IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンファ ソリューションズ コーポレーションの特許一覧

特許7417729オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法
<>
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図1
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図2
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図3
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図4
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図5
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図6
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図7
  • 特許-オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240111BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20240111BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C08J5/18
C08F4/6592
C08F10/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022528951
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2020016424
(87)【国際公開番号】W WO2021107508
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0155703
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ウィ ガプ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ドン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒェ ラン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ムンヒ
(72)【発明者】
【氏名】イム、ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ユジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、テ ウク
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504442(JP,A)
【文献】国際公開第2019/194547(WO,A1)
【文献】特表2015-520276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0252159(US,A1)
【文献】特開2009-107340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C08L、C08J5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cmであり、
(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)とのメルトフローの比(melt flow ratioが10~60であり、
(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(comonomer drivition slope;CDS)が1以上である、オレフィン系重合体を成形して製造され、
0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度(heat seal strength)が90gf/2.5cm以上であり、
0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上である、オレフィン系重合体フィルムであって、
[数式1]
〔式中、C20およびC80は、共単量体分布において累積質量分率(cumulative weight fraction)がそれぞれ20%および80%のポイントにおける共単量体含有量であり、M20およびM80は、共単量体分布において累積質量分率がそれぞれ20%および80%のポイントにおける分子量である。〕
前記オレフィン系重合体が、化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の助触媒化合物とを含む触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合して調製される、オレフィン系重合体フィルム。
[化学式1]
〔化学式1において、nはそれぞれ独立して1~20の整数であり、
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C 1-20 アルキル、C 2-20 アルケニル、C 2-20 アルキニル、C 6-20 アリール、C 1-20 アルキルC 6-20 アリール、C 6-20 アリールC 1-20 アルキル、C 1-20 アルキルアミド、C 6-20 アリールアミド、またはC 1-20 アルキリデンであり、
~R およびR ~R はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC 1-20 アルキル、置換または非置換のC 2-20 アルケニル、置換または非置換のC 6-20 アリール、置換または非置換のC 1-20 アルキルC 6-20 アリール、置換または非置換のC 6-20 アリールC 1-20 アルキル、置換または非置換のC 1-20 ヘテロアルキル、置換または非置換のC 3-20 ヘテロアリール、置換または非置換のC 1-20 アルキルアミド、置換または非置換のC 6-20 アリールアミド、置換または非置換のC 1-20 アルキリデン、もしくは置換または非置換のC 1-20 シリルであり、
~R 11 およびR 12 ~R 14 はそれぞれ独立して、置換または非置換のC 1-20 アルキル、置換または非置換のC 2-20 アルケニル、置換または非置換のC 6-20 アリール、置換または非置換のC 1-20 アルキルC 6-20 アリール、置換または非置換のC 6-20 アリールC 1-20 アルキル、置換または非置換のC 1-20 ヘテロアルキル、置換または非置換のC 3-20 ヘテロアリール、置換または非置換のC 1-20 アルキルアミド、置換または非置換のC 6-20 アリールアミド、置換または非置換のC 1-20 アルキリデン、もしくは置換または非置換のC 1-20 シリルであり、
~R およびR ~R はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C 4~20 環を形成し得る。〕
【請求項2】
前記オレフィン系重合体は、(1)密度が0.910g/cm~0.920g/cmであり、(2)メルトフローの比が20~40であり、及び(3)CDSが2~5である、請求項1に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項3】
前記助触媒化合物は、化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物、および化学式4で表される化合物からなる群より選択される、請求項に記載のオレフィン系重合体フィルム。
[化学式2]
[化学式3]
[化学式4]
[L-H][Z(A)または[L][Z(A)
〔化学式2において、nは2以上の整数であり、Rはハロゲン原子、C1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基であり、
化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基、またはC1-20アルコキシ基であり、
