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特許7417908画像処理方法、画像処理システムおよび画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】画像処理方法、画像処理システムおよび画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 5/94 20240101AFI20240112BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240112BHJP
   H04N 5/202 20230101ALI20240112BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G06T5/00 735
H04N5/66 A
H04N5/66 D
H04N5/202
H04N1/407
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021552116
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2020030632
(87)【国際公開番号】W WO2021075134
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019189473
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】上泉 悠
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-290661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00- 5/50
H04N 1/40- 1/409
H04N 5/14- 5/213
H04N 5/66- 5/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を取得し、
取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、
前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、
前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値を算出し、
基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、
前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、
前記基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、
設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力し、
前記ガンマ補正では、さらに、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行い、
前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する
画像処理方法。
【請求項2】
前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が前記第1閾値より低い場合において、(i)前記全体輝度代表値が第2閾値より高いとき、前記全体周波数代表値に関わらず固定された度合いで輝度低下するように第4パラメータを算出し、算出された前記第4パラメータを前記第2パラメータとして設定し、(ii)前記全体輝度代表値が前記第2閾値より低いとき、前記全体周波数代表値が低いほど小さい度合いで輝度低下するように前記全体周波数代表値に応じて第5パラメータを算出し、算出された前記第5パラメータを前記第2パラメータとして設定する
請求項に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記領域の設定では、前記入力画像に基づいて、前記入力画像を構成する複数のサブ領域のそれぞれについて、(i)第1の値に近いほど、当該サブ領域が前記第1領域である可能性が高く、前記第2領域である可能性が低いことを示し、かつ、(ii)前記第1の値とは異なる第2の値に近いほど、当該サブ領域が前記第1領域である可能性が低く、前記第2領域である可能性が高いことを示す指標における指標値を設定することで、前記第1領域および前記第2領域を設定し、
前記第2パラメータの設定では、(i)前記第1ガンマ補正および前記基準ガンマ補正の間において、設定された前記指標値が前記第1の値に近いほど前記第1ガンマ補正に近づき、かつ、前記指標値が前記第1領域である可能性と前記第2領域である可能性とが等しいことを示す第3の値に近いほど前記基準ガンマ補正に近づく第6ガンマ補正の第6パラメータを前記第1パラメータとして設定し、(ii)前記第2ガンマ補正および前記基準ガンマ補正の間において、設定された前記指標値が前記第2の値に近いほど前記第2ガンマ補正に近づき、かつ、前記指標値が前記第3の値に近いほど前記基準ガンマ補正に近づく第7ガンマ補正の第7パラメータを前記第2パラメータとして設定する
請求項またはに記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記第1パラメータの設定では、前記複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度のヒストグラムの輝度領域のうちで所定の輝度よりも輝度が高い高輝度領域における度数が第1閾値より大きい場合、前記第1閾値より小さい場合よりも前記高輝度領域において階調が多く割り当てられるように前記第1パラメータを補正する
請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
さらに、
前記複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度の累積ヒストグラムを算出し、
前記第1パラメータの設定では、さらに、ガンマ補正前の入力輝度について、算出された前記累積ヒストグラムにおける度数が大きくなるほど、前記第1ガンマ補正よりも大きく輝度向上させるガンマ補正による第1出力輝度に近い出力輝度を出力し、かつ、前記累積ヒストグラムが小さくなるほど前記基準ガンマ補正による第2出力輝度に近い出力輝度を出力する第8ガンマ補正の第8パラメータを算出し、算出された前記第8パラメータを前記第1パラメータとして設定する
請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項6】
入力画像を取得し、
