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特許7417718制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路及びフェーズロックループシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路及びフェーズロックループシステム
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/10 20060101AFI20240111BHJP
   H03L 7/093 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H03L7/10
H03L7/093
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022521055
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2019117034
(87)【国際公開番号】W WO2021068326
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】201910946793.9
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520347351
【氏名又は名称】珠海一微半導体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMICRO SEMICONDUCTOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2706,3000 Huandao East Road,Hengqin New District,Zhuhai,Guangdong 519000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,フアイユー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ヤオフア
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ウェイビン
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0017476(US,A1)
【文献】特開平07-086930(JP,A)
【文献】特開平07-143002(JP,A)
【文献】特開2012-075000(JP,A)
【文献】特開2002-043939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路であって、当該フェーズロック加速回路に適するフェーズロックループは、位相周波数検出器と、チャージポンプと、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを含み、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成される前記フェーズロック加速回路であって、
前記フェーズロック加速回路は、パルス幅抽出制御回路と、電流注入スイッチモジュールとを含み、
パルス幅抽出制御回路には、駆動入力端子と、イネーブル制御端子と、制御出力端子とが設けられ、電流注入スイッチモジュールには、電流ステップ制御端子と、電流注入制御端子とが設けられ、
パルス幅抽出制御回路のイネーブル制御端子は、外部のイネーブル信号源に接続され、当該イネーブル信号源は、フェーズロックループを制御して動作を開始させるために用いられ、
パルス幅抽出制御回路の制御出力端子は、電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子に接続され、電流注入スイッチモジュールの電流ステップ制御端子及びパルス幅抽出制御回路の駆動入力端子は、いずれも位相周波数検出器の1つのプリセット制御信号出力端子に接続されることで、位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまで、当該プリセット制御信号出力端子の出力信号のパルス幅の変化状況に基づいて、電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入を制御し、当該プリセット制御信号出力端子の出力信号は、位相周波数検出器から出力される信号であって、チャージポンプを制御して電流注入を行わせるための制御信号の反転信号であり、
ローパスフィルタの信号入力端子は、チャージポンプの信号出力端子に接続され、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子は、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子に接続されて、チャージポンプの信号出力端子から提供される電荷を受け取ると同時に、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子から注入される電荷を受け取り、受け取って蓄積された電荷から制御電圧を生成させて、電圧制御発振器に出力するために用いられ、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子は、ローパスフィルタの内部の抵抗コンデンサ直列接続分岐における、抵抗とそれに直列接続されたコンデンサの接続ノードであり、
前記電流注入スイッチモジュールは、給電電源と、第1NMOSトランジスタと、第2NMOSトランジスタと、第1PMOSトランジスタとを含み、
第1NMOSトランジスタのソースは、第2NMOSトランジスタのドレインに接続され、第1NMOSトランジスタのゲートは、第1NMOSトランジスタのドレインに接続され、第1NMOSトランジスタのドレインは、給電電源に接続され、
第2NMOSトランジスタのドレインは、第1NMOSトランジスタのソースに接続され、第2NMOSトランジスタのソースは、第1PMOSトランジスタのソースに接続され、第2NMOSトランジスタのゲートは、前記プリセット制御信号出力端子に接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流ステップ入力制御端子とされ、前記プリセット制御信号出力端子の出力信号のジャンプ状態に基づいて第2NMOSトランジスタの導通状況を変えて、前記電流注入スイッチモジュールのステップ的な電流注入を行うために用いられ、
第1PMOSトランジスタのソースは、第2NMOSトランジスタのソースに接続され、第1PMOSトランジスタのゲートは、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子に接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子とされ、第1PMOSトランジスタのドレインは、前記電流注入スイッチモジュールの信号出力端子とされ、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子に接続される、ことを特徴とする前記フェーズロック加速回路。
【請求項2】
遅延制御モジュールは、遅延レベル発生アレイと、パルス幅抽出アレイと、制御信号生成モジュールとを含み、
前記駆動入力端子は、遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子に接続され、前記イネーブル制御端子は、遅延レベル発生アレイに設けられるデータ入力端子に接続され、
遅延レベル発生アレイの内部には、カスケード接続されるn+3個のDフリップフロップが含まれ、それぞれに対応してn+3個のデータ出力端子が設けられ、前記イネーブル制御端子に接続されるDフリップフロップは、第1段のDフリップフロップであり、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットの段数は、それに接続された隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのうちの小さい方の段数と同じであり、
パルス幅抽出アレイの内部には、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットが含まれ、各パルス幅抽出ユニットには、いずれも2つのパルス入力端子と、1つの電荷放出制御端子と、1つの駆動端子と、1つのパルス幅情報出力端子とが配設され、隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットは、いずれも1つの共通するパルス入力端子を有し、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットの駆動端子は、いずれも遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子に接続され、
遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子は、パルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続され、
遅延レベル発生アレイで、前記イネーブル制御端子に接続されるDフリップフロップの逆相出力端子は、各パルス幅抽出ユニットの電荷放出制御端子に接続され、
制御信号生成モジュールには、n個のコンパレータが内蔵され、各コンパレータの正逆相入力端子がそれぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、隣接する2つのコンパレータのそれぞれには、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続される1つの入力端子のみが存在し、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続される隣接する2つのコンパレータの入力端子の属性は異なり、隣接しない2つのコンパレータの入力端子は、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続されず、コンパレータの正入力端子に接続されるパルス幅抽出ユニットの段数は、同一のコンパレータの負入力端子に接続されるパルス幅抽出ユニットの段数よりも高い、ことを特徴とする請求項に記載のフェーズロック加速回路。
【請求項3】
前記遅延レベル発生アレイ内で、カスケード接続されるn+3個のDフリップフロップの接続構造として、
第1段のDフリップフロップのデータ入力端子は、前記イネーブル制御端子に接続され、
隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップにおいて、後段のDフリップフロップのデータ入力端子は、前段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、
各段のDフリップフロップのクロック端子はいずれも前記駆動入力端子に接続され、各段のDフリップフロップのリセット端子はいずれも前記イネーブル制御端子に接続される、ことを特徴とする請求項に記載のフェーズロック加速回路。
【請求項4】
前記パルス幅抽出アレイは、給電電源と、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットとを含み、各段のパルス幅抽出ユニットは、パルス幅テストNMOSトランジスタと、パルス幅テストPMOSトランジスタと、スイッチPMOSトランジスタと、リセット制御NMOSトランジスタと、コンデンサとを含み、
第n段のパルス幅抽出ユニットで、パルス幅テストNMOSトランジスタのゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第n段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、パルス幅テストPMOSトランジスタのゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第n+1段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、第n段のDフリップフロップは、第n段のパルス幅抽出ユニットと段数が等しく、第n+1段のDフリップフロップと第n段のDフリップフロップは、隣接してカスケード接続されるという接続関係であり、これにより前記遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子がパルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続されるという接続関係が満たされ、パルス幅テストNMOSトランジスタのゲート及びパルス幅テストPMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記2つのパルス入力端子とされ、
各段のパルス幅抽出ユニットでは、パルス幅テストPMOSトランジスタのソースは、給電電源に接続され、パルス幅テストPMOSトランジスタのドレインは、パルス幅テストNMOSトランジスタのドレインに接続され、パルス幅テストNMOSトランジスタのソースは、スイッチPMOSトランジスタのソースに接続され、スイッチPMOSトランジスタのゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子とされ、リセット制御NMOSトランジスタのゲートは、前記電荷放出制御端子とされ、リセット制御NMOSトランジスタのドレインは、スイッチPMOSトランジスタのドレイン及びコンデンサの上極板の両方に接続され、リセット制御NMOSトランジスタのドレインとコンデンサの上極板の接続ノードは、前記パルス幅情報出力端子とされ、コンデンサの下極板及びリセット制御NMOSトランジスタのソースはいずれも接地され、
カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのスイッチPMOSトランジスタのゲートは、全て前記クロック入力端子に接続され、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのリセット制御NMOSトランジスタのゲートは、全て第1段のDフリップフロップの逆相出力端子に接続される、ことを特徴とする請求項に記載のフェーズロック加速回路。
【請求項5】
前記制御信号生成モジュールは、n個のコンパレータと、論理和回路と、1つのスイッチDフリップフロップとを含み、
当該n個のコンパレータは、パルス幅抽出アレイの内部でカスケード接続される順に従って、第2段のパルス幅抽出ユニットから、各コンパレータの正逆相入力端子がそれぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの逆相入力端子が段数の小さい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの正相入力端子が段数の大きい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、
当該n個のコンパレータの信号出力端子は、それぞれ論理和回路のn個の入力端子に接続され、論理和回路の出力端子は、スイッチDフリップフロップのクロック端子に接続され、スイッチDフリップフロップのデータ入力端子及びリセット端子は、いずれも前記イネーブル制御端子に接続され、スイッチDフリップフロップのデータ出力端子は、前記パルス幅抽出制御回路の制御出力端子とされ、
論理和回路は、複数の論理和ゲート又はそれに対応する組合論理回路を含む、ことを特徴とする請求項に記載のフェーズロック加速回路。
【請求項6】
入力されるクロック信号とフィードバッククロック信号の周波数差及び位相差を検出して、パルス制御信号を生成するための位相周波数検出器と、
位相周波数検出器から出力される制御信号に基づいて充電電流及び放電電流を発生させるためのチャージポンプと、
チャージポンプから出力される電流制御信号を制御電圧に変換し、高周波ノイズをフィルタリングして除去するためのローパスフィルタと、
ローパスフィルタから出力される制御電圧に基づいて電圧制御発振器の出力信号の周波数を制御し、制御電圧が上昇する時に出力信号の発振周波数を増加させ、制御電圧が低下する時に出力信号の発振周波数を低減させ、制御電圧が一定である時に、出力信号の発振周波数を固定値に維持させるための電圧制御発振器と、
電圧制御発振器の出力信号を分周して、前記位相周波数検出器のフィードバッククロック信号を生成するための分周器と、を含み、
位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成されるフェーズロックループシステムであって、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のフェーズロック加速回路をさらに含み、前記フェーズロック加速回路のパルス幅抽出制御回路は、位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまで、位相周波数検出器から出力される制御信号の反転信号のデューティ比の変化状況に基づいて、前記フェーズロック加速回路の電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況を制御し、前記フェーズロック加速回路は、フィードバックループのフェーズロック時間を短縮させる、ことを特徴とするフェーズロックループシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェーズロックループの技術分野に関し、特に、制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路及びフェーズロックループシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
フェーズロックループ(PLL)は、1つのチップシステムで1種又は複数種の周波数のクロックを提供し、受信機で局部発振信号を生成し、通信システムで同期を維持させるなど、非常に重要な機能システムである。これらのシステムでは、フェーズロックループを迅速にロックすることが求められるが、安定性、動的応答、精度、ノイズなどの要素の相互制約により、フェーズロック速度のさらなる向上は難しい。
【0003】
フェーズロックループでは、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器によりフィードバックループが形成され、電圧制御発振器の高周波出力信号の分周されたフィードバッククロック信号Ffbと水晶発振器から発生された基準クロック信号Frefが位相周波数検出器に入力され、位相周波数検出器が2つの入力信号の位相差を比較して、出力電圧を発生させ、出力電圧によって制御されるチャージポンプが充電又は放電電流を発生させ、当該電流でローパスフィルタに対する充電又は放電が行われることで、ローパスフィルタから出力される制御電圧VCが増大又は減少し、VCは電圧制御発振器の入力信号として、電圧制御発振器の出力信号周波数を調整し、そして電圧制御発振器の出力信号が分周器によって分周された後、フィードバッククロック信号Ffbを取得して位相周波数検出器に伝送され、ループのネガティブフィードバックの特性により基準クロック信号Frefとフィードバッククロック信号Ffbの位相が一致するか又は固定値の差が保たれると、フェーズロックループがロックされる。
【0004】
したがって、フェーズロックループ回路により、周波数と位相が固定周波数と位相にロックされる出力信号Foutが発生される。位相周波数検出器によって、基準クロック信号Frefとフィードバッククロック信号Ffbを比較して、フェーズロックが安定的になるまで、電圧制御発振器の制御電圧を調節することで出力周波数を変え、フェーズロックが安定的である時は、基準クロック信号の周波数と電圧制御発振器の出力周波数が等しく又はN倍の関係である。しかし、この過程では、ループフィードバックの遅延時間が長く、フェーズロックループのフェーズロック時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記技術上の欠点を解消するために、制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路を開示し、当該フェーズロック加速回路は、位相周波数検出器から出力される、入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相関係を反映する制御信号を利用して、パルス幅抽出制御回路を駆動して電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況をステップ的に制御させ、位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまで、この制御を続け、電圧制御発振器に入力される制御電圧のオーバーシュートを避けるとともに、フィードバックループの遅延を相殺して、フェーズロック時間を短縮させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の技術的解決手段を提供する。制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路であって、当該フェーズロック加速回路に適するフェーズロックループは、位相周波数検出器と、チャージポンプと、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを含み、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成され、前記フェーズロック加速回路は、パルス幅抽出制御回路と、電流注入スイッチモジュールと、を含み、パルス幅抽出制御回路には、駆動入力端子と、イネーブル制御端子と、制御出力端子と、が設けられ、電流注入スイッチモジュールには、電流ステップ入力制御端子と、電流注入制御端子とが設けられ、パルス幅抽出制御回路のイネーブル制御端子は、外部のイネーブル信号源に接続されて、フェーズロックループを制御してフェーズロック動作を開始させるために用いられ、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子は、電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子に接続され、また電流注入スイッチモジュールの電流ステップ入力制御端子及びパルス幅抽出制御回路の駆動入力端子はいずれも位相周波数検出器の1つのプリセット制御信号出力端子に接続されて、当該プリセット制御信号出力端子の出力信号のパルス幅の変化状況に基づいて、電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況を制御し、位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまでこれを続け、当該プリセット制御信号出力端子の出力信号は、位相周波数検出器から出力されるチャージポンプを制御して電流注入を行わせるための制御信号の反転信号であり、ローパスフィルタの信号入力端子は、チャージポンプの信号出力端子に接続され、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子は、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子に接続されて、チャージポンプの信号出力端子から提供される電荷を受け取ると同時に、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子から注入される電荷を受け取り、受け取って蓄積された電荷から制御電圧を生成させて、電圧制御発振器に出力するために用いられ、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子は、ローパスフィルタの内部の抵抗コンデンサ直列接続分岐における、抵抗とそれに直列接続されたコンデンサの接続ノードである。
【0007】
本技術的解決手段は、ハードウェア回路のみから構成されたもので、パルス幅抽出制御回路は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相関係を反映する制御信号のジャンプ状況に基づいて、遅延処理により当該制御信号の低周波パルス幅情報を取得し、当該低周波パルス幅情報の経時的な大きさの変化状況に基づいて電流注入スイッチモジュールの電流導通状態を制御することによって、フェーズロックループがほぼ安定的になるまでローパスフィルタに迅速に電荷を注入することを実現し、ステップ的な電荷注入により発振を避け、フェーズロック時間を短縮させる。
【0008】
さらに、前記電流注入スイッチモジュールは、給電電源と、第1ゼロNMOSトランジスタと、第2ゼロNMOSトランジスタと、第1ゼロPMOSトランジスタとを含み、第1ゼロNMOSトランジスタのソースは、第2ゼロNMOSトランジスタのドレインに接続され、第1ゼロNMOSトランジスタのゲートは、第1ゼロNMOSトランジスタのドレインに接続され、第1ゼロNMOSトランジスタのドレインは、給電電源に接続されて、第1ゼロNMOSトランジスタは、電流制限MOSトランジスタとされ、第2ゼロNMOSトランジスタのドレインは、第1ゼロNMOSトランジスタのソースに接続され、第2ゼロNMOSトランジスタのソースは、第1ゼロPMOSトランジスタのソースに接続され、第2ゼロNMOSトランジスタのゲートは、前記プリセット制御信号出力端子に接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流ステップ入力制御端子とされ、前記プリセット制御信号出力端子の出力信号のジャンプ状態に基づいて第2ゼロNMOSトランジスタの導通状況を変えて、前記電流注入スイッチモジュールのステップ的な電流注入を実現するために用いられ、第1ゼロPMOSトランジスタのソースは、第2ゼロNMOSトランジスタのソースに接続され、第1ゼロPMOSトランジスタのゲートは、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子に接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子とされ、第1ゼロPMOSトランジスタのドレインは、前記電流注入スイッチモジュールの信号出力端子とされ、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子に接続される。
【0009】
当該技術的解決手段では、前記プリセット制御信号出力端子の出力信号とパルス幅抽出制御回路を駆動して出力させる制御信号の両方の組み合わせを利用して、前記ローパスフィルタに注入される電流が、ほぼロックされる時にステップ的に注入されるよう制御することによって、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子の電圧オーバーシュートを緩和する。使用されるフェーズロックループシステムの安定性に影響がないことも保証される。
【0010】