化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[LH]および[L]は、ブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6-20アリール基であるか、置換または非置換のC1-20アルキル基である。〕
【請求項4】
前記触媒が、前記遷移金属化合物と前記助触媒化合物とを担持する担体をさらに含む、請求項に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項5】
前記オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体との共重合体である、請求項1に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項6】
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、前記オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上である、請求項に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項7】
前記オレフィン系重合体は、前記オレフィン系単量体がエチレンであり、前記オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである、直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項8】
95℃ホットタック(hot tack strength)強度が0.5N/2cm以上であり、110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上である、請求項1に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項9】
厚さ50μmに成形して測定した曇り度(haze)が10%以下である、請求項1に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項10】
ストレッチフィルム、オーバーラップフィルム、ラミー、サイレージラップおよび農業用フィルムからなる群より選択される1つである、請求項1に記載のオレフィン系重合体フィルム。
【請求項11】
(a)化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の助触媒化合物とを含む触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得る工程と、
(b)前記オレフィン系重合体を成形してフィルムを得る工程とを含むオレフィン系重合体フィルムの製造方法であって、
前記オレフィン系重合体は、
(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cmであり、
(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)とのメルトフローの比が10~60であり、
(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(comonomer distribution slope;CDS)が1以上であり、
前記オレフィン系重合体フィルムは、
0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度(heat seal strength)が90gf/2.5cm以上であり、
0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上である、オレフィン系重合体フィルムの製造方法。
[化学式1]
[数式1]
〔化学式1において、n、M、XおよびR~R14では、請求項3で定義した通りであり、
数式1においてC20、C80、M20、およびM80は、請求項1で定義した通りである。〕
【請求項12】
工程(a)において、前記オレフィン系単量体の重合が、気相重合により行われる、請求項11に記載のオレフィン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項13】
工程(a)において、前記オレフィン系単量体の重合が、気相流動層反応器内で行われる、請求項12に記載のオレフィン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項14】
工程(a)において、前記オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体とが共重合して調製され、
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、前記オレフィン系共単量体がプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上である、請求項11に記載のオレフィン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、前記オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである、請求項14に記載のオレフィン系重合体フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記オレフィン系重合体フィルムの95℃ホットタック強度が0.5N/2cm以上であり、110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上である、請求項11に記載のオレフィン系重合体フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法に関するものである。具体的に、本発明は、フィルム成形が容易で、熱封かん強度、特に低温熱封かん強度に優れるオレフィン系重合体フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィンを重合するために用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物に、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合された化合物として、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。
【0003】
オレフィンを重合するために用いられる他の触媒であるチーグラー・ナッタ触媒が、活性点である金属成分が不活性の固体表面に分散され活性点の性質が均一でないのに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する1つの化合物であるため、すべての活性点が同一の重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は、分子量の分布が狭く、共単量体の分布が均一で、チーグラー・ナッタ触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
一方、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene;LLDPE)は、重合触媒を使用して低圧にてエチレンとα-オレフィンとを共重合して調製され、分子量分布が狭く、一定の長さの短鎖分枝(short chain branch;SCB)を有し、一般的に長鎖分枝(long chain branch;LCB)を有さない。直鎖状低密度ポリエチレンで製造されたフィルムは、一般ポリエチレンの特性に添加し、破断強度と伸び率が高く、引裂強度、衝撃強度などに優れ、従来の低密度ポリエチレン(low-density polyethylene)や高密度ポリエチレン(high-density polyethylene)の適用が難しいストレッチフィルム、オーバーラップフィルムなどに広く用いられている。
【0005】
ところで、メタロセン触媒により調製される直鎖状低密度ポリエチレンは、狭い分子量分布のため加工性が劣り、これにより製造されるフィルムは、熱封かん特性が低下する傾向がある。
したがって、フィルム成形が容易であるとともに、機械的強度および熱封かん特性、特に低温熱封かん特性に優れるオレフィン系重合体フィルムが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フィルム成形が容易であるとともに、機械的強度および熱封かん特性、特に低温熱封かん特性に優れるオレフィン系重合体フィルム、特に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを提供するものである。
