(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電気設備のためのエンクロージャの底部
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240111BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H05K5/03 D
E05B65/00 D
(21)【出願番号】P 2022530314
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(86)【国際出願番号】 FI2020050792
(87)【国際公開番号】W WO2021105559
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】516000538
【氏名又は名称】フィボックス・オサケユキテュア・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】Fibox Oy Ab
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ケンネト・ウェベル
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529697(JP,A)
【文献】特開2013-038508(JP,A)
【文献】特開平08-110152(JP,A)
【文献】特開2019-151392(JP,A)
【文献】特表2016-525861(JP,A)
【文献】特開平10-248121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
E05B 65/00
B65D 6/18
B65D 6/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備のためのエンクロージャの底部(1)であって、上記底部(1)は、矩形の底(2)と、上記底から上方に向かっている、第1の壁(3)および上記第1の壁(3)に対向する第2の壁(4)と、第3の壁(5)および上記第3の壁(5)に対向する第4の壁(6)と、を備え、上記底部(1)の上記第1の壁(3)はカバー(8)を上記底部に取り付けるための第1のロック部材(30a1)を有し、上記第2の壁(4)は上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるための第1のロック部材(40a1)を有するものにおいて、
- 上記第1の壁(3)の上記第1のロック部材(30a1)は、
上記底部(1)の上記第1の壁(3)の外面に形成された第1の凹部(3a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含み、上記第1の凹部(3a1)に嵌め込まれた上記第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)は、上記第1の壁(3)の上記外面と同一平面にある平坦な外面(72a、72b、または72c)を有し、
上記第1の壁(3)に形成された第1の戻り止め部(39a1)を含み、上記第1の戻り止め部(39a1)は、上記第1の形状ロック片(7a、7b、7c)のストッパ部材(71a、71b、または71c)が上記第1の戻り止め部(39a1)と協働するように嵌め込まれているとき、上記第1の凹部(3a1)内に嵌め込まれた上記第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)が、上記底部(1)の上記底(2)により画定された平面から離れる方向に、上記底部(1)から外れるのを防止するよう構成され、
- 上記第2の壁(4)の上記第1のロック部材(40a1)は、
上記第2の壁(4)の外面に形成された第1の凹部(4a1)に着脱可能に嵌め込まれる第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含み、上記第2の壁(4)の上記第1の凹部(4a1)に嵌め込まれた上記第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)は、上記第2の壁(4)の上記外面と同一平面にある平坦な外面(72a、72b、または72c)を有し、
上記第2の壁(4)に形成された第1の戻り止め部(49a1)を含み、上記第1の戻り止め部(49a1)は、上記第2の形状ロック片(7a、7b、7c)のストッパ部材(71a、71b、または71c)が上記第2の壁(4)に形成された上記第1の戻り止め部(49a1)と協働するように嵌め込まれているとき、上記第2の壁(4)の上記第1の凹部(4a1)に嵌め込まれた上記第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)が、上記底部(1)の上記底(2)により画定された上記平面から離れる方向に、上記底部(1)から外れるのを防止するよう構成され、
