(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】保護継電器及びその保護継電器の断線検出方法
(51)【国際特許分類】
H02H 3/24 20060101AFI20240111BHJP
G01R 31/54 20200101ALI20240111BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H02H3/24 L
G01R31/54
H02H7/00 H
(21)【出願番号】P 2022535427
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2020015602
(87)【国際公開番号】W WO2021118071
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0165893
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128167
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】シン,サンタック
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-142021(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261999(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0860865(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
H02H 3/08-3/253
H02H 7/00
H02H 7/10-7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変成部及び前記変成部に接続される回路の断線の有無を検出する保護継電器であって、
前記変成部の出力両端に接続される複数のノードと、基準電圧を形成する基準電圧生成部とを有し、分圧抵抗を形成して前記複数のノードと前記基準電圧生成部間を接続する複数の抵抗を有する断線検知部と、
前記基準電圧に対して所定の電圧差を形成するための電圧を前記断線検知部に印加する検知電圧生成部と、
前記複数のノードのうち、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無に応じて前記分圧抵抗により印加される電圧信号の大きさが変化する第1ノードに接続され、前記第1ノードから検出される電圧信号から前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を検出する断線判断部とを含
み、
前記断線判断部は、
前記第1ノードから検出される電圧信号からDCオフセット値を抽出し、かつ抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較した結果、前記DCオフセット値が前記臨界電圧より小さい場合、前記第1ノードから検出される電圧信号からAC成分の大きさを検出し、検出したAC成分の大きさに基づいて前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定することを含むことを特徴とする保護継電器。
【請求項2】
前記断線判断部は、
前記検出したAC成分の大きさが所定の大きさより大きいか否かにより、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定し、
前記所定の大きさは、
短絡電流又は前記変成部の起動時に発生する起動電流が発生する際に前記第1ノードから検出される電圧信号に含まれるAC成分の大きさに応じて決定されることを特徴とする請求項
1に記載の保護継電器。
【請求項3】
前記断線判断部は、
抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較した結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと1次判断すると、抽出した前記DCオフセット値に所定の設計マージン値をさらに反映し、
前記設計マージン値をさらに反映したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較した結果に基づいて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと2次判断し、かつ前記2次判断の結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする請求項
1に記載の保護継電器。
【請求項4】
前記設計マージンは、
所定の誤差値を含み、
前記所定の誤差値は、
前記第1ノードから検出される電圧信号からDCオフセット値を抽出する過程で発生する計測誤差、及び前記断線検知部の回路構成による設計誤差の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項
3に記載の保護継電器。
【請求項5】
前記臨界電圧は、
前記基準電圧がグランド電圧である場合、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ電圧であることを特徴とする請求項
1に記載の保護継電器。
【請求項6】
前記断線検知部は、
前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、
前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、
前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、
前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成される第2接点と、
前記第1接点と前記第2接点間に配置される第1抵抗と、
前記第2接点と前記基準電圧生成部間を接続し、前記基準電圧生成部と前記第2接点間に配置される第2抵抗と、
前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護継電器。
【請求項7】
前記断線検知部は、
前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、
前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、
前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、
前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成される第2接点と、
前記第2接点と前記基準電圧生成部間を接続し、前記基準電圧生成部と前記第2接点間に配置される第2抵抗と、
前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護継電器。
【請求項8】
前記断線検知部は、
前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、
前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、
前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、
前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成され、前記基準電圧生成部に接続される第2接点と、
前記第1接点と前記第2接点間に配置される第1抵抗と、
前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする請求項1に記載の保護継電器。
【請求項9】
前記第1ノードには、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態であれば、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ大きさの電圧信号が印加され、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値は、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値より小さいことを特徴とする請求項
6~
8のいずれかに記載の保護継電器。
【請求項10】
前記基準電圧より前記検知電圧生成部から印加される電圧の方が大きい場合、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態であれば、下記数式のように、前記基準電圧と前記検知電圧生成部から印加される電圧の差、及び前記分圧抵抗を形成する抵抗の大きさに応じた電圧信号が印加されることを特徴とする請求項
9に記載の保護継電器。
【数1】
【数4】
ここで、n1(V)は第1接点に印加される電圧信号の大きさであり、n2(V)は第2接点に印加される電圧信号の大きさであり、VSは基準電圧であり、VRは検知電圧生成部から印加される電圧であり、R2は第2抵抗の抵抗値であり、R3は第3抵抗の抵抗値である。
【請求項11】
前記断線判断部は、
抽出した前記DCオフセット値が所定の臨界電圧より小さい場合、抽出した前記DCオフセット値に所定の設計マージン値をさらに加算し、前記設計マージン値を加算したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする請求項
10に記載の保護継電器。
【請求項12】
前記基準電圧はグランド電圧であることを特徴とする請求項
9に記載の保護継電器。
【請求項13】
前記第1ノードには、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態であれば、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ大きさの電圧信号が印加され、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値は、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値より大きいことを特徴とする請求項
6~
8のいずれかに記載の保護継電器。
【請求項14】
前記基準電圧が前記検知電圧生成部から印加される電圧より大きい場合、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態であれば、下記数式のように、前記検知電圧生成部から印加される電圧、前記検知電圧生成部から印加される電圧と前記基準電圧の差、及び前記分圧抵抗を形成する抵抗の大きさに応じた電圧信号が印加されることを特徴とする請求項
13に記載の保護継電器。
【数1】
【数5】
ここで、n1(V)は第1接点に印加される電圧信号の大きさであり、n2(V)は第2接点に印加される電圧信号の大きさであり、VSは基準電圧であり、VRは検知電圧生成部から印加される電圧であり、R2は第2抵抗の抵抗値であり、R3は第3抵抗の抵抗値である。
【請求項15】
前記断線判断部は、