本発明の他の目的は、フィルム成形が容易であるとともに、機械的強度および熱封かん特性、特に低温熱封かん特性に優れるオレフィン系重合体フィルム、特に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の一具体例により、(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cm、好ましくは0.910g/cm~0.920g/cmであり、(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)との比(melt flow ratio;MFR)が10~60、好ましくは20~40であり、(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(comonomer distribution slope;CDS)が1以上、好ましくは2~5である、オレフィン系重合体を成形して製造され、0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度(heat seal strength)が90gf/2.5cm以上、好ましくは90gf/2.5cm~200gf/2.5cmであり、0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上、好ましくは210gf/2.5cm~250gf/2.5cmである、オレフィン系重合体フィルムが提供される。
【0008】
[数式1]
〔式中、C20およびC80は、共単量体分布において累積質量分率(cumulative weight fraction)がそれぞれ20%および80%のポイントにおける共単量体含有量であり、M20およびM80は、共単量体分布において累積質量分率がそれぞれ20%および80%のポイントにおける分子量である。〕
【0009】
前記オレフィン系重合体は、化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の助触媒化合物とを含む触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合して調製し得る。
【0010】
[化学式1]
【0011】
〔化学式1において、nは、それぞれ独立して1~20の整数であり、
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンであり、
【0012】
~RおよびR~Rはそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、もしくは置換または非置換のC1-20シリルであり、
【0013】
~R11およびR12~R14はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、もしくは置換または非置換のC1-20シリルであり、
~RおよびR~Rはそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4~20環を形成し得る。〕
【0014】
一方、助触媒化合物は、化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物からなる群より選択され得る。
【0015】
[化学式2]
[化学式3]
[化学式4]
[L-H][Z(A)または[L][Z(A)
【0016】
〔化学式2において、nは2以上の整数であり、Rはハロゲン原子、C1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基であり、
化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基、またはC1-20アルコキシ基であり、
化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[LH]および[L]はブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6-20アリール基であるか、または置換または非置換のC1-20アルキル基である。〕
【0017】
また、触媒が、遷移金属化合物と助触媒化合物とを担持する担体をさらに含み得る。
好ましくは、オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体との共重合体である。具体的には、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上である。好ましくは、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである、直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0018】
好ましくは、本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムの、95℃ホットタック強度(hot tack strength)が0.5N/2cm以上、好ましくは0.5N/2cm~3.5N/2cmであり、110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上、好ましくは3.5N/2cm~7.5N/2cmである。
【0019】
好ましくは、本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、厚さ50μmに成形して測定した曇り度(haze)が10%以下、好ましくは7%以下または6%以下であり得る。
具体的に、本発明の具体例によるフィルムは、ストレッチフィルム、オーバーラップフィルム、ラミー(ramie)、サイレージラップ、および農業用フィルムからなる群より選択される1つであり得る。
【0020】
本発明の他の具体例により、(a)化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の助触媒化合物とを含む触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得る工程と、(b)オレフィン系重合体を成形してフィルムを得る工程とを含むオレフィン系重合体フィルムの製造方法であって、オレフィン系重合体は(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cm、好ましくは0.910g/cm~0.920g/cmであり、(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)との比(melt flow ratio;MFR)が10~60、好ましくは20~40であり、及び(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(CDS)が1以上、好ましくは2~5であり、オレフィン系重合体フィルムは、0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度(heat seal strength)が90gf/2.5cm以上、好ましくは90gf/2.5cm~200gf/2.5cmであり、及び0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上、好ましくは210gf/2.5cm~250gf/2.5cmである、オレフィン系重合体フィルムの製造方法が提供される。
【0021】
[化学式1]
【0022】
[数式1]
〔化学式1のn、M、XおよびR~R14および数式1のC20、C80、M20、およびM80は、前記で定義した通りである。〕
【0023】
工程(a)において、オレフィン系単量体の重合が気相重合により行われ、具体的に、オレフィン系単量体の重合が気相流動層反応器内で行われ得る。
また、工程(a)において、オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体とが共重合され調製され得る。この際、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体がプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上であり得る。好ましくは、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである。