取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、
前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、
基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、
設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力し、
前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する
画像処理方法。
【請求項7】
さらに、
前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、
前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が前記第1閾値より低い場合において、(i)前記全体輝度代表値が第2閾値より高いとき、前記全体周波数代表値に関わらず固定された度合いで輝度低下するように第4パラメータを算出し、算出された前記第4パラメータを前記第2パラメータとして設定し、(ii)前記全体輝度代表値が前記第2閾値より低いとき、前記全体周波数代表値が低いほど小さい度合いで輝度低下するように前記全体周波数代表値に応じて第5パラメータを算出し、算出された前記第5パラメータを前記第2パラメータとして設定する
請求項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
入力画像を取得する取得部と、
取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定する領域設定部と、
前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値と、前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値と、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値とを算出する算出部と、
(i)基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、(ii)前記基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定するパラメータ設定部と、
設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力するガンマ補正部と、を備え
前記ガンマ補正部は、さらに、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行い、
前記パラメータ設定部は、前記第2パラメータの設定において、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する
画像処理システム。
【請求項9】
入力画像を取得する取得部と、
取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定する領域設定部と、
前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値と、前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値と、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値とを算出する算出部と、
(i)基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、(ii)前記基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定するパラメータ設定部と、
設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力するガンマ補正部と、を備え
前記ガンマ補正部は、さらに、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行い、
前記パラメータ設定部は、前記第2パラメータの設定において、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する
画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理方法、画像処理システムおよび画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主要部を含む領域の画像が他の領域の画像よりも際立つように強調する画像処理を行う画像処理装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-83848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像処理装置では、画像処理の結果、違和感のある画像が生成されるおそれがある。
【0005】
本開示は、効果的に対象領域が強調された画像を得ることができる画像処理方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る画像処理方法は、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力する。
【0007】
また、本開示の他の一態様に係る画像処理方法は、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力し、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する。
【0008】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示における画像処理方法は、効果的に対象領域が強調された画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態に係る表示装置の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、本実施の形態に係る表示装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施の形態に係る画像処理装置により実行される画像処理方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、パラメータ設定処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1パラメータの設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1ガンマ補正の第1パラメータの第1の補正について説明するための図である。