抽出した前記DCオフセット値が所定の臨界電圧より大きい場合、抽出した前記DCオフセット値から所定の設計マージン値を減算し、前記設計マージン値を減算したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする請求項
14に記載の保護継電器。
【請求項16】
前記検知電圧生成部の電圧はグランド電圧であることを特徴とする請求項
13に記載の保護継電器。
【請求項17】
前記変成部が、ロゴスキーコイル(Rogowskii Coil)を用いる変成部であれば、前記断線検知部と前記断線判断部間に前記ロゴスキーコイルの特性に応じた遅延波形を復元するための積分回路を含むか、又は前記断線判断部が前記DCオフセット値を積分し、積分したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較した結果に基づいて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を検出することを特徴とする請求項
1に記載の保護継電器。
【請求項18】
前記断線判断部は、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線状態を示すアラーム信号を出力するための出力部を有し、
前記出力部は、
前記アラーム信号を所定の他の機器に送信するための通信機能を有することを特徴とする請求項1に記載の保護継電器。
【請求項19】
変成部及び前記変成部に接続される回路の断線の有無を検出する保護継電器の断線検出方法であって、
前記変成部の出力両端に接続される複数のノードを備え、分圧抵抗を形成する複数の抵抗を備え、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無に応じて前記複数のノードに印加される電圧信号が変化する断線検知部から電圧信号を検出し、かつ検出した電圧信号からDCオフセット値を取得するステップと、
取得したDCオフセット値と所定の臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を1次決定するステップと、
前記1次決定の結果に応じて、検出した前記電圧信号からAC成分の大きさを算出するステップと、
算出したAC成分の大きさと、所定のAC電流信号の大きさを比較し、短絡電流又は前記変成部の起動電流の発生の有無を判断するステップと、
前記短絡電流又は起動電流の発生の有無の判断結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を2次決定するステップとを含むことを特徴とする保護継電器の断線検出方法。
【請求項20】
前記断線の有無を1次決定するステップは、
取得したDCオフセット値と所定の臨界電圧を比較するステップと、
前記DCオフセット値と所定の臨界電圧の比較結果に応じて、前記DCオフセット値に所定の設計マージン値を反映するステップと、
前記設計マージン値を反映したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定するステップとを含むことを特徴とする請求項
19に記載の保護継電器の断線検出方法。
【請求項21】
前記断線の有無を2次決定するステップは、
前記2次決定の結果、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと決定されると、断線状態を示すアラーム情報を出力するステップを含み、
前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されているものと決定されると、所定の周期が満期になったか否かに応じて、前記DCオフセット値を取得するステップから前記断線の有無を2次決定するステップまでを再び行うステップをさらに含むことを特徴とする請求項
19に記載の保護継電器の断線検出方法。
【請求項22】
前記所定の周期は、
前記保護継電器に接続される機器の主動作が行われる時間に基づいて決定されることを特徴とする請求項
21に記載の保護継電器の断線検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護継電器に関し、より詳細には、変成部が接続される回路において、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の断線の有無を検出する保護継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、変成部とは、電力系統において入力される電圧又は電流をより低いレベルの電圧又は電流に変換する機器を意味し、前記電力系統の電圧及び電流を計測したり、継電(relay)するために用いられる。
【0003】
このような変成部は、電圧信号を変換する計器用変圧器(Potential Transformer, PT)と、電流信号を変換する計器用変流器(Current Transformer, CT)に分けられる。ここで、計器用変圧器(PT)は、鉄心コアを用いる一般的な変圧器と、コンデンサ、抵抗などを用いる電圧分圧方式の変圧器に分けられる。また、計器用変流器(CT)は、鉄心コアを用いる一般的な変流器と、空気をコアとして用いるロゴスキー(Rogowskii)方式のコイル変流器に分けられる。
【0004】
まず、鉄心コアを用いる変圧器又は変流器は、磁束の通路となる経路を鉄心が安定して提供する。よって、入力信号と比較して、より良好な波形の信号が出力される。よって、入力信号の位相と出力信号の位相が同相となり、入力信号と出力信号が電気的に絶縁されて多重入力信号間の絶縁性能、すなわち相間絶縁性能に優れるという利点がある。
【0005】
一方、変成部には、入力される電圧や電流、変成部を構成する内部回路の欠陥、又は高温や振動などの外部ストレスにより断線が発生し得る。このように変成部による断線が発生すると、低電圧継電器、地絡継電器、低電流継電器、低電力継電器などの継電要素に誤動作が発生する。また、このような変成部の断線は、インバータのように入力電圧や入力電流、又は出力電圧や出力電流を測定して変換する装置において誤動作を誘発する原因となる。
【0006】
よって、保護継電器は、このような誤動作の発生を防止するために、変成部の断線の有無を判断する。また、このような保護継電器の変成部の断線有無の判断は、通常、変成部を介して入力される電圧や電流の大きさ、又は位相やベクトルの和(Vector Sum)を検出し、検出した結果に基づいて行われる。
【0007】
しかし、このように変成部を介して入力される電圧、電流、位相、ベクトルの和などは、変成部から電圧信号や電流信号が印加されない状態(例えば、変成部の正常動作中に電圧信号や電流信号が印加されない状態)と、変成部により回路が断線した場合とが同様に測定されるという問題がある。あるいは、変成部による回路断線が発生すると、変成部から入力される電流又は電圧信号の識別が不可能なハイインピーダンス(High Impedance, 不整合)状態になるが、その場合、検出される信号が前記ハイインピーダンス状態、すなわち断線状態により検出される信号であるか、変成部から実際に検出される信号であるかを区分することが困難であるという問題がある。
【0008】
それだけでなく、短絡電流、又は変成部の起動時に発生する起動電流(In rush current)が流入すると、前記短絡電流又は起動電流により発生する大きなエネルギーにより、一時的に変成部を介して検出される電圧の大きさが変化する。しかし、通常の電圧や電流、又は位相やベクトルの和を用いる方法は、前記短絡電流又は起動電流の流入による電流又は電圧信号の変化と、前記変成部による回路断線による電流又は電圧信号の変化を区分することが困難であるので、前記短絡電流又は起動電流が発生すると、回路が正常に接続されているにもかかわらず、これを断線と判断するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題及び他の問題を解決することを目的とするものであり、変成部による回路断線をより正確に検出することのできる保護継電器及び断線検出方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、変成部から電圧信号や電流信号が印加されない状態と、変成部により回路が断線した状態とを正確に区分することのできる保護継電器、及びその保護継電器において断線を検出する方法を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、短絡電流又はモータや変圧器などの駆動電流により変成部から検出される信号の変化が発生した場合に、変成部から検出される信号の変化が断線によるものであるか、前記短絡電流や起動電流により発生したものであるかを区分することのできる保護継電器、及びその保護継電器において断線を検出する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的又は他の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、本発明の実施形態による保護継電器は、前記変成部の出力両端に接続される複数のノードと、基準電圧を形成する基準電圧生成部とを有し、分圧抵抗を形成して前記複数のノードと前記基準電圧生成部間を接続する複数の抵抗を有する断線検知部と、前記基準電圧に対して所定の電圧差を形成するための電圧を前記断線検知部に印加する検知電圧生成部と、前記複数のノードのうち、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無に応じて前記分圧抵抗により印加される電圧信号の大きさが変化する第1ノードに接続され、前記第1ノードから検出される電圧信号から前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を検出する断線判断部とを含むことを特徴とする。
【0013】
一実施形態において、前記断線判断部は、前記第1ノードから検出される電圧信号からDCオフセット値を抽出し、かつ抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較した結果、前記DCオフセット値が前記臨界電圧より小さい場合、前記第1ノードから検出される電圧信号からAC成分の大きさを検出し、検出したAC成分の大きさに基づいて前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定することを特徴とする。
【0014】
一実施形態において、前記断線判断部は、前記検出したAC成分の大きさが所定の大きさより大きいか否かにより、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定し、前記所定の大きさは、短絡電流又は前記変成部の起動時に発生する起動電流が発生する際に前記第1ノードから検出される電圧信号に含まれるAC成分の大きさに応じて決定されることを特徴とする。
【0015】
一実施形態において、前記断線判断部は、抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較した結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと1次判断すると、抽出した前記DCオフセット値に所定の設計マージン(margin)値をさらに反映し、前記設計マージン値をさらに反映したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較した結果に基づいて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと2次判断し、かつ前記2次判断の結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする。
