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特許7417763電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240111BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240111BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/623 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6235 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240111BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20240111BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/342 101
H01M50/35 201
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6565
H01M10/6568
H01M10/623
H01M10/6235
H01M10/625
H01M10/6561
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022568464
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2021082478
(87)【国際公開番号】W WO2022198462
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲賢▼▲達▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 明光
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲飄▼▲飄▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ル▼
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129149(JP,A)
【文献】特表2009-534811(JP,A)
【文献】特開2016-100308(JP,A)
【文献】特開2017-147128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/30-50/392
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 10/6565
H01M 10/6568
H01M 10/623
H01M 10/6235
H01M 10/625
H01M 10/6561
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
放圧機構を含む電池セルであって、前記放圧機構は前記電池セルの第1の壁に設けられ、前記放圧機構は前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すためのものである電池セルと
前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品であって、前記熱管理部品の第1の表面は前記第1の壁に装着され、前記熱管理部品に放圧領域が設けられ、それによって前記放圧機構が作動する時に、前記電池セル内から排出された排出物は、前記放圧領域を通して排出することができる熱管理部品と、
を含み、ここで、前記第1の壁に第1のストッパーが設けられ、前記熱管理部品に第2のストッパーが設けられ、前記第1のストッパーと前記第2のストッパーが嵌合して設けられて、前記放圧機構が前記放圧領域に対向して設けられる、電池。
【請求項2】
前記第1のストッパーは、突起構造を含み、且つ前記第2のストッパーは、凹溝構造を含み、又は、前記第1のストッパーは、凹溝構造を含み、且つ前記第2のストッパーは、突起構造を含み、
前記突起構造は、少なくとも一部が前記凹溝構造に収容される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記放圧機構と前記第1の表面との間には、ギャップを有し、前記ギャップは、前記放圧機構に変形空間を提供して、前記放圧機構を前記熱管理部品に向けて変形させるためのものである、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記突起構造の高さは、前記凹溝構造の深さよりも大きい、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第2のストッパーは、前記凹溝構造を含み、前記放圧領域の中心から外への方向に、前記第2のストッパーは、前記放圧領域の周囲に第1の突起と第2の突起を順次含み、前記第1の突起と前記第2の突起との間に前記凹溝構造が形成され、又は、
前記第1のストッパーは、前記凹溝構造を含み、前記放圧機構の中心から外への方向に、前記第1のストッパーは、前記放圧機構の周囲に第3の突起と第4の突起を順次含み、前記第3の突起と第4の突起との間に前記凹溝構造が形成される、請求項3又は4に記載の電池。
【請求項6】
前記放圧機構の周囲に二つの前記第1のストッパーが設けられ、二つの前記第1のストッパーのうちの一つの前記第1のストッパーは、前記第1の壁上に前記放圧機構の中心点周りに180°回転した後に別の前記第1のストッパーと重なる、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記放圧領域の周囲に二つの前記第2のストッパーが設けられ、二つの前記第2のストッパーのうちの一つの第2のストッパーは、前記第1の表面上に前記放圧領域の中心点周りに180°回転した後に別の前記第2のストッパーと重なる、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記第1のストッパーは、前記放圧機構の周辺を囲む環状構造である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記第2のストッパーは、前記放圧領域の周辺を囲む環状構造である、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記放圧領域の面積は、前記放圧機構の面積以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記放圧領域は、貫通孔である、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記熱管理部品は、前記放圧機構に対向して設けられる凹溝を有し、前記凹溝の底壁は、前記放圧領域を形成し、前記熱管理部品の前記凹溝の底壁における厚さは、前記熱管理部品上の前記凹溝以外の他の領域における厚さよりも小さい、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記放圧領域の材料の融点は、前記熱管理部品上の前記放圧領域以外の他の領域の材料の融点よりも小さい、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
電力消費装置であって、前記電力消費装置に電気エネルギーを提供するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に、電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展のカギである。このような場合、電気自動車は、その省エネと環境保護の優位性のため、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、電池技術は、その開発に関わる重要な要素である。
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を高める以外に、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全性を確保できなければ、その電池を使用することはできない。そのため、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術において早急な解決が待たれる技術課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、電池、電力消費装置、電池を製造する方法と装置を提供し、電池の安全性を補強することができる。
