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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】引き出し
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/969 20170101AFI20240112BHJP
   A47B 77/16 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A47B88/969
A47B77/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019199432
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021069815
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤里 有美子
(72)【発明者】
【氏名】三原 孝之
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121443(JP,A)
【文献】特開2003-164346(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0185387(US,A1)
【文献】特開2012-125470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0038565(US,A1)
【文献】米国特許第06168031(US,B1)
【文献】特許第2832811(JP,B2)
【文献】特開2015-223189(JP,A)
【文献】特開2006-081671(JP,A)
【文献】特表2013-518637(JP,A)
【文献】実開平01-177542(JP,U)
【文献】特開2008-093090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04、77/16、88/00-88/994
E03D 1/02、7/00、11/00
E04H 1/12
B06P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンキャビネットに対して前後方向に出し入れされる引き出しであって、
収納空間の下端部、前端部、後端部及び左右一対の側端部にそれぞれ底部、前規制部、上端部に横片を有する後規制部及び左右一対の側規制部を備え、
両端部がそれぞれ前記左右一対の側規制部に取り付けられ、前記収納空間を前側の前収納空間と後側の後収納空間とに仕切る仕切り部材が設けられ、
前端部が前記仕切り部材に着脱可能に取り付けられ、かつ、後端部が前記後規制部に着脱可能に取り付けられて、前記後収納空間を左右に並ぶ空間に仕切る区画部材が設けられるものであり、
前記仕切り部材は、両端部に位置して前記側規制部に対して着脱可能に取り付けられる仕切り部材連結部と、中間部に位置して仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する仕切り部材棒状部と、を有し、
前記仕切り部材連結部は、仕切り部材外縦片、仕切り部材上横片及び仕切り部材内縦片を有する、長手方向と直交する断面における形状が、下方に開口する略C字状をしたものであり、
前記仕切り部材外縦片及び前記仕切り部材内縦片の先端には、仕切り部材抜け止め片が形成されており、
前記区画部材は、両端部に位置する区画部材連結部と、中間部に位置する区画部材棒状部と、を有し、
前記区画部材連結部は、
区画部材内縦片、区画部材上横片及び前記区画部材内縦片よりも上下方向の長さが短い区画部材外縦片を有し、
長手方向と直交する断面における形状が、下方に開口した略C字状をして内部に前記後規制部の前記横片が挿入可能な形状をなし、
前記区画部材外縦片の下端部に前記後規制部の前記横片が抜けるのを抑制する区画部材抜け止め片が形成されている、
引き出し。
【請求項2】
前記区画部材は、仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する棒状部を有する
請求項1記載の引き出し。
【請求項3】
前記区画部材を第一区画部材とし、
一端部が前記第一区画部材に着脱可能に取り付けられ、かつ、他端部が一方の前記側規制部に着脱可能に取り付けられて、前記第一区画部材により仕切られた一の前記空間を前後に並ぶ空間に仕切る第二区画部材が設けられる