- 上記第1の壁(3)の上記第1のロック部材(30a1)は、上記第2の壁(4)の上記第1のロック部材(40a1)に対して正反対に対向する位置に配置されていることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項2】
請求項1に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の形状ロック片(7b)は、ヒンジによって上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるためのヒンジ部(70b)を備えることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項3】
請求項1に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の形状ロック片(7a)は、ネジ継手によって上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるための凹部(70a)を備えることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第2の形状ロック片(7a、7c)は、ネジ継手によって上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるための凹部(70a)、または上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるためのハンドルを備えることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項5】
請求項1に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1および第2の形状ロック片(7c)は、上記カバー(8)を上記底部(1)に取り付けるためのハンドル(70c)を備えることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項6】
請求項1に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の壁(3)の上記第1のロック部材および上記第2の壁(4)の上記第1のロック部材は、それぞれ上記第1の壁(3)および上記第2の壁(4)の中央に位置することを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の壁(3)の上記
第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)が上記第2の壁(4)の上記第1の凹部(4a1)に嵌め込まれ得るように、上記第1の壁(3)の上記第1の凹部(3a1)は、上記第2の壁(4)の上記第1の凹部(4a1)と同様であることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項8】
請求項1に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第3の壁(5)は、上記第3の壁(5)の外面に形成された第1の凹部(6a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材を有し、
上記第4の壁(6)は、上記第4の壁(6)の外面に形成された上記第1の凹部(6a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材(60a1)を有し、
上記第3の壁(5)の上記第1のロック部材は、上記第4の壁(6)の上記第1のロック部材(60a1)に対して正反対に対向する位置に配置されていることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項9】
請求項8に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第3の壁(5)の上記第1のロック部材および上記第4の壁(6)の上記第1のロック部材は、それぞれ上記第3の壁(5)および上記第4の壁(6)の中央に位置することを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項10】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の壁(3)は、上記第1のロック部材(30a1)に加えて、上記第1の壁(3)の外面に形成された第2の凹部(3a2)に着脱可能に嵌め込まれる第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第2のロック部材(30a2)を有し、
