(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】需要調整制御システム、需要調整制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240112BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240112BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240112BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240112BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J13/00 311A
H02J13/00 301A
H02J3/00 130
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2021005013
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】津田 紗野
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-123189(JP,A)
【文献】特開2017-135824(JP,A)
【文献】特開2017-028775(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する取得部と、
施設に設置された機器群から、前記取得部が取得した前記目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器を決定する決定部と、
前記需要調整要請の実施期間において、前記対象機器による調整量が前記目標調整量の範囲に収まるように、前記対象機器の需要調整制御を実行する制御部と、を備え、
前記機器群は、前記実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器と、前記実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器と、を含
み、
前記決定部は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、前記対象機器に含める前記第2機器を決定する、
需要調整制御システム。
【請求項2】
前記施設に対して前記需要調整制御への参加の有無を問い合わせる質問部を更に備え、
前記決定部は、前記質問部による問い合わせに対する回答に応じて、前記対象機器を決定する、
請求項
1に記載の需要調整制御システム。
【請求項3】
前記実施期間における電力消費の傾向を予測し、予測した前記傾向に基づいて中間需要調整目標値を設定する設定部を更に備え、
前記制御部は、前記実施期間において、前記対象機器による単位時間当たりの調整量が前記中間需要調整目標値を満たすように、前記対象機器の需要調整制御を実行する、
請求項
1又は2に記載の需要調整制御システム。
【請求項4】
前記機器群に含まれる機器を前記第1機器及び前記第2機器のいずれかに決定する種別決定部を更に備える、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の需要調整制御システム。
【請求項5】
前記対象機器に前記第2機器が含まれる場合、前記制御部は、前記第2機器が設置される施設に応じた条件で、前記第2機器の需要調整制御を実行する、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の需要調整制御システム。
【請求項6】
前記対象機器に前記第2機器が複数含まれる場合、前記制御部は、前記複数の第2機器の需要調整制御を順番に実行する、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の需要調整制御システム。
【請求項7】
一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する取得ステップと、
施設に設置された機器群から、前記取得ステップで取得した前記目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器を決定する決定ステップと、
前記需要調整要請の実施期間において、前記対象機器による調整量が前記目標調整量の範囲に収まるように、前記対象機器の需要調整制御を実行する制御ステップと、を含み、
前記機器群は、前記実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器と、前記実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器と、を含
み、
前記決定ステップでは、過去の需要調整制御の実績に基づいて、前記対象機器に含める前記第2機器を決定する、
需要調整制御方法。
【請求項8】
プロセッサに、
請求項
7に記載の需要調整制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、需要調整要請時に需要調整するように機器を制御する需要調整制御システム、需要調整制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、節電制御用の電子装置が開示されている。この電子装置は、送受信器と、データ解析ブロックと、表示制御ブロックと、節電発動ライン制御ブロックと、指令信号出力ブロックと、を備える。送受信器は、電力供給管理システムから提供される時間帯毎の電力使用量実績データ及び電力使用量予測データを取得する。データ解析ブロックは、電力使用量実績データ及び電力使用量予測データの変化を解析し、解析結果を表示するグラフのデータを作成する。表示制御ブロックは、表示器にグラフを表示するととともに、グラフ上で節電発動設定ラインを表示する。
【0003】
節電発動ライン制御ブロックは、節電発動設定ラインを調整し、任意の位置で決定し、決定された位置の値を節電発動用値とする。そして、指令信号出力ブロックは、電力使用量実績データ及び/又は電力使用量予測データの値が節電発動用値を越える場合、節電対象である装置へ、節電指令信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、需要調整要請時における施設への影響を低減しやすい需要調整制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る需要調整制御システムは、取得部と、決定部と、制御部と、を備える。前記取得部は、一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する。前記決定部は、施設に設置された機器群から、前記取得部が取得した前記目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器を決定する。前記制御部は、前記需要調整要請の実施期間において、前記対象機器による調整量が前記目標調整量の範囲に収まるように、前記対象機器の需要調整制御を実行する。前記機器群は、前記実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器と、前記実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器と、を含む。前記決定部は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、前記対象機器に含める前記第2機器を決定する。
【0007】
