(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】フレアの排出量監視システム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20240111BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20240111BHJP
F23G 7/08 20060101ALI20240111BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240111BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G7/06 B
F23G7/08 Z
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2022566608
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021034001
(87)【国際公開番号】W WO2021242729
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520327227
【氏名又は名称】ベイカー ヒューズ オイルフィールド オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baker Hughes Oilfield Operations, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】タオ、チョン
(72)【発明者】
【氏名】ウェリング、アニルッダ
(72)【発明者】
【氏名】スイ、レイ
(72)【発明者】
【氏名】コワル、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、マイケル
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065888(JP,A)
【文献】特開2013-224799(JP,A)
【文献】特開2015-206559(JP,A)
【文献】特開昭60-218525(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105910117(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0195364(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0242575(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0209853(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0204910(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 1/00 - 7/14
F23N 1/00 - 5/26
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出量を監視する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、工業プロセスから排出されたフレアガスの第1の真発熱量(NHV)を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、少なくとも前記フレアガスを含む燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHV
CZ)を決定することであって、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記第1の真発熱量(NHV)及び前記フレアガスの体積流量に基づいて決定される、ことと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)を所定の基準と比較することと、
前記第2の真発熱量(NHV
CZ)が前記所定の基準を満たすと決定される場合、前記燃焼ガスの第1の燃焼効率の推定値を生成するように構成された経験的モデルを選択することと、
前記第2の真発熱量(NHV
CZ)が前記所定の基準を満たさない場合、前記燃焼
ガスの第2の燃焼効率の推定値を生成するように構成されたノンパラメトリック機械学習モデルを選択することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、選択された前記モデルに対応する前記第1の燃焼効率
の推定値又は前記第2の燃焼効率
の推定値を出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1の燃焼効率
の推定値又は前記第2の燃焼効率
の推定値のうちの出力した前記燃焼効率
の推定値に基づいて前記燃焼ガスの全排出量を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の真発熱量(NHV)を決定することは、データ記憶デバイスから前記第1の真発熱量を受信することを含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の真発熱量(NHV)を決定することは、
燃焼前に、前記フレアガス中の音速、前記フレアガスの圧力、及び前記フレアガスの温度を測定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記フレアガス中の測定した前記音速、前記フレアガスの前記圧力、及び前記フレアガスの前記温度に基づいて、前記フレアガスの分子量を決定することと、を含む、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記フレアガス中の前記音速は、超音波流量計によって測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
マルチスペクトル撮像システムによって、前記燃焼ガスの吸収/排出スペクトルを測定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、測定した前記スペクトルに基づいて、前記燃焼ガスの第3の燃焼効率の推定値を決定することと、を更に含む、請求項1
から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
出力した前記燃焼効率
の推定値が前記第3の燃焼効率の推定値にほぼ等しくなるように、選択した前記モデルを調整することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記燃焼ガスは、補助燃料ガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記補助燃料ガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項1
から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記燃焼ガスは、少なくとも1つのアシストガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記アシストガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項1
から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記燃焼ガスは、補助燃料ガス及び少なくとも1つのアシストガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記補助燃料ガスの体積流量及び前記少なくとも1つのアシストガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項1
から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記工業プロセスから排出された前記フレアガスが導管に受容されるように構成され、前記導管は、フレアスタックの一部分である、請求項1
から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1の燃焼効率の推定値又は前記第2の燃焼効率の推定値を受信することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、受信した前記燃焼効率の推定値に基づいて、前記フレアガスの流れに対する第1の設定点を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記フレアガスの第1の体積流量を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記第1の体積流量と前記第1の設定点との間の第1の差を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、決定した前記第1の差が所定の第1の許容差より大きい場合に1つ以上の第1のコマンド信号を出力することであって、前記1つ以上の第1のコマンド信号は、流量調整器によって受信されると、前記流量調整器を、決定した前記第1の差を低減する方法で作動させるように構成される、ことと、を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記燃焼ガスは、少なくとも1つの補助燃料ガスを更に含み、前記1つ以上のプロセッサは、
