(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20240112BHJP
H01M 8/026 20160101ALI20240112BHJP
H01M 8/0265 20160101ALI20240112BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/026
H01M8/0265
H01M8/2483
(21)【出願番号】P 2020081294
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小野 隼斗
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-012051(JP,A)
【文献】特開2002-083610(JP,A)
【文献】特開2013-069534(JP,A)
【文献】特開2017-117650(JP,A)
【文献】特許第6499247(JP,B2)
【文献】特開2020-013753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用セパレータであって、
燃料電池スタックのガス供給マニホールドの一部を構成する第1貫通孔及び第2貫通孔と、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間の第1ブリッジ部に設けられ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に通ずる第1連通路と、
前記第1貫通孔に通ずる第1凹条部と、前記第2貫通孔に通ずる第2凹条部と、前記第1連通路に通ずる第3凹条部とを含む複数の凹条部と
を備える、燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
前記燃料電池スタックのガス排出マニホールドの一部を構成する第3貫通孔及び第4貫通孔と、
前記第3貫通孔と前記第4貫通孔との間の第2ブリッジ部に設けられ、前記第3貫通孔及び前記第4貫通孔に通ずる第2連通路と
をさらに備え、
前記第1凹条部が前記第3貫通孔にも通じ、
前記第2凹条部が前記第4貫通孔にも通じ、
前記第3凹条部が前記第2連通路にも通じている、
請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
前記第1凹条部が前記第1貫通孔及び前記第3貫通孔に直に通じ、
前記第2凹条部が前記第2貫通孔及び前記第4貫通孔に直に通じ、
前記第3凹条部が前記第1連通路及び前記第2連通路に直に通じている、
請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
前記第1連通路及び前記第2連通路の深さが、前記第3凹条部の深さよりも大きい、請求項2又は3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記第1連通路及び前記第2連通路が、前記第3凹条部に向かって深くなるように形成されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
前記第1連通路が、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に向かって深くなるように形成され、
前記第2連通路が、前記第3貫通孔及び前記第4貫通孔に向かって深くなるように形成されている、
請求項2~5のいずれか一項に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
前記第1連通路又は前記第2連通路と、前記セパレータと対をなす別のセパレータとの間にガスケットが設けられ、
前記ガスケットは、芯材入りの熱可塑性シール材により前記別のセパレータに接着されている、
請求項2~6のいずれか一項に記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、膜電極接合体と、前記膜電極接合体を支持するフレームと、前記膜電極接合体と前記フレームとを挟持する第1のセパレータプレート及び第2のセパレータプレートとを備える燃料電池が記載されている。前記第1のセパレータプレートは、ガスの供給マニホールドを形成する第1の給気開口部と、前記フレームに相当する領域において隣接する燃料電池側に突出し弾性変形する凸状突起部と、を有する。前記第2のセパレータプレートは、前記ガスの供給マニホールドを形成する第2の給気開口部と、前記膜電極接合体に前記ガスを供給する流路を形成する流路形成部と、前記フレームに相当する領域において前記凸状突起部が接触する、当接部と、を有する。前記凸状突起部が前記当接部に押圧されることでシール部が形成される。前記フレームは、前記ガスの供給マニホールドを形成する第3の給気開口部を有している。前記第2のセパレータプレートの前記当接部と前記フレームとの間において、前記ガスの供給マニホールドと前記膜電極接合体との間を連通する第1のガス連通部と、前記ガスの供給マニホールドと前記膜電極接合体との間において前記フレームと前記第2のセパレータプレートとの間が閉塞されている第1のガス非連通部と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池の発電性能は、セパレータの発電面積に依存する。