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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】梱包体および梱包体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/48 20060101AFI20240112BHJP
   B65D 19/44 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65D85/48
B65D19/44 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020075421
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021172353
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】手島 弘雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳範
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-082837(JP,A)
【文献】特開2013-023334(JP,A)
【文献】特開2002-326637(JP,A)
【文献】特開平04-226222(JP,A)
【文献】特開平11-342945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/30-85/48
B65D 19/00-19/44
B65G 1/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を含む積層体が積載されたパレットをコンテナに収容し、前記パレットと前記コンテナとを備えた梱包体を製造するための方法であって、
前記コンテナ内で前記パレットを移送する移送工程を含み、
前記移送工程では、前記コンテナ内の底面と前記パレットの基台部との相互間に介在させた第一搬送装置により前記パレットを搬送し、
前記移送工程では、前記第一搬送装置として、前記コンテナ内の底面に設置したローラーコンベアを用い、
前記移送工程では、複数の前記ローラーコンベアを前記パレットの移送方向に並べて用いると共に、前記移送工程により前記コンテナ内の目標位置まで移送済みの前記パレットを前記目標位置に据え置くための据置工程を含み、
前記据置工程が、前記パレットの基台部下に存在する前記複数のローラーコンベアから前記基台部の少なくとも一部の箇所を上昇させる上昇工程と、前記基台部の少なくとも一部の箇所を上昇させた状態で前記複数のローラーコンベアの少なくとも一つを除去する除去工程と、前記除去工程後に前記基台部における上昇させた箇所を下降させる下降工程とを含むことを特徴とする梱包体の製造方法。
【請求項2】
前記コンテナ内の底面を平面視する方向から視て、前記パレットの移送方向に対して直交する方向を前記コンテナの幅方向としたとき、
前記移送工程では、前記ローラーコンベアにおける前記コンテナの幅方向への移動を規制部材により規制することを特徴とする請求項に記載の梱包体の製造方法。
【請求項3】
前記除去工程後で且つ前記下降工程前に、前記ローラーコンベアの除去に伴って形成されたスペースに対し、前記コンテナ内の底面と前記パレットの基台部との間に介在させるための台座を設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包体の製造方法。
【請求項4】
前記コンテナ外から前記コンテナ内に前記パレットを搬入する搬入工程を含み、
前記搬入工程が、前記コンテナ内の前記第一搬送装置に連ねて前記コンテナ外に第二搬送装置を配置する準備工程と、前記第二搬送装置上に前記パレットを載置する載置工程と、前記第二搬送装置上から前記第一搬送装置上に前記パレットを移乗させる移乗工程とを含むことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の梱包体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板を含む積層体が積載されたパレットと、パレットを収容するコンテナとを備えた梱包体、及び、当該梱包体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ用のガラス基板をはじめとする各種ガラス板を輸送するための形態として、複数枚のガラス板を相互間に保護シートを介在させた状態で重ね合わせて積層体とし、当該積層体をパレットに積載する形態が知られている(特許文献1を参照)。