【0005】
第1の態様によれば、電池を提供し、前記電池は、放圧機構を含む電池セルであって、前記放圧機構は前記電池セルの第1の壁に設けられ、前記放圧機構は前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すためのものである電池セルと、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品であって、前記熱管理部品の第1の表面は前記第1の壁に装着され、前記熱管理部品に放圧領域が設けられ、それによって前記放圧機構が作動する時に、前記電池セル内から排出された排出物は前記放圧領域を通して排出することができる熱管理部品と、を含み、ここで、前記第1の壁に第1のストッパーが設けられ、前記熱管理部品に第2のストッパーが設けられ、前記第1のストッパーと前記第2のストッパーが嵌合して設けられて、前記放圧機構が前記放圧領域に対向して設けられる。
【0006】
そのため、本出願の実施例の電池は、電池セルの放圧機構が位置する第1の壁上に第1のストッパーを設け、且つ熱管理部品上に第2のストッパーを設け、このように、第1のストッパーと第2のストッパーとの嵌合設置によって、放圧機構と放圧領域との対向設置をより正確に実現することができ、すなわち放圧機構と放圧領域を整合して取り付けやすく、さらに放圧機構が作動する時に、電池セルから排出された排出物は、該放圧領域を通して順調に排出され、電池セルの爆発の発生を効果的に避けることができる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記第1のストッパーは、突起構造を含み、且つ前記第2のストッパーは、凹溝構造を含み、又は、前記第1のストッパーは、凹溝構造を含み、且つ前記第2のストッパーは、突起構造を含み、前記突起構造は、少なくとも一部が前記凹溝構造に収容される。
【0008】
凹溝構造と突起構造によって第1のストッパーと第2のストッパーとの嵌合設置を実現し、加工しやすくなるだけでなく、放圧機構と放圧領域を容易に取り付けて固定することができる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記放圧機構と前記第1の表面との間には、ギャップを有し、前記ギャップは、前記放圧機構に変形空間を提供して、前記放圧機構を前記熱管理部品に向けて変形させ、さらに電池セル内の排出物を迅速にスムーズに放圧機構を介して排出することができるためのものである。
【0010】
いくつかの実施例において、前記突起構造の高さは、前記凹溝構造の深さよりも大きく、それによって前記放圧機構と前記第1の表面との間にギャップが存在する。
【0011】
いくつかの実施例において、前記第2のストッパーは、前記凹溝構造を含み、前記放圧領域の中心から外への方向に、前記第2のストッパーは、前記放圧領域の周囲に第1の突起と第2の突起を順次含み、前記第1の突起と前記第2の突起との間に前記凹溝構造が形成される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1のストッパーは、前記凹溝構造を含み、前記放圧機構の中心から外への方向に、前記第1のストッパーは、前記放圧機構の周囲に第3の突起と第4の突起を順次含み、前記第3の突起と第4の突起との間に前記凹溝構造が形成される。
【0013】
第1のストッパーか第2のストッパーかが凹溝構造を含むに関わらず、二つの突起を設けて凹溝構造を形成することによって、第1のストッパーを放圧機構に対して第1の壁の表面から突出させるとともに、第2のストッパーも熱管理部品の第1の表面から突出させることができ、このように、第1のストッパーを第2のストッパーに嵌合して設ける時、放圧機構と放圧領域との正確な整合を実現し、取り付け効率を向上させることができるだけでなく、放圧機構と第1の表面との間に隙間を有し、放圧機構が作動する時に変形空間を提供することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記放圧機構の周囲に二つの前記第1のストッパーが設けられ、二つの前記第1のストッパーのうちの一つの前記第1のストッパーは、前記第1の壁上に前記放圧機構の中心点周りに180°回転した後に別の前記第1のストッパーと重なる。
【0015】
いくつかの実施例において、前記放圧領域の周囲に二つの前記第2のストッパーが設けられ、二つの前記第2のストッパーのうちの一つの第2のストッパーは、前記第1の表面上に前記放圧領域の中心点周りに180°回転した後に別の前記第2のストッパーと重なる。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第1のストッパーは、前記放圧機構の周辺を囲む環状構造である。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第2のストッパーは、前記放圧領域の周辺を囲む環状構造である。
【0018】
第1のストッパーと第2のストッパーを均一で対称に設けることによって、加工と取り付けプロセスを簡略化することができ、且つ第1のストッパーと第2のストッパーを取り付けた後により安定的にし、変位が発生しにくくなる。
【0019】
いくつかの実施例において、前記放圧領域の面積は、前記放圧機構の面積以上である。
【0020】
いくつかの実施例において、前記放圧領域は、貫通孔であり、それによって、電池セルから排出された排出物は、放圧領域からより迅速に排出することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、前記熱管理部品は、前記放圧機構に対向して設けられる凹溝を有し、前記凹溝の底壁は、前記放圧領域を形成し、前記熱管理部品の前記凹溝の底壁における厚さは、前記熱管理部品上の前記凹溝以外の他の領域における厚さよりも小さい。
【0022】
いくつかの実施例において、前記放圧領域の材料の融点は、前記熱管理部品上の前記放圧領域以外の他の領域の材料の融点よりも小さい。
【0023】
貫通孔の方式を採用せずに放圧領域を設けて、放圧機構が作動していない時に、熱管理部品は、電気キャビティと収集キャビティとの間の相対的遮断を維持し、収集キャビティ内の物質が電気キャビティに入ることを避けることにより、電気キャビティ内の電池セルを保護することができる。
【0024】
第2の態様によれば、電力消費機器を提供し、前記電力消費機器は、電気エネルギーを提供するための第1の態様における電池を含む。
【0025】
いくつかの実施例において、前記電力消費機器は、車両、船舶又は宇宙船である。
【0026】
第3の態様によれば、電池を製造する方法を提供し、前記方法は、放圧機構を含む電池セルであって、前記放圧機構は前記電池セルの第1の壁に設けられ、前記放圧機構は前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すためのものである電池セルを提供することと、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品であって、前記熱管理部品の第1の表面は前記第1の壁に装着され、前記熱管理部品に放圧領域が設けられ、それによって前記放圧機構が作動する時に、前記電池セル内から排出された排出物は前記放圧領域を通して排出することができる熱管理部品を提供することとを含み、ここで、前記第1の壁に第1のストッパーが設けられ、前記熱管理部品に第2のストッパーが設けられ、前記第1のストッパーと前記第2のストッパーが嵌合して設けられて、前記放圧機構が前記放圧領域に対向して設けられる。
【0027】
第4の態様によれば、電池を製造する装置を提供し、上記第3の態様の方法を実行するモジュールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本出願の一実施例が開示した車両の構造概略図である。
図2】本出願の一実施例が開示した電池の構造概略図である。
図3】本出願の一実施例が開示した電池セルグループの構造概略図である。
図4】本出願の一実施例が開示した電池セルの分解図である。
図5】本出願の一実施例が開示した電池の構造概略図である。
図6】本出願の一実施例が開示した電池における電池セルと熱管理部品の爆発図である。
図7】本出願の一実施例が開示した電池セルの底面図である。
図8】本出願の一実施例が開示した別の電池セルの底面図である。
図9】本出願の一実施例が開示したさらに別の電池セルの底面図である。
図10】本出願の一実施例が開示した別の電池における電池セルと熱管理部品の爆発図である。
図11】本出願の一実施例が開示した電池セルと熱管理部品の断面図である。
図12】本出願の一実施例が開示した電池セルと熱管理部品の局所爆発図である。