図8図8は、第1ガンマ補正の第1パラメータの第2の補正について説明するための図である。
図9図9は、第2パラメータの設定処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、平均輝度が暗い場合における第2ガンマ補正のガンマカーブを補正する処理を説明するための図である。
図11図11は、平均輝度が明るい場合における第2ガンマ補正のガンマカーブを補正する処理を説明するための図である。
図12図12は、第1ガンマ補正に対するバランス調整について説明するための図である。
図13図13は、第2ガンマ補正に対するバランス調整について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述したような課題を解決するために、本開示の一態様に係る画像処理方法は、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力する。
【0012】
これによれば、第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上するように、第1ガンマ補正の第1パラメータを設定するため、第1領域が暗いほど第1領域が明るくなるように第1領域の輝度を補正することができる。また、さらに、全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように第1パラメータを設定するため、入力画像全体が明るいほどより第1領域が明るくなるように第1領域の輝度を補正することができる。よって、入力画像の第1領域を効果的に強調することができる。
【0013】
また、さらに、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、前記基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、前記ガンマ補正では、さらに、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行い、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定してもよい。
【0014】
一般的に、入力画像が合焦している領域が多いほど、合焦している領域が目立ちやすい。このため、全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように第2パラメータを設定することで、第2領域を目立たないように暗くすることができる。よって、入力画像の第1領域を効果的に強調することができる。
【0015】
また、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が前記第1閾値より低い場合において、(i)前記全体輝度代表値が第2閾値より高いとき、前記全体周波数代表値に関わらず固定された度合いで輝度低下するように第4パラメータを算出し、算出された前記第4パラメータを前記第2パラメータとして設定し、(ii)前記全体輝度代表値が前記第2閾値より低いとき、前記全体周波数代表値が低いほど小さい度合いで輝度低下するように前記全体周波数代表値に応じて第5パラメータを算出し、算出された前記第5パラメータを前記第2パラメータとして設定してもよい。
【0016】
また、前記領域の設定では、前記入力画像に基づいて、前記入力画像を構成する複数のサブ領域のそれぞれについて、(i)第1の値に近いほど、当該サブ領域が前記第1領域である可能性が高く、前記第2領域である可能性が低いことを示し、かつ、(ii)前記第1の値とは異なる第2の値に近いほど、当該サブ領域が前記第1領域である可能性が低く、前記第2領域である可能性が高いことを示す指標における指標値を設定することで、前記第1領域および前記第2領域を設定し、前記第2パラメータの設定では、(i)前記第1ガンマ補正および前記基準ガンマ補正の間において、設定された前記指標値が前記第1の値に近いほど前記第1ガンマ補正に近づき、かつ、前記指標値が前記第1領域である可能性と前記第2領域である可能性とが等しいことを示す第3の値に近いほど前記基準ガンマ補正に近づく第6ガンマ補正の第6パラメータを前記第1パラメータとして設定し、(ii)前記第2ガンマ補正および前記基準ガンマ補正の間において、設定された前記指標値が前記第2の値に近いほど前記第2ガンマ補正に近づき、かつ、前記指標値が前記第3の値に近いほど前記基準ガンマ補正に近づく第7ガンマ補正の第7パラメータを前記第2パラメータとして設定してもよい。
【0017】
これによれば、第1領域である可能性および第2領域である可能性が近い場合に、基準ガンマ補正に近いガンマ補正が行われるように調整されるため、違和感が少なく、第1領域が強調された画像を得ることができる。
【0018】
また、前記第1パラメータの設定では、前記複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度のヒストグラムの輝度領域のうちで所定の輝度よりも輝度が高い高輝度領域における度数が第1閾値より大きい場合、前記第1閾値より小さい場合よりも前記高輝度領域において階調が多く割り当てられるように前記第1パラメータを補正してもよい。
【0019】
このため、第1領域全画素の画素値のヒストグラムに応じて、効果的に第1領域を強調することができる。
【0020】
また、さらに、前記複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度の累積ヒストグラムを算出し、前記第1パラメータの設定では、さらに、ガンマ補正前の入力輝度について、算出された前記累積ヒストグラムにおける度数が大きくなるほど、前記第1ガンマ補正よりも大きく輝度向上させるガンマ補正による第1出力輝度に近い出力輝度を出力し、かつ、前記累積ヒストグラムが小さくなるほど前記基準ガンマ補正による第2出力輝度に近い出力輝度を出力する第8ガンマ補正の第8パラメータを算出し、算出された前記第8パラメータを前記第1パラメータとして設定してもよい。
【0021】
このため、累積ヒストグラムに応じて、効果的に第1領域を強調することができる。
【0022】
本開示の他の一態様に係る画像処理方法は、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力し、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する。
【0023】
一般的に、入力画像が合焦している領域が多いほど、合焦している領域が目立ちやすい。このため、全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように第2パラメータを設定することで、第2領域を目立たないように暗くすることができる。よって、入力画像の第1領域を効果的に強調することができる。
