(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】核酸増幅方法、核酸増幅装置及び核酸増幅用チップ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240112BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240112BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240112BHJP
【FI】
C12N15/09 Z
C12M1/00 A
C12Q1/6851 Z
(21)【出願番号】P 2019222930
(22)【出願日】2019-12-10
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】512132147
【氏名又は名称】杏林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆雄
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/119382(WO,A1)
【文献】特開2005-077312(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006612(WO,A1)
【文献】特表2011-527011(JP,A)
【文献】特表2012-503773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
C12N 15/00- 15/90
F16K 11/00- 11/24
F15B 1/00- 7/10
B01J 10/00- 12/02
B01J 14/00- 19/32
B01J 4/00- 7/02
B01J 3/00- 3/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、核酸増幅用チップ(2)及び前記核酸増幅用チップ(2)を載置可能な基板(3)を備える核酸増幅装置(1)を用いる核酸増幅方法:
工程1:核酸増幅装置(1)の基板(3)上に核酸増幅用チップ(2)を載置する工程であって、
当該核酸増幅装置(1)が、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30)の移動を可能にする送液用機構(6)、
第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)、
第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)、
第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する制御装置(11)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第1接続部(12)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第2接続部(13)、
前記送液用機構と第1四方向弁及び第2四方向弁とを接続する第1流路(14)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1接続部(12)に接続されている第2流路(15)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2接続部(13)に接続されている第3流路(16)、
一端が前記第1四方向弁に(7)接続され、他端が前記第1二方向弁(9)に接続されている第4流路(17)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2二方向弁(10)に接続されている第5流路(18)、
一端が前記第1二方向弁(9)に接続され、他端が流路外に開放されている第6流路(19)、
一端が前記第2二方向弁(10)に接続され、他端が流路外に開放されている第7流路(20)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が流路外に開放されている第8流路(21)、及び
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が流路外に開放されている第9流路(22)、
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1)であり、
前記核酸増幅用チップ(2)が、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)、当該第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)をつなぐ中間流路(25)、前記核酸増幅装置に接続可能な2つの接続部(26、27)、第1曲線流路(23)と接続部(26)とをつなぐ第1接続流路(28)、及び第2曲線流路(24)と接続部(27)とをつなぐ第2接続流路(29)を備える、工程、
工程2:核酸増幅用チップ(2)における接続部(26、27)と核酸増幅装置における第1接続部(12)及び第2接続部(13)とを接続する工程、
工程3:前記送液用機構により試料液に第1曲線流路(23)と第2曲線流路(24)とを中間流路(25)を介して往復させてサーマルサイクリングを行う工程、及び
ただし、工程3において試料液(30)を前記第1ヒーター(4)側から第2ヒーター(5)側に移動させる場合には第1流路(14)と第2流路(15)とを通じ、第4流路(17)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1流路(14)と第5流路(18)とを通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、かつ第2二方向弁(10)を閉じた状態とし、第1二方向弁(9)を閉じた状態又は開いた状態とし、
工程3において試料液(30)を前記第2ヒーター(5)側から第1ヒーター(4)側に移動させる場合には第1流路(14)と第3流路(16)とを通じ、第5流路(18)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1二方向弁(9)を閉じた状態とし、かつ第2二方向弁(10)を閉じた状態又は開いた状態とし、
工程3において試料液(30)の移動を止める場合には、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1流路(14)と第5流路(18)を通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、かつ第1二方向弁及び/又は第2二方向弁を開けた状態とする。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記核酸増幅装置(1)が、前記中間流路(25)を通過する試料液(30)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器をさらに備え、
前記方法が、工程4:前記中間流路(25)の所定の位置で前記蛍光検出器によりサーマルサイクル毎の試料液(30)の蛍光強度の計測を行う工程をさらに含む、方法。
【請求項3】
前記工程3において、前記制御装置に試料液(30)の移動に関する前記蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路の試料液(30)の通過を制御装置が感知し、第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
核酸増幅用チップ(2)を載置可能な基板(3)、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30)の移動を可能にする送液用機構(6)、
第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)、
