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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240112BHJP
【FI】
G06Q10/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023140010
(22)【出願日】2023-08-30
【審査請求日】2023-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501156350
【氏名又は名称】株式会社ベイビッグ
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】大浦 覚
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-129089(JP,A)
【文献】特開2019-149765(JP,A)
【文献】特開2017-027246(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113775(WO,A1)
【文献】特開2017-068450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の管理対象を管理するための管理システムであって、
前記1以上の管理対象の各々に保持され、検知用信号を無線送信する1以上の発信器と、
前記検知用信号を受信する複数の受信器と
1以上の装置とを含み、
前記1以上の装置は、
前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、複数の地点のうち、どの地点から直後にどの地点に移動したかを示す移動線分を前記1以上の発信器の各々に対して判定し、
前記移動線分の発生頻度を検出する
管理システム。
【請求項2】
前記1以上の装置は、さらに、
検出された前記発生頻度が予め定められた数より多い移動線分を標準移動線分として抽出し、
前記標準移動線分に含まれない移動線分が検出された発信器を特定する
請求項1記載の管理システム。
【請求項3】
前記1以上の装置は、さらに、
前記移動線分の指定を受け付け、
前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、指定された前記移動線分に対応する移動元の地点から移動先の地点までの移動時間を前記1以上の発信器の各々に対して判定する
請求項1記載の管理システム。
【請求項4】
前記1以上の装置は、さらに、
前記地点の指定を受け付け、
前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、指定された前記地点に発信器が到着した後、離れるまでの時間である停留時間を前記1以上の発信器の各々に対して判定する
請求項1記載の管理システム。
【請求項5】
前記1以上の装置は、さらに、
前記移動線分を受け付け、
指定された前記移動線分の期間毎の発生頻度を検出する
請求項1記載の管理システム。
【請求項6】
前記1以上の装置は、さらに、
発生順序に関わらない複数の移動線分の組み合わせである移動線分群の発生頻度を検出する
請求項1記載の管理システム。
【請求項7】
前記1以上の装置は、さらに、
複数の移動線分の発生順序を含む組み合わせである移動線分列の発生頻度を検出する
請求項1記載の管理システム。
【請求項8】
前記1以上の装置は、さらに、
検出した前記移動線分の前記発生頻度を示すヒストグラムを生成する
請求項1記載の管理システム。
【請求項9】
1以上の管理対象を管理するための管理システムにおける管理方法であって、
前記管理システムは、
前記1以上の管理対象の各々に保持され、検知用信号を無線送信する1以上の発信器と、
前記検知用信号を受信する複数の受信器と
1以上の装置とを含み、
前記管理方法は、前記1以上の装置により、
前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、複数の地点のうち、どの地点から直後にどの地点に移動したかを示す移動線分を前記1以上の発信器の各々に対して判定し、
前記移動線分の発生頻度を検出する
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の管理対象を管理するための管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業者等の行動を管理する方法として、例えば、特許文献1には、光信号を用いて、作業者等の位置及び移動の軌跡を判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6509699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムでは、容易に管理対象を管理できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、容易に管理対象を管理できる管理システム又は管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る管理システムは、1以上の管理対象を管理するための管理システムであって、前記1以上の管理対象の各々に保持され、検知用信号を無線送信する1以上の発信器と、前記検知用信号を受信する複数の受信器とを含み、前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、複数の地点のうち、どの地点から直後にどの地点に移動したかを示す移動線分を前記1以上の発信器の各々に対して判定し、前記移動線分の発生頻度を検出する。
【0007】
これによれば、検出された移動線分の発生頻度を参照して、標準的な作業手順を判断できる。よって、当該管理システムは、容易に管理対象を管理できる。
【0008】
例えば、前記管理システムは、さらに、検出された前記発生頻度が予め定められた数より多い移動線分を標準移動線分として抽出し、前記標準移動線分に含まれない移動線分が検出された発信器を特定してもよい。
【0009】
これによれば、当該管理システムは、標準的な移動と異なる移動を行っている管理対象を検出できる。
【0010】
例えば、前記管理システムは、さらに、前記移動線分の指定を受け付け、前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、指定された前記移動線分に対応する移動元の地点から移動先の地点までの移動時間を前記1以上の発信器の各々に対して判定してもよい。
