと位置は、θがブラッグ角度である2θの関数として、ピークの相対強度(バックグラウンドを調整)から読み取られ、記録された線に対応する面間間隔であるdが計算され得る。
【0038】
収着及び触媒
モレキュラーシーブSSZ-118は、現在の商業的/産業的重要性の多くを含む多種多様な有機化合物変換プロセスを触媒するための吸着剤または触媒として使用され得る。単独で、または他の結晶性触媒を含む1種以上の他の触媒活性物質と組み合わせてSSZ-118によって効果的に触媒される化学変換プロセスの例には、酸活性を有する触媒を必要とするものが含まれる。SSZ-118によって触媒され得る有機変換プロセスの例には、分解、水素化分解、不均化、アルキル化、オリゴマー化、及び異性化が含まれ得る。
【0039】
多くの触媒の場合のように、有機変換プロセスで使用される温度及び他の条件に耐性のある別の材料とともにSSZ-118を組み込むことが望ましくなり得る。そのような材料には、活性及び不活性材料、合成または天然に存在するゼオライト、ならびに粘土、シリカ及び/またはアルミナなどの金属酸化物のような無機材料が含まれる。後者は、天然に存在するか、シリカと金属酸化物の混合物を含むゼラチン状沈殿物またはゲルの形態かのいずれかであり得る。活性であるSSZ-118と組み合わせた材料(すなわち、それと組み合わせて、または新しい材料の合成中に存在する)の使用は、特定の有機変換プロセスにおける触媒の変換及び/または選択性を変える傾向がある。不活性材料は、所与のプロセスにおける変換量を制御するための希釈剤として適切に機能し、反応速度を制御するための他の手段を使用することなく、経済的かつ秩序立った様式で生成物が得ることができるようになっている。これらの材料は、天然の粘土(例えば、ベントナイト及びカオリン)に組み込まれ、商業的操作条件下での触媒の破砕強度を改善することができる。これらの材料(すなわち、粘土、酸化物など)は、触媒の結合剤として機能する。商業的使用においては、触媒が粉末状の材料に分解するのを防ぐことが望ましいことから、良好な破砕強度を有する触媒を提供することが望ましい。これらの粘土及び/または酸化物の結合剤は、通常、触媒の破砕強度を改善する目的でのみ使用されている。
【0040】
SSZ-118と複合され得る天然粘土は、モンモリロナイトおよびカオリンのファミリーを含み、これらのファミリーは、サブベントナイト、ならびに一般にディクシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョージアおよびフロリダ粘土またはその他の物(主鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトもしくはアナキサイトである)として知られるカオリンを含み得る。このような粘土は、元々の採掘されたままの状態で、または最初にか焼、酸処理、または化学修飾に供されたままの状態で使用されることができる。SSZ-118との複合に有用な結合剤はまた、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ベリリア、アルミナ、及びそれらの混合物などの無機酸化物を含む。
【0041】
前述の材料に加えて、SSZ-118は、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニアなどの多孔質マトリックス材料と、ならびに、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア及びシリカ-マグネシア-ジルコニアなどの三元組成物と、複合化されてもよい。
【0042】
SSZ-118及び無機酸化物マトリックスの相対的な割合は、複合体の1~90重量%(例えば、2~80重量%)の範囲のSSZ-118含有量で、大きく変動し得る。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
か焼された形態で、以下のピークを含む粉末X線回折パターンを有するモレキュラーシーブ。
【表4】
[2]
以下のモル関係を含む組成を有し、
Al
2
O
3
:(n)SiO
2
nが20~100の範囲内にある、[1]に記載のモレキュラーシーブ。
[3]
以下のモル関係を含む組成を有し、
Al
2
O
3
:(n)SiO
2
nが30~70の範囲内にある、[1]に記載のモレキュラーシーブ。
[4]
合成されたままの形態で、以下のピークを含む粉末X線回折パターンを有するモレキュラーシーブ。
【表3】
[5]
以下のモル関係を含む化学組成を有し、
【表2A】
Qが1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含み、Mが1族または2族の金属である、[4]に記載のモレキュラーシーブ。
[6]
以下のモル関係を含む化学組成を有し、
【表2B】
Qが1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含み、Mが1族または2族の金属である、[4]に記載のモレキュラーシーブ。
[7]
(a)(1)酸化ケイ素の源と、
(2)酸化アルミニウムの源と、
(3)1族または2族の金属(M)の源と、
(4)1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオンを含む構造指向剤(Q)と、
(5)水酸化物イオンの源と、
(6)水と、
を含む反応混合物を提供することと、
(b)前記反応混合物を前記モレキュラーシーブの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供することと、を含む、[4]に記載のモレキュラーシーブを合成する方法。
[8]
前記反応混合物が、モル比に関して以下の組成を有する、[7]に記載の方法。
【表1A】
[9]
前記反応混合物が、モル比に関して以下の組成を有する、[7]に記載の方法。
【表1B】
[10]
前記結晶化条件が、150℃~180℃の温度を含む、[7]に記載の方法。
[11]
有機化合物を含む原料を変換生成物に変換するためのプロセスであって、有機化合物変換条件で前記原料を[1]に記載のモレキュラーシーブを含む触媒に接触させることを含む、前記プロセス。
【0043】
例
以下の例示的な例は、非限定的であることを意図している。
【0044】
例1
1.30gの脱イオン水、0.28gの45%KOH溶液、1.08gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサン水酸化物溶液(SACHEM、Inc.)、0.02gの50%Reheis F-2000水酸化アルミニウム乾燥ゲル、及び1.50gのLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカ(30重量%で水に懸濁)をテフロン(登録商標)ライナーで混合した。ゲルが均一になるまでゲルを攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に設置した。次にオートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら7日間にわたり160℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却された反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0045】
得られた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析した。生成物の粉末XRDパターンが
図1に示され、生成物が新しい相にあり、SSZ-118と明記されて示している。生成物画像のSEM画像が
図2に示され、結晶の均一なフィールドを示している。