第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)、
第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する制御装置(11)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第1接続部(12)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第2接続部(13)、
前記送液用機構(6)と第1四方向弁及び第2四方向弁とを接続する第1流路(14)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1接続部(12)に接続されている第2流路(15)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2接続部(13)に接続されている第3流路(16)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1二方向弁(9)に接続されている第4流路(17)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2二方向弁(10)に接続されている第5流路(18)、
一端が前記第1二方向弁(9)に接続され、他端が流路外に開放されている第6流路(19)、
一端が前記第2二方向弁(10)に接続され、他端が流路外に開放されている第7流路(20)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が流路外に開放されている第8流路(21)、及び
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が流路外に開放されている第9流路(22)、
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1)。
【請求項5】
以下の工程を含む、核酸増幅用チップ(2’)及び前記核酸増幅用チップ(2’)を載置可能な基板(3’)を備える核酸増幅装置(1’)を用いる核酸増幅方法:
工程1:核酸増幅装置(1’)の基板(3’)上に核酸増幅用チップ(2’)を載置する工程であって、
当該核酸増幅装置(1’)が、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4’)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5’)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30’)の移動を可能にする送液用機構(6’)、
第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)、
第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)、送液用機構(6’)の駆動を制御する制御装置(11’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第1接続部(12’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第2接続部(13’)、
前記送液用機構と第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)とを接続する第1流路(14’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が前記第1接続部(12’)に接続されている第2流路(15’)、
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が前記第2接続部(13’)に接続されている第3流路(16’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が流路外に開放されている第4流路(21”)、及び
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が流路外に開放されている第5流路(22”)
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1’)であり、
前記核酸増幅用チップ(2’)が、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)、当該第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)をつなぐ中間流路(25’)、前記核酸増幅装置に接続可能な2つの接続部(26’、27’)、第1曲線流路(23’)と接続部とをつなぐ第1接続流路(28’)、及び第2曲線流路(24’)と接続部とをつなぐ第2接続流路(29’)を備える、工程、
工程2:核酸増幅用チップ(2’)における接続部(26’、27’)と核酸増幅装置(1’)における第1接続部(12’)及び第2接続部(13’)とを接続する工程、
工程3:前記送液用機構により試料液を第一曲線流路(23’)と第2曲線流路(24’)とを中間流路(25’)を介して往復させてサーマルサイクリングを行う工程、及び
ただし、工程3において試料液(30’)を前記第1ヒーター(4’)側から第2ヒーター(5’)側に移動させる場合には第1流路(14’)と第2流路(15’)とを通じさせ、第4流路(21”)は第1流路(14’)及び第2流路(15’)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、第3流路(16)と第5流路(22”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第3流路(16’)と第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、試料液が前記中間流路(25’)を通過する速度が100mm/s以下となるように送液用機構(6’)が制御され、
工程3において試料液(30’)を前記第2ヒーター(5’)側から第1ヒーター(4’)側に移動させる場合には第1流路(14’)と第3流路(16’)とを通じさせ、第5流路(22”)は第1流路(14’)及び第3流路(16’)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第2流路(15’)と第4流路(21”)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、試料液(30’)が前記中間流路(25’)を通過する速度が100mm/s以下となるように送液用機構(6’)が制御され、
工程3において試料液(30’)の移動を止める場合には、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第2流路(15’)と第4流路(21”)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、第3流路(16’)と第5流路(22”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第3流路(16’)と第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、かつ前記第1三方向弁(7’)及び前記第2三方向弁(8’)の両弁を前記状態に制御後2秒以内に送液用機構(6’)を停止させる。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記核酸増幅装置(1’)が、前記中間流路(25’)を通過する前記試料液(30’)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器を備え、
前記方法が、前記中間流路(25’)の所定の位置で前記蛍光検出器によりサーマルサイクル毎の試料液の蛍光強度の計測を行う工程を含む、方法。
