(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】車両用イミュニティアンテナの制御方法、装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240111BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20240111BHJP
H01Q 3/08 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G01M17/007 K
H01Q1/12 E
H01Q3/08
(21)【出願番号】P 2023142397
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】202310272172.3
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522401992
【氏名又は名称】中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CATARC New Energy Vehicle Test Center (Tianjin) Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Xiongzi Road,Dongli District,Tianjin 300300,China
(73)【特許権者】
【識別番号】523334626
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(広州)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523334637
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(武漢)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523334648
【氏名又は名称】中汽研軟件測評(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】季 国田
(72)【発明者】
【氏名】張 旭
(72)【発明者】
【氏名】孫 航
(72)【発明者】
【氏名】張 雲蕾
(72)【発明者】
【氏名】範 岩
(72)【発明者】
【氏名】王 兆
(72)【発明者】
【氏名】戎 輝
(72)【発明者】
【氏名】張 広玉
(72)【発明者】
【氏名】丁 一夫
(72)【発明者】
【氏名】柳 海明
(72)【発明者】
【氏名】呉 含氷
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲とん▼
(72)【発明者】
【氏名】姜 国凱
(72)【発明者】
【氏名】王 雲
(72)【発明者】
【氏名】馮 家煦
(72)【発明者】
【氏名】張 嘉▲るい▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 驥
(72)【発明者】
【氏名】左 易▲しん▼
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特許第7292768(JP,B1)
【文献】特開2022-179056(JP,A)
【文献】特開2014-228358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00-17/10
H01Q 1/12
H01Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用イミュニティアンテナの制御方法であって、
前記制御方法は、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)のイミュニティアンテナの制御システムに使用され、
前記制御システムは、イミュニティアンテナ連結ロッド(1)、水平回転機構(2)、カウンターウェイト(3)、吊下支持台(4)、ジャイロスコープ(5)、ピッチ角調整ケーブル(6)、モーター(7)、軌道(8)及びレーザーアライナー(9)を備え、
イミュニティアンテナ連結ロッド(1)は、イミュニティアンテナに剛性的に連結され、
イミュニティアンテナ及び水平回転機構(2)を固定するために使用され、
水平回転機構(2)は、イミュニティアンテナを水平回転させて被測定車両と位置合わせするために使用され、
カウンターウェイト(3)は、重量が調整可能であり、吊下支持台(4)の予期せぬ傾きを防止するように、イミュニティアンテナの重量と釣り合わせるために使用され、
吊下支持台(4)は、イミュニティアンテナ及び水平回転機構(2)を支持するために使用され、
4本のケーブルを介して軌道(8)の平面上のモーター(7)に連結されて、イミュニティアンテナのピッチ角を調整するために使用され、
ジャイロスコープ(5)は、吊下支持台(4)のピッチ角を認識するために使用され、
ピッチ角調整ケーブル(6)は、軌道(8)の平面上のモーター(7)と吊下支持台(4)とを連結するために使用され、
モーター(7)は、軌道(8)を駆動するとともに、吊下支持台(4)のピッチ角を調整するために使用され、
軌道(8)は、イミュニティアンテナと被測定車両との間の水平距離を調整するために使用され、
レーザーアライナー(9)は、方向がイミュニティアンテナの軸心方向と一致し、レーザー信号を送信して、
イミュニティアンテナが被測定車両と位置合わせされているかどうかの確認を支援するために使用され、
前記制御方法は、以下のステップを含み、
ステップS1:イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離である、イミュニティアンテナと被測定車両との間の水平測定距離Lと、前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θとを決定する;