【0016】
一実施形態において、前記設計マージンは、所定の誤差値を含み、前記所定の誤差値は、前記第1ノードから検出される電圧信号からDCオフセット値を抽出する過程で発生する計測誤差、及び前記断線検知部の回路構成による設計誤差の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0017】
一実施形態において、前記臨界電圧は、前記基準電圧がグランド電圧である場合、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ電圧であることを特徴とする。
【0018】
一実施形態において、前記断線検知部は、前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成される第2接点と、前記第1接点と前記第2接点間に配置される第1抵抗と、前記第2接点と前記基準電圧生成部間を接続し、前記基準電圧生成部と前記第2接点間に配置される第2抵抗と、前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする。
【0019】
一実施形態において、前記断線検知部は、前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成される第2接点と、前記第2接点と前記基準電圧生成部間を接続し、前記基準電圧生成部と前記第2接点間に配置される第2抵抗と、前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする。
【0020】
一実施形態において、前記断線検知部は、前記第1ノードと前記断線判断部間に形成される第1接点と、前記変成部の出力両端のうち前記第1ノードが接続される端側とは異なる端側に接続される第2ノードと、前記第2ノードと前記検知電圧生成部間に形成される第3接点と、前記第1接点と前記第3接点間を接続する電路に形成され、前記基準電圧生成部に接続される第2接点と、前記第1接点と前記第2接点間に配置される第1抵抗と、前記第2接点と前記第3接点間に配置される第3抵抗とを含むことを特徴とする。
【0021】
一実施形態において、前記第1ノードには、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態であれば、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ大きさの電圧信号が印加され、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値は、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値より小さいことを特徴とする。
【0022】
一実施形態において、前記基準電圧より前記検知電圧生成部から印加される電圧の方が大きい場合、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態であれば、下記数式のように、前記基準電圧と前記検知電圧生成部から印加される電圧の差、及び前記分圧抵抗を形成する抵抗の大きさに応じた電圧信号が印加されることを特徴とする。
【0023】
【0024】
【0025】
ここで、n1(V)は第1接点に印加される電圧信号の大きさであり、n2(V)は第2接点に印加される電圧信号の大きさであり、VSは基準電圧であり、VRは検知電圧生成部から印加される電圧であり、R2は第2抵抗の抵抗値であり、R3は第3抵抗の抵抗値である。
【0026】
一実施形態において、前記断線判断部は、抽出した前記DCオフセット値が所定の臨界電圧より小さい場合、抽出した前記DCオフセット値に所定の設計マージン値をさらに加算し、前記設計マージン値を加算したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする。
【0027】
一実施形態において、前記基準電圧はグランド電圧であることを特徴とする。
【0028】
一実施形態において、前記第1ノードには、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態であれば、前記検知電圧生成部から印加される電圧と同じ大きさの電圧信号が印加され、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値は、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されている状態のときに前記第1ノードに印加される電圧信号から抽出されるDCオフセット値より大きいことを特徴とする。
【0029】
一実施形態において、前記基準電圧が前記検知電圧生成部から印加される電圧より大きい場合、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線状態であれば、下記数式のように、前記検知電圧生成部から印加される電圧、前記検知電圧生成部から印加される電圧と前記基準電圧の差、及び前記分圧抵抗を形成する抵抗の大きさに応じた電圧信号が印加されることを特徴とする。
【0030】
【0031】
【0032】
ここで、n1(V)は第1接点に印加される電圧信号の大きさであり、n2(V)は第2接点に印加される電圧信号の大きさであり、VSは基準電圧であり、VRは検知電圧生成部から印加される電圧であり、R2は第2抵抗の抵抗値であり、R3は第3抵抗の抵抗値である。
【0033】
一実施形態において、前記断線判断部は、抽出した前記DCオフセット値が所定の臨界電圧より大きい場合、抽出した前記DCオフセット値から所定の設計マージン値を減算し、前記設計マージン値を減算したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線を検出することを特徴とする。
【0034】
一実施形態において、前記検知電圧生成部の電圧はグランド電圧であることを特徴とする。
【0035】
一実施形態において、前記変成部が、ロゴスキーコイル(Rogowskii Coil)を用いる変成部であれば、前記断線検知部と前記断線判断部間に前記ロゴスキーコイルの特性に応じた遅延波形を復元するための積分回路を含むか、又は前記断線判断部が前記DCオフセット値を積分し、積分したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較した結果に基づいて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を検出することを特徴とする。
【0036】
一実施形態において、前記断線判断部は、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線状態を示すアラーム信号を出力するための出力部を有し、前記出力部は、前記アラーム信号を所定の他の機器に送信するための通信機能を有することを特徴とする。
【0037】
上記目的又は他の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、本発明の実施形態による保護継電器の断線検出方法は、変成部の出力両端に接続される複数のノードを備え、分圧抵抗を形成する複数の抵抗を備え、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無に応じて前記複数のノードに印加される電圧信号が変化する断線検知部から電圧信号を検出し、かつ検出した電圧信号からDCオフセット値を取得するステップと、取得したDCオフセット値と所定の臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を1次決定するステップと、前記1次決定の結果に応じて、検出した前記電圧信号からAC成分の大きさを算出するステップと、算出したAC成分の大きさと、所定のAC電流信号の大きさを比較し、短絡電流又は前記変成部の起動電流の発生の有無を判断するステップと、前記短絡電流又は起動電流の発生の有無の判断結果に応じて、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を2次決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
一実施形態において、前記断線の有無を1次決定するステップは、取得したDCオフセット値と所定の臨界電圧を比較するステップと、前記DCオフセット値と所定の臨界電圧の比較結果に応じて、前記DCオフセット値に所定の設計マージン値を反映するステップと、前記設計マージン値を反映したDCオフセット値と前記臨界電圧を比較し、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方の断線の有無を決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0039】
一実施形態において、前記断線の有無を2次決定するステップは、前記回路断線有無の2次決定の結果、前記変成部及び前記変成部に接続される回路の少なくとも一方が断線したものと決定されると、断線状態を示すアラーム情報を出力するステップを含み、前記変成部及び前記変成部に接続される回路が正常に接続されているものと決定されると、所定の周期が満期になったか否かに応じて、前記DCオフセット値を取得するステップから前記断線の有無を2次決定するステップまでを再び行うステップをさらに含むことを特徴とする。
【0040】
一実施形態において、前記所定の周期は、前記保護継電器に接続される機器の主動作が行われる時間に基づいて決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、変成部が正常に接続されている状態と、変成部に断線が発生した状態で、それぞれ異なる電圧が検出される断線検知部を備え、前記断線検知部で検出される電圧に基づいて変成部の断線の有無を判断することにより、変成部から電圧信号や電流信号が印加されない状態と、変成部により回路が断線した状態を正確に区分することができるという効果がある。
【0042】