さらに、前記パルス幅抽出制御回路は、パルス幅抽出アレイと、遅延レベル発生アレイと、制御信号生成モジュールとを含み、前記駆動入力端子は、遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子に接続され、前記イネーブル制御端子は、遅延レベル発生アレイに設けられるデータ入力端子に接続され、遅延レベル発生アレイの内部は、カスケード接続されるn+3個のDフリップフロップを含み、それぞれに対応してn+3個のデータ出力端子が設けられ、前記イネーブル制御端子に接続されるDフリップフロップは、第1段のDフリップフロップであり、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットの段数は、それに接続された隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのうちの小さい方の段数と同じであり、パルス幅抽出アレイの内部は、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットを含み、各パルス幅抽出ユニットには、いずれも2つのパルス入力端子と、1つの電荷放出制御端子と、1つの駆動端子と、1つのパルス幅情報出力端子とが配設され、隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットには、いずれも1つの共通するパルス入力端子を有し、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットの駆動端子は、いずれも遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子に接続され、遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子は、パルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続され、遅延レベル発生アレイで、前記イネーブル制御端子に接続されるDフリップフロップの逆相出力端子は、各パルス幅抽出ユニットの電荷放出制御端子に接続され、制御信号生成モジュールには、n個のコンパレータが内蔵され、各コンパレータの正逆相入力端子がそれぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、隣接する2つのコンパレータのそれぞれには、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続される1つの入力端子のみが存在し、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続される隣接する2つのコンパレータの入力端子の属性が異なり、隣接しない2つのコンパレータの入力端子は、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子には、接続されない。
【0011】
当該技術的解決手段では、まず前記イネーブル制御端子から出力されるイネーブル制御信号ENを遅延レベル発生アレイに伝送して遅延処理を行って、n+3個の遅延レベルを取得してから、隣接する2段の遅延出力信号のそれぞれによってパルス幅抽出アレイにおける対応する段のパルス幅抽出ユニットの導通状況を制御することによって、前記駆動入力端子から出力される各周期内の低周波パルス幅を抽出して電圧情報に変換することを実現して、パルス幅抽出ユニットのコンデンサの内部に保存し、さらに前記制御信号生成モジュールの内部のコンパレータがパルス幅抽出ユニットから出力される代表的なパルス幅情報の電圧値を比較して、前記電流注入スイッチモジュールの前記ローパスフィルタへの電荷注入状況を決定することによって、適切なタイミングで注入電流をオフすることを実現して、コンデンサ入力端子で電圧オーバーシュートが起こる状況を緩和し、フェーズロック時間を短縮させるとともに、回路の倫理関係に基づいて適切な段数拡張及び回路パラメータ調節を行うことによって、より精確な制御効果をもたらし、段数を拡張するプロセスで、回路構造が簡単で、集積化しやすいため、回路の複雑さが明らかに増すことはない。
【0012】
さらに、前記遅延レベル発生アレイ内で、カスケード接続されるn+3個のDフリップフロップの接続構造は以下のとおりである。
【0013】
第1段のDフリップフロップのデータ入力端子は、前記イネーブル制御端子に接続され、隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップで、後段のDフリップフロップのデータ入力端子は、前段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、各段のDフリップフロップのクロック端子は、いずれも前記駆動入力端子に接続され、各段のDフリップフロップのリセット端子は、いずれも前記イネーブル制御端子に接続される。当該技術的解決手段では、フェーズロックループのイネーブル信号及び前記プリセット制御信号出力端子の信号が共に駆動することによって、カスケード接続されるDフリップフロップにより遅延レベルの発生を実現する。
【0014】
さらに、前記パルス幅抽出アレイは、給電電源と、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットと、を含み、各段のパルス幅抽出ユニットは、パルス幅テストNMOSトランジスタと、パルス幅テストPMOSトランジスタと、スイッチPMOSトランジスタと、リセット制御NMOSトランジスタと、コンデンサと、を含み、現在の段のパルス幅抽出ユニットでは、パルス幅テストNMOSトランジスタのゲートが、前記遅延レベル発生アレイ内の第1段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、パルス幅テストPMOSトランジスタのゲートが前記遅延レベル発生アレイ内の第2段のDフリップフロップのデータ出力端子に接続され、第1段は、現在の段のパルス幅抽出ユニットと段数が等しく、第2段のDフリップフロップと第1段のDフリップフロップは、隣接してカスケード接続されるという接続関係であり、これにより前記遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子が、パルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続されることが満たされ、パルス幅テストNMOSトランジスタのゲート及びパルス幅テストPMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記2つのパルス入力端子とされ、各段のパルス幅抽出ユニットでは、パルス幅テストPMOSトランジスタのソースが給電電源に接続され、パルス幅テストPMOSトランジスタのドレインがパルス幅テストNMOSトランジスタのドレインに接続され、パルス幅テストNMOSトランジスタのソースがスイッチPMOSトランジスタのソースに接続され、スイッチPMOSトランジスタのゲートが前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子とされ、リセット制御NMOSトランジスタのゲートが前記電荷放出制御端子とされ、リセット制御NMOSトランジスタのドレインがスイッチPMOSトランジスタのドレイン及びコンデンサの上極板の両方に接続され、リセット制御NMOSトランジスタのドレインとコンデンサの上極板の接続ノードは、前記パルス幅情報出力端子とされ、コンデンサの下極板及びリセット制御NMOSトランジスタのソースは、いずれも接地され、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのスイッチPMOSトランジスタのゲートは、全て前記クロック入力端子に接続され、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのリセット制御NMOSトランジスタのゲートは、全て第1段のDフリップフロップの逆相出力端子に接続される。
【0015】
従来技術と比べると、当該技術的解決手段では、前記遅延レベル発生アレイの隣接してカスケード接続される各Dフリップフロップから出力される遅延信号に基づいて、各段のパルス幅抽出ユニットの抽出区間に対応する低周波パルス幅情報を決定し、対応する段のパルス幅抽出ユニットのコンデンサ内に記憶することによって、隣接する2段のパルス幅抽出ユニットの容量の比の値を変えてパルス幅抽出ユニットの前記パルス幅情報出力端子の充放電時間を調節し、さらに前記遅延制御モジュールが前記電流注入スイッチモジュールの電流をオンオフするタイミングを制御することを実現し、フェーズロックループのフィードバック遅延によるフェーズロック時間の増加を相殺し、前記ローパスフィルタから出力される制御電圧のオーバーシュートを避け、フェーズロックループのロック時間を短縮させることができる。
【0016】
前記技術的解決手段によれば、前記カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットで、隣接してカスケード接続される2つのパルス幅抽出ユニットの容量の比の値は、予め設定された数値で、当該予め設定された数値は、1より小さい。当該好ましい解決手段は、前記電流注入スイッチモジュールを制御してローパスフィルタから出力される制御電圧が最終安定電圧に近い時に前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子への電荷注入を遮断させて、オーバーシュートを避けることに役立つものである。
【0017】
さらに、前記制御信号生成モジュールは、n個のコンパレータと、論理和回路と、1つのスイッチDフリップフロップとを含み、当該n個のコンパレータは、パルス幅抽出アレイの内部でカスケード接続される順に従って、第2段のパルス幅抽出ユニットから、各コンパレータの正逆相入力端子がそれぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの逆相入力端子が段数の小さい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの正相入力端子が段数の大きい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、当該n個のコンパレータの信号出力端子は、それぞれ論理和回路のn個の入力端子に接続され、論理和回路の出力端子は、スイッチDフリップフロップのクロック端子に接続され、スイッチDフリップフロップのデータ入力端子及びリセット端子は、いずれも前記イネーブル制御端子に接続され、スイッチDフリップフロップのデータ出力端子は、前記パルス幅抽出制御回路の制御出力端子とされ、論理和回路は、複数の論理和ゲート又は、それに対応する組合論理回路を含む。
【0018】
当該技術的解決手段では、n個のコンパレータの入力端子は、それぞれ前記パルス幅抽出アレイの出力パルス幅情報からの電圧信号を受け取り、比較して前記パルス幅抽出制御回路の最終的な比較結果を決定するが、長時間で動作することで、パルス幅抽出アレイの容量電荷の漏洩により、パルス幅情報出力端子の出力電圧が変わる可能性があり、この場合には、論理和ゲートによって接続されるスイッチDフリップフロップにより、パルス幅情報出力端子がエッジジャンプ信号を出力する場合に、スイッチDフリップフロップのデータ出力端子には、出力レベル状態が変わらないことが保たれ、フェーズロック加速回路の信頼性が向上する。
【0019】
フェーズロックループシステムであって、パルス制御信号を生成する位相周波数検出器と、位相周波数検出器から出力される制御信号に基づいて充電電流及び放電電流を発生させるためのチャージポンプと、チャージポンプから出力される電流制御信号を制御電圧に変換し、高周波ノイズをフィルタリングして除去するためのローパスフィルタと、ローパスフィルタから出力される制御電圧に基づいて電圧制御発振器の出力信号の周波数を制御し、制御電圧が上昇する時に出力信号の発振周波数を増加させ、制御電圧が低下する時に出力信号の発振周波数を低減させ、制御電圧が安定化する時に、出力信号の発振周波数を固定値に維持させるための電圧制御発振器と、電圧制御発振器の出力信号を分周して、前記位相周波数検出器のフィードバッククロック信号を生成するための分周器とを含み、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成され、前記フェーズロック加速回路をさらに含み、前記フェーズロック加速回路のパルス幅抽出制御回路は、位相周波数検出器から出力される制御信号の反転信号のデューティ比の変化状況に基づいて、前記フェーズロック加速回路の電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況を制御し、これを位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまで続けることによって、前記フェーズロック加速回路は、フィードバックループのフェーズロック時間を短縮させる。
【0020】
当該技術的解決手段では、外部のイネーブル制御信号に遅延処理を行ってn+3個の遅延レベルを取得し、位相周波数検出器から出力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を反映する制御信号から、対応するパルス幅情報を抽出して、後に前記電流注入スイッチモジュールにおける注入スイッチ制御のための電圧信号とされ、パルス幅情報は、パルス幅抽出の根拠とされ、スイッチDフリップフロップにより前記電流注入スイッチモジュールの導通結果の信頼性が保証される。
【0021】
これによりフェーズロックループシステムのフェーズロック時間が短縮され、前記ローパスフィルタから出力される制御電圧が安定的で変わらないことが保証され、システム特性、伝達関数及びノイズ性能は変更せず、且つ他のフェーズロックループシステムへの適用拡大の際には、デバイスパラメータ及びループパラメータを変える必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例に係るフェーズロックループシステムのブロック模式図である。
図2図1に示すフェーズロックループシステムに用いるパルス幅抽出制御回路の構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係る図2に示すパルス幅抽出制御回路に用いるパルス幅抽出アレイの構造模式図である。
図4】本発明の実施例に係る図2に示すパルス幅抽出制御回路に用いる遅延レベル発生アレイの構造模式図である。
図5図4の遅延レベル発生アレイの各段のDフリップフロップの出力信号が入力制御信号UPに追従して変化する波形図である。
図6】本発明の実施例に係る図2に示すパルス幅抽出制御回路に用いる制御信号生成モジュールの構造模式図である。
図7図6の制御信号生成モジュールの各コンパレータの入力端子の入力信号、及び全てのコンパレータの出力信号の論理和結果ctrが入力制御信号UPに追従して変化する波形図である。
図8】従来のフェーズロックループシステムにおける前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DN、及びローパスフィルタの信号出力端子の電圧VC_outのフェーズロック前後の波形図である。