【0011】
これによれば、判定された移動時間を参照して、指定された移動線分に対応する区間における標準的な移動時間を判断できる。
【0012】
例えば、前記管理システムは、さらに、前記地点の指定を受け付け、前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、指定された前記地点に発信器が到着した後、離れるまでの時間である停留時間を前記1以上の発信器の各々に対して判定してもよい。
【0013】
これによれば、判定された停留時間を参照して、指定された地点における標準的な停留時間を判断できる。
【0014】
例えば、前記管理システムは、さらに、前記移動線分を受け付け、指定された前記移動線分の期間毎の発生頻度を検出してもよい。
【0015】
これによれば、検出された、指定された移動線分の期間毎の発生頻度を参照して、指定された移動線分の期間毎の発生頻度を判断できる。例えば、移動線分の期間毎の発生頻度を参照して、移動状況の変化又は改善等を判断できる。
【0016】
例えば、前記管理システムは、さらに、発生順序に関わらない複数の移動線分の組み合わせである移動線分群の発生頻度を検出してもよい。
【0017】
これによれば、発生順序に関わらない複数の移動線分の組み合わせである移動線分群の発生頻度を判断できる。よって、例えば、移動線分単体の解析では検出できない事象、又は検出が困難な事象を検出できる。
【0018】
例えば、前記管理システムは、さらに、複数の移動線分の発生順序を含む組み合わせである移動線分列の発生頻度を検出してもよい。
【0019】
これによれば、複数の移動線分の発生順序を含む組み合わせである移動線分列の発生頻度を判断できる。よって、例えば、移動線分単体の解析では検出できない事象、又は検出が困難な事象を検出できる。
【0020】
例えば、前記管理システムは、さらに、検出した前記移動線分の前記発生頻度を示すヒストグラムを生成してもよい。
【0021】
これによれば、生成されたヒストグラムを参照して、標準的な作業手順を判断できる。よって、当該管理システムは、容易に管理対象を管理できる。
【0022】
また、本発明の一態様に係る管理方法は、1以上の管理対象を管理するための管理システムにおける管理方法であって、前記管理システムは、前記1以上の管理対象の各々に保持され、検知用信号を無線送信する1以上の発信器と、前記検知用信号を受信する複数の受信器とを含み、前記管理方法は、前記複数の受信器で受信された前記検知用信号に基づき、複数の地点のうち、どの地点から直後にどの地点に移動したかを示す移動線分を前記1以上の発信器の各々に対して判定し、前記移動線分の発生頻度を検出する。
【0023】
これによれば、検出された移動線分の発生頻度を参照して、標準的な作業手順を判断できる。よって、当該管理方法は、容易に管理対象を管理できる。
【0024】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、容易に管理対象を管理できる管理システム又は管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施の形態に係る管理システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る発信器のブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る受信器のブロック図である。
図4図4は、実施の形態に係る管理装置のブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係る管理装置の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態に係る管理装置に蓄積される情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る管理装置により蓄積された情報から算出される情報の例を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る移動線分の例を示す図である。
図9図9は、実施の形態に係る移動線分の例を示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る移動線分の例を示す図である。
図11図11は、実施の形態に係る移動線分のヒストグラムの例を示す図である。
図12図12は、実施の形態に係る移動線分群のヒストグラムの例を示す図である。
図13図13は、実施の形態に係る移動線分列のヒストグラムの例を示す図である。
図14図14は、実施の形態に係る異常行動検出処理のフローチャートである。
図15図15は、実施の形態に係る管理装置により算出される情報の例を示す図である。
図16図16は、実施の形態に係る移動時間のヒストグラムの例を示す図である。
図17図17は、実施の形態に係る停留時間のヒストグラムの例を示す図である。
図18図18は、実施の形態に係る期間毎の度数のヒストグラムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0029】
工場等において、生産物に対して複数の作業を行う場合において、作業を行う地点間の移動等を効率化できることが望まれている。具体的には、生産物又は加工対象等の対象物をフォークリフトで運搬する場合には、運搬を効率化することでフォークリフトの数を削減できる。
【0030】
また、このような複数の作業が行われる場合には、誤った順序で作業が行われることを防止する必要がある。例えば、生産物がラインを流れる場合に、検査の結果に応じて、生産物が一旦ラインから外され、修正又は調整された後、再度ラインに戻るケースがある。このような場合、予め定められた工程に生産物を戻す必要があるが誤った工程に生産物が戻されてしまう場合もある。
【0031】
また、このようなシステムでは、例えば、予め正しい作業手順を登録し、実際に行われている手順が正しい手順にあっているかを判定する必要がある。つまり、各施設等の状況に応じた事前の登録等に手間がかかるという課題がある。
【0032】
本実施の形態では、このような対象物の移動が正しく行われているか、及び効率的に行われているかを管理できるとともに、システムの導入を容易に行なえる管理システムについて説明する。
【0033】
[管理システムの構成]