【0024】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムの製造方法により製造されるオレフィン系重合体フィルムは、95℃ホットタック強度が0.5N/2cm以上、好ましくは0.5N/2cm~3.5N/2cmであり、110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上、好ましくは3.5N/2cm~7.5N/2cmであり得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルム、特に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムは、フィルム成形が容易であるとともに、機械的強度および熱封かん特性、特に低温熱封かん特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、数式1で定義されるCDSを測定する方法を説明するためのGPC-FTIRグラフである。
図2図2は、実施例1のオレフィン系重合体のCDS測定のためのGPC-FTIRグラフである。
図3図3は、実施例2のオレフィン系重合体のCDS測定のためのGPC-FTIRグラフである。
図4図4は、実施例3のオレフィン系重合体のCDS測定のためのGPC-FTIRグラフである。
図5図5は、比較例1のオレフィン系重合体のCDS測定のためのGPC-FTIRグラフである。
図6図6は、比較例2のオレフィン系重合体のCDS測定のためのGPC-FTIRグラフである。
図7図7は、実施例1、比較例1および比較例2の熱封かん強度を示すグラフである。
図8図8は、実施例1、比較例1および比較例2のホットタック強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0028】
(オレフィン系重合体フィルム)
本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、オレフィン系重合体を成形して製造される。
この際、本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムを製造するためのオレフィン系重合体は、触媒の存在下でオレフィン系単量体が重合され製造され得る。
【0029】
[オレフィン重合用触媒]
本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムを製造するためのオレフィン系重合体、特に直鎖状低密度ポリエチレンを調製するための触媒は、化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と、少なくとも1種の助触媒化合物とを含む。
[化学式1]
【0030】
化学式1において、nはそれぞれ1~20の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~5の整数である。具体的に、nはそれぞれ1または2であり得る。
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的に、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンである。具体的に、Xは、それぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキルであり得る。より具体的に、Xは、それぞれ塩素、メチル基またはブチル基であり得る。
【0031】
~RおよびR~Rは、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、もしくは置換または非置換のC1-20シリルである。また、R~RおよびR~Rは、それぞれ独立して、隣接する基が結合され置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。具体的に、R~RおよびR~Rは、それぞれ水素であり得る。
【0032】
~R11およびR12~R14は、それぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、もしくは置換または非置換のC1-20シリルである。
【0033】
具体的に、R~R11およびR12~R14はそれぞれ、置換または非置換のC1-20アルキル、もしくは置換または非置換のC6-20アリールであり得る。より具体的に、R~R11およびR12~R14はそれぞれ、メチル基またはフェニル基であり得る。
【0034】
本発明の好ましい具体例において、化学式1で表される化合物が、化学式1-1~1-8で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
[化学式1-1]
【0035】
[化学式1-2]
[化学式1-3]
【0036】
[化学式1-4]
[化学式1-5]
【0037】
[化学式1-6]
[化学式1-7]
【0038】
[化学式1-8]
〔化学式1-1~1-8において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Xはそれぞれハロゲンもしくは置換または非置換のC1-20アルキル、好ましくは塩素、メチル基またはブチル基であり、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。〕
【0039】
本発明のさらに好ましい具体例において、化学式1で表される化合物が、化学式1-9~1-11で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
[化学式1-9]
【0040】
[化学式1-10]
[化学式1-11]
〔化学式1-9~1-11において、Meはメチル基であり、Buはブチル基である。〕
【0041】
一方、助触媒化合物は、化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物、および化学式4で表される化合物のうちの1つ以上を含み得る。
[化学式2]
〔化学式2において、nは2以上の整数であり、Rはハロゲン原子、C1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基であり得る。具体的に、Rはメチル、エチル、n-ブチル、またはイソブチルであり得る。〕
【0042】
[化学式3]
〔化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基、またはC1-20アルコキシ基である。具体的に、Dがアルミニウム(Al)のとき、R、RおよびRは、それぞれ独立してメチルまたはイソブチルであり、Dがボロン(B)のとき、R、RおよびRはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得る。〕
【0043】
[化学式4]
[L-H][Z(A)または[L][Z(A)
〔化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[LH]および[L]は、ブレンステッド酸であり、Zは13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6-20アリール基であるか、もしくは置換または非置換のC1-20アルキル基である。具体的に、[LH]はジメチルアニリニウム陽イオンであり、[Z(A)は[B(Cであり、[L]は[(CC]であり得る。〕
【0044】
具体的に、化学式2で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0045】
化学式3で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロン等が挙げられ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
化学式4で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられる。
【0047】
本発明の好ましい具体例において、オレフィン重合用触媒が、遷移金属化合物を担持する担体をさらに含み得る。具体的に、担体が遷移金属化合物と助触媒化合物とのいずれも担持し得る。
【0048】