【0024】
また、さらに、前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が前記第1閾値より低い場合において、(i)前記全体輝度代表値が第2閾値より高いとき、前記全体周波数代表値に関わらず固定された度合いで輝度低下するように第4パラメータを算出し、算出された前記第4パラメータを前記第2パラメータとして設定し、(ii)前記全体輝度代表値が前記第2閾値より低いとき、前記全体周波数代表値が低いほど小さい度合いで輝度低下するように前記全体周波数代表値に応じて第5パラメータを算出し、算出された前記第5パラメータを前記第2パラメータとして設定してもよい。
【0025】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0026】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0027】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0028】
(実施の形態)
以下、図1図10を用いて、実施の形態を説明する。
【0029】
[構成および動作]
図1は、本実施の形態に係る表示装置の外観の一例を示す斜視図である。
【0030】
図1に示されるように、表示装置100は、表示パネルを含む表示デバイスを筐体内に格納した、一般的なフラットパネルディスプレイの外観を有している。表示装置100は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
【0031】
図2は、本実施の形態に係る表示装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示されるように、表示装置100は、チューナ101と、デコーダ102と、制御回路103と、メモリ104と、表示デバイス105とを備える。制御回路103およびメモリ104は、画像処理装置110を構成している。このように、表示装置100は、画像処理装置110を内蔵する装置である。
【0033】
チューナ101は、図示しないアンテナにより受信した放送波を構成するアナログ信号をデジタル信号である符号化データへ変換し、変換することで得られた符号化データをデコーダ102に出力する。
【0034】
デコーダ102は、チューナ101から取得した符号化データを復号し、復号することで得られた画像データを制御回路103に出力する。画像データは、動画像または静止画像を含む画像を示すデータである。
【0035】
制御回路103は、デコーダ102により出力された画像データにより示される画像に対して、所定の画像処理を行う。制御回路103は、画像が動画像である場合には、動画像に含まれる複数のピクチャのそれぞれに対して所定の画像処理を行う。制御回路103は、画像が静止画像である場合には、静止画像に対して所定の画像処理を行う。制御回路103は、画像処理を行うことで得られた画像(「画像処理後の画像」ともいう。)を示す画像データ(「画像処理後の画像データ」ともいう。)を、表示デバイス105に出力する。これにより、表示デバイス105は、画像処理後の画像を表示させることができる。
【0036】
なお、デコーダ102と制御回路103とは、同一の回路で実現されていてもよい。また、制御回路103は、所定の制御プログラムを実行するCPUなどの汎用のプロセッサにより実現されていてもよいし、専用回路により実現されていてもよい。つまり、表示装置100の機能は、ソフトウェアにより実現されていてもよいし、ハードウェアにより実現されていてもよい。
【0037】
メモリ104は、制御プログラムおよび制御プログラムを実行するために利用する各種データを記憶していてもよい。メモリ104は、例えば、不揮発性メモリである。
【0038】
表示デバイス105は、制御回路103により出力された画像処理後の画像データで示される画像処理後の画像を表示する。表示デバイス105は、表示パネルであり、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどにより構成される。
【0039】
次に、画像処理装置の機能構成について説明する。
【0040】
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図4は、本実施の形態に係る画像処理装置により実行される画像処理方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
ここでは、画像処理装置110の各機能ブロックについて図3を用いて説明するとともに、各機能ブロックで行われる処理の流れについて図4を用いて説明する。
【0042】
画像処理装置110は、取得部111と、領域設定部112と、算出部113と、パラメータ設定部114と、補正部115とを備える。画像処理装置110は、さらに、記憶部116を備えていてもよい。
【0043】
取得部111は、画像データを取得する(S1)。取得部111は、例えば、表示装置100のデコーダ102から画像データを取得することで入力画像を取得する。
【0044】
領域設定部112は、取得部111により取得された入力画像の領域において第1領域と、第1領域とは異なる第2領域とを設定する(S2)。第1領域は、入力画像のうちの強調表示の対象となる領域であり、例えば、人などの被写体が写っている領域である。第2領域は、入力画像のうちの強調表示の対象外である領域であり、例えば、被写体とは異なる背景が写っている領域である。領域設定部112は、入力画像に対して所定のアルゴリズムを用いることで、入力画像において第1領域および第2領域を設定してもよいし、入力画像のうちの第1領域および第2領域を示す領域情報をさらに取得し、取得した領域情報から得られた第1領域および第2領域を入力画像において設定してもよい。領域情報は、入力画像に含まれる情報であってもよいし、入力画像とは異なる情報であってもよい。領域情報は、入力画像に対応して設けられるため、複数の入力画像がある場合、入力画像毎に異なる複数の領域情報が設けられる。
【0045】
領域情報は、例えば、入力画像と同じ配列の画素を有する画像により示される。つまり、領域情報の縦の画素数×横の画素数は、入力画像の縦の画素数×横の画素数と同じである。領域情報の各画素は、第1領域または第2領域を示す画素値を有する。領域情報の各画素は、例えば、第1の値に近いほど、当該画素が第1領域である可能性が高く、かつ、第2領域である可能性が低いことを示してもよい。また、領域情報の各画素は、例えば、第1の値とは異なる第2の値に近いほど、当該画素が第1領域である可能性が低く、かつ、第2領域である可能性が高いことを示してもよい。なお、領域情報の各画素の画素値は、第1の値に近いほど第1領域である可能性が高いことを示し、かつ、第2の値に近いほど第2領域である可能性が高いことを示す指標における指標値の一例である。