請求項1又は2記載の引き出し。
【請求項4】
前記第二区画部材は、仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する棒状部を有する
請求項3記載の引き出し。
【請求項5】
前記側規制部は、側板状部と、前記側板状部の上方に位置して前記側板状部の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する側棒状部と、を有し、
前記側棒状部は、前端部が前記前規制部に取り付けられ、かつ、後端部が前記後規制部に取り付けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載の引き出し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引き出しに関し、更に詳しくは、キッチンキャビネットに対して前後方向に出し入れされる引き出しに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引き出しの仕切りが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1が開示するシステムキッチンにあっては、システムキッチンに備え付けられた引き出しからなる収納部の上部開口の両側部に設けられたフレーム間に間仕切りポールを掛け止めして、収納部の上部開口を区画している。
【0003】
間仕切りポールは、両側部に設けられるフレーム間に掛け止めされるため、上部開口を前後に仕切っており、上部開口を左右に仕切らない。上部開口を左右に仕切るには、間仕切りポールを収納部の前板と背板とに掛け止めする必要がある。しかしながら、間仕切りポールを収納部の前板に掛け止めすると、間仕切りポールの位置が高くなり、更に、収納部(特に前板)がキャビネットに収納されにくい等の問題がある。
【0004】
また、別の従来例として、連結具により仕切りバーを引出しからなる収納部に連結する引出し収納が知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2が開示する引出し収納にあっては、仕切りバーの端部に取り付けられた連結部が、それぞれ収納部の第1側壁部と第2側壁部とに取り付けられる。仕切りバーは、収納部の内部空間を仕切っている。
【0005】
仕切りバーは、収納部の第1側壁部と第2側壁部とに取り付けられるため、収納部の内部空間を前後に仕切っており、収納部の内部空間を左右に仕切らない。収納部の内部空間を左右に仕切るには、仕切りバーの両端部に取り付けられた連結部を収納部の前板部と後板部とに取り付ける必要がある。しかしながら、仕切りバーを収納部の前板部に取り付けると、仕切りバーの位置が高くなり、更に、収納部(特に前板部)がキッチン台に収納されにくい等、特許文献1が開示するシステムキッチンが有する問題と同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-22116号公報
【文献】特開2018-110643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は上記従来の問題点に鑑み、内部の空間を左右に並ぶ空間に仕切りやすい引き出しを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る一形態の引き出しは、キッチンキャビネットに対して前後方向に出し入れされる。前記引き出しは、収納空間の下端部、前端部、後端部及び左右一対の側端部にそれぞれ底部、前規制部、後規制部及び左右一対の側規制部を備える。前記引き出しには、仕切り部材が設けられる。前記仕切り部材は、両端部がそれぞれ前記左右一対の側規制部に取り付けられ、前記収納空間を前側の前収納空間と後側の後収納空間とに仕切る。前記引き出しには、区画部材が設けられる。前記区画部材は、前端部が前記仕切り部材に着脱可能に取り付けられ、かつ、後端部が前記後規制部に着脱可能に取り付けられて、前記後収納空間を左右に並ぶ空間に仕切る。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る引き出しにあっては、内部の空間を左右に並ぶ空間に仕切りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態に係る厨房装置の斜視図である。