受信した前記燃焼効率の推定値に基づいて、前記少なくとも1つの補助燃料ガス、又は前記フレアガス及び前記補助燃料ガスを含むベントガスの流れに対する第2の設定点を決定することと、
前記少なくとも1つの補助燃料ガス又は前記ベントガスの第2の体積流量を決定することと、
前記第2の体積流量と前記第2の設定点との間の第2の差を決定することと、
決定した前記第2の差が第2の所定の許容差より大きい場合に1つ以上の第2のコマンド信号を出力することであって、前記1つ以上の第2のコマンド信号は、対応する流量調整器によって受信されると、前記流量調整器を、決定した前記第2の差を低減する方法で作動させるように構成されている、ことと、を行うように更に構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記燃焼ガスは、少なくとも1つのアシストガスを更に含み、前記1つ以上のプロセッサは、
受信した前記燃焼効率の推定値に基づいて、前記少なくとも1つのアシストガスの流れに対する第3の設定点を決定することと、
前記少なくとも1つのアシストガスの第3の体積流量を決定することと、
前記第3の体積流量と前記第3の設定点との間の第3の差を決定することと、
決定した前記第3の差が第3の所定の許容差より大きい場合に1つ以上の第3のコマンド信号を出力することであって、前記1つ以上の第3のコマンド信号は、対応する流量調整器によって受信されると、前記流量調整器を、決定した前記第3の差を低減する方法で作動させるように構成されている、ことと、を行うように更に構成されている、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
排出量を監視するためのシステムであって、
1つ以上のプロセッサであって、
工業プロセスから排出されたフレアガスの第1の真発熱量(NHV)を決定することと、
前記フレアガスを含む燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHV
CZ)を決定することであって、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記第1の真発熱量(NHV)及び前記フレアガスの体積流量に基づいて決定される、ことと、
前記第2の真発熱量(NHV
CZ)を所定の基準と比較することと、
前記第2の真発熱量(NHV
CZ)が前記所定の基準を満たす場合、前記燃焼ガスの第1の燃焼効率の推定値を生成するように構成された経験的モデルを選択することと、
前記第2の真発熱量(NHV
CZ)が前記所定の基準を満たさない場合、前記燃焼ガスの第2の燃焼効率の推定値を生成するように構成されたノンパラメトリック機械学習モデルを選択することと、
選択した前記モデルに対応する前記第1の燃焼効率
の推定値又は前記第2の燃焼効率
の推定値のうちの選択した前記燃焼効率
の推定値を出力することと、を行うように構成された、1つ以上のプロセッサを備える、システム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサは、前記第1の燃焼効率
の推定値又は前記第2の燃焼効率
の推定値のうちの出力した前記燃焼効率
の推定値に基づいて前記燃焼ガスの全排出量を決定するように更に構成されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサと通信するデータ記憶デバイスを更に備え、前記1つ以上のプロセッサは、前記データ記憶デバイスから前記第1の真発熱量を受信することによって前記第1の真発熱量(NHV)を決定するように更に構成されている、請求項
15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
燃焼前の前記フレアガス中の音速、燃焼前の前記フレアガスの圧力、及び燃焼前の前記フレアガスの温度を受信することと、
前記フレアガス中の測定した前記音速、前記フレアガスの前記圧力、及び前記フレアガスの前記温度に基づいて、前記フレアガスの分子量を決定することと、を行うように更に構成されている、請求項
15又は16に記載のシステム。
【請求項19】
燃焼前に前記フレアガスの前記音速及び前記フレアガスの前記
体積流量を測定するように構成された流量計と、
前記フレアガスの前記温度を測定するように構成された温度センサと、
前記フレアガスの前記圧力を測定するように構成された圧力センサと、を更に備える、請求項
18に記載のシステム。
【請求項20】
前記流量計は、超音波流量計である、請求項
19に記載のシステム。
【請求項21】
前記燃焼ガスのスペクトルを測定するように構成されたマルチスペクトル撮像システムを更に備え、前記1つ以上のプロセッサは、測定した前記スペクトルに基づいて前記燃焼ガスの第3の燃焼効率の推定値を決定するように更に構成されている、請求項
15から20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のプロセッサは、出力した前記燃焼効率
の推定値が前記第3の燃焼効率の推定値にほぼ等しくなるように、選択した前記モデルを調整するように更に構成されている、請求項
21に記載のシステム。
【請求項23】
前記燃焼
ガスは、補助燃料ガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記補助燃料ガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項
15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記燃焼ガスは、少なくとも1
つのアシストガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記アシストガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項
15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記燃焼ガスは、補助燃料ガス及び少なくとも1つのアシストガスを更に含み、前記第2の真発熱量(NHV
CZ)は、前記補助燃料ガス及び前記少なくとも1つのアシストガスの体積流量に基づいて更に決定される、請求項1
5から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記工業プロセスから排出された前記フレアガスを受容するように構成された導管を備え、前記導管は、フレアスタックの一部分である、請求項1
5から25のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年5月29日に出願された「Emission Monitoring Of Flare Systems」と題する米国特許仮出願第63/032,169号の利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
フレアリングは、工業プロセスにおけるガスを燃焼させるプロセスである。場合によっては、フレアリングは、不要なプロセスガス(例えば、原油抽出から生じる過剰な炭化水素ガス)を廃棄するために用いられ得る。他の場合には、フレアリングは、安全性及び/又はメンテナンスのために実行され得る。いずれの場合も、フレアリングは、揮発性有機化合物(VOC)及び/又はメタン(CH4)などの温室効果ガスなどの汚染物質の排出をもたらす。規制要件を遵守し、かつ/又はフレア動作を最適化するために、フレア排出量を監視することが一般的である。
【発明の概要】
【0003】
フレアの排出量監視システムのために様々な技術が開発されている。一態様では、静的フレア排出モデリングは、フレアなどの燃焼源の設計モデルを用いて、どれだけの汚染ガスがフレアリングから放出されるかを決定する。AP-42方法は一例であり、排出係数(EF)は、燃焼されるガスの流れに基づいて、大気中に放出された汚染物質の量を関係付ける代表値として決定される。静的フレア設計モデルが一般に用いられるが、これらのモデルは、静的入力のみに依存し、例えば、横風速度などの環境条件の変化、又はフレアガス組成、フレアガス圧力、若しくはフレアガス温度などのプロセス条件の変化を考慮しない。これらの変化は、静的フレア設計モデルの出力に大きい、かつ望ましくない誤差をもたらし得る。
【0004】