【請求項7】
前記工程3において、前記制御装置(11’)に試料液(30’)の移動に関する蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路(25’)の試料液(30’)の通過を制御装置が感知し、第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)、送液用機構(6’)の駆動を制御する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1流路(14’)の内部断面が、第1曲線流路(23’)、第2曲線流路(24’)及び中間流路(25’)の内部断面より大きい流路である、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸増幅方法、核酸増幅装置及び核酸増幅用チップに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸の検出は、医学分野(医薬品の研究開発、臨床検査、法医学等)、農学分野(農作物、病原性微生物の種類の同定等)、様々な分野において中核となるものである。そして、DNAのある特定領域を選択的に増幅するPCR法は、核酸検出のための非常に有用な技術である。
【0003】
汎用のPCR及びリアルタイムPCR用サーマルサイクラーにおける巨大な熱容量に起因してPCR反応に長時間を要するという課題があったところ流路チップを用いて複数の温度帯上へ繰り返し送液することでサーマルサイクルを高速化する手法が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新たな送液制御機構を用いた核酸増幅方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、流路チップの試料送液の制御をポンプではなく、切換弁を用いて行うことを検討した。しかしながら、ポンプを駆動させたままで切換弁の開閉を行うと、ポンプに直接接続された流路では空気の逃げ場がなく流路内圧力が過剰となるためポンプ破損・劣化の原因となる。
そこで、本発明者は、送液用機構を1つ有する核酸増幅装置において、四方向弁とともに二方向弁を用いることにより、流路内圧力の上昇を回避できることを見出した。
【0007】
さらに本発明者らは、かかる新規の知見に基づき、送液用機構と2種類の弁をつなぐ流路の配置等を適宜修正することにより、本発明を完成するに至った。
【0008】
従って、本発明の1つは以下の項を提供する:
項1.以下の工程を含む、核酸増幅用チップ(2)及び前記核酸増幅用チップ(2)を載置可能な基板(3)を備える核酸増幅装置(1)を用いる核酸増幅方法:
工程1:核酸増幅装置(1)の基板(3)上に核酸増幅用チップ(2)を載置する工程であって、
当該核酸増幅装置(1)が、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30)の移動を可能にする送液用機構(6)、
第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)、
第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)、
第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する制御装置(11)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第1接続部(12)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第2接続部(13)、
前記送液用機構と第1四方向弁及び第2四方向弁とを接続する第1流路(14)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1接続部(12)に接続されている第2流路(15)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2接続部(13)に接続されている第3流路(16)、
一端が前記第1四方向弁に(7)接続され、他端が前記第1二方向弁(9)に接続されている第4流路(17)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2二方向弁(10)に接続されている第5流路(18)、
一端が前記第1二方向弁(9)に接続され、他端が流路外に開放されている第6流路(19)、
一端が前記第2二方向弁(10)に接続され、他端が流路外に開放されている第7流路(20)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が流路外に開放されている第8流路(21)、及び
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が流路外に開放されている第9流路(22)、
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1)であり、
前記核酸増幅用チップ(2)が、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)、当該第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)をつなぐ中間流路(25)、前記核酸増幅装置に接続可能な2つの接続部(26、27)、第1曲線流路(23)と接続部(26)とをつなぐ第1接続流路(28)、及び第2曲線流路(24)と接続部(27)とをつなぐ第2接続流路(29)を備える、工程、
工程2:核酸増幅用チップ(2)における接続部(26、27)と核酸増幅装置における第1接続部(12)及び第2接続部(13)とを接続する工程、
工程3:前記送液用機構により試料液に第1曲線流路(23)と第2曲線流路(24)とを中間流路(25)を介して往復させてサーマルサイクリングを行う工程、及び
ただし、工程3において試料液(30)を前記第1ヒーター(4)側から第2ヒーター(5)側に移動させる場合には第1流路(14)と第2流路(15)とを通じ、第4流路(17)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1流路(14)と第5流路(18)とを通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、かつ第2二方向弁(10)を閉じた状態とし、第1二方向弁(9)を閉じた状態又は開いた状態とし、
工程3において試料液(30)を前記第2ヒーター(5)側から第1ヒーター(4)側に移動させる場合には第1流路(14)と第3流路(16)とを通じ、第5流路(18)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1二方向弁(9)を閉じた状態とし、かつ第2二方向弁(10)を閉じた状態又は開いた状態とし、
工程3において試料液(30)の移動を止める場合には、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1流路(14)と第5流路(18)を通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、かつ第1二方向弁及び/又は第2二方向弁を開けた状態とする。
【0009】
項2.項1に記載の方法であって、前記核酸増幅装置(1)が、前記中間流路(25)を通過する試料液(30)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器をさらに備え、
前記方法が、工程4:前記中間流路(25)の所定の位置で前記蛍光検出器によりサーマルサイクル毎の試料液(30)の蛍光強度の計測を行う工程をさらに含む、方法。
【0010】
項3.前記工程3において、前記制御装置に試料液(30)の移動に関する前記蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路の試料液(30)の通過を制御装置が感知し、第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する、項2に記載の方法。