積層体が積載されたパレットは、輸送にあたってコンテナに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-149472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年における輸送対象のガラス板の大型化に起因して、パレットをコンテナに収容するに際しては、下記のような解決すべき問題が生じている。
【0005】
すなわち、パレットをコンテナに収容する場合、パレットを移送するためにフォークリフト等を用いる。しかしながら、積層体に含まれるガラス板の大型化に伴い、積層体を積載するパレットもまた大型化しており、パレットの大きさに対してコンテナ内のスペースの大きさに余裕がない場合が増加している。そのため、収容の過程において、フォークリフト等で運搬中のパレット(パレットに積載した積層体)とコンテナの内面との接触を回避するべく正確な作業が要求される等、収容に掛かる負担が大きいという問題があった。
【0006】
上記の事情に鑑みなされた本発明は、ガラス板を含む積層体が積載されたパレットをコンテナに収容するに際し、パレットの大きさに対してコンテナ内のスペースの大きさに余裕がない場合でも、収容に掛かる負担を軽くすることを技術的な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための梱包体の製造方法は、ガラス板を含む積層体が積載されたパレットをコンテナに収容し、パレットとコンテナとを備えた梱包体を製造するための方法であって、コンテナ内でパレットを移送する移送工程を含み、移送工程では、コンテナ内の底面とパレットの基台部との相互間に介在させた第一搬送装置によりパレットを搬送することを特徴とする。
【0008】
本製造方法では、コンテナ内でパレットを移送する移送工程において、コンテナ内の底面とパレットの基台部との相互間に介在させた第一搬送装置によりパレットを搬送している。このように搬送装置を用いることで、パレットの大きさに対してコンテナ内のスペースの大きさに余裕がない場合でも、移送工程中にパレットとコンテナの内面との間に隙間が形成された状態を安定して確保できる。従って、パレットとコンテナの内面との接触を回避でき、コンテナへのパレットの円滑な収容が可能になる。その結果、収容に掛かる負担を軽くできる。
【0009】
上記の方法において、移送工程では、第一搬送装置として、転動部材を備えた装置を用いることが好ましい。
【0010】
このようにすれば、転動部材の転動を利用してパレットを搬送できる。これにより、パレットを容易に搬送することが可能になる。
【0011】
上記の方法において、移送工程では、第一搬送装置として、コンテナ内の底面に設置したローラーコンベアを用いることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、全てのパレットに転動部材を設ける必要がなく、複数のパレットを共通のローラーコンベアで移送できる。このため、コンテナ内でパレットを移送するための設備コストを抑制できる。また、大型のガラス板が積載されて重量の大きいパレットであっても移送できるようになる。
【0013】
上記の方法において、コンテナ内の底面を平面視する方向から視て、パレットの移送方向に対して直交する方向をコンテナの幅方向としたとき、移送工程では、ローラーコンベアにおけるコンテナの幅方向への移動を規制部材により規制することが好ましい。
【0014】
このようにすれば、ローラーコンベアにより搬送中のパレットが、コンベアの位置ずれに起因してコンテナ内の側面と接触するような恐れを確実に排除することが可能になる。このため、パレットを効率よく搬送できると共に、接触に伴うコンテナやパレット、ガラス板等の破損を防止できる。
【0015】