また、本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、前記断線検知部の検出の結果、変成部による断線が発生したものと判断される場合、変成部から入力される電圧信号から交流成分の大きさを検出し、かつ検出した交流成分の大きさに応じて短絡電流又は起動電流の発生の有無を検出することにより、前記断線検知部の検出結果が前記短絡電流や起動電流により誘発されたものであるか否かを区分することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】変成部に接続される本発明の実施形態による保護継電器の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による保護継電器における断線検知部及び検知電圧生成部の回路構成を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施形態による保護継電器における断線判断部の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による保護継電器における、断線検知部で検出される電圧信号に応じて変成部の断線の有無を判断する断線判断部の動作過程を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による保護継電器における、変成部が正常に接続されている場合に断線検知部で検出される電圧信号の大きさを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による保護継電器における、変成部が断線した場合に断線検知部で検出される電圧信号の大きさを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による保護継電器における、変成部が正常に接続されている場合と断線した場合に断線検知部で検出されるDCオフセット値の例を示す図である。
【
図8】変成部から流入する負の電圧を有する変成部起動電流又は短絡電流の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態による保護継電器が異なる種類の変成部に接続される例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態による保護継電器が異なる種類の変成部に接続される例を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態による保護継電器が異なる種類の変成部に接続される例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態による保護継電器が異なる種類の変成部に接続される例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態による保護継電器における、分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部の例を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態による保護継電器における、分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部の例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態による保護継電器における、グランド電圧を代替して所定の電圧を印加する電圧生成部を備える構造を有する断線検知部の構造を示す回路図である。
【
図16】
図15の構造を有する保護継電器における、断線検知部で検出される電圧信号に応じて変成部の断線の有無を判断する断線判断部の動作過程を示すフローチャートである。
【
図17】
図15の構造を有する保護継電器における、分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部の例を示す図である。
【
図18】
図15の構造を有する保護継電器における、分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部の例を示す図である。
【
図19】本発明の実施形態による保護継電器における、所定の電圧を代替してグランド電圧を印加する構造を有する検知電圧生成部の構造を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に用いられる技術的用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定するものではない。また、本明細書に用いられる単数表現には、特に断らない限り複数表現が含まれる。以下の説明で用いられる構成要素の接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与又は混用されるものであり、それ自体が有意性や有用性を有するものではない。
【0045】
本明細書における「構成される」、「含む」などの用語は、明細書に記載された様々な構成要素やステップを必ず全て含むものと解されてはならず、それらのうち一部の構成要素やステップは含まれないこともあり、さらなる構成要素やステップを含むこともあるものと解すべきである。
【0046】
さらに、本明細書に開示される技術について説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される技術の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0047】
なお、添付図面は本明細書に開示される実施形態を容易に理解できるようにするためのものにすぎず、添付図面により本明細書に開示される技術的思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物が本発明に含まれるものと理解されるべきである。また、以下で説明する各実施形態だけでなく、各実施形態の組み合わせも、本発明の思想及び技術範囲に含まれる変更、均等物又は代替物として本発明に含まれることは言うまでもない。
【0048】
図1は、変成部110に接続される本発明の実施形態による保護継電器10の構成を示すブロック図である。また、
図2は、本発明の実施形態による保護継電器における断線検知部120及び検知電圧生成部130の回路構成を示す回路図である。さらに、
図3は、本発明の実施形態による保護継電器における断線判断部150の構成を示すブロック図である。
【0049】
まず、
図1に示すように、本発明の実施形態による保護継電器10は、変成部110に接続されるように形成される断線検知部120と、断線検知部120に所定の電圧を印加する検知電圧生成部130と、断線検知部120で検出される電圧信号に基づいて変成部110との回路接続状態を判断する断線判断部150とを含む。
【0050】
まず、変成部110は、電力系統から入力される電圧又は電流をより低いレベルの電圧又は電流に変換する機器であり、変圧器又は変流器を含む。
【0051】
前記変圧器は、電圧を変換する方式によって異なり、抵抗分圧を用いる変圧器であるか、又は鉄心コアを用いる変圧器である。また、前記変流器は、電流を変換する方式によって異なり、鉄心コアを用いる変流器であるか、又は空芯コアを用いるロゴスキーコイル方式の変流器である。
【0052】
また、断線検知部120は、変成部110の出力両端にそれぞれ接続されるノードを備える。よって、ノードに変成部110の出力両端が接続されると回路が形成され、変成部110に断線が発生すると前記ノード間の回路が断線する。
【0053】
一方、前記ノードのいずれか一方のノード(以下、第1ノード111)は、断線判断部150に接続され、他方のノード(以下、第2ノード112)は、検知電圧生成部130に接続される。
【0054】
断線検知部120の回路構造を示す
図2に示すように、断線検知部120は、分圧抵抗を形成する複数の抵抗R1 125、R2 126、R3 127を含む。
【0055】
複数の抵抗R1 125、R2 126、R3 127のうち、第1抵抗(R1)125は、第1ノード111と断線判断部150間に形成される第1接点(n1)121に接続される。また、第3抵抗(R3)127は、第2ノード112と検知電圧生成部130間に形成される第3接点(n3)123に接続される。
【0056】
第1接点(n1)121と第3接点(n3)123は、互いに接続される。また、第1接点(n1)121と第3接点(n3)123を接続する電路に第2接点(n2)122が形成される。ここで、第1抵抗(R1)125は、第1接点(n1)121と第2接点(n2)122間に配置され、第2抵抗(R2)126は、第2接点(n2)122と第3接点(n3)123間に配置される。
【0057】
また、第2接点(n2)122は、断線検知部120に基準電圧を提供する基準電圧生成部129に接続される。さらに、第2接点(n2)122と基準電圧生成部129間には、前記分圧抵抗を形成するさらに他の抵抗(第2抵抗(R2)126)が配置される。
【0058】
ここで、基準電圧生成部129は、前記基準電圧としてグランド電圧を提供する接地で形成される。
【0059】
よって、第1ノード111と第2ノード112間の回路が正常に接続されると、第1接点(n1)121と第3接点(n3)123が接続される回路が形成される。よって、第1接点(n1)121には、検知電圧生成部130から印加される所定の電圧が印加される。
【0060】
それに対して、第1ノード111と第2ノード112間の回路が断線すると、すなわち変成部110が断線すると、第1接点(n1)121と第3接点(n3)123間が断絶される。よって、第1接点(n1)121には、検知電圧生成部130から印加される電圧と基準電圧生成部129から印加される電圧の差と、前記分圧抵抗を形成する複数の抵抗により分配される電圧を有する電圧信号が印加される。
【0061】
一方、断線判断部150は、第1ノード111に接続される第1接点(n1)121の電圧信号を検出するので、第1ノード111と第2ノード112間の回路接続状態、すなわち変成部110の断線の有無に応じて検出される電圧信号が変化する。
【0062】
一方、検知電圧生成部130は、前記基準電圧に対する所定の電圧差を形成する電圧を断線検知部120に印加する。そのために、検知電圧生成部130は、断線検知部120の基準電圧生成部129とは異なる大きさの電圧を提供することができるように形成される。
【0063】
例えば、断線検知部120の基準電圧生成部129が
図2に示すように接地の形態に形成されてグランド電圧を提供する場合、検知電圧生成部130は、グランド電圧とは異なる電圧を提供するように形成される。そのために、検知電圧生成部130は、接地132以外に、所定の直流(DC)電圧を断線検知部120に印加する電圧生成部131をさらに備える。以下、検知電圧生成部130から印加される電圧を「VR」という。
【0064】
それに対して、断線検知部120の基準電圧生成部129がグランド電圧でない所定の直流(DC)電圧を印加するように形成される場合、検知電圧生成部130は、接地の形態に形成されてグランド電圧を提供するように形成されてもよいことは言うまでもない。
【0065】
それだけでなく、基準電圧生成部129と検知電圧生成部130がそれぞれグランド電圧より大きい所定の電圧を印加するように形成されてもよい。その場合、基準電圧生成部129と検知電圧生成部130は、異なる直流電圧を印加するように形成される。
【0066】
一方、断線判断部150は、断線検知部120で検知される電圧信号に基づいて、変成部110による回路断線の発生の有無を判断する。そのために、断線判断部150は、
図3に示すように、制御部155と、制御部155に接続される変換部156と、複数の判断部(第1判断部151,第2判断部152,第3判断部153)と、メモリ158とを含む。また、断線判断部150は、回路断線の有無を判断した結果を出力する出力部157をさらに含む。
【0067】
まず、変換部156は、断線検知部120で検知されるアナログ形態の電圧信号を断線判断部150で識別することのできる信号に変換する。例えば、変換部156は、アナログ・デジタルコンバータ(Analog Digital Converter, ADC)である。