まず、本実施の形態に係る管理システムの構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る管理システム100の構成を示す図である。この管理システム100は1以上の管理対象の動作(移動)を管理する。図1では、管理対象の移動体101がフォークリフトである例を示している。なお、管理対象は、フォークリフトに限らず、移動体(車両又は人物等)又は物品等であってもよい。
【0034】
ここでは、工場等において、作業の対象の対象物に対して複数の作業を含む作業工程が行われる場合を例に説明する。対象物は、フォークリフトにより作業地点間を運搬され、各地点において対象物に対する作業が行われる。ここで、作業とは、対象物の加工、組み立て、検査、及び調整等である。
【0035】
なお、ここで述べる使用用途は一例であり、本実施の形態の手法は、1以上の管理対象を管理する任意のシステムに適用可能である。
【0036】
管理システム100は、管理装置102と、複数の受信器103と、複数の発信器104とを含む。なお、図1に示す各要素の数は一例であり、図1に示す数に限定されない。
【0037】
図1に示すように、管理システム100により管理される領域には、複数の地点105が設定されている。ここで、地点105とは、作業が行われる範囲(領域)であり、1つの地点105に1つの受信器103が設定されている。なお、地点105に対応する範囲の形状は矩形である必要ない。また、複数の地点105は離間して配置されてもよいし、隣接して配置されてもよいし、一部が重複するように配置されてもよい。
【0038】
複数の発信器104の各々は、管理対象の移動体101に搭載(装着)される。なお、発信器104は、移動体101を運転する作業者に保持(携帯又は装着)されてもよい。または、移動体101により運搬される対象物に装着されてもよい。また、対象物を運搬する移動体101は、フォークリフトに限らない。例えば、移動体は車両又は台車等であってもよい。
【0039】
発信器104は、定期的に検知用信号151を無線送信する。複数の受信器103は、発信器104から定期的に無線送信される検知用信号151を受信する。複数の受信器103は、受信した検知用信号151に関する情報を含む通知信号153を管理装置102へ送信する。
【0040】
管理装置102は、通知信号153に含まれる情報を用いて、複数の移動体101の位置及び動作(移動)を検知及び管理する。
【0041】
[発信器の構成]
図2は、発信器104の構成を示すブロック図である。この発信器104は、ID記憶部121と、制御部122と、無線送信部123と、通信部124と、提示部125と、電源部126とを備える。
【0042】
ID記憶部121は、当該発信器104を一意に特定するための情報である発信器ID(発信器識別子)を記憶する。
【0043】
制御部122は、発信器IDを含む検知用信号151を、無線送信部123を介して、無線送信する。
【0044】
無線送信部123は、検知用信号151の送信を行う。検知用信号151は、例えば、IEEE802.15.4に準拠する無線信号であり、920MHz帯、950MHz帯又は2.4GHz帯の無線信号である。なお、検知用信号151に、LPWA(Low Power,Wide Area)の無線信号が用いられてもよい。また、検知用信号151は上記以外の任意の方式の無線信号であってもよい。
【0045】
通信部124は、管理装置102と通信を行う。なお、発信器104と管理装置102との通信方法は、特に限定されないが、例えば、公衆電話網、インターネット回線(無線或LAN、又はWi-Fi(登録商標)等を含む)、又は、独自の無線ネットワーク等を用いることができる。通信部124は、管理装置102から後述する提示信号152を受信する。
【0046】
提示部125は、情報を提示するための装置であり、例えば、ディスプレイ及び/又はマイクロフォン等である。
【0047】
電源部126は、当該発信器104に電力を供給する電源であり、例えば、電池又はバッテリー等である。
【0048】
なお、発信器104は、ユーザの操作を受け付けるボタン又はタッチパネル等の操作部を備えてもよい。
【0049】
[受信器の構成]
図3は、受信器103の構成を示すブロック図である。受信器103は、ID記憶部131と、制御部132と、無線受信部133と、通信部134とを備える。
【0050】
ID記憶部131は、当該受信器103を一意に特定するための情報である受信器ID(受信器識別子)を記憶する。
【0051】
無線受信部133は、発信器104から無線送信された検知用信号151を受信する。
【0052】
制御部132は、無線受信部133が検知用信号151を受信した場合、通知信号153を生成し、通信部134を介して、管理装置102に送信する。
【0053】
通知信号153は、例えば、受信した検知用信号151の送信元の発信器104の発信器IDと、当該受信器の受信器IDと、検知用信号151の受信を開始した時刻である到着時刻と、検知用信号151の受信が終了した時刻である離脱時刻とを含む。なお、検知用信号151を受信するとは、検知用信号151の受信電波強度が予め定められた閾値以上であることを意味する。また、一定時間、検知用信号151の受信が継続した場合に、受信が開始されたと判定されてもよい。同様に、検知用信号151の受信が継続した後に、一定時間、検知用信号151の受信が行われてない場合に受信が終了したと判定されてもよい。
【0054】
また、ここでは、受信器103が到着時刻及び離脱時刻を判定する例を述べるが、通知信号153は、到着時刻及び離脱時刻の代わりに、時間毎の検知用信号151の受信電波強度を示す情報、又は時間毎の検知用信号151の受信があったか否かを示す情報(受信電波強度が閾値以上であるか否か示す情報)を含み、管理装置102において当該情報を用いて到着時刻及び離脱時刻が判定されてもよい。
【0055】
また、受信器103は、到着時刻と離脱時刻とをまとめて管理装置102へ送信するのではなく、検知用信号151の受信を開始した時点で到着時刻を管理装置102へ送信し、検知用信号151の受信が終了した時点で離脱時刻を管理装置102へ送信してもよい。
【0056】
通信部134は、管理装置102と通信を行う。なお、受信器103と管理装置102との通信方法は、特に限定されないが、例えば、発信器104に含まれる通信部124と同様の方法を用いることができる。なお、受信器103と管理装置102との通信は中継器等の他の機器を介して行われてもよい。また、受信器103は、管理装置102から送信された提示信号153を発信器104へ中継してもよい。
【0057】
[管理装置の構成]