図9】本発明の実施例に係るフェーズロックループシステムにおける前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DN、及びローパスフィルタの信号出力端子の電圧VC_outのフェーズロック前後の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例に係る技術的解決手段を詳細に説明する。なお、下記回路のポートでポートの名称表記は、当該ポートの入出力信号電圧に対応する。
【0024】
本発明の実施例は、制御信号パルス幅抽出に基づくフェーズロック加速回路を提供し、図1に示すように、当該フェーズロック加速回路に適するフェーズロックループは、位相周波数検出器と、チャージポンプと、ローパスフィルタと、電圧制御発振器と、分周器とを含み、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成され、前記フェーズロック加速回路には、従来のフェーズロックループにパルス幅抽出制御回路及び電流注入スイッチモジュールが追加され、位相周波数検出器に入力される基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkの位相が同期するまで、当該フェーズロック加速回路は、位相周波数検出器から出力される、入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相関係を反映する制御信号を利用して、パルス幅抽出制御回路を駆動して電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況を制御させるとともに、ステップ的にローパスフィルタへの電流注入をオンする機能を実現し続け、基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkの位相が同期して変化すること(即ち位相同期化)を実現し、電圧制御発振器に入力される制御電圧のオーバーシュートを避けるとともに、フィードバックループの遅延を相殺して、フェーズロック時間を短縮させる。
【0025】
図1に示すように、パルス幅抽出制御回路には、駆動入力端子UPと、イネーブル制御端子ENと、制御出力端子ctr_kepとが設けられ、電流注入スイッチモジュールには、電流ステップ制御端子UPと、電流注入制御端子ctr_kepとが設けられ、即ちパルス幅抽出制御回路の制御出力端子ctr_kepは、電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子ctr_kepに接続され、パルス幅抽出制御回路のイネーブル制御端子ENは、外部のイネーブル信号源ENに接続され、イネーブル信号源ENは、フィードバックループを制御してフェーズロック動作をオンして、基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkとの位相関係を自動的に調整することを開始させるために用いられる。
【0026】
また、電流注入スイッチモジュールの電流ステップ入力制御端子UP及びパルス幅抽出制御回路の駆動入力端子UPは、いずれも位相周波数検出器の1つのプリセット制御信号出力端子UPに接続され、本実施例でUPは、プリセット制御信号出力端子及びそれに接続されたポートで伝送される電圧信号を表すことができる。
【0027】
前記位相周波数検出器の内部では、入力される基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkを比較して制御信号UP、DN、UPB及びDNBが生成され、信号UPB及び信号DNは、チャージポンプにおける電流スイッチMOSトランジスタを制御するために用いられ、信号UP及び信号DNBは、電荷共有を相殺するよう制御するために用いられ、信号UPBと信号UPは、1対の反対する制御信号であり、信号DNBと信号DNも1対の反対する制御信号であり、具体的には、信号DNは、ローパスフィルタから出力される制御電圧の上昇段階以後に固定信号として維持され、そのために信号DNBも信号DNもステップ的な電流調節には適さない。
【0028】
従来技術では、信号UPBを利用してチャージポンプの電流スイッチ装置を制御し、当該信号を電流注入スイッチモジュールの制御に用いれば、チャージポンプの出力電流に影響が起こる。そのために本実施例では、位相周波数検出器の1つのプリセット制御信号出力端子から出力されるUP信号を用いて電流注入スイッチモジュールを制御し、即ち位相周波数検出器から出力されるチャージポンプを制御して電流注入を行わせるための制御信号の反転信号が電流注入スイッチモジュールのオンオフを制御するために用いられ、チャージポンプに影響はない。
【0029】
図1に示すように、前記ローパスフィルタの信号入力端子VC_inは、チャージポンプの信号出力端子に接続され、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNは、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子に接続されて、チャージポンプの信号出力端子から提供される電荷を受け取ると同時に、電流注入スイッチモジュールの信号出力端子から注入される電荷を受け取り、受け取って蓄積された電荷から制御電圧を生成させて、ローパスフィルタの信号出力端子VC_outによって電圧制御発振器に出力するために用いられ、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNは、ローパスフィルタの内部の抵抗コンデンサ直列接続分岐における、抵抗Rとそれに直列接続されたコンデンサC10の接続ノードである。
【0030】
図1の実施例に示すローパスフィルタは、二次ローパスフィルタであり、前記二次ローパスフィルタは、第1フィルタコンデンサC10と、第2フィルタコンデンサC20と、抵抗R3とを含み、前記電流注入制御モジュールの信号出力端子(即ち図1のVC_DN)は、第1フィルタコンデンサC10の一端及び抵抗Rの一端の両方に接続され、第1フィルタコンデンサC10の他端は接地され、抵抗Rの他端は、第2フィルタコンデンサC20の一端に接続され、第2フィルタコンデンサC20の他端は接地され、第1フィルタコンデンサC10と抵抗Rの接続ノードは、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNであり、抵抗Rと第2フィルタコンデンサC20の接続ノードは、前記ローパスフィルタの信号入力端子VC_inとされ、抵抗Rと第2フィルタコンデンサC20の接続ノードは、また前記ローパスフィルタの信号出力端子VC_outとされる。
【0031】
図1に示す実施例の他にも、前記フェーズロック加速回路には、三次ローパスフィルタ回路などの多次ローパスフィルタも適し(図示せず)、しかもループパラメータを変える必要が一切なく、フィルタ抵抗とフィルタコンデンサの接続ノードは、ローパスフィルタの入力端子又は出力端子とされてもよく、前記電流注入スイッチモジュールから注入される電荷及びチャージポンプの充放電過程で注入される電荷を受け取るために用いられてもよい。
【0032】
また、前記フェーズロック加速回路の迅速ロック機能で、他の性能に対して最適化を行うこともできる。前記ローパスフィルタの機能は、位相誤差に関連する前記位相周波数検出器から出力されるパルス制御信号を(チャージポンプの充放電により)安定的な制御信号に変換してノイズをフィルタリングして除去することである。
【0033】
なお、前記フェーズロックループにおいて、フェーズロックループをロックする過程は、周波数調整段階及び位相調整段階に分けられ、フェーズロックループが動作を開始すると、イネーブル制御信号は、低レベルから高レベルに変わり、本実施例でパルス幅抽出制御回路のイネーブル制御端子ENが低レベルから高レベルに変わって、前記フェーズロックループが動作を開始して周波数調整段階に移行すると見なされてもよく、イネーブル信号ENのイネーブル制御により、電圧制御発振器は、出力クロック周波数信号を生成することを開始し、分周器によって位相周波数検出器にフィードバックされ、当該段階で、UP信号は、まず長時間高レベルにあり、位相周波数検出器がフィードバック信号を受け取ると、基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkの位相関係に基づいてデューティ比の不規則的に変化する制御信号UPを出力し、信号UPが長時間高レベルにある時には、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子ctr_kepは、低レベルにあり、前記電流注入スイッチモジュールが導通されて、前記ローパスフィルタの内部のフィルタコンデンサに電荷が注入され、周波数調節過程が加速されることによって、前記ローパスフィルタから電圧制御発振器に出力される電圧が、最終安定電圧に近く且つやや低いまで高められ、信号UPが前記した不規則的変化段階を越えることが促され、この時には、フィードバッククロック信号fbkの周波数が基準クロック信号frefの周波数よりやや低く、位相調整段階に移行する。
【0034】
位相調整段階に移行すると、信号UPは、位相周波数検出器の調節によってデューティ比の規則的に変化する矩形波信号になり、その変化規則は、以下のとおりである。図5及び図7から分かるように、信号UPの低周波パルス幅が信号UPの周期幅にほぼ等しくなるまで、信号UPの低周波パルス幅は、まず減少してから増加する(本実施例のフェーズロックループは、調節されて位相調整段階に移行した時には、前記ローパスフィルタから電圧制御発振器に出力される電圧が最終安定電圧よりやや低いため、この状況だけを考慮する)。
【0035】
具体的には、信号UPの変化傾向は、位相周波数検出器に入力されるフィードバック信号と基準信号の位相関係を反映する。
【0036】
信号UPの低周波パルス幅が減少する場合に、フィードバッククロック信号fbkの周波数が基準クロック信号frefの周波数より小さいことを表し、当該段階で、基準クロック信号frefは、フィードバッククロック信号fbkを超えており、且つ基準クロック信号frefのフィードバッククロック信号fbkを超えた分のパルス幅が増大し、前記ローパスフィルタから出力される電圧制御発振器を制御するための電圧VCは、最終安定電圧より低く、またチャージポンプによって前記ローパスフィルタの対応するコンデンサに電流を注入して、ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧が高められ、フィードバッククロック信号fbkの周波数もそれに従って高められ、信号UPの低周波パルス幅の減少速度が徐々に低減し、フィードバッククロック信号fbkの周波数が基準クロック信号frefの周波数に等しい時に、信号UPの低周波パルス幅がこれ以上減少しなくなり、この時には、フェーズロックループのフィードバック遅延特性により、ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧が既に最終安定電圧よりやや高く、しかもフィードバッククロック信号fbkと基準クロック信号frefの位相が揃っていないため、位相同期化プロセスを行う必要があり、ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧は、引き続き高められ、フィードバッククロック信号fbkの周波数は、基準クロック信号frefの周波数より大きく、制御信号UPの低周波パルス幅が増大し始め、この時には、ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧が最終安定電圧値を超えており、続いて減衰発振プロセスに移行し、フェーズロックまで続く。
【0037】
前記フェーズロックプロセスでは、まず周波数調整段階に移行し、前記フィードバックループの遅延作用により、信号UPが長時間高レベルにあり、前記電流注入スイッチモジュールが導通されて、前記コンデンサ入力端子VC_DNに迅速に電荷を注入し、信号出力端子VC_outの電圧が迅速に高められ、信号出力端子VC_outの電圧が最終安定電圧に近くなり、その後、フィードバック信号が来るに伴い、信号UPは、低周波パルス幅の規則的に変化するジャンプ信号に変わり、周波数調整段階から位相調整段階に切り替わって、前記電流注入スイッチモジュールのステップ的な調整段階が開始し、前記パルス幅抽出制御回路は、当該制御信号出力端子の出力信号UPのデューティ比の変化状況に基づいて、適切なタイミングで制御出力端子ctr_kepから出力される信号をジャンプさせて、ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNへの電荷注入をオフするために用いられる。
【0038】
具体的には、前記パルス幅抽出制御回路は、前記パルス幅抽出制御回路のイネーブル制御端子EN信号の遅延処理により、複数の抽出区間を決定し、フェーズロックが安定的になるまでは、信号UPの異なる期間における低周波パルス幅情報を逐一に抽出し、即ち制御出力端子から出力される信号UPの異なる期間における低周波パルス幅の大きさを比較する。
【0039】
前記ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧がほぼ安定的になる時には、前記制御出力端子ctr_kepの出力がジャンプして、フェーズロック加速が完了し、フィードバッククロック信号fbkと基準クロック信号frefの位相同期化の速度が加速され、前記フェーズロックループが安定的な減衰発振ロックプロセスに移行することに役立つため、フェーズロック時間を大幅に短縮させることができ、フェーズロックループを迅速にロックして、フェーズロック時間を短縮させることができる。
【0040】
また、前記パルス幅抽出制御回路は、パルス信号UPの低周波パルス幅の変化規則に基づいて、信号UPのパルス幅の増加傾向が変化し始めるタイミングを選択し、この時には、フィードバッククロック信号fbkの周波数が基準クロック信号frefの周波数に近いため、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子ctr_kepが高レベルを出力して、フェーズロック加速回路の動作をオフし、この時には、フェーズロック加速回路をオフして前記ローパスフィルタで電荷オーバーシュートが起こることを避ける。