図13】本出願の一実施例が開示した電池を製造する方法の概略的フローチャートである。
図14】本出願の一実施例が開示した電池を製造する装置の概略的ブロック図である。
【0029】
図面において、図面は、実際の縮尺に応じて描かれるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面と実施例を結び付けて、本出願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な記述と図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するために使用されることはできず、即ち、本出願は、説明される実施例に限定されない。
【0031】
本出願の記述において、なお、特に説明されていない限り、「複数」は二つ以上(二つを含む)を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位又は位置関係は、単に本出願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、記述する目的にのみ用いられ、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解されるべきではない。「垂直」とは、厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内である。「平行」とは、厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内である。
【0032】
下記の記述に現れる方位用語は、いずれも図面に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「装着」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。当業者にとって、本出願における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解されてもよい。
【0033】
本出願において、電池セルは、一次電池、二次電池、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などを有してもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池セルは、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池セル、角形電池セルとパウチ電池セルの3つの種類に分けられ、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0034】
本出願の実施例で言及した電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本出願に言及される電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池パックは、一般的には、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0035】
電池セルは、電極アセンブリと電解液を含み、電極アセンブリは正極板、負極板とセパレータを含む。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極活物質層が塗布された集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層されている。セパレータの材質は、PP又はPEなどであってもよい。また、電極アセンブリは、巻回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。電池技術の発展は、多岐にわたる設計因子、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮しなければならず、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0036】
電池にとって、主な安全上の危険は、充電と放電プロセスに由来し、電池の安全性能を向上させるために、電池セルには、一般的に放圧機構が設けられる。放圧機構は、電池セルの内圧又は温度が所定の閾値に達したときに作動して内圧又は温度を逃がす素子又は部品を指す。該所定の閾値は、設計ニーズの異なりに応じて調整を行うことができる。前記所定の閾値は、電池セルにおける正極板、負極板、電解液とセパレータのうちの一つ又は複数の材料に依存することができる。放圧機構は、圧力に敏感又は温度に敏感な素子又は部品などを採用してもよく、すなわち、電池セルの内圧又は温度が所定の閾値に達した時、放圧機構が作動することにより、内圧又は温度を逃すためのチャンネルを形成する。
【0037】
本出願に言及された「作動」は、放圧機構が動作して、電池セルの内圧及び温度が逃されることを指す。放圧機構による動作は、放圧機構のうちの少なくとも一つの部分の破裂、引き裂かれ又は溶融等を含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構が作動した後、電池セルの内部の高温高圧物質は、排出物として放圧機構から外に排出する。この方式によれば、制御可能な圧力又は温度の場合に、電池セルに放圧を発生させることにより、潜在的により深刻な事故の発生を避けることができる。
【0038】
本出願に言及された電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極板、セパレータの破片、反応して発生した高温高圧気体、火炎等を含むが、それらに限らない。
【0039】
電池セル上の放圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルに短絡、過充電等の現象が発生する時、電池セルの内部に熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇する可能性がある。このような場合に、放圧機構の作動により、内圧及び温度を外にリリースして、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0040】
現在の放圧機構の設計案において、主に電池セルの内部の高圧と高熱をリリースし、すなわち前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目する。しかしながら、電池の出力電圧又は電流を確保するために、往々にして複数の電池セルを必要として、且つ複数の電池セルの間は、バスバー部品によって電気的に接続される。電池セルの内部から排出された排出物は、残りの電池セルに短絡現象を引き起こす可能性があり、例えば、排出された金属屑が二つのバスバー部品に電気的に接続される時に、電池に短絡を引き起こすため、安全上の懸念が存在する。そして、高温高圧の排出物は、電池セルに放圧機構が設けられる方向に向けて排出され、且つより具体的には、放圧機構が作動する領域に向ける方向に沿って排出されることができ、このような排出物の威力と破壊力は、大きい可能性があり、ひいては、該方向上の一つ又は複数の構造を突き破るのに十分であり、さらなる安全上の問題を引き起こす可能性がある。
【0041】
これに鑑みて、本出願の実施例は、熱管理部品を利用して電池の筐体の内部を、電池セルを収容する電気キャビティと、排出物を収集する収集キャビティとに分離し、放圧機構が作動する時に、電池セルの排出物が収集キャビティに入り、電気キャビティに入らないか、又は少量のみ電気キャビティに入ることにより、排出物の電気キャビティにおけるバスバー部品に対する影響を減少するため、電池の安全性を補強することができる。そして、電池セルの排出物が収集キャビティを介して収集されるため、高温高圧排出物が緩衝され、排出物の圧力及び温度を低減させ、他の構造への破壊力を減少し、それにより、電池の安全性をさらに補強する。
【0042】
熱管理部品は、複数の電池セルの温度を調節するように流体を収容するためのものである。ここで、流体は、液体又は気体であってもよく、温度を調節することは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを指す。電池セルを冷却又は降温する場合、該熱管理部品は、複数の電池セルの温度を低下させるように冷却流体を収容するために用いられ、このとき、熱管理部品は、冷却部品、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよく、収容される流体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却気体と呼ばれてもよい。また、熱管理部品は、複数の電池セルを昇温するように加熱するためにも用いられてもよく、本出願の実施例は、これを限定しない。任意選択的に、前記流体は、より高い温度調節効果を達成することができるように、循環して流れるものである。任意選択的に、流体は、水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気などであってもよい。