【0046】
XRDパターンに見られるピークの広がりは、小さな結晶サイズによるものではなく、SSZ-118結晶構造の無秩序によるものであると考えられている。
【0047】
生成物は、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析による、45.9のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0048】
例2
1.82gの脱イオン水、0.24gの50%NaOH溶液、1.44gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサン水酸化物溶液、0.02gの50%Reheis F-2000水酸化アルミニウム乾燥ゲル、及び2.00gのLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカをテフロン(登録商標)ライナー内で混合した。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に設置した。次にオートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら7日間にわたり160℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却された反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0049】
合成されたままの生成物は、粉末XRD及びSEMによって、純粋なアルミノケイ酸塩SSZ-118モレキュラーシーブとして同定された。
【0050】
ICP元素分析によると、生成物は、49.6のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0051】
例3
4.08gの脱イオン水、0.13gの50%NaOH溶液、1.16gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサン水酸化物溶液、及び0.50gのCBV760Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO2/Al2O3モル比=60)をテフロン(登録商標)ライナー内で混合した。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に設置した。次にオートクレーブを、静止した状態で7日間にわたり170℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却された反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0052】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって、純粋なアルミノケイ酸塩SSZ-118モレキュラーシーブとして同定された。
【0053】
ICP元素分析によると、生成物は、41.7のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0054】
例4
8.14gの脱イオン水、0.32gの50%NaOH溶液、2.32gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサン水酸化物溶液、及び1.00gのCBV780 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO2/Al2O3モル比=80)をテフロン(登録商標)ライナーで混合した。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に設置した。次にオートクレーブを、静止した状態で7日間にわたり170℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却された反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0055】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって、純粋なアルミノケイ酸塩SSZ-118モレキュラーシーブとして同定された。
【0056】
ICP元素分析によると、生成物は、48.5のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0057】
例5(比較)
追加の脱イオン水を合成ゲルに添加しなかったことを除いて、例2を繰り返した。本例の反応混合物のH2O/SiO2モル比は15であるが、例2の反応混合物のH2O/SiO2モル比は25である。オートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら7日間にわたり160℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却した反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0058】
得られた生成物は、粉末XRD及びSEMによって純粋なベータゼオライトとして同定された。生成物の粉末XRDパターンが
図1に示されている。
【0059】
例6(比較)
1.82gの脱イオン水、0.24gの50%NaOH溶液、1.44gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサン水酸化物溶液、0.01gの50%Reheis F-2000水酸化アルミニウム乾燥ゲル、及び2.00gのLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカをテフロン(登録商標)ライナー内で混合した。得られたゲルを均一になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に設置した。次にオートクレーブを、43rpmでタンブリングしながら7日間にわたり160℃に加熱したオーブンに投入した。遠心分離によって冷却した反応器から固体生成物を回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0060】
合成されたままの生成物は、粉末XRD及びSEMによって、純粋なSSZ-74ゼオライトとして同定された。本例は、SiO2/Al2O3のモル比が100を超える反応混合物を結晶化すると、SSZ-118ではなくSSZ-74が生成されることを示している。
【0061】
例7
例1からの合成されたままのモレキュラーシーブ生成物を、1℃/分の速度で540℃に加熱された空気流のもとでマッフル炉内でか焼し、5時間にわたり540℃で保持し、冷却して、次いで、粉末XRDで分析した。か焼された材料の粉末XRDパターンが
図1に示されており、構造指向剤を除去するためのか焼後も材料が安定していることを示している。
【0062】
例8
例7からのか焼された材料を、(モレキュラーシーブ1gあたり)10mLの1N硝酸アンモニウム溶液で2時間にわたり95℃で処理した。溶液を冷却し、デカントして取り除き、同じプロセスを繰り返した。
【0063】
乾燥後の生成物(NH4-SSZ-118)を吸着質として窒素を使用し、B.E.T法を介した微細孔容積分析に供した。モレキュラーシーブは、0.20cm3/gの微細孔容積を示した。
【0064】
例9
乾燥後の生成物(NH4-SSZ-118)を、吸着質としてアルゴンを使用し、DFT(密度汎関数理論)法を介して、微細孔サイズ分析に供した。モレキュラーシーブは、5.6Åの微細孔サイズを示し、SSZ-118が中程度の細孔システムを含有する可能性が高いことを示した。