【0046】
ここで、第1の値は、画素値の最大値であり、第2の値は、画素値の最小値であってもよい。例えば、画素値が8ビットで示され、0~255の値である場合、第1の値は255であり、第2の値は0である。また、領域情報は、画素ごとに第1領域であるか第2領域であるかを示すとしたが、これに限らずに、入力画像の複数のサブ領域毎に第1領域であるか第2領域であるかを示してもよい。
【0047】
算出部113は、全体輝度代表値、第1輝度代表値、および、全体周波数代表値を算出する(S3)。全体輝度代表値は、入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である。全体輝度代表値は、入力画像の複数の画素全ての輝度を用いて算出される値であり、例えば、複数の画素全ての輝度の平均値、中央値などである。
【0048】
第1輝度代表値は、第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である。第1輝度代表値は、第1領域の複数の第1画素全ての輝度を用いて算出される値であり、例えば、複数の第1画素全ての輝度の平均値、中央値などである。第1輝度代表値を算出するための第1領域は、予め設定されている設定値を閾値として二値化された領域情報を用いて特定される領域である。つまり、二値化された領域情報では、設定値よりも第1の値に近い画素値を有する複数の画素の領域を第1領域として示す値、例えば1、が割り当てられており、設定値よりも第2の値に近い画素値を有する複数の画素の領域を第2領域として示す値、例えば0、が割り当てられている。
【0049】
全体周波数代表値は、入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である。算出部113は、具体的には、入力画像を構成する複数の画素のそれぞれについて、当該画素を基準(例えば中心)とする7×7の画素のそれぞれが有する複数の輝度(例えばY信号値)を用いるハイパスフィルタを適用して、当該画素に対応する画素値を算出することにより、高周波画像を生成する。高周波画像の各画素は、画素値が大きいほどより高周波の成分を有する画素であることを示す。算出部113は、高周波画像を構成する複数の画素の画素値の平均値、中央値などの代表値を、全体周波数代表値として算出する。
【0050】
また、算出部113は、第1領域を構成する複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度のヒストグラムを算出する。また、算出部113は、複数の第1輝度の累積ヒストグラムを算出する。このとき、算出部113は、第1輝度のヒストグラムの算出において、上述した二値化された領域情報を用いて第1領域を特定する。
【0051】
パラメータ設定部114は、入力画像を構成する複数の画素それぞれに適用するガンマ補正のパラメータを設定する(S4)。パラメータ設定部114は、具体的には、第1領域に対する第1ガンマ補正の第1パラメータを設定し、かつ、第2領域に対する第2ガンマ補正の第2パラメータを設定する。第1ガンマ補正は、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させるガンマ補正である。第2ガンマ補正は、基準ガンマ補正よりも輝度低下させるガンマ補正である。なお、パラメータ設定部114によるパラメータ設定処理の詳細は、図5を用いて後述する。
【0052】
補正部115は、パラメータ設定部114により入力画像の各画素に対して設定されたパラメータに基づくガンマ補正を、対応する画素に対して行うことで、入力画像にガンマ補正を行い、ガンマ補正により得られた出力画像を出力する(S5)。具体的には、補正部115は、設定された第1パラメータに基づく第1ガンマ補正を入力画像のうちの第1領域に対して行う。また、補正部115は、設定された第2パラメータに基づく第2ガンマ補正を入力画像のうちの第2領域に対して行う。
【0053】
このように、補正部115は、第1領域に対して輝度向上させる第1ガンマ補正を行い、第2領域に対して輝度低下させる第2ガンマ補正を行うことで、第1領域における輝度を第2領域よりも向上させている。これにより、補正部115は、入力画像に対して、第1領域が第2領域に対して強調されるような画像処理をすることができる。
【0054】
記憶部116は、取得部111、領域設定部112、算出部113、パラメータ設定部114、および補正部115の各処理部が処理に用いる情報を記憶していてもよいし、各処理部による処理結果を記憶してもよい。
【0055】
なお、取得部111と、領域設定部112と、算出部113と、パラメータ設定部114と、補正部115とは、例えば、制御回路103により実現される。記憶部116は、例えば、メモリ104により実現される。
【0056】
[パラメータ設定処理]
パラメータ設定処理の詳細について図5を用いて説明する。図5は、パラメータ設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
パラメータ設定部114は、第1ガンマ補正の第1パラメータを設定する(S11)。
【0058】
ここで、第1パラメータの設定処理の詳細について、図6図8を用いて説明する。図6は、第1パラメータの設定処理の一例を示すフローチャートである。図7は、第1ガンマ補正の第1パラメータの第1の補正について説明するための図である。図8は、第1ガンマ補正の第1パラメータの第2の補正について説明するための図である。
【0059】
パラメータ設定部114は、図6に示されるように、第1パラメータの設定において、算出された第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、第1輝度代表値および全体輝度代表値に応じて第1パラメータを設定する(S21)。パラメータ設定部114は、第1輝度代表値が低いほど小さいガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定し、かつ、全体輝度代表値が高いほど小さいガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。パラメータ設定部114は、例えば、第1輝度代表値が低いほど1.2に近いガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。また、パラメータ設定部114は、例えば、全体輝度代表値が高いほど1.2に近いガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。これにより、パラメータ設定部114は、図7に示されるガンマカーブ202を決定する。
【0060】