【0043】
電気キャビティは、複数の電池セルとバスバー部品を収容するためのものである。電気キャビティは、シールされていてもよく、シールされていなくてもよい。電気キャビティは、電池セルとバスバー部品の取り付け空間を提供する。いくつかの実施例において、電気キャビティに、電池セルを固定するための構造を設けてもよい。電気キャビティの形状は、収容される複数の電池セルとバスバー部品に応じて決められてもよい。いくつかの実施例において、電気キャビティは、6つの壁を有する直方体であってもよい。電気キャビティ内の電池セルは、電気的接続によって高い電圧出力を形成するため、電気キャビティは、「高圧キャビティ」と呼ばれてもよい。
【0044】
バスバー部品は、複数の電池セル間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するためのものである。バスバー部品は、電池セルの電極端子を接続することによって電池セル間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例において、バスバー部品は、溶接によって電池セルの電極端子に固定することができる。「高圧キャビティ」に対応して、バスバー部品から形成される電気的接続は、「高圧接続」と呼ばれてもよい。
【0045】
収集キャビティは、排出物を収集するためのものであり、シールされていてもよく、シールされていなくてもよい。いくつかの実施例において、前記収集キャビティ内に、空気、又は他の気体が含まれてもよい。収集キャビティ内には、電圧出力に接続される電気的接続がなく、「高圧キャビティ」に対応し、収集キャビティは、「低圧キャビティ」と呼ばれてもよい。任意選択的に、又は付加的に、前記収集キャビティ内に液体、例えば冷却媒体が含まれてもよく、又は、該液体を収容する部品が設置されてもよく、収集キャビティに入る排出物をさらに降温する。さらに任意選択的に、収集キャビティ内の気体又は液体は、循環して流れるものである。
【0046】
本出願の実施例で説明された技術案はいずれも電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、携帯型デバイス、ノートパソコン、電動スクーター、電動玩具、電動工具、電気自動車、船舶及び宇宙機などに適用でき、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0047】
理解すべきこととして、本出願の実施例で説明された技術案は、上記で説明された機器のみに適用できるというわけではなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例では、いずれも電気自動車を例にして説明する。
【0048】
例えば、図1に示すように、本出願の一実施例による車両1の構造概略図である。車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40と、コントローラ30と、電池10とが設けられてもよく、コントローラ30は、電池10がモータ40に給電するように制御するためのものである。例えば、車両1の底部又は先頭又は後尾に電池10を設けてもよい。電池10は、車両1への給電に用いられてもよい。例えば、電池10を車両1の動作電源とすることができ、車両1の電気回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本出願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0049】
異なる電力使用需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含んでもよく、ここで、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。任意選択的に、複数の電池セルをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、さらに複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは直接的に電池を構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0050】
例えば、図2に示すように、本出願の一実施例による電池10の構造概略図である。電池10は、少なくとも一つの電池モジュール200を含んでもよい。電池モジュール200は、複数の電池セル20を含む。電池10は、筐体をさらに含んでもよく、筐体内部が中空構造であり、複数の電池セル20が筐体内に収容される。図2に示すように、筐体は2つの部分を含んでもよく、ここではそれぞれ第1の部分111と第2の部分112と呼び、第1の部分111と第2の部分112は、互いに係合される。第1の部分111と第2の部分112の形状は、電池モジュール200を組み合わせた形状に応じて決定でき、第1の部分111と第2の部分112のうちの少なくとも一つは1つの開口を有する。例えば、図2に示すように、該第1の部分111と第2の部分112は、いずれも中空長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口とが対向して設けられ、且つ第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して、閉鎖されたキャビティを有する筐体を形成する。また、例えば、図2に示されるものと異なり、第1の部分111と第2の部分112のうち、一方のみが開口を有する中空長方体であり、他方が開口をカバーする板状であってもよい。例えば、ここで第2の部分112が中空長方体であり、且つ一面のみが開口面であり、第1の部分111が板状である場合を例にすると、第1の部分111は、第2の部分112の開口をカバーすることにより、閉塞されたキャビティを有する筐体を形成し、該キャビティは、複数の電池セル20を収容するために用いることができる。複数の電池セル20は、互いに並列又は直列又は直並列接続されて組み合わせた後、第1の部分111と第2の部分112とが互いに係合して形成した筐体内に置かれる。
【0051】
任意選択的に、電池10は他の構造をさらに含んでもよいが、ここでは説明を省略する。例えば、該電池10は、複数の電池セル20同士の電気的接続、例えば、並列又は直列又は直並列接続を実現するためのバスバー部材をさらに含んでもよい。具体的に、バスバー部材は、電池セル20の電極端子に接続されることで電池セル20同士の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部品は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定することができる。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電手段により筐体を通して引き出すことができる。
【0052】
様々な電力需要に応じて、電池モジュール200における電池セル20の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20を直列、並列、又は直並列接続することにより、大きい容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数は多い場合があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ化して設置し、各グループの電池セル20が電池モジュール200を構成してもよい。電池モジュール200に含まれる電池セル20の数は限定されず、需要に応じて設ければよい。例えば、図3は電池モジュール200の一例である。電池は、複数の電池モジュール200を含んでもよく、これら電池モジュール200は、直列、並列、又は直並列に接続することができる。
【0053】