図2図2Aは、同上の厨房装置が有する引き出しの斜視図である。図2Bは、同上の引き出しの平面図である。図2Cは、同上の引き出しの側面図である。図2Dは、図2BのA-A断面図である。
図3図3Aは、同上の引き出しが備える仕切り部材の一部斜視図である。図3Bは、同上の引き出しの側規制部に取り付けられた仕切り部材の断面図である。
図4図4Aは、同上の引き出しに調理容器が収納された状態の平面図である。図4Bは、同上の引き出しの前規制部を透過した正面図である。図4Cは、同上の引き出しの側面図である。
図5図5Aは、第二実施形態に係る引き出しの斜視図である。図5Bは、同上の引き出しの平面図である。図5Cは、同上の引き出しの側面図である。図5Dは、図5BのA-A断面図である。
図6図6は、第三実施形態に係る引き出しの側規制部に取り付けられた仕切り部材の断面図である。
図7図7は、第四実施形態に係る引き出しの後規制部に取り付けられた仕切り部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る引き出しについて、実施形態に基づいて説明する。なお、本開示に係る引き出しの実施形態は、下記実施形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0012】
(実施形態)
本開示に係る引き出しについて、図1図4Cに基づいて説明する。
【0013】
(1)概要
図1に示すように、引き出し2は、キッチンキャビネット11に対して前後方向に出し入れされる。引き出し2は、収納空間3の下端部、前端部、後端部及び左右一対の側端部にそれぞれ底部21、前規制部22、後規制部23及び左右一対の側規制部24を備える。引き出し2には、仕切り部材4が設けられる。仕切り部材4は、両端部がそれぞれ左右一対の側規制部24に取り付けられ、収納空間3を前側の前収納空間31と後側の後収納空間32とに仕切る。引き出し2には、第一区画部材5が設けられる。第一区画部材5は、前端部が仕切り部材4に着脱可能に取り付けられ、かつ、後端部が後規制部23に着脱可能に取り付けられて、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に仕切る。
【0014】
本実施形態に係る引き出し2にあっては、第一区画部材5により、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に仕切りやすい。
【0015】
(2)詳細
(2.1)構成
引き出し2は、キッチンキャビネット11に対して前後方向に出し入れされるものである。まず、第一実施形態に係るキッチンキャビネット11を備える厨房装置について説明する。
【0016】
(2.1.1)厨房装置
図2に示すように、厨房装置1は、カウンター10と、キッチンキャビネット11と、を備える。ここで、前後左右を定義する。すなわち、設計上、キッチンキャビネット11に対して使用者が位置する方向が定められており、この使用者が位置する方向を前方とするとともにその反対方向を後方とする。さらに、使用者が後方を向いたときの左方を左方とし、使用者が後方を向いたときの右方を右方とする。
【0017】
キッチンキャビネット11は、前板12と、左右一対の側板13と、背板と、底板と、を備える、上端部に上方を向く開口が形成される箱状をしたものである。カウンター10は、キッチンキャビネット11の上端部に載置され、上端部の開口を閉塞する。キッチンキャビネット11の前板12、左右一対の側板13、背板及び底板と、カウンター10とにより、略密閉された箱状の収納家具が構成される。この収納家具の内部の空間は、収納空間として利用可能である。
【0018】
キッチンキャビネット11の前板12には、内部の収納空間とキャビネットの前方の空間とを通じさせる開口が形成される。
【0019】
厨房装置1は、更に、シンク14と、加熱調理器15と、を備える。シンク14は、カウンター10の一部に設けられる。また、カウンター10のシンク14が設けられる部分を除く一部に、加熱調理器15が設けられる。
【0020】
カウンター10は、平面視矩形状をしている。カウンター10のシンク14が設けられる部分に開口が形成され、この開口の内端縁に、シンク14の上端縁が接続される。シンク14の上端縁とカウンター10の開口の内端縁との間にコーキング材が設けられる。カウンター10のシンク14が設けられる開口とは別の開口が形成されて、この開口に吐水配管16が通される。吐水配管16の先端にはカラン161が設けられる。
【0021】