【0011】
項4.核酸増幅用チップ(2)を載置可能な基板(3)、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30)の移動を可能にする送液用機構(6)、
第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)、
第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)、
第1四方向弁、第2四方向弁、第1二方向弁及び第2二方向弁の切り替えを制御する制御装置(11)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第1接続部(12)、
前記核酸増幅用チップ(2)に接続可能な第2接続部(13)、
前記送液用機構(6)と第1四方向弁及び第2四方向弁とを接続する第1流路(14)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1接続部(12)に接続されている第2流路(15)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2接続部(13)に接続されている第3流路(16)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が前記第1二方向弁(9)に接続されている第4流路(17)、
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が前記第2二方向弁(10)に接続されている第5流路(18)、
一端が前記第1二方向弁(9)に接続され、他端が流路外に開放されている第6流路(19)、
一端が前記第2二方向弁(10)に接続され、他端が流路外に開放されている第7流路(20)、
一端が前記第1四方向弁(7)に接続され、他端が流路外に開放されている第8流路(21)、及び
一端が前記第2四方向弁(8)に接続され、他端が流路外に開放されている第9流路(22)、
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1)。
【0012】
また、本発明者は、送液用機構を1つ有する核酸増幅装置において、三方向弁を用い、ポンプによる試料速度等を調整することによっても、流路内圧力の上昇を回避できることを見出した。
【0013】
さらに本発明者らは、かかる新規の知見に基づき、送液用機構と弁とをつなぐ流路の配置、ポンプによる試料速度、ポンプの停止条件を設定することにより、本発明の1つを完成するに至った。
従って、本発明の1つは以下の項を提供する:
項5.以下の工程を含む、核酸増幅用チップ(2’)及び前記核酸増幅用チップ(2’)を載置可能な基板(3’)を備える核酸増幅装置(1’)を用いる核酸増幅方法:
工程1:核酸増幅装置(1’)の基板(3’)上に核酸増幅用チップ(2’)を載置する工程であって、
当該核酸増幅装置(1’)が、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4’)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5’)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30’)の移動を可能にする送液用機構(6’)、
第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)、
第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)、送液用機構(6’)の駆動を制御する制御装置(11’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第1接続部(12’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第2接続部(13’)、
前記送液用機構と第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)とを接続する第1流路(14’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が前記第1接続部(12’)に接続されている第2流路(15’)、
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が前記第2接続部(13’)に接続されている第3流路(16’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が流路外に開放されている第4流路(21”)、及び
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が流路外に開放されている第5流路(22”)
を備え、サーマルサイクル毎の蛍光強度の計測を行うことでリアルタイムPCRを行うことを特徴とするレシプロカルフロー型の核酸増幅装置(1’)であり、
前記核酸増幅用チップ(2’)が、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)、当該第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)をつなぐ中間流路(25’)、前記核酸増幅装置に接続可能な2つの接続部(26’、27’)、第1曲線流路(23’)と接続部とをつなぐ第1接続流路(28’)、及び第2曲線流路(24’)と接続部とをつなぐ第2接続流路(29’)を備える、工程、
工程2:核酸増幅用チップ(2’)における接続部(26’、27’)と核酸増幅装置(1’)における第1接続部(12’)及び第2接続部(13’)とを接続する工程、
工程3:前記送液用機構により試料液を第一曲線流路(23’)と第2曲線流路(24’)とを中間流路(25’)を介して往復させてサーマルサイクリングを行う工程、及び
ただし、工程3において試料液(30’)を前記第1ヒーター(4’)側から第2ヒーター(5’)側に移動させる場合には第1流路(14’)と第2流路(15’)とを通じさせ、第4流路(21”)は第1流路(14’)及び第2流路(15’)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、第3流路(16)と第5流路(22”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第3流路(16’)と第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、試料液が前記中間流路(25’)を通過する速度が100mm/s以下となるように送液用機構(6’)が制御され、
工程3において試料液(30’)を前記第2ヒーター(5’)側から第1ヒーター(4’)側に移動させる場合には第1流路(14’)と第3流路(16’)とを通じさせ、第5流路(22”)は第1流路(14’)及び第3流路(16’)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第2流路(15’)と第4流路(21”)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、試料液(30’)が前記中間流路(25’)を通過する速度が100mm/s以下となるように送液用機構(6’)が制御され、
工程3において試料液(30’)の移動を止める場合には、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第2流路(15’)と第4流路(21”)とは通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、第3流路(16’)と第5流路(22”)とを通じさせ、第1流路(14’)は第3流路(16’)と第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御し、かつ前記第1三方向弁(7’)及び前記第2三方向弁(8’)の両弁を前記状態に制御後2秒以内に送液用機構(6’)を停止させる。