別の態様では、フレア排出量監視にマルチスペクトル撮像が用いられ得る。一般に、ベントガス及び/又はその燃焼生成物は、検出され得る周波数の固有の組み合わせ(固有のスペクトル)で光を吸収する。マルチスペクトル撮像は、電磁スペクトル内の多くの狭いスペクトル帯域(例えば、可視、近赤外、中赤外など)にわたって裸火の写真を取得する技術である。画像内のそれぞれの画素は、フレア内で燃焼した成分の吸収スペクトルを測定し、これらの成分を識別するために、放射測定モデルを使用して分析される。しかしながら、マルチスペクトル撮像は、排出量の直接測定を提供し得るが、マルチスペクトルカメラは、比較的複雑かつ高価であり得、一般的には用いられない。
【0005】
一般に、フレアスタックで燃焼されたフレアガスの燃焼効率をオンラインで監視するためのシステム及び方法が提供される。
【0006】
一実施形態では、排出量を監視する方法が提供され、この方法は、1つ以上のプロセッサによって、工業プロセスから排出されたフレアガスの第1の真発熱量(net heating value、NHV)を決定することを含み得る。この方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、少なくともフレアガスを含む燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)を決定することを含み得る。第2の真発熱量(NHVCZ)は、第1の真発熱量(NHV)及びフレアガスの体積流量に基づいて決定され得る。この方法は、1つ以上のプロセッサによって、第2の真発熱量(NHVCZ)を所定の基準と比較することを更に含み得る。加えて、この方法は、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たすと決定される場合に、燃焼ガスの第1の燃焼効率の推定値を生成するように構成された経験的モデルを選択することを含み得る。この方法は、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たさない場合に、燃焼混合物の第2の燃焼効率の推定値を生成するように構成されたノンパラメトリック機械学習モデルを選択することを更に含み得る。加えて、この方法は、1つ以上のプロセッサによって、選択されたモデルに対応する第1の燃焼効率推定値又は第2の燃焼効率推定値を出力することを含み得る。
【0007】
別の実施形態では、この方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、第1の燃焼効率推定値又は第2の燃焼効率推定値のうちの出力された燃焼効率推定値に基づいて燃焼ガスの全排出量を決定することを含み得る。
【0008】
別の実施形態では、第1の真発熱量(NHV)を決定することは、データ記憶デバイスから第1の真発熱量を受信することを含み得る。
【0009】
別の実施形態では、第1の真発熱量(NHV)を決定することは、燃焼前に、フレアガス中の音速、フレアガスの圧力、及びフレアガスの温度を測定することと、1つ以上のプロセッサによって、フレアガス中の測定された音速、フレアガスの圧力、及びフレアガスの温度に基づいて、フレアガスの分子量を決定することと、を含み得る。
【0010】
別の実施形態では、フレアガス中の音速は、超音波流量計によって測定され得る。
【0011】
別の実施形態では、この方法はまた、マルチスペクトル撮像システムによって、燃焼ガスの吸収/排出スペクトルを測定することと、1つ以上のプロセッサによって、測定されたスペクトルに基づいて燃焼ガスの第3の燃焼効率の推定値を決定することと、を含み得る。
【0012】
別の実施形態では、この方法はまた、出力された燃焼効率推定値が第3の燃焼効率の推定値にほぼ等しくなるように、選択されたモデルを調整することを含み得る。
【0013】
別の実施形態では、燃焼ガスはまた、補助燃料ガスを含み得、第2の真発熱量(NHVCZ)は、補助燃料ガスの体積流量に基づいて更に決定され得る。
【0014】
別の実施形態では、燃焼ガスはまた、少なくとも1つのアシストガスを含み得、第2の真発熱量(NHVCZ)は更に、アシストガスの体積流量に基づいて決定され得る。
【0015】
別の実施形態では、燃焼ガスはまた、補助燃料ガス及び少なくとも1つのアシストガスを含み得、第2の真発熱量(NHVCZ)は、補助燃料ガスの体積流量及び少なくとも1つのアシストガスの体積流量に基づいて更に決定され得る。
【0016】
別の実施形態では、導管は、フレアスタックの一部分であり得る。
【0017】
一実施形態では、排出量を監視するためのシステムが提供される。システムは、1つ以上のプロセッサを含み得る。1つ以上のプロセッサは、工業プロセスから排出されたフレアガスの第1の真発熱量(NHV)を決定するように構成され得る。1つ以上のプロセッサはまた、フレアガスを含む燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)を決定するように構成され得る。第2の真発熱量(NHVCZ)は、第1の真発熱量(NHV)及びフレアガスの体積流量に基づいて決定され得る。1つ以上のプロセッサは、第2の真発熱量(NHVCZ)を所定の基準と比較するように更に構成され得る。加えて、1つ以上のプロセッサは、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たす場合に、燃焼ガスの第1の燃焼効率の推定値を生成するように構成された経験的モデルを選択するように構成され得る。1つ以上のプロセッサはまた、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たさない場合に、燃焼ガスの第2の燃焼効率の推定値を生成するように構成されたノンパラメトリック機械学習モデルを選択するように構成され得る。加えて、1つ以上のプロセッサは、選択したモデルに対応する第1の燃焼効率推定値又は第2の燃焼効率推定値のうちの選択された燃焼効率推定値を出力するように構成され得る。
【0018】
別の実施形態では、1つ以上のプロセッサは、第1の燃焼効率推定値又は第2の燃焼効率推定値のうちの出力された燃焼効率推定値に基づいて、燃焼ガス(例えば、未燃焼の又は部分的に燃焼された燃焼ガス)の全排出量を決定するように更に構成される。
【0019】
別の実施形態では、システムはまた、1つ以上のプロセッサと通信するデータ記憶デバイスを含み得る。1つ以上のプロセッサは、データ記憶デバイスから第1の真発熱量を受信することによって、第1の真発熱量(NHV)を決定するように更に構成され得る。
【0020】
別の実施形態では、1つ以上のプロセッサはまた、燃焼前のフレアガス中の音速、燃焼前のフレアガスの圧力、及び燃焼前のフレアガスの温度を受信し、フレアガス中の測定された音速、フレアガスの圧力、及びフレアガスの温度に基づいてフレアガスの分子量を決定するように構成され得る。
【0021】
別の実施形態では、システムはまた、燃焼前にフレアガス中の音速及びフレアガスの流量を測定するように構成された流量計と、フレアガスの温度を測定するように構成された温度センサと、フレアガスの圧力を測定するように構成された圧力センサと、を含み得る。
【0022】
別の実施形態では、流量計は、超音波流量計であり得る。
【0023】
別の実施形態では、システムは、燃焼ガスの吸収/排出スペクトルを測定するように構成されたマルチスペクトル撮像システムを更に含み得る。1つ以上のプロセッサは、測定されたスペクトルに基づいて燃焼ガスの第3の燃焼効率の推定値を決定するように更に構成され得る。
【0024】
別の実施形態では、1つ以上のプロセッサは、出力された燃焼効率推定値が第3の燃焼効率の推定値にほぼ等しくなるように、選択したモデルを調整するように更に構成され得る。
【0025】
別の実施形態では、燃焼ガスは、補助燃料ガスを更に含み得、1つ以上のプロセッサは、補助燃料ガスの体積流量に基づいて第2の真発熱量(NHVCZ)を決定するように構成され得る。
【0026】
別の実施形態では、燃焼ガスは、少なくとも1つのアシストガスを更に含み得、1つ以上のプロセッサは、アシストガスの体積流量に基づいて第2の真発熱量(NHVCZ)を決定するように構成され得る。
【0027】
別の実施形態では、燃焼ガスは、補助燃料ガス及び少なくとも1つのアシストガスを更に含み得、1つ以上のプロセッサは、補助燃料ガスの体積流量及びアシストガスの体積流量に基づいて第2の真発熱量(NHVCZ)を決定するように構成され得る。
【0028】
別の実施形態では、導管は、フレアスタックの一部分であり得る。
【0029】
一実施形態では、フレア制御の方法が提供される。この方法は、1つ以上のプロセッサによって、フレアリング動作中に燃焼ゾーン内でフレアされた燃焼ガスに対して決定された燃焼効率(combustion efficiency、CE)推定値を受信することを含み得る。燃焼ガスは、少なくとも、工業プロセスから排出されたフレアガスを含み得る。この方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、受信したCE推定値に基づいて、フレアガスの流れに対する第1の設定点を決定することを含み得る。この方法は、1つ以上のプロセッサによって、フレアガスの第1の体積流量を決定することを更に含み得る。加えて、この方法は、1つ以上のプロセッサによって、第1の体積流量と第1の設定点との間の第1の偏差を決定することを含み得る。この方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、決定した第1の偏差が所定の第1の許容差より大きい場合に1つ以上の第1のコマンド信号を出力することを含み得る。1つ以上の第1のコマンド信号は、流量調整器によって受信されると、決定した第1の偏差を低減する方法で流量調整器を作動させるように動作可能であり得る。