図7には、基準ガンマ補正によるガンマカーブ201と、第1の補正前の第1ガンマ補正によるガンマカーブ202と、第1の補正後の第1ガンマ補正によるガンマカーブ203とが示されている。ガンマカーブ203は、図7に示されるように、ガンマカーブ202に対して、白当たりを防ぐために輝度向上が抑えられている。
【0061】
なお、ガンマ補正のパラメータとは、ガンマカーブの形状を特定するためのパラメータである。つまり、ガンマ補正のパラメータが得られると、ガンマカーブの形状が一意に定まる。ガンマ補正のパラメータは、例えば、ガンマ値を含む。
【0062】
ガンマカーブ201は、例えば、ガンマ値が2.2のガンマカーブである。ガンマカーブ202は、例えば、ガンマ値が2.2よりも小さいガンマカーブである。ガンマカーブ203は、ガンマカーブ202の形状が変形されたガンマカーブである。ガンマカーブは、ガンマ値が小さいほど、輝度向上させる。
【0063】
ここで、輝度0~x1の輝度領域を低輝度領域とし、輝度x1~x2の輝度領域を中輝度領域とし、輝度x3~x4の輝度領域を高輝度領域とする。なお、輝度x1は、輝度0よりも高い輝度を示し、輝度x2は、輝度x1よりも高い輝度を示し、輝度x3は、輝度x2よりも高い輝度を示し、輝度x4は、輝度x3よりも高い輝度を示す。輝度x2は、例えば、ガンマカーブ202との接線の傾きが1となるガンマカーブ202上の入力輝度レベルである。輝度x1は、例えば、輝度x2の1/2である。
【0064】
そして、パラメータ設定部114は、第1領域における複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度のヒストグラムの輝度領域のうちで高輝度領域における度数が所定の度数より大きい場合、所定の度数より小さい場合よりも高輝度領域において階調が多く割り当てられるように第1パラメータを補正する第1の補正を行う(S22)。この場合、パラメータ設定部114は、具体的には、入力側の輝度がx2におけるガンマカーブ202上の点P2を入力値が増加する方向にある点P12に移動させることで、高輝度領域により多くの階調が割り当てられるガンマカーブ203を生成する。パラメータ設定部114は、さらに入力側の輝度がx1におけるガンマカーブ202上の点P1を入力値が増加する方向にある点P11に移動させることで、低輝度領域の階調を減少させ、かつ、中輝度領域の階調が維持されるようなガンマカーブ203を生成する。
【0065】
なお、パラメータ設定部114は、上記に限らずに、中輝度領域における度数が所定の度数より大きい場合、所定の度数より小さい場合よりも中輝度領域において階調が多く割り当てられるように第1パラメータを補正してもよい。また、パラメータ設定部114は、低輝度領域における度数が所定の度数より大きい場合、所定の度数より小さい場合よりも低輝度領域において階調が多く割り当てられるように第1パラメータを補正してもよい。このようにして、パラメータ設定部114は、複数の輝度領域それぞれにおける度数に応じて、度数が多い輝度領域において階調が多く割り当てられるように第1パラメータを補正してもよい。
【0066】
次に、パラメータ設定部114は、第1パラメータを補正する第2の補正を行う(S23)。パラメータ設定部114は、具体的には、第2の補正において、ガンマ補正前の入力輝度について、算出された累積ヒストグラムにおける度数が大きくなるほど、第1ガンマ補正よりも大きく輝度向上させるガンマカーブ202のガンマ補正による第1出力輝度に近い出力輝度を出力し、かつ、累積ヒストグラムにおける度数が小さくなるほど基準ガンマ補正による第2出力輝度に近い出力輝度を出力する第8ガンマ補正となるように、第1パラメータを補正する。第8ガンマ補正は、第8パラメータにより特定されるガンマ補正である。
【0067】
ここで、図8を用いて第2の補正の具体例について説明する。図8には、基準ガンマ補正によるガンマカーブ211と、第2の補正前の第1ガンマ補正によるガンマカーブ212と、第2の補正後の第1ガンマ補正によるガンマカーブ213と、第1領域における全画素の輝度のヒストグラム214とが示されている。ガンマカーブ211、212、213と、ヒストグラム214とは、横軸の入力輝度レベルが共通している。
【0068】
パラメータ設定部114は、例えば、複数の入力輝度レベルのそれぞれについて、当該入力輝度レベルに対応するガンマカーブ211の第1出力輝度レベルと、当該入力輝度レベルに対応するガンマカーブ212の第2出力輝度レベルとを、当該入力輝度レベルまでのヒストグラムの累積値に応じた重みを用いて加重平均することで第2の補正後のガンマカーブ213の出力輝度レベルを算出する。加重平均の重みは、第1出力輝度レベルには、当該入力輝度レベルより大きい値を有する第1領域の画素の画素数が対応付けされ、第2出力輝度レベルには、当該入力輝度レベルまでの値を有する第1領域の画素の画素数が対応付けされる。このようにして、パラメータ設定部114は、第2の補正を行うことで、第2の補正後のガンマカーブ213を生成する。
【0069】
なお、パラメータ設定部114は、第1パラメータに対して第1の補正および第2の補正の少なくとも一方をしなくてもよい。つまり、パラメータ設定部114は、第1輝度代表値および全体輝度代表値に応じて設定された第1パラメータをそのまま第1ガンマ補正の第1パラメータとしてその後の処理に用いてもよいし、第1の補正後のガンマカーブ203の第1パラメータをその後の処理に用いてもよいし、第2の補正のみを行って得られたガンマカーブの第1パラメータをその後の処理に用いてもよい。
【0070】
図5を用いた説明に戻り、次に、パラメータ設定部114は、第2ガンマ補正の第2パラメータを設定する(S12)。
【0071】
ここで、第2パラメータの設定処理の詳細について、図9を用いて説明する。図9は、第2パラメータの設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
図9に示されるように、第2パラメータの設定処理において、パラメータ設定部114は、算出部113により算出された全体周波数代表値が第1閾値Th1より高いか否かを判定する(S31)。
【0073】
パラメータ設定部114は、全体周波数代表値が第1閾値Th1より高い場合(S31でYes)、全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された第3パラメータを第2パラメータとして設定する(S32)。この場合、パラメータ設定部114は、全体周波数代表値が高いほど大きいガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。パラメータ設定部114は、例えば、全体周波数代表値が高いほど3.2に近いガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。
【0074】