次に、管理装置102の構成を説明する。図4は、管理装置102の構成を示すブロック図である。管理装置102は、通信部141と、記憶部142と、管理部143と、表示部144とを備える。
【0058】
通信部141は、受信器103から送信された通知信号153を受信する。また、通信部141は、発信器104に警告等の提示を指示する提示信号152を送信する。
【0059】
記憶部142は、複数の受信器103から送信された通知信号153に含まれる情報を記憶する。また、記憶部142は、管理装置102において算出された各種情報を記憶する。
【0060】
管理部143は、記憶部142に記憶された情報等を用いて発信器104の移動を管理する。表示部144は、発信器104の移動に関する情報を表示する。
【0061】
なお、管理システム100の構成は、図1に示す構成に限定されない。例えば、管理システム100は、複数の管理装置102を含んでもよい。また、管理装置102の機能は、複数の機器により実現されてもよい。例えば、管理装置102の機能の一部が、PCにより実現され、他の一部が、スマートフォン等の携帯端末により実現されてもよい。
【0062】
また、受信器103が管理装置102の少なくとも一部の機能を有してもよいし、管理装置102が受信器103の少なくとも一部の機能を有してもよい。例えば、受信器103が管理装置102の全ての機能を有し、管理システム100に管理装置102が含まれなくてもよい。
【0063】
また、管理装置102と受信器103とが単一の機器として実現される場合には、当該管理装置102と受信器103との間の信号の伝達は、機器内で行われる。言い換えると、上述した通知信号153の伝達は、ネットワーク等を介した機器間の伝達に限らず、機器内の信号の伝達も含む。
【0064】
[管理システムの動作]
次に、管理システム100の動作を説明する。図5は、管理装置102の動作を示すフローチャートである。まず、管理装置102は、所定の期間において、複数の受信器103から複数の通知信号153を受信し、受信した複数の通知信号153に含まれる情報を蓄積する(S101)。
【0065】
図6は、管理装置102に蓄積される情報の一例を示す図である。図6に示すように、検知用信号151の送信元の発信器104の発信器IDと、工程種別IDと、検知用信号151を受信した受信器103の受信器IDと、検知用信号151の受信が開始された時刻である到着時刻と、検知用信号151の受信が終了した時刻である離脱時刻とが紐づけられて蓄積される。なお、工程種別IDは、作業工程の種別を示す識別子であり、例えば、検知用信号151に含まれる。例えば、工場において、複数種類の作業工程が行わる場合(例えば、対象物の種別が異なる場合、又は、作業工程の内容が異なる場合)には、各作業工程を区別するために工程種別IDが用いられる。なお、作業工程が共通の場合には、工程種別IDは用いられなくてもよい。
【0066】
また、発信器IDは、複数の分類を示す複数のIDの組であってもよい。例えば、IDの上位のビットにより1又は複数の分類(属性)が示されてもよい。例えば、分類とは、使用目的、対象物の種別、使用場所等を含む。
【0067】
次に、管理装置102は、蓄積された情報を用いて移動線分を判定する(S102)。つまり、管理装置102は、複数の受信器103で受信された検知用信号151に基づき、移動線分を複数の発信器104の各々に対して判定する。ここで、移動線分とは、複数の地点105のうち、どの地点105から直後にどの地点105に移動したかを示す情報である。
【0068】
図7は、管理装置102により蓄積された情報から算出される情報の例を示す図である。図7に示すように、管理装置102は、図6に示す各データセット(図6の1行の情報)毎に移動線分を示す線分IDを判定する。まず、管理装置102は、同じ発信器IDを有する複数のデータセットを到着時刻又は離脱時刻でソートし、連続するデータセットを抽出することで、移動元地点と移動先地点とを判定する。管理装置102は、移動元地点(移動元受信器)と移動先地点(移動先受信器)との組に対して予め設定された線分IDを判定する。
【0069】
また、管理装置102は、移動元地点における離脱時刻と移動先地点における到着時刻との差分である移動時間を算出する。つまり、移動時間は、発信器104が、移動元地点から移動先地点へ移動するのに要した時間である。
【0070】
管理装置102は、移動元地点における到着時刻と離脱時刻との差分である停留時間を算出する。つまり、停留時間は、発信器104が移動元地点に留まっていた時間である。なお、移動線分に対応する停留時間として、移動元地点ではなく、移動先地点における到着時刻と離脱時刻との差分が算出されてもよい。
【0071】
また、管理装置102は、作業工程を識別する工程IDを判定する。この工程IDは、例えば、同一の移動体101により同じ作業工程が繰り返し行われる場合において、各作業工程を識別するために用いられる。例えば、作業工程の種別毎に、工程開始地点と、工程終了地点とが予め設定される。管理装置102は、同じ発信器IDを有する複数のデータセットを到着時刻又は離脱時刻でソートし、工程開始地点に対応する受信器IDの受信器103で発信器104が検知され、工程終了地点に対応する受信器IDの受信器103で発信器104が検知されるまでの、データセットを1つの工程IDに対応付ける。
【0072】
また、管理装置102は、各データセットに日時の情報を付加する。なお、図7では日単位で日時の情報が付加されているが、単位は日に限定されず、時間単位であってもよいし、週又は月等、任意の単位であってもよい。
【0073】
また、ここでは、1つの地点105において1つの作業が行われる例を示すが、1つの地点105において複数の作業が行われてもよいし、作業が行われない地点105が存在してもよい。例えば、作業が行われてない地点105とは、作業が行われる2つの地点105の間に位置する経路等である。
【0074】
また、ここでは、1つの地点105に対して1つの受信器103が配置される例を示すが、1つの地点105に対して複数の受信器103が配置されてもよい。また、複数の地点105に対して、当該複数の地点105の数より少ない数の受信器103が配置されてもよい。この場合、複数の受信器103で受信される受信電波強度の組み合わせに基づき、発信器104の位置を推定できる。例えば、2つの受信器103において受信電波強度が閾値以上である場合には、発信器104は、当該2つの受信器103の間の領域に存在すると推定できる。さらに、受信電波強度の強弱に基づき、より詳細な位置を推定することもできる。また、地点105と受信器103とが一対一対応していない場合には、管理装置102は、受信器103毎の情報を地点105単位の情報に変換する。