本開示の一態様に係る需要調整制御方法は、取得ステップと、決定ステップと、制御ステップと、を含む。前記取得ステップでは、一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する。前記決定ステップでは、施設に設置された機器群から、前記取得ステップで取得した前記目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器を決定する。前記制御ステップでは、前記需要調整要請の実施期間において、前記対象機器による調整量が前記目標調整量の範囲に収まるように、前記対象機器の需要調整制御を実行する。前記機器群は、前記実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器と、前記実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器と、を含む。前記決定ステップでは、過去の需要調整制御の実績に基づいて、前記対象機器に含める前記第2機器を決定する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、プロセッサに、前記需要調整制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示における需要調整制御システム等によれば、需要調整要請時における施設への影響を低減しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る需要調整制御システムを含む全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の一例を示す概要図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る需要調整制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、電力需要の逼迫時における実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、電力需要の変動の抑制時における実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、電力需要の変動の抑制時における実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の他の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、比較例の需要調整制御システムによる需要調整制御の結果の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の結果の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る需要調整制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図10A】
図10Aは、実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御にて生じ得る課題の説明図である。
【
図10B】
図10Bは、実施の形態1に係る需要調整制御システムによる需要調整制御にて生じ得る課題の説明図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る需要調整制御システムによる需要調整制御の結果の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施の形態1の変形例に係る需要調整制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
まず、発明者の着眼点が、下記に説明される。
【0012】
従来、例えば電力会社からのDR(Demand Response)等の節電要請があった場合、節電対象の機器の動作を停止させたり、節電対象の機器の動作モードを変更させたりすることで、節電要請に応じた節電制御を行っていた。
【0013】
近年では、例えばVPP(Virtual Power Plant)等において、単に節電要請に応じて節電対象の機器を節電制御するだけでは足りず、節電要請時に指令される調整量の範囲に収まるように節電対象の機器を節電制御することが望まれる。また、VPP等においては、電力会社等が供給する電圧の大きさ及び周波数を一定とするために電力の需要及び需給を常に一致させるべく同時同量を達成することが原則であり、節電要請だけでなく、電力の過剰生成分を消費させるための増電要請がなされる場合がある。このため、増電要請時に指令される増電量の範囲に収まるように増電対象の機器を増電制御することも望まれる。つまり、節電及び増電といった需要調整要請に応じて需要調整対象の機器を需要調整制御することが望まれる。
【0014】
しかしながら、従来では、例えば需要調整要請が節電要請である場合に、一度、節電要請に応じて節電対象の機器の節電制御を実行すると、節電要請が解除されるまで節電制御も解除されない。このため、従来では、上述のように需要調整要請(節電要請)により指令された調整量(節電量)の範囲に収まるように需要調整(節電)対象の機器を柔軟に制御することが難しい、という問題がある。
【0015】
また、仮に上述のように需要調整(節電)対象の機器を柔軟に制御できたとしても、更に以下のような問題が生じ得る。すなわち、需要調整要請(節電要請)により指令された調整量(節電量)の範囲に収まるように、需要調整(節電)対象の機器の動作を繰り返し変更することにより、需要調整(節電)対象の機器が設置された施設に対して影響を及ぼし得る。
【0016】
例えば、施設がコンビニエンスストア等の店舗であって、節電対象の機器が売場に設置された照明器具である、と仮定する。この場合、例えば節電要請に応じて照明器具の調光率の増減を繰り返すと、店舗の照明環境の変化を客が視覚的に感知することにより、客が不快感を覚える可能性がある。
【0017】
以上を鑑み、発明者は本開示を創作するに至った。
【0018】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0019】
また、以下では、所定の数値(例えば、後述する調整量の積算値等)と閾値(例えば、後述する目標調整量等)とを比較しているが、比較においては、一方の分岐条件に閾値が含まれてもよいし、他方の分岐条件に閾値が含まれてもよい。例えば、一方の分岐条件は、「所定の数値が閾値以上(又は以下)である」ことであってもよいし、「所定の数値が閾値を上回る(又は下回る)」ことであってもよい。
【0020】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0021】
(実施の形態1)
[1-1.全体構成]
まず、実施の形態1に係る需要調整制御システム100を含む全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る需要調整制御システム100を含む全体構成を示すブロック図である。需要調整制御システム100は、例えば電力会社又はアグリゲータ等が運用する外部システム7からの需要調整要請に応じて、機器群2から需要調整制御の対象となる対象機器3を決定し、対象機器3の需要調整制御を実行するためのシステムである。なお、対象機器3の需要調整制御には、例えば需要調整制御が不要であるという需要調整要請である場合に、対象機器3を意図的に制御しないことも含まれ得る。例えば、需要調整要請によっては、需要調整制御を実行する対象機器3の数が零となることもあり得るが、このような場合も対象機器3の需要調整制御に含まれ得る。
【0022】
需要調整要請は、恒久的な要請ではなく、例えば上述のDR等のように一時的な要請である。また、需要調整要請は、上述のDRの他に、電力需要のピークにあたる時間帯の電力消費を低く抑えるためのピークカットを含み得る。また、需要調整要請は、電力需給市場における電力価格に基づいて、電力価格が比較的高い時間帯の電力消費を低く抑えるための要請を含み得る。