上記第2の壁(4)は、上記第1のロック部材(40a1)に加えて、上記第2の壁(4)の外面に形成された第2の凹部(4a2)に着脱可能に嵌め込まれる第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第2のロック部材(40a2)を有し、
上記第1の壁(3)の上記第2のロック部材(30a2)は、上記第2の壁(4)の上記第2のロック部材(40a2)に対して正反対に対向する位置に配置されていることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項11】
請求項10に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第3の壁(5)は、上記第3の壁(5)の外面に形成された第1の凹部(5a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材を有し、
上記第4の壁(6)は、上記第4の壁(6)の外面に形成された第1の凹部(6a1)に取り外し可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材(60a1)を有し、
上記第3の壁(5)の上記第1のロック部材は、上記第4の壁(6)の上記第1のロック部材(60a1)に対して正反対に対向する位置に配置されていることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項12】
請求項10に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第3の壁(5)は、
上記第3の壁(5)の外面に形成された第1の凹部(5a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材と、
上記第3の壁(5)の上記外面に形成された第2の凹部(5a2)に着脱可能に嵌め込まれる第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第2のロック部材と
を有し、
上記第4の壁(6)は、
上記第4の壁(6)の外面に形成された第1の凹部(6a1)に着脱可能に嵌め込まれる第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第1のロック部材(60a1)と、
上記第4の壁(6)の上記外面に形成された第2の凹部(6a2)に着脱可能に嵌め込まれる第2の形状ロック片(7a、7b、または7c)を含む第2のロック部材(60a2)と
を有し、
上記第3の壁(5)の第1のロック部材は、上記第4の壁(6)の第1のロック部材(60a1)に対して正反対に対向する位置に配置され、
上記第3の壁(5)の第2のロック部材は、上記第4の壁(6)の第2のロック部材(60a2)に対して正反対に対向する位置に配置されていることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項13】
請求項8、9、11、12のいずれか一項に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の壁(3)の上記
第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)が、上記底部(1)の上記壁(3~6)のいずれの壁の上記凹部(3a1、3a2、4a1、4a2、5a1、5a2、6a1、6a2)にも嵌め込まれ得るように、上記底部(1)の上記全ての壁(3~6)に形成された上記凹部(3a1、3a2、4a1、4a2、5a1、5a2、6a1、6a2)は同様であることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のエンクロージャの底部(1)において、
上記第1の凹部(3a1)は上記第1の壁(3)に形成された壁部によって画定され、上記壁部は、上記第1の壁(3)によって画定された平面に対して平行で、かつ上記底部(1)の上記底
(2)によって画定された平面に対して垂直に延在する溝(11)を有し、
上記第1の壁(3)からの上記第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)の離脱が、上記第1の壁(3)によって画定された上記外面から離れる方向に防止されるように、上記第1の形状ロック片は、上記第1の形状ロック片を上記第1の壁(3)に係止するよう構成された舌部(73a、73b、または73c)を有することを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のエンクロージャの底部において、
上記第1の凹部(3a1’)は上記第1の壁(3’、3’’、3’’’)に形成された壁部によって画定され、上記壁部は、上記第1の壁(3’、3’’、3’’’)によって画定された平面に対して平行で、かつ上記底部の上記底
(2)によって画定された平面に対して垂直に延在する舌部(12’、12’’、12’’’)を有し、