パラメータ設定部114は、全体周波数代表値が第1閾値Th1より低い場合(S31でNo)、全体輝度代表値が第2閾値Th2より高いか否かを判定する(S33)。
【0075】
パラメータ設定部114は、全体輝度代表値が第2閾値Th2より高い場合(S33でYes)、全体周波数代表値に関わらず固定された度合いで輝度低下するように第4パラメータを算出し、算出された第4パラメータを第2パラメータとして設定する(S34)。この場合、パラメータ設定部114は、全体周波数代表値に関わらず固定されたガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。
【0076】
パラメータ設定部114は、全体輝度代表値が第2閾値Th2より低い場合(S33でNo)、全体周波数代表値が低いほど小さい度合いで輝度低下するように全体周波数代表値に応じて第5パラメータを算出し、算出された第5パラメータを第2パラメータとして設定する(S35)。この場合、パラメータ設定部114は、全体周波数代表値が低いほど小さいガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。パラメータ設定部114は、例えば、全体周波数代表値が低いほど2.2に近いガンマ値にガンマ補正のパラメータを設定する。
【0077】
パラメータ設定部114は、上記のように決定した第2パラメータを全体輝度代表値に応じて補正してもよい。補正処理の具体例について、図10および図11を用いて説明する。
【0078】
図10は、平均輝度が暗い場合における第2ガンマ補正のガンマカーブを補正する処理を説明するための図である。図11は、平均輝度が明るい場合における第2ガンマ補正のガンマカーブを補正する処理を説明するための図である。
【0079】
図10および図11には、基準ガンマ補正によるガンマカーブ221と、補正前の第2ガンマ補正によるガンマカーブ222と、補正後の第2ガンマ補正によるガンマカーブ223、224が示されている。
【0080】
パラメータ設定部114は、図10に示されるように、全体輝度代表値が第3閾値より低い場合、つまり、平均輝度が暗い場合、ガンマカーブ222を変形する補正を行うことでガンマカーブ223を生成してもよい。ガンマカーブ223は、例えば、ガンマカーブ222の輝度x5より低い低輝度領域における出力輝度レベルを向上させた形状を有する。また、ガンマカーブ223は、例えば、ガンマカーブ222の最大出力輝度レベルmax1よりも低い最大出力輝度レベルmax2を最大出力輝度レベルとし、かつ、輝度x5より高い高輝度領域においてガンマカーブ222に近い形状を有する。
【0081】
パラメータ設定部114は、図11に示されるように、全体輝度代表値が第4閾値より高い場合、つまり、平均輝度が明るい場合、ガンマカーブ222を変形する補正を行うことでガンマカーブ224を生成してもよい。ガンマカーブ224は、例えば、ガンマカーブ222の輝度x5より低い低輝度領域の出力輝度レベルを向上させる度合いがガンマカーブ223より小さい形状を有する。ガンマカーブ224は、例えば、ガンマカーブ223の最大出力輝度レベルmax2よりも低い最大出力輝度レベルmax3を最大出力輝度レベルとし、かつ、輝度x5より高い高輝度領域においてガンマカーブ222に近い形状を有する。
【0082】
このように、パラメータ設定部114は、全体輝度代表値に応じて、ガンマカーブ222を補正する度合いを調整してもよい。
【0083】
図5を用いた説明に戻り、次に、パラメータ設定部114は、第1パラメータが設定された第1ガンマ補正、および、第2パラメータが設定された第2ガンマ補正について、バランス調整を行う(S13)。
【0084】
ここで、図12は、第1ガンマ補正に対するバランス調整について説明するための図である。図12には、基準ガンマ補正によるガンマカーブ231と、ステップS11で設定された第1ガンマ補正のガンマカーブ232とが示されている。
【0085】
パラメータ設定部114は、図12に示されるように、第1ガンマ補正のガンマカーブ232および基準ガンマ補正のガンマカーブ231の間において、領域情報の画素値が第1の値に近いほど第1ガンマ補正のガンマカーブ232に近づき、かつ、当該画素値が第1領域である可能性と第2領域である可能性とが等しいことを示す第3の値に近いほど基準ガンマ補正のガンマカーブ231に近づくように、第6ガンマ補正の第6パラメータを算出する。そして、パラメータ設定部114は、得られた第6パラメータを第1パラメータとして設定する。
【0086】
また、ここで、図13は、第2ガンマ補正に対するバランス調整について説明するための図である。図13には、基準ガンマ補正によるガンマカーブ231と、ステップS12で設定された第2ガンマ補正のガンマカーブ233とが示されている。
【0087】
パラメータ設定部114は、第2ガンマ補正のガンマカーブ233の間において、領域情報の画素値が第2の値に近いほど第2ガンマ補正のガンマカーブ233に近づき、かつ、当該画素値が第3の値に近いほど基準ガンマ補正に近づくように、第7ガンマ補正の第7パラメータを算出する。そして、パラメータ設定部114は、得られた第7パラメータを第2パラメータとして設定する。
【0088】
そして、パラメータ設定部114は、設定された第1パラメータおよび第2パラメータをパラメータデータとして出力する(S14)。
【0089】
[効果など]
本実施の形態に係る画像処理装置110は、第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上するように、第1ガンマ補正の第1パラメータを設定するため、第1領域が暗いほど第1領域が明るくなるように第1領域の輝度を補正することができる。また、画像処理装置110は、さらに、全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように第1パラメータを設定するため、入力画像全体が明るいほどより第1領域が明るくなるように第1領域の輝度を補正することができる。よって、入力画像の第1領域を効果的に強調することができる。
【0090】
また、本実施の形態に係る画像処理装置110は、全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように第2パラメータを設定するため、第2領域を目立たないように暗くすることができる。よって、入力画像の第1領域を効果的に強調することができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る画像処理装置110は、第1領域である可能性および第2領域である可能性が近い場合に、基準ガンマ補正に近いガンマ補正が行われるように調整されるため、違和感が少なく、第1領域が強調された画像を得ることができる。
【0092】