ステップS2:前記水平測定距離Lと前記検出角度θに基づいて、イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離がLであるときの、前記センサーが検出できる垂直方向の最大高さを表す前記イミュニティアンテナの高さの境界Hを決定する;
ステップS3:予め設定された座標系において、イミュニティアンテナの位置が座標点(M、L、H)であるとき、イミュニティアンテナを被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせするときに必要なピッチ角ω及びヘディング角φを決定する;
ここで、Mは、イミュニティアンテナの位置の予め設定された座標系におけるX軸座標値を表し、前記予め設定された座標系の原点は被測定車両の地面における投影の幾何学的中心であり、車頭方向を前方とし、原点から被測定車両の右側への方向をX軸方向とし、原点から車頭への方向をY軸方向とし、原点からルーフへの方向をZ軸方向とし、
前記ピッチ角ωは、式:
ω=arctan[(H-z)/(L-y)]
により計算され、
前記ヘディング角φは、式:
φ=arctan(M-x/L-y)
により計算され;
ステップS4:前記ピッチ角ω及びヘディング角φに基づいて、モーター(7)により前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにして、前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせする;
前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせした後、前記制御方法は、
前記イミュニティアンテナが前記センサーの実際の検出範囲内にあるかどうかを判断し、検出範囲内にある場合、前記検出角度θを補正して、補正された検出角度θを取得し、補正された検出角度θに基づいて、前記ステップS1~ステップS4を繰り返すステップをさらに含む、
ことを特徴とする車両用イミュニティアンテナの制御方法。
【請求項2】
前記ピッチ角ω及びヘディング角φに基づいて、モーター(7)により前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにして、前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせする前記ステップS4は、
レーザーアライナー(9)がレーザー光を発するように制御するとともに、ジャイロスコープ(5)の読み取り値に基づいてモーター(7)を制御して、前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにするステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θは、前記センサーの出荷パラメータに基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検出角度θを補正して、補正された検出角度θを取得する前記ステップは、
補正前の検出角度θにθの5%を加算して、補正された検出角度θを取得するステップを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
プロセッサ及びメモリを備える電子機器であって、
前記プロセッサは、前記メモリに格納されたプログラム又はコマンドを呼び出すことによって、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行させるプログラム又はコマンドが格納されている、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)の分野に関し、特に、車両用イミュニティアンテナの制御方法、装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)は、電子技術と自動車が深く融合した技術分野であり、検知や通信などの様々な技術手段を通じて車両の状態情報を取得し、決定装置とアクチュエータとの連携により車両を制御する。インテリジェント・コネクテッド・ビークルが道路を走行する場合、走行安全性を十分に考慮する必要があり、電磁両立性の安全性は重要な一環となっている。そして、車両が走行する外部電磁環境は益々複雑になっており、空間環境には様々な種類の電磁干渉信号が存在し、電磁干渉によって車両が制御不能になると、運転者や乗客及び道路の他の利用者の人身安全を脅かす恐れがある。したがって、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)の電磁両立性試験が必要になる。
【0003】
試験において、干渉信号をシミュレートして車両を観測するためにイミュニティアンテナを配置する必要がある。しかし、車両にはミリ波レーダー、ライダー及びカメラなどのセンサーが搭載されているため、従来のイミュニティアンテナを車両前方に配置するという常套的なイミュニティアンテナ配置方法では、車両がイミュニティアンテナを障害物として認識してしまい、インテリジェントコネクテッド機能を利用できず、電磁両立性試験を行うこともできなくなる。
【0004】
したがって、車両がイミュニティアンテナを障害物として認識するという問題を解決するための新規なイミュニティアンテナ配置方法が切実に求められている。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、被測定車両がイミュニティアンテナを障害物として認識するという問題を解決し、被測定車両に搭載されたセンサーの検出機能に影響を与えることなく、アンテナの測定距離及び3次元測定角度の調整を実現し、車両の先進運転支援機能の電磁両立性試験に新規なアンテナの制御装置及び方法を提供し、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁安全性を向上させる、車両用イミュニティアンテナの制御方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【0006】
