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  • 特許-デッサンクロススケール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】デッサンクロススケール
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/02 20200101AFI20240112BHJP
【FI】
G01B3/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020147133
(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公開番号】P2022032892
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520334513
【氏名又は名称】菅沼 荘二郎
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 荘二郎
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-023795(JP,U)
【文献】実開昭50-003662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視板において、透視枠内の透視窓域全体が、面としては切除されて、開放された透視窓即ち開放透視窓として形成されており、透視板外枠全体が黒でなく透明になった透視板透明外枠として形成されており、
このような枠体としての透視板透明外枠の片面側において、
短手、長手を夫々二等分するクロス直線上に、丁度障子面を仕切る組子の様に、組子とほぼ同様の厚み・幅を持ったプレート材を、厚み面を透視板透明外枠板面に接着させ、幅面を直交させ、端から端まで渡し通す形で、透視板透明外枠及び開放透視窓を四等分にクロスに仕切るクロス仕切りと成し、長手を二等分するのがクロス仕切り垂直片、短手を二等分に仕切るのがクロス仕切り水平片と呼称するのであるが、
このクロス仕切り側の反対側面を正面として、縦長に立て置いた状態において、
クロス仕切りの交差点をモチーフ中心測点と成し、クロス仕切り垂直片の左右側面を夫々垂直測定左側面及び垂直測定右側面と成し、クロス仕切り水平片の上下面を夫々水平測定上面及び水平測定下面と成し、クロス仕切り垂直片及びクロス仕切り水平片の正面を測定正面と成すことを特徴とするデッサンクロススケール。
【請求項2】
クロス仕切りの垂直片の測定正面において、
透視枠上端からクロス仕切り水平片までの中間地点までが黒く塗りつぶされた仕切り判別アッパーマークと成し、透視枠下端から透視板透明外枠下端までが同様に塗りつぶされた仕切り判別ダウンマークと成し、クロス仕切り水平片から透視枠下端までの中間地点までが同様に塗りつぶされた仕切り判別垂直センターマークと成し、
クロス仕切り水平片の測定正面において、
透視枠左端からクロス仕切り垂直片までの中間地点までが同様に塗りつぶされた仕切り判別レフトマークと成し、透視枠右端から透視板透明外枠右端までが同様に塗りつぶされた仕切り判別ライトマークと成し、クロス仕切り垂直片から透視枠右端までの中間地点までが同様に塗りつぶされた仕切り判別水平センターマークと成すことを特徴とする、請求項1に記載のデッサンクロススケール。
【請求項3】
水平測定下面のモチーフ中心測点際の左右に、各々一端を取付けて、垂直測定左側面及び垂直測定右側面に沿って軽く接触気味に、クロス仕切り垂直片下端までの中間地点まで吊り下げる形で、左右二つの垂直測定錘片が設けてあることを特徴とする、請求項1に記載のデッサンクロススケール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に石膏デッサンに用いる測定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デッサン用の測定具で、装置ではなく小型のスケールとして利用されているものでは,ドラパスBスケールデッサン用B列紙判54012やホルベイン社のDessinScale-D等が代表的である。