上記の方法において、移送工程では、複数のローラーコンベアをパレットの移送方向に並べて用いると共に、移送工程によりコンテナ内の目標位置まで移送済みのパレットを目標位置に据え置くための据置工程を含み、据置工程が、パレットの基台部下に存在する複数のローラーコンベアから基台部の少なくとも一部の箇所を上昇させる上昇工程と、基台部の少なくとも一部の箇所を上昇させた状態で複数のローラーコンベアの少なくとも一つを除去する除去工程と、除去工程後に基台部における上昇させた箇所を下降させる下降工程とを含むことが好ましい。
【0016】
このようにすれば、除去工程において、基台部の下方にある複数のローラーコンベアの少なくとも一つを除去することから、下降工程後のパレットが目標位置から不必要に移動しなくなる、或いは、移動し難くなる。これにより、梱包体の輸送中にコンテナ内でパレットが位置ずれを起こし難くすることができる。
【0017】
上記の方法において、除去工程後で且つ下降工程前に、ローラーコンベアの除去に伴って形成されたスペースに対し、コンテナ内の底面とパレットの基台部との間に介在させるための台座を設置することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、梱包体の輸送後にコンテナからパレットを搬出する際の負担を軽減することが可能になる。この理由は以下のとおりである。パレットの搬出のための負担を軽減するには、コンテナ内の底面とパレットの基台部との間にローラーコンベアを介在させることが有利である。そして、据置工程においてコンテナ内の底面とパレットの基台部との間に台座を介在させておけば、コンテナ内の底面とパレットの基台部との間に隙間を形成できる。この場合、パレットの搬出時に再び台座に代えてローラーコンベアを介在させるにあたり、パレットの基体部を上昇させる作業が容易となる。従って、コンテナからパレットを搬出する際の負担を軽くできる。
【0019】
上記の方法において、コンテナ外からコンテナ内にパレットを搬入する搬入工程を含み、搬入工程が、コンテナ内の第一搬送装置に連ねてコンテナ外に第二搬送装置を配置する準備工程と、第二搬送装置上にパレットを載置する載置工程と、第二搬送装置上から第一搬送装置上にパレットを移乗させる移乗工程とを含むことが好ましい。
【0020】
このようにすれば、コンテナ内の第一搬送装置に連なってコンテナ外に第二搬送装置が配置されることで、コンテナ外からコンテナ内へのパレットの搬入を容易にできる。
【0021】
また、下記の梱包体によれば、上述の梱包体の製造方法のうちの幾つかの形態と同様の作用・効果を得ることが可能である。
【0022】
当該梱包体は、ガラス板を含む積層体が積載されたパレットと、パレットを収容するコンテナとを備えた梱包体であって、コンテナ内の底面とパレットの基台部との相互間に、ローラーコンベアと台座との少なくとも一方が介在部材として介在しており、介在部材が、コンテナ内でのパレットの移送方向に延びるように配置されていることを特徴とする。
【0023】
上記の梱包体において、コンテナ内の底面を平面視する方向から視て、パレットの移送方向に対して直交する方向をコンテナの幅方向としたとき、介在部材におけるコンテナの幅方向への移動が規制部材により規制されていることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、上述の梱包体の製造方法のうちの幾つかの形態と同様の作用・効果を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ガラス板を含む積層体が積載されたパレットをコンテナに収容するに際し、パレットの大きさに対してコンテナ内のスペースの大きさに余裕がない場合でも、収容に掛かる負担を軽くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】梱包体を模式的に示す縦断面図である。
図2】ローラーコンベアの配置位置における梱包体を示す横断面図である。
図3】台座の配置位置における梱包体を示す横断面図である。
図4】梱包体に備わったローラーコンベアおよび台座の周辺を示す側面図である。
図5】梱包体の製造方法に含まれた搬入工程(準備工程)を示す断面図である。
図6】梱包体の製造方法に含まれた搬入工程(準備工程)を示す断面図である。
図7】梱包体の製造方法に含まれた搬入工程(準備工程)を示す断面図である。
図8】梱包体の製造方法に含まれた搬入工程(準備工程)を示す断面図である。
図9】梱包体の製造方法に含まれた搬入工程(載置工程および移乗工程)を示す断面図である。
図10】梱包体の製造方法に含まれた移送工程を示す断面図である。