【0041】
従来技術と比べると、本実施例は、ハードウェア回路のみから構成され、電荷を迅速に注入することによって、前記ローパスフィルタの信号出力端子VC_outの電圧を迅速に高め、パルス幅抽出制御回路は、基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相関係を反映する制御信号UPのジャンプ状況に基づいて、電流注入スイッチモジュールの電流導通状態を制御し、信号UPのデューティ比の変化と組み合わせてローパスフィルタへの電荷注入をステップ的に制御して、フェーズロック時間を短縮させるとともに、ほぼフェーズロックになる時フェーズロック加速回路をオフして、ループパラメータに対する影響を避ける。
【0042】
図1に示すように、前記電流注入スイッチモジュールは、給電電源VCCと、第1ゼロNMOSトランジスタMN10と、第2ゼロNMOSトランジスタMN20と、第1ゼロPMOSトランジスタMP10とを含み、第1ゼロNMOSトランジスタMN10のソースは、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のドレインに接続され、第1ゼロNMOSトランジスタMN10のゲートは、第1ゼロNMOSトランジスタMN10のドレインに接続され、第1ゼロNMOSトランジスタMN10のドレインが給電電源VCCに接続されることで、第1ゼロNMOSトランジスタMN10は、電流制限MOSトランジスタとされ、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のドレインは、第1ゼロNMOSトランジスタMN10のソースに接続され、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のソースは、第1ゼロPMOSトランジスタMP10のソースに接続され、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のゲートは、前記プリセット制御信号出力端子UPに接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流ステップ入力制御端子UPとされ、前記プリセット制御信号出力端子の出力信号UPのジャンプ状態に基づいて第2ゼロNMOSトランジスタMN20の導通状況を変えて、前記電流注入スイッチモジュールのステップ的な電流注入を実現するために用いられ、第1ゼロPMOSトランジスタMP10のソースは、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のソースに接続され、第1ゼロPMOSトランジスタMP10のゲートは、パルス幅抽出制御回路の制御出力端子ctr_kepに接続されて、前記電流注入スイッチモジュールの電流注入制御端子ctr_kepとされ、第1ゼロPMOSトランジスタMP10のドレインは、前記電流注入スイッチモジュールの信号出力端子とされ、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNに接続され、信号UPが高い場合には、第2ゼロNMOSトランジスタMN20が導通され、信号UPが低い場合には、第2ゼロNMOSトランジスタMN20がオフされ、また信号ctr_kepが高い場合には、第1ゼロPMOSトランジスタMP10がオフされ、信号ctr_kepが低い場合には、第1ゼロPMOSトランジスタMP10が導通され、第2ゼロNMOSトランジスタMN20及び第1ゼロPMOSトランジスタMP10の両方が導通される場合に、前記電流注入スイッチモジュールが給電電源VCCを制御して前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNに電流を注入させて、電圧VC_DNの変化を加速させることによって、前記ローパスフィルタから前記電圧制御発振器に出力される制御電圧の変化を加速させ、そうでない場合は、前記フェーズロック加速回路をオフする。
【0043】
前記電流注入スイッチモジュールは、前記プリセット制御信号出力端子の出力信号とパルス幅抽出制御回路を駆動して出力させる制御信号の両方の組み合わせを利用して、最初には、電荷を迅速に注入し、ほぼフェーズロックになる時は、前記ローパスフィルタへの注入電流がステップ的に注入されるよう制御して、前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子の電圧オーバーシュートを緩和する。使用されるフェーズロックループシステムの安定性に影響がないことも保証される。
【0044】
当業者なら知っているように、前記電流注入スイッチモジュールで、前記第1ゼロNMOSトランジスタの接続構造は、電流の大きさを制御するための電流ソースに置き換えられてもよく、当該電流ソースの正極は、前記給電電源に接続され、当該電流ソースの負極は、前記第2ゼロNMOSトランジスタのドレイン(図示せず)に接続され、当該電流ソースは、実質的には、MOSトランジスタから構成され、同様に電流制限の役割を果たし、ただし特定のゲート電圧が追加されている。
【0045】
また、当業者が常識から理解しているように、当該電流ソースの回路としては、電流ミラー回路から構成されてもよく、当該電流ミラー回路は、基準電流を発生させることができ、ここでは説明を省略する。
【0046】
図2図3図4及び図6に示すように、前記遅延制御モジュールは、パルス幅抽出アレイと、遅延レベル発生アレイと、制御信号生成モジュールとを含み、前記駆動入力端子UPは、遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子に接続され、前記イネーブル制御端子ENは、遅延レベル発生アレイに設けられるデータ入力端子に接続され、遅延レベル発生アレイの内部は、カスケード接続されるn+3個のDフリップフロップを含み、それぞれに対応してn+3個のデータ出力端子Q1、Q2、Q3、…Qn+3が設けられ、前記イネーブル制御端子ENに接続されるDフリップフロップは、第1段のDフリップフロップであり、第1段のDフリップフロップにカスケード接続されるDフリップフロップの段数は、漸次増加し、これに応じて、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットの段数は、それに接続された隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのうちの小さい方の段数と同じであり、特定の段数のパルス幅抽出ユニットが第1段のDフリップフロップのデータ出力端子Q1及び第2段のDフリップフロップのデータ出力端子Q2にそれぞれ接続された場合に、パルス幅抽出ユニットは、パルス幅抽出アレイの第1段のパルス幅抽出ユニットに属する。
【0047】
パルス幅抽出アレイの内部は、カスケード接続されるn個のパルス幅抽出ユニットを含み、各パルス幅抽出ユニットには、いずれも2つのパルス入力端子と、1つの電荷放出制御端子と、1つの駆動端子と、1つのパルス幅情報出力端子とが配設され、隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットでは、いずれも1つの共通するパルス入力端子が、同じ段のDフリップフロップに接続され、当該段のDフリップフロップの段数は、隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのうちの後段のパルス幅抽出ユニットの段数と同じである。
【0048】
カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットの駆動端子は、いずれも遅延レベル発生アレイに設けられるクロック入力端子UPに接続される。
【0049】
遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子は、パルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続され、例えば、第2段のDフリップフロップのデータ出力端子Q2及び第3段のDフリップフロップのデータ出力端子Q3は、第2段のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に接続される。遅延レベル発生アレイで、前記イネーブル制御端子に接続されるDフリップフロップの逆相出力端子Q1Bは、各パルス幅抽出ユニットの電荷放出制御端子に接続される。
【0050】
制御信号生成モジュールには、n個のコンパレータが内蔵され、各コンパレータの正逆相入力端子は、それぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、そのうち1つのコンパレータの正相入力端子がn+2レベルのパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子Vn+2に接続され、当該コンパレータの逆相入力端子が第n+1段(n>1)のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子Vn+1に接続され、隣接する2つのコンパレータのそれぞれには、1つの入力端子だけが同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、1つ目のコンパレータの逆相入力端子は、第2段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V2に接続され、1つ目のコンパレータの正相入力端子は、第3段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V3に接続され、2つ目のコンパレータの逆相入力端子は、第3段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V3に接続され、2つ目のコンパレータの正相入力端子は、第4段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V4に接続され、3つ目のコンパレータの逆相入力端子は、第4段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V4に接続され、3つ目のコンパレータの正相入力端子は、第5段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V5に接続され、従って同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続される隣接する2つのコンパレータの入力端子の属性が異なり、隣接しない2つのコンパレータの入力端子は、同一のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子には接続されない。
【0051】
本実施例では、まず前記イネーブル制御端子から出力されるイネーブル制御信号ENを遅延レベル発生アレイに伝送して遅延処理を行って、n+3個の遅延レベルを取得した後、隣接する2レベルの遅延出力信号のそれぞれによってパルス幅抽出アレイにおける対応する段のパルス幅抽出ユニットの導通状況を制御することによって、前記駆動入力端子の出力信号UPの各周期内の低周波パルス幅を抽出して電圧情報に変換することを実現して、パルス幅抽出ユニットのコンデンサの内部に保存し、さらに前記制御信号生成モジュールの内部のコンパレータがパルス幅抽出ユニットから出力される代表的なパルス幅情報の電圧値を比較して、前記電流注入スイッチモジュールの前記ローパスフィルタへの電荷注入状況を決定することによって、適切なタイミングで注入電流をオフすることを実現して、コンデンサ入力端子VC_DNで電圧オーバーシュートが起こる状況を緩和し、フェーズロック時間を短縮させるとともに、回路の倫理関係に基づいて適切な段数拡張及び回路パラメータ調節を行うことによって、より精確な制御効果をもたらし、段数を拡張するプロセスで、回路構造が簡単で、集積化しやすいため、回路の複雑さが明らかに増すことはない。
【0052】
一実施例として、前記遅延レベル発生アレイ内で、nは5であることが好ましく、前記遅延レベル発生アレイは、8つのDフリップフロップがカスケード接続されて構成され、図4に示すように、その接続構造は以下のとおりである。
【0053】
第1段のDフリップフロップのデータ入力端子Dは、前記イネーブル制御端子ENに接続され、隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップで、後段のDフリップフロップのデータ入力端子Dは、前段のDフリップフロップのデータ出力端子Qに接続され、それぞれに対応して8つのデータ出力端子Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7及びQ8が設けられ、各段のDフリップフロップのクロック端子は、いずれも前記駆動入力端子UPに接続され、各段のDフリップフロップのリセット端子CLRは、いずれも前記イネーブル制御端子ENに接続される。
【0054】
信号ENが低レベルから高レベルに変わり、前記フェーズロックループが新たなフェーズロック動作を開始していることが示され、図5に示すように、信号UPは、t0時点で1つ目の立ち上がりエッジを発生させ、第1段のDフリップフロップの出力端子Q1に信号ENが入力されて、出力信号Q1は高レベルに変わる。
【0055】
第1段のDフリップフロップの遅延により、信号UPの1つ目の立ち上がりエッジが来る時に第2段のDフリップフロップは低レベルにあり、t1時点までは第2段のDフリップフロップの出力端子Q2がなおも低レベルであり、t0からt1の間に信号UPは、長時間にわたって高レベル状態に維持され、後続の段数のより高いDフリップフロップの出力端子Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8は、低レベルに維持され、t0からt1期間内の信号UPが低レベルに変わる時にカスケード接続される各Dフリップフロップの出力信号は変わらないが、前記電流注入スイッチモジュールの第1ゼロPMOSトランジスタMP10を導通するためには用いられ、第1ゼロNMOSトランジスタMN10及び第2ゼロNMOSトランジスタMN20が前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DNに電荷を注入することによって、フェーズロックループの周波数変調プロセスを加速させる。