【0023】
機器群2は、需要調整制御の対象となり得る施設4に設置された機器20を含んでいる。例えば、施設4が1つである場合、機器群2は、当該施設4に設置された機器20を含む。また、例えば、施設4が複数である場合、機器群2は、複数の施設4の各々に設置された全ての機器20を含む。
【0024】
施設4は、例えばコンビニエンスストア又はスーパーマーケット等の店舗を含む。なお、施設4は、店舗に限らず、例えば戸建て住宅又は集合住宅等の住宅施設であってもよいし、オフィス、学校、福祉施設、病院及び工場等の非住宅の施設も含み得る。実施の形態1では、施設4は、特に断りのない限り、コンビニエンスストアである、と仮定する。
【0025】
実施の形態1では、
図2に示すように、需要調整制御システム100の制御対象となる施設4は複数である、と仮定する。
図2は、実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の一例を示す概要図である。
図2に示す例では、各施設4には複数の機器20が設置されている。
図2に示す例では、機器群2は、第1機器21(図中△印が付された機器20)と、第2機器22(図中〇印が付された機器20)と、第3機器23(図中×印が付された機器20)と、を含んでいる。詳しくは後述するが、機器群2のうち対象機器3となり得る機器20は、第1機器21及び第2機器22である。一方、機器群2のうち対象機器3になり得ない機器20は、第3機器23である。
図2に示す例では、各施設4の全ての第1機器21及び第2機器22が対象機器3である。
【0026】
[1-2.需要調整制御システム]
次に、需要調整制御システム100の詳細について説明する。需要調整制御システム100は、
図1に示すように、取得部11と、決定部12と、制御部13と、質問部14と、記憶部15と、を備えている。なお、実施の形態1において、需要調整制御システム100は、取得部11と、決定部12と、制御部13とを少なくとも備えていればよく、その他の構成要素は備えていなくてもよい。例えば、上記のその他の構成要素については、需要調整制御システム100とは別のシステム等により実現可能である。
【0027】
実施の形態1では、需要調整制御システム100は、サーバ10により実現される。サーバ10は、例えばインターネット等のネットワークN1を介して、各施設4との間で通信可能である。また、サーバ10は、ネットワークN1を介して、外部システム7との間でも通信可能である。サーバ10と各施設4との間、及びサーバ10と外部システム7との間の通信は、例えば無線通信であって、その通信規格は特に限定されない。なお、サーバ10と各施設4との間、及びサーバ10と外部システム7との間の通信は、有線通信であってもよい。
【0028】
サーバ10は、プロセッサ及びメモリを有しており、プロセッサにてメモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。実施の形態1では、メモリは、記憶部15である。
【0029】
取得部11は、一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する。ここで、目標調整量は、需要調整要請の実施期間において需要調整される電力量の積算値の目標値をいう。実施の形態1では、取得部11は、外部システム7から需要調整要請を受信する際に併せて受信する調整量の指令値を目標調整量として取得する。需要調整制御に参加可能な機器20の数は、後述する質問部14による問い合わせに対する各施設4からの回答により得られる。
【0030】
なお、実施の形態では、節電時において調整量が正の値となり、増電時において調整量が負の値となることとして説明する。つまり、目標調整量が正の値である場合、需要調整要請は節電要請に相当し、目標調整量が負の値である場合、需要調整要請は増電要請に相当する。
【0031】
決定部12は、施設4に設置された機器群2から、取得部11が取得した目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器3を決定する。実施の形態1では、決定部12は、質問部14による問い合わせに対する回答に応じて、対象機器3を決定する。既に述べたように、上記回答には、需要調整制御に参加可能な機器20に関する情報が含まれている。したがって、決定部12は、需要調整制御に参加可能な機器20の中から、対象機器3を決定する。
【0032】
機器群2は、第1機器21と、第2機器22と、を含む。実施の形態1では、各施設4に第1機器21と、第2機器22と、が設置されている、と仮定する。なお、複数の施設4が存在する場合に、第1機器21が設置されていない施設4が存在していてもよいし、第2機器22が設置されていない施設4が存在していてもよい。
【0033】
第1機器21又は第2機器22が照明器具である場合、照度を抑えるように調光する等の節電制御(需要調整制御)、又は照度を上げるように調光する等の増電制御(需要調整制御)が実行され得る。また、第1機器21又は第2機器22がエアーコンディショナ等の空調機器である場合、冷房運転時においては設定温度を上げる、暖房運転時においては設定温度を下げる、風量を下げる、ドライ運転時においては冷房運転に切り替える、又は電源を切る等の節電制御(需要調整制御)が実行され得る。また、冷房運転時においては設定温度を下げる、暖房運転時においては設定温度を上げる、風量を上げる、冷房運転時においてはドライ運転に切り替える、又は電源を入れる等の増電制御(需要調整制御)が実行され得る。また、第1機器21又は第2機器22が冷蔵設備又は冷凍設備等の要冷設備である場合、庫内温度を上昇させる等の節電制御(需要調整制御)、又は庫内温度を下降させる等の増電制御(需要調整制御)が実行され得る。
【0034】
第1機器21は、需要調整要請の実施期間において需要調整制御の態様が変更されない機器である。例えば、第1機器21が照明器具であって、照度を抑えるように調光するという節電制御(需要調整制御)が実行される、と仮定する。この場合、照明器具は、一度調光すると、節電要請(需要調整要請)の実施期間においては照度を元に戻す制御を実行することがない。第1機器21は、需要調整要請の実施期間において需要調整制御の態様が変更されることで、施設4の利用者に影響を及ぼし得る機器である。例えば、照明器具は、需要調整要請の実施期間において調光率の増減を繰り返すことで、施設4の照明環境が変化し、施設4の利用者に視覚的な影響を及ぼし得る。
【0035】
第2機器22は、需要調整要請の実施期間において需要調整制御の態様が変更可能な機器である。例えば、第2機器22が空調機器であって、風量を弱めるという節電制御(需要調整制御)が実行される、と仮定する。この場合、空調機器は、節電要請(需要調整要請)の実施期間において、風量を元に戻す制御を実行してもよい。第2機器22は、需要調整要請の実施期間において需要調整制御の態様が変更されても、施設4の利用者に与える影響が比較的小さい機器である。例えば、空調機器は、需要調整要請の実施期間において風量の強弱を変更する制御を繰り返したとしても、施設4の温度変化は施設4の利用者に知覚されがたく、施設4の利用者に影響を及ぼしにくい。
【0036】
また、例えば、第2機器22が冷蔵設備又は冷凍設備等の要冷設備であって、庫内温度を上昇させるという節電制御(需要調整制御)が実行される、と仮定する。この場合、要冷設備は、節電要請(需要調整要請)の実施期間において、庫内温度を元に戻す制御を実行してもよい。つまり、要冷設備は、需要調整要請の実施期間において庫内温度の増減を変更する制御を繰り返したとしても、庫内温度の変化は施設4の利用者に知覚されがたく、施設4の利用者に影響を及ぼしにくい。
【0037】