図4は、本出願の一実施例による電池セル20の構造概略図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ケース211と、蓋板212とを含む。ケース211と蓋板212は、ハウジング21を形成する。ケース211の壁及び蓋板212は、いずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み立てた後の形状に基づいて決定され、例えば、ケース211は、中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、かつケース211における1つの面は、1つ又は複数の電極アセンブリ22がケース211内に置くことが可能であるように、開口を有する。例えば、ケース211が中空長方体又は立方体である場合、ケース211のうちの1つの平面が開口面である。即ち、該平面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。ケース211が中空の円柱体であり得る場合、ケース211の端面が開口面である。即ち、該端面は壁体を有さず、ケース211の内外を連通させる。蓋板212は開口を覆い、かつケース211に接続されることによって、電極アセンブリ22を配置するための密閉のキャビティを形成する。ケース211内には、電解質、例えば、電解液が充填されている。
【0054】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214は蓋板212上に設けられてもよい。カバープレート212は、一般的には平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平板表面上に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ正極端子214aと負極端子214bである。各電極端子214に対応してそれぞれ1つの接続部材23が設けられ、それは蓋板212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するためのものである。
【0055】
図4に示すように、各電極アセンブリ22は、第1のタブ221aと第2のタブ222aを有する。第1のタブ221aと第2のタブ222aとは、極性が逆である。例えば、第1のタブ221aが正極タブであれば、第2のタブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1のタブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2のタブ222aはもう1つの接続部材23を介してもう1つの電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bはもう1つの接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0056】
該電池セル20において、実際の使用上の需要に応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設けられてもよいが、図4に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設けられている。
【0057】
図4に示すように、電池セル20の一つの壁上に放圧機構213が設けられてもよく、例えば、電池セル20の第1の壁21a上に放圧機構213を設けてもよい。図4における第1の壁21aとケース211とは離間し、すなわちケース211の底側は、開口を有し、第1の壁21aは、底側の開口を覆い且つケース211に接続され、接続方式は、溶接又は接着等であってもよい。或いは、第1の壁21aとケース211とは、一体型構造であってもよい。放圧機構213は、電池セル20の内圧又は温度が閾値に達したときに作動して内圧又は温度を逃がすためのものである。
【0058】
該放圧機構213は、第1の壁21aの一部であってもよく、第1の壁21aとは別体型構造であってもよく、例えば溶接の方式によって第1の壁21a上に固定されてもよい。放圧機構213が第1の壁21aの一部である場合、例えば、放圧機構213は、第1の壁21a上に切り込みを設ける方式で形成することができ、該切り込みに対応する第1の壁21aの厚さは、放圧機構213の切り込み以外の他の領域の厚さよりも小さい。切り込みは、放圧機構213の最も弱い位置である。電池セル20から発生した気体が多すぎて、ケース211の内圧が上昇して閾値に達したか、又は電池セル20の内部が反応して熱量が発生して電池セル20の内部温度が上昇して閾値に達した時、放圧機構213は、切り込みで破裂が発生してケース211の内外が連通し、気体圧力及び温度は、放圧機構213の裂開によって外にリリースし、さらに電池セル20の爆発の発生を避けることができる。
【0059】
任意選択的に、本出願の一実施例では、図4に示すように、放圧機構213が電池セル20の第1の壁21aに設けられる場合、電池セル20の第2の壁に電極端子214が設けられ、第2の壁は、第1の壁21aと異なる。
【0060】
任意選択的に、第2の壁は、第1の壁21aに対向して設けられる。例えば、第1の壁21aは、電池セル20の底壁であってもよく、第2の壁は、電池セル20の蓋板212であってもよい。
【0061】
任意選択的に、図4に示すように、該電池セル20は、パッド24をさらに含んでもよく、該パッド24は、電極アセンブリ22とケース211の底壁との間に位置し、電極アセンブリ22を支持する役割を果たすことができ、さらに電極アセンブリ22とケース211の底壁の周辺のフィレットとの干渉を効果的に防止することができる。また、該パッド24上に一つ又は複数の貫通孔が設けられてもよく、例えば、均一に並んでいる複数の貫通孔が設けられてもよく、又は、放圧機構213がケース211の底壁に設けられる時に、該放圧機構213に対応する位置に貫通孔を設けてもよく、それによって電解液又は気体を導通しやすくするために、具体的には、このようにパッド24の上下面の空間が連通し、電池セル20の内部で発生した気体、電解液は、いずれもパッド24を自由に通すことができる。
【0062】
放圧機構213と電極端子214を電池セル20の異なる壁上に設けて、それによって放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物が電極端子214からより離すことを可能にすることにより、排出物の電極端子214とバスバー部品に対する影響を減少し、そのため電池の安全性を補強することができる。
【0063】
さらに、電極端子214が電池セル20の蓋板212上に設けられる時、放圧機構213を電池セル20の底壁に設けることによって、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物は、電池10の底部に向かって排出することができる。このように、一方では、電池10の底部の熱管理部品を利用して排出物の危険性を低減させることができ、他方では、電池10が車両内に設けられる時、電池10の底部は、通常乗客から離れることにより、乗客への危害を低減させることができる。
【0064】
放圧機構213はいかなる可能な放圧構造であってもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。例えば、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部温度が閾値に達する時に溶融できるように構成されている感温性放圧機構であってもよく、及び/又は、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部気圧が閾値に達する時に破裂できるように構成されている感圧性放圧機構であってもよい。
【0065】
図5は、本出願の一実施例の電池10の筐体11の概略図である。図5に示すように、筐体11は、電気キャビティ11a、収集キャビティ11b及び熱管理部品13を含んでもよい。熱管理部品13は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを隔離するために用いられる。ここでいわゆる「隔離」は、離間であり、シールされていなくてもよい。
【0066】
電気キャビティ11aは、複数の電池セル20とバスバー部品12を収容するためのものである。電気キャビティ11aは、電池セル20とバスバー部品12の収容空間を提供し、電気キャビティ11aの形状は、複数の電池セル20とバスバー部品12に応じて設定することができる。
【0067】
バスバー部品12は、複数の電池セル20の電気的接続を実現するためのものである。バスバー部品12は、電池セル20の電極端子214を接続することによって電池セル20の電気的接続を実現することができる。
【0068】
複数の電池セル20のうちの少なくとも一つの電池セル20は、放圧機構213を含んでもよく、放圧機構213は、放圧機構213が設けられる電池セル20の内圧又は温度が閾値に達した時に作動して内圧又は温度を逃すためのものである。
【0069】