カウンター10のシンク14及び吐水配管16が設けられる開口とは別の開口が形成され、この開口内に、加熱調理器15が挿入される。加熱調理器15は、電磁誘導式加熱調理器(いわゆるIH調理器)である。また、加熱調理器15としては電磁誘導式加熱調理器でなくとも、ガスコンロであってもよい。
【0022】
(2.1.2)引き出し
引き出し2は、キッチンキャビネット11に対して前後方向に出し入れされる。更に説明すると、引き出し2は、キッチンキャビネット11の前方より後方に向けて移動させて、キッチンキャビネット11に収納させる。また、引き出し2は、キッチンキャビネット11に収納された状態から、前方に向けて移動させて、キッチンキャビネット11より引き出す。
【0023】
図2A図2Dに示すように、引き出し2は、上方に開口した概ね矩形箱状をしたもので、内部に収納空間3を有する。なお、引き出し2の形状は、厳密な矩形箱状でなくてもよく、平面視において外郭が概ね前辺、後辺及び左右一対の側辺に区別可能な形状であればよい。引き出し2は、底部21、前規制部22、後規制部23及び左右一対の側規制部24を備える。
【0024】
引き出し2の収納空間3の下端部には、底部21が位置する。底部21は、平面視矩形状をした板部材を有する。底部21の平面視における形状が、引き出し2の平面視における形状を構成する。
【0025】
なお、底部21には、一部に孔や開口等が形成されてもよいが、孔や開口等は形成されない方が好ましい。また、底部21は、必ずしも板部材により形成されなくてもよく、例えば網部材や、棒部材や、板部材・網部材・棒部材の任意の組み合わせ等により構成されてもよい。
【0026】
引き出し2の収納空間3の前端部には、前規制部22が位置する。前規制部22は、収納空間3に収納されている物品が収納空間3より前方に移動するのを規制する。前規制部22は、正面視矩形状をした板部材を有し、前面部を構成している。前面部が有する板部材の板厚は、5mm~15mmであるが、特に限定されない。前規制部22としての前面部により、収納空間3の前端部の全面が覆われている。前面部の前面は、引き出し2の化粧面として機能する。前面部の上下方向の長さは、収納空間3の上下方向の長さよりも長い。前面部の上端部の上下方向における位置は、収納空間3の上端部の上下方向における位置と一致する。前面部の下端部の上下方向における位置は、収納空間3の下端部の上下方向における位置よりも下側に位置する。前規制部22(前面部)の正面視における形状が、引き出し2の正面視における形状を構成する。
【0027】
なお、前規制部22には、一部に孔や開口等が形成されてもよいが、孔や開口等は形成されない方が好ましい。また、前規制部22は、必ずしも板部材により形成されなくてもよい。また、前規制部22としての前面部は、必ずしも収納空間3の前端部の全面を覆わなくてもよい。
【0028】
引き出し2の収納空間3の後端部には、後規制部23が位置する。後規制部23は、収納空間3に収納されている物品が収納空間3より後方に移動するのを規制する。後規制部23は、正面視矩形状をした板部材を有し、後面部を構成している。後面部が有する板部材の板厚は、5mm~15mmであるが、特に限定されない。後面部の左右方向の長さは、前面部の左右方向の長さと同じに形成されている。後面部の上下方向の長さは、前面部の上下方向の長さよりも短い。後規制部23としての後面部によっては、収納空間3の後端部の全面が覆われていない。後面部によって、収納空間3の後端部の下側の部分は、左右方向の全長にわたって全面的に覆われている。後面部の上端部は、収納空間3の上端部と下端部の間の中間部に位置している。後面部の上端部の上下方向における位置は、前面部の上端部の上下方向における位置よりも低い。後面部の上側においては、収納空間3と収納空間3外の空間が通じるが、後面部の後方にキッチンキャビネット11の背板が位置すれば、引き出し2の収納空間3は、後方のキッチンキャビネット11外の空間とは通じない。
【0029】
なお、後規制部23には、一部に孔や開口等が形成されてもよいが、孔や開口等は形成されない方が好ましい。また、後規制部23は、必ずしも板部材により形成されなくてもよい。後規制部23の左右方向の長さは、前規制部22の左右方向の長さと同じでなくてもよい。また、後規制部23の上下方向の長さは、前規制部22の上下方向の長さと同じに形成されてもよく、後規制部23としての後面部によって、収納空間3の後端部の全面が覆われてもよい。
【0030】