以下、第1機器21及び第2機器22の具体例について列挙する。施設4が例えばコンビニエンスストア等の食品を取り扱う店舗である場合、第1機器21は、事務室若しくは売場に設置された照明器具、又は厨房に設置された換気扇等を含み得る。また、施設4が例えばオフィスである場合、第1機器21は、照明器具、又は換気設備等を含み得る。
【0038】
施設4が例えばコンビニエンスストア等の食品を取り扱う店舗である場合、第2機器22は、例えば蓄電装置、事務所若しくは売場に設置された空調機器、ドリンクウォーマー、フライヤー、冷蔵機器、又は冷凍機器を含み得る。また、施設4が例えばオフィスである場合、第2機器22は、空調機器等を含み得る。
【0039】
なお、機器群2には、第1機器21及び第2機器22以外の機器も含まれ得る。つまり、機器群2には、需要調整制御の対象とならない第3機器23が含まれ得る。第3機器23は、需要調整要請の実施期間において需要調整制御されるだけでも、施設4の利用者に影響を及ぼし得る機器である。例えば、施設4がコンビニエンスストア等の食品を取り扱う店舗である場合、調理済み食品(例えば、おでん等)のウォーマー、コーヒーマシン、又は電子レンジ等は第3機器23である。つまり、第3機器23は、需要調整制御を実行することにより、施設4の利用者が利用できなくなるという、施設4の運用等に大きな影響を及ぼし得る機器であるため、需要調整制御の対象から除外される。
【0040】
実施の形態1では、決定部12は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、対象機器3に含める第2機器22を決定する。具体的には、決定部12は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、需要調整制御に参加可能な複数の第2機器22にそれぞれ優先度を設定する。例えば、決定部12は、需要調整要請の実施期間において期待できる調整量が大きい第2機器22に対して、高い優先度を設定する。また、例えば、決定部12は、過去の需要調整制御への参加率が高い第2機器22に対して、高い優先度を設定する。そして、決定部12は、優先度の高い第2機器22から順に、第2機器22を対象機器3に含める。
【0041】
また、決定部12は、需要調整制御に参加可能な全ての第2機器22を対象機器3に含めなくてもよい。この場合、仮に需要調整要請の実施期間の途中において、節電量(調整量)の指令値に対して節電量(調整量)に不足が生じれば、決定部12にて最初に対象機器3に含めた第2機器22以外の第2機器22を、更に対象機器3に含めてもよい。一例として、需要調整要請の実施期間の途中において、節電量(調整量)の指令値に対して節電量(調整量)に不足が生じた場合に、決定部12にて最初に決定した施設4以外の施設4の第2機器22を、更に対象機器3に含めてもよい。この場合、追加の施設4は、需要調整制御に参加可能な施設4である。
【0042】
なお、決定部12は、例えば需要調整制御システム100の管理者等の操作入力に応じて、対象機器3に含める第2機器22を決定してもよい。
【0043】
制御部13は、需要調整要請の実施期間において、対象機器3による調整量が目標調整量の範囲に収まるように、対象機器3の需要調整制御を実行する。実施の形態1では、制御部13は、対象機器3に対して需要調整制御の指令を含む制御信号を送信することにより、対象機器3を制御する。各対象機器3は、制御信号を受信すると、制御信号に含まれる需要調整制御の指令に従って需要調整制御を実行する。
【0044】
具体的には、制御部13は、需要調整要請の実施期間が開始されると、対象機器3に対して制御信号を送信する。また、制御部13は、需要調整要請の実施期間中において、対象機器3による調整量が目標調整量の範囲を逸脱しそうな場合、対象機器3のうち第2機器22に対して更に制御信号を送信する。当該制御信号は、需要調整制御の態様を変更する指令を含む。
【0045】
実施の形態1では、制御部13は、各施設4に設置されたスマートメータ等の電力量計5から定期的に送信される電力情報を取得し、取得した電力情報に基づいて対象機器3による調整量の積算値と目標調整量とを比較する。電力情報は、例えば各施設4で消費される電力量である。制御部13は、各施設4からの電力情報に基づいて、調整量を算出する。そして、制御部13は、例えば調整量の積算値が目標調整量を超過しそうな場合、調整量の積算値と目標調整量との差分に応じて、需要調整制御を実行している第2機器22の動作を停止させたり、需要調整制御を実行している第2機器22の需要調整制御を解除したりする。なお、「調整量の積算値が目標調整量を超過する」とは、目標調整量が正の値(つまり、節電量)である場合には積算値が目標調整量を上回ることに相当し、目標調整量が負の値(つまり、増電量)である場合には積算値が目標調整量を下回ることに相当する。
【0046】
第1機器21は、需要調整要請の実施期間の開始時に制御信号を受信すると、制御信号に含まれる需要調整制御の指令に従って需要調整制御を実行する。そして、第1機器21は、需要調整要請の実施期間が終了するまでの間、需要調整制御の態様を変更しない。
【0047】
一方、第2機器22は、需要調整要請の実施期間の開始時に制御信号を受信すると、制御信号に含まれる需要調整制御の指令に従って需要調整制御を実行する。そして、第2機器22は、需要調整要請の実施期間中において更に制御信号を受信した場合、当該制御信号の指令に従って需要調整制御の態様を変更する。
【0048】
なお、需要調整要請が節電要請である場合、節電要請の実施期間において第2機器22は節電制御のみを実行するとは限らず、途中で増電制御を実行する場合もあり得る。また、需要調整要請が増電要請である場合、増電要請の実施期間において第2機器22は増電制御のみを実行するとは限らず、途中で節電制御を実行する場合もあり得る。
【0049】
質問部14は、施設4に対して需要調整制御への参加の有無を問い合わせる。実施の形態1では、質問部14は、需要調整要請を受信したことの通知、及び需要調整制御に参加可能な機器20(第1機器21及び第2機器22)に関する情報を要求する指令を含む質問信号を、各施設4に向けて送信する。なお、質問部14は、例えば施設4のある地域、又は施設4の立地条件等に応じて、質問信号の送信対象の施設4を制限してもよい。つまり、質問部14は、全ての施設4に対して質問信号を送信するのではなく、一部の施設4のみに対して質問信号を送信してもよい。
【0050】
各施設4では、例えばタブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末6にて質問信号を受信する。質問信号を受信した情報端末6は、需要調整制御に参加可能な機器20に関する情報を含む応答信号を、需要調整制御システム100に向けて返信する。ここで、需要調整制御に参加可能な機器20の設定については、情報端末6が質問信号を受信した時点で、施設4の管理者等が情報端末6を操作して行ってもよいし、質問信号を受信する前に事前に行ってもよい。また、応答信号の返信は、施設4の管理者等の操作に応じて行われてもよいし、自動的に行われてもよい。
【0051】
なお、需要調整制御に参加可能な機器20の設定においては、需要調整要請の実施期間において需要調整制御への参加からの除外を希望する時間帯を設定してもよい。例えば、需要調整要請の実施期間が午後1時~午後2時である、と仮定する。この場合、上記時間帯として午後1時半~午後2時までの時間を設定してもよい。
【0052】
記憶部15は、サーバ10のプロセッサが各種制御を行うために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部15は、例えば半導体メモリにより実現されるが、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。記憶部15には、例えば需要調整要請の実施期間において需要調整制御に参加可能な機器20に関するデータ等が記憶される。
【0053】
[2.動作]
以上のように構成された需要調整制御システム100の動作について、以下