記述しやすくするために、以下では、放圧機構213に関する関連記述に係る電池セル20は、放圧機構213が設けられる電池セル20を指す。例えば、電池セル20は、図4における電池セル20であってもよい。
【0070】
熱管理部品13は、複数の電池セル20の温度を調節するように流体を収容するためのものである。電池セル20を降温する場合、該熱管理部品13は、複数の電池セル20の温度を調節するように冷却媒体を収容することができ、このとき、熱管理部品13は、冷却部品、冷却システム又は冷却板等と呼ばれてもよい。また、熱管理部品13は、加熱にも用いることができ、本出願の実施例は、これを限定しない。任意選択的に、前記流体は、より高い温度調節効果を達成することができるように、循環して流れるものである。
【0071】
収集キャビティ11bは、放圧機構213が作動する時に、放圧機構213が設けられる電池セル20からの排出物を収集するために用いられる。
【0072】
本出願の実施例では、熱管理部品13を採用して電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを隔離する。つまり、複数の電池セル20とバスバー部品12を収容する電気キャビティ11aと、排出物を収集する収集キャビティ11bとは、離間して設けられる。このように、放圧機構213が作動する時に、電池セル20の排出物は、収集キャビティ11bに入り、電気キャビティ11aに入らないか、又は少量に入ることにより、電気キャビティ11aにおける電気的接続に影響を与えないため、電池の安全性を補強することができる。
【0073】
任意選択的に、本出願の一実施例では、熱管理部品13は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bに共通の壁を有する。図5に示すように、熱管理部品13は、同時に、電気キャビティ11aの一つの壁及び収集キャビティ11bの一つの壁であってもよい。つまり、熱管理部品13(又はその一部)は、直接的に電気キャビティ11aと収集キャビティに共通の壁とすることができ、このように、電池セル20の排出物は、熱管理部品13を経て収集キャビティ11bに入ることができるとともに、熱管理部品13の存在のため、該排出物と電気キャビティ11aを可能な限り隔離することにより、排出物の危険性を低減させ、電池の安全性を補強することができる。
【0074】
任意選択的に、本出願の一実施例では、電気キャビティ11aは、開口を有するカバーと熱管理部品13で形成されることができる。収集キャビティ11bに対して、熱管理部品13と防護部材で形成されることができる。
【0075】
防護部材と熱管理部品13から形成される収集キャビティ11bは、電池セルを収容可能な空間を占有しないため、大きい空間の収集キャビティ11bを設定することができ、それにより、排出物を効果的に収集と緩衝し、その危険性を低減させることができる。
【0076】
任意選択的に、本出願の一実施例では、収集キャビティ11b内に流体、例えば冷却媒体が設けられてもよく、又は、該流体を収容する部品が設けられてもよく、収集キャビティ11b内に入る排出物をさらに降温する。
【0077】
任意選択的に、本出願の一実施例では、収集キャビティ11bは、シールされるキャビティであってもよい。例えば、防護部材と熱管理部品13との接続箇所は、シール部材によってシールされてもよい。
【0078】
任意選択的に、本出願の一実施例では、収集キャビティ11bは、シールされるキャビティでなくてもよい。例えば、収集キャビティ11bは、外気に連通することができ、このように、一部の排出物は、さらに筐体11の外部に排出することができる。
【0079】
放圧機構213が作動する時に、放圧機構213が開き、電池セル20内の排出物を排出する。排出物は、熱管理部品13を破壊することができ、それにより、熱管理部品13を通して収集キャビティ11bに入る。
【0080】
任意選択的に、本出願の一実施例では、排出物が熱管理部品13を通しやすくするために、熱管理部品13には、放圧領域が設けられてもよく、該放圧領域は、放圧機構213が作動する時に、放圧機構213が設けられる電池セル20からの排出物が、該放圧領域を通して収集キャビティ11bに入ることができるように構成される。
【0081】
本出願の実施例の放圧領域は、放圧機構213に対向して設けられてもよい。このように、放圧機構213が作動する時に、排出物は、該放圧領域を直接的に衝撃し且つ該放圧領域を通して排出することができる。しかし電池セル20を取り付ける時に、どのように電池セル20の放圧機構213を熱管理部品13の放圧領域に整合するかは、現在で解決する必要な問題となり、そうでなければ、放圧機構213が放圧領域に整合しなければ、放圧機構213が作動する時に、熱管理部品13は、放圧機構213の変形に影響を与え、電池セル20の爆発を引き起こす恐れがある。
【0082】
そのため、本出願の実施例は、電池を提供し、上記問題を解決することができる。図6は、本出願の実施例の電池10の局所爆発図の別の概略図を示す。ここで、図10に示すように、該電池10は、電池セル20と熱管理部品13を含んでもよい。具体的には、該電池セル20は、電池10に含まれるいずれか一つの電池セル20であってもよく、該電池セル20は、放圧機構213を含み、該放圧機構213は電池セル20の第1の壁21aに設けられ、放圧機構213は、電池セル20の内圧又は温度が閾値に達した時に作動して内圧を逃すためのものであり、熱管理部品13は、電池セル20の温度を調節するように流体を収容するためのものであり、熱管理部品13の第1の表面131は第1の壁21aに装着され、熱管理部品13に放圧領域132が設けられ、それによって放圧機構213が作動する時に、電池セル20内から排出された排出物は放圧領域132を通して排出することができる。
【0083】
図6に示すように、本出願の実施例の電池セル20の第1の壁21aに第1のストッパー215が設けられ、熱管理部品13に第2のストッパー133が設けられ、第1のストッパー215が第2のストッパー133に嵌合して設けられて、放圧機構213が放圧領域132に対向して設けられる。
【0084】
そのため、本出願の実施例の電池20は、電池セル20の放圧機構213が位置する第1の壁21a上に第1のストッパー215を設け、且つ熱管理部品13上に第2のストッパー133を設け、このように、第1のストッパー215と第2のストッパー133との嵌合設置によって、放圧機構213と放圧領域132との対向設置をより正確に実現することができ、すなわち放圧機構213と放圧領域132との整合取り付けを容易にすることができ、さらに、放圧機構213が作動する時に、電池セル20から排出された排出物は、該放圧領域132を通して順調に排出され、電池セル20の爆発の発生を効果的に避けることができる。
【0085】
理解すべきこととして、図6における電池10は、上記図1図5における電池10であってもよく、且つ関連記述に適用され、電池セル20は、上記図1図5におけるいずれか一つの電池セル20であってもよく、同様に関連記述に適用され、簡潔にするために、これ以上説明しない。
【0086】
理解すべきこととして、本出願の実施例の第1の表面131が第1の壁21aに装着されることは、第1の表面131が第1の壁21aに直接的に接触することを含み、熱伝導性接着剤又は他の物質によって第1の表面131が第1の壁21aに接触して、熱交換を実現することを含んでもよい。
【0087】
理解すべきこととして、本出願の実施例の熱管理部品13上に設けられる放圧領域132は、排出物を破壊しやすい様々な設置を採用してもよく、本出願の実施例は、これを限定せず、以下では例を挙げて説明する。
【0088】
理解すべきこととして、本出願の実施例の熱管理部品13に流体が収容されてもよく、例えば、該熱管理部品13に流路が設けられてもよく、該流路内に流体が収容され、それによって、放圧機構213が作動する時に、熱管理部品13上の流路は、電池セル20から排出された排出物によって破壊され、それによって内部の流体が流出し、排出に対して降温処理を行うことができる。放圧領域132が隣接する流路の間に設けられてもよく、又は、流路上に設けられてもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
【0089】