この際、担体は、表面にヒドロキシ基を含有する物質を含んでも良く、好ましくは、乾燥され表面に水分が除去された、反応性の大きいヒドロキシ基とシロキサン基とを有する物質が使用され得る。例えば、担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも一つを含み得る。具体的に、高温で乾燥されたシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシア等が担体として用いられ、これらは通常、NaO、KCO、BaSO、およびMg(NO等の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有し得る。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウム等をも含み得る。ただし、担体がこれらに限定されるものではなく、遷移金属化合物と助触媒化合物とを担持できるものであれば特に制限されない。
【0049】
担体は平均粒度が10μm~250μmであり、好ましくは平均粒度が10μm~150μmであり、より好ましくは20μm~100μmであり得る。
担体の微細気孔体積は0.1cc/g~10cc/gであり、好ましくは0.5cc/g~5cc/gであり、より好ましくは1.0cc/g~3.0cc/gであり得る。
【0050】
担体の比表面積は1m/g~1000m/gであり、好ましくは100m/g~800m/gであり、より好ましくは200m/g~600m/gであり得る。
好ましい一実施例において、担体がシリカである場合、シリカの乾燥温度は200℃~900℃であり得る。乾燥温度は、好ましくは300℃~800℃、より好ましくは400℃~700℃であり得る。乾燥温度が200℃未満であると、水分が多すぎて表面の水分と助触媒化合物とが反応するようになり、900℃を超えると、担体の構造が崩壊し得る。
【0051】
乾燥されたシリカ中のヒドロキシ基の濃度は0.1mmol/g~5mmol/gであり、好ましくは0.7mmol/g~4mmol/gであり、より好ましくは1.0mmol/g~2mmol/gであり得る。ヒドロキシ基の濃度が0.1mmol/g未満であると、助触媒化合物の担持量が低くなり、5mmol/gを超えると、触媒成分が不活性化する問題が生じ得る。
【0052】
担体に担持される遷移金属化合物の量は、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり得る。遷移金属化合物と担体との比が前記の範囲を満足すると、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
担体に担持される助触媒化合物の量は、担体1gを基準に2mmol~15mmolであり得る。助触媒化合物と担体との比が前記の範囲を満足すると、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
【0053】
担体は、1種または2種以上が使用され得る。例えば、1種の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物との両方が担持されても良く、2種以上の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物とが各々担持されても良い。また、遷移金属化合物と助触媒化合物との一方のみが担体に担持されても良い。
【0054】
オレフィン重合用触媒に使用され得る遷移金属化合物および/または助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法が使用され得る。
例えば、物理的吸着方法は、遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥する方法、遷移金属化合物と助触媒化合物とが溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥する方法、または遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥して、遷移金属化合物が担持されている担体を調製し、これとは別に、助触媒化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後に乾燥して、助触媒化合物が担持されている担体を調製した後、これらを混合する方法等であり得る。
化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物を先に担持させた後、助触媒化合物に遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(-OH)と触媒化合物とを共有結合させる方法等であり得る。
【0055】
[オレフィン系重合体]
前述のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体が重合され調製されるオレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)またはオレフィン系単量体と共単量体との共重合体(copolymer)であり得る。
オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cycloolefin)、およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも一つである。
【0056】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、または1-ヘキサデセン等であり、オレフィン系重合体は、前記例示されたオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体か、または2種以上を含む共重合体であり得る。
【0057】
例示的な実施例において、オレフィン系重合体は、エチレンとC3-20α-オレフィンが共重合された共重合体であり得、エチレンと1-ヘキセンとが共重合された共重合体が好ましいが、これらに限定されるものではない。
この場合、エチレンの含有量は、55重量%~99.9重量%であることが好ましく、90重量%~99.9重量%であることがより好ましい。α-オレフィン系共単量体の含有量は、0.1重量%~45重量%が好ましく、0.1重量%~10重量%であることがより好ましい。
【0058】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応により重合され得るが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明の一実施例として、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法、またはスラリー重合法などにより調製され得る。好ましくは、オレフィン系単量体の重合は気相重合により行われ、具体的にオレフィン系単量体の重合が気相流動層反応器内で行われ得る。
【0060】
オレフィン系重合体が溶液重合法またはスラリー重合法により調製される場合、使用され得る溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;およびこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムを製造するためのオレフィン系重合体は、(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cmであり、(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kgの荷重で測定される溶融指数(I2.16)との比(MFR)が10~60であり、(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(CDS)が1以上である。
【0062】
具体的に、オレフィン系重合体は、密度が0.910g/cm~0.940g/cmであり得る。好ましくは、オレフィン系重合体の密度が、0.910g/cm~0.920g/cmまたは0.915g/cm~0.925g/cmであり得る。
【0063】
また、オレフィン系重合体は、190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)との比(MFR)が10~60である。好ましくは、オレフィン系重合体のMFRは、20~50または20~40であり得る。
また、オレフィン系重合体は、数式1で定義される共単量体分布勾配(CDS)が1以上である。好ましくは、オレフィン系重合体のCDSは、2~5または2~4であり得る。
【0064】
[数式1]
〔数式1において、C20およびC80は、共単量体分布において累積質量分率(cumulative weight fraction)がそれぞれ20%および80%のポイントにおける共単量体含有量であり、M20およびM80は、共単量体分布において累積質量分率がそれぞれ20%および80%のポイントにおける分子量である。〕
【0065】