【0068】
一方、変換部156は、処理可能な電圧信号の範囲が限定される。よって、断線検知部120は、変換部156で処理可能な範囲内の電圧信号が変換部156に入力されるようにする。例えば、変換部156で処理可能な信号の範囲が0V~3.3Vであれば、基準電圧生成部129と検知電圧生成部130は、回路が正常に接続されている場合と、断線状態の場合とでは、0V~3.3Vの異なる電圧信号が変成部110に入力されるようにする。
【0069】
すなわち、回路が正常に接続されている状態の場合、基準電圧生成部129と検知電圧生成部130は、中心電圧である1.65Vを有する電圧信号が変換部156に入力されるようにする。しかし、回路が断線状態の場合、断線検知部120の基準電圧生成部129と検知電圧生成部130は、前記1.65Vより小さい電圧(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より小さい場合)、又は前記1.65Vより大きい電圧(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より大きい場合)を有する電圧信号が変換部156に入力されるようにする。
【0070】
一方、メモリ158は、断線判断部150の機能をサポートするデータを保存する。より詳細には、メモリ158は、断線判断部150に備えられる第1判断部151、第2判断部152、第3判断部153で起動されるアプリケーションプログラムに関するデータ及びコマンドを保存する。
【0071】
例えば、メモリ158には、第1判断部151の判断のためのデータとして、所定の臨界電圧に関する情報が保存され、第2判断部152の判断のためのデータとして、第2抵抗(R2)126の抵抗、第3抵抗(R3)127の抵抗、分圧抵抗を形成する基準電圧生成部129の電圧、及び設計マージンによる電圧の大きさに関する情報が保存される。また、第3判断部153の判断のためのデータとして、短絡電流、変成部110の起動電流などの事故電流の発生時に検出される最小の交流電流成分、すなわち事故電流信号の大きさに関する情報が保存される。
【0072】
一方、制御部155は、接続される他の構成要素を制御するように形成され、断線判断部150の全般的な動作を制御する。
【0073】
まず、制御部155は、変換部156によりデジタル信号に電圧信号が変換されると、変換された電圧信号からDCオフセット値を取得する。また、第1判断部151を制御し、前述したように取得したDCオフセット値の大きさと所定の臨界電圧の大きさを比較する。
【0074】
前述したように、変成部110による回路断線が発生した状態では、変成部110に接続される回路が正常な場合より、第1接点121に印加される電圧の大きさが小さくなるか(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より小さい場合)、又は大きくなる(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より大きい場合)。よって、前記所定の臨界電圧と、変成部110に接続される回路が正常な場合に検出される電圧信号のDCオフセット値が同じであれば、制御部155は、第1判断部151の比較結果に応じて、変成部110に接続される回路の断線の有無を判断する。
【0075】
一方、第1判断部151の比較結果に応じた断線有無の判断の結果(以下、断線有無の1次判断の結果という)、断線状態と判断されると、制御部155は、前述したように取得したDCオフセット値と前記臨界電圧の差が所定の誤差範囲内であるか否かを判断する。
【0076】
そのために、制御部155は、前述したように取得したDCオフセット値に所定のマージン値を反映する。そして、第2判断部152を制御し、前述したように取得して前記マージン値を反映したDCオフセット値の大きさと前記臨界電圧を再び比較する。
【0077】
そして、第2判断部152の判断の結果、前記マージン値を反映したDCオフセット値の大きさが前記臨界電圧より小さいか(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より小さい場合)、大きければ(基準電圧生成部129の電圧が検知電圧生成部130の電圧より大きい場合)、制御部155は、前記DCオフセット値と前記臨界電圧の差が所定の誤差範囲を逸脱したものと判断する。
【0078】
そうすると、制御部155は、変成部110に接続される回路が断線したものと再度判断する。以下、第2判断部152による断線有無の判断の結果を断線有無の2次判断の結果という。
【0079】
一方、変成部110の起動時に発生する起動電流、又は短絡による短絡電流が発生すると、前記起動電流や短絡電流は交流成分であるが、断線検知部120で検知される直流成分の電圧信号の大きさを変化させる。よって、回路断線が発生していない状態でも、前記起動電流又は短絡電流が発生すると、第1接点121で検出される電圧信号の大きさが所定レベル以上に小さく又は大きくなる。
【0080】
よって、制御部155は、前記断線有無の2次判断の結果、前記回路が断線したものと判断されたときに、前記判断の結果が前記起動電流又は短絡電流の発生によるものであるか否かを判断する。
【0081】
そのために、制御部155は、変換部156で変換された電圧信号からRMS(Root Mean Square)値を算出するなど、交流(AC)成分信号の大きさを検出する。そして、第3判断部153を制御し、検出したAC信号成分の大きさが、所定の事故電流の信号の大きさより大きいか否かを判断する。
【0082】
ここで、事故電流とは、前記短絡電流又は変成部起動電流を意味する。よって、前記所定の事故電流の信号の大きさは、前記短絡電流又は変成部起動電流の発生時に断線検知部120で検出される最小の交流信号成分の大きさに決定される。前記事故電流信号の大きさは、ユーザにより予め設定されるか、又は本発明に関連して行われる多数回の繰り返し実験の結果に基づいて決定される。
【0083】
一方、第3判断部153の判断の結果、前述したように変換された電圧信号から検出した交流信号成分の大きさが前記所定の事故電流信号の大きさより小さいと、制御部155は、前記短絡電流又は起動電流が発生していないものと判断する。よって、制御部155は、現在の回路断線状態が前記短絡電流又は起動電流によるものではないと判断し、変成部110に接続される回路が断線したものと最終判断する。
【0084】
このように、回路が断線したものと最終判断すると、制御部155は、出力部157を制御し、前記回路断線状態を示すアラーム信号をユーザに伝達する。
【0085】
例えば、制御部155は、出力部157から可聴信号又は可視信号でアラーム信号を出力させる。あるいは、制御部155は、出力部157から所定の他の機器、例えばユーザの移動端末機などに前記アラーム信号を送信し、前記移動端末機がアラーム信号を出力するように制御することにより、前記アラーム信号をユーザに伝達する。そのために、出力部157は、前記アラーム信号を送信する通信機能を含む。
【0086】
以下、このような本発明の実施形態による保護継電器10の動作過程について、フローチャート及び複数の例を示す図を参照してより詳細に説明する。また、説明の便宜上、本実施形態は、基準電圧生成部129がグランド電圧を有するように形成され、検知電圧生成部130がグランドより高い電圧を有するように別途の電圧生成部131を有するものと仮定して説明する。
【0087】
図4~
図8は、このような本発明の実施形態による保護継電器10における、断線検知部120で検出される電圧信号に応じて変成部110による回路断線の有無を判断する断線判断部150の動作過程を示す図である。
【0088】
図4は、断線判断部150の動作過程を示すフローチャートであり、
図5は、本発明の実施形態による保護継電器10における、変成部110が正常に接続されている場合に断線検知部120で検出される電圧信号の大きさを示す図である。また、
図6は、本発明の実施形態による保護継電器10における、変成部110が断線した場合に断線検知部120で検出される電圧信号の大きさを示す図である。
【0089】
さらに、
図7は、本発明の実施形態による保護継電器10における、変成部が正常に接続されている場合と断線した場合に断線検知部で検出されるDCオフセット値の差の例を示す図であり、
図8は、変成部から流入する負の電圧を有する変成部起動電流又は短絡電流の例を示す図である。
【0090】
まず、本発明の実施形態による保護継電器10に備えられる断線判断部150の制御部155は、所定の周期で変成部110の断線の有無を判断する
図4の動作過程を繰り返す。ここで、前記所定の周期は、線路から変成部110に入力される信号の周期に対応する周期であり、この場合、保護継電器10の主動作が行われる度に
図4の動作過程が行われる。
【0091】
この場合、保護継電器10の主動作は、保護継電器10に接続される機器によって異なる。例えば、保護継電器10に接続される機器がデジタル継電器であれば、前記主動作は継電動作であり、接続される機器がデジタル計測器であれば、計測動作である。また、接続される機器が電力変換装置であれば、電力変換動作である。
【0092】
図4に示すように、所定の周期が満期になった場合、制御部155は、断線検知部120で電圧信号、すなわち断線検知部120に接続される第1接点121に印加される電圧信号が検出されると、変換部156により電圧信号を変換し、変換した1周期のサンプリングデジタルデータから直流(DC)成分の値、すなわちDCオフセット値を抽出する(S400)。
【0093】
そして、制御部155は、第1判断部151を制御し、抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較し、回路断線の有無を1次判断する(S402)。
【0094】
図5に示すように、変成部110に接続される回路が正常状態のときは、変成部110を介して第3接点123と第1接点121が接続される回路が形成される。よって、
図5に示すように、第3接点123に接続される検知電圧生成部130の基準電圧(VR)が変成部110を介して第1接点121に印加される。
【0095】
この場合、変成部110が正常状態であり、変換部156のインピーダンスが変成部110の線抵抗より非常に大きいので、第1接点(n1)121の電圧は、第3接点(n3)123の電圧と同一である。よって、変成部110に回路が正常に接続されている状態である場合、第3接点123に基準電圧(VR)が印加されると、第3接点(n3)123に印加される電圧と同じ電圧(VR)が第1接点(n1)121に印加される。よって、基準電圧(VR)に相当する電圧信号のDCオフセット値が変換部156を介して抽出される。
【0096】
それに対して、
図6に示すように、変成部110により回路が断線した場合、第1接点121と第3接点123間が接続されない。そうすると、断線判断部150は、ハイインピーダンス状態になるので、第1接点121には、数式1のように、第2接点122と同じ電圧信号が印加される。
【0097】
【0098】
ここで、n1(V)は第1接点121に印加される電圧信号の大きさであり、n2(V)は第2接点122に印加される電圧信号の大きさである。
【0099】