図11】梱包体の製造方法に含まれた据置工程(上昇工程)を示す断面図である。
図12】梱包体の製造方法に含まれた据置工程(除去工程)を示す断面図である。
図13】梱包体の製造方法に含まれた据置工程を示す断面図である。
図14】梱包体の製造方法に含まれた据置工程(下降工程)を示す断面図である。
図15】梱包体の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る梱包体、及び、梱包体の製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。ここで、実施形態の説明で参照する各図面に表したX方向、Y方向、及び、Z方向は互いに直交する方向である。そして、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は上下方向である。
【0028】
まず、梱包体の構成について説明する。
【0029】
図1図3に示すように、梱包体1は、ガラス板2を含む積層体3が積載されたパレット4と、パレット4を収容するコンテナ5とを備えている。本梱包体1では、コンテナ5内の底面5aとパレット4の基台部4aとの相互間に、介在部材としてのローラーコンベア6(コロコン)および台座7が介在している。
【0030】
コンテナ5は、X方向に長尺な直方体状の外形を有する。なお、X方向は、コンテナ5内においてパレット4を移送する際の移送方向である。コンテナ5は、パレット4を収容するための本体部5xと、本体部5xにおけるX方向の一端に形成された開口5xaを開閉させるための扉部5yとを有する。本体部5xの断面(X方向に直交する断面)と開口5xaとの両者は共に略矩形状をなす。
【0031】
本体部5x内に形成されたスペースSは、そのX方向に沿った長さが、Y方向およびZ方向に沿った長さよりも長くなっている。なお、Y方向およびZ方向は、それぞれコンテナ5の幅方向および高さ方向である。本体部5xは、その内面として、底面5a、天面5b、一方側面5c、他方側面5d、及び、後面5eを有する。扉部5yは、開口5xaを開放した状態とすることで、X方向に沿ってコンテナ5に対するパレット4の搬入出を可能とする。開口5xaの天面5bには、凸部が形成されている。例えば、本体部5xの断面において、高さ(底面5aから天面5bまでの距離)は2660mm程度であり、幅(一方側面5cから他方側面5dまでの距離)は2340mm程度である。また、開口5xaにおいて、高さ(底面5aから凸部までの距離)は2580mm程度であり、幅(一方側面5cから他方側面5dまでの距離)は2340mm程度である。
【0032】
積層体3は、複数枚の矩形状のガラス板2を相互間に保護シート(図示省略)を介在させた状態で重ね合わせたものである。積層体3は、水平面(XY平面)に対して傾斜した姿勢でパレット4に積載されている。積層体3と天面5bとの隙間は、例えば100mm~160mmである。
【0033】
ガラス板2の縦辺2a(傾斜に沿って上下に延びた辺)の寸法、及び、横辺2b(X方向に延びた辺)の寸法の各々は、コンテナ5の開口5xaにおけるY方向寸法よりも大きくなっている。つまり、ガラス板2は、平置き姿勢ではコンテナ5内に搬入できないサイズを有する。ガラス板2の縦辺2aの寸法×横辺2bの寸法は、2200mm×2500mm以上である。なお、縦辺2aの寸法×横辺2bの寸法は、好ましくは2400mm×2800mm以上であり、より好ましくは2800mm×3100mm以上であり、最も好ましくは2900mm×3300mm以上である。本実施形態では、ガラス板2はG10.5サイズを有する。ガラス板2の厚み寸法は、例えば0.2mm~2mmである。
【0034】
ガラス板2の縦辺2aは、コンテナ5の本体部5xの断面(X方向に直交する断面)がなす矩形状の対角線に倣うように延びている。ここで、ガラス板2の縦辺2aと対角線とがなす角度は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがより好ましい。
【0035】
保護シートは、一例としてガラス合紙や発泡樹脂シートであると共に、ガラス板2よりも一回り大きいサイズを有する。これにより、保護シートは、ガラス板2の縦辺2aおよび横辺2bからそれぞれ食み出している。
【0036】