【0014】
項6.項5に記載の方法であって、前記核酸増幅装置(1’)が、前記中間流路(25’)を通過する前記試料液(30’)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器を備え、
前記方法が、前記中間流路(25’)の所定の位置で前記蛍光検出器によりサーマルサイクル毎の試料液の蛍光強度の計測を行う工程を含む、方法。
【0015】
項7.前記工程3において、前記制御装置(11’)に試料液(30’)の移動に関する蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路(25’)の試料液(30’)の通過を制御装置が感知し、第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)、送液用機構(6’)の駆動を制御する、項6に記載の方法。
【0016】
項8.前記第1流路(14’)の内部断面が、第1曲線流路(23’)、第2曲線流路(24’)及び中間流路(25’)の内部断面より大きい流路である、項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明における核酸増幅装置(1)及び核酸増幅用チップ(2)の一実施形態を示す。
【
図3】別の実施形態における四方向弁の概要を示す。
【
図4】工程3における試料液、空気の流れの概略を示す。
【
図5】工程3における試料液、空気の流れの概略を示す。
【
図6】工程3における試料液、空気の流れの概略を示す。
【
図7】二方向弁の概要を示す。(a)は、異なる面に2つのポートが存在する弁であり、(b)は同一方向の面に2つのポートが存在する弁を表す。
【
図8】本発明における核酸増幅装置(1’)及び核酸増幅用チップ(2’)の一実施形態を示す。
【
図9】三方向弁の概要を示す。(a)は、1つの面に2つのポートが存在し、反対方向の面に1つのポートが存在する弁であり、(b)は同一方向の面に3つのポートが存在する弁を表す。
【
図10】工程3’における試料液、空気の流れの概略を示す。
【
図11】工程3’における試料液、空気の流れの概略を示す。
【
図12】工程3’における試料液、空気の流れの概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの図面に具現化された特定の実施形態に特定されない。
【0019】
[I]四方向弁を用いた核酸増幅方法
図1に、本発明の核酸増幅で用いる核酸増幅装置(1)及び核酸増幅用チップ(2)の一実施形態を示す。
図1に示すように、核酸増幅装置(1)は、
核酸増幅用チップを載置可能な基板(3)、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30)の移動を可能にする送液用機構(6)、
第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)、
第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)、
第1四方向弁(7)、第2四方向弁(8)、第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)の切り替えを制御する制御装置(11)、
前記核酸増幅用チップに接続可能な第1接続部(12)、
前記核酸増幅用チップに接続可能な第2接続部(13)、
前記送液用機構と第1四方向弁及び第2四方向弁とを接続する第1流路(14)、
一端が前記第1四方向弁に接続され、他端が前記第1接続部に接続されている第2流路(15)、
一端が前記第2四方向弁に接続され、他端が前記第2接続部に接続されている第3流路(16)、
一端が前記第1四方向弁に接続され、他端が前記第1二方向弁に接続されている第4流路(17)、
一端が前記第2四方向弁に接続され、他端が前記第2二方向弁に接続されている第5流路(18)、
一端が前記第1二方向弁に接続され、他端が流路外に開放されている第6流路(19)、
一端が前記第2二方向弁に接続され、他端が流路外に開放されている第7流路(20)、
一端が前記第1四方向弁に接続され、他端が流路外に開放されている第8流路(21)、及び
一端が前記第2四方向弁に接続され、他端が流路外に開放されている第9流路(22)、
を備える。
【0020】
本発明において、前記第1ヒーター(4)は、変性温度帯を形成できるものであれば特に限定されない。前記第2ヒーター(5)は、伸長・アニーリング温度帯を形成できるものであれば特に限定されない。第1ヒーター(4)及び第2ヒーター(5)の具体例としては、カートリッジヒーター、フィルムヒーター、ペルチェヒーター等が例示される。変性温度帯は、PCRにおけるDNA変性反応に必要な温度に維持されている。変性温度帯の温度は90~100℃程度が好ましく、93~98℃程度がより好ましい。伸長・アニーリング温度帯は、PCRにおけるDNAのアニーリング反応及び伸長反応のために必要な温度に維持されている。伸長・アニーリング温度帯の温度は40~75℃程度が好ましく、55~65℃程度がより好ましい。
【0021】
送液用機構(6)としては流路及びチップ流路の空気の移動を介して試料液を移動させることができるものであれば特に限定されず、マイクロブロア、ファン、シリンジポンプ等が挙げられる。
【0022】
マイクロブロア(圧電マイクロブロアともいう)とは、空気を吸引及び吐出する公知の装置であり、密閉構造でない(逆止弁を有しない)ことを特徴とする。代表的なマイクロブロアにおいて、圧電素子への電圧印加によりダイヤフラムを屈曲変形させることで、空気の吸引及び吐出を実現する。マイクロブロアとしては、例えば、株式会社村田製作所が製造したものを使用することができる(MZB1001T02,MZB3004T04、MZB3005T06、MZB4001T05)。
【0023】
ファンとは、羽根車の回転運動によって送風を行う装置をいう。羽根車の構造上の特性上、流路を閉鎖系としない。
【0024】
本発明において、四方向弁とは、弁の切り替え前後において共に2組の2つの流路(合計4つの流路)をつないでいる弁を意味する。例えば、
図2に示すように、四方向弁が流路A、B、C及びDをつなぐ場合、当該四方向弁を制御することにより流路AとB,流路CとDとをそれぞれつなぐ状態から、流路AとD、流路BとCとをそれぞれつなぐ状態に切り替えることができる。また、本発明において、四方向弁は、弁の切り替え前後において共に2組の2つの流路をつないでいる弁であれば、特に限定されず、例えば、
図3に示すようなメカニズムにより流路をつないでいる弁も「四方向弁」に包含される。
【0025】
好ましくは、4つまたは5つの接続口を持っている四方向電磁弁である。
【0026】
また、本発明において二方向弁とは、2つの流路をつなぐ弁であって、その制御により、弁を閉じたり開けたりすることができるものを示す。例えば、
図7に示すような「二方向弁」を挙げることができる。
【0027】
好ましくは、二方向電磁弁でああり、さらに好ましくはLVM09R3(SMC株式会社製)のように通常時弁を閉じており、通電時に弁が開く二方向電磁弁である。
【0028】
制御装置(11)としては、第1四方向弁(7)、第2四方向弁(8)、第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)の切り替えを制御するためのCPU等が挙げられる。また制御装置(11)は、さらに送液用機構(6)を制御してもよい。
【0029】