引き出し2の左右一対の側端部にはそれぞれ、側規制部24が位置する。側規制部24は、収納空間3に収納されている物品が収納空間3の側方に移動するのを規制する。第一実施形態では、側規制部24は、側板状部241と、側棒状部242と、を有する。側板状部241は、側面視矩形状をした板部材を有している。側板状部241の左右方向の長さは、収納空間3の左右方向の長さと同じか又は収納空間3の左右方向の長さより若干長く形成されている。側板状部241の上下方向の長さは、後面部の上下方向の長さよりも短い。側板状部241の板厚は、5mm~15mmであるが、特に限定されない。側板状部241の下端部は、底部21と接触している。側板状部241の上端部の上下方向における位置は、後面部の上端部の上下方向における位置よりも若干低い。側板状部241は、底部21、前規制部22及び後規制部23にビス又は接着剤等により取り付けられている。側板状部241の上方に側棒状部242が位置する。
【0031】
側棒状部242は、側板状部241の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する。側棒状部242の上下方向の長さは、側棒状部242の平面視における幅(短手方向の長さ)より若干長い。側棒状部242の平面視における幅は、側板状部241の板厚と略同じである。側棒状部242は、側板状部241の上端部の上方に若干の隙間をあけて位置している。
【0032】
側棒状部242の前端部は、前規制部22に取り付けられる。また、側棒状部242の後端部は、後規制部23に取り付けられる。側棒状部242は、前規制部22及び後規制部23にビス又は接着剤等により取り付けられている。
【0033】
(2.1.3)仕切り部材
引き出し2には、仕切り部材4が設けられる。仕切り部材4は、両端部がそれぞれ左右一対の側規制部24に取り付けられる。仕切り部材4は、収納空間3を前側の前収納空間31と後側の後収納空間32とに仕切る。なお、仕切り部材4は、収納空間3を前側の前収納空間31と後側の後収納空間32とに完全に仕切らなくてもよい。前収納空間31と後収納空間32とは、上下方向において仕切り部材4とずれた位置で通じている。
【0034】
図3A及び図3Bに示すように、仕切り部材4は、両端部に位置する連結部41と、中間部に位置する棒状部42と、を有している。連結部41は、外縦片411、上横片412及び内縦片413を有する、長手方向と直交する断面における形状が、下方に開口する略C字状をしたものである。外縦片411、上横片412及び内縦片413により囲まれた空間に、側規制部24の側棒状部242が挿入される。外縦片411及び内縦片413の先端には、抜け止め片414が形成される。この連結部41により、仕切り部材4が着脱可能に側規制部24に対して取り付けられる。連結部41の内縦片413には、棒状部42が連続する。
【0035】
棒状部42は、仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する。棒状部42は、上フランジ421、ウェブ422及び下フランジ423を有する、長手方向と直交する断面における形状が、転倒したH字状をしたものである。上フランジ421及び下フランジ423は平面視において同形状をしており、上フランジ421及び下フランジ423の幅(短手方向の長さ)が、棒状部42の平面視における幅となる。上フランジ421の上面から下フランジ423の下面までの長さが、棒状部42の上下方向の長さとなる。
【0036】
(2.1.4)区画部材
図2に示すように、引き出し2には、第一区画部材5が設けられる。第一区画部材5は、前端部が仕切り部材4に着脱可能に取り付けられ、かつ、後端部が後規制部23に着脱可能に取り付けられる。第一区画部材5は、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に仕切る。なお、第一区画部材5は、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に完全に仕切らなくてもよい。第一区画部材5に仕切られる右側の空間33と左側の空間34とは、上下方向において第一区画部材5とずれた位置で通じている。
【0037】
第一区画部材5は、両端部に位置する連結部51と、中間部に位置する棒状部52と、を有している。第一区画部材5の連結部51は、外縦片、上横片及び内縦片を有し、棒状部52は、上フランジ、ウェブ及び下フランジを有する。第一区画部材5は、仕切り部材4と基本的に同じ構成を有し、棒状部52の長さにおいて仕切り部材4と異なる。前端部に位置する連結部51には、仕切り部材4の棒状部42が挿入され、後端部に位置する連結部51には、後規制部23の上端部が挿入される。この連結部51により、第一区画部材5が着脱可能に仕切り部材4及び後規制部23に対して取り付けられる。