【0056】
t1時点で、信号UPの2つ目の立ち上がりエッジが来ており、第1段のDフリップフロップの出力端子Q1が高レベルと変わらず、第2段のDフリップフロップの出力端子Q2は、第1段のDフリップフロップの出力端子Q1の高レベルを受け取る。
【0057】
また、遅延の影響で、信号UPの2つ目の立ち上がりエッジが来る時に、第3段のDフリップフロップの入力端子Q2が低レベルであるため、第3段のDフリップフロップの出力端子は低レベルであり、t2時点のUP信号の3つ目の立ち上がりエッジが到来するまで続き、t0からt2期間内には、信号UPが不規則的に変化し、前記周波数調整段階にある。
【0058】
同様の原理で、信号UPの次の立ち上がりエッジが来るたびに、後段のDフリップフロップの出力が高レベルに変わって、遅延レベルの発生が実現され、t7時点まで続く。
【0059】
本実施例では、パルス幅抽出アレイにおけるコンデンサの比例関係を変えて、遅くともt7時点に制御信号の変更が完了するように設定することによって、安定性を保証し、次に、信号UPは低レベル及び高レベルパルスとして現われ、そのうち信号UPの低周波パルス幅は、ほぼ信号UPの1つの周期に等しい。t2からt7時点で位相調整段階にあり、信号UPの低周波パルス幅は、まず減少してから増加し、t7時点以後、前記フェーズロックループシステムは、小幅な減衰発振及びフェーズロック安定状態に移行する。
【0060】
前記パルス幅抽出アレイは、給電電源VCCと、カスケード接続されるn+2個のパルス幅抽出ユニットとを含み、前記実施例によれば、nは5であることが好ましく、図3に示すように、第1段のパルス幅抽出ユニットは、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1と、第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1と、第1スイッチPMOSトランジスタMP11と、第1リセット制御NMOSトランジスタMN11と、第1コンデンサC1とを含み、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第1段のDフリップフロップのデータ出力端子Q1に接続され、第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第2段のDフリップフロップのデータ出力端子Q2に接続され、第2段のDフリップフロップと第1段のフリップフロップは、隣接してカスケード接続されるという接続関係であり、これにより前記遅延レベル発生アレイで隣接してカスケード接続される2つのDフリップフロップのデータ出力端子がパルス幅抽出アレイのマッチする段数のパルス幅抽出ユニットの2つのパルス入力端子に対応して接続されることが満たされ、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1のゲート及び第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1のゲートは、それぞれ前記2つのパルス入力端子とされ、第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1のソースは、給電電源VCCに接続され、第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1のドレインは、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1のドレインに接続され、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1のソースは、第1スイッチPMOSトランジスタMP11のソースに接続され、第1スイッチPMOSトランジスタMP11のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第1リセット制御NMOSトランジスタMN11のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第1リセット制御NMOSトランジスタMN11のドレインは、第1スイッチPMOSトランジスタMP11のドレイン及び第1コンデンサC1の上極板の両方に接続され、第1リセット制御NMOSトランジスタMN11のドレインと第1コンデンサC1の上極板の接続ノードV1は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第1コンデンサC1の下極板及び第1リセット制御NMOSトランジスタMN11のソースは、いずれも接地される。
【0061】
図3に示すように、第2段のパルス幅抽出ユニットは、第2パルス幅テストNMOSトランジスタMN2と、第2パルス幅テストPMOSトランジスタMP2と、第2スイッチPMOSトランジスタMP22と、第2リセット制御NMOSトランジスタMN22と、第2コンデンサC2とを含み、第2パルス幅テストNMOSトランジスタMN2のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第2段のDフリップフロップのデータ出力端子Q2に接続され、第2パルス幅テストPMOSトランジスタMP2のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第3段のDフリップフロップのデータ出力端子Q3に接続され、第2パルス幅テストPMOSトランジスタMP2のソースは、給電電源VCCに接続され、第2パルス幅テストPMOSトランジスタMP2のドレインは、第2パルス幅テストNMOSトランジスタMN2のドレインに接続され、第2パルス幅テストNMOSトランジスタMN2のソースは、第2スイッチPMOSトランジスタMP22のソースに接続され、第2スイッチPMOSトランジスタMP22のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第2リセット制御NMOSトランジスタMN22のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第2リセット制御NMOSトランジスタMN22のドレインは、第2スイッチPMOSトランジスタMP22のドレイン及び第2コンデンサC2の上極板の両方に接続され、第2リセット制御NMOSトランジスタMN22のドレインと第2コンデンサC2の上極板の接続ノードV2は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第2コンデンサC2の下極板及び第2リセット制御NMOSトランジスタMN22のソースはいずれも接地される。
【0062】
同様に、図3に示すように、第3段のパルス幅抽出ユニットは、第3パルス幅テストNMOSトランジスタMN3と、第3パルス幅テストPMOSトランジスタMP3と、第3スイッチPMOSトランジスタMP33と、第3リセット制御NMOSトランジスタMN33と、第3コンデンサC3とを含み、第3パルス幅テストNMOSトランジスタMN3のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第3段のDフリップフロップのデータ出力端子Q3に接続され、第3パルス幅テストPMOSトランジスタMP3のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第4段のDフリップフロップのデータ出力端子Q4に接続され、第3パルス幅テストPMOSトランジスタMP3のソースは、給電電源VCCに接続され、第3パルス幅テストPMOSトランジスタMP3のドレインは、第3パルス幅テストNMOSトランジスタMN3のドレインに接続され、第3パルス幅テストNMOSトランジスタMN3のソースは、第3スイッチPMOSトランジスタMP33のソースに接続され、第3スイッチPMOSトランジスタMP33のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第3リセット制御NMOSトランジスタMN33のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第3リセット制御NMOSトランジスタMN33のドレインは、第3スイッチPMOSトランジスタMP33のドレイン及び第3コンデンサC3の上極板の両方に接続され、第3リセット制御NMOSトランジスタMN33のドレインと第3コンデンサC3の上極板の接続ノードV3は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第3コンデンサC3の下極板及び第3リセット制御NMOSトランジスタMN33のソースは、いずれも接地される。
【0063】
なお、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのスイッチPMOSトランジスタのゲートは、全て前記クロック入力端子に接続され、カスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのリセット制御NMOSトランジスタのゲートは、全て同一のノードに接続され、当該ノードは、第1段のDフリップフロップの逆相出力端子Q1Bである。
【0064】
図3に示すように、第4段のパルス幅抽出ユニットは、第4パルス幅テストNMOSトランジスタMN4と、第4パルス幅テストPMOSトランジスタMP4と、第4スイッチPMOSトランジスタMP44と、第4リセット制御NMOSトランジスタMN44と、第4コンデンサC4とを含み、第4パルス幅テストNMOSトランジスタMN4のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第4段のDフリップフロップのデータ出力端子Q4に接続され、第4パルス幅テストPMOSトランジスタMP4のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第5段のDフリップフロップのデータ出力端子Q5に接続され、第4パルス幅テストPMOSトランジスタMP4のソースは、給電電源VCCに接続され、第4パルス幅テストPMOSトランジスタMP4のドレインは、第4パルス幅テストNMOSトランジスタMN4のドレインに接続され、第4パルス幅テストNMOSトランジスタMN4のソースは、第4スイッチPMOSトランジスタMP44のソースに接続され、第4スイッチPMOSトランジスタMP44のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第4リセット制御NMOSトランジスタMN44のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第4リセット制御NMOSトランジスタMN44のドレインは、第4スイッチPMOSトランジスタMP44のドレイン及び第4コンデンサC4の上極板の両方に接続され、第4リセット制御NMOSトランジスタMN44のドレインと第4コンデンサC4の上極板の接続ノードV4は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第4コンデンサC4の下極板及び第4リセット制御NMOSトランジスタMN44のソースは、いずれも接地される。
【0065】
図3に示すように、第5段のパルス幅抽出ユニットは、第5パルス幅テストNMOSトランジスタMN5と、第5パルス幅テストPMOSトランジスタMP5と、第5スイッチPMOSトランジスタMP55と、第5リセット制御NMOSトランジスタMN55と、第5コンデンサC5とを含み、第5パルス幅テストNMOSトランジスタMN5のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第5段のDフリップフロップのデータ出力端子Q5に接続され、第5パルス幅テストPMOSトランジスタMP5のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第6段のDフリップフロップのデータ出力端子Q6に接続され、第5パルス幅テストPMOSトランジスタMP5のソースは、給電電源VCCに接続され、第5パルス幅テストPMOSトランジスタMP5のドレインは、第5パルス幅テストNMOSトランジスタMN5のドレインに接続され、第5パルス幅テストNMOSトランジスタMN5のソースは、第5スイッチPMOSトランジスタMP55のソースに接続され、第5スイッチPMOSトランジスタMP55のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第5リセット制御NMOSトランジスタMN55のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第5リセット制御NMOSトランジスタMN55のドレインは、第5スイッチPMOSトランジスタMP55のドレイン及び第5コンデンサC5の上極板の両方に接続され、第5リセット制御NMOSトランジスタMN55のドレインと第5コンデンサC5の上極板の接続ノードV5は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第5コンデンサC5の下極板及び第5リセット制御NMOSトランジスタMN55のソースはいずれも接地される。
【0066】