上記第1の壁(3’、3’’、3’’’)からの上記第1の形状ロック片の離脱が、上記第1の壁(
3’、3’’、3’’’)によって画定された上記外面から離れる方向に防止されるように、上記第1の形状ロック片(7a’、7a’’、7a’’’、7a
IV、7a
Vおよび7a
VI)は、上記第1の形状ロック片を上記第1の壁(3’、3’’、3’’’)に係止するよう構成された溝(74a’、74a’’、74a’’’)を有することを特徴とする、エンクロージャの底部。
【請求項16】
請求項1に記載のエンクロージャの底部において、
上記第1の壁(3)に形成された上記第1の戻り止め部(39a1)はカラーを含み、
上記
第1の形状ロック片(7a、7b、または7c)の上記ストッパ部材(71a、71b、71c)は、
第1の形状ロック片
(7a、7b、または7c)を上記第1の戻り止め部(39a1)に係止するよう構成されたカラー(710a、710b、710c)を含む可撓性タブを有し、上記可撓性タブが上記第1の戻り止め部(39a1)を通過するように上記可撓性タブに力を加えることによって上記
第1の形状ロック片
(7a、7b、または7c)は上記底部(1)から取り外し可能であり、それによって上記
第1の形状ロック片
(7a、7b、または7c)の上記係止が解除されることを特徴とする、エンクロージャの底部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気設備のためのエンクロージャの底部に関する。より具体的には、本発明は、電気設備のためのエンクロージャの底部であって、矩形の底と、上記底から上方に向かっている、第1の壁および上記第1の壁に対向する第2の壁と、第3の壁および上記第3の壁に対向する第4の壁とを備え、上記底部の上記第1の壁は、カバーを上記底部に取り付けるための第1のロック部材を有し、上記第2の壁は、上記カバーを上記底部に取り付けるための第1のロック部材を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的エンクロージャの利用者は、電気的エンクロージャを可能な限りその用途に適したものにするために、その電気的エンクロージャの用途に依存して、電気的エンクロージャの底部だけでなく電気的エンクロージャのカバーに関して、技術的にどのようなものであるべきかについて、極めて多様な要求や要望を持っている。現実問題として、電気的エンクロージャの利用者のこのような要求は、メーカーによる電気的エンクロージャの製造を複雑化させている。要求された/要望された技術的特性を満たす電気的エンクロージャを短納期で利用者に納品できるようにするためには、電気的エンクロージャのメーカーは、予め生産した大量の電気的エンクロージャを在庫として保有する必要に迫られる。しかし、それは非常に困難であり、実務的に不可能とも言える。何故なら、通常、保管スペースが十分でない上、たとえスペースがあったとしても、そんなに多くの電気的エンクロージャを製造し保管しておいても、在庫の購入者を見つけることができないリスクが存在するからである。上記のような理由により、電気的エンクロージャの購入者は、電気的エンクロージャが在庫に無い種類のものであった場合には、現実問題として電気的エンクロージャが納品されるまで待つことを余儀なくされる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、エンクロージャ底部の技術的特徴に関する利用者の要求および要望を満たすために、非常に容易かつ迅速に大幅な変更を行うことができ、それによって、同時に電気的エンクロージャ用の異なる底部の在庫を大量に保有する必要を無くせる、電気設備のためエンクロージャの底部を提供することにある。本発明の目的を達成するために、本発明は、添付の請求項1の特徴部分により開示される事項により特徴付けられる。
【0004】
本発明の本質的な特徴は、上記底部(それは通常大きい)が着脱可能な1組の形状ロック片(上記底部よりも数倍小さい)を備え、上記形状ロック片によって、上記エンクロージャのカバーがその第1の位置で上記底部に取り付けられ得、またはそれに代えて、上記第1の位置に対してカバーが180度回転されている第2の位置で取り付けられ得る点、言い換えれば、開く方向(「扱い(handing)」)が変更され得る点にある。この場合、有利には、上記形状ロック片の技術的構造、上記カバーの取り付け方法、および上記電気的エンクロージャの用途を考慮して、さらに互いにわずかに異なる場合がある。上記形状ロック片は、それらの形状ロック片の平坦な外面が上記底部の上記壁の外面と同一平面上にあるように、上記底部の上記壁に形成された凹部に嵌め込まれる。したがって、上記底部の外観が損なわれることがない。
【0005】
上記形状ロック片は、上記カバーを上記底部の所望の側にヒンジによって取り付け可能にするヒンジ部材を有し、それによって、上記底部の反対の側は形状ロック片を含み、その形状ロック片は、ネジ継手によって上記カバーを上記底部に取り付けるための凹部、または上記カバーを上記底部に取り付けるためのハンドルを有する、のが望ましい。