【0038】
第一実施形態では更に、引き出し2には、第二区画部材6が設けられる。第二区画部材6は、一端部が第一区画部材5に着脱可能に取り付けられ、かつ、他端部が一方の側規制部24に着脱可能に取り付けられて、第一区画部材5により仕切られた一の空間33を前後に並ぶ空間35、36に仕切る。なお、第二区画部材6は、第一区画部材5により仕切られた一の空間33を前後に並ぶ空間35、36に完全に仕切らなくてもよい。第二区画部材6に仕切られる前側の空間35と後側の空間36とは、上下方向において第二区画部材6とずれた位置で通じている。
【0039】
第二区画部材6は、両端部に位置する連結部61と、中間部に位置する棒状部62と、を有している。第二区画部材6の連結部61は、外縦片、上横片及び内縦片を有し、棒状部62は、上フランジ、ウェブ及び下フランジを有する。第二区画部材6は、仕切り部材4及び第一区画部材5と基本的に同じ構成を有し、棒状部62の長さにおいて仕切り部材4及び第一区画部材5と異なる。一端部に位置する連結部61には、第一区画部材5の棒状部52が挿入され、他端部に位置する連結部61には、側規制部24の側棒状部242が挿入される。この連結部61により、第二区画部材6が着脱可能に第一区画部材5及び側規制部24に対して取り付けられる。
【0040】
(2.2)引き出し2の使用
使用者は、引き出し2に仕切り部材4、第一区画部材5及び第二区画部材6が取り付けられていない状態で、図2A図2Dに示すように、まず、仕切り部材4の連結部を左右一対の側規制部24に取り付けて、仕切り部材4を左右一対の側規制部24間に掛け渡す。
【0041】
次に、使用者は、第一区画部材5の前端部の連結部を仕切り部材4に、後端部の連結部を後規制部23の上端部に取り付けて、第一区画部材5を仕切り部材4と後規制部23との間に掛け渡す。第一区画部材5により、収納空間3を右側の空間33と左側の空間34とに容易に仕切ることができる。また、第一区画部材5には、抜け止め片514が形成されているため、連結部51に挿入された仕切り部材4の棒状部42が抜けにくい。すなわち、第一区画部材5を仕切り部材4に強固に取り付けやすい。
【0042】
次に、使用者は、第二区画部材6の一端部の連結部を第一区画部材5に、他端部の連結部を側規制部24の上端部に取り付けて、第二区画部材6を第一区画部材5と側規制部24との間に掛け渡す。
【0043】
第一区画部材5は、仕切り部材4と後規制部23との間に掛け渡されるため、前後方向に移動しにくい。すなわち、図4A図4Cの比較例に示すように、仮に、第一区画部材5と同様の部材である連結棒7が、前後に並ぶように取り付けられた二本の仕切り部材4間に掛け渡されるとする。この場合、仕切り部材4は連結部41が着脱可能に側規制部24に取り付けられており、側規制部24に対して前後方向に移動し得る。このため、第一区画部材5も二本の仕切り部材4とともに移動し得る。なお、図4A図4C中の符号17は、フライパン等の調理容器9を立てるためのスタンドである。また、フライパン等の調理容器9の把手91は、仕切り部材4に支持可能である。スタンド17が収納空間3に設けられる点、調理容器9の把手91が仕切り部材4に支持可能である点は、第一実施形態についても同様である。
【0044】
第一実施形態では、第一区画部材5の後端部の連結部51は、後規制部23に取り付けられる。後規制部23は前後に移動しないため、第一区画部材5は前後方向に移動しにくい。また、第一区画部材5の前端部の連結部51が取り付けられる仕切り部材4も、前後方向に移動しにくい。
【0045】
(2.3)第二実施形態
次に、第二実施形態に係る引き出し2について、図5A図5Dに基いて説明する。なお、第二実施形態に係る引き出し2は、第一実施形態に係る引き出し2と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については、説明を省略する。
【0046】
第二実施形態では、引き出し2に、第二区画部材6が設けられていない。代わりに、第二実施形態では、引き出し2に、二本の仕切り部材4が設けられている。この場合、第一区画部材5の前端部の連結部が取り付けられるのは、後側の仕切り部材4である。
【0047】
第二実施形態においても、第一実施形態とは異なる収納空間3の区割りにすることができる。
【0048】