なお、オレフィン系重合体の共単量体分布は、GPC-FTIR装置を用いて重合体の分子量、分子量分布とともに連続的に測定し得る。
【0066】
オレフィン系重合体のCDSは、共単量体分布グラフにおける累積質量分率が、それぞれ20%および80%のポイントにおける分子量に対する共単量体含有量の勾配を示す。オレフィン系重合体のCDSが大きいほど、分子量の大きい高分子鎖に共単量体が集中して、優れた機械的強度および熱封かん特性を有し得る。
【0067】
[オレフィン系重合体フィルム]
本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、前述のオレフィン系重合体を成形して製造され得る。
【0068】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、前述のオレフィン系重合体を含むことにより、機械的物性および熱封かん特性に優れる。前述のオレフィン系重合体は、比較的広い分子量分布を有し、高分子量成分に短鎖分枝が相対的に多く存在するため、これにより製造されるオレフィン系重合体フィルムの機械的強度および低温熱封かん特性に優れるものと理解される。
【0069】
具体的に、本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、ASTM F88に基づいて、0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度が90gf/2.5cm以上、好ましくは90gf/2.5cm~200gf/2.5cm、より好ましくは90gf/2.5cm~180gf/2.5cmである。本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、ASTM F88に基づいて、0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上、好ましくは210gf/2.5cm~250gf/2.5cm、より好ましくは210gf/2.5cm~230gf/2.5cmである。
【0070】
また、本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、ASTM F1921に基づいて測定される95℃ホットタック強度が0.5N/2cm以上、好ましくは0.5N/2cm~3.5N/2cm、より好ましくは0.5N/2cm~2.0N/2cmである。本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、ASTM F1921に基づいて測定される110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上、好ましくは3.5N/2cm~7.5N/2cm、さらに好ましくは3.5N/2cm~5.0N/2cmである。
【0071】
また、本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、厚さ50μmに成形して、ASTM D 1003に基づいて測定した曇り度(haze)が10%以下であり得る。好ましくは、本発明の一具体例によるオレフィン系重合体フィルムの曇り度は、7%以下または6%以下であり得る。
【0072】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムは、ストレッチフィルム、オーバーラップフィルム、ラミー、サイレージラップ、農業用フィルム等として効果的に使用され得る。
【0073】
(オレフィン系重合体フィルムの製造方法)
本発明の具体例により、(a)化学式1で表される少なくとも1種の遷移金属化合物と少なくとも1種の助触媒化合物とを含む触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を得る工程と、(b)オレフィン系重合体を成形してフィルムを得る工程とを含むオレフィン系重合体フィルムの製造方法であって、オレフィン系重合体は(1)密度が0.910g/cm~0.940g/cm、好ましくは0.910g/cm~0.920g/cmであり、(2)190℃にて21.6kgの荷重で測定される溶融指数(I21.6)と、2.16kg荷重で測定される溶融指数(I2.16)との比(MFR)が10~60、好ましくは20~40であり、(3)数式1で定義される共単量体分布勾配(CDS)が1以上、好ましくは2~5であり、オレフィン系重合体フィルムは0.2bar、1.5秒および125℃条件で測定される熱封かん強度が90gf/2.5cm以上、好ましくは90gf/2.5cm~200gf/2.5cmであり、0.2bar、1.5秒および140℃条件で測定される熱封かん強度が210gf/2.5cm以上、好ましくは210gf/2.5cm~250gf/2.5cmである、オレフィン系重合体フィルムの製造方法が提供される。
【0074】
[化学式1]
【0075】
[数式1]
〔化学式1におけるn、M、XおよびR~R14と、数式1におけるC20、C80、M20およびM80とは、前記で定義した通りである。〕
【0076】
工程(a)において、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などにより製造され得る。好ましくは、オレフィン系単量体の重合が気相重合により行われ、具体的にオレフィン系単量体の重合が気相流動層反応器内で行われ得る。
また、工程(a)において、オレフィン系重合体が、オレフィン系単量体とオレフィン系共単量体とが共重合して調製され得る。この際、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体がプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、および1-ヘキサデセンからなる群より選択される1つ以上であり得る。好ましくは、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンである。
【0077】
工程(b)において、本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムの製造方法は特に制限されず、本発明が属する技術分野に公知の方法を用い得る。例えば、前述のオレフィン系重合体をインフレーションフィルム(blown-film)成形、押出成形、キャスティング成形などと、通常の方法により加工してオレフィン系重合体フィルムを製造し得る。このうち、インフレーションフィルム成形が最も好ましい。
【0078】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルムの製造方法によって製造されるオレフィン系重合体フィルムは、ASTM F1921に基づいて測定される95℃ホットタック強度が0.5N/2cm以上、好ましくは0.5N/2cm~3.5N/2cm、より好ましくは0.5N/2cm~2.0N/2cmであり、110℃ホットタック強度が3.5N/2cm以上、好ましくは3.5N/2cm~7.5N/2cm、より好ましくは3.5N/2cm~5.0N/2cmである。
【実施例
【0079】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0080】
調製例1:ビス[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジクロリド(bis[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]hafnium dichloride;化学式1-9)の調製
<2-(トリメチルシリルメチル)-2-プロペン-1-オール(2-(trimethylsilylmethyl)-2-propen-1-ol)の調製>
2-(トリメチルシリルメチル)アリルアセテート(2-(trimethylsilylmethyl)allyl acetate)(2.69g、14.4mmol)をメタノール(22ml)に溶かした溶液に炭酸カリウム(KCO)水溶液(6.6M、14.4mmol)をゆっくり投入した。投入完了後、これを常温にて4時間撹拌した。撹拌後、これに水を入れて反応を終了した。ジエチルエーテルを用いて有機層を抽出した後、硫酸マグネシウム(MgSO)で残りの水を除去した。真空下で全ての溶媒を除去して、淡黄色の油状化合物1.51g(72%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ4.90-4.88 (m, 1H), 4.66 (s, 1H), 3.97 (s, 2H), 1.53 (s, 2H), 0.03 (s, 9H).