【0075】
図8図10は、移動線分の例を示す図である。同図では、6個の地点105A~105Fにそれぞれ受信器103A~103Fが設けられている例であり、例えば、地点105Aは工程開始地点であり、地点105Fは工程終了地点である。
【0076】
図8に示す例では、発信器104(移動体101)は地点105Aに移動し(S201)、地点105Aから地点105Bに移動し(S202)、地点105Bから地点105Cに移動し(S203)、地点105Cから地点105Fに移動する(S204)。この場合、線分ID=001、002、003の3つの移動線分が検出される。
【0077】
図9に示す例では、発信器104は地点105Aに移動し(S211)、地点105Aから地点105Bに移動し(S212)、地点105Bから地点105Eに移動し(S213)、地点105Eから地点105Bに移動し(S214)、地点105Bから地点105Cに移動し(S215)、地点105Cから地点105Fに移動する(S216)。この場合、線分ID=001、004、005、002、003の5つの移動線分が検出される。ここで、図8に示す例と、図9に示す例とはいずれも同種の作業工程である。例えば、この例は、地点105Bで行われる作業が検査であり、検査をパスした場合には地点105Cに移動し、検査をパスしなかった場合には地点105Eで調整が行われた後、地点105Bで再度検査が行われる場合である。このように、同種の作業工程であっても、状況に応じて移動経路が異なる場合がある。
【0078】
また、図10に示す例では、発信器104は地点105Aに移動し(S221)、地点105Aから地点105Bに移動し(S222)、地点105Bから地点105Eに移動し(S223)、地点105Eから地点105Cに移動し(S224)、地点105Cから地点105Fに移動する(S225)。この場合、線分ID=001、004、006、003の4つの移動線分が検出される。この例は、例えば、本来の経路と異なる移動が行われた例であり、正しくは図9に示す移動が行われる必要があるが、地点105Eから地点105Bを経由せずに、地点105Cに移動が行われている。また、この場合、通常は発生しない線分ID=006の移動線分が検出される。
【0079】
このような誤った移動を検出するために、管理装置102は、検出された移動線分のヒストグラムを生成する(S103)。図11は、生成された移動線分のヒストグラムの例を示す図である。図11に示すヒストグラムは横軸が線分IDであり、縦軸は度数(移動線分の発生頻度)である。
【0080】
管理装置102は、このヒストグラムを用いて、通常の作業工程に発生しうる標準移動線分と、それ以外の異常移動線分とを判定する(S104)。例えば、管理装置102は、度数が閾値Th1以上の移動線分を標準移動線分と判定し、それ以外(度数が閾値Th1未満の移動線分)を異常移動線分と判定する。例えば、閾値Th1は、データセットの数に対する割合として設定されてもよい。
【0081】
以上の処理により、例えば、作業工程が複雑なケースであっても、自動的に通常と異なる移動を判定できる。また、上記のように移動先に分岐が発生する場合のみでなく、複数の作業は決められているが、その順序が決められていない場合もある。例えば、作業A、作業B、作業Cの3つの作業を行う場合に、作業A、作業B、作業Cの順に行ってもよいし、作業B、作業C、作業Aの順に行ってもよい場合も存在する。このような場合で、作業数が多くなると、通常と異なる移動を規定することが困難になる。このような場合でも、本手法を用いることで、自動的に通常と異なる移動を判定できる。
【0082】
なお、上記では移動線分を用いる例を示したが、移動線分の代わり、又は移動線分に加えて、移動線分群又は移動線分列が用いられてもよい。移動線分群は2以上の移動線分の組である。具体的には、移動線分群は、1回の作業工程で得られた複数の移動線分から2以上の移動線分を抽出したものである。1回の作業工程で得られた複数の移動線分とは、同じ工程IDが対応付けられている移動線分である。なお、移動線分群には、移動線分の発生順序及び発生の連続性は考慮されない。つまり、移動線分群は、発生順序に関わらない複数の移動線分の組み合わせである。
【0083】
例えば、1回の作業工程において、移動線分A、移動線分B、移動線分Cがこの順に発生した場合、移動線分群として、移動線分群a(移動線分Aと移動線分Bと組み)、移動線分群b(移動線分Aと移動線分Cとの組)、移動線分群c(移動線分Bと移動線分Cとの組)、移動線分群d(移動線分Aと移動線分Bと移動線分Cとの組)が得られる。また、1回の作業工程において、移動線分B、移動線分C、移動線分Aがこの順に発生した場合でも、同様の移動線分群a~dが得られる。
【0084】
図12は、管理装置102により生成される移動線分群のヒストグラムの例を示す図である。図12に示すヒストグラムは横軸が線分群IDであり、縦軸は度数(移動線分群の発生頻度)である。線分群IDは移動線分群と一意に対応付けられた識別子である。
【0085】
また、管理装置102は、このヒストグラムを用いて、通常の作業工程に発生しうる標準移動線分群と、それ以外の異常移動線分群とを判定する。例えば、管理装置102は、度数が閾値Th2以上の移動線分群を標準移動線分群と判定し、それ以外(度数が閾値Th2未満の移動線分群)を異常移動線分群と判定する。例えば、閾値Th2は、当該ヒストグラムの生成に用いられた移動線分群のデータセットの数に対する割合として設定されてもよい。
【0086】
このように移動線分群を用いることで移動線分の解析では判定できない、通常と異なる移動を判定することができる。例えば、単体の移動線分としては発生しうるが、1回の作業工程中には、組み合わせとして発生しえない移動線分を抽出できる。
【0087】
また、移動線分列とは、移動線分群と同様に、2以上の移動線分の組である。具体的には、移動線分列は、1回の作業工程で得られた複数の移動線分から2以上の移動線分を抽出したものである。1回の作業工程で得られた複数の移動線分とは、同じ工程IDが対応付けられている移動線分である。なお、移動線分列は、移動線分群とは異なり、移動線分の発生順序及び発生の連続性が考慮される。つまり、移動線分列に含まれる複数の移動線分は連続的に発生した複数の移動線分である。また、移動線分列は、複数の移動線分の発生順序を含む組み合わせである。
【0088】