【0006】
上記カバーがヒンジで上記底部に取り付けられない場合、上記底部の上記形状ロック片は、ネジ継手によって上記カバーを上記底部に取り付けるための凹部、または上記カバーを上記底部に取り付けるためのハンドルを備える。
【0007】
上記底部の互いに対向する壁が1つ以上の形状ロック片を有する場合(底部が大きいので、それが利点となる。)、それらの形状ロック片は、上記底部の互いに対向する壁で、正反対に対向している凹部に嵌め込まれる。そのような場合、上記電気的エンクロージャの上記カバー上の取り付け手段は、上記カバーの上記開く方向に対応するように、上記底部の上記所望の側に取り付けるのに適している。
【0008】
上記形状ロック片が上記壁によって画定された上記外面から離れる方向(外向き)へ上記壁の上記凹部から外れないように、上記形状ロック片を上記底部の上記壁の所定位置に保持するために、上記壁の上記凹部は、上記壁に形成された壁部によって画定される、のが望ましい。上記壁部は、上記壁によって画定された上記平面に対して平行で、かつ上記底部の上記底によって画定された上記平面に対して垂直に延在する溝を有し、それによって、上記形状ロック片は、上記形状ロック片を上記壁に係止するよう構成された舌部を有する、のが望ましい。溝の代わりに、上記凹部を画定する上記壁部は、上記壁によって画定される上記平面に対して平行で、かつ上記底部の上記底によって画定される上記平面に対して垂直に延在する舌部を有し、それによって、上記形状ロック片は、上記形状ロック片が上記壁によって画定された上記外面から離れる方向に上記壁の上記凹部から外れないように、上記形状ロック片を上記壁に係止するよう構成された溝を有する、のが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、添付の従属請求項に開示されている。
【0010】
電気設備のためのエンクロージャのための本発明の底部の最大の利点は、小さいサイズの形状ロック片を利用することによって、例えば、底部に対するカバーの扱い(handing)を考慮して、カバーが底部に対してどのように固定されるかに依存した様々な仕方で、簡単かつ迅速に、カバーを受けるのに適した状態にすることができることである。本発明は、広い保管スペースを必要とする、典型的には大型で、異なった種類の底部部品を多数、製造および保管する必要性を大幅に低減する。本発明により、顧客は、電気的エンクロージャのための所望の底部を非常に迅速に提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ例示的な記述を行うことで、本発明をより詳細に説明する。図面において、
【
図1】本発明の底部を備える電気的エンクロージャを示す図である。
【
図2】
図1の電気的エンクロージャのコーナー部の拡大図である。
【
図3】
図2に示すカバーのコーナー部を示す図である。
【
図4】
図1の底部を、形状ロック片が無い状態で、上記底部の内底に直接対向して見たところを示す図である。
【
図5】
図4の底部のコーナー部の拡大斜視図である。
【
図6】
図4によるコーナー部を、形状ロック片が有る状態で示す図である。
【
図7a】形状ロック片の第1の実施例を示す斜視図である。
【
図7b】同様に形状ロック片の第1の実施例を横から見た図である。
【
図8a】形状ロック片の第2の実施例を示す斜視図である。
【
図8b】同様に形状ロック片の第2の実施例を横から見た図である。
【
図9a】形状ロック片の第3の実施例を示す斜視図である。
【
図9b】同様に形状ロック片の第3の実施例を横から見た図である。
【
図10】本発明の底部の第2の実施形態を示す図である。
【
図11】本発明の底部の第3の実施形態を示す図である。
【
図12b】本発明の底部の別の変形例を示す図である。
【
図12c】本発明の底部のさらに別の変形例を示す図である。
【
図12d】形状ロック片の実施例を上側から見た図である。
【
図12e】形状ロック片の別の実施例を上側から見た図である。
【
図12f】形状ロック片のさらに別の実施例を上側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の底部1と、その上に取り付けられたカバー8と、を備える電気的エンクロージャを示している。底部1の底は矩形であり、そこから底部の壁3~壁6が上方に向かっている。そのうち
図1で見えているのは壁3および壁6のみである。
図4は、底部1に設けられたすべての壁3~壁6を、上記底部の底2(内底)に対向して見たところを示している。
【0013】
底部1の第1の壁3は、第1のロック部材30a1および第2のロック部材30a2を有し、第1のロック部材30a1および第2のロック部材30a2によってカバー8が底部にヒンジ止めされている(