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1に係る需要調整制御システム100の動作例を示すフローチャートである。以下では、需要調整制御システム100は、外部システム7から需要調整要請としてDRを受信する、と仮定する。もちろん、以下の動作は、外部システム7からDR以外の需要調整要請を受信する場合にも実行される。また、以下では、決定部12が決定する対象機器3には、第1機器21と、第2機器22とが含まれている、と仮定する。
【0054】
まず、取得部11は、外部システム7からの需要調整要請を受信する(S1)。このとき、取得部11は、需要調整要請と共に調整量の指令値(つまり、目標調整量)も併せて受信する。処理S1は、需要調整制御方法の取得ステップST1に相当する。
【0055】
取得部11が需要調整要請を受信した後、質問部14は、各施設4に向けて質問信号を送信することにより、各施設4に対して需要調整制御への参加の有無を問い合わせる(S2)。なお、例えば需要調整要請を受信した時点より前の所定期間(例えば、1日)において、既に各施設4から問い合わせに対する回答を得ている場合、処理S2は省略してもよい。
【0056】
次に、決定部12は、取得部11が取得した目標調整量に基づいて、需要調整制御に参加可能な機器20の中から対象機器3を決定する(S3)。処理S3においては、既に述べたように、決定部12は、優先度の高い第2機器22から順に、第2機器22を対象機器3に含める。処理S3は、需要調整制御方法の決定ステップST2に相当する。
【0057】
次に、制御部13は、需要調整要請の実施期間が開始されると、対象機器3に対して制御信号を送信することにより、対象機器3の需要調整制御を開始する(S4)。その後、制御部13は、各施設4に設置された電力量計5から定期的に電力情報を取得し(S5)、取得した電力情報に基づいて対象機器3による調整量の積算値と目標調整量とを比較する(S6)。
【0058】
調整量の積算値が目標調整量を超過しそうな場合(S6:Yes)、制御部13は、調整量の積算値と目標調整量との差分に応じて、需要調整制御を実行している第2機器22の需要調整制御の態様を変更する(S7)。一方、調整量の積算値が目標調整量を超過しそうにない場合(S6:No)、制御部13は、需要調整制御を実行している第2機器22の需要調整制御を維持する(S8)。
【0059】
その後、需要調整要請の実施期間が終了するまでの間(S9:No)、制御部13は、上記の一連の処理S5~S8を繰り返す。そして、需要調整要請の実施期間が終了すると(S9:Yes)、制御部13は、対象機器3による需要調整制御を解除する(S10)。処理S4~S10は、需要調整制御方法の制御ステップST3に相当する。
【0060】
以下、実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の一例について説明する。
図4は、電力需要の逼迫時における実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の一例を示すグラフである。
図4では、左側の縦軸は単位時間当たりの調整量、右側の縦軸は需要調整制御を実行している機器20の数、横軸は時間を表している。また、
図4では、実線は単位時間当たりの調整量、破線は需要調整制御を実行している第1機器21の数、点線は目標調整量を表している。
図4に示す例では、電力需要が逼迫しているため、目標調整量は正の値、つまり節電量を表している。
【0061】
また、
図4では、一点鎖線は需要調整制御として節電制御を実行している第2機器22の数、二点鎖線は需要調整制御として増電制御を実行している第2機器22の数、三点鎖線は需要調整制御を実行していない第2機器22の数を表している。
【0062】
図4に示すように、電力需要の逼迫時においても、需要調整制御として節電制御を実行している第2機器22の数を増減するだけでなく、需要調整制御として増電制御を実行している第2機器22の数も増減し得る。また、
図4に示すように、需要調整制御として節電制御及び増電制御のいずれか一方を実行している第2機器22だけでなく、需要調整制御を実行しない第2機器22も存在し得る。
【0063】
図5は、電力需要の変動の抑制時における実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の一例を示すグラフである。左側の縦軸は単位時間当たりの調整量、右側の縦軸は需要調整制御を実行している機器20の数、横軸は時間を表している。また、
図5では、実線は単位時間当たりの調整量、三点鎖線は需要調整制御を実行していない第2機器22の数、点線は目標調整量を表している。
図5に示す例では、電力需要の変動を抑制する、つまり現状の電力需要を維持するため、目標調整量は零となっている。なお、
図5に示す例では、全ての対象機器3が需要調整制御を実行していない。このため、
図5では、第1機器21の数、需要調整制御として節電制御を実行している第2機器22の数、及び需要調整制御として増電制御を実行している第2機器22の数はいずれも零となるため、図示していない。
【0064】
図5に示すように、電力需要の変動の抑制時においては、単位時間当たりの調整量が目標調整量の範囲に収まっている場合、第1機器21及び第2機器22を含めた全ての対象機器3が需要調整制御を実行しない。
【0065】
図6は、電力需要の変動の抑制時における実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の他の一例を示すグラフである。
図6では、左側の縦軸は単位時間当たりの調整量、右側の縦軸は需要調整制御を実行している機器20の数、横軸は時間を表している。また、
図6では、実線は単位時間当たりの調整量、破線は需要調整制御を実行している第1機器21の数、点線は目標調整量を表している。
図6に示す例では、電力需要の変動を抑制する、つまり現状の電力需要を維持するため、目標調整量は零となっている。
【0066】
また、
図6では、一点鎖線は需要調整制御として節電制御を実行している第2機器22の数、二点鎖線は需要調整制御として増電制御を実行している第2機器22の数、三点鎖線は需要調整制御を実行していない第2機器22の数を表している。
【0067】
図6に示すように、電力需要の変動の抑制時においては、単位時間当たりの調整量が目標調整量の範囲に収まっていない場合、目標調整量の範囲に収まるように制御される。
図6に示す例では、単位時間当たりの調整量の変動に応じて、需要調整制御として節電制御を実行している第2機器22の数、需要調整制御として増電制御を実行している第2機器22の数、及び需要調整制御を実行しない第2機器22の数がいずれも増減し得る。
【0068】
[3.利点等]
以下、実施の形態1に係る需要調整制御システム100の利点について、比較例の需要調整制御システムとの比較を交えて説明する。比較例の需要調整制御システムは、需要調整要請の実施期間において、調整量の積算値に基づいて段階的に需要調整制御を行う機器20を増加させる点で、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と相違する。また、比較例の需要調整制御システムは、需要調整要請の実施期間において、一度機器20の需要調整制御を開始すると、需要調整要請の実施期間が終了するまで機器20の需要調整制御を解除することができない点で、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と相違する。つまり、比較例の需要調整制御システムは、需要調整要請の実施期間において、第1機器21のみに対して需要調整制御を実行する点で、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と相違する、と言える。
【0069】