本発明は、燃料電池用セパレータの面積に対する発電面積の割合を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池用セパレータは、燃料電池スタックのガス供給マニホールドの一部を構成する第1貫通孔及び第2貫通孔と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間の第1ブリッジ部に設けられ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に通ずる第1連通路と、前記第1貫通孔に通ずる第1凹条部と、前記第2貫通孔に通ずる第2凹条部と、前記第1連通路に通ずる第3凹条部とを含む複数の凹条部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、燃料電池用セパレータの面積に対する発電面積の割合を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】ガスケットが設けられたセパレータの斜視図である。
【
図5】セパレータの一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図6】一対のセパレータのうち、一方のセパレータの一部を切り欠いて示す、セルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
【0009】
図1~
図6に示すように、燃料電池の第1セパレータ1はセルCLを構成する板状部材である。第1セパレータ1の長辺方向をX軸方向とし、短辺方向をY軸方向とし、厚さ方向をZ軸方向とする。複数のセルCLがZ軸方向に積み重ねられることで燃料電池スタック(不図示)が構成される。
【0010】
第1セパレータ1には、Z軸方向に貫くように、第1貫通孔111と第2貫通孔112と第3貫通孔113と第4貫通孔114とが形成されている。第1貫通孔111と第2貫通孔112とは、第1セパレータ1のX軸方向に向かい合う2つの短辺のうち、一方の短辺付近においてY軸方向に並ぶように設けられている。第3貫通孔113と第4貫通孔114とは、第1セパレータ1の上記2つの短辺のうち、他方の短辺付近においてY軸方向に並ぶように設けられている。第1貫通孔111と第3貫通孔113とは、Y軸方向の位置が略同じであり、第2貫通孔112と第4貫通孔114とは、Y軸方向の位置が略同じである。
【0011】
第1貫通孔111及び第2貫通孔112はそれぞれ、上記燃料電池スタックにおける2本のガス供給マニホールドの一部を構成する。第3貫通孔113及び第4貫通孔114はそれぞれ、上記燃料電池スタックの2本のガス排出マニホールドにおける一部を構成する。
【0012】
第1貫通孔111と第2貫通孔112とに挟まれた領域を第1ブリッジ部121と呼ぶ。第1ブリッジ部121は、第1上段部121aと、その第1上段部からZ軸負方向に屈曲した第1接続部121bと、第1上段部121aから第1接続部121bを介してX軸正方向に向かうにつれて一段下がるように形成された第1下段部121cとを有している。第1下段部121cから第1接続部121bのZ軸方向の高さにわたって広がる空間を第1連通路131と呼ぶ。第1連通路131は、第1貫通孔111と第2貫通孔112とに通じている。
【0013】
第3貫通孔113と第4貫通孔114とに挟まれた領域を第2ブリッジ部122と呼ぶ。第2ブリッジ部122は、第1セパレータ1の中心を通り、Y軸に平行な軸を対称軸として第1ブリッジ部121と対称な構造である。すなわち、第2ブリッジ部122は、第2上段部(不図示)と、その第2上段部からZ軸負方向に屈曲した第2接続部(不図示)と、第2上段部から第2接続部を介してX軸負方向に向かうにつれて一段下がるように形成された第2下段部(不図示)とを有している。第2下段部から第2接続部のZ軸方向の高さにわたって広がる空間を第2連通路132と呼ぶ。第2連通路132は、第3貫通孔113と第4貫通孔114とに通じている。
【0014】
第1セパレータ1において、第1貫通孔111、第2貫通孔112及び第1連通路131と、第3貫通孔113、第4貫通孔114及び第2連通路132との間の領域を中央領域と呼ぶ。この中央領域は、セルCLにおいて、後述する膜・電極接合体(MEA)5と対向する領域である。この中央領域には、X軸方向に平行な複数の凹条部(ガス流路溝)が形成されている。かかる複数の凹条部は、第1貫通孔111と第3貫通孔113とに通ずる第1凹条部141と、第2貫通孔112と第4貫通孔114とに通ずる第2凹条部142と、第1連通路131と第2連通路132とに通ずる第3凹条部143とを含む。
【0015】
セルCLは、上述の第1セパレータ1に加えて、第1セパレータ1と対をなす第2セパレータ2と、第1ガス拡散層(GDL)3と、第2ガス拡散層4と、膜・電極接合体(MEA)5とを備えている。膜・電極接合体5は、第1ガス拡散層3及び第2ガス拡散層4により挟持されている。第1ガス拡散層3及び第2ガス拡散層4並びに膜・電極接合体5は、第1セパレータ1の中央領域及び第2セパレータ2の中央領域により挟持されている。