例えば、1回の作業工程において、移動線分A、移動線分B、移動線分Cがこの順に発生した場合、移動線分列として、移動線分列a(移動線分Aと移動線分Bと組み)、移動線分列b(移動線分Bと移動線分Cとの組)、移動線分列c(移動線分Aと移動線分Bと移動線分Cとの組)が得られる。また、1回の作業工程において、移動線分B、移動線分C、移動線分Aがこの順に発生した場合には、上記と異なり、移動線分列b(移動線分Bと移動線分Cと組み)、移動線分列d(移動線分Cと移動線分Aとの組)、移動線分列e(移動線分Bと移動線分Cと移動線分Aとの組)が得られる。
【0089】
例えば、3つの地点α、β、γに対する移動線分として以下の6つの移動線分(線分A1、A2、B1、B2、C1、C2)が存在する。線分A1は地点αから地点βへの移動であり、線分A2は地点αから地点γへの移動であり、線分B1は地点βから地点γへの移動であり、線分B2は地点βから地点αへの移動であり、線分C1は地点γから地点αへの移動であり、線分C2は地点γから地点βへの移動である。
【0090】
また、3つの地点α、β、γを自由に移動する場合には、2つの移動線分で構成される移動線分群は、15(=6×5/2)通り存在する。また、3つの移動線分で構成される移動線分群は、20(=6×5×4/3/2)通り存在する。よって、2つの移動線分で構成される移動線分群と、3つの移動線分で構成される移動線分群との両方を抽出する場合には、移動線分願は35通り存在する。
【0091】
また、この場合の、2つの移動線分で構成される移動線分列は、12通り存在する。具体的には、移動線分列として、線分A1から線分B1、線分A1から線分B2、線分A2から線分C1、線分A2から線分C2、線分B1から線分A1、線分B1から線分A2、線分B2から線分C1、線分B2から線分C2、線分C1から線分A1、線分C1から線分A2、線分C2から線分B1、及び、線分C2から線分B2、の12通りが存在する。また、3つの移動線分で構成される移動線分列は、2つの移動線分で構成される移動線分列の2倍の24通り存在する。
【0092】
図13は、管理装置102により生成される移動線分列のヒストグラムの例を示す図である。図13に示すヒストグラムは横軸が線分列IDであり、縦軸は度数(移動線分列の発生頻度)である。線分列IDは移動線分列と一意に対応付けられた識別子である。
【0093】
また、管理装置102は、このヒストグラムを用いて、通常の作業工程に発生しうる標準移動線分列と、それ以外の異常移動線分列とを判定する。例えば、管理装置102は、度数が閾値Th3以上の移動線分列を標準移動線分列と判定し、それ以外(度数が閾値Th3未満の移動線分列)を異常移動線分列と判定する。例えば、閾値Th3は、当該ヒストグラムの生成に用いられた移動線分列のデータセットの数に対する割合として設定されてもよい。
【0094】
このように移動線分列を用いることで移動線分の解析では判定できない、通常と異なる移動を判定することができる。例えば、単体の移動線分としては発生しうるが、1回の作業工程中には、組み合わせ(順序及び連続性を含む)として発生しえない移動線分を抽出できる。
【0095】
[異常行動検出処理]
上記で判定された標準移動線分及び異常移動線分の情報は、管理装置102に記憶される。管理装置102は、当該情報を用いて、発信器104の異常行動を検出する。図14は、この異常行動検出処理のフローチャートである。なお、図14に示す処理は、所定の時間間隔で繰り返し行われる。または、当該処理は通知信号の受信をトリガに行われてもよい。
【0096】
まず、管理装置102は、複数の通知信号153を受信し(S111)、移動線分を判定する(S112)。次に、管理装置102は、判定した移動線分が標準移動線分であるか否かを判定する(S113)。移動線分が標準移動線分でない場合、つまり、移動線分が異常移動線分である場合(S113でNo)、管理装置102は、移動体101に警告を通知する(S114)。例えば、管理装置102は、警告の提示を指示する提示信号152を発信器104に送信する。提示信号152を受信した発信器104は、警告を提示する。例えば、発信器104は、画像、映像、発光、音声、振動又はこれらの組み合わせにより警告を移動体101を運転する作業者に提示する。
【0097】
一方、移動線分が標準移動線分である場合(S113でYes)、管理装置102は、処理を終了する。
【0098】
なお、ここでは、発信器104が警告を提示する例を示したが、移動体101を運転する作業者が別途端末装置を携帯する場合には、管理装置102は、当該端末装置に警告を提示するように指示してもよい。または、作業領域に固定設置されているデバイス(ディスプレイ等)に警告が提示されてもよい。
【0099】
なお、上記の処理はリアルタイムに行われてもよいし、所定の期間のデータの蓄積し、蓄積したデータに対してまとめて処理が行われてもよい。
【0100】
また、移動線分の代わりに、又は移動線分に加えて、移動線分群又は移動線分列を用いた同様の処理が行われてもよい。同様に、以降の説明においても、移動線分に対する処理を移動線分群又は移動線分列に適用してもよい。
【0101】
また、工程IDで識別される作業工程は、例外対応のための作業(例えば、検査を通らなかった場合の修正作業)も含めた発生しうる作業の全てを包括した作業工程であってもよいし、正規(通常)の作業工程として発生する作業を包括した作業工程であってもよい。つまり、正規の作業工程と、例外対応のための作業工程とに異なる工程IDが割り振られてもよい。
【0102】
後者の場合、よりきめ細やかに状況を管理することができる。具体的には、検査を通らなかった場合には、自動的又は人的に、発信器104又は作業者が携帯する端末装置(タブレット又はスマートフォン等)に、作業変更指示(修正工程指示)が表示される。また、修正工程指示は管理装置102に伝送され、工程IDが新たな工程ID(例外対応のための作業工程の工程ID)に変更されて作業完了まで行われる。
【0103】
なお、新たに例外対応のための作業が発生した場合は、再度工程IDが変更される。新たな工程ID等の情報は、例えば、提示信号152に含まれて、管理装置102から発信器104等に送信される。また、新たな工程IDは元の工程IDの派生形として扱われる。つまり、新たな工程IDは元の工程IDに関連付けられている。これにより、各種ソート処理において、新たな工程IDと元の工程IDとは、同一に扱われる。
【0104】
[ヒストグラムの表示]