【0030】
別の実施形態では、受信したCE推定値は、経験的モデルによって決定され得る。
【0031】
別の実施形態では、受信したCE推定値は、ノンパラメトリック機械学習モデルによって決定され得る。
【0032】
別の実施形態では、燃焼ガスは、少なくとも1つの補助燃料ガスを更に含み得る。1つ以上のプロセッサは、受信したCE推定値に基づいて、少なくとも1つの補助燃料ガス、又はフレアガス及び少なくとも1つの補助燃料ガスを含むベントガスの流れに対する第2の設定点を決定するように更に構成され得る。1つ以上のプロセッサはまた、少なくとも1つの補助燃料ガス又はベントガスの第2の体積流量を決定するように構成され得る。加えて、1つ以上のプロセッサは、第2の体積流量と第2の設定点との間の第2の偏差を決定するように構成され得る。1つ以上のプロセッサはまた、決定した第2の偏差が第2の所定の許容差より大きい場合に1つ以上の第2のコマンド信号を出力するように構成され得る。1つ以上の第2のコマンド信号は、対応する流量調整器によって受信されると、決定した第2の偏差を低減する方法で流量調整器を作動させるように動作可能であり得る。
【0033】
別の実施形態では、燃焼ガスは、少なくとも1つのアシストガスを更に含み得る。1つ以上のプロセッサは、受信したCE推定値に基づいて、少なくとも1つのアシストガスの流れに対する第3の設定点を決定するように更に構成され得る。1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つの少なくとも1つのアシストガスの第3の体積流量を決定するように更に構成され得る。加えて、1つ以上のプロセッサは、第3の体積流量と第3の設定点との間の第3の偏差を決定するように構成され得る。1つ以上のプロセッサはまた、決定した第3の偏差が第3の所定の許容差より大きい場合に1つ以上の第3のコマンド信号を出力するように構成され得る。1つ以上の第3のコマンド信号は、対応する流量調整器によって受信されると、決定した第3の偏差を低減する方法で流量調整器を作動させるように動作可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
これらの特徴及び他の特徴は、添付図面と併せて講じられる以下の発明を実施するための形態からより容易に理解されるであろう。
【
図1】排出量推定器を含む、排出量を監視するためのシステムの例示的な一実施形態を示す概略図である。
【
図2】フレアリングプロセスの燃焼効率及び総排出量を決定するために、プロセス条件及び環境条件を使用して排出量推定器によって実行される計算を示すブロック図である。
【
図3】フレアリングプロセスの排出量を監視するための方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【
図4】フレア制御システムと通信する
図1のシステムを含む動作環境を示すブロック図である。
【
図5】推定された燃焼効率に基づくフレア制御のための方法の例示的な一実施形態を示すフロー図である。
【0035】
図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示される主題の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
フレアガスと称される可燃性ガスは、多くの場合、廃棄及び/又は安全のために生産工程で焼却される。この燃焼からの排出量は、他にも理由はあるが、一般的には規制準拠のために監視される。排出量の監視は、モデルを使用して燃焼源からの異なる排出量を推定し得る。しかしながら、これらのモデルは、静的入力(例えば、変化のないプロセス条件及び/又は環境条件)を用いる可能性がある。これらの入力が変化すると、モデルは、排出量の誤った推定値を出力し得る。したがって、燃焼されたフレアガス又はフレアガス混合物の排出量(例えば、燃焼効率)を監視するための改善されたシステム及び方法が提供される。プロセス条件及び環境条件のライブ(例えば、リアルタイム)測定は、燃焼効率の推定値を決定するために選択されたモデルへの入力として使用され得る。選択されるモデルは、入力プロセス条件及び環境条件を考慮して、燃焼効率の高精度の推定値を提供することが予想されるものであり得る。このようにして、単一の静的モデルから得られた燃焼効率の推定値と比較して、より広範囲のフレア条件にわたってより高精度であり、かつ/又はオンラインセンサ及び計算リソースを最適に使用した燃焼効率の推定値が提供され得る。
【0037】
炭化水素ガスの排出量を監視するための感知システム及び対応する方法の実施形態は、特にフレアガスの燃焼に関連して論じられる。しかしながら、本開示の実施形態は、限定することなく、燃焼中の任意のガス又はガス混合物の排出量を監視するために用いられ得る。
【0038】
図1は、フレアリングプロセスの排出量を監視するためのフレア排出量監視システム100の例示的な一実施形態を示す。示されるように、フレア排出量監視システム100は、工業プロセスによって排出されるフレアガス104の流れを受容する導管102(例えば、フレアスタック)と流体連通し得、フレア排出量監視システム100は、複数のプロセス条件センサ106、1つ以上の環境センサ110、マルチスペクトル撮像システム112、排出量推定器114、ユーザコンピューティングデバイス116、及びデータ記憶デバイス120を含む。
【0039】
フレアリングプロセスは、フレアガス104のみ、又はフレアガス104を含むガスの混合物を燃焼させ得ることを理解されたい。特に、いくつかの状況下では、燃焼を促進するために、1つ以上のガスがフレアガス104と混合されて、結果として生じるガス混合物のエネルギー含有量が修正され得る。一例では、補助ガス122(例えば、燃料ガス)が導管102内のフレアガス104に添加されて、本明細書ではベントガス124と称される、結果として生じるガス混合物のエネルギー含有量が増加され得る。別の例では、少なくとも1つのアシストガス126(例えば、空気及び/又は蒸気)がフレアガス104又はベントガス124に(例えば、導管102の末端部で、燃焼ゾーン130の前に)添加されて、結果として生じるガス混合物のエネルギー含有量を減少させることによって燃焼が改善され得る。
【0040】
複数のプロセス条件センサ106は、フレアリングプロセスで用いられるガス(複数可)のそれぞれのプロセス条件を測定するように構成され得る。したがって、プロセス条件センサ106は、導管102上に、導管102に隣接して、又は導管102内に、独立して位置付けられ得る。プロセス条件センサ106としては、限定するものではないが、1つ以上の流量計132、ガス分析器134、並びに1つ以上の圧力センサ136a及び/又は温度センサ136bが挙げられ得る。流量計(複数可)132は、燃焼前にフレアガス104中の音速並びにフレアガス104、補助ガス122、ベントガス124、及び/又はアシストガス(複数可)126の流量を測定するように構成され得る。一例として、流量計132は、超音波流量計であり得る。ガス分析器(複数可)134は、燃焼前にフレアガス104又はガス混合物(例えば、補助ガス122及び/又はアシストガス(複数可)126を伴うフレアガス104)中の炭素対水素の比を測定するように構成され得る。圧力センサ(複数可)136aは、燃焼前にフレアガス104の圧力を測定するように構成され得る。温度センサ(複数可)136bは、燃焼前にフレアガス104の温度を測定するように構成され得る。
【0041】
1つ以上の環境センサ110は、導管102の外側及びフレア先端140に隣接する1つ以上の環境条件を測定するように構成され得る。フレア先端140は、フレアガス104が燃焼される燃焼ゾーン130の前の導管102の末端部であり得る。燃焼ゾーン130に入るフレアガス104又はフレアガス104を含むガス混合物は、本明細書では燃焼ガスと称される。一例として、1つ以上の環境センサ110は、フレア先端140に隣接する横風の速度を測定するように構成された気象計を含み得る。
【0042】
ガス分析器134は、燃焼前に、ベントガス124(又は補助ガス122が添加されていない場合はフレアガス104)の炭素対水素の比を測定するように構成され得る。一例として、ガス分析器134は、ガスクロマトグラフ又は質量分析計であり得る。
【0043】
図1を更に参照すると、プロセス条件センサ106及び環境センサ110のそれぞれは、排出量推定器114と通信している。排出量推定器114は、フレアリングプロセスの燃焼効率及び総排出量の決定を含む、本明細書で論じられるフレア排出量監視の機能を実行することができる任意のコンピューティングデバイスであり得る。ユーザコンピューティングデバイス116及びデータ記憶デバイス120は、排出量推定器114と通信するように更に提供される。ユーザコンピューティングデバイス116は、排出量推定器114によって出力される燃焼効率及び/又は全排出量の推定値を受信及び表示するように構成されたディスプレイを含み得る。データ記憶デバイス120は、プロセス及び/又は環境データの記憶及び/又は検索、並びに排出量推定器114によって出力される燃焼効率推定値及び/又は全排出量の記憶のために用いられ得る。