【0016】
図3及び
図4(a)に示すように、第1貫通孔111及び第2貫通孔112の周囲の少なくとも一部には、ガスケット8が設けられている。このガスケット8は、芯材入りの熱可塑性シール材7により、第2セパレータ2に取り付けられている。ガスケット8はさらに、芯材入りの熱可塑性シール材6により第1上段部121aに取り付けられているとともに、第1連通路131を覆っている。
【0017】
熱可塑性シール材7に接着性があるため、ガスケット8の撓みが抑えられ、その結果、第1連通路140におけるガスの流れが阻害されてしまう可能性を低減することができる。なお、
図4(b)に示すように、熱可塑性シール材6及び7に代えて非接着性のシール材6a及び7aを用いる場合は、ガスケット8に撓みが生じ、その結果、第1連通路140におけるガスの流れが阻害される可能性が高い。
【0018】
以上のような第1セパレータ1によれば、セパレータ全体の面積に対する発電面積の割合を高めることができる。これは、燃料電池の出力密度の向上をもたらす。また、第1セパレータ1によれば、反応後の生成水を滞留させないようにすることができる。以下に詳しく説明する。
【0019】
燃料電池の出力密度を大きくする手段として発電面積を大きくすることが挙げられる。しかし、燃料電池を車両に搭載するなどのように、燃料電池のサイズに制約がある場合は、決められたサイズの中で出来る限り大きな発電面積を確保することが求められる。
【0020】
発電面積を大きく確保する方法として、
図7に示すようなセパレータ1aが考えられる。このセパレータ1aは、ガス供給用の第1貫通孔111aと、ガス排出用の第2貫通孔112aとを備えている。第1貫通孔111aは、セパレータ1aのX軸方向に向かい合う2つの短辺のうち、一方の短辺付近においてY軸方向に延びるように設けられ、第2貫通孔112aは他方の短辺付近においてY軸方向に延びるように設けられている。そして、第1貫通孔111aと第2貫通孔112aとに通ずる複数の凹条部141aが形成されている。セルにおいて複数の凹条部141aは膜・電極接合体(MEA)と対向している。
【0021】
セパレータ1aにおいては、複数の凹条部141aが第1貫通孔111a及び第2貫通孔112aに対して直結しているため、セパレータ1aにおいて複数の凹条部141aが占める面積すなわち発電面積を比較的大きく確保することができる。しかし、セパレータ1aの外周部と貫通孔との間の領域における機械的強度が比較的弱いため、燃料電池スタックを組む際の圧力により割れが生じる可能性がある。
【0022】
図8に示すセパレータ1bのように、ガス供給用の第1貫通孔111bと、ガス排出用の第2貫通孔112bとを設けることもできる。第1貫通孔111b及び第2貫通孔112bはいずれも、Y軸方向の寸法がセパレータ1bの短辺の長さの半分程度である。そして、複数の凹条部141bは、分配領域151bを介して第1貫通孔111bに通じ、収集領域152bを介して第2貫通孔112bに通じている。
【0023】
第1貫通孔111bから供給されたガスは、分配領域151bにより複数の凹条部141bの各々に分配される。また、複数の凹条部141bの各々を流れたガスは、収集領域152bにより収集されて第2貫通孔112bへと流れ込む。このようなセパレータ1bによれば、貫通孔の数が合計2個と比較的少ないため、セパレータの機械的強度を一定程度確保することができる。
【0024】
しかし、分配領域151b及び収集領域152bが設けられているために、分配領域及び収集領域がない場合に比べて発電面積が減少する。
【0025】
図9にセパレータ1cを示す。このセパレータ1cには、第1貫通孔111cと第2貫通孔112cと第3貫通孔113cと第4貫通孔114cとが形成されている。第1貫通孔111cと第2貫通孔112cとは、セパレータ1cのX軸方向に向かい合う2つの短辺のうち、一方の短辺付近においてY軸方向に並ぶように設けられている。第3貫通孔113cと第4貫通孔114cとは、セパレータ1cの上記2つの短辺のうち、他方の短辺付近においてY軸方向に並ぶように設けられている。
【0026】
第1貫通孔111cと第3貫通孔113cとは、Y軸方向の位置が略同じであり、第2貫通孔112cと第4貫通孔114cとは、Y軸方向の位置が略同じである。
【0027】
第1貫通孔111cと第2貫通孔112cとに挟まれた領域を第1ブリッジ部121cと呼ぶ。また、第3貫通孔113cと第4貫通孔114cとに挟まれた領域を第2ブリッジ部122cと呼ぶ。
【0028】
第1貫通孔111cと第3貫通孔113cとに通ずる複数の凹条路141cが形成されている。さらに、第2貫通孔112cと第4貫通孔114cとに通ずる複数の凹条路142cが形成されている。
【0029】
セパレータ1cにおいては、第1ブリッジ部121c及び第2ブリッジ部122cが設けられているため、機械的強度をある程度確保することができる。しかし、第1ブリッジ部121cと第2ブリッジ部122cとの間の領域に凹条部が形成されていないため、その分発電面積が減少する。
【0030】
セパレータ1a~1cとは異なり、