本発明の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御方法は、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)のイミュニティアンテナの制御システムに使用される。前記制御システムは、イミュニティアンテナ連結ロッド、水平回転機構、カウンターウェイト、吊下支持台、ジャイロスコープ、ピッチ角調整ケーブル、モーター、軌道及びレーザーアライナーを備えている。イミュニティアンテナ連結ロッドは、イミュニティアンテナに剛性的に連結され、イミュニティアンテナ及び水平回転機構を固定するために使用される。水平回転機構は、イミュニティアンテナを水平回転させて被測定車両と位置合わせするために使用される。カウンターウェイトは、重量が調整可能であり、吊下支持台の予期せぬ傾きを防止するように、イミュニティアンテナの重量と釣り合わせるために使用される。吊下支持台は、イミュニティアンテナ及び水平回転機構を支持するために使用され、4本のケーブルを介して軌道の平面上のモーターに連結されて、イミュニティアンテナのピッチ角を調整するために使用される。ジャイロスコープは、吊下支持台のピッチ角を認識するために使用される。ピッチ角調整ケーブルは、軌道の平面上のモーターと吊下支持台とを連結するために使用される。モーターは、軌道を駆動するとともに、吊下支持台のピッチ角を調整するために使用される。軌道は、イミュニティアンテナと被測定車両との間の水平距離を調整するために使用される。レーザーアライナーは、方向がイミュニティアンテナの軸心方向と一致し、レーザー信号を送信して、イミュニティアンテナが被測定車両と位置合わせされているかどうかの確認を支援するために使用される。
前記制御方法は、次のステップで構成される。
ステップS1:イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離である、前記イミュニティアンテナと前記被測定車両との間の水平測定距離Lと、前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θとを決定する;
ステップS2:前記水平測定距離Lと前記検出角度θに基づいて、イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離がLであるときの、前記センサーが検出できる垂直方向の最大高さを表す前記イミュニティアンテナの高さの境界Hを決定する;、
ステップS3:予め設定された座標系において、イミュニティアンテナの位置が座標点(M、L、H)であるとき、イミュニティアンテナを被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせするときに必要なピッチ角ω及びヘディング角φを決定する;
ここで、Mは、イミュニティアンテナの位置の予め設定された座標系におけるX軸座標値を表し、前記予め設定された座標系の原点は被測定車両の地面における投影の幾何学的中心であり、車頭方向を前方とし、原点から被測定車両の右側への方向をX軸方向とし、原点から車頭への方向をY軸方向とし、原点からルーフへの方向をZ軸方向とし、
前記ピッチ角ωは、式:
ω=arctan[(H-z)/(L-y)]
により計算され、
前記ヘディング角φは、式:
φ=arctan(M-x/L-y)
により計算される;
ステップS4:前記ピッチ角ω及びヘディング角φに基づいて、モーターにより前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにして、前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせする。
【0007】
また、本発明の実施例は、電子機器をさらに提供し、その電子機器は、プロセッサ及びメモリを含む。前記プロセッサは、前記メモリに格納されたプログラム又はコマンドを呼び出すことによって、いずれかの実施例に記載の車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行するために使用される。
【0008】
本発明の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ可読記憶媒体には、プログラム又はコマンドが格納されている。このプログラム又はコマンドは、コンピュータにいずれかの実施例に記載の車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施例は、被測定車両がイミュニティアンテナを障害物として認識するという問題を解決し、被測定車両に搭載されたセンサーの検出機能に影響を与えることなく、アンテナの測定距離及び3次元測定角度の調整を実現する。また、車両の先進運転支援機能の電磁両立性試験に新規なアンテナの制御装置及び方法を提供し、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は本発明の一部の実施形態であり、当業者であれば、創造的な労働を行うことなく、これらの図面からほかの図面を得ることもできることは明らかである。
【
図1】本発明の実施例に係るインテリジェント・コネクテッド・ビークルのイミュニティアンテナの制御システムの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係るイミュニティアンテナと被測定車両との相対的な位置関係を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る他のイミュニティアンテナと被測定車両との相対的な位置関係を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る別のイミュニティアンテナと被測定車両との相対的な位置関係を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の技術的手段を明確かつ完全に説明する。説明する実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部にすぎないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られるすべての他の実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0012】