(2.4)第三実施形態
次に、第三実施形態に係る引き出し2について、図6に基いて説明する。なお、第三実施形態に係る引き出し2は、第一実施形態又は第二実施形態に係る引き出し2と大部分において同じである。このため、第一実施形態又は第二実施形態と重複する説明については、説明を省略する。
【0049】
第三実施形態では、仕切り部材4の連結部41が、第一分割体4101と第二分割体4102とを有している。これにより、図3に示す連結部41のように抜け止め片414を弾性変形させて連結部41内の空間に側棒状部242を挿入する必要がなく、連結部41を側棒状部242に取り付けやすい。側棒状部242の上面及び第二分割体4102の上面にはゴム44が載置されて、ゴム44が第一分割体4101により下方に押される。第二分割体4102には凹部が形成されており、この凹部に棒状部42の端部が挿入される。第一分割体4101に形成された固着孔にビス等の固着具43が挿入され、固着具43がゴム44を介して第二分割体4102にねじ込まれて、棒状部42の端部が連結部41に固定される。
【0050】
第三実施形態では、仕切り部材4を側棒状部242に取り付けやすい。 なお、第一区画部材5及び第二区画部材6も、仕切り部材4と同様に構成することができる。
【0051】
(2.5)第四実施形態
次に、第四実施形態に係る引き出し2について、図7に基いて説明する。なお、第四実施形態に係る引き出し2は、第一実施形態又は第二実施形態に係る引き出し2と大部分において同じである。このため、第一実施形態又は第二実施形態と重複する説明については、説明を省略する。
【0052】
第四実施形態では、第一区画部材5の連結部51の外縦片511の上下方向の長さが第一実施形態及び第二実施形態におけるものと比べて短くなっており、連結部51内の空間に後規制部23の上端部の横片が挿入される。外縦片511の下端部の抜け止め片514が形成されており、後規制部23の上端部の横片から第一区画部材5が脱落しにくい。
【0053】
なお、仕切り部材4及び第二区画部材6も、第一区画部材5と同様に構成することができる。
【0054】
(3)変形例
カウンター10及びキッチンキャビネット11により構成される収納家具の内部の収納空間3は、略密閉されなくてもよい。カウンター10は、キッチンキャビネット11の上端部の全面を覆わなくてもよい。
【0055】
キッチンキャビネット11の前板12、側板13、背板及び底板は、板状ではない部材に代替されてもよい。
【0056】
キッチンキャビネット11の前板12に形成される開口は、キッチンキャビネット11の前面に全面的に形成されてもよい。
【0057】
カウンター10、シンク14及び加熱調理器15は任意の構成であり、設けられなくてもよい。すなわち、厨房装置1は、少なくともキッチンキャビネット11及びキッチンキャビネット11に収納される引き出し2を備えればよい。
【0058】
側板状部241の下端部は、底部21に取り付けられなくてもよいし、底部21と接触しなくてもよい。また、側板状部241の底部21、前規制部22及び後規制部23への取り付けは、ビス又は接着剤等によるものでなくてもよく、取り付け方法は限定されない。
【0059】
側棒状部242の長手方向と直交する断面における縦横の比、すなわち側棒状部242の上下方向の長さに対する平面視における幅の比は、0.3以上、3以下であることが好ましいが、特に限定されない。
【0060】
側棒状部242の前規制部22及び後規制部23への取り付けは、ビス又は接着剤等によるものでなくてもよく、取り付け方法は限定されない。側棒状部242は、側板状部241の上端部に接触してもよい。
【0061】
底部21、前規制部22、後規制部23及び側規制部24の構成、形状、寸法関係等は、上述した実施形態で開示されているものに限定されない。底部21、前規制部22、後規制部23及び側規制部24の材質も、特に限定されない。
【0062】
仕切り部材4は、板部材により構成され、収納空間3を前側の前収納空間31と後側の後収納空間32とに完全に仕切るものであってもよい。棒状部42の長手方向と直交する断面における縦横の比、すなわち棒状部42の上下方向の長さに対する平面視における幅の比は、0.3以上、3以下であることが好ましいが、特に限定されない。連結部及び棒状部42の形状は、限定されない。仕切り部材4は、側規制部24に対して着脱可能に取り付けられなくてもよく、固定的に取り付けられてもよい。引き出し2に設けられる仕切り部材4の個数は限定されない。
【0063】