パレット4は、二基がコンテナ5内に収容されている。勿論、コンテナ5の本体部5x内に形成されたスペースSの大きさに合わせて、一基のみ又は三基以上のパレット4がコンテナ5内に収容されていてもよい。二基のパレット4の各々は、基台部4aと、積層体3を積載するための積載部4bとを備えている。各パレット4は、治具等(図示省略)を介してコンテナ5の本体部5xに対して固定されている。
【0037】
基台部4aは、X方向に平行な二つの側面4sと、Y方向に平行な二つの側面4sとの合計四つの側面4sを有している。X方向に平行な二つの側面4sのうちで積層体3の背面側に位置する側面4sには、フォークリフトのフォークを挿入するための穴部Hが形成されている(図示なし)。加えて、Y方向に平行な二つの側面4sの各々には、フォークリフトのフォークを挿入するための穴部Hが形成されている。なお、X方向に平行な二つの側面4sの両方に、フォークリフトのフォークを挿入するための穴部Hを形成してもよい。X方向に平行な側面4sとコンテナ5内の側面5c、5dとの隙間は例えば10~30mmである。基台部4aの底面4zには、ローラーコンベア6および台座7とそれぞれ嵌り合う凹部Rが形成されている。凹部RはY方向に間隔を空けた状態で二箇所に形成されている。勿論、三箇所以上に凹部Rが形成されていてもよい。各凹部Rは溝状に形成されており、X方向に沿って延びている。なお、基台部4aの底面4zに凹部Rを形成しなくてもよい。
【0038】
積載部4bは、基台部4aの上方に設けられており、傾斜姿勢の積層体3を背面側から支持している。積載部4bは、縦・横・斜めに延びたフレーム8を介して基台部4aと組み合わされている。
【0039】
コンテナ5内の後面5eと一基目のパレット4との間、一基目と二基目のパレット4の間、及び、二基目のパレット4とコンテナ5の扉部5yとの間には、それぞれパレット4のX方向への移動を規制するストッパー9が配置されている。ストッパー9は、パレット4のY方向に平行な側面4sと当接することで、パレット4の移動を規制する規制面を有する。また、ストッパー9は、パレット4の底面と当接することで、パレット4を支持する支持面を有する。本実施形態でストッパー9は木製であり、釘やネジ等を利用してコンテナ5内の底面5aに対して固定が可能である。勿論、ストッパー9は木製以外であってもよい。
【0040】
ローラーコンベア6および台座7は、それぞれY方向に間隔を空けた状態で二箇所に配置されている。勿論、三箇所以上にローラーコンベア6および台座7が配置されていてもよい。或いは、ローラーコンベア6および台座7は、間隔を空けることなく、連なった状態で配置されてもよい。
【0041】
ここで、以下の説明では、必要に応じて、二箇所の一方側に配置されたローラーコンベア6および台座7と、他方側に配置されたローラーコンベア6および台座7とを区別する。そして、区別する場合には、二箇所の一方側に配置されたローラーコンベア6および台座7を、それぞれ一方側コンベア6および一方側台座7と表記し、他方側に配置されたローラーコンベア6および台座7を、それぞれ他方側コンベア6および他方側台座7と表記する。
【0042】
ローラーコンベア6および台座7の各々は、長尺状であり、それらの長手方向がX方向に延びるように配置されている。一基のパレット4の基台部4a下において、台座7はローラーコンベア6よりもコンテナ5の開口5xa側に配置されている。ローラーコンベア6および台座7の各々について、Y方向への移動は、コンテナ5内の底面5a上に配置された規制部材としての板部材10により規制されている。本実施形態で板部材10は木製であり、釘やネジ等を利用してコンテナ5内の底面5aに対して固定が可能である。勿論、板部材10は木製以外であってもよい。
【0043】
板部材10は、(A)コンテナ5内の一方側面5cと、一方側コンベア6(一方側台座7)との間、(B)一方側コンベア6(一方側台座7)と、他方側コンベア6(他方側台座7)との間、および、(C)コンテナ5内の他方側面5dと、他方側コンベア6(他方側台座7)との間において、それぞれ隙間なく介在している。(A)~(C)の各々に配置された板部材10の上面は、パレット4との接触を回避するべく、パレット4の底面4zよりも下方に位置している。
【0044】
ここで、本実施形態においては、規制部材として板部材10を用いているが、これに限定されるものではない。規制部材は、パレット4との接触を回避しながらローラーコンベア6および台座7のY方向への移動を規制できるものであれば、任意の部材でよく、例えば枠体等であってもよい。或いは、規制部材としての板部材10を省略してもよい。