また、上記で生成されたヒストグラムは、管理装置102の操作者に表示されてもよい。この場合、例えば、管理装置102は、上述した閾値Th1~Th3は操作者の操作に基づき設定されてもよい。また、操作者が、ヒストグラムを参照しながら、標準移動線分又は異常移動線分の設定を行ってもよい。または、上記設定された標準移動線分又は異常移動線分が操作者の操作に基づき変更されてもよい。
【0105】
この場合、管理装置102は、ヒストグラムに加え、各種情報を表示してもよい。図15は、管理装置102により算出される情報の例を示す図である。例えば、管理装置102は、移動線分毎の平均移動時間及び平均停留時間を算出してもよい。この平均移動時間及び平均停留時間は期間毎に算出されてもよい。平均移動時間は、同じ線分IDを有する複数のデータセットに含まれる移動時間の平均値である。平均停留時間は、同じ線分IDを有する複数のデータセットに含まれる停留時間の平均値である。なお、平均値の代わりに中央値等が用いられてもよい。
【0106】
同様に、移動線分群又は移動線分列の平均移動時間及び平均停留時間が算出されてもよい。例えば、移動線分群又は移動線分列の平均移動時間は、当該移動線分群又は移動線分列に含まれる複数の移動線分の平均移動時間の合計であり、移動線分群又は移動線分列の平均停留時間は、当該移動線分群又は移動線分列に含まれる複数の移動線分の平均停留時間の合計である。
【0107】
なお、上記の情報の表示方法は特に限定されてないが、一覧表示されてもよいし、ヒストグラムに重畳表示されてもよい。
【0108】
また、管理装置102は、操作者から移動線分の指定(例えば線分IDの指定)を受け付け、受け付けた移動線分の移動時間のヒストグラムを生成し、当該ヒストグラムを表示してもよい。図16は、移動時間のヒストグラムの例を示す図である。図16に示すヒストグラムは横軸が移動時間であり、縦軸は度数(移動時間の発生頻度)であり、線分ID=011の移動線分のデータを示す。なお、ここでは、移動時間が分単位で分類されているが、分類の単位は任意でよい。
【0109】
また、管理装置102は、移動時間のヒストグラムから移動線分毎の標準移動時間及び異常移動時間を判定してもよい。例えば、管理装置102は、度数が閾値以上の移動時間を標準移動時間と判定し、それ以外(度数が閾値未満の移動時間)を異常移動時間と判定する。また、管理装置102は、判定した標準移動時間及び異常移動時間を用いて、図14に示す処理と同様の処理により、異常を判定し、警告を通知してもよい。なお、この判定には、度数のみではなく、平均移動時間との差が加味されてもよい。例えば、度数が第1閾値未満、かつ平均移動時間との差が第2閾値以上の場合には異常と判定されてもよい。また、管理装置102の操作者が、ヒストグラムを参照しながら、標準移動時間又は異常移動時間の設定を行ってもよい。
【0110】
また、管理装置102は、操作者から地点105の指定を受け付け、受け付けた地点105の停留時間のヒストグラムを生成し、当該ヒストグラムを表示してもよい。なお、地点105の代わりに作業線分が指定され、例えば、指定された作業線分の移動元地点が選択されてもよい。または、指定された作業線分の移動先地点が選択されてもよい。
【0111】
図17は、停留時間のヒストグラムの例を示す図である。図17に示すヒストグラムは横軸が停留時間であり、縦軸は度数(停留時間の発生頻度)であり、地点Aの停留時間のデータを示す。なお、ここでは、停留時間が分単位で分類されているが、分類の単位は任意でよい。
【0112】
また、管理装置102は、停留時間のヒストグラムから地点毎(又は移動線分毎)の標準停留時間及び異常停留時間を判定してもよい。例えば、管理装置102は、度数が閾値以上の停留時間を標準停留時間と判定し、それ以外(度数が閾値未満の停留時間)を異常停留時間と判定する。また、管理装置102は、判定した標準停留時間及び異常停留時間を用いて、図14に示す処理と同様の処理により、異常を判定し、警告を通知してもよい。なお、この判定には、度数のみではなく、平均停留時間との差が加味されてもよい。例えば、度数が第1閾値未満、かつ平均停留時間との差が第2閾値以上の場合には異常と判定されてもよい。また、管理装置102の操作者が、ヒストグラムを参照しながら、標準停留時間又は異常停留時間の設定を行ってもよい。
【0113】
また、管理装置102は、操作者から移動線分の指定(例えば線分IDの指定)を受け付け、受け付けた移動線分の期間毎の度数のヒストグラムを生成し、当該ヒストグラムを表示してもよい。図18は、期間毎の度数のヒストグラムの例を示す図である。図18に示すヒストグラムは横軸が期間であり、縦軸は度数(期間における移動線分の発生頻度)であり、線分ID=011の移動線分のデータを示す。なお、ここでは、期間が月単位で設定されているが、期間の単位は任意でよい。
【0114】
なお、ヒストグラムを生成する際には、対象とするデータが取得された期間が指定されてもよい。または、対象とする作業工程の種別(工程種別ID)が指定されてもよい。または、個別の発信器104が指定されてもよいし、発信器104(移動体101)の属性が指定されてもよい。また、これらのうちの複数の組み合わせが指定されてもよい。
【0115】
なお、発信器104(移動体101)の属性は、移動体101を使用する作業者、又は、移動体101が運搬する対象物の指定を含んでもよい。また、属性を示す情報が発信器IDに含まれていてもよいし、管理装置102において対応関係が管理されてもよい。例えば、作業工程の開始時に作業者は携帯する端末装置で、発信器104(又は移動体101)、及び、対象物に付与されているタグ等を読み取ることで、発信器ID及び対象物の識別子を取得し、取得した発信器ID及び対象物の識別子と、端末装置の識別子(又は作業者の識別子)を管理装置102へ送信する。これにより、管理装置102において、作業工程における作業者と発信器と対象物との対応関係を管理できる。なお、作業者と発信器と対象物とを対応付ける方法はこれに限らず、作業者が端末装置に入力する等、任意の方法が用いられてよい。
【0116】
また、移動線分群又は移動線分列を用いたヒストグラムを生成する際には、ヒストグラムの生成に用いる移動線分群又は移動線分列に含まれる移動線分の数(又は数の範囲)が指定されてもよい。
【0117】
また、作業者の行動を分析(解析)する際に以下の手法が用いられてもよい。例えば、管理装置102は、ある地点αを通過した(つまり、この地点αで作業を行った)作業者(移動体101)が何処へ立ち寄ったかを抽出してもよい。具体的には、管理装置102は、地点αの指定を受け付け、指定された地点αを含む作業工程に含まれる移動線分のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムを表示する。これにより、管理装置102の操作者は、地点αを通過した移動の状況を把握できる。なお、管理装置102は、全移動線分を対象としたヒストグラムを生成するのではなく、例えば、複数の移動線分の指定を受け付け、指定された複数の移動線分のヒストグラムを生成してもよい。