図1参照)。ロック部材30a1、30a2は、それぞれ形状ロック片7bを備えている。これらの形状ロック片の構造は、
図8aおよび
図8bに示されている。形状ロック片7bは、ばら部品(loose parts)であり、カバー8に形成されたヒンジ部82と共にカバー8のヒンジを構成する、ヒンジ部70bを備えている。
【0014】
底部1の壁3に対向する第2の壁4は、カバー8が追加で取り付けられる第1のロック部材40a1および第2のロック部材40a2を有している。ロック部材40a1,40a2は、それぞれ形状ロック片を備えている。これらの形状ロック片の詳細構造は、壁3のロック部材30a1、30a2の形状ロック片7bの構造とは異なっている。第2の壁4上の形状ロック片7cの構造は、
図9aおよび
図9bに示されている。形状ロック片7cは、カバー8上の戻り止め部81に対して取り外し可能に取り付けられるハンドル70cを備えている(
図2参照)。ハンドル70cを、カバー8上の戻り止め部81に連結することで、ハンドルによってカバーが底部1に取り付けられる。形状ロック片7cのラッチ700cを回転させると、ハンドル70が上方向に上がり、カバー8の戻り止め部81から外れ、それによってロックが解除される。上記ロックの構造および動作は、当業者であればよく知られているハンドルロックの構造に相当するため、ハンドルロックの詳細な構造については、ここでは説明しない。
【0015】
底部1の第4の壁6は、第1のロック部材60a1および第2のロック部材60a2を有している(
図1参照)。さらに、底部1の第4の壁6と対向する第3の壁も、同様に2つのロック部材を有するが、
図1では図示されていない。第3の壁および第4の壁6のロック部材は、それぞれ形状ロック片7aを備える。これらの形状ロック片7aの構造は、
図7aおよび
図7bに示されている。
図1のエンクロージャにおいては、第1の壁3のロック部材30a1、30a2と、第2の壁のロック部材40a1、40a2とによって、カバーが底部1に係止される(取り付けられる)ため、第3の壁および第4の壁6のロック部材は、カバー8のためのロック部材としては機能しない。第3の壁5および第4の壁6上の形状ロック片7aの目的は補強材としてのみ作用し、上記底部の外観を改善することである(それについては、後述する。)。
【0016】
底部1の互いに対向する壁3、4のロック部材30a1、30a2、40a1、40a2は、互いに正反対に対向する位置に配置される。すなわち、ロック部材40a1はロック部材30a1に対して直径方向に対向する位置に配置され、ロック部材40a2はロック部材30a2に対して直径方向に対向する位置に配置される。壁5および壁6上のロック部材にも同じことが言える。すなわち、壁5の第1のロック部材(
図1には図示せず)は、壁6の第1のロック部材60a1に対して正反対に対向する位置に配置され、また、壁5の第2のロック部材(
図1には図示せず)は、壁6の第2のロック部材60a2に対して正反対に対向する位置に配置される。
【0017】
ロック部材30a1、30a2、40a1、40a2によって底部1にカバーを取り付ける仕方は多数ある。カバー8は、カバー上に設けられたヒンジ部82によって、壁3(
図1に示す)に対してヒンジ止めされてもよいし、代わりに、壁3に対向する壁に対してヒンジ止めされてもよい。カバー8が底部1の壁3に対向する壁に対してヒンジ止めされる場合、
図9cおよび
図9bの形状ロック片7c(または
図7aおよび
図7bの形状ロック片7a)が壁3に嵌め込まれ、
図8aおよび
図8bの形状ロック片7bが壁3に対向する壁に嵌め込まれる。
【0018】
カバー8が底部1にネジ止めされるタイプである場合、
図7aおよび
図7bの形状ロック片7aが、
図6および
図11に示すように上記底部の壁に設置される。そこでは、上記底部の壁4および壁6が、
図7aおよび
図7bの形状ロック片7aを有している。
図7aおよび
図7bにおいて、参照番号70aは、形状ロック片7aに形成された凹部を示している。凹部70aには、ネジ(
図11のネジ87’’を参照)が挿入される。これにより、カバー8が底部1に取り付けられ得る。凹部70aの壁部には、ネジのネジ山が取り付けられる。凹部70aはネジを通す貫通孔であってもよく、その場合、ネジにナットが連結され得る。
【0019】
底部1の壁に、種類の異なったロック部材/形状ロック片を嵌め込むことができるという事実に起因して、もし望まれるならば、カバー8は底部1に多くの仕方で、例えば
図9aおよび
図9bの形状ロック片7cを使用することによって8つのハンドルで、取り付けられてもよい。
【0020】
カバー8がどのような形態で底部1に連結されるか、どのような種類の取り付け部材がカバーに設けられるかに関わらず、形状ロック片7a、7b、7cが上記壁(その壁に対して取り付け用部品が嵌め込まれる)の外面と同一平面上にある、平坦な外面72a、72bまたは72cを有しているせいで、底部の壁3~壁6は平坦であり、それを乱すような凸凹は存在しない。これを可能とするために、底部1の壁3~壁6には形状ロック片7a、7bまたは7cを受け入れる凹部3a1、3a2、4a1、4a2、5a1、5a2、6a1および6a2が形成されている。なお、形状ロック片が無い状態の底部1を示し、それにより凹部が視認可能になっている