第一区画部材5は、仕切り部材4と全く同じ部材により構成されてもよい。第一区画部材5の棒状部52の長手方向と直交する断面における縦横の比、すなわち棒状部52の上下方向の長さに対する平面視における幅の比は、0.3以上、3以下であることが好ましいが、特に限定されない。引き出し2に設けられる第一区画部材5の個数は限定されない。
【0064】
第二区画部材6は、仕切り部材4又は第一区画部材5と全く同じ部材により構成されてもよい。第二区画部材6の棒状部62の長手方向と直交する断面における縦横の比、すなわち棒状部62の上下方向の長さに対する平面視における幅の比は、0.3以上、3以下であることが好ましいが、特に限定されない。引き出し2に設けられる第二区画部材6の個数は限定されない。
【0065】
(まとめ)
以上、上述した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様に係る引き出し2は、キッチンキャビネット11に対して前後方向に出し入れされる。引き出し2は、収納空間3の下端部、前端部、後端部及び左右一対の側端部にそれぞれ底部21、前規制部22、後規制部23及び左右一対の側規制部24を備える。引き出し2には、仕切り部材4が設けられる。仕切り部材4は、両端部がそれぞれ左右一対の側規制部24に取り付けられ、収納空間3を前側の前収納空間31と後側の後収納空間32とに仕切る。引き出し2には、区画部材(第一区画部材5)が設けられる。区画部材(第一区画部材5)は、前端部が仕切り部材4に着脱可能に取り付けられ、かつ、後端部が後規制部23に着脱可能に取り付けられて、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に仕切る。
【0066】
第1の態様によれば、区画部材(第一区画部材5)により、後収納空間32を左右に並ぶ空間33、34に仕切りやすい。
【0067】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、仕切り部材4又は区画部材(第一区画部材5)は、仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する棒状部42を有する。
【0068】
第2の態様によれば、仕切り部材4又は区画部材(第一区画部材5)が棒状部42を有することにより、板状に形成する必要がなく、使用される部材が抑えられる。
【0069】
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様は、引き出し2には、第二区画部材6が設けられる。第二区画部材6は、一端部が第一区画部材5に着脱可能に取り付けられ、かつ、他端部が一方の側規制部24に着脱可能に取り付けられて、第一区画部材5により仕切られた一の空間33を前後に並ぶ空間35、36に仕切る。
【0070】
第3の態様によれば、第一区画部材5により仕切られた空間33を更に前後に並ぶ空間35、36に仕切ることができる。
【0071】
第4の態様では、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、第二区画部材6は、仕切る空間の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する棒状部62を有する。
【0072】
第4の態様によれば、第二区画部材6が棒状部62を有することにより、板状に形成する必要がなく、使用される部材が抑えられる。
【0073】
第5の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、側規制部24は、側板状部241と、側板状部241の上方に位置して側板状部241の上下方向の長さよりも短い上下方向の長さを有する側棒状部242と、を有する。側棒状部242は、前端部が前規制部22に取り付けられ、かつ、後端部が後規制部23に取り付けられる。
【0074】
第5の態様によれば、側棒状部242に仕切り部材4又は第二区画部材6を強固に取り付けやすい。
【符号の説明】
【0075】
11 キッチンキャビネット
2 引き出し
22 前規制部
23 後規制部
24 側規制部
241 側板状部
242 側棒状部
3 収納空間
31 前収納空間
32 後収納空間
33、34 空間
35、36 空間
4 仕切り部材
42 棒状部
5 区画部材(第一区画部材)
6 第二区画部材
62 棒状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7