一方、第2接点(n2)122には、第2抵抗(R2)126及び第3抵抗(R3)127からなる分圧抵抗と、検知電圧生成部130から印加される基準電圧(VR)により決定される電圧信号が印加される。数式2は、前記分圧抵抗及び前記基準電圧(VR)に応じて第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさを示す。
【0100】
【0101】
ここで、n2(V)は第2接点122に印加される電圧信号の大きさであり、VRは基準電圧であり、R2は第2抵抗(R2)126の抵抗値であり、R3は第3抵抗(R3)127の抵抗値である。
【0102】
一方、数式2によれば、n2(V)は、1より小さい値と基準電圧(VR)の積に相当する大きさを有するので、常に基準電圧(VR)より小さい値を有する。よって、
図7に示すように、回路の接続が正常状態のときに抽出されるDCオフセット値の大きさ700は、回路の接続が断線状態のときに抽出されるDCオフセット値の大きさ702より常に大きい値を有する。
【0103】
よって、前記臨界電圧が前記基準電圧(VR)である場合、ステップS402において、回路が断線状態であれば、ステップS400で抽出されるDCオフセット値は、前記臨界電圧より小さい。よって、制御部155は、ステップS402の判断の結果、臨界電圧より現在抽出されているDCオフセット値の大きさが小さければ、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと1次判断する。
【0104】
それに対して、ステップS402において、ステップS400で抽出されるDCオフセット値が前記臨界電圧より小さくなければ、制御部155は、回路が断線していない状態であるものと判断する。そして、ステップS402の判断の結果、回路が断線していない状態であるものと判断すると、制御部155は、現在の周期における断線の有無の判断過程を終了する。
【0105】
一方、ステップS402の1次断線判断の結果、変成部110に接続される回路が断線状態であれば、制御部155は、現在抽出されているDCオフセット値に設計マージンによる電圧値を加算する(S404)。ここで、前記設計マージンによる電圧値は、所定の誤差値を含む。ここで、前記誤差値は、計測誤差であってもよく、変換部156の変換過程で発生し得る誤差などを含んでもよい。
【0106】
ステップS404において前記誤差値を含む設計マージンを前記DCオフセット値に加算すると、制御部155は、第2判断部152を制御し、設計マージンを加算した電圧値を前記臨界電圧と再び比較する(S406)。
【0107】
そして、ステップS406の比較の結果、DCオフセット値に設計マージンを加算した電圧値が前記臨界電圧以上であれば、制御部155は、回路が断線していない状態であるものと判断する。そして、ステップS406の判断の結果、回路が断線していない状態であるものと判断すると、制御部155は、現在の周期における断線の有無の判断過程を終了する。
【0108】
しかし、ステップS406の比較の結果、DCオフセット値に設計マージンを加算したにもかかわらず、加算した電圧値が臨界電圧より小さければ、制御部155は、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと再度判断(2次断線判断)する。
【0109】
一方、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと2次判断すると、制御部155は、前記DCオフセット値と前記臨界電圧の差が短絡電流又は変成部110の起動に伴う起動電流によるものであるか否かを判断する。
【0110】
前記短絡電流又は起動電流とは、回路の短絡又は変成部110の起動時に発生し、一時的に通常の変成部110の運転状態の数倍に達する非常に大きな電流を意味する。このような短絡電流又は起動電流は、瞬間的に大きな電流が流れ、その後順次その大きさが減少するパターンを有する。
【0111】
一方、このような短絡電流又は起動電流は、正の電圧を有するだけでなく、
図8に示す電圧グラフ(交流成分810、直流成分820)のように、正常の場合(800)に対して負の値を有する。この場合、前記短絡電流又は起動電流は、非常に大きなエネルギー(負の電圧を有する電圧信号)を有するので、
図8に示すように、検知電圧生成部130から印加されるDC成分、すなわち基準電圧(VR)の値を降下させる。そうすると、第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさが小さくなるので、回路断線が発生していない状態でも、第1接点121で検出される電圧信号の大きさが臨界電圧(VR)より小さくなる。
【0112】
このように短絡電流又は起動電流により回路断線の有無が誤って判断されることを防止するために、本発明の実施形態による保護継電器10の制御部155は、ステップS406の2次断線判断の結果、回路が断線したものと判断すると、変換部156により変換された1周期のサンプリングデジタルデータから交流(AC)成分の大きさをさらに検出する(S408)。例えば、制御部155は、RMSを算出する方法などにより、前記AC成分の大きさを検出する。そして、検出した交流成分の大きさと所定の事故電流信号の大きさを比較する(S410)。
【0113】
一方、ステップS410の比較の結果、検出した交流成分の大きさが所定の事故電流信号の大きさ以上であれば、制御部155は、短絡電流又は変成部110の起動に伴う起動電流が発生したものと判断する。そして、ステップS406の判断(2次断線判断)結果による回路断線状態が前記短絡電流又は起動電流の発生により誤って判断されたものと判断する。
【0114】
すなわち、制御部155は、ステップS410の判断の結果、短絡電流又は起動電流が発生したものと判断すると、前記2次断線判断の結果にかかわらず、回路が正常に接続されている状態であるものと判断する。よって、制御部155は、アラーム信号などの出力を行うことなく、現在の周期における回路断線の有無の判断過程を終了する。
【0115】
それに対して、ステップS410の比較の結果、検出した交流成分の大きさが所定の事故電流信号の大きさ未満であれば、制御部155は、短絡電流又は変成部110の起動に伴う起動電流が発生していないものと判断する。よって、制御部155は、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと最終判断し、回路断線をユーザに伝達するためのアラーム信号を出力する(S412)。
【0116】
前述したように、本発明の実施形態による保護継電器10は、断線検知部120で検知される電圧信号に基づいて、回路が断線したものと判断すると、所定のマージン電圧を用いて前記電圧信号が誤差範囲に含まれるか否かを再度判断する。よって、計測誤差又は設計誤差により回路断線状態が誤って判断されることを事前に防止することができる。
【0117】
それだけでなく、本発明の実施形態による保護継電器10は、断線検知部120で検知される電圧信号に基づいて、回路が断線したものと判断すると、前記電圧信号から検出される交流成分信号の大きさに基づいて、短絡電流又は起動電流の発生の有無を検出することにより、前記電圧信号が前記短絡電流又は起動電流の影響を受けたか否かをさらに判断する。よって、前記短絡電流又は起動電流の影響により回路断線状態が誤って判断されることを事前に防止することができる。
【0118】
一方、上記説明において、変成部110の例として、抵抗分圧方式の変圧器、鉄心コアを用いる変圧器(PT)、鉄心コアを用いる変流器(CT)、ロゴスキーコイルを用いる変流器などが挙げられることについて言及した。
図9~
図12は、前述した各種変成部110が本発明の実施形態による保護継電器10に接続される例を示す図である。
【0119】
まず、
図9は、本発明の実施形態による保護継電器10が変成部110として抵抗分圧方式の変圧器に接続される例を示す図である。
【0120】
図9に示すように、変成部110が抵抗分圧方式の変圧器である場合、電圧変換のための抵抗が変成部110の役割を果たす。よって、断線検知部の第1ノード111及び第2ノード112のいずれか一方は、電圧変換のための抵抗110に接続され、他方のノードは、線路に直接接続される。よって、線路L、Nと抵抗110を介して断線検知部120の回路が形成される。
【0121】
また、
図10は、本発明の実施形態による保護継電器10が変成部110として鉄心コアを用いる変圧器(PT)に接続される例を示す図である。
【0122】
図10に示すように、変成部110が鉄心コアを用いる変圧器(PT)である場合、断線検知部の第1ノード111及び第2ノード112は、それぞれ変圧器(PT)110の両端に接続され、変圧器(PT)110を介して接続される断線検知部120の回路が形成される。
【0123】
また、
図11は、本発明の実施形態による保護継電器10が変成部110として鉄心コアを用いる変流器(CT)に接続される例を示す図である。
【0124】
図11に示すように、変成部110が鉄心コアを用いる変流器(CT)である場合、断線検知部の第1ノード111及び第2ノード112は、それぞれ変流器(CT)110の両端に接続され、変流器(CT)110を介して接続される断線検知部120の回路が形成される。
【0125】
一方、
図12は、本発明の実施形態による保護継電器10が変成部110としてロゴスキーコイルを用いる変流器に接続される例を示す図である。
【0126】
図12に示すように、変成部110がロゴスキーコイルを用いる変流器である場合、断線検知部の第1ノード111及び第2ノード112は、それぞれ前記ロゴスキーコイルの両端に接続され、前記ロゴスキーコイルを介して接続される断線検知部120の回路が形成される。
【0127】
鉄心コアを用いないロゴスキーコイルの場合、磁束の通路として空気を用いるので、一般の変流器のような飽和による出力波形の歪みを心配する必要がない。しかし、出力電圧波形にノイズなどの雑音が多く含まれ、入力電流波形に対して出力電圧波形の位相が90度遅延する現象が生じるという問題がある。また、ロゴスキーコイルを貫通する電力ケーブルの位置、角度などにより出力が変化するという問題がある。
【0128】
上記問題により、ロゴスキーコイルを採用する場合は、前述したように90度遅延する波形を復元することのできる積分回路又は積分プログラムを必要とする。よって、図示していないが、ロゴスキーコイルを採用する場合は、断線検知部120と断線判断部150間に前記積分回路をさらに含む。あるいは、前記積分回路を代替して、断線判断部150に、前述したように遅延する波形を復元するために、所定の積分アルゴリズムによる積分を行う積分部(図示せず)をさらに含む。
【0129】
さらに、雑音を除去するノイズ・フィルタ回路やデジタルフィルタなどを断線判断部150にさらに備えてもよく、ロゴスキーコイルと前記ロゴスキーコイルを貫通するケーブルが一定に保たれる構造を有するように変成部110及び断線検知部120を設計してもよい。この場合、検知される電圧の大きさを調節する必要があれば、断線検知部120は、負担抵抗をさらに含む。
【0130】
一方、上記説明においては、断線検知部120が第1抵抗(R1)125、第2抵抗(R2)126、及び第3抵抗(R3)127により分圧抵抗を形成する回路構造を有するものと仮定して説明したが、第1抵抗125、第2抵抗126、第3抵抗127のいずれかの抵抗が省略されてもよいことは言うまでもない。
【0131】
図13及び