図4を参照されたい。
【0021】
形状ロック片7a、7bまたは7cにより、底部1の外壁3~6はスマートかつ統一的な外観を呈する。
図1の例では、第3の壁5および第4の壁6に嵌め込まれた形状ロック片7aは、カバー8を係止する機能を有していない。その目的は、上記で開示したように、エンクロージャに対し、底部の外観を損なう底部1の凹部5a1、5a2、6a1、6a2(
図4および
図5参照)の無い、見栄えの良い外観を提供することである。さらに、それらの形状ロック片7aは、エンクロージャの他の形状ロック片と同様に、壁6の補強も行う。エンクロージャのすべての形状ロック片は、底部の壁を強化し、補強する。
【0022】
図5(形状ロック片が無い状態の底部1のコーナー部を示す)は、底部の壁に形成された凹部4a2、6a1の構造を開示している。底部1の他の凹部(3a1、3a2、4a1、5a1、5a2、6a2)の構造も同様である。凹部4a2は、壁4に形成され、3つの主面(底面、2つの側面、および端面)を有する壁部により画定されている。壁部は、壁4が画定する平面に対して平行で、かつ底部の底2が画定する平面に対して垂直に延在する、互いに対向するように構成された溝11(側面上の溝11)を備えている。形状ロック片7a、7bおよび7cは、同様に、互いに反対向きに構成された2つの舌部73a、73b、73cを有している(
図7a、
図7b、
図8a、
図8b、
図9a、
図9b参照)。溝11および舌部73a、73b、73cのせいで、形状ロック片7a、7bおよび7cは、底部1の凹部4a2、6a1または他のいずれの凹部にも、形状ロック(form-lock)(形状かみ合い)され得る。それにより、形状ロック片は、対応する壁から、壁が画定する外面から離れる方向に(外側に向けて)外れ得ない。このようにして、上述の形状ロックが、底部1のすべての形状ロック片について行われる。この実はぎ継手により実施される形状ロックには遊びが無いことが好ましい。それにより、形状ロック片は、底部の壁を効果的に強化/補強する。
【0023】
図12a~
図12cは、カバーをネジで係止(ロック)することを可能にする形状ロック片の、詳細が異なる3つの形状ロックを示している。この目的のために、形状ロック片7a’、7a’’、7a’’は、それぞれネジ用の穴70a’、70’’、70’’’を備えている。
図12a~
図12cは、対応する部品について、
図4、
図7a、
図8aおよび
図9aと同じ参照番号を使用している。形状ロック片7a’、7a’’および7a’’’は、底部の壁3’、3’’、3’’’に形成された凹部3a1’、3a1’’、3a1’’’にそれぞれ係止されている。
図12a~
図12cに示すように、形状ロック片7a’、7a’’、7a’’’の舌部73a’、73a’’、73a’’’の形状は大きく異なっていてもよい。
図12a~
図12cは、さらに、形状ロック片7a’、7a’’、7a’’’が、舌部の代わりに、溝74a’、74a’’および74a’’’を有し、これらの溝が、底部の壁3’、3’’、3’’’の舌部12’、12’’、12’’’に形状ロックすることによって、形状ロック片を係止してもよいことを示している。
図12a~
図12cから理解されるように、溝74a’、74a’’および74a’’’の形態は大きく異なっていてもよく、図示されていない数多くの形態が可能である。
【0024】
図12a~
図12cとは異なり、
図12eおよび
図12fに示す形状ロック片7a
Vおよび7a
VIに描かれているように、形状ロック片は、その形状ロック片の反対向きの側面の両方に溝を有していてもよい。その場合、当然ながら、底部の壁に形成された凹部は、溝を受け入れるための舌部を備えていなければならない。
【0025】
図12a~
図12fの形状ロック片7a、7a’’、7a’’’、7a
IV、7a
Vおよび7a
VIの形状は、ネジ取り付けの代わりに、
図8aおよび
図8bに示すようなヒンジによるロックを可能にするタイプや、
図9a、
図9bに示すようなハンドルによるロックを可能にするタイプの形状ロック片に対しても、同様に用いられ得る。
【0026】
要約すると、形状ロック片およびそれらの形状に関しては、一般に、形状ロック片はばら片(loose pieces)であり、形状ロックを達成するために、形状ロック片の互いに反対向きの側面に舌部と溝を設けてもよく、底部1の凹部に溝または舌部を設けてもよい、ということができる。こういった形状ロック片を有する底部の製造および使用を実用的なものとするために、底部のすべての凹部は同様であり、すべての形状ロック片の形状も同様である。それによって、ネジ、ヒンジ、ハンドルのいずれの取り付け形態を生ずるかに関わらず、いずれの形状ロック片も、底部のいずれの凹部にも嵌合可能になる。