【0044】
使用中、プロセス条件センサ106は、燃焼前のフレアリングプロセスに関与するガスのそれぞれのプロセス条件の少なくとも一部分の測定値を取得し得、環境センサ(複数可)110は、フレア先端140に隣接するそれぞれの環境条件の測定値を取得し得る。他の実施形態では、プロセス条件のうちの1つ以上は、データ記憶デバイスによって記憶されるか、又はオペレータによって入力される定数値であり得る。以下でより詳細に論じられるように、プロセス条件及び環境条件は、排出量推定器114によって受信され、経験的モデル及びノンパラメトリック機械学習モデルなどの異なるモデルに従ってフレアリングプロセスの燃焼効率のそれぞれの推定値を決定するために使用され得る。
【0045】
一般に、燃焼効率(CE)は、過去の実験試験から導出された経験的パラメトリックモデルを使用して、プロセス条件及び環境条件を含む所定の要因から計算され得る。そのようなモデルは、限られた量の実験データで訓練するのが比較的容易であり、実装するのも迅速である。しかしながら、それらの予測精度及び適用性は、非フレアリング公称流量条件下など、プロセスパラメータ及び/又は環境パラメータが急速に変動しない比較的安定した動作条件に限定され得る。
【0046】
あるいは、燃焼効率はまた、関連する過去の実験データでも訓練された計算集約的なノンパラメトリック機械学習(例えば、人工知能(AI))モデルから導出され得る。ノンパラメトリックモデルは、入力変数と出力変数との間の関係を関数形式で仮定しない一方、利用可能な全てのプロセスパラメータ及び環境条件データを用い得る。ノンパラメトリックモデルは、経験的モデルと比較して、より多くのデータが訓練され、より多くの計算リソースが実装されることを必要とし得る一方、より高い予測精度を提供し得る。
【0047】
したがって、排出量推定器114は、経験的モデルとノンパラメトリック機械学習モデルとの間で選択され、選択されたモデルに従って燃焼効率推定値を出力するように更に構成され得る。一実施形態では、排出量推定器114は、定義された時間間隔にわたる燃焼ゾーン130内のフレアガス104の真発熱量(NHVCZ)の変化が所定の最大量より小さい(例えば、絶対変化(大きさ)又はパーセンテージ変化のいずれかに基づく)場合、経験的モデルに従って燃焼効率推定値を出力し得る。あるいは、排出量推定器114は、定義された時間間隔にわたる燃焼ゾーン内の燃焼ガスの真発熱量(NHVCZ)の変化が所定の最大量より大きい場合、機械学習モデルに従って燃焼効率推定値を出力し得る。このようにモデルを選択することは、燃焼ゾーン内の燃焼ガスの真発熱量(NHVCZ)がプロセス条件及び/又は環境条件によって変化し、経験的モデルによって提供される燃焼効率推定値の精度は、プロセス条件及び/又は環境条件、並びに燃焼ゾーン内の燃焼ガスの真発熱量(NHVCZ)の結果としての計算があまりにも大きく変わると低減され得るという理解を反映している。したがって、このアプローチは、フレア排出量監視システム100が、現在のプロセス条件及び環境条件の観点から最高精度を提供することが予想されるモデルに従って燃焼効率推定値を出力することを可能にする。
【0048】
代替の実施形態では、フレア排出量監視システム100は、任意選択的に、排出量推定器114と通信するマルチスペクトル撮像システム112を含み得る。マルチスペクトル撮像システム112は、燃焼ゾーン130の吸収/排出スペクトルを測定し、測定されたスペクトルからの燃焼効率の更なる推定値を決定するように構成され得る。そのような燃焼効率推定値は、プロセス条件及び環境条件からは独立している。このようにして、排出量推定器114は、選択されたモデルを、この独立した推定値とほぼ同じ燃焼効率を出力するように調整する際に使用するための燃焼効率の推定値をマルチスペクトル撮像システム112から受信し得る。このアプローチは、モデリングの精度及び付随する燃焼効率推定値を改善し得る。
【0049】
図2は、排出量推定器114によって受信される様々な入力と、燃焼効率及び総排出量の推定値を決定するために排出量推定器114によって実行される計算との実施形態を示すブロック
図200である。以下でより詳細に論じられるように、排出量推定器114は、第1のプロセス条件のセットに基づいて、フレアガス104の第1の真発熱量(NHV)を決定するように構成され得る。この第1の真発熱量(NHV)は、フレアガス104の特性である固有の真発熱量である。この第1の真発熱量(NHV)、並びに第2のプロセス条件のセットを使用して、燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHV
CZ)が決定され得る。この第2の真発熱量(NHV
CZ)は、燃焼ガスの真発熱量を表し、燃焼ガスは、単独のフレアガス104、補助ガス122と混合されたフレアガス104(例えば、ベントガス124)、アシストガス(複数可)126と混合されたフレアガス104、又は補助ガス122及びアシストガス(複数可)126と混合されたフレアガス104であり得る。したがって、燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHV
CZ)は、フレアガス104の第1の真発熱量(NHV)とは異なる。排出量推定器114は、第2のプロセス条件のセットの少なくとも一部分、環境条件、及び燃焼ゾーン内の第2の真発熱量(NHV
CZ)を用いて、経験的モデル及び/又はノンパラメトリック機械学習モデルに従って燃焼効率を決定し得る。燃焼ガスの全排出量は、計算された燃焼効率から排出量推定器114によって更に決定され得る。
【0050】
フレアガス104の第1の真発熱量(NHV)の決定は、
図2を更に参照して以下で論じられる。示されるように、排出量推定器114は、導管102内のフレアガス104中の音速、導管102内のフレアガス104の圧力、及び導管102内のフレアガス104の温度を含む、第1のプロセス条件を受信する。上述のように、フレアガス104中の音速は、流量計132から受信され得、フレアガス104の圧力は、圧力センサ136aから受信され得、フレアガス104の温度は、温度センサ136bから受信され得る。
【0051】
一実施形態では、流量計132は、超音波流量計である。超音波測定値は、フレアガス104中の音速を決定するために用いられ得る。フレアガス104中の音速、並びにフレアガス104の圧力及び温度は、フレアガス104の分子量を決定するために更に採用され得る。フレアガス中の音速及びフレアガス104の分子量を決定することについての詳細な考察は、その全体が参照により組み込まれる米国特許第6,216,091号に見出すことができる。
【0052】
水素(H2)を含む炭化水素の場合、真発熱量(NHV)は、その分子量(MW)と強く相関している。フレアガス104中の音速及びフレアガス104中の様々な炭化水素化合物の対応するMWを使用して、第1の真発熱量(NHV)の満足のいく推定値を生成するために線形回帰又は2次多項式回帰が使用され得る。
【0053】
代替の実施形態では、排出量推定器は、第1のプロセス条件に基づいて第1の真発熱量(NHV)を決定しない。代わりに、排出量推定器は、データ記憶デバイスの検索又はユーザコンピューティングデバイスからの入力によって、第1の真発熱量(NHV)を決定し得る。
【0054】
いずれの場合も、排出量推定器114は、第1の真発熱量(NHV)を用いて、燃焼ガスの燃焼効率を決定し得る。
図2に更に示されるように、排出量推定器114は、燃焼ゾーン130内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHV
CZ)を決定するための第2のプロセス条件のセット及び1つ以上の環境条件を受信する。第2のプロセス条件のセットの例としては、フレアガス104の流量、ベントガスの流量(少なくとも1つの補助ガス122が存在する場合)、存在する場合は少なくとも1つのアシストガス126の流量、炭素/水素比、又はフレア先端直径のうちの1つ以上が挙げられ得る。フレア先端直径は、フレア先端140付近の導管102の内径(例えば、燃焼ゾーン130に隣接する導管102の末端の内径)であり得る。
【0055】
一実施形態では、燃焼ガスが、フレアガス104、少なくとも1つの補助ガス122、及び少なくとも1つのアシストガス126(例えば、蒸気及び/又は空気)を含む場合、燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)は、式1に従って決定され得る。
【0056】
【0057】
式中、NHVczはBTU/SCF単位であり、NHVvgは、BTU/SCF単位のベントガス(例えば、フレアガス104及び少なくとも1つの補助ガス122)の真発熱量であり、Qsは、SCFH単位の蒸気の体積流量であり、Qaは、SCFH単位の予混合空気の体積流量であり、Qvgは、SCFH単位のベントガス124の体積流量である。蒸気又は空気がアシストガス(複数可)126から除外される場合、対応する流量項Qs又はQaはそれぞれゼロであることが、式1から理解され得る。更に、アシストガス(複数可)126が燃焼ガスから除外される場合、燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)は、ベントガスの真発熱量(NHVvg)に等しい。