【0081】
<2-(トリメチルシリルメチル)メタンスルホネート(2-(trimethylsilylmethyl)methanesulfonate)の調製>
2-(トリメチルシリルメチル)-2-プロペン-1-オール(1.51g、10.5mmol)と、トリエチルアミン(1.91g、18.8mmol)とをジクロロメタン(30ml)に希釈した溶液に、メタンスルホニルクロリド(1.8g、15.7mmol)を0℃にてゆっくり添加した。その後、0℃にて3時間撹拌した。0℃にて炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を入れて反応を終了した後、ジクロロメタンで抽出して有機層を分離した。硫酸ナトリウム(NaSO)で残りの水を除去した後、真空下で全ての溶媒を除去して、黄色油状化合物1.9g(82%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ5.03 (d, 1H), 4.84 (s, 1H), 4.56 (s, 2H), 3.02 (s, 3H), 1.60 (s, 2H), 0.06 (s, 9H).
【0082】
<2-(トリメチルシリルメチル)アリルブロミド(2-(trimethylsilylmethyl)allyl bromide)の調製>
2-(トリメチルシリルメチル)メタンスルホネート(1.9g、8.54mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に希釈した溶液にリチウムブロミドをテトラヒドロフラン(15ml)に分散させた溶液を常温にてゆっくり添加した後、110℃にて4時間撹拌した。0℃にて蒸留水を入れて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸ナトリウムで残りの水を除去した後、真空下で全ての溶媒を除去して、黄色油状化合物1.12g(65%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ5.04 (s, 1H), 4.74 (d, 1H), 3.90 (d, 2H), 1.72 (d, 2H), 0.05 (s, 9H).
【0083】
<[2-(シクロペンタジエニルメチル)アリル]トリメチルシラン([2-(cyclopentadienylmethyl)allyl]trimethylsilane)の調製>
2-(トリメチルシリルメチル)アリルブロミド(1.12g、5.41mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に希釈した溶液に、ナトリウムシクロペンタジエンナイド(sodium cyclopentadienide)(3.04g、6.49mmol、2M in THF)を-30℃にてゆっくり滴下し、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。0℃にて蒸留水を添加して反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸マグネシウムで残りの水を除去した後、カラムクロマトグラフィー(hexane)で分離して、淡黄色油状化合物620mg(60%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ6.42-6.02 (m, 4H), 4.60-4.55 (m, 2H), 3.06-2.97 (m, 2H), 2.87-2.85 (m, 2H), 1.54 (s, 2H), 0.03 (d, 9H).
【0084】
<[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルリチウム([2-(trimethylsilylmethyl)allyl]cyclopentadienyl lithium)の調製>
[2-(シクロペンタジエニルメチル)アリル]トリメチルシラン(620mg、3.22mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に希釈した溶液にn-ブチルリチウム(n-BuLi)(1.44g、2.93mmol、1.6Mヘキサン溶液)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応溶液の溶媒を真空下で乾燥した後、ヘキサンを入れて15分間撹拌した。生成された固体をろ過した後、真空下で乾燥して、淡黄色固体化合物528mg(83%)を得た。
【0085】
<ビス[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジクロリドの調製>
[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルリチウム(280mg、1.41mmol)をトルエン(3ml)に希釈した溶液に、塩化ハフニウム(HfCl)(226mg、0.71mmol)をトルエン(2ml)に分散させた溶液を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応が終了すると、反応溶液をろ過した後、ろ液の溶媒を真空下で乾燥した。生成された固体をヘキサンで洗浄し、乾燥して、白色の固体化合物180mg(41%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): δ6.21 (t, 2H), 6.12 (t, 2H), 4.54 (d, 2H), 4.44 (d, 1H), 3.28 (s, 2H), 1.52 (s, 2H), 0.05 (s, 9H).