また、本実施の形態に係る画像処理装置110は、パラメータの設定において、複数の第1画素のそれぞれが有する複数の第1輝度のヒストグラムの輝度領域のうちで所定の輝度よりも輝度が高い高輝度領域における度数が第1閾値より大きい場合、第1閾値より小さい場合よりも高輝度領域において階調が多く割り当てられるように第1パラメータを補正する。このため、第1領域全画素の画素値のヒストグラムに応じて、効果的に第1領域を強調することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る画像処理装置110は、ガンマ補正前の入力輝度について、算出された累積ヒストグラムにおける度数が大きくなるほど、第1ガンマ補正よりも大きく輝度向上させるガンマ補正による第1出力輝度に近い出力輝度を出力し、かつ、累積ヒストグラムが小さくなるほど基準ガンマ補正による第2出力輝度に近い出力輝度を出力する第8ガンマ補正の第8パラメータを算出し、算出された第8パラメータを前記第1パラメータとして設定する。このため、累積ヒストグラムに応じて、効果的に第1領域を強調することができる。
【0094】
[変形例]
(1)
上記実施の形態では、パラメータの設定処理において、第1パラメータおよび第2パラメータの両方を設定するとしたが、いずれか一方のみを設定してもよい。この場合、ガンマ補正では、設定されたパラメータに対応する領域に対してのみガンマ補正が行われる。つまり、第1パラメータのみが設定された場合には、入力画像の第1領域に対してのみ第1パラメータに基づく第1ガンマ補正が行われる。また、第2パラメータのみが設定された場合には、入力画像の第2領域に対してのみ第2パラメータに基づく第2ガンマ補正が行われる。
【0095】
(2)
上記実施の形態では、パラメータの設定処理において、第1の補正および第2の補正を行うとしたが、第1の補正および第2の補正の少なくとも一方は、行われなくてもよい。つまり、ステップS21で設定された第1パラメータの設定において設定された第1パラメータの第1ガンマ補正を用いて画像を補正してもよいし、第2の補正をせずに第1の補正を行った後の第1ガンマ補正によるガンマカーブを用いて画像を補正してもよいし、第1の補正をせずに第2の補正を行った後の第1ガンマ補正によるガンマカーブを用いて画像を補正してもよい。
【0096】
(3)
上記実施の形態では、画像処理装置110は、表示装置100に内蔵される装置であるとしたが、これに限らずに、撮像装置に内蔵される装置であってもよい。この場合の画像処理装置は、例えば、撮像装置が備えるイメージセンサから画像データを取得し、上記実施の形態で説明した画像処理方法を行い、出力画像を出力する。
【0097】
(4)
上記実施の形態では、表示装置100では、チューナ101を備える構成であり、取得部111は、チューナ101により実現されるとしたが、これに限らない。取得部111は、光ディスク、SDカード、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記録媒体に記録されている画像データを読み出すことで画像データを取得してもよい。この場合、取得部111は、光ディスクを読み出す光ピックアップなどの電気機器により実現されてもよい。また、取得部111は、インターネットなどのネットワークを介して外部サーバから画像データを取得してもよい。この場合、取得部111は、外部サーバとの間で通信を行うための通信IFにより実現されてもよい。また、取得部111は、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子、USB(Universal Serial Bus)端子、RCA端子などの外部IFを介して接続された外部機器から画像データを取得してもよい。
【0098】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の画像復号化装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0099】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数の画素の輝度の代表値である全体輝度代表値を算出し、前記第1領域を構成する複数の第1画素の輝度の代表値である第1輝度代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度向上させる第1ガンマ補正の第1パラメータを、前記第1輝度代表値が低いほど大きい度合いで輝度向上し、かつ、前記全体輝度代表値が高いほど大きい度合いで輝度向上するように、前記第1輝度代表値および前記全体輝度代表値に応じて設定し、設定された前記第1パラメータに基づく前記第1ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第1領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力する画像処理方法を実行させる。
【0100】
また、このプログラムは、コンピュータに、入力画像を取得し、取得された前記入力画像の領域において第1領域と前記第1領域とは異なる第2領域とを設定し、前記入力画像を構成する複数のサブ領域の空間周波数の代表値である全体周波数代表値を算出し、基準パラメータに基づく基準ガンマ補正よりも輝度低下させる第2ガンマ補正の第2パラメータを設定し、設定された前記第2パラメータに基づく前記第2ガンマ補正を前記入力画像のうちの前記第2領域に対して行うことで、前記入力画像にガンマ補正を行い、前記ガンマ補正により得られた出力画像を出力し、前記第2パラメータの設定では、前記全体周波数代表値が第1閾値より高い場合、前記全体周波数代表値が高いほど大きい度合いで輝度低下するように、前記全体周波数代表値に応じて第3パラメータを算出し、算出された前記第3パラメータを前記第2パラメータとして設定する画像処理方法を実行させる。
【0101】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0102】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0103】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、画像における被写体の領域である対象領域を効果的に強調することができる画像処理方法等に適用可能である。具体的には、テレビなどの表示装置、カメラなどの撮像装置等に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
100 表示装置
101 チューナ
102 デコーダ
103 制御回路
104 メモリ
105 表示デバイス
110 画像処理装置
111 取得部
112 領域設定部
113 算出部
114 パラメータ設定部
115 補正部
116 記憶部
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