【0045】
図4に示すように、台座7は、木製の基礎部7aと、基礎部7a上に固定されたゴムシート7bとにより構成される。ローラーコンベア6はローラー6aを備えている。ゴムシート7bの表面で構成された台座7の上面7sは、ローラー6aの上端よりも僅かに高位置に存する。これにより、台座7の上面7sとローラー6aの上端との間には高低差Gがあり、ローラー6aよりもゴムシート7bにパレット4の基台部4a(凹部R)が接触しやすくなっている。高低差Gは一例として1mm~10mmである。なお、ゴムシート7bに代えて各種の緩衝材を配置してもよく、例えば厚板のゴムや板状のスポンジ等を配置してもよい。
【0046】
次に、上記の梱包体1を製造するための方法について説明する。
【0047】
本製造方法は、ガラス板2を含む積層体3が積載されたパレット4をコンテナ5に収容し、パレット4とコンテナ5とを備えた梱包体1を製造するための方法である。本製造方法は、パレット4の大きさに対してコンテナ5内のスペースSの大きさに余裕がない場合に、特に有効な方法である。
【0048】
本製造方法では、一基のパレット4をコンテナ5内に収容するに際し、コンテナ5外からコンテナ5内にパレット4を搬入する搬入工程(図5図9)と、コンテナ5内でパレット4を移送する移送工程(図10)と、移送工程によりコンテナ5内の目標位置まで移送済みのパレット4を目標位置に据え置くための据置工程(図11図14)とを実行する。
【0049】
搬入工程には、準備工程と、載置工程と、移乗工程とが含まれる。
【0050】
図5に示すように、準備工程では、コンテナ5の扉部5yを開いて開口5xaを開放した状態の下、コンテナ5内の第一搬送装置に連ねてコンテナ5外に第二搬送装置を配置する。本実施形態では、第一搬送装置として、転動部材であるローラー6aを備えたローラーコンベア6(コロコン)を用いている。また、第二搬送装置として、同じくローラーコンベア11(コロコン)を用いている。なお、両ローラーコンベア6,11は同一の構成を有する。また、両ローラーコンベア6,11は駆動部を有していない。
【0051】
より具体的には、準備工程では、以下の作業を順々に行えばよい。
【0052】
最初に、図6に示すように、コンテナ5内の後面5eに沿ってストッパー9を配置する。ストッパー9の配置が完了すると、次いで、ストッパー9に連ねて、コンテナ5内の一方側面5cおよび他方側面5dの各々に沿って、複数枚の板部材10をX方向に並べて設置する。一方側面5cに沿わせた各板部材10および他方側面5dに沿わせた各板部材10は、それぞれ一方側面5cおよび他方側面5dに対して隙間なく設置する。また、各板部材10は、一部又は全部を、コンテナ5内の底面5aに対して固定してもよく、固定しなくてもよい。
【0053】
次いで、図7に示すように、一方側面5cに沿わせた複数枚の板部材10、及び、他方側面5dに沿わせた複数枚の板部材10のそれぞれの内側に、複数のローラーコンベア6をX方向に並べて設置する。各ローラーコンベア6は、隣接する板部材10に対して隙間なく設置する。これにより、コンテナ5内の底面5a上において、X方向に並んだ複数のローラーコンベア6を一列として、Y方向に間隔を空けて二列分の複数のローラーコンベア6が設置される。なお、一列目と二列目とのY方向における間隔は、パレット4の底面4zに形成された二箇所の凹部Rの間隔と等しくなる。このように一列目と二列目との間隔と、二箇所の凹部Rの間隔とが等しくなるように、上記の各板部材10におけるY方向寸法が調節されている。
【0054】
次いで、図8に示すように、一列目に属するローラーコンベア6と二列目に属するローラーコンベア6との相互間に、複数枚の板部材10をX方向に並べて設置する。各板部材10は、隣接する両ローラーコンベア6,6に対して隙間なく設置する。これにより、一列目に属する各ローラーコンベア6、及び、二列目に属する各ローラーコンベア6のY方向への移動が規制される。
【0055】
最後に、コンテナ5内の複数のローラーコンベア6に連ねて、コンテナ5外において複数のローラーコンベア11をX方向に並べて設置する。勿論であるが、複数のローラーコンベア11についても、Y方向に間隔を空けて二列分を設置する。なお、一列目に属する各ローラーコンベア11、及び、二列目に属する各ローラーコンベア11のY方向への移動は規制してもよいし、規制しなくてもよい。なお、規制する場合には、少なくともコンテナ5の開口5xa付近のローラーコンベア11について規制することが好ましい。以上により準備工程が完了する。