本実施形態において、第1流路(14)、第2流路(15)、第3流路(16)、第4流路(17)、第5流路(18)、第6流路(19)、第7流路(20)、第8流路(21)、及び第9流路(22)は、核酸増幅装置(1)における各部材をつなぐ管状の部材である。これらの流路を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、シリコン、各種プラスチック等が挙げられる。これらの各流路の断面の形状は、特に限定されず、半円形状、円形状、直方形状、台形状、くさび形、多角形などとすることができる。各流路の断面が略円形の場合、直径としては特に限定されないが、例えば、1~6mm、好ましくは2~5mmの範囲で設計することができる。
【0030】
核酸増幅用チップ(2)は、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)、当該第1曲線流路及び第2曲線流路をつなぐ中間流路(25)、前記核酸増幅装置(1)に接続可能な2つの接続部(26、27)、第1曲線流路と接続部とをつなぐ第1接続流路(28)、及び第2曲線流路と接続部とをつなぐ第2接続流路(29)を備える。本明細書において、核酸増幅用チップ(2)における第1曲線流路(23)、第2曲線流路(24)、中間流路(25)、第1接続流路(28)及び第2接続流路(29)を総称して、単にチップ流路と示す。
【0031】
これらのチップ流路を構成する素材としては特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、シリコン、シクロオレフィンポリマー(COP)などの熱硬化性又は光硬化性の各種樹脂が等が挙げられる。これらのチップ流路の断面の形状は、特に限定されず、半円形状、円形状、直方形状、台形状、くさび形、多角形などとすることができる。また、チップ流路の断面は、例えば、幅100~1000μm程度、深さ100~1000μm程度の直方形状又は台形状とすることができる。好ましくは、幅100~1000μm程度、深さ100~1000μm程度の直方形状又は台形状である。また、チップ流路の幅及び深さのそれぞれは、一定、または、部分的に幅若しくは深さが変化するものとすることができる。従って、本明細書において、そうでないことを明示しない限り、各チップ流路について、「幅」とは当該チップ流路の幅の平均値を示す。同様に、本明細書において、そうでないことを明示しない限り、各チップ流路について、「深さ」とは当該チップ流路の深さの平均値を示す。
【0032】
変性温度帯に対応する第1曲線流路(23)及び伸長・アニーリング温度帯に対応する第2曲線流路(24)のそれぞれの長さは、20mm以上であることが好ましい。
【0033】
次に、核酸増幅用チップにおける接続部(26、27)と核酸増幅装置(1)における第1接続部(12)及び第2接続部(13)とを接続する工程を行う。当該工程により、核酸増幅装置(1)からの空気の流れを核酸増幅用チップに送ることができるようにする。なお、核酸増幅用チップ(2)と核酸増幅装置(1)との接続は、核酸増幅用チップ(2)の核酸増幅装置(1)の基板(3)への載置と同時に行われてもよい。
【0034】
そして、前記送液用機構(6)により試料液(30)を第1曲線流路(23)及び第2曲線流路(24)とを往復させてサーマルサイクリングを行う工程を行う。
図4に示すように、当該工程3において、試料液(30)を前記第1ヒーター(4)側から第2ヒーター(5)側に移動させる場合には、第1流路(14)と第2流路(15)とを通じ、第4流路(17)と第8流路(21)とを通じさせるように第1四方向弁(7)を制御する。この場合、第1二方向弁(9)は開けていても閉じていてもよい。一方、第1流路(14)と第5流路(18)とを通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御し、かつ第2二方向弁(10)を閉じる。送液用機構(6)から送り出された空気は、第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)に向かう。第2四方向弁(8)側については、第2二方向弁(10)が閉じているためその先に抜けることができない。一方第1四方向弁(7)側は、第2流路(15)、核酸増幅用チップ(2)における第1曲線流路(23)、中間流路(25)及び第2曲線流路(24)、第3流路(16)、第2四方向弁(8)及び第9流路(22)を介して末端が流路外に開放されるため、送液用機構(6)からの空気の圧力により試料液(30)は第2ヒーター(5)側に移動する。
【0035】
図5に示すように、工程3において試料液(30)の移動を止める場合には、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、第1流路(14)と第5流路(18)とを通じ、第3流路(16)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御する。この場合、第1二方向弁(9)と第2二方向弁(10)の少なくとも1つを開放する。これにより、核酸増幅用チップ(2)中のチップ流路ならびに核酸増幅装置(1)における第2流路(15)及び第3流路(16)の残圧が第8流路(21)及び第9流路(22)から抜けるため、流路中の残圧による望まれない試料液(30)の移動を抑えることができる。さらに、送液用機構(6)から送り出された空気が第1流路(14)から、第4流路(17)及び第6流路(19)を介して流路外に放出されるか、あるいは第5流路(18)及び第7流路(20)を介しても流路外に放出されるため、第1流路(14)内の圧力が過剰にならず、送液用機構(6)の損傷・劣化を回避できる。本発明のうち四方向弁を用いる実施形態は、送液用機構(6)の制御でなく弁の制御のみにより送液制御が可能となる点で好ましい。
【0036】
図6に示すように、当該工程3において、試料液(30)を前記第2ヒーター(5)側から第1ヒーター(4)側に移動させる場合には第1流路(14)と第3流路(16)とを通じ、第5流路(18)と第9流路(22)とを通じさせるように前記第2四方向弁(8)を制御する。この場合、第2二方向弁(10)は開けていても閉じていてもよい。一方、第1流路(14)と第4流路(17)とを通じ、第2流路(15)と第8流路(21)とを通じさせるように前記第1四方向弁(7)を制御し、かつ第1二方向弁(9)を閉じる。送液用機構(6)から送り出された空気は第1四方向弁(7)及び第2四方向弁(8)に向かう。
第1四方向弁(7)側については、第1二方向弁(9)が閉じているためその先に抜けることができない。一方第2四方向弁(8)側は、第3流路(16)、核酸増幅用チップ(2)における第2曲線流路(24)、中間流路(25)及び第1曲線流路(23)、第2流路(15)、第1四方向弁(7)及び第8流路(21)を介して末端が流路外に開放されるため、送液用機構(6)からの空気の圧力により試料液(30)は第1ヒーター(4)側に移動する。
【0037】
以上、図面を参照して本発明の典型的な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、核酸増幅用チップ(2)のチップ流路に対しフィルター領域(31、32)、サンプル注入口(33)、逆転写反応領域等が存在していても良い。
【0038】
また、本発明においては、前記核酸増幅装置(1)が、前記中間流路を通過する試料液(30)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0039】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記工程3において、前記制御装置(11)に試料液の移動に関する蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路(25)の試料液(30)の通過を制御装置が感知し、第1四方向弁(7)、第2四方向弁(8)、第1二方向弁(9)及び第2二方向弁(10)の切り替えを制御してもよい。また、中間流路(25)の試料液(30)の通過を感知するための蛍光検出器を試料液(30)の核酸増幅を測定するための蛍光検出器とは別に設置してもよい。
【0040】
[II]三方向弁を用いた核酸増幅方法
図8に、本発明の核酸増幅で用いる核酸増幅装置(1’)及び核酸増幅用チップ(2’)の一実施形態を示す。
図8に示すように、核酸増幅装置(1’)は、
核酸増幅用チップを載置可能な基板(3’)、