図14は、本発明の実施形態による保護継電器10における、前述したように分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部120の例を示す図である。
【0132】
まず、
図13には、第1抵抗(R1)125が省略されるか、又は第1抵抗(R1)125の抵抗値が0ohmである例を示す。
【0133】
第1抵抗(R1)125は、第2接点(n2)122に印加される電圧が第1接点(n1)121に印加されるのを防止するためのものであり、第2接点(n2)122に過度な電圧が印加される場合に、第1接点(n1)121に接続されて断線判断部150、すなわち変換部156に過度な電圧が印加されるのを防止するためのものである。
【0134】
一方、第1接点(n1)121には、回路が正常に接続されている状態であれば、基準電圧(VR)の信号が印加される。また、回路が断線状態であれば、前記基準電圧(VR)未満の信号が印加される。よって、前記基準電圧(VR)の大きさが適切であれば(変換部156の損傷を誘発するほどに大きくなければ)、第1抵抗(R1)125がなくても、変換部156に過度な電圧が印加される状況は発生しない。よって、
図13に示すように、断線検知部120は、第1抵抗(R1)125が省略された構造を有してもよい。
【0135】
一方、
図14には、第2抵抗(R2)126が省略されるか、又は第2抵抗(R2)126の抵抗値が0ohmである例を示す。
【0136】
図14に示すように、第2抵抗(R2)126が省略されているので、回路が断線状態であれば、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさを算出すると(数式2)、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさは0Vになる。また、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさが0Vであれば、前記回路が断線状態であるので、第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさも0Vになる。
【0137】
それに対して、回路が正常に接続されている状態であれば、前述したように、第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさは、第3接点(n3)123に印加される電圧信号の大きさと同じ大きさである基準電圧(VR)になる。よって、第2抵抗(R2)126が省略されると、変換部156を介して検出される回路正常状態のDCオフセット値と断線状態のDCオフセット値の差は、基準電圧(VR)から0Vへの大きな落差となる。
【0138】
ただし、この場合、変換部156は、前記基準電圧(VR)から0Vの電圧信号の入力が可能でなければならない。すなわち、変換部156の入力信号範囲が前記基準電圧(VR)から0Vの範囲を含む場合、
図14に示すように、断線検知部120は、第2抵抗(R2)126が省略される構造を有してもよい。
【0139】
一方、上記説明においては、基準電圧生成部129がグランド電圧を有する場合を例に挙げて説明した。しかし、基準電圧生成部129がグランドより高い電圧を有するように、別途の電圧生成部1500をさらに有するように形成されてもよいことは言うまでもない。
【0140】
図15は、本発明の実施形態による保護継電器10における、前述したようにグランド電圧を代替して所定の電圧を印加する別途の電圧生成部を基準電圧生成部129がさらに含む構造を有する断線検知部120の例を示す回路図である。
【0141】
図15に示すように、基準電圧生成部129がグランドより高い電圧を有するように、別途の電圧生成部1500をさらに含む場合、基準電圧生成部129で形成される基準電圧は、別途に接続される電圧生成部1500により決定される。よって、以下の説明において、基準電圧生成部129の電圧は、付加された電圧生成部1500の電圧(VS)であると仮定する。
【0142】
以下、前記基準電圧生成部の電圧(VS)と検知電圧生成部130から印加される電圧(VR)を区分するために、検知電圧生成部130から印加される電圧(VR)を第1基準電圧といい、前記基準電圧生成部の電圧(VS)を第2基準電圧という。
【0143】
一方、
図15に示す構造を有する断線検知部120においては、回路の接続状態が正常であれば、断線判断部150に接続される第1接点(n1)121には、第3接点(n3)123に印加される電圧信号と同じ電圧信号が印加される。よって、第1接点(n1)121には、数式3のように、第1基準電圧(VR)を有する電圧信号が印加される。
【0144】
【0145】
ここで、n1(V)は第1接点121に印加される電圧信号の大きさであり、n3(V)は第3接点123に印加される電圧信号の大きさであり、VRは第1基準電圧である。
【0146】
それに対して、変成部110による回路断線が発生すると、断線判断部150に接続される第1接点(n1)121には、第2接点(n2)122に印加される電圧信号と同じ電圧信号が印加される。よって、第2基準電圧(VS)と第1基準電圧(VR)の電圧差が第2抵抗(R2)126と第3抵抗(R3)127により分配される電圧を有する電圧信号が第2接点(n2)122に印加される。
【0147】
この場合、前記第2基準電圧(VS)が前記第1基準電圧(VR)より小さい値を有すれば、第2基準電圧(VS)と第1基準電圧(VR)の電圧差が第2抵抗(R2)126と第3抵抗(R3)127により分配される電圧を有する電圧信号が第2接点(n2)122に印加される。数式4は、このように第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさを示す。
【0148】
【0149】
ここで、n2(V)は第2接点122に印加される電圧信号の大きさであり、VRは第1基準電圧であり、VSは第2基準電圧であり、R2は第2抵抗(R2)126の抵抗値であり、R3は第3抵抗(R3)127の抵抗値である。
【0150】
よって、数式4に示すように、回路断線が発生したときに第1接点(n1)121で検知される電圧信号から抽出されるDCオフセット値(電圧)は、回路が正常なときに第1接点(n1)121から検知される電圧信号(VR)から抽出されるDCオフセット値より小さくなる。
【0151】
一方、前記第2基準電圧(VS)が前記第1基準電圧(VR)より大きい値を有すれば、第2接点(n2)122に印加される電圧信号は、数式5に示すように、前記第1基準電圧(VR)より大きい電圧を有する。
【0152】
【0153】
ここで、n2(V)は第2接点122に印加される電圧信号の大きさであり、VRは第1基準電圧であり、VSは第2基準電圧であり、R2は第2抵抗(R2)126の抵抗値であり、R3は第3抵抗(R3)127の抵抗値である。
【0154】
すなわち、第1基準電圧(VR)より大きい電圧(VS)を有する電源が基準電圧生成部129に接続される場合、回路断線が発生したときに第1接点(n1)121で検知される電圧信号から抽出されるDCオフセット値は、回路が正常なときに第1接点(n1)121から検知される電圧信号(VR)から抽出されるDCオフセット値より大きくなる。
【0155】
よって、制御部155は、断線検知部120から検知される電圧信号から抽出されるDCオフセット値が臨界電圧(VR)より小さい値を有すれば回路が断線したものと判断するのではなく、前記DCオフセット値が臨界電圧(VR)より大きい値を有すれば回路が断線したものと判断する。
【0156】
図16は、このように、本発明の実施形態による保護継電器10における、断線検知部120で検出される電圧信号に応じて変成部110の断線の有無を判断する断線判断部150の動作過程を示すフローチャートである。以下の説明においては、前記第2基準電圧(VS)が前記第1基準電圧(VR)より大きい値を有するものと仮定して説明する。
【0157】
図16に示すように、所定の周期が満期になった場合、制御部155は、断線検知部120で電圧信号、すなわち断線検知部120に接続される第1接点121に印加される電圧信号が検知されると、変換部156により変換した1周期のサンプリングデジタルデータから直流(DC)成分の値、すなわちDCオフセット値を抽出する(S1600)。
【0158】
そして、制御部155は、第1判断部151を制御し、抽出した前記DCオフセット値と所定の臨界電圧を比較し、回路断線の有無を1次判断する(S1602)。
【0159】
前述したように、変成部110に接続される回路が正常状態のときは、変成部110を介して第3接点123と第1接点121が接続される回路が形成される。よって、第3接点123に接続される検知電圧生成部130の基準電圧(VR)が変成部110を介して第1接点121に印加される。よって、前記基準電圧(VR)に相当する電圧信号のDCオフセット値が変換部156を介して抽出される。
【0160】
それに対して、変成部110により回路が断線した場合、第1接点121と第3接点121間が接続されない。そうすると、第1接点121には、数式3のように、第2接点122と同じ電圧信号が印加される。
【0161】
一方、第2基準電圧(VS)と第1基準電圧(VR)の電圧差が第2抵抗(R2)126と第3抵抗(R3)127により分配される電圧を有する電圧信号が第2接点(n2)122に印加される。この場合、前述したように、第2基準電圧(VS)が第1基準電圧(VR)より大きい値を有するので、数式5のように、第2基準電圧(VS)と第1基準電圧(VR)の電圧差と、第2抵抗(R2)126と第3抵抗(R3)127により第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさが算出される。
【0162】
また、この場合、第2基準電圧(VS)が第1基準電圧(VR)より大きい値を有するので、第2接点(n2)122には、前記第1基準電圧(VR)より大きい電圧を有する電圧信号が印加される。よって、回路の接続が正常状態のときに抽出されるDCオフセット値の大きさより、回路の接続が断線状態のときに抽出されるDCオフセット値の大きさの方が大きい値を有する。
【0163】
よって、前記臨界電圧が前記第1基準電圧(VR)である場合、ステップS1602において、回路が断線状態であれば、ステップS1600で抽出されるDCオフセット値は前記臨界電圧(第1基準電圧(VR))より大きい値を有する。よって、制御部155は、ステップS1602の判断の結果、臨界電圧より現在抽出されているDCオフセット値の大きさが大きければ、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと1次判断する。
【0164】
それに対して、ステップS1602において、ステップS1600で抽出されるDCオフセット値が前記臨界電圧より大きくなければ、制御部155は、回路が断線していない状態であるものと判断する。そして、ステップS1602の判断の結果、回路が断線していない状態であるものと判断すると、制御部155は、現在の周期における断線の有無の判断過程を終了する。
【0165】
一方、ステップS1602の1次断線判断の結果、変成部110に接続される回路が断線状態であれば、制御部155は、現在抽出されているDCオフセット値から設計マージンによる電圧値を減算する(S1604)。ここで、前記設計マージンによる電圧値は、所定の誤差値を含む。ここで、前記誤差値は、計測誤差であってもよく、変換部156の変換過程で発生し得る誤差などを含んでもよい。