【0056】
ここで、本実施形態では、X方向で隣接するローラーコンベア6,6同士の間、X方向で隣接するローラーコンベア11,11同士の間、及び、X方向で隣接するローラーコンベア6とローラーコンベア11との間に、いずれも隙間を設けていないが、勿論隙間を設けても構わない。
【0057】
準備工程が完了すると、次に載置工程を行う。載置工程では、図9に二点鎖線で示すように、コンテナ5外において複数のローラーコンベア11上にパレット4を載置する。このとき、一列目に属するローラーコンベア11および二列目に属するローラーコンベア11が、パレット4の底面4zに形成された二箇所の凹部Rとそれぞれ嵌り合うようにパレット4を載置する。ここで、載置工程を行うにあたっては、例えばフォークリフトを使用する。そして、パレット4の四つの側面4sのうち、X方向に平行な側面4sに形成された穴部Hにフォークを挿入した状態の下、パレット4の持ち上げ、及び、ローラーコンベア11上へのパレット4の載置を行う。なお、フォークは、積層体3の背面側から挿入することが好ましい。以上により載置工程が完了する。
【0058】
載置工程が完了すると、次に移乗工程を行う。移乗工程では、複数のローラーコンベア6および複数のローラーコンベア11を用いて、図9に二点鎖線で示した位置から実線で示した位置までパレット4を搬送する。このようにして、複数のローラーコンベア11上から複数のローラーコンベア6上にパレット4を移乗させる。この際、パレット4のY方向の位置は、パレット4の底面4zの凹部Rの両側面と複数のローラーコンベア6、11の両側面とで規制される。ここで、移乗工程を行うにあたっては、例えばフォークリフトを使用する。そして、パレット4の四つの側面4sのうち、Y方向に平行な側面4sに形成された穴部Hにフォークを挿入した状態の下、フォークリフトでパレット4を持ち上げることなく押して搬送する。以上により移乗工程が完了する。
【0059】
上述のように移乗工程が完了することで、搬入工程の全工程が完了すると、次に移送工程を実行する。移送工程では、複数のローラーコンベア6を用いて、図10に二点鎖線で示した位置から実線で示した位置までパレット4を搬送する。この際、パレット4のY方向の位置は、パレット4の底面4zの凹部Rの両側面と複数のローラーコンベア6の両側面とで規制される。なお、実線で示した位置は目標位置であって、パレット4の側面4sがストッパー9に当接する位置である。ここで、移送工程を実行するにあたっては、一例として、上述の移乗工程と同様の態様の下、フォークリフトでパレット4を持ち上げることなく押すことで、複数のローラーコンベア6上でパレット4を搬送する。以上により移送工程が完了する。
【0060】
移送工程が完了すると、次に据置工程を実行する、据置工程には、上昇工程と、除去工程と、下降工程とが含まれる。
【0061】
図11に示すように、上昇工程では、ジャッキ12を用いてパレット4の基台部4aにおける端部(開口5xa側の端部)を持ち上げる。持ち上げる高さは、例えば10mm~100mmである。これにより、パレット4の基台部4a下に存在する複数のローラーコンベア6から基台部4aの少なくとも一部の箇所を浮かせる。本実施形態では、主にストッパー9とジャッキ12とで基台部4aが支持される。基台部4a下には、四台のローラーコンベア6が存在(一列目と二列目との各々に四台ずつが存在)している。以上により上昇工程が完了する。
【0062】
上昇工程が完了すると、次に除去工程を行う。除去工程では、基台部4aにおける浮かせた箇所の下に存在する複数のローラーコンベア6の少なくとも一つを引き出して除去する。本実施形態では、図12に示すように、基台部4a下の四台のローラーコンベア6のうちの開口5xa側の三台を除去する。以上により除去工程が完了する。なお、除去工程で、ローラーコンベア6を取り出すことが可能であれば、上昇工程の完了時および除去工程で、基台部4aが浮くことなく、基台部4aとローラーコンベア6が接触していてもよい。
【0063】
除去工程後には、図13に示すように、開口側三台のローラーコンベア6の除去に伴って形成されたスペースに対し、コンテナ5内の底面5aとパレット4の基台部4aとの間に介在させるための台座7を設置する。その後に下降工程を行う。下降工程では、上記のジャッキ12による基台部4aの端部の持ち上げを元に戻すことで、図14に示すように、基台部4aにおける浮かせた箇所を下降させる。以上により下降工程が完了する。