任意選択的に、一実施例として、該放圧領域132は、貫通孔として設けられてもよい。任意選択的に、該貫通孔の孔壁は、流路の壁であってもよい。放圧機構213が作動する時に、一方、放圧機構213は、該貫通孔に向いて開いて、電池セル20内の排出物を排除し、該排出物は、該貫通孔によって排出されることができ、例えば、該貫通孔によって熱管理部品13の下方の収集キャビティに入ることにより、電池セル20及び電池セル20が位置する電気キャビティの圧力と温度を逃すことができ、それとともに、該高温排出物は、放圧領域132の貫通孔を通す時に、貫通孔の孔壁を溶融し、すなわち流路を破壊することができ、それによって流路内の流体が排出され、このような場合、流体と、流体によって冷却される排出物は、ともに収集キャビティ11bに入ることができる。流体の冷却のため、電池セル20の排出物の温度を迅速に低減させることができ、そのため、収集キャビティ11bに入る排出物の危険性が大幅に低減し、電池10の他の部分、例えば他の電池セル20に大きい影響を与えることなく、それにより、第1の時間に単一の電池セル20の異常による破壊性を阻害し、電池10が爆発する可能性を低減させることができる。
【0090】
任意選択的に、別の実施例として、該放圧領域132は、脆弱領域として設けられてもよく、このように、放圧機構213が作動していない時に、熱管理部品13は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとの間の相対的遮断を維持し、収集キャビティ11b内の物質が電気キャビティ11aに入ることを避けることができる。具体的には、該脆弱領域は、凹溝であってもよく、すなわち熱管理部品13の放圧機構213に対向する位置に凹溝が設けられ、熱管理部品13が凹溝の底壁における厚さは、熱管理部品13上の凹溝以外の他の領域における厚さよりも小さく、それによって該凹溝の底壁は、熱管理部品13上の他の領域より脆弱であり、排出物によってより破壊されやすく、該凹溝の底壁は、放圧領域132を形成することによって、放圧機構213が作動する時に、排出物は、凹溝の底壁を破壊して収集キャビティ11bに入ることができる。
【0091】
任意選択的に、該凹溝の開口は、放圧機構213に向いてもよく、それによって、該放圧機構213と該凹溝の底壁との間に隙間を有し、該放圧機構213が作動する時に、変形空間を提供し、又は、該凹溝の開口は、放圧機構213から乖離し、且つ他の方式によって放圧機構213の変形空間を設けてもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
【0092】
任意選択的に、熱管理部品13の放圧領域132は、脆弱領域であり、異なる材料を設けることによって実現することもできる。例えば、放圧領域132の材料の融点を、熱管理部品13上の放圧領域132以外の他の領域の材料の融点よりも小さく設定し、このように、放圧領域132は、電池セル20から排出された高温排出物によって破壊されやすく、それによって、排出物は、破壊された放圧領域132を通して収集キャビティ11bに入る。
【0093】
上記貫通孔又は脆弱領域以外、本出願の実施例の放圧領域132は、他の方式によって実現することもでき、ここで一つずつ列挙しない。
【0094】
理解すべきこととして、本出願の実施例の放圧領域132の面積、形状と材料等は、実際の応用に応じて柔軟に設定することができる。例えば、放圧領域132が放圧機構213が作動する時の変形に影響を与えないようにするために、該放圧領域132の形状は、放圧機構213の形状と一致することができ、放圧領域132の面積は、放圧機構213の面積以上に設定することができるが、本出願の実施例は、それに限らない。
【0095】
図6に示すように、放圧機構213が放圧領域132により正確に対向して設けられることを可能にするために、本出願の実施例の放圧機構213が位置する第1の壁21a上に第1のストッパー215が設けられ、且つ、熱管理部品13上に第2のストッパー133が設けられ、該第1のストッパー215が第2のストッパー133に嵌合して設けられて、それによって放圧機構213が放圧領域132により正確に対向して設けられる。
【0096】
以下では、図面を結び付けて、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133について詳細に紹介する。
【0097】
任意選択的に、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133の相互嵌合設置は、突起構造と凹溝構造によって実現することができる。具体的には、第1のストッパー215は、突起構造を含んでもよく、且つ第2のストッパー133は、凹溝構造を含み、又は、第1のストッパー215は、凹溝構造を含み、且つ第2のストッパー133は、突起構造を含み、ここで、突起構造は、少なくとも一部が凹溝構造に収容されて、それによって第1のストッパー215と第2のストッパー133が嵌合する。凹溝構造と突起構造によって第1のストッパー215と第2のストッパー133との嵌合設置を実現し、加工しやすくなるだけでなく、放圧機構213と放圧領域133を容易に取り付けて固定することができる。
【0098】
理解すべきこととして、放圧機構213が作動する時に、一定の変形空間を必要とすることを考慮するため、設けられた該第1のストッパー215と第2のストッパー133によって、電池セル20と熱管理部品13を取り付けた後、放圧機構213と第1の表面131との間にギャップを有することを実現することができ、該ギャップは、放圧機構213に変形空間を提供して、放圧機構213を熱管理部品13に向けて変形させるためのものである。任意選択的に、該ギャップは、突起構造の高さを凹溝構造の深さよりも大きく設定することによって実現できるが、本出願の実施例は、それに限らない。
【0099】
理解すべきこととして、放圧機構213と放圧領域132との正確な位置決めを実現するために、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133の位置は、放圧機構213と放圧領域132の位置に関する。以下では、図面を結び付けて、例を挙げて説明する。
【0100】
任意選択的に、説明しやすくするために、本出願の実施例は、放圧機構213と放圧領域132との形状が同じであることを例として説明し、具体的には、放圧機構213と放圧領域132との形状がいずれもトラック形であることを例とする。図7図9は、それぞれ本出願の実施例の電池セル20のいくつかの底面図である。すなわち、第1の壁21a上の放圧機構213と第1のストッパー215の可能な設置方式をそれぞれ示し、又は、図7図9は、それぞれ本出願の実施例の熱管理部品13のいくつかの平面図である。すなわち、第1の表面131上の放圧領域132と第2のストッパー133の可能な設置方式をそれぞれ示す。具体的には、図7図9は、放圧機構213の周囲に設けられる第1のストッパー215を表すことができ、且つ図における第1のストッパー215は、突起構造を含んでもよく、又は、図における第1のストッパー215は、凹溝構造を含んでもよく、また、図7図9は、放圧領域132の周囲に設けられる第2のストッパー133を表すこともでき、且つ、図における第2のストッパー133は、突起構造を含んでもよく、又は、図における第2のストッパー133は、凹溝構造を含んでもよい。
【0101】
任意選択的に、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133の数は、実際の応用に応じて設定することができ、且つ第1のストッパー215の数は、第2のストッパー133の数と同じであってもよく、又は異なってもよい。例えば、図7に示すように、第1のストッパー215は、放圧機構213の周辺を囲む環状構造であってもよく、及び/又は、第2のストッパー133は、放圧領域132の周辺を囲む環状構造であってもよい。さらに例えば、図8図9に示すように、放圧機構213の周囲に二つの第1のストッパー215が設けられてもよく、及び/又は、放圧領域132の周囲に二つの第2のストッパー133が設けられてもよい。さらに例えば、第1のストッパー215の数と第2のストッパー133の数は、同じであってもよく、例えば、第1のストッパー215は、図7に示される設置方式を採用するとともに、第2のストッパー133も図7に示される設置方式を採用して、それによって加工と取り付けを容易にし、又は、第1のストッパー215の数と第2のストッパー133の数は、同じでなくてもよく、例えば、第1のストッパー215は、図7に示される設置方式を採用するとともに、第2のストッパー133は、図8又は図9に示される設置方式を採用し、本出願の実施例は、それに限らない。
【0102】
任意選択的に、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133の位置と形状は、実際の応用に応じて設定することもできる。例えば、第1のストッパー215及び/又は第2のストッパー133が環状構造として設けられる場合、図7に示される四角形の環状構造として設けられてもよく、円環状、又は他の環状構造として設けられてもよい。
【0103】