それらは、木炭紙サイズ用、B列用、キャンバスサイズ用等、用途に合わせて画用紙等支持体画面の規格サイズの縦横比と一致する様につくられた透明な樹脂プレートの片面に、窓枠線とその内部を格子状に区切る黒い線がプリントされ、窓枠線の外側全体が黒くぬりつぶされた形となっており、一般に、このプレート板全体を透視板と呼び、窓域を透視窓と呼び、窓枠を透視枠と呼んでおり、透視枠の外側全域が黒く塗りつぶされた領域を透視板外枠、と呼称して以下説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大型装置的な透視枠と異なり、デッサンスケールは一枚のテンプレートみたいなもので、「設置」する必要がなく、手軽に持ち歩き、野外制作にも重宝し、複数人で一つのモチーフを囲んで描く時にも、他人の邪魔にならず、狭小場所でも何の支障もなく利用できるメリットを有するが、特有のデメリットもあって、基本的に手で持って使うために、腕手の搖動で透視枠とモチーフとの位置関係が不安定にズレてしまい、又描く内にどうしても描き手の視点が無意識にズレがちになることが避けられず、モチーフ・透視枠・視点の相互位置関係を厳密に保つことは本来的に無理である。
本発明は、そうした本来的に無理な課題を実現しようというのではなく、厳密な正確さとの誤差を、先行技術よりも確実に減らし、且つ修正を即座に簡単に可能にするための手段を提供しようとするものである。
【課題を実現するための手段】
【0004】
透視板において、透視枠内の透視窓域全体が面としては切除されて、開放された透視窓即ち開放透視窓として形成されており、透視板外枠全体が黒でなく透明になった透視板透明外枠として形成されており、
このような枠体としての透視板透明外枠の片面側において、短手・長手を夫々二等分するクロス直線上に、約2mm厚×約5mm幅のプレート材を、厚み面を透視板透明外枠板面に接着させ、幅面を直交させ、端から端まで渡し通す形で、丁度障子面を仕切る組子の様に、透視板透明外枠及び開放透視窓を四等分にクロスに仕切るクロス仕切と成し、長手を二等分するのがクロス仕切リ垂直片、及び短手を二等分に仕切るのがクロス仕切水平片、と呼称する。
このクロス仕切り側の反対側面を正面として、縦長に立て置いた状態において、クロス仕切りの交差点をモチーフ中心測点と成し、クロス仕切り垂直片の左右側面を夫々垂直測定左側面及び垂直測定右側面と成し、クロス仕切り水平片の上下面を夫々水平測定上面及び水平測定下面と成し、クロス仕切り垂直片及びクロス仕切り水平片の正面を測定正面と成す。
クロス仕切り垂直片の測定正面において、透視枠上端からクロス仕切り水平片までの中間地点までが黒く塗りつぶされて仕切り判別アッパーマークと成し、透明枠下端から透視板透明外枠下端までが同様に塗りつぶされて仕切り判別ダウンマークと成し、クロス仕切り水平片から透視枠下端までの中間地点までが同様に塗りつぶされて仕切り判別垂直センターマークと成す。
クロス仕切り水平片の測定正面において、透視枠左端からクロス仕切り垂直片までの中間地点までが同様に塗りつぶされて仕切り判別レフトマークと成し、透視枠右端から透視板透明外枠右端までが同様に塗りつぶされて仕切り判別ライトマークと成し、クロス仕切り垂直片から透視枠右端までの中間地点までが同様に塗りつぶされた仕切り判別水平センターマークと成す。
水平測定下面のモチーフ中心測点際の左右に、各々一端を取付けて、垂直測定左側面及び垂直測定右側面に沿って軽く接触気味に、クロス仕切り垂直片下端までの中間地点まで吊り下げる形で、左右二つの垂直測定錘片が設けてある。
全体として斯様に構成された透視板をデッサンクロススケールと呼称し、これをこれの正面に向かい合う形で片手で取り上げ、目と前方のモチーフとを結ぶ線上に直交垂直面を成す様にかざして使用する。
以上を特徴とするデッサンクロススケールである。
【発明の効果】
【0005】
透明板を通してモチーフを測定するのではなく、開放透視窓という開放空間で測定するので、モチーフが見やすい。クロス仕切りの幅面によって、上下左右の傾きがチェックできるので、モチーフの中心点と測定する視点を結ぶ線に垂直な画面が設定しやすい。6か所の判別マークが測定を容易にする。左右のどちらかの垂直測定錘片がクロス仕切り垂直片の左右の側面から離れていないかをチェックすることで、より正確により迅速に垂直測定ができる。透視板透明外枠を手に持つことにより、見えやすい空間の画面内と透明な外枠を同時に見ながら測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】既存のデッサン用透視板の正面図
図2】本発明の斜視図
図3】本発明の一部の斜視図
図4】イ 本発明の使用状態を示すイメージ斜視図 ロ イで描かれた描図 横線はクロス仕切り水平片で測定した測定線 縦線はクロス仕切り垂直片で測定した測定線
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
透視板(A)において、透視枠(2)内の透視窓(B)域全体が面として切除されて、開放された透視窓(B)即ち開放透視窓(3)として形成されており、透視板外枠(C)全体が黒でなく透明になった透視板透明外枠(4)として形成されており、