図3に示すように、第6段のパルス幅抽出ユニットは、第6パルス幅テストNMOSトランジスタMN6と、第6パルス幅テストPMOSトランジスタMP6と、第6スイッチPMOSトランジスタMP66と、第6リセット制御NMOSトランジスタMN66と、第6コンデンサC6とを含み、第6パルス幅テストNMOSトランジスタMN6のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第6段のDフリップフロップのデータ出力端子Q6に接続され、第6パルス幅テストPMOSトランジスタMP6のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第7段のDフリップフロップのデータ出力端子Q7に接続され、第6パルス幅テストPMOSトランジスタMP6のソースは、給電電源VCCに接続され、第6パルス幅テストPMOSトランジスタMP6のドレインは、第6パルス幅テストNMOSトランジスタMN6のドレインに接続され、第6パルス幅テストNMOSトランジスタMN6のソースは、第6スイッチPMOSトランジスタMP66のソースに接続され、第6スイッチPMOSトランジスタMP66のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第6リセット制御NMOSトランジスタMN66のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第6リセット制御NMOSトランジスタMN66のドレインは、第6スイッチPMOSトランジスタMP66のドレイン及び第6コンデンサC6の上極板の両方に接続され、第6リセット制御NMOSトランジスタMN66のドレインと第6コンデンサC6の上極板の接続ノードV6は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第6コンデンサC6の下極板及び第6リセット制御NMOSトランジスタMN66のソースはいずれも接地される。
【0067】
図3に示すように、第7段のパルス幅抽出ユニットは、第7パルス幅テストNMOSトランジスタMN7と、第7パルス幅テストPMOSトランジスタMP7と、第7スイッチPMOSトランジスタMP77と、第7リセット制御NMOSトランジスタMN77と、第7コンデンサC7とを含み、第7パルス幅テストNMOSトランジスタMN7のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第7段のDフリップフロップのデータ出力端子Q7に接続され、第7パルス幅テストPMOSトランジスタMP7のゲートは、前記遅延レベル発生アレイ内の第8段のDフリップフロップのデータ出力端子Q8に接続され、第7パルス幅テストPMOSトランジスタMP7のソースは、給電電源VCCに接続され、第7パルス幅テストPMOSトランジスタMP7のドレインは、第7パルス幅テストNMOSトランジスタMN7のドレインに接続され、第7パルス幅テストNMOSトランジスタMN7のソースは、第7スイッチPMOSトランジスタMP77のソースに接続され、第7スイッチPMOSトランジスタMP77のゲートは、前記パルス幅抽出ユニットの駆動端子UPとされ、第7リセット制御NMOSトランジスタMN77のゲートは、前記電荷放出制御端子Q1Bとされ、第7リセット制御NMOSトランジスタMN77のドレインは、第7スイッチPMOSトランジスタMP77のドレイン及び第7コンデンサC7の上極板の両方に接続され、第7リセット制御NMOSトランジスタMN77のドレインと第7コンデンサC7の上極板の接続ノードV7は、前記パルス幅情報出力端子とされ、第7コンデンサC7の下極板及び第7リセット制御NMOSトランジスタMN77のソースはいずれも接地される。
【0068】
図3から分かるように、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1及び第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1のゲート制御方式によれば、第1段のDフリップフロップのデータ出力端子Q1が高レベルであり、且つ第2段のDフリップフロップのデータ出力端子Q2が低レベルである時に限って第1コンデンサC1に電荷を注入することができ、図5から分かるように、t0からt1の期間は、前記状態を満たし、また第1スイッチPMOSトランジスタMP11のゲートは、UP信号の制御を受け、第1パルス幅テストNMOSトランジスタMN1及び第1パルス幅テストPMOSトランジスタMP1がいずれも導通されている期間で、信号UPが低レベルである時に限って、第1コンデンサC1に電荷を注入することができ、第1コンデンサC1の両端にかかる電圧の大きさが電荷注入時間に正比例することで、信号UPの1つ目の低周波パルスの幅情報を抽出する機能を実現する。
【0069】
同様に、第2段のDフリップフロップの出力端子Q2が高レベルを出力し、第3段のDフリップフロップのデータ出力端子Q3が低レベルである時に、即ち図5のt1からt2期間は、第2段の抽出区間とされ、UP信号が当該区間で低レベルに維持されている時に限って、第2コンデンサC2に電荷を注入することができ、第2コンデンサC2の両端にかかる電圧の大きさが電荷注入時間に正比例することで、信号UPの2つ目の低周波パルスの幅情報を抽出することを実現する。
【0070】
同様に、第n段のDフリップフロップの出力端子Qnが高レベルを出力し、第n+1段のDフリップフロップのデータ出力端子Qn+1が低レベルで、且つ信号UPが低レベルである時に、以後の各段のパルス幅抽出ユニットは対応する抽出区間で対応する低周波パルス幅情報を抽出し、電圧情報に変換してそれぞれ各段のパルス幅抽出ユニットの前記パルス幅情報出力端子V1、V2、V3、V4、V5、V6及びV7によって電圧情報が示される
【0071】
信号ENが低レベルから高レベルに変わると、第1段のDフリップフロップのデータ出力端子Q1が低レベルを出力し、その逆相出力端子Q1Bは、高レベルを出力して、各段のパルス幅抽出ユニットにおけるリセット制御NMOSトランジスタが導通され、そしてコンデンサ内の電荷が放出されて、V1からV7の電圧抽出に影響がないことが保証される。
【0072】
第1段のDフリップフロップのデータ出力端子Q1からの低レベルが高レベルに変わると、その逆相出力端子Q1Bは、高レベルを出力して、電荷放出プロセスを終了し、フェーズロックループが再起動するまで続く。
【0073】
本実施例では、前記遅延レベル発生アレイの隣接してカスケード接続される各Dフリップフロップから出力される遅延信号に基づいて、各段のパルス幅抽出ユニットの抽出区間に対応する低周波パルス幅情報を決定し、対応する段のパルス幅抽出ユニットのコンデンサ内に記憶し、隣接する2段のパルス幅抽出ユニットの容量の比の値を変えることによってパルス幅抽出ユニットの各コンデンサの電圧の大小関係を調節し、さらに前記パルス幅抽出制御回路が前記電流注入スイッチモジュールの電流をオンオフするタイミングを制御することを実現し、フェーズロックループのフィードバック遅延によるフェーズロック時間の増加を相殺し、前記ローパスフィルタから出力される制御電圧を安定的にして、フェーズロックループのロック時間を短縮させることができる。
【0074】
なお、前記カスケード接続される7つのパルス幅抽出ユニットで、隣接してカスケード接続される2つのパルス幅抽出ユニットの容量の比の値は、予め設定された数値で、当該予め設定された数値は1より小さい。容量値の関係はCn*K=Cn+1(nは段数)を満たし、対象フェーズロックループの実際の動作状態に基づいてK値を、約0.8から1と決定し、本実施例でKは0.9であることが好ましい。
【0075】
当該好ましい例は、前記電流注入スイッチモジュールを制御してフィードバックループの遅延によるフェーズロック時間増加に対処させる場合に、前記ローパスフィルタのコンデンサ端子への電荷注入を遮断することに役立つもので、各段のパルス幅抽出ユニットの内部で同じ機能を果たすMOSトランジスタのパラメータが同じであるため、パルス幅情報の正確な抽出が保証される。
【0076】
前記制御信号生成モジュールは、n個のコンパレータと、論理和回路と、1つのスイッチDフリップフロップとを含み、当該n個のコンパレータは、パルス幅抽出アレイの内部でカスケード接続される順に従って、第2段のパルス幅抽出ユニットから、各コンパレータの正逆相入力端子がそれぞれ隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの逆相入力端子が段数の小さい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、コンパレータの正相入力端子が段数の大きい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子に接続され、論理和回路は、複数の論理和ゲート又はそれに対応する組合論理回路を含む。
【0077】
図6に示すように、前記制御信号生成モジュールは、5つのコンパレータと、1つの5入力論理和ゲートと、1つのスイッチDフリップフロップとを含み、コンパレータcmp1の負入力端子は、第2段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V2に接続され、正入力端子は、第3段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V3に接続され、コンパレータcmp2の負入力端子は、第3段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V3に接続され、正入力端子は、第4段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V4に接続され、コンパレータcmp3の負入力端子は、第4段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V4に接続され、正入力端子は、第5段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V5に接続され、コンパレータcmp4の負入力端子は、第5段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V5に接続され、正入力端子は、第6段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V6に接続され、コンパレータcmp5の負入力端子は、第6段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V6に接続され、正入力端子は、第7段のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子V7に接続され、コンパレータcmp1、コンパレータcmp2、コンパレータcmp3、コンパレータcmp4及びコンパレータcmp5の出力端子は、いずれも前記5入力論理和ゲートの入力端子に接続され、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrは、前記スイッチDフリップフロップのクロック端子に接続され、前記データ入力端子D及びリセット端子CLRは、いずれも前記イネーブル制御端子ENに接続され、前記スイッチDフリップフロップのデータ出力端子Qは、前記パルス幅抽出制御回路の制御出力端子ctr_kepとされる。
【0078】
前記制御信号生成モジュールの機能は、コンパレータによってV2、V3、V4、V5、V6及びV7の電圧値の関係を比較して、適切なタイミングで制御信号の出力をオフすることである。
【0079】
本実施例では、コンパレータcmp1、コンパレータcmp2、コンパレータcmp3、コンパレータcmp4及びコンパレータcmp5の内部のMOSトランジスタの比率が調整され、図7に示すように、これにより前記コンパレータは、信号UPの1つ目の立ち上がりエッジが到来する前に、即ちt0時点より前に、前記コンパレータの正逆入力がいずれもゼロである時の出力はゼロになり、従って前記フェーズロックループが動作を開始する時に、前記コンパレータの正逆相入力端子の出力はいずれも0であり、即ちV1、V2、V3、V4、V5、V6及びV7がいずれも0であり、前記コンパレータの出力はいずれも0である。
【0080】
t1時点は、信号UPの2つ目の立ち上がりエッジが到来する時点であり、第1段のパルス幅抽出ユニットの低周波パルス幅抽出電圧V1が周波数調整段階と位相調整段階の中間段階にあり、当該中間段階で、フィードバッククロック信号fbkと基準クロック信号frefの位相関係を反映する信号UPの低周波パルス幅は不安定であるため、当該パルス幅情報を前記制御信号生成モジュールのコンパレータに送り込み比較させることはしない。
【0081】
なお、コンパレータcmp1、コンパレータcmp2、コンパレータcmp3、コンパレータcmp4及びコンパレータcmp5で高レベルの出力信号が存在する場合に、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrは高レベルであり、そうでない場合は、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrは低レベルである。
【0082】
図7に示すように、t1からt2の期間内で電圧V2が上昇し、電圧V3は、低レベルに維持され、コンパレータcmp1の負入力端子がV2に接続され、コンパレータcmp1の正入力端子がV3に接続されるため、コンパレータcmp1の出力信号は0である。
【0083】
信号UPの4つ目の立ち上がりエッジが到来するに伴い、t2からt3の期間内で電圧V3が上昇するものの、電圧V2がなおも電圧V3より大きいため、コンパレータcmp1の出力はなおも0であり、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrはなおも低レベルであり、これは信号UPの低周波パルス幅は、t1からt3の期間内で減少傾向を保つことを示し、電圧V2が電圧V3より小さい場合に、コンパレータcmp1の出力は高レベルであり、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrは高レベルに変わり、これは信号UPの低周波パルス幅はt1からt3期間内で全体的に増大傾向を呈することを示す(図7では図示せず)。
【0084】
t2からt3の期間内で、コンパレータcmp2の負入力端子において電圧V3は上昇し始め、コンパレータcmp2の正入力端子に接続される電圧V4がなおもゼロに維持されているため、コンパレータcmp2の出力はゼロである。信号UPの5つ目の立ち上がりエッジが到来するに伴い、電圧V4がt4時点で上昇し、コンパレータcmp2は、前記実施例の方法に従って電圧V3と電圧V4の大きさを比較して、t2からt4の期間で信号UPの低周波パルス幅が増大又は減少しているかどうかを判断する。