さらに例えば、放圧機構213の周囲に少なくとも二つの第1のストッパー215が設けられる場合、及び/又は、放圧領域132の周囲に少なくとも二つの第2のストッパー133が設けられる場合、複数の第1のストッパー215の位置は、実際の応用に応じて設けられることができ、且つ複数の第1のストッパー215の形状は、同じであってもよく、又は異なってもよく、複数の第2のストッパー133の位置は、実際の応用に応じて設けられてもよく、且つ複数の第2のストッパー133の形状は、同じであってもよく、又は異なってもよい。取り付けと位置決めを容易にするために、複数の第1のストッパー215は、放圧機構213の周囲に均一に分布することができ、同様に、複数の第2のストッパー133は、放圧領域132の周囲に均一に分布することもできる。例えば、図8図9に示すように、二つの第1のストッパー215を設けることを例として、二つの第1のストッパー215のうちの一つの第1のストッパー215が第1の壁21a上に放圧機構213の中心点周りに180°回転した後に別の第1のストッパー215と重なるように設けることができ、類似して、二つの第2のストッパー132を設けることを例として、二つの第2のストッパー133のうちの一つの第2のストッパー133が第1の表面131上に放圧領域132の中心点周りに180°回転した後に別の第2のストッパー133と重なるように設置することができる。且つ、図8図9に示すように、二つの第1のストッパー215及び/又は二つの第2のストッパー133は、直線型として設けられてもよく、直角形として設けられてもよく、又は他の形状として設けられてもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
【0104】
任意選択的に、本出願の実施例の第1のストッパー215と第2のストッパー133の位置と形状は、同じであってもよく、又は異なってもよく、例えば、図7図9の任意の組み合わせ方式によって第1のストッパー215と第2のストッパー133との嵌合設置を実現することができる。例えば、第1のストッパー215が図7に示される設置方式を採用する場合、第2のストッパー133は、図7図9におけるいずれか一つの方式を採用して設置してもよく、いずれも第1のストッパー215と第2のストッパー133との嵌合設置を実現して、放圧機構213と放圧領域133との正確な整合を実現することができる。
【0105】
説明しやすくするために、以下では、第1のストッパー215と第2のストッパー133は、いずれも環状構造を例として採用し、且つ第1のストッパー215は、突起構造を含み、第2のストッパー133は、凹溝構造を含む。具体的には、図10は、本出願の実施例の電池10における電池セル20と熱管理部品13の爆発図を示す。図11は、図10における電池セル20と熱管理部品13を取り付けた後の断面図を示す。図12は、図11における領域Aの爆発図を示す。
【0106】
図10図12に示すように、第1のストッパー215は、環状の突起構造を含み、第2のストッパー133は、環状の凹溝構造を含む。具体的には、放圧領域132の中心から外への方向に、放圧領域132の周囲に第1の突起1331と第2の突起1332が順次に設けられ、第1の突起1331と第2の突起1332との間に第2のストッパー133の凹溝構造が形成され、該凹溝構造は、第1のストッパー215の突起構造を収容して、それによって第1のストッパー215が第2のストッパー133に嵌合して設けられるためのものである。
【0107】
類似して、第2のストッパー133が環状の突起構造を含み、第1のストッパー215が環状の凹溝構造を含む場合、放圧機構213の中心から外への方向に、放圧機構213の周囲に第3の突起と第4の突起が順次に設けられ、第3の突起と第4の突起との間に凹溝構造が形成され、該凹溝構造は、第1のストッパー215を収容して、それによって第1のストッパー215が第2のストッパー133に嵌合して設けられるためのものである。
【0108】
図10図12に示すように、第1のストッパー215か第2のストッパー133かが凹溝構造を含むに関わらず、二つの突起を設けて凹溝構造を形成することによって、第1のストッパー215は、放圧機構213に対して第1の壁21aの表面から突出させるとともに、第2のストッパー133も熱管理部品13の第1の表面131から突出させることができ、このように、第1のストッパー215を第2のストッパー133に嵌合して設ける時、放圧機構213と放圧領域132との正確な整合を実現し、取り付け効率を向上させることができるだけでなく、放圧機構213と第1の表面131との間に隙間を有し、放圧機構213が作動する時に変形空間を提供することができる。
【0109】
任意選択的に、本出願の実施例の放圧機構213の外周の第1のストッパー215及び/又は放圧領域132の外周の第2のストッパー133は、プラスチック、又は他の高ポリマー防火高温材料、例えばポリカーボネートを選択することができ、それによって第1のストッパー215と第2のストッパー133は、短時間の高温気体の衝撃に耐えることができる。このように、第1のストッパー215と第2のストッパー133が環状構造として設けられると、該第1のストッパー215が第2のストッパー133に嵌合して設けられた後にもシール効果を有し、放圧機構213が作動する時に、該第1のストッパー215と第2のストッパー133は、一定の時間内のシールを保持し、電池セル20から排出された排出物が電気キャビティ内に入ることを防止し、短絡と熱拡散のリスクを低減させ、高温排出物が放圧領域132のみを通して収集キャビティ11bに排出することを可能な限り確保し、電池10の爆発のリスクをさらに低減させることができる。
【0110】
以上は、本出願の実施例による電池及び電力消費機器を説明した。以下は、本出願の実施例による電池を製造する方法と装置を説明する。ここで、詳細に説明されない部分は、上記の各実施例を参照することができる。
【0111】
図13は、本出願の一実施例の電池を製造する方法300の概略的フローチャートを示す。図13に示すように、該方法300は、放圧機構を含む電池セルであって、前記放圧機構は前記電池セルの第1の壁に設けられ、前記放圧機構は、前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すためのものである電池セルを提供するS310と、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品であって、前記熱管理部品の第1の表面は前記第1の壁に装着され、前記熱管理部品に放圧領域が設けられ、それによって前記放圧機構が作動する時に、前記電池セル内から排出された排出物は前記放圧領域を通して排出することができる熱管理部品を提供するS320と、を含んでもよく、ここで、前記第1の壁に第1のストッパーが設けられ、前記熱管理部品に第2のストッパーが設けられ、前記第1のストッパーと前記第2のストッパーが嵌合して設けられて、前記放圧機構が前記放圧領域に対向して設けられる。
【0112】
図14は、本出願の一実施例の電池を製造する装置400の概略的ブロック図を示す。図14に示すように、該装置400は、提供モジュール410を含んでもよい。該提供モジュール410は、放圧機構を含む電池セルであって、前記放圧機構は前記電池セルの第1の壁に設けられ、前記放圧機構は前記電池セルの内圧又は温度が閾値に達した時に作動して前記内圧を逃すためのものである電池セルを提供するためのものであり、前記電池セルの温度を調節するように流体を収容するための熱管理部品であって、前記熱管理部品の第1の表面は前記第1の壁に装着され、前記熱管理部品に放圧領域が設けられ、それによって前記放圧機構が作動する時に、前記電池セル内から排出された排出物は前記放圧領域を通して排出することができる熱管理部品を提供するためのものであり、ここで、前記第1の壁に第1のストッパーが設けられ、前記熱管理部品に第2のストッパーが設けられ、前記第1のストッパーと前記第2のストッパーが嵌合して設けられて、前記放圧機構が前記放圧領域に対向して設けられる。
【0113】
好ましい実施例を参照しながら、本出願について説明したが、本出願の範囲を逸脱することなく、種々の改良を行うことができるとともにそのうちの部品を等価物で置き換えることができる。特に、各実施例で言及された各技術的特徴は、構造の矛盾が生じない限り、任意に組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0114】
13 熱管理部品
20 電池セル
21a 第1の壁
132 放圧領域
133 第2のストッパー
213 放圧機構
215 第1のストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14