図7は、比較例の需要調整制御システムによる需要調整制御の一例を示すグラフである。
図7では、左側の縦軸は調整量の積算値、右側の縦軸は需要調整制御を実行している機器20の数、横軸は時間を表している。また、
図7では、実線は調整量の積算値、破線は需要調整制御を実行している機器20の数、点線は目標調整量を表している。
【0070】
図7に示すように、比較例の需要調整制御システムでは、需要調整要請の実施期間が開始されると、まず機器群Aの需要調整制御を開始する。そして、機器群Aでの調整量の積算値が第1閾値Th1に達すると、比較例の需要調整制御システムは、更に機器群Bの需要調整制御を開始する。そして、機器群A及び機器群Bでの調整量の積算値が第2閾値Th2に達すると、比較例の需要調整制御システムは、更に機器群Cの需要調整制御を開始する。
【0071】
図7に示す例では、需要調整要請の実施期間において、機器群A~機器群Cでの調整量の積算値が目標調整量を超過しているにも関わらず、需要調整制御を実行している機器20の数に変化がない。つまり、比較例の需要調整制御システムでは、需要調整要請の実施期間において需要調整制御を実行している機器20の数を増減することができず、調整量の積算値を目標調整量に追従させることができない、という問題がある。
【0072】
一方、
図8は、実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御の一例を示すグラフである。
図8では、左側の縦軸は調整量の積算値、右側の縦軸は需要調整制御を実行している機器20の数、横軸は時間を表している。また、
図8では、実線は調整量の積算値、破線は需要調整制御を実行している第1機器21の数、一点鎖線は需要調整制御を実行している第2機器22の数、点線は目標調整量を表している。
【0073】
図8に示すように、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、需要調整要請の実施期間が開始されると、第1機器21及び第2機器22の両方の需要調整制御を開始する。そして、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、需要調整要請の実施期間において、第1機器21については需要調整制御を実行し続け、第2機器22については需要調整制御を実行している第2機器22の数を適宜増減する。
【0074】
図8に示す例では、実施の形態1に係る需要調整制御システム100は、調整量の積算値が目標調整量に近づくにつれて、需要調整制御を実行している第2機器22の数を減少させる。このため、
図8に示す例では、需要調整要請の実施期間において、調整量の積算値が目標調整量を超過することがない。つまり、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、需要調整要請の実施期間において需要調整制御を実行している第2機器22を増減することができるので、調整量を柔軟に調整することができ、調整量の積算値を目標調整量に追従させやすい、という利点がある。
【0075】
また、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、上述のように第1機器21と第2機器22とを含む機器群2から、対象機器3を決定している。このため、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、需要調整要請の実施期間において、調整量を調整すべく第2機器22の需要調整制御の態様を繰り返し変更したとしても、施設4の利用者に与える影響が比較的小さくて済む。したがって、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、需要調整要請時における施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0076】
(実施の形態2)
[1.構成]
以下、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aについて
図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aの構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aは、需要調整要請の実施期間における電力消費の傾向を予測し、予測した傾向に基づいて中間需要調整目標値を設定する設定部16を更に備える点で、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と相違する。また、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aは、制御部13が実施期間において、対象機器3による単位時間(例えば、1分間)当たりの調整量が中間需要調整目標値を満たすように、対象機器3の需要調整制御を実行する点で、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と相違する。
【0077】
つまり、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aは、実施の形態1に係る需要調整制御システム100と同様に、需要調整要請の実施期間において、調整量の積算値が目標調整量の範囲に収まるように対象機器3の需要調整制御を実行する。一方、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aは、需要調整要請の実施期間において、更に単位時間当たりの調整量が中間需要調整目標値を満たすように対象機器3を制御する。
【0078】
ここで、実施の形態1に係る需要調整制御システム100では、以下の
図10A及び
図10Bに示すような問題が生じる可能性があった。
図10A及び
図10Bは、それぞれ実施の形態1に係る需要調整制御システム100による需要調整制御にて生じ得る課題の説明図である。
図10Aでは、左側の縦軸は単位時間当たりの調整量、右側の縦軸は需要調整制御を実施している施設4の数(言い換えれば、需要調整制御を実行している機器20の数)、横軸は時間を表している。また、
図10Aでは、実線は単位時間当たりの調整量、破線は需要調整制御を実施している施設4の数、点線は単位時間当たりの目標調整量を表している。
図10Bでは、縦軸は各施設4全体での単位時間当たりの消費電力量、横軸は時間を表している。
【0079】
図10Aに示すように、需要調整要請の実施期間の前半においては、単位時間当たりの調整量が時間経過に伴い上昇している。このため、実施の形態1に係る需要調整制御システム100は、現在の需要調整制御を維持すると単位時間当たりの目標調整量を超過すると判断し、需要調整要請の実施期間の途中において、需要調整制御を実施している施設4(言い換えれば、第2機器22)の数を減じている。
【0080】
しかしながら、各施設4での電力消費の傾向によっては、需要調整要請の実施期間において、一時的に各施設4全体での単位時間当たりの消費電力量が増大する場合があり得る。このような事象は、例えば施設4が食品を取り扱う店舗である場合、冷凍設備の除霜により生じ得る。また、このような事象は、例えば外気温度の変化による空調機器の負荷の増減により生じ得る。そして、このように各施設4全体での単位時間当たりの消費電力量が増大すると、相対的に単位時間当たりの調整量が減少する。
【0081】
図10Bに示す例では、需要調整要請の実施期間の後半において、各施設4全体での単位時間当たりの消費電力量が急激に上昇している。この場合、
図10Aに示すように、需要調整要請の実施期間の後半において単位時間当たりの調整量が減少してしまい、単位時間当たりの調整量が単位時間当たりの目標調整量に達しない、という問題が生じている。
【0082】