【0086】
<メタロセン担持触媒の調製>
化学式1-9の化合物4.15gに、10%メチルアルミノキサンのトルエン溶液624gを投入し、常温にて1時間撹拌した。反応が終了した溶液を140gのシリカ(XPO-2402)に投入し、さらにトルエン3リットルを入れて、70℃にて2時間撹拌した。担持が終了した触媒を1リットルのトルエンで洗浄し、60℃の真空下で一晩乾燥して、粉末状の担持触媒200gを調製した。
【0087】
調製例2:ジメチルビス[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]ハフニウム(dimethyl bis[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl] hafnium;化学式1-10)の調製
調製例1で調製したビス[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルハフニウムジクロリド(2.4g、3.79mmol)をトルエンに希釈した溶液に、MeMgBr(3.0Mのジエチルエーテル溶液、11.4mmol)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応が終了すると、トルエンで抽出してろ過した後、ろ液の溶媒を真空下で乾燥した。生成した固体をヘキサンで洗浄し、乾燥して、白色の固体化合物2.08g(93%)を得た。
化学式1-10の化合物3.87gを用いて、調製例1と同様の方法により担持触媒200gを調製した。
【0088】
調製例3:ジブチルビス[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]ハフニウム(dibutyl bis[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl] hafnium;化学式1-11)の調製
調製例1で調製したビス[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルハフニウムジクロリド(4g、6mmol)をトルエン(100ml)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(5.5g、13mmol)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応が終了すると反応溶液をろ過した後、ろ液の溶媒を真空下で乾燥して、黄色の液体化合物3.4g(80%)を得た。
化学式1-11の化合物4.43gを用いて、調製例1と同様の方法により担持触媒200gを調製した。
【0089】
実施例1~3
気相流動層反応器を用いて、調製例1~3でそれぞれ得られた担持触媒の存在下でエチレン/1-ヘキセン共重合体を調製した。反応器のエチレン分圧を約15kg/cmに保ち、重合温度を80℃~90℃に維持した。
実施例の重合条件を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
比較例1~2
比較のために、ハンファケミカル社製の直鎖状低密度ポリエチレンM1810HN(密度0.918g/cm、溶融指数1.0g/10分)とM2010HN(密度0.920g/cm、溶融指数1.0g/10分)とを使用した。
【0092】
試験例
実施例のオレフィン系重合体の物性を下記のような方法および基準に基づいて測定した。その結果を表2に示す。
(1)溶融指数(melt index)および溶融指数比(melt flow ratio;MFR)
ASTM D 1238に基づいて21.6kgの荷重と2.16kgの荷重とで190℃にてそれぞれ溶融指数を測定し、その比(I21.6/I2.16)を求めた。
(2)密度(density)
ASTM D1505に基づいて測定した。
(3)共単量体分布勾配(CDS)
ゲル浸透クロマトグラフィー-FTIR(GPC-FTIR)を用いて測定した。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例1~3および比較例1~2のそれぞれの樹脂を、40mmインフレーションフィルム成形機(40mmΦスクリュー、75mmΦダイ、2mmダイギャップ)により50μm厚のフィルムに製造した。この際、押出条件は、C1/C2/C3/A/D1/D2=160/165/170/175/180/180℃、スクリュー速度60rpm、ブローアップ比(blow-up ratio;BUR)2に固定した。
実施例1および比較例1~2のオレフィン系重合体フィルムの物性を下記のような方法および基準に基づいて測定した。その結果を表3に示す。
【0095】
(5)溶融温度
示差走査熱量計(differential scanning calorimeter、DSC、装置名:DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて重合体の溶融点を測定した。具体的に、重合体を200℃まで加熱した後、5分間その温度を維持し、さらに20℃まで冷却した後、再び温度を上昇させ、この際、温度の上昇速度および下降速度はそれぞれ20℃/分に調節した。
【0096】
(6)曇り度(haze)
厚さ50μmの規格でフィルムを成形し、ASTM D 1003に基づいて測定した。この際、1試験片当たり5回測定してその平均値をとった。
(7)透明度
厚さ50μmの規格でフィルムを成形し、ASTM D 1003に基づいて測定した。この際、1試験片当たり5回測定してその平均値をとった。
【0097】
(8)熱封かん強度
ASTM F88に基づいて測定した。
(9)ホットタック強度
ASTM F1921に基づいて測定した。
【0098】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体フィルム、具体的に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムは、製造が容易であり、機械的強度および熱封かん特性、特に低温熱封かん特性に優れる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8