【0085】
同様に、コンパレータcmp3、コンパレータcmp4及びコンパレータcm5は、いずれも前記原理に従って出力を比較して、5入力論理和ゲートの出力信号ctrを得る。
【0086】
なお、コンパレータcmp2の出力が高レベルに変わる時に、前記制御信号生成モジュールの出力が高レベルであることを保証する必要があり、コンパレータcmp3、コンパレータcmp4及びコンパレータcmp5は、引き続き遅延取得した電圧信号に基づいて出力を比較するが、前記制御信号生成モジュールの出力結果には影響はなく、プロセス条件などが異なる場合に、コンパレータの性能に違いがあるため、コンパレータの出力が発振して、前記5入力論理和ゲートの出力端子ctrが発振する可能性があり、又は、長時間に動作するため、前記パルス幅抽出ユニットのコンデンサ内の電荷漏洩により、当該パルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子の出力電圧が変わることで、コンパレータの出力が変わり、そして前記5入力論理和ゲートの出力端子信号ctrが変わる可能性がある。
【0087】
そのために前記5入力論理和ゲートの出力端子を前記スイッチDフリップフロップのクロック端子に接続させ、前記スイッチDフリップフロップのデータ入力端子DにEN信号を接続させる必要があり、フェーズロックループが動作を開始した後、前記5入力論理ゲートの出力端子の信号ctrの1つ目の立ち上がりエッジが来る時に、前記スイッチDフリップフロップの出力端子は低レベルから高レベルに変わり、後の動作過程では、前記スイッチDフリップフロップのクロック端子には、また立ち上がりエッジが来たとしても、前記スイッチDフリップフロップのデータ入力端子Dに接続される信号ENは、高レベルに維持されて変わらないため、前記スイッチDフリップフロップのデータ出力端子Qから出力される信号ctr_kepは変わらず、高レベルのままであり、パルス幅情報出力端子がエッジジャンプ信号を出力する場合に、スイッチDフリップフロップのデータ出力端子には、データ入力端子のレベル状態が変わらないことが維持されて、フェーズロック加速回路の信頼性が向上する。
【0088】
上記した内容から分かるように、前記パルス幅抽出アレイは、信号UPの7つの異なる期間における低周波パルス幅情報を抽出し、内部のコンデンサによって電圧値V1からV7に変換し、信号UPの低周波パルス幅の変化情報に基づいて前記電流注入スイッチモジュールの導通時間及び位相周波数検出器に入力される基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkの位相が同期するタイミングを決定し(フェーズロック安定状態と決定する)、前記制御信号生成モジュールが信頼性のある信号ctr_kepを発することで前記電流注入スイッチモジュールを制御する。
【0089】
図7に示すように、t5時点より前に、信号ctrが低レベルに維持されているため、コンパレータcmp1、コンパレータcmp2及びコンパレータcmp3によって比較される隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子の結果はいずれも0であることが示され、隣接してカスケード接続されるパルス幅抽出ユニットでは、段数の大きい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子の電圧Vn+1は、段数の小さい方のパルス幅抽出ユニットのパルス幅情報出力端子Vnを越えていないため、信号ctrを制御して高レベルにフリップさせるのに不十分で、信号UPの低周波パルス幅の変化状態はなおも減少段階にあることが示される。
【0090】
電圧V6がt5からt6期間内で低レベルから上昇した後、電圧V6は、電圧V5より大きく、コンパレータcmp4の出力は高レベルであり、前記5入力論理和ゲートの出力端子信号ctrは高レベルを出力し、信号UPの低周波パルス幅は、基準クロック信号frefがフィードバッククロック信号fbkに等しいまで絶えず増大し、つまりt7時点以後は、信号UPの低周波パルス幅は、当該期間内の信号UPの1つの周期の長さに近く、以後は、基準クロック信号frefとフィードバッククロック信号fbkは、フェーズロックループのフィードバック遅延の特性によって調整され、両者の位相が同期して変化し始めるまで続く。
【0091】
続いては、前記ローパスフィルタの前記電圧制御発振器を制御するための制御電圧を高める必要がなく、安定的になるため、信号ctr_kepによって前記電流注入スイッチモジュールの前記ローパスフィルタのコンデンサ端子VC_DNに電荷を注入することを遮断する。
【0092】
なお、前記電流注入スイッチモジュールは、信号ctr_kepによって制御されるだけでなく、信号UPのレベル状況を考慮する必要もあり、つまり信号ctr_kepが低レベルである段階で、前記電流注入スイッチモジュールの第1ゼロPMOSトランジスタMP10が導通され、また前記電流注入スイッチモジュールの第2ゼロNMOSトランジスタMN20のゲートに接続される信号UPは高レベルであるかどうかを考慮する必要もある。
【0093】
第1ゼロPMOSトランジスタMP10が導通されるが、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のゲートから入力される信号UPが低レベルで、前記電流注入スイッチモジュールはなおも前記ローパスフィルタのコンデンサ端子VC_DNに電荷を注入できず、従って前記電流注入スイッチモジュールは、位相調整段階にあり、信号UPの制御下でステップ的に電流注入を行う。
【0094】
前記スイッチDフリップフロップのデータ出力端子から出力される信号ctr_kepが高レベルである場合に、第2ゼロNMOSトランジスタMN20のオンオフ状態は、前記ローパスフィルタに影響がない。前記フェーズロックループが再起動し、前記スイッチDフリップフロップの復帰設定により、前記スイッチDフリップフロップの出力が再び低レベルに戻り、制御信号ctrが再び高レベルに変わるまで続く。
【0095】
本実施例では、前記第1コンデンサC1、前記第2コンデンサC2、前記第3コンデンサC3、前記第4コンデンサC4、前記第5コンデンサC5、前記第6コンデンサC6及び前記第7コンデンサC7の間の比例関係を変えることで、制御信号ctrの前記電流注入スイッチモジュールをオフする時間を変えてもよく、つまり比例パラメータKを小さくすれば前記電流注入スイッチモジュールを制御して早めにオフさせることができ、比例パラメータKを大きくすれば前記電流注入スイッチモジュールを制御してオフを遅らせることができ、これによりK値を変えて前記制御信号生成モジュールから出力される信号ctr_kepの高レベルに変わるタイミングを微調整することによって、フェーズロックループのフィードバック遅延によるフェーズロック時間増加を相殺して、フェーズロック加速回路のオフ時のVCと最終的に安定する時のVCとの誤差をなるべく小さくすることによって、ロック時間が可能な限り小さくなる。
【0096】
なお、容量値の関係は、Cn*K=Cn+1(nは段数)を満たし、対象フェーズロックループの実際の動作状態に基づいてK値を、約0.8から1と決定し、本実施例でKは0.9であることが好ましい。
【0097】
図7に示すように、また前記第7コンデンサC7と前記第6コンデンサC6との容量の比の値を個別に調整することによって、前記制御信号生成モジュールから出力される信号ctr_kepが必ずt7時点で前記電流注入スイッチモジュールのオフを完了することを保証し、前記フェーズロック加速回路の安定性を保証する。
【0098】
本実施例では、前記コンデンサ間の比例係数Kを減らして、前記遅延制御モジュールの前記電流注入スイッチモジュールをオフする時間が前倒しになるよう制御することによって、フェーズロックループのフィードバック遅延によるフェーズロック時間増加を相殺する。
【0099】
EDAツールでシミュレーションしたところ、図8は改良前の従来のフェーズロックループシステムにおけるローパスフィルタのフィルタコンデンサの充電電圧VC_DN、及びローパスフィルタの信号出力端子の電圧VC_outのフェーズロック前後の波形図であり、図9は本発明の実施例に係るフェーズロックループシステムにおける前記ローパスフィルタのコンデンサ入力端子VC_DN、及びローパスフィルタの信号出力端子の電圧VC_outのフェーズロック前後の波形図である。
【0100】
図8及び図9のシミュレーション結果に示すように、前記フェーズロックループシステムの起動から、即ちt=0から、VC_out及びVC_DNがいずれも0から上昇し始め、各時点でVC_outの増加幅及び増加速度はいずれもVC_DNより大きいが、VC_outとVC_DNの変化傾向が一致し、VC_outは、発振中にまず増大してから安定的になるまで減少する。
【0101】
図9でVC_out及びVC_DNの安定化時間は7μsに近く、図8でVC_out及びVC_DNの安定化時間は28μsに近く、前記フェーズロック加速回路がフェーズロックプロセスを加速させており、従来のフェーズロックループ構造と比べると、本実施例に係る前記フェーズロック加速回路はそれを含むフェーズロックループシステムのフェーズロック安定化時間を約75%短縮させている。
【0102】
本発明は、前記フェーズロック加速回路に基づいて、フェーズロックループシステムをさらに提供し、当該フェーズロックループシステムは、前記フェーズロック加速回路を含み、当該フェーズロックループシステムの内部の関連するフェーズロック加速の技術的特徴は前記実施例を参照できるため、ここで説明を省略する。
【0103】
図1に示すように、前記フェーズロックループシステムは以下を含む。位相周波数検出器であって、外部装置から入力される基準クロック信号frefと内部のフィードバッククロック信号fbkの周波数差及び位相差を検出して、パルス制御信号を生成し、これを基準クロック信号frefと内部のフィードバッククロック信号fbkの位相が同期して変化するまで続けるために用いられる。チャージポンプであって、位相周波数検出器から出力されるパルス制御信号に基づいて充電電流及び放電電流を発生させるために用いられる。
【0104】
ローパスフィルタであって、チャージポンプから出力される電流制御信号を制御電圧に変換し、高周波ノイズをフィルタリングして除去するために用いられる。電圧制御発振器であって、前記ローパスフィルタから出力される制御電圧に基づいて出力される発振信号の周波数を制御し、制御電圧が上昇する時に出力信号の発振周波数を増加させ、制御電圧が低下する時に出力信号の発振周波数を低減させ、制御電圧が一定である時に、出力信号foutの発振周波数を固定値に維持させる。
【0105】
分周器であって、電圧制御発振器の出力信号foutを分周して、前記位相周波数検出器に入力されるフィードバッククロック信号fbkを発生させる。前記フェーズロックループシステムの内部で、位相周波数検出器、チャージポンプ、ローパスフィルタ、電圧制御発振器及び分周器がこの順に接続されて1つのフィードバックループが形成される。
【0106】
前記フェーズロックループシステムは、前記実施例に係るフェーズロック加速回路をさらに含み、前記フェーズロック加速回路は、パルス幅抽出制御回路と、電流注入スイッチモジュールとを含み、前記フェーズロック加速回路には、コンパレータと、時系列論理回路と、組合論理回路とが集積されており、位相周波数検出器から出力される制御信号UPの異なるフェーズロック調整段階における低周波パルス幅が比較され、前記フェーズロック加速回路のイネーブル制御信号ENは、前記パルス幅抽出制御回路の遅延レベル発生アレイによって一連の遅延信号を生成し、前記パルス幅抽出アレイによってパルス幅抽出区間を発生させ、パルス幅抽出アレイによって抽出される信号UPを反映する低周波パルス幅情報が、前記制御信号生成モジュールに入力され、フェーズロックが安定的である時点で前記電流注入スイッチモジュールの前記ローパスフィルタのコンデンサ端子VC_DNへの電荷注入が遮断される。
【0107】
前記パルス幅抽出制御回路は、位相周波数検出器から出力される制御信号の反転信号のデューティ比の変化状況に基づいて、前記フェーズロック加速回路の電流注入スイッチモジュールのローパスフィルタへの電荷注入状況を制御し、これを位相周波数検出器に入力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相が同期するまで続けることによって、前記フェーズロック加速回路は、フィードバックループのフェーズロック時間を短縮させる。
【0108】
本実施例では、外部のイネーブル制御信号に遅延処理を行って、n+3個の遅延レベルを取得し、位相周波数検出器から出力される基準クロック信号とフィードバッククロック信号の位相差を反映する制御信号から対応するパルス幅情報を抽出して、後に前記電流注入スイッチモジュールにおける注入スイッチ制御のための電圧信号とされ、パルス幅で反映されるフェーズロックループのロック状態は、パルス幅抽出の根拠とされ、スイッチDフリップフロップにより前記電流注入スイッチモジュールの導通結果の信頼性が保証される。
【0109】
これによりフェーズロックループシステムのフェーズロック時間が短縮され、前記ローパスフィルタから出力される制御電圧が安定的で変わらないことが保証され、システム特性、伝達関数及びノイズ性能に変わりはなく、そして他のフェーズロックループシステムへの適用拡大の際には、デバイスパラメータ及びループパラメータを変える必要はない。
【0110】
なお、上記の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのもので、制限を加えるためのものではない。好ましい実施例を参照して本発明を詳細に説明しているが、当業者なら理解できるように、本発明の特定の実施形態に変更を行うか又はその一部の技術的特徴に同等な置き換えを行うことができる。本発明の技術的解決手段の趣旨から逸脱しないものは、本発明が保護しようとする技術的解決手段の範疇に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9