そこで、実施の形態2では、設定部16は、需要調整要請の実施期間における電力消費の傾向を推定する。電力消費の傾向は、例えば過去の施設4ごとの電力消費の履歴、又は外気温度の履歴等を入力として電力消費の傾向を出力するように学習されたモデルを用いることで、推定することが可能である。そして、設定部16は、推定した電力消費の傾向に基づいて、中間需要調整目標値を算出して設定する。例えば、需要調整要請の実施期間の前半において電力消費が比較的低い一方、後半において電力消費が増大するという傾向が推定された、と仮定する。この場合、設定部16は、需要調整要請の実施期間の後半における電力消費の増大に備えて、一時的に単位時間当たりの目標調整量よりも大きくなるように、中間需要調整目標値を設定する。そして、制御部13は、需要調整要請の実施期間において、対象機器3による単位時間当たりの調整量が中間需要調整目標値を追従するように、対象機器3の需要調整制御を実行する。
【0083】
[2.利点等]
以下、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aの利点について、
図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aによる需要調整制御の結果の一例を示すグラフである。
図11では、左側の縦軸は単位時間当たりの調整量、右側の縦軸は需要調整制御を実施している施設4の数(言い換えれば、需要調整制御を実行している機器20の数)、横軸は時間を表している。また、
図11では、実線は単位時間当たりの調整量、破線は需要調整制御を実施している施設4の数、一点鎖線は中間需要調整目標値、点線は単位時間当たりの目標調整量を表している。
【0084】
図11に示す例では、設定部16は、需要調整要請の実施期間の後半において、各施設4全体での単位時間当たりの消費電力量が増大することを推定している。このため、設定部16は、時刻t1から時刻t2までの期間において、一時的に単位時間当たりの目標調整量よりも大きくなるように、中間需要調整目標値を設定している。このため、
図11に示す例では、制御部13は、単位時間当たりの調整量が単位時間当たりの目標調整量を超過しても、時刻t3までは需要調整制御を実施している施設4(言い換えれば、第2機器22)の数を減じることなく維持している。
【0085】
そして、
図11に示す例では、需要調整要請の実施期間において、最終的には単位時間当たりの調整量が単位時間当たりの目標調整量を満たしている。このように、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aでは、需要調整要請の実施期間において、単位時間当たりの調整量が単位時間当たりの目標調整量を満たさなくなるという状況を回避しやすくなる、という利点がある。
【0086】
(変形例)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、各実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った各実施の形態にも適用可能である。また、上記各実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0087】
そこで、以下、各実施の形態の変形例を例示する。
【0088】
上記各実施の形態において、照明器具は第1機器21であるが、全ての照明器具が第1機器21でなければならない必要はなく、一部の照明器具は、時間帯によっては第2機器22に分類されていてもよい。つまり、条件によっては、第1機器21は第2機器22に分類される場合もあり、第2機器22は第1機器21に分類される場合もある。
【0089】
そこで、例えば実施の形態1において、需要調整制御システム100は、
図12に示すように、機器群2に含まれる機器20を第1機器21及び第2機器22のいずれかに決定する種別決定部17を更に備えていてもよい。
図12は、実施の形態1の変形例に係る需要調整制御システム100の構成を示すブロック図である。種別決定部17は、例えば季節又は時間帯等に基づいて、機器群2に含まれる機器20を第1機器21及び第2機器22のいずれかに決定する。具体的には、施設4が例えばコンビニエンスストア等であって厨房を有する場合、種別決定部17は、厨房に設置されたフライヤーを、夏季のみ第2機器22として決定し、他の季節においては第1機器21として決定してもよい。
【0090】
その他、種別決定部17は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、機器群2に含まれる機器20を第1機器21及び第2機器22のいずれかに決定してもよい。なお、種別決定部17は、実施の形態2に係る需要調整制御システム100Aが備えていてもよい。
【0091】
上記各実施の形態では、対象機器3に第2機器22が含まれる場合、制御部13は、施設4に依存せずに第2機器22の需要調整制御を実行しているが、これに限られない。例えば、対象機器3に第2機器22が含まれる場合、制御部13は、第2機器22が設置される施設4に応じた条件で、第2機器22の需要調整制御を実行してもよい。例えば、制御部13は、施設4のある地域に応じて、第2機器22の需要調整制御の内容を変更してもよい。
【0092】
具体的には、制御部13は、冬季において第2機器22として空調機器に対して需要調整制御を実行する場合に、第2機器22が設置される施設4が寒冷地にあれば、空調機器の設定温度を通常時よりも下げるという需要調整制御を実行する。一方、制御部13は、第2機器22が設置される施設4が寒冷地になければ、空調機器の運転を停止するという需要調整制御を実行する。
【0093】
上記各実施の形態において、対象機器3に第2機器22が複数含まれる場合、制御部13は、複数の第2機器22の需要調整制御を順番に実行してもよい。例えば、対象機器3に3台の第2機器22が含まれており、それぞれ「A」、「B」、「C」である、と仮定する。この場合、制御部13は、「A」の需要調整制御を実行した後に「B」の需要調整制御を実行し、更にその後に「C」の需要調整制御を実行する。このように、制御部13は、複数の第2機器22の各々の需要調整制御が同時に行われないように制御する。この態様では、複数の第2機器22が同時に需要調整制御を実行する場合と比較して、施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0094】
上記各実施の形態において、決定部12は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、対象機器3に含める第2機器22を決定しているが、これに限られない。例えば、決定部12は、需要調整制御に参加可能な複数の第2機器22から無作為に対象機器3に含める第2機器22を決定してもよい。具体的には、決定部12は、複数の第2機器22の各々に連続する番号を付しておき、適宜の擬似乱数アルゴリズムにより生成された擬似乱数と一致する番号の付された第2機器22を、対象機器3に含める。
【0095】
また、例えば、上記各実施の形態では、需要調整制御システム100,100Aは、単一の装置として実現されたが、複数の装置によって実現されてもよい。需要調整制御システム100,100Aが複数の装置によって実現される場合、需要調整制御システム100,100Aが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記各実施の形態で需要調整制御システム100,100Aが備える構成要素は、全てサーバ10に備えられているが、一部のみがサーバ10に備えられていてもよい。つまり、本開示は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよいし、エッジコンピューティングによって実現されてもよい。
【0096】