現在の常套的なイミュニティアンテナの配置方法は、イミュニティアンテナを被測定車両の前方に配置している。このような常套的なイミュニティアンテナの配置方法では、被測定車両がイミュニティアンテナを障害物として認識してしまい、インテリジェントコネクテッド機能を利用できず、電磁両立性試験を行うこともできない。この問題に対して、本発明の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御方法を提供することにより、被測定車両がイミュニティアンテナを障害物として認識するという問題を解決し、被測定車両に搭載されたセンサーの検出機能に影響を与えることなく、アンテナの測定距離及び3次元測定角度の調整を実現し、車両の先進運転支援機能の電磁両立性試験に新規なアンテナの制御装置及び方法を提供し、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁安全性を向上させることができる。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御システムの構造概略図である。
図1に示すように、該制御システムは、イミュニティアンテナ連結ロッド1、水平回転機構2、カウンターウェイト3、吊下支持台4、ジャイロスコープ5、ピッチ角調整ケーブル6、モーター7、軌道8及びレーザーアライナー9を備えている。イミュニティアンテナ連結ロッド1は、イミュニティアンテナに剛性的に連結され、イミュニティアンテナ及び水平回転機構2を固定するために使用される。水平回転機構2は、イミュニティアンテナを水平回転させて被測定車両と位置合わせするために使用される。カウンターウェイト3は、重量が調整可能であり、吊下支持台4の予期せぬ傾きを防止するように、イミュニティアンテナの重量と釣り合わせるために使用される。吊下支持台4は、イミュニティアンテナ及び水平回転機構2を支持するために使用され、4本のケーブルを介して軌道8の平面上のモーター7に連結されて、イミュニティアンテナのピッチ角を調整するために使用される。ジャイロスコープ5は、吊下支持台4のピッチ角を認識するために使用される。ピッチ角調整ケーブル6は、軌道8の平面上のモーター7と吊下支持台4とを連結するために使用される。モーター7は、軌道8を駆動するとともに、吊下支持台4のピッチ角を調整するために使用される。軌道8は、イミュニティアンテナと被測定車両との間の水平距離を調整するために使用される。レーザーアライナー9は、方向がイミュニティアンテナの軸心方向と一致し、レーザー信号を送信して、イミュニティアンテナが被測定車両と位置合わせされているかどうかの確認を支援するために使用される。
【0014】
前記インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)のイミュニティアンテナの制御システムに基づく車両用イミュニティアンテナの制御方法は、
図2に示すように、具体的に以下のステップを含む。
【0015】
ステップS1:イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離である、前記イミュニティアンテナと前記被測定車両との間の水平測定距離Lと、前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θとを決定する。
【0016】
ステップS2:前記水平測定距離Lと前記検出角度θに基づいて、イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向における距離がLであるときの、前記センサーが検出できる垂直方向の最大高さを表す前記イミュニティアンテナの高さの境界Hを決定する。
【0017】
例示的に、
図3に示されるイミュニティアンテナと被測定車両との相対的な位置関係を示す図を参照し、予め設定された座標系において、被測定車両におけるセンサーの取付位置の座標を(m、l、h)(mはX軸の座標値、lはY軸の座標値、hはZ軸の座標値)、センサーの検出角度をθ、イミュニティアンテナと被測定車両との間の水平測定距離をLとする場合、イミュニティアンテナの高さの境界Hは、式:
H=h+(L-l)・tanθ
によって算出することができる。
【0018】
ここで、前記予め設定された座標系の原点は、被測定車両の地面における投影の幾何学的中心であり、車頭方向を前方とし、原点から被測定車両の右側への方向をX軸方向、原点から車頭への方向をY軸方向、原点からルーフへの方向をZ軸方向とする。
図3における(M、L、H)は、決定されたアンテナの座標を表し、Mは、イミュニティアンテナの位置の予め設定された座標系におけるX軸座標値を表し、具体的には、アンテナの偏心距離を指す。アンテナをこの位置に配置することで、センサーに検出されることを防止することができ、インテリジェント・コネクテッド・ビークルがアンテナを障害物として認識することを防止し、被測定車両に搭載されたセンサーの検出機能に影響を与えることなく、車両の先進運転支援機能の電磁両立性試験を実現し、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁安全性を向上させることができる。
【0019】
ステップS3:予め設定された座標系において、イミュニティアンテナの位置が座標点(M、L、H)であるときの、イミュニティアンテナを被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせするときに必要なピッチ角ω及びヘディング角φを決定する。
【0020】
図4及び
図5に示される他のイミュニティアンテナと被測定車両との相対的な位置関係を示す図を参照し、前記ピッチ角ωは、式:
ω=arctan[(H-z)/(L-y)]
により計算され、
前記ヘディング角φは、式:
φ=arctan(M-x/L-y)
により計算される。