図1~
図6に示した第1セパレータ1による効果は以下の通りである。
(1)2つの貫通孔の間にあるブリッジ部により、セパレータの機械的強度を確保できる。
(2)第1ブリッジ部に第1連通路が形成され、第1連通路及び2つの貫通孔からガスが流れ込む複数の凹条部の存在により、発電面積を大きく確保することができる。これは出力密度の増加につながる。
(3)第1連通路の存在により、2つの貫通孔及び連通路に通ずる各凹条部のガス流量のばらつきを抑えることができる。ばらつきがあると、ガス流量が比較的少ない凹条部における生成水の滞留、電流密度当たりの電圧の低下、局所的な劣化が生じうるが、上記実施形態によればそのような問題が発生する可能性を低減することができる。
また、第2連通路が設けられていることで、ガス排出も効率的に行うことができる。
(4)第1連通路及び第2連通路に通ずる凹条部がない場合、第1連通路と第2連通路との間の領域と対向するGDL中に滞留した生成水を排水する為のガスを流すことが出来ない。そのため、セパレータの第1連通路と第2連通路との間の領域付近のGDL中に生成水が滞留する可能性がある。このような生成水の滞留によりGDL中のガスの拡散が阻害され、電流密度当たりの電圧の低下・局所的な劣化が生じうる。
上記実施形態によれば、第1連通路及び第2連通路に通ずる凹条部が形成されているため、第1連通路と第2連通路との間の領域付近のGDL中に滞留した生成水を排水する為のガスを流すことが出来る。そのため、GDL中に生成水が滞留する可能性を低減することができる。すなわち、ガス拡散が阻害される可能性が抑えられる。これは、電流密度当たりの電圧の低下・局所的な劣化の抑制につながる。
【0031】
[他の実施形態]
第1凹条部141を、第1貫通孔111及び第3貫通孔113に直に通ずるように形成することができる。また、第2凹条部142を、第2貫通孔112及び第4貫通孔114に直に通ずるように形成することができる。加えて、第3凹条部143を、第1連通路131及び第2連通路132に直に通ずるように形成することができる。これにより、各凹条部の上流側及び下流側にそれぞれ、ガス分配領域及びガス収集領域を設ける必要がなくなる。これにより、凹条部の長さが長くなり、発電面積確保につながる。なお、必要に応じて、このようなガス分配領域及びガス収集領域を設けてもよい。
【0032】
第1連通路131の深さ(Z軸方向の寸法)D1は、第3凹条部143の深さ(Z軸方向の寸法)D2よりも大きくすることができる(
図2)。第2連通路132の深さについても同様に、第3凹条部143の深さD2よりも大きくすることができる。これにより、凹条部の両端面がブリッジ部により塞がれることなく完全に開口することとなる。その結果、第3凹条部143の全体にガスを流すことができるとともに、第3凹条部143の全体からガスを排出させることができる。
【0033】
図2に示した第1接続部121bに代えて、
図10(a)及び(b)に示す第1接続部121b
1を採用することも可能である。第1接続部121b
1は、第1上段部121aから第1下段部121cに向かって傾斜するように形成されている。すなわち、第1連通路131
1が第3凹条部143に向かって深くなるように形成されている。これにより、第3凹条部143に向かってガスを流しやすくすることができる。加えて、第1ブリッジ部121の幅(Y軸方向の寸法)が同じであれば、第1接続部121bを採用する場合に比べてブリッジ部の機械的強度を上げることができる。あるいは、第1接続部121bを採用する場合と同等の機械的強度を得るに際し、第1接続部121bを採用する場合に比べてブリッジ部の幅を小さくして、2つの貫通孔の大きさを大きくすることができる。
【0034】
図2に示した第1下段部121cに代えて、
図10(c)及び(d)に示すものとすることができる。すなわち、第1下段部121c
1のY軸方向両端部側に傾斜部121c
2及び121c
3が形成されている。Y軸正方向側に設けられた傾斜部121c
2は、Y軸正方向に向かって、すなわち第1貫通孔111に向かってZ軸負方向に下がるように傾斜している。Y軸負方向側に設けられた傾斜部121c
3は、Y軸負方向に向かって、すなわち第2貫通孔112に向かってZ軸負方向に下がるように傾斜している。
【0035】
つまり、第1連通路1312が、第1貫通孔及び前記第2貫通孔に向かって深くなるように形成されている。これにより、ブリッジ部の機械的強度を確保しつつ、両貫通孔から連通路に向かってガスを流れやすくすることができる。
【0036】
第1セパレータ1についてこれまでに述べた本発明の実施形態を、第2セパレータ2にも適用することができる。つまり、本発明の実施形態は、アノード側のセパレータ及びカソード側のセパレータのいずれにも適用可能である。
【0037】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 セパレータ
111~114 貫通孔
121、122 ブリッジ部
131、132 連通路
141~143 凹条部
121a 上段部
121b 接続部
121c 下段部
3、4 ガス拡散層
5 膜・電極接合体(MEA)
6、7 熱可塑性シール材
8 ガスケット