【0027】
図4および
図5において、参照番号49a2は、壁4に形成された凹部4a2に形成された戻り止め部を示している。底部1の他の壁は、それぞれ同様の戻り止め部39a1、39a2、59a1、59a2、69a1、69a2を有する。これらの戻り止め部39a1、39a2、49a1、49a2、59a1、59a2、69a1、69a2は、壁3~壁6の凹部に形成された貫通孔48a2(
図5参照)から成るカラーである。戻り止め部39a1、39a2、49a1、49a2、59a1、59a2、69a1、69a2の目的は、形状ロック片7a~7cが、凹部3a1、3a2、4a1、4a2、5a1、5a2、6a1、6a2から遠ざかり、底部の底から外れてしまうような、底部1の壁3~6によって画定される平面の方向における望ましくない移動を防止することである。この目的のために、底部の底2に接する形状ロック片7a~7cの端部に、それぞれストッパ部材71a、71bおよび71cが設けられている(
図7a、7b、8a、8b、9a、9b参照)。これらのストッパ部材は、戻り止め部39a1、39a2、49a1、49a2、59a1、59a2、69a1、69a2の中に係止される。ストッパ部材71a、71b、および71cは、可撓性をもつタブによって形成され、タブにはカラー710a、710b、710cが形成されている(
図7b、
図8bおよび
図9b参照)。
図9bの形状ロック片7cのような形状ロック片が、
図5の凹部49a2のような凹部に挿入されると、ストッパ部材71cが凹部の孔48aの壁に接触し、それによってストッパ部材が横方向に撓む。挿入が続けられると、ストッパ部材71cのカラー710cが孔48a2のカラーに当接し、形状ロック片7cが凹部49a2に係止される。形状ロック片7cを凹部から取り外す場合は、例えばドライバによって、ストッパ部材71cに横方向の力を加える。そうすると、ストッパ部材が撓んで、カラー710cが孔48aのカラーから外れ、形状ロック片7cを凹部49a2から引き出すことができるようになる。
【0028】
図10の目的は、カバー8’を底部1’にヒンジで係止する形状ロック片7b’が、そのヒンジ部もエンクロージャ側面3’の外面によって画定される平面から突出しないよう形成され得る、ということを示すことにある。カバー8’上のヒンジ部分82’も同様に、エンクロージャから突出しないよう形成される。
【0029】
本発明による底部は、プラスチックで作られることが推奨される。使用されるプラスチックは、ABSプラスチック(アクリロニトリルブタジエンスチレン)またはPCプラスチック(ポリカーボネート)であることが推奨される。あるいは、底部は金属製であってもよい。形状ロック片もプラスチックで作られることが推奨される。形状ロック片がハンドルを備える場合、ハンドルは金属で作られる。
【0030】
上記では、本発明を例によって説明したが、本発明の詳細は添付の特許請求の範囲内で様々な方法で実施することができることに留意されたい。したがって、底部の凹部および形状ロック片の数や形状は変更可能である。最小でも、エンクロージャの底部1は、底部の対向する壁に形成される2つの凹部を有し、それらの凹部には形状ロック片が嵌め込まれる。底部のすべての壁に、少なくとも1組の凹部と形状ロック片を形成することによって、数多くの様々な仕方で、すなわち、カバーを底部のいずれかの壁にヒンジ止めするか、または、カバーがネジで取り付けられる形状ロック片、および/もしくは、カバーを筐体に取り付けるためのハンドルを備えた形状ロック片によって、カバーを底部に取り付けることによって、エンクロージャの底部にカバーを取り付けることができるようになる。形状ロック片の形状ロックは、1つの実はぎ(groove-and-tongue)タイプの継手のみで確立され、凹部によって画定される壁部上の位置は可変され得る、ということが想像できるであろう。上記底部の凹部内に形成された戻り止め部(例えば、
図5の戻り止め部49a2)(それによって、形状ロック片が底部の底から離れる方向(上方に)に移動して底部から外れるのが防止される)は、凹部の壁部から形成されていてもよい。その場合、形状ロック片が底部の底から離れる方向に(上方に)押されたとしても、形状ロック片の上端部、すなわち、凹部、ヒンジ部、またはハンドル(
図7aの凹部70a、
図8aのヒンジ部70b、または
図9aのハンドル70cを参照)を備える端部が、その戻り止め部によって止まり、そこに留まる。最後に言及される解決策では、形状ロック片を底部の底に向けて、上側から押圧することによって、形状ロック片が底部の凹部内の所定位置に嵌め込まれる上記の例とは反対方向に、形状ロック片が底部の底の側から底部の凹部内の所定位置に嵌め込まれる。本発明の例示的な説明およびその図面によって示されるように、形状ロック片の外形は大きく変化し得るが、それにも関わらず形状ロックが確立される。