変性温度帯を形成できる第1ヒーター(4’)、
伸長・アニーリング温度帯を形成できる第2ヒーター(5’)、
前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯との間の試料液(30’)の移動を可能にする送液用機構(6’)、
第1三方向弁(7’)及び第2四方向弁(8’)、
第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)及び送液用機構(6’)の駆動を制御する制御装置(11’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第1接続部(12’)、
前記核酸増幅用チップ(2’)に接続可能な第2接続部(13’)、
前記送液用機構(6‘)と第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)とを接続する第1流路(14’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が前記第1接続部(12’)に接続されている第2流路(15’)、
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が前記第2接続部(13’)に接続されている第3流路(16’)、
一端が前記第1三方向弁(7’)に接続され、他端が流路外に開放されている第4流路(21”)、及び
一端が前記第2三方向弁(8’)に接続され、他端が流路外に開放されている第5流路(22”)、を備える。
【0041】
本発明において、前記第1ヒーター(4’)は、変性温度帯を形成できるものであれば特に限定されない。前記第2ヒーター(5’)は、伸長・アニーリング温度帯を形成できるものであれば特に限定されない。第1ヒーター(4’)及び第2ヒーター(5’)の具体例としては、カートリッジヒーター、フィルムヒーター、ペルチェヒーター等が例示される。変性温度帯は、PCRにおけるDNA変性反応に必要な温度に維持されている。変性温度帯の温度は90~100℃程度が好ましく、93~98℃程度がより好ましい。伸長・アニーリング温度帯は、PCRにおけるDNAのアニーリング反応及び伸長反応のために必要な温度に維持されている。伸長・アニーリング温度帯の温度は40~75℃程度が好ましく、55~65℃程度がより好ましい。
【0042】
送液用機構(6’)としては流路及びチップ流路の空気の移動を介して試料液を移動させることができるものであれば特に限定されず、マイクロブロア、ファン、シリンジポンプ等が挙げられる。
【0043】
マイクロブロア(圧電マイクロブロアともいう)とは、空気を吸引及び吐出する公知の装置であり、密閉構造でない(逆止弁を有しない)ことを特徴とする。代表的なマイクロブロアにおいて、圧電素子への電圧印加によりダイヤフラムを屈曲変形させることで、空気の吸引及び吐出を実現する。マイクロブロアとしては、例えば、株式会社村田製作所が製造したものを使用することができる(MZB1001T02,MZB3004T04、MZB3005T06、MZB4001T05)。
【0044】
ファンとは、羽根車の回転運動によって送風を行う装置をいう。羽根車の構造上の特性上、流路を閉鎖系としない。
【0045】
本発明において、三方向弁とは、例えば、
図8に示すように、三方向弁が流路A、B及びCをつなぐ場合、当該三方向弁を制御することにより流路AとBをつなぐ状態から、流路AとCとをつなぐ状態に切り替えることができる。また、例えば、
図9に示すように1つの流路を開けば他方の流路を閉じるようにつないでいる弁も「三方向弁」に包含される。
【0046】
好ましくは、三方向電磁弁であり、例えば、LVM095R(SMC株式会社製)を挙げることができる
制御装置(11’)としては、第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)及び送液用機構(6’)の駆動を制御するためのCPU等が挙げられる。
【0047】
本実施形態において、第1流路(14’)、第2流路(15’)、第3流路(16’)、第4流路(21”)、及び第5流路(22”)は、核酸増幅装置(1’)における各部材をつなぐ管状の部材である。これらの流路を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、シリコン、各種プラスチック等が挙げられる。これらの各流路の断面の形状は、特に限定されず、半円形状、円形状、直方形状、くさび形、多角形などとすることができる。各流路の断面が略円形の場合、直径としては特に限定されないが、例えば、1~6mm、好ましくは2~5mmの範囲で設計することができる。
【0048】
核酸増幅用チップ(2’)は、前記変性温度帯と前記伸長・アニーリング温度帯とに各々対応する第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)、当該第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)をつなぐ中間流路(25’)、前記核酸増幅装置(1’)に接続可能な2つの接続部(26’、27’)、第1曲線流路(23’)と接続部(26’)とをつなぐ第1接続流路(28)、及び第2曲線流路(24’)と接続部(27’)とをつなぐ第2接続流路(29’)を備える。本明細書において、核酸増幅用チップ(2’)における第1曲線流路(23’)、第2曲線流路(24’)、中間流路(25’)、第1接続流路(28’)及び第2接続流路(29’)を総称して、単にチップ流路と示す。
【0049】
これらのチップ流路を構成する素材としては特に限定されないが、例えば、ガラス、石英、シリコン、シクロオレフィンポリマー(COP)などの熱硬化性又は光硬化性の各種樹脂が等が挙げられる。これらのチップ流路の断面の形状は、特に限定されず、半円形状、円形状、直方形状、台形形状、くさび形、多角形などとすることができる。また、チップ流路の断面は、例えば、幅100~1000μm程度、深さ100~1000μm程度の直方形状又は台形形状とすることができる。好ましくは、幅100~1000μm程度、深さ100~1000μm程度の直方形状又は台形状である。また、チップ流路の幅及び深さのそれぞれは、一定、または、部分的に幅若しくは深さが変化するものとすることができる。従って、本明細書において、そうでないことを明示しない限り、各チップ流路について、「幅」とは当該チップ流路の幅の平均値を示す。同様に、本明細書において、そうでないことを明示しない限り、各チップ流路について、「深さ」とは当該チップ流路の深さの平均値を示す。
【0050】
変性温度帯に対応する第1曲線流路(23’)及び伸長・アニーリング温度帯に対応する第2曲線流路(24’)のそれぞれの長さは、20mm以上であることが好ましい。
【0051】
次に、核酸増幅用チップにおける接続部(26’、27’)と核酸増幅装置(1’)における第1接続部(12’)及び第2接続部(13’)とを接続する工程を行う。当該工程により、核酸増幅装置(1’)からの空気の流れを核酸増幅用チップ(2’)に送ることができるようにする。なお、核酸増幅用チップ(2’)と核酸増幅装置(1’)との接続は、核酸増幅用チップ(2’)の核酸増幅装置(1’)の基板(3’)への載置と同時に行われてもよい。
【0052】
そして、前記送液用機構(6’)により試料液(30’)を第1曲線流路(23’)及び第2曲線流路(24’)とを往復させてサーマルサイクリングを行う工程を行う。