【0058】
上述のように、フレアガス104及び/又はベントガス124の体積流量は、流量計132から受信され得、補助ガス122の体積流量は、燃料流量計から受信され得(流量計132によって測定されない場合)、アシストガス126の体積流量は、蒸気/空気流量計又は送風機のファン曲線から受信され得る(流量計132によって測定されない場合)。
【0059】
排出量推定器114は、第2のプロセス条件の少なくとも一部分及び1つ以上の環境条件を燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)と組み合わせて使用して、経験的モデル又はノンパラメトリック機械学習モデルに基づいて燃焼ガスの燃焼効率を決定するように更に構成され得る。環境条件(複数可)は、導管102の末端部(例えば、フレア先端140)での横風速度又は導管102の末端部に隣接する横風速度を含み得る。経験的モデルの例は、NHVCZ、ベントガス出口速度、横風速度、及び炭素対水素比の関数として燃焼効率(CE)を計算するように構成され得る。ノンパラメトリック機械学習モデルの例は、ランダムフォレストアルゴリズムなどの深層機械学習技術を適用して、プロセス条件並びに環境条件を使用して燃焼効率(CE)を計算するように構成され得る。
【0060】
排出量推定器114は、経験的モデル又はノンパラメトリック機械学習モデルのどちらが燃焼効率を決定するために用いられるかを選択し得る。一般に、両モデルは、特定の強み及び制限を有する。フレアシステム構成及びプロセス条件に応じて、一方のモデルが他方のモデルよりも優先され得る。例えば、フレアガス流及び/又はフレアガス組成などのプロセス条件が大幅に変化しない状況下では、経験的モデルは、より正確な結果を提供し得る。逆に、フレアリング事象など、プロセス条件及び/又は環境条件が大幅に変化する状況下では、経験的モデルの精度は低減され得る。燃焼ゾーン内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)は、プロセス条件の関数であるため、2つのモデル間の選択に使用され得る。定義された期間中、第2の真発熱量(NHVCZ)の変化が絶対基準又はパーセンテージ基準で所定量より小さい場合、経験的モデルが選択され得る。第2の真発熱量(NHVCZ)の変化が絶対基準又はパーセンテージ基準で所定量より大きい場合、ノンパラメトリック機械学習モデルが選択され得る。
【0061】
どのモデルが選択されるかに関係なく、総排出量(例えば、総未燃焼炭化水素、煤、メタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)、二酸化炭素等価物(CO2e)など)は、ベントガスの体積流量及び推定燃焼効率から更に決定され得る。総排出量が計算される正確な方法は、フレアリングプロセスが実行される施設に適用可能な規制によって定義され得る。
【0062】
図3は、燃焼効率及び総排出量の決定を含む、フレアリングプロセスの排出量を監視するための方法300の例示的な一実施形態を示すフロー図である。方法300は、
図1~
図2の上述の実施形態の文脈において以下に論じられ、動作302~316を含む。代替的な実施形態では、この方法は、
図3に示されるものより多い又は少ない動作を含み得、これらの動作は、
図3に示されるものとは異なる順序で実行され得ることが理解され得る。
【0063】
動作302では、フレアガス104の第1の真発熱量(NHV)(例えば、固有のフレアガスNHV)は、1つ以上のプロセッサ(例えば、排出量推定器114)によって決定され得る。上述のように、排出量推定器114は、ユーザコンピューティングデバイス116からの入力によって、又はデータ記憶デバイス120の検索によって、第1のプロセス条件から第1の真発熱量(NHV)を決定し得る。
【0064】
動作304では、燃焼ゾーン130内の燃焼ガスの第2の真発熱量(NHVCZ)は、1つ以上のプロセッサ(例えば、排出量推定器114)によって決定され得る。燃焼ガスとしては、単独のフレアガス104、又はフレアガス104と補助燃料ガス122又はアシストガス126(例えば、蒸気及び/又は空気)のうちの1つ以上との組み合わせが挙げられ得る。燃焼ゾーン130は、燃焼ガス混合物が流れる導管102の末端部に隣接し得る。第2の真発熱量(NHVCZ)は、第1の真発熱量(NHV)、及び燃焼ガスの構成ガス(複数可)の体積流量(例えば、アシストガス(複数可)122の体積流量、燃焼前のフレアガス104及びアシストガス(複数可)126の混合物の体積流量、並びに補助ガス(複数可)122の体積流量など)に基づいて決定され得る。
【0065】
決定ブロック306では、1つ以上のプロセッサ(例えば、排出量推定器114)は、第2の真発熱量(NHVCZ)を所定の基準と比較し得る。一例として、所定の基準は、定義された期間中の第2の真発熱量(NHVCZ)の最大変化であり得る。この最大変化は、絶対(例えば、大きさ)基準又はパーセンテージ基準で定義され得る。
【0066】
第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たす状況下では、方法300は、経験的モデルを選択し、動作310に移動し、第1の燃焼効率(CE)推定値が1つ以上のプロセッサ(例えば、排出量推定器114)によって決定される。決定された第1の燃焼効率(CE)は、動作312において排出量推定器114によって更に出力され得る。
【0067】
経験的モデルの選択及び第1の燃焼効率(CE)推定値の出力は、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たしている場合、経験的モデルの精度は比較的高いという理解を反映している。
【0068】
第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たしていない状況下では、方法300は、ノンパラメトリック機械モデルを選択し、動作314に移動する。動作314では、1つ以上のプロセッサ(例えば、排出量推定器114)は、燃焼ガスの第2の燃焼効率(CE)の推定値を決定し得る。機械学習モデルはまた、第2の真発熱量(NHVCZ)、導管102の末端部におけるベントガス124の出口速度、並びに第2のプロセス条件及び環境条件(例えば、導管102の末端部の横風速度、導管102内のアシストガス(複数可)126及び/又は補助ガス(複数可)122の流量、(フレアガス、ベントガス、又は他のガスの組み合わせの)炭素対水素の比、フレア先端140の直径)を入力として用い得る。決定された第2の燃焼効率(CE)は、動作316において排出分析器によって更に出力され得る。
【0069】
機械学習モデルの選択及び第2の燃焼効率(CE)推定値の出力は、第2の真発熱量(NHVCZ)が所定の基準を満たしていない場合、経験的モデルの予測精度は、機械学習モデルのものに比べて比較的高いという理解を反映している。したがって、これらの状況下では、第2の燃焼効率(CE)推定値を決定及び出力するための機械学習モデルの使用は、より大きな計算リソースの消費にもかかわらず正当化される。
【0070】
フレア排出量監視システム100の実施形態は、フレアリング操作を改善するために更に用いられ得る。
図4は、フレア排出量監視システム100、フレアシステム402、及びネットワーク406を介して通信する1つ以上の外部コンピューティングデバイス404を含むフレア動作環境400の例示的な一実施形態を示す概略ブロック図である。示されるように、フレアシステム402は、導管102、フレアガス104、補助ガス(複数可)122、アシストガス(複数可)126のためのそれぞれのガス流量調整器410、及びコントローラ412を含み得る。ガス流量調整器410は、コントローラ412と通信し、コントローラ412から受信したコマンドに応答して、フレアガス104、補助ガス(複数可)122、及びアシストガス(複数可)126の流量を独立して調整するように構成され得る。
【0071】
図5は、フレアシステム402によって実行されるフレア制御のための方法500を示す。方法500は、
図1~
図2の上述の実施形態の文脈において以下に論じられ、動作502~512を含む。代替的な実施形態では、この方法は、
図5に示されるものより多い又は少ない動作を含み得、この方法の動作は、
図5に示されるものとは異なる順序で実行され得ることが理解され得る。
【0072】
動作502では、コントローラ412は、CE推定値(例えば、第1のCE推定値312又は第2のCE推定値316)を受信し得る。一例では、コントローラ412は、ネットワーク406を介してフレア排出量監視システム100から第1のCE推定値312又は第2のCE推定値316を受信し得る。
【0073】