【0166】
ステップS1604において前記誤差値を含む設計マージンを前記DCオフセット値から減算すると、制御部155は、第2判断部152を制御し、設計マージンを減算した電圧値を前記臨界電圧と再び比較する(S1606)。
【0167】
そして、ステップS1606の比較の結果、DCオフセット値から前記設計マージンを減算した電圧値が前記臨界電圧より大きくなければ、制御部155は、回路が断線していない状態であるものと判断する。そして、ステップS1606の判断の結果、回路が断線していない状態であるものと判断すると、制御部155は、現在の周期における断線の有無の判断過程を終了する。
【0168】
しかし、ステップS1606の比較の結果、DCオフセット値から設計マージンを減算したにもかかわらず、減算した電圧値が前記臨界電圧より大きければ、制御部155は、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと再度判断(2次断線判断)する。
【0169】
一方、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと2次判断すると、制御部155は、変換部156により変換された1周期のサンプリングデジタルデータから交流(AC)成分の大きさをさらに検出する(S1608)。そして、検出した交流成分の大きさと所定の事故電流信号の大きさを比較する(S1610)。
【0170】
一方、ステップS1610の比較の結果、検出した交流成分の大きさが所定の事故電流信号の大きさ以上であれば、制御部155は、短絡電流又は変成部110の起動に伴う起動電流が発生したものと判断する。そして、ステップS1606の判断(2次断線判断)結果による回路断線状態が前記短絡電流又は起動電流の発生により誤って判断されたものと判断する。
【0171】
すなわち、制御部155は、ステップS1610の判断の結果、短絡電流又は起動電流が発生したものと判断すると、前記2次断線判断の結果にかかわらず、回路が正常に接続されている状態であるものと判断する。よって、アラーム信号などの出力を行うことなく、現在の周期における回路断線の有無の判断過程を終了する。
【0172】
それに対して、ステップS1610の比較の結果、検出した交流成分の大きさが所定の事故電流信号の大きさ未満であれば、制御部155は、短絡電流又は変成部110の起動に伴う起動電流が発生していないものと判断する。よって、制御部155は、現在変成部110に接続されている回路が断線したものと最終判断し、回路断線をユーザに伝達するためのアラーム信号を出力する(S1612)。
【0173】
一方、
図16の動作過程は、所定の周期で繰り返される。ここで、前記所定の周期は、線路から変成部110に入力される信号の周期に対応する周期であり、この場合、保護継電器10の主動作が行われる度に
図16の動作過程が行われる。この場合、保護継電器10の主動作は、保護継電器10に接続される機器によって異なる。例えば、保護継電器10に接続される機器がデジタル継電器であれば、前記主動作は継電動作であり、接続される機器がデジタル計測器であれば、計測動作である。また、接続される機器が電力変換装置であれば、電力変換動作である。
【0174】
一方、
図17及び
図18は、
図15の構造を有する保護継電器10における、分圧抵抗を構成する抵抗のいずれかが省略された構造を有する断線検知部120の回路構造の例を示す図である。
【0175】
まず、
図17には、第1抵抗(R1)125が省略されるか、又は第1抵抗(R1)125の抵抗値が0ohmである例を示す。
【0176】
第1抵抗(R1)125は、第2接点(n2)122に印加される電圧が第1接点(n1)121に印加されるのを防止するためのものであり、第2接点(n2)122に過度な電圧が印加される場合に、第1接点(n1)121に接続されて断線判断部150、すなわち変換部156に過度な電圧が印加されるのを防止するためのものである。
【0177】
一方、
図15において、第1基準電圧(VS)と第2基準電圧(VR)の電圧差が第2抵抗(R2)126と第3抵抗(R3)127により分配されて印加される。また、第1基準電圧(VS)が第2基準電圧(VR)より小さければ、回路断線のときに第1基準電圧(VR)の電圧より小さい電圧を有する信号が第1接点(n1)121に印加されるので、第1接点(n1)121に印加される最大電圧は、第1基準電圧(VR)に相当する。よって、前記第1基準電圧(VR)の大きさが適切であれば、断線検知部120は、第1抵抗(R1)125を省略した構造を有してもよい。
【0178】
それに対して、第1基準電圧(VS)が第2基準電圧(VR)より大きければ、回路断線のときに第1基準電圧(VR)の電圧より大きい電圧を有する信号が第1接点(n1)121に印加される。よって、
図17に示すように第1抵抗(R1)125が省略された構造を有するためには、第1基準電圧(VR)だけでなく、第2基準電圧(VS)も、適切な大きさ、すなわち変換部156に損傷を与えない大きさの電圧でなければならない。
【0179】
一方、
図18には、
図15の断線検知部120の回路において、第2抵抗(R2)126が省略されるか、又は第2抵抗(R2)126の抵抗値が0ohmである例を示す。
【0180】
図18に示すように、第2抵抗(R2)126が省略されているので、回路が断線状態であれば、数式4又は5により、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさを算出すると、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさは0Vになる。また、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさが0Vであれば、前記回路が断線状態であるので、第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさも0Vになる。
【0181】
それに対して、回路が正常に接続されている状態であれば、前述したように、第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさは、第1基準電圧(VR)になる。よって、第2抵抗(R2)126が省略されると、変換部156を介して検出される回路正常状態のDCオフセット値と断線状態のDCオフセット値の差は、第1基準電圧(VR)から0Vへの大きな落差となる。
【0182】
ただし、この場合、変換部156は、前記第1基準電圧(VR)から0Vの電圧信号の入力が可能でなければならない。すなわち、変換部156の入力信号範囲が前記第1基準電圧(VR)から0Vの範囲を含む場合、
図18に示すように、第2基準電圧(VS)を有する断線検知部120は、第2抵抗(R2)126が省略される構造を有してもよい。
【0183】
一方、
図19は、本発明の実施形態による保護継電器10における、所定の電圧を代替してグランド電圧を第1基準電圧に印加する構造を有する検知電圧生成部130の構造を示す回路図である。
【0184】
図19に示すように、検知電圧生成部130がグランド電圧を第1基準電圧として印加する場合、基準電圧生成部129は、グランド電圧とは異なる第2基準電圧を提供するための別途の電圧生成部1500をさらに含まなければならない。この場合、検知電圧生成部130から印加される第1基準電圧(VR)はグランド電圧(0V)であり、電圧生成部1500から印加される電圧(VS)が第2基準電圧となる。
【0185】
この場合、回路が正常に接続されている状態であれば、第1接点(n1)121には、第3接点(n3)123に印加される電圧信号の大きさと同じ大きさの電圧信号が印加される。この場合、第3接点(n3)123には前記第1基準電圧、すなわちグランド電圧の信号が印加されるので、第1接点(n1)121にもグランド電圧、すなわち0Vの電圧信号が印加される。
【0186】
それに対して、第2基準電圧(VS)が第1基準電圧(VR)より大きい値を有するので、変成部110により回路が断線したときに第1接点(n1)121に印加される電圧信号の大きさは、数式4及び5のように、第2接点(n2)122に印加される電圧信号の大きさに応じて決定される。よって、回路が断線すると、第1接点(n1)121には、第1基準電圧、すなわちグランド電圧より大きい電圧を有する電圧信号が印加される。
【0187】
よって、断線判断部150の制御部155は、断線検知部120から検知される第1接点(n1)121の電圧信号から変換部156により取得したDCオフセット値がグランド電圧より大きいか否かにより、回路断線の有無を1次判断する。そして、前記1次断線判断の結果に応じて、設計マージンを反映して断線の有無を2次判断し、前記2次断線判断の結果に応じて、第1接点(n1)121の電圧信号から変換部156により取得したAC成分の大きさに基づいて、回路断線の有無を最終判断する。
【0188】
一方、前述した本発明の説明においては具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変形を行うことができる。特に、上記説明においては、第2抵抗(R2)126及び第3抵抗(R3)127のいずれかの抵抗がないか、別途の基準電圧が印加されるようにする様々な実施形態について言及したが、本発明がこれらの実施形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で上記説明において言及していない様々な変形及び応用が可能であろう。
【0189】
例えば、第1判断部151及び第2判断部152は、それぞれ変換部156により取得したDCオフセット値と前記DCオフセット値に設計マージンを反映した値を所定の臨界電圧と比較する判断部である。しかし、この場合、第2判断部152を代替して制御部150が所定の臨界電圧に前記設計マージンを反映した値を算出してもよいことは言うまでもない。
【0190】
よって、第1判断部151及び第2判断部152は、制御部155により指定される値(変換部156により取得したDCオフセット値、又は取得したDCオフセット値に設計マージンを反映した値)を所定の臨界電圧と比較する1つの判断部に統合されてもよいことは言うまでもない。この場合、前述したように統合される1つの判断部は、制御部155の制御により、順次変換部156により取得したDCオフセット値と前記DCオフセット値に設計マージンを反映した値を所定の臨界電圧と比較し、前述した1次断線有無判断及び2次断線有無判断を行う。
【0191】
前述した本発明は、プログラム記録媒体にコンピュータ可読コードで実現することができる。コンピュータ可読媒体には、コンピュータシステムにより読み取り可能なデータが記録されるあらゆる種類の記憶装置が含まれる。コンピュータ可読媒体には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などが含まれ、かつ搬送波(例えば、インターネットによる送信)状に実現されるものも含まれる。さらに、前記コンピュータは、断線判断部150の制御部155を含んでもよい。
【0192】
よって、前述した詳細な説明はあらゆる面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本発明の範囲は請求の範囲の合理的解釈により定められるべきであり、本発明の等価的範囲内でのあらゆる変更が本発明に含まれる。