【0118】
また、管理装置102は、ある地点αを通過した作業者が、どの地点から来たか(又は、どの点へ移動したか)を抽出してもよい。具体的には、管理装置102は、地点αの指定を受け付け、地点αを移動先(又は移動元)とする移動線分のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムを表示する。これにより、管理装置102の操作者は、地点αを通過した作業者が、どの地点から来たか(又は、どの点へ移動したか)を把握できる。なお、管理装置102は、移動線分のヒストグラムの代わりに、地点αを移動先(又は移動元)とする移動線分を含む移動線分列のヒストグラムを生成してもよい。この場合、移動線分列に含まれる移動線分の数が操作者により指定されてもよい。
【0119】
また、指定条件での発生頻度の比較が行われてもよい。例えば、管理装置102は、抽出する移動線分列(又は移動線分群)に含まれる移動線分の数を受け付け、受け付けた移動線分の数を含む移動線分列(又は移動線分群)のヒストグラムを生成する。
【0120】
または、管理装置102は、複数の移動線分列(又は複数の移動線分群)の指定を受け付け、指定された複数の移動線分列(又は複数の移動線分群)の発生頻度を示す情報(例えばヒストグラム)を表示する。これにより、操作者は、指定された複数の移動線分列(又は複数の移動線分群)の発生頻度を比較できる。
【0121】
この場合、移動線分列の指定には、ワイルドカードが用いられてもよい。つまり、管理装置102は、指定されたワイルドカードを含む移動線分列の発生頻度を示すヒストグラムを生成してもよい。
【0122】
または、移動線分の移動元又は移動先にワイルドカードが用いられてもよい。つまり、管理装置102は、指定された1又は複数の地点を移動元又は移動先とする移動線分を含む移動線分列(又は移動線分群)のヒストグラムを生成してもよい。
【0123】
また、管理装置102は、作業工程に含まれる複数の地点のうち開始地点と終了地点との指定を受け付け、開始地点と終了地点との間に含まれる移動線分、移動線分群又は移動線分列のヒストグラムを生成してもよい。
【0124】
または、管理装置102は、作業工程に含まれる全ての移動線分、移動線分群又は移動線分列のヒストグラムを生成してもよい。なお、この場合、不良品等の発生により終了地点は相違する場合がある。
【0125】
また、上記の複数の手法を組み合わせてもよい。これにより、操作者は、様々な組合せでデータを抽出できる。また、管理装置102は、上記の手法により移動時間又は停留時間についてもヒストグラムを生成してもよい。
【0126】
また、上記説明では、管理装置102は、検出した移動線分等のヒストグラムを生成する例を説明したが、生成される情報はヒストグラムに限らず、移動線分、移動時間、停留時間、移動線分群又は移動線分列等の発生頻度(発生回数)を示す情報であればよい。例えば、この情報は、折れ線グラフ又は帯グラフ等のグラフであってもよいし、発生頻度を数値で示した一覧表等であってもよい。
【0127】
以上、本発明の実施の形態に係る管理システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0128】
例えば、上記実施の形態に係る管理システムに含まれる各装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0129】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0130】
また、上記実施の形態に係る管理システムに含まれる各装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0131】
さらに、本発明は上記プログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0132】
また、本発明は管理システムとして実現できるだけでなく、管理システムに含まれる発信器、受信器、又は管理装置として実現してもよい。また、本発明は、このような管理システムに含まれる特徴的な手段をステップとする管理方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。
【0133】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
【0134】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0135】
また、上記フローチャートで示すステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0136】
以上、一つまたは複数の態様に係る管理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、管理システムに適用できる。
【符号の説明】
【0138】
100 管理システム
101 移動体
102 管理装置
103、103A、103B、103C、103D、103E、103F 受信器
104 発信器
105、105A、105B、105C、105D、105E、105F 地点
121、131 ID記憶部
122、132 制御部
123 無線送信部
124、134、141 通信部
125 提示部
126 電源部
133 無線受信部
142 記憶部
143 管理部
144 表示部
151 検知用信号
152 提示信号
153 通知信号
【要約】
【課題】容易に1以上の管理対象を管理する。
【解決手段】管理システム100は、1以上の管理対象を管理するための管理システム100であって、1以上の管理対象の各々に保持され、検知用信号151を無線送信する1以上の発信器104と、検知用信号151を受信する複数の受信器103とを含み、複数の受信器103で受信された検知用信号151に基づき、複数の地点105のうち、どの地点105から直後にどの地点105に移動したかを示す移動線分を1以上の発信器104の各々に対して判定し、移動線分の発生頻度を検出する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18