動作504では、コントローラ412は、受信したCE推定値(例えば、第1のCE推定値312又は第2のCE推定値316)に基づいて、フレアガス104の流れに対する設定点を決定し得る。燃焼ガスが少なくとも1つの補助ガス122(例えば、補助燃料ガス)を含む場合、コントローラ412は、受信したCE推定値に基づいて、少なくとも1つの補助ガス122及び/又はベントガス124の流れに対する設定点を決定し得る。燃焼ガスが少なくとも1つのアシストガス126(例えば、空気及び/又は蒸気)を含む場合、コントローラ412は、受信したCE推定値に基づいて、少なくとも1つのアシストガス122の流れに対する設定点を決定し得る。
【0074】
コントローラ412は、様々な方法でガス流の設定点を決定するように構成され得る。一例では、コントローラ412は、CEを(例えば、フレアガス104に対する、及び任意選択的に少なくとも1つの補助ガス122、存在する場合は少なくとも1つの補助ガス126、又はベントガス124に対する)それぞれの流量設定点に相関させるルックアップテーブルを用い得る。別の例では、コントローラ412は、CEを入力として使用してそれぞれのガス流設定点を提供する所定のアルゴリズムを用い得る。
【0075】
動作506では、コントローラ412は、フレアガス104の体積流量を受信し得る。燃焼ガスが少なくとも1つの補助ガス122(例えば、補助燃料ガス)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つの補助ガス122及び/又はベントガス124の体積流量を受信し得る。燃焼ガスが少なくとも1つのアシストガス126(例えば、空気及び/又は蒸気)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つのアシストガス126の体積流量を受信し得る。特定の実施形態では、それぞれの体積流量の少なくとも一部分は、測定デバイス(例えば、それぞれの流量計132)から直接受信され得る。他の実施形態では、それぞれの体積流量の少なくとも一部分は、データ記憶デバイスから受信され得る。
【0076】
動作510では、コントローラ412は、少なくともフレアガス104の体積流量とフレアガス104の体積流量に対する設定点との間の偏差を決定し得る。燃焼ガスが少なくとも1つの補助ガス122(例えば、補助燃料ガス)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つの補助ガス122及び/又はベントガス124の体積流量と、少なくとも1つの補助ガス122及び/又はベントガス124の体積流量に対する設定点との間の偏差を決定し得る。燃焼ガスが少なくとも1つのアシストガス126(例えば、空気及び/又は蒸気)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つのアシストガス126の体積流量と少なくとも1つのアシストガス126の体積流量に対する設定点との間の偏差を決定し得る。
【0077】
動作512では、コントローラ412は、それぞれの設定点を維持/達成するために、設定点及び決定した偏差に基づいて、それぞれのガス流量調整器に1つ以上のコマンド信号を出力し得る。一般に、それぞれの体積ガス流量の偏差がその体積ガス流量に対する所定の許容差より大きいと決定される場合、コマンド信号は、対応するガス流量調整器に、決定した偏差を低減するような方法で作動(例えば、開閉)させるように動作可能であり得る。特定の実施形態では、そのような作動は、決定した偏差を、所定の許容差より小さくなるように低減し得る。あるいは、それぞれの体積ガス流量の偏差がその所定の許容差より小さいと決定される場合、コマンド信号は、対応するガス流量調整器にその状態を維持させるように動作可能であり得る。それぞれの体積ガス流量の偏差がその所定の許容差より小さいと決定され、ガス流量調整器がその状態を維持するための命令を必要としない状況下では、コマンド信号は必要とされない場合がある。
【0078】
所定の偏差は、様々な方法でコントローラ412によって受信され得る。一例では、所定の偏差は、データ記憶デバイスから(例えば、ネットワーク406を介して)検索され得る。別の例では、所定の偏差は、オペレータによって入力され得る。いずれの場合も、それぞれの体積流量の所定の偏差は互いに独立していてよく、同じであっても異なっていてもよい。
【0079】
したがって、コントローラ412は、少なくともフレアガス104の体積流量に対する設定点及び決定した偏差に基づいて、少なくともフレアガス流量調整器に1つ以上のコマンド信号を出力し得る。燃焼ガスが少なくとも1つの補助ガス122(例えば、補助燃料ガス)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つの補助ガス122及び/又はベントガス124の体積流量に対する設定点及び決定した偏差に基づいて、少なくとも1つの補助ガス流量調整器に1つ以上のコマンド信号を出力し得る。燃焼ガスが少なくとも1つのアシストガス(例えば、空気及び/又は蒸気)を含む場合、コントローラ412は、少なくとも1つのアシストガス126の体積流量に対する設定点及び決定した偏差に基づいて、1つ以上のアシストガス流量調整器に1つ以上のコマンド信号を出力し得る。
【0080】
動作512に続き、CE推定値が変化しない状況下では、方法500は動作502に戻り得る。あるいは、CE推定値が変化しない状況下では、方法500は動作512に続いて動作502に戻り得る。有益なことに、このようにして、フレアガス104、並びに任意選択的に少なくとも1つの補助ガス122、ベントガス124、及び/又は存在する場合は少なくとも1つのアシストガス126のガス流量の閉ループ制御が、CE推定値に基づいて達成され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、フレアガスの流量の制御は省略され得る。一例として、過圧を解消するためにフレアリングが実行される緊急状況下では、フレアガスの流量は制御され得ない(例えば、可能な限り高い)。したがって、これらの状況下では、少なくとも1つの補助ガスの流量及び/又は少なくとも1つのアシストガスの流量は、存在する場合、フレアガスの流量を制御することなく上述のように制御され得る。
【0082】
上述のように、フレア排出量監視システム100は、ネットワーク406を介して1つ以上の外部コンピューティングデバイス404と通信し得る。フレア排出量監視システム100は、外部コンピューティングデバイス(複数可)404に動作データを伝送するように構成され得る。動作データの例としては、限定するものではないが、排出量推定器114によって計算されるNHV(例えば、固有のフレアガスNHV、燃焼ゾーン130内のNHV(NHV-CZ)など)、プロセス条件センサ106によって測定されるプロセス条件、環境センサ110によって測定される環境条件(例えば、横風速度)、ガス組成などのうちの1つ以上が挙げられ得る。外部コンピューティングデバイス404は、CEを推定するように構成された機械学習モデルの訓練データとして動作データを採用し得る。有益なことに、そのような訓練データは、機械学習モデルの精度を改善し得る。
【0083】
追加の実施形態では、動作条件下のフレアCEを独立して推定するために、フレア先端の数値流体力学モデリング(computational fluid dynamics、CFD)が実行され得る。CFDモデリングは、排出量推定器114、外部コンピューティングデバイス404、又はそれらの組み合わせによって実行され得る。排出量推定器114は、選択されたモデルを、CFD推定値とほぼ同じ燃焼効率を出力するように調整する際に使用するために、燃焼効率のCFD推定値を用い得る。このアプローチは、CEモデルの精度及び信頼性を改善し得る。
【0084】
特定の実施形態は、体積流量の文脈において本明細書で論じられる。しかしながら、代替の実施形態は、限定することなく、質量流量などの他のタイプの流量を採用し得る。
【0085】
本明細書に記載される方法、システム、及びデバイスの例示的な技術的効果としては、非限定的な例として、フレアガスの燃焼効率及び総排出量の推定が挙げられる。一態様では、燃焼効率を決定するために使用されるモデルは、プロセス条件及び/又は環境条件が変化するにつれ、ライブ(例えば、リアルタイム)データを用いて変更され得る。結果として、決定された燃焼効率及び総排出量の推定値は、静的プロセス条件及び/又は環境条件を入力として用いるモデルに基づく対応する推定値と比較して、より高い精度を呈し得る。別の態様では、選択されたモデルへの入力として使用されるプロセス条件及び環境条件は、一般的に展開されたオンラインセンサを使用して測定され、既存のフレア機器に対する高価なアップグレードの必要性を回避し得る。
【0086】
本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を記載してきた。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に明確に記載され、添付の図面に例示されるシステム、デバイス、及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、及び本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。かかる修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。更に、本開示では、実施形態の類似する名称の構成要素は、概して類似の特徴を有しており、ゆえに、特定の実施形態において類似する名称のそれぞれの構成要素のそれぞれの特徴については、必ずしも完全には詳述していない。