このような枠体としての透視板透明外枠(4)の片面側において、短手、長手を夫々二等分するクロス直線上に、約2ミリ厚×約5ミリ幅のプレート材を、厚み面を透視板透明外枠(4)板面に接着させ、幅面を直交させ、端から端まで渡し通す形で、丁度障子面を仕切る組子の様に、透視板透明外枠(4)及び開放透視窓(3)を四等分にクロスに仕切るクロス仕切り(5)と成し、長手を二等分するのがクロス仕切り垂直片、(6)短手を二等分に仕切るのがクロス仕切り水平片(7)と呼称するのであるが、
このクロス仕切り(5)側の反対側面を測定正面(13)として、縦長に立て置いた状態において、クロス仕切り垂直片(6)の左右側面を夫々垂直測定左側面(9)及び垂直測定右側面(10)と成し、クロス仕切り水平片(7)の上下面を夫々水平測定上面(11)及び水平測定下面(12)と成し、測定正面(13)上で、クロス区仕切り垂直片(6)とクロス仕切り水平片(7)がクロスするする一点をモチーフ中心測点(8)と成し、
クロス仕切り垂直片(6)の測定正面(13)において、透視枠(2)上端からクロス仕切り水平片(7)までの中間地点までが黒く塗りつぶされて仕切り判別アッパーマーク(14)と成し、透明枠(2)下端から透視板透明外枠(4)下端までが同様に塗りつぶされて仕切り判別ダウンマーク(15)と成し、クロス仕切り水平片(7)から透視枠(2)下端までの中間地点までが同様に塗りつぶされて仕切り判別垂直センターマーク(16)と成し、
クロス仕切り水平片(7)の測定正面(13)において、透視枠(2)左端からクロス仕切り垂直片(6)までの中間地点までが同様に塗りつぶされて仕切り判別レフトマーク(17)と成し、透視枠(2)右端から透視板透明外枠(4)右端までが同様に塗りつぶされて仕切り判別ライトマーク(18)と成し、クロス仕切り垂直片(6)から透視枠(2)右端までの中間までが同様に塗りつぶされて仕切り判別水平センターマーク(19)と成し、
水平測定下面(12)と垂直測定左側面(9)がクロスする一端から垂直測定左錘片(20)、及び水平測定下面と垂直測定右側面がクロスする一端から垂直測定右錘片(21)を夫々の面に軽く接触気味に、クロス垂直片下端までの中間地点まで吊り下げる形で、垂直測定錘片が設けてある。
本発明は以上のような構成である。
本発明を使用するときはデッサンクロススケール(1)を手に持って、描くべきモチーフに当てがい、モチーフが透視枠(2)内の開放透視窓(3)に収まるように操作する。透視板透明外枠(4)が透明なので窓の内側外側共に見える状態でモチーフを枠内に収めやすい。測定するとき、モチーフ中心点(α)と視点(β)とを結ぶ直線上にモチーフ中心測点(8)がくるように片目で操作し、この直線に垂直な画面が測定上必要になるが、そのためにはクロス仕切り(5)のクロス仕切り垂直片(6)の垂直測定左側面(9)垂直測定右側面(10)、クロス仕切り水平片((7)の水平測定上面(11)と水平測定下面(12)が見えなくなると共に、測定正面(13)だけが見えるようにすればより正確に垂直な画面が設定できる。従来の透視板(A)ではこれができない。
モチーフをデッサンクロススケール(1)に好みの領域で収めるときには、上下の大きさの関係を調べるのに仕切り判別アッパーマーク(14)と仕切り判別ダウンマーク(15)と仕切り判別垂直センターマーク(16)を使用し、左右の大きさの関係を調べるのには、仕切り判別レフトマーク(17)と仕切り判別ライトマーク(18)と仕切り判別水平センターマーク(19)を使用すれば便利である。判別マークは幅を持っているので、既存のスケールの細線の区切りに比べ、より視認しやすい。
画面が垂直になるためには、垂直測定左錘片(20)と垂直測定右錘片(21)が共にクロス仕切り垂直片(6)に軽く接触している状態にすればよい。これによって捉えられるデッサン対象の正確性は、従来の透視板では到底実現されえない。
【符号の説明】
【0008】
1 デッサンクロススケール、 2 透視枠、 3 開放透視窓、 4 透視板透明外枠、 5 クロス仕切り、 6 クロス仕切り垂直片、 7 クロス仕切り水平片、 8 モチーフ中心測点、 9 垂直測定左側面、 10 垂直測定右側面、 11 水平測定上面、 12 水平測定下面、 13 測定正面、 14 仕切り判別アッパーマーク、 15 仕切り判別ダウンマーク、 16 仕切り判別垂直センターマーク、 17 仕切り判別レフトマーク、 18 仕切り判別ライトマーク、 19 仕切り判別水平センターマーク、 20 垂直測定左錘片、 21 垂直測定右錘片, α モチーフ中心点, β 視点、 A 透視板、 B 透視窓、 C 透視板外枠
図1
図2
図3
図4