また、例えば、上記実施の形態において、本開示における需要調整制御システム100,100Aの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0097】
また、本開示における需要調整制御システム100の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0098】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0099】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体で実現されてもよい。例えば、本開示は、上記実施の形態における需要調整制御方法をコンピュータによって実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体に記録されてもよいし、インターネット等の通信路で配信されてもよい。
【0100】
以上のように、本開示における技術の例示として、各実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0101】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0102】
また、上述の各実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【0103】
(まとめ)
以上述べたように、実施の形態に係る需要調整制御システム100,100Aは、取得部11と、決定部12と、制御部13と、を備える。取得部11は、一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する。決定部12は、施設4に設置された機器群2から、取得部11が取得した目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器3を決定する。制御部13は、需要調整要請の実施期間において、対象機器3による調整量が目標調整量の範囲に収まるように、対象機器3の需要調整制御を実行する。機器群2は、実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器21と、実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器22と、を含む。
【0104】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、調整量を調整すべく第2機器22の需要調整制御の態様を繰り返し変更したとしても、施設4の利用者に与える影響が比較的小さくて済むので、需要調整要請時における施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0105】
また、例えば、決定部12は、過去の需要調整制御の実績に基づいて、対象機器3に含める第2機器22を決定する。
【0106】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、調整量を確保しやすい第2機器22を対象機器3に含めることができるので、調整量を調整しやすくなる、という利点がある。
【0107】
また、例えば、需要調整制御システム100,100Aは、施設4に対して需要調整制御への参加の有無を問い合わせる質問部14を更に備える。決定部12は、質問部14による問い合わせに対する回答に応じて、対象機器3を決定する。
【0108】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、需要調整制御への参加可能な施設4の機器20のみを需要調整制御することができるので、施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0109】
また、例えば、需要調整制御システム100Aは、実施期間における電力消費の傾向を予測し、予測した傾向に基づいて中間需要調整目標値を設定する設定部16を更に備える。制御部13は、実施期間において、対象機器3による単位時間当たりの調整量が中間需要調整目標値を満たすように、対象機器3の需要調整制御を実行する。
【0110】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、単位時間当たりの調整量が単位時間当たりの目標調整量を満たさなくなるという状況を回避しやすくなる、という利点がある。
【0111】
また、例えば、需要調整制御システム100,100Aは、機器群2に含まれる機器20を第1機器21及び第2機器22のいずれかに決定する種別決定部17を更に備える。
【0112】
これによれば、通常、第1機器21である機器20を第2機器22とする等して、需要調整要請の実施期間において柔軟な需要調整制御を実行しやすくなる、という利点がある。
【0113】
また、例えば、対象機器3に第2機器22が含まれる場合、制御部13は、第2機器22が設置される施設4に応じた条件で、第2機器22の需要調整制御を実行する。
【0114】
これによれば、施設4ごとの事情に即した需要調整制御を実行することができるので、施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0115】
また、例えば、対象機器3に第2機器22が複数含まれる場合、制御部13は、複数の第2機器22の需要調整制御を順番に実行する。
【0116】
これによれば、複数の第2機器22が同時に需要調整制御を実行する場合と比較して、施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0117】
また、例えば、実施の形態に係る需要調整制御方法は、取得ステップST1と、決定ステップST2と、制御ステップST3と、を含む。取得ステップST1では、一時的な需要調整要請に基づく目標調整量を取得する。決定ステップST2では、施設4に設置された機器群2から、取得ステップST1で取得した目標調整量に基づいて需要調整制御の対象となる対象機器3を決定する。制御ステップST3では、需要調整要請の実施期間において、対象機器3による調整量が目標調整量の範囲に収まるように、対象機器3の需要調整制御を実行する。機器群2は、実施期間において需要調整制御の態様が変更されない第1機器21と、実施期間において需要調整制御の態様を変更可能な第2機器22と、を含む。
【0118】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、調整量を調整すべく第2機器22の需要調整制御の態様を繰り返し変更したとしても、施設4の利用者に与える影響が比較的小さくて済むので、需要調整要請時における施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【0119】
また、例えば、実施の形態に係るプログラムは、プロセッサに、上記の需要調整制御方法を実行させる。
【0120】
これによれば、需要調整要請の実施期間において、調整量を調整すべく第2機器22の需要調整制御の態様を繰り返し変更したとしても、施設4の利用者に与える影響が比較的小さくて済むので、需要調整要請時における施設4への影響を低減しやすい、という利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、例えばコンビニエンスストア等の多数の施設に含まれる多数の機器に対して需要調整制御を実行する需要調整制御システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
100,100A 需要調整制御システム
11 取得部
12 決定部
13 制御部
14 質問部
16 設定部
17 種別決定部
2 機器群
20 機器
21 第1機器
22 第2機器
3 対象機器
4 施設
ST1 取得ステップ
ST2 決定ステップ
ST3 制御ステップ