【0087】
本明細書に記載される主題は、本明細書に開示される構造的手段及びその構造的等価物を含む、アナログ電子回路、デジタル電子回路、及び/又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアで、又はそれらの組み合わせで実装することができる。本明細書に記載される主題は、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は多数のコンピュータ)による実行のため又はその動作を制御するため、情報キャリアで(例えば、機械可読記憶デバイスで)明白に具現化されるか、又は伝播信号で具現化される、1つ以上のコンピュータプログラムなどの、1つ以上のコンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても既知である)は、コンパイル又は解釈された言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとしてなど、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータを保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は多数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの部分を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で若しくは1つのサイトの多数のコンピュータ上で実行されるように、又は多数のサイトに分散され、通信ネットワークによって相互接続されるように展開され得る。
【0088】
本明細書に記載される主題の方法工程を含む、本明細書に記載されるプロセス及び論理フローは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって、本明細書に記載される主題の機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(field programmable gate array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)によって実行され得、本明細書に記載される主題の装置は、かかる専用論理回路として実装され得る。
【0089】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例えば、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。概して、プロセッサは、読み出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを含むか、又はそこからデータを受信する、そこにデータを転送する、若しくはその両方を行うように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに好適な情報キャリアとしては、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)と、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク)と、光磁気ディスクと、光ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)と、を含む、不揮発性メモリの全ての形態が挙げられる。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完されるか、又はその中に組み込まれ得る。
【0090】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載される主題は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(cathode ray tube、陰極線管)又はLCD(liquid crystal display、液晶ディスプレイ)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供するのに利用し得るキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であり得、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。
【0091】
本明細書に記載される技術は、1つ以上のモジュールを使用して実装され得る。本明細書で使用するとき、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はそれらの様々な組み合わせを指す。しかしながら、最低でも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されていないか、又は非一時的プロセッサの読み取り可能で記録可能な記憶媒体(すなわち、モジュールはソフトウェアそれ自体ではない)上に実装されていないソフトウェアとして解釈されるべきではない。実際に、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部などの少なくとも何らかの物理的な非一時的ハードウェアを常に含むものと解釈されるべきである。2つの異なるモジュールは、同じ物理ハードウェアを共有し得る(例えば、2つの異なるモジュールは、同じプロセッサ及びネットワークインターフェースを使用し得る)。本明細書に記載されるモジュールは、様々な用途をサポートするために組み合わせ、統合、分離、及び/又は複製が可能である。また、特定のモジュールで実行されるものとして本明細書に記載される機能は、特定のモジュールで実行される機能の代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の他のモジュールで、及び/又は1つ以上の他のデバイスによって実行され得る。更に、モジュールは、互いにローカル又はリモートの多数のデバイス及び/又は他の構成要素にまたがって実装され得る。加えて、モジュールを1つのデバイスから移動し、別のデバイスに追加することができ、かつ/又は両方のデバイスに組み込むこともできる。
【0092】
本明細書に記載される主題は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)、若しくはフロントエンド構成要素(例えば、グラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータであって、ユーザはそれらを通して、本明細書に記載される主題の実装と相互作用することができる)、又はかかるバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「local area network、LAN」)及び広域ネットワーク(「wide area network、WAN」)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0093】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用するとき、近似言語は、それが関連する基本機能の変化をもたらすことなく、許容可能に変化し得る、任意の定量的表現を修正するために適用されてもよい。「ほぼ」、「実質的に」、又は「約」は、特に明記されない限り、又は特に文脈から明らかでない限り(そのような数が、可能な値の100%を許容不可能なほど超える場合を除く)、いずれかの方向で、1%の範囲内、又はいくつかの実施形態では、数の5%の範囲内、又はいくつかの実施形態では、数の10%の範囲内(この数よりも大きいか、又はそれ未満)に収まる数を含み得る。したがって、「約」、「およそ」、及び「実質的に」など、1つ又は複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例において、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書において、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、範囲制限の組み合わせ及び/又は交換が行われてもよく、かかる範囲は識別され、文脈又は言語が別段の指示をしていない限り、そこに含まれる全ての部分範囲を含む。
【0094】
当業者は、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除き、特に示され説明されてきたものによって限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。