【0021】
図4及び
図5に示されるように、ピッチ角ωはアンテナとX
1Y
1平面とのなす角であり、ヘディング角φはアンテナとX
1Z
1平面とのなす角である。
【0022】
ステップS4:前記ピッチ角ω及びヘディング角φに基づいて、モーター7により前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにして、前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせする。
【0023】
具体的には、レーザーアライナー9がレーザーを発するように制御して、アンテナが被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせされているかどうかの確認を支援するとともに、ジャイロスコープ5の読み取り値に基づいて、モーター7を制御して、前記イミュニティアンテナのピッチ角をω、ヘディング角をφにする。
【0024】
さらに、前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θは、前記センサーの出荷パラメータに基づいて決定される。
【0025】
センサーの実際の検出範囲が出荷パラメータに示された検出範囲とは異なるため、制御精度を確保するために、最初の配置が完了した後、配置後のアンテナの位置がセンサーの実際の検出範囲内にあるかどうかを判断し、検出範囲内にある場合には、アンテナの位置を調整する。
【0026】
要約すると、前記イミュニティアンテナを前記被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせした後、前記制御方法は、
前記イミュニティアンテナが前記センサーの実際の検出範囲内にあるかどうかを判断し、検出範囲内にある場合、前記検出角度θを補正して、補正された検出角度θを取得し、補正された検出角度θに基づいて、前記ステップS1~ステップS4を繰り返すステップをさらに含む。
【0027】
前記検出角度θを補正して、補正された検出角度θを取得する前記ステップは、
補正前の検出角度θにθの5%を加算して、補正された検出角度θを取得するステップを含む。
【0028】
本発明の実施例の技術的手段は、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁両立性試験におけるアンテナの配置及び制御の問題を解決し、従来のアンテナ配置方法ではアンテナを障害物として認識して試験が失敗するという現象を防止する。また、効果的な方法で試験のニーズを満たし、試験するクワイエットゾーン車両のボリュームが向上し、電磁界均一性の不確かさが低減する。さらに、車両の先進運転支援機能である電磁両立性の試験に新規なアンテナの制御方法を提供し、インテリジェント・コネクテッド・ビークルの電磁安全性を保証する。当該制御システムは、構造が簡単で、操作が便利で、調整範囲が大きいという利点がある。当該制御システム及び対応する制御方法は、産業上の利用価値が極めて高く、現段階での使用ニーズを満たすことができる。
【0029】
図6は、本発明の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
図6に示すように、電子機器400は、1つ又は複数のプロセッサ401及びメモリ402を備える。
【0030】
プロセッサ401は、中央処理ユニット(CPU)、又はデータ処理能力及び/又はコマンド実行能力を有する他の形態の処理ユニットであってもよく、所望の機能を実行するように電子機器400内の他の構成要素を制御することができる。
【0031】
メモリ402は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリなどの様々な形態のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品を含み得る。前記揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はキャッシュメモリ(cache)などを含むことができる。前記不揮発性メモリは、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含むことができる。前記コンピュータ可読記憶媒体には1つ又は複数のコンピュータプログラムコマンドを格納することができる。プロセッサ401は、前記プログラムコマンドを実行して、上述した本発明の任意の実施例の車両用イミュニティアンテナの制御方法及び/又は他の所望の機能を実現することができる。前記コンピュータ可読記憶媒体には、初期外部パラメータや閾値などの様々なコンテンツがさらに格納され得る。
【0032】
一例では、電子機器400は、入力装置403及び出力装置404をさらに含むことができる。これらの構成要素は、バスシステム及び/又は他の形態の接続機構(図示せず)を介して相互接続される。当該入力装置403は、例えば、キーボード、マウスなどを含むことができる。当該出力装置404は、警報提示情報、制動力などの各種の情報を外部に出力することができる。当該出力装置404は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、通信ネットワーク及びそれらに接続されたリモート出力装置などを含むことができる。
【0033】
もちろん、簡素化のために、
図6には、当該電子機器400における本発明に関連する一部の構成要素のみが示されており、バス、入力/出力インターフェースなどの構成要素は省略されている。さらに、具体的な使用状況に応じて、電子機器400は、他の任意の適切な構成要素を含むこともできる。
【0034】
上述した方法及び装置のほかに、本発明の実施例は、さらに、プロセッサによって実行される場合、前記プロセッサに本発明の任意の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行させるコンピュータプログラムコマンドを含むコンピュータプログラム製品であってもよい。
【0035】