【0064】
上述のように下降工程が完了することで、据置工程の全工程が完了すると、ベルト等を用いてコンテナ5の本体部5xに対してパレット4を固定する。この状態では、パレット4のY方向の位置は、パレット4の底面4zの凹部Rの両側面と、台座7および複数のローラーコンベア6の両側面とで規制される。その後、図14に示すように、パレット4の基台部4aに対して開口5xa側に隣接させてストッパー9を配置する。その後は、上述した一基のパレット4をコンテナ5内に収容するための一連の流れを再び実行し、図15に示すように、コンテナ5内への二基目のパレット4の収容を行っていく。二基目のパレット4の収容が完了すると、上記図1の梱包体1が製造される。
【0065】
なお、梱包体1の輸送後等において、コンテナ5内からパレット4を搬出するにあたっては、上述した一基のパレット4をコンテナ5内に収容するための一連の流れを反対の順序で行えばよい。なお、搬出にあたってコンテナ5内でパレット4を移送する際には、例えばフォークリフトを使用する。そして、フォークリフトとパレット4とにバンド等を掛け渡して両者を固定した状態の下、フォークリフトでパレット4を持ち上げることなく引っ張ることで、複数のローラーコンベア6上でパレット4を搬送する。
【0066】
以下、上記の製造方法による主たる作用・効果について説明する。
【0067】
上記の製造方法では、コンテナ5内でパレット4を移送する移送工程において、ローラーコンベア6によりパレット4を搬送している。これにより、パレット4の大きさに対してコンテナ5内のスペースSの大きさに余裕がない場合でも、移送工程中にパレット4とコンテナ5の内面(底面5a、天面5b、一方側面5c、他方側面5d)との間に隙間が形成された状態を安定して確保できる。従って、パレット4とコンテナ5の内面との接触を回避でき、コンテナ5へのパレット4の円滑な収容が可能になる。その結果、収容に掛かる負担を軽くできる。
【0068】
ここで、本発明に係る梱包体、及び、梱包体の製造方法は、上記の実施形態で説明した構成や態様に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、第一搬送装置および第二搬送装置として、それぞれローラーコンベア6およびローラーコンベア11を用いているが、この限りではない。第一搬送装置および第二搬送装置として、ベルトコンベアや、パレット4の積載が可能な台車等を用いてもよい。また、パレット4の基台部4aに車輪を取り付け、当該車輪を第一搬送装置および第二搬送装置として機能させてもよい。
【0069】
さらに、上記の実施形態では、両ローラーコンベア6,11が駆動部を有していないが、勿論駆動部を有していてもよい。この場合、フォークリフト等によりパレット4を押さなくとも、パレット4を両ローラーコンベア6,11により搬送できる。
【0070】
加えて、上記の実施形態では、据置工程に含まれる下降工程後において、コンテナ5内の底面5aとパレット4の基台部4aとの相互間に、ローラーコンベア6および台座7を介在させているが、この限りではない。変形例として、コンテナ5内の底面5aとパレット4の基台部4aとの相互間に、台座7のみを介在させてもよい。この場合、上昇工程において、基台部4a下の四台のローラーコンベア6の全てから基台部4aを浮かせ、除去工程において、四台全てのローラーコンベア6を除去し、除去に伴って形成されたスペースに対し台座7を設置する。また、別の変形例として、四台全てのローラーコンベア6を除去した後、台座7を設置することなく、下降工程に伴ってコンテナ5内の底面5a上にパレット4を載置してもよい。さらに、別の変形例として、四台全てのローラーコンベア6を除去した後、台座7を設置することなく、下降工程に伴ってストッパー9上にパレット4を載置してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 梱包体
2 ガラス板
3 積層体
4 パレット
4a 基台部
5 コンテナ
5a 底面
6 ローラーコンベア
6a ローラー
7 台座
10 板部材
11 ローラーコンベア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15