図10に示すように、当該工程3’において、試料液(30’)を前記第1ヒーター(4’)側から第2ヒーター(5’)側に移動させる場合には、第1流路(14’)と第2流路(15’)とを通じ、第4流路(21”)は第1流路(14’)及び第2流路(15’)とは通じていない状態になるように第1三方向弁(7’)を制御する。一方、第3流路(16’)と第5流路(22”)とを通じ、第1流路(14’)は第三流路(16’)及び第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御する。送液用機構(6’)から送り出された空気は、第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)に向かう。第2三方向弁(8’)側については、空気はその先に抜けることができない。一方第1三方向弁(7’)側は、第2流路(15’)、核酸増幅用チップ(2’)における第1曲線流路(23’)、中間流路(25’)及び第2曲線流路(24’)、第3流路(16’)、第2三方向弁(8’)及び第5流路(22”)を介して末端が流路外に開放されるため、送液用機構(6’)からの空気の圧力により試料液(30’)は第2ヒーター(5’)側に移動する。
【0053】
図11に示すように、工程3’において試料液(30’)の移動を止める場合には、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じ、第1流路(14’)は第2流路(15’)及び第4流路(21”’)と通じていない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御し、第3流路(16’)と第5流路(22”)とを通じ、第1流路(14’)は第3流路(16’)及び第5流路(22”)とは通じていない状態になるように前記第2三方向弁(8’)を制御する。これにより、核酸増幅用チップ(2’)中のチップ流路ならびに核酸増幅装置(1’)における第2流路(15’)及び第3流路(16’)の残圧が第4流路(21”)及び第5流路(22”)から抜けるため、流路中の残圧による望まれない試料液(30’)の移動を抑えることができる。さらに、送液用機構(6’)から送り出す空気を、前記中間流路での速度を100mm/s以下(好ましくは30~70mm/s)となるように制限するとともに第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)を前記状態に制御後2秒以内に停止させるよう制御することにより、第1流路(14’)内の圧力が過剰にならず、送液用機構(6’)の損傷・劣化を回避できる。好ましくは第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)を制御後1秒以内、さらに好ましくは0.5秒以内である。本発明のうち四方向弁ではなく三方弁を用いる実施形態は、電気消費量も少なく、装置の小型化の点でも好ましい。
【0054】
図12に示すように、当該工程3’において、試料液(30’)を前記第2ヒーター(5’)側から第1ヒーター(4’)側に移動させる場合には第1流路(14’)と第3流路(16’)とを通じ、第5流路(22”)は第1流路(14’)及び第3流路(16’)とは通じない状態となるように前記第2三方向弁(8’)を制御する。一方、第2流路(15’)と第4流路(21”)とを通じ、第1流路(14’)は第2流路(15’)及び第4流路(21”)と通じない状態になるように前記第1三方向弁(7’)を制御する。送液用機構(6’)から送り出された空気は第1三方向弁(7’)及び第2三方向弁(8’)に向かう。
第1三方向弁(7’)側については、空気はその先に抜けることができない。一方第2三方向弁(8’)側は、第3流路(16’)、核酸増幅用チップ(2’)における第2曲線流路(24’)、中間流路(25’)及び第1曲線流路(23’)、第2流路(15’)、第1三方向弁(7)及び第4流路(21”)を介して末端が流路外に開放されるため、送液用機構(6’)からの空気の圧力により試料液(30’)は第1ヒーター(4’)側に移動する。
【0055】
また、本発明においては、前記核酸増幅装置(1’)が、前記中間流路を通過する試料液(30’)の蛍光強度を測定可能な蛍光検出器(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0056】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記工程3’において、前記制御装置(11’)に試料液の移動に関する蛍光検出器からの電気信号が送られ、当該電気信号に基づき、中間流路(25’)の試料液(30’)の通過を制御装置が感知し、第1三方向弁(7’)、第2三方向弁(8’)及び送液用機構(6’)の駆動を制御してもよい。また、中間流路(25’)の試料液(30’)の通過を感知するための蛍光検出器を試料液(30’)の核酸増幅を測定するための蛍光検出器とは別に設置してもよい。
【実施例1】
【0057】
図1に概要を示す核酸増幅装置(1)及び核酸増幅用チップ(2)を用いてリアルタイムPCRを行う。測定条件は以下の通り:
核酸増幅装置(1)の各流路の形状:円形
核酸増幅装置(1)の各流路の直径: 3mm
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の形状: 直方形状
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の幅: 0.5mm
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の深さ: 0.5mm
試料液:15μL
リアルタイムPCRにおけるサーマルサイクル条件: 98℃で30秒加熱後、さらに98℃で2秒と58℃で4秒を45サイクル繰り返す。
上記条件でリアルタイムPCRを行うことにより、試料の移動を停止する際の残圧の影響を抑えつつ、第1流路(14)の過剰な圧力によるポンプへのダメージを抑制すこともできる。
【実施例2】
【0058】
図8に概要を示す核酸増幅装置(1’)及び核酸増幅用チップ(2’)を用いてリアルタイムPCRを行う。測定条件は以下の通り:
核酸増幅装置(1)の各流路の形状:円形
核酸増幅装置(1)の各流路の直径: 3mm
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の形状: 直方形状
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の幅: 0.5 mm
核酸増幅用チップ(2)のチップ流路の深さ: 0.5 mm
試料液:15μL
試料液の中間流路の通過速度を60mm/sとなるように設定する。
試料液を流路内で停止させるために第1三方向電磁弁及び第2三方向電磁弁を制御後0.4秒以内にポンプを停止する。
リアルタイムPCRにおけるサーマルサイクル条件: 98℃で30秒加熱後、さらに98℃で2秒と58℃で4秒を45サイクル繰り返す。
上記条件でリアルタイムPCRを行うことにより、試料の移動を停止する際の残圧の影響を抑えつつ、第1流路(14’)の過剰な圧力によるポンプへのダメージを抑制すこともできる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・核酸増幅装置、2・・・核酸増幅用チップ、3・・・基板、4・・・第1ヒーター、5・・・第2ヒーター、6・・・送液用機構、7・・・第1四方向弁、8・・・第2四方向弁、9・・・第1二方向弁、10・・・第2二方向弁、11・・・制御装置、12・・・第1接続部、13・・・第2接続部、14・・・第1流路、15・・・第2流路、16・・・第3流路、17・・・第4流路、18・・・第5流路、19・・・第6流路、20・・・第7流路、21・・・第8流路、22・・・第9流路、23・・・第1曲線流路、24・・・第2曲線流路、25・・・中間流路、26、27・・・接続部、28・・・第1接続流路、29・・・第2接続流路、30・・・試料液、31・・・第一フィルター、32・・・第2フィルター、33・・・サンプル注入口
1’・・・核酸増幅装置、2’・・・核酸増幅用チップ、3’・・・基板、4’・・・第1ヒーター、5’・・・第2ヒーター、6’・・・送液用機構、7’・・・第1三方向弁、8’・・・第2三方向弁、11’・・・制御装置、12’・・・第1接続部、13’・・・第2接続部、14’・・・第1流路、15’・・・第2流路、16’・・・第3流路、21”・・・第4流路、22”・・・第5流路、23’・・・第1曲線流路、24’・・・第2曲線流路、25’・・・中間流路、26’、27’・・・接続部、28’・・・第1接続流路、29’・・・第2接続流路、30’・・・試料液