前記コンピュータプログラム製品は、一つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせによって、本発明の実施例の動作を実行するためのプログラムコードを作成することができる。前記プログラミング言語は、Java、C++などのオブジェクト指向のプログラミング言語を含み、さらに、「C」言語又は類似のプログラミング言語などの通常の手続き型プログラミング言語を含む。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に実行され、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行され、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行され、一部がユーザのコンピュータ上で実行され一部がリモートコンピュータ上で実行され、又はリモートコンピュータやサーバ上で完全に実行されることができる。
【0036】
また、本発明の実施例は、さらに、プロセッサによって実行される場合、前記プロセッサに本発明の任意の実施例に係る車両用イミュニティアンテナの制御方法のステップを実行させるコンピュータプログラムコマンドが格納されているコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0037】
前記コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上の可読媒体の任意の組み合わせを採用することができる。可読媒体は、可読信号媒体又は可読記憶媒体であってもよい。可読記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光学、電磁、赤外線又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又はそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的列挙)は、一つ以上の導線を有する電気コネクタ、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適当な組み合わせを含む。
【0038】
なお、本発明で使用される用語は、特定の実施例を説明するために使用され、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の明細書に示されているように、上下文に明確に他の意味を示さない限り、「一」、「一つ」、「一種」及び/又は「当該」などの用語は単数形を指すものだけではなく、複数形を含むこともできる。また、用語「含む」、「有する」又はそれらの任意の変形は、非排他的な包含を意図しており、一連の要素を含むプロセス、方法又は機器は、それらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていないほかの要素、又は、それらのプロセス、方法又は機器に固有の要素も含む。さらなる制限がない限り、「1つの…を含む」という文によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、又は機器にほかの同一要素が存在することを排除するものではない。
【0039】
また、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語によって示された方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易にし簡略化するためのものにすぎず、言及された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを指示又は暗示するものではないので、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続又は一体的接続であってもよく、機械的接続又は電気的接続であってもよく、直接接続又は中間媒体を介した間接的接続であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0040】
最後に、以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことに留意されたい。上述した各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、上述した各実施例に記載された技術的手段を修正するか、又は技術的特徴の一部又は全部に対して同等の置換を行うことが可能であり、これらの修正や置換により、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段から逸脱するものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0041】
1、イミュニティアンテナ連結ロッド
2、水平回転機構
3、カウンターウェイト
4、吊下支持台
5、ジャイロスコープ
6、ピッチ角調整ケーブル
7、モーター
8、軌道
9、レーザーアライナー
【要約】
【課題】車両用イミュニティアンテナの制御方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】イミュニティアンテナと被測定車両と間の水平測定距離Lと、前記被測定車両に取り付けられたセンサーの検出角度θとを決定するステップと、前記水平測定距離Lと前記検出角度θとに基づいて、イミュニティアンテナと被測定車両との水平方向の距離がLであるときの前記イミュニティアンテナの高さの境界Hを決定するステップと、予め設定された座標系において、イミュニティアンテナの位置が座標点(M、L、H)であるとき、イミュニティアンテナを被測定車両の被測定点(x、y、z)と位置合わせするときに必要なピッチ角ωとヘディング角φとを決定するステップと、前記ピッチ角ωとヘディング角φとに基づいて、イミュニティアンテナを制御するステップと、を含む。本発明によれば、被測定車両がアンテナを障害物として認識してしまうという問